KLMオランダ航空
KLMオランダ航空(ケイエルエムオランダこうくう、オランダ語: Koninklijke Luchtvaart Maatschappij、英語: KLM Royal Dutch Airlines)は、オランダにおけるエールフランス‐KLM傘下の航空会社。オランダのいわゆるフラッグ・キャリアである[1]。1919年10月7日設立[2]。略称の KLM のオランダ語での発音は「カーエルエム、カーエレム」に近い。
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概要
第一次世界大戦後の1919年10月7日にアルベルト・プレスマンが、オランダ政府やウィルヘルミナ女王の援助を得て創設した。創設時と同じ名称で現存する、世界で最も古い航空会社の流れをくむ組織である[2]。アムステルダムのアムステルダム・スキポール空港を拠点とし、ヨーロッパの諸都市への航空網を持つ[3]。
第二次世界大戦以前は、フォッカーとの連携、DC-2の早期注文など新機材を積極導入した。路線では、アムステルダムから植民地であったインドネシアへの長距離線(当時の世界最長路線[4])、カリブ海にあるオランダ領アンティルを現在も運航するなど、かつては海洋王国として君臨したオランダの植民地への運送手段として拡張を続けたが第二次世界大戦ですべての機材を失う。しかし、アメリカの援助も得て、1951年にはオーストラリアを除くすべての大陸に航空網を展開、12月には日本にも乗り入れる。
1993年にノースウエスト航空と大規模提携を行い、のちにコンチネンタル航空とともにウイングス・アライアンスの結成に動いていた[5]。
しかし、2004年にフランスのエールフランスと経営統合[6]。持株会社方式で1つのグループ(エールフランス‐KLM)としてのネットワークを活かしながら、それぞれ独自のサービスとブランドを展開している。
航空券の座席予約システム(CRS)は、アマデウスITグループが運営するアマデウスを利用している。 [7] [8]
「KLM」とはオランダ語の「Koninklijke Luchtvaart Maatschappij(K…コーニンクルッケ・L…ルフトファールト・M…マーツハッペイ、王立航空会社)」の頭文字である[2]。
なお、第二次世界大戦前にオランダが植民地として支配していたオランダ領東インドで設立されたオランダ領インド航空(Koninklijke Nederlandsch-Indische Luchtvaart Maatschappij、KNILM)とは資本関係にない。
現在
経営はエールフランス‐KLMで完全統合されているが、国際航空では、国間の航空権益があるため現存させている組織である(エールフランスも同様にエールフランス‐KLM傘下の運航会社である)。成田空港と関西空港から毎日運航している。
Flying Blue/フライング・ブルー
エールフランス航空とKLMオランダ航空共通のマイレージプログラムである。2005年6月6日よりサービスが開始された。
エールフランス航空、KLMオランダ航空をはじめ、スカイチーム便、提携航空会社やホテル、レンタカー、クレジットカードなどの提携130社以上でマイルの獲得や特典を利用できる。また、獲得したマイルをほかのどの会員にも譲渡できる。さらに同社便・提携会社便の利用回数・距離に応じてアイボリー、シルバー、ゴールド、プラチナの4つの会員となるエリート会員制度を持つ。
就航都市
日本路線
- 成田国際空港(第1ターミナル 北ウイング) 2016年9月3日の成田発便をもって、コンビ型を含むボーイング747-400型機の使用を終了し、翌4日以降はボーイング777-200ER型機もしくはボーイング777-300ER型機の併用となった[15]。なお需要などの理由により、ボーイング787-9型機で運航する場合がある。
- 東京国際空港 1979年新東京国際空港開港前はDC-8や747-200などが飛んでいた。
- 関西国際空港(チェックインカウンター : 北ウイング、使用ゲート : 南ウイング) ボーイング777-300ER型機とボーイング787-9型機の併用(※需要次第でボーイング777-200ER型機による運航有り)
- 福岡空港(週3便 月・木・土) ボーイング777-200ER型機(2016年1月5日から運休)
東京/成田と大阪/関西から毎日運航しており、アムステルダムから乗り継いだその日のうちにヨーロッパの60都市以上に到着できる。かつては、札幌/新千歳経由名古屋/小牧線も就航しており、さらに2013年4月から福岡空港にも週3便で就航した。しかし福岡線は路線状況が悪化したことや日本円の為替レートが路線収支にマイナスの収支を及ぼしているなどの理由から2016年1月4日もって運休となった。[16]
営業事務所はエールフランス-KLMで同一地点に所在しており、東京都と大阪市にある。日本路線には常に日本人CAが3名から4名乗務している。
機内サービス
長距離路線ではビジネスクラス「ワールドビジネスクラス」、エコノミークラスの2クラス制。ヨーロッパ域内路線ではビジネスクラス「ヨーロッパビジネスクラス」とエコノミークラスの2クラス制をとる。全機種のエコノミークラスには、足元の広い「エコノミー・コンフォートゾーン」が搭載されている(ファーストクラス「ロイヤルクラス」は1996年ノースウエスト航空と同時に導入されたワールドビジネスクラスの導入により廃止)。
日本路線の機内食の特徴として、ホテルオークラ・アムステルダムの和食を搭乗クラスに関係なく提供し、日本人旅客へのサービスを図っていることがある。
- KLMオリジナルギフト(ワールドビジネスクラスのみで提供) - オランダ伝統の陶器、デルフト陶器の「ミニチュアハウス」40年以上続く人気のプレゼントで、中にはイェネーバ(蘭: jenever、オランダ・ジン)が入っている。陶器は現在88種類で、毎年1-2種が新規追加されている。
- エンターテインメント - ボーイング747型機・ボーイング777型機では各座席にスクリーンが設置されており、映画やニュース番組のほか、音楽プログラムがある。また、ボーイング777-300ERの一部機体では機内無線LAN(Wi-Fi)サービスを開始している。
- 機内誌・機内販売 - 機内誌は日本語版のEUROSKYとHolland Herald。また、アクセサリー、香水、化粧品などの免税品をはじめ、メンズ向けのグッズなども機内で注文した商品を自宅へ配送するホームデリバリーサービスを提供する。
- アメネティキット(ワールドビジネスクラスのみ)には洗顔用具、機内用靴下、アイマスクが入っている。スリッパも機内でもらえる。
空港でのサービス
KLMのハブ空港であるアムステルダムのアムステルダム・スキポール空港は、乗り継ぎの簡単さ(ワンターミナルコンセプト)を重視しており、過去にベストエアポートとしての受賞歴もある。日本からスルーチェックインを済ませた客が、フライトの待ち時間にオランダへの一時観光入国をできるようにもなっている。
アムステルダム・スキポール空港のクラウン・ラウンジは近年リニューアルされた。
保有機材
2017年10月現在、(但し、KLMシティホッパー, トランサヴィア, マーティンエアーの保有機材は除く) 以下の機材で運行されている。:[17][18]
KLMオランダ航空 旅客用機材 | |||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|
機材 | 運航中 | 発注 | 座席数[19] | 備考 | |||
C | Y+ | Y | 合計 | ||||
エアバスA330-200 | 8 | — | 30 | 31 | 182 | 243 | |
エアバスA330-300 | 5 | — | 30 | 40 | 222 | 292 | |
エアバスA350-900 | — | 7 | TBA | 2020年以降導入予定。 | |||
ボーイング737-700 | 18 | — | 20 | 12 | 90 | 122 | |
ボーイング737-800 | 25 | 24 | 120 | 164 | |||
ボーイング737-900 | 5 | 28 | 18 | 132 | 178 | ||
ボーイング747-400 | 4 | — | 35 | 36 | 337 | 408 | 2020年までに完全退役予定[20] |
ボーイング747-400M | 16 | 197 | 262 | 順次退役予定[21] | |||
ボーイング777-200ER | 15 | — | 35 | 34 | 249 | 318 | 順次改修予定 |
34 | 40 | 242 | 316 | ||||
ボーイング777-300ER | 14 | ー | 35 | 350 | 425 | 新機材は 34/40/334となる予定。 | |
34 | 334 | 408 | |||||
ボーイング787-9 | 10 | 4 | 30 | 48 | 216 | 294 | 順次導入予定 |
ボーイング787-10 | — | 6 | 38 | 36 | 264 | 338 | 2020年に導入予定。 |
KLM カーゴ 機材 | |||||||
ボーイング747-400ERF | 3 | — | 112,760 kg | ||||
計 | 115 | 17 |
また、747-400型機は2013年からビジネスクラスにフルフラットシートを更新導入しているが、順次退役・売却も計画されていてこの代替目的にエールフランスと共同でボーイング787-9を25機確定発注(+オプション25機)、またエアバスA350-900を25機確定発注(オプション35機)、合計110機を発注し、2016年以降KLMのボーイング787-9初号機が引き渡され、有償飛行を開始する予定である。
2014年12月に重整備を受けたB737-800の2機(PH-BXW、PH-BXZ)から、現行の塗装を一部流線型とした新塗装となり、保有機材を含めて今後は順次施工していく。2015年以降導入のB777-300ERとB787-9は最初から新塗装での納入となる[22]。
なお、KLMオランダ航空が発注したボーイング社製航空機の顧客番号(カスタマーコード)は06及びK2で、航空機の形式名は737-8K2、747-206、747-406、777-206ERなどとなる。
その他
- KLMオランダ航空のウェブサイト(http://www.klm.co.jp) で販売するKLM便エコノミークラス航空券の最安値サービス、ベストプライスギャランティー、というものもある。
- 日本では、かつてフジテレビ「オールスター家族対抗歌合戦」(バンコク旅行、ヨーロッパ周遊旅行)、フジテレビ「オリンピックショウ 地上最大のクイズ」の後期版「ジェットショー 地上最大のクイズ」(世界一周旅行)、フジテレビ「象印スター対抗大乱戦」(バンコク旅行)、テレビ朝日「象印歌のタイトルマッチ」「象印スターものまね大合戦」(ヨーロッパ周遊旅行)の優勝賞品の海外旅行に協賛していたことでも知られる。
- フジテレビの世界名作劇場「牧場の少女カトリ」や「トラップ一家物語」の製作にも協力していて、ヨーロッパの風景を忠実に再現していた。最後のタイトル・クレジットにも「協力・KLMオランダ航空」と出ていた。これはエンディングに5秒間、社名を表示させる事でロケスタッフの往復飛行機代金を負担していたものである。
- 松竹映画の「男はつらいよ」シリーズ、「男はつらいよ 寅次郎心の旅路」にも協賛会社としてクレジットされている。この映画が撮影された時にはまだ日本-ウィーンの直行便がなく、映画ではKLMオランダ航空によるアムステルダム・アムステルダム・スキポール空港乗り継ぎによるウィーンへの旅程となった。映画の中でもアムステルダム・スキポール空港から柴又の実家へ電話をかけるシーン、KLM機内でのシーン、アムステルダム・スキポール空港を離陸するKLM機のシーンが見られる。オーストリア航空・全日本空輸・アエロフロート共同運航による成田-ウィーン便ができたのは映画が公開される1ヶ月前の1989年7月16日のことである。
- マイレージサービス Flying Blue が導入される以前は、独自に Flying Dutchman (フライング・ダッチマン)という名称で実施していた。これは、あまりにも海への畏れを知らぬ態度故に神の怒りを買い、最後の審判の日まで幽霊船でさまよう宿命を与えられた船長にまつわる伝承に由来する。ただし、日本を含む東アジアでは代わりにノースウエスト航空の「ワールドパークス」が会員を募集することとされていたため、日本人は原則として入会できなかった。
- KLMオランダ航空には傘下にKLM asiaというかつての日本アジア航空に似た会社が存在する。これは台湾及び中国双方に路線を持つことに対する政府圧力が背景にあったからである。これと同じくしてヨーロッパ各国のフラッグキャリアはアジアという名称を付けるなどして別会社の設立や別会社を装った便名で運航していたが直接運航の認可によりすべて消滅(もっとも、KLM以外は路線自体が消滅)、ただしKLM asiaのみKL便として現在も運航している。当時KLM asiaとして使用されていた機材の一部は、KLM asiaのロゴをまとったまま使用されている。
- KLMオランダ航空は「王立」を社名に冠するだけあってオランダ王室のメンバーも専用機として使用するが、現国王のウィレム=アレクサンダーは皇太子時代から、月2回ほど副業として子会社のKLMシティホッパーでフォッカー70の副操縦士として勤務しており、国王に即位した後も操縦していた。国王は旅客機用の操縦士免許を所有しており、これの維持には定期的な操縦経歴が必要なためである[23][24]。
脚注
- ↑ 吉田力『図解入門 業界研究最新航空業界の動向とカラクリがよーくわかる本 第2版』秀和システム、2014年、62頁
- ↑ 2.0 2.1 2.2 2.3 吉田力『図解入門 業界研究最新航空業界の動向とカラクリがよーくわかる本 第2版』秀和システム、2014年、53頁
- ↑ 2番目に古い航空会社はコロンビアのアビアンカ航空(1919年12月設立)、3番目に古い航空会社はオーストラリアのカンタス航空(1920年設立)となっている
- ↑ 超長距離フライト、続々誕生の理由 CNN(2017年8月8日)2017年8月11日閲覧
- ↑ 吉田力『図解入門 業界研究最新航空業界の動向とカラクリがよーくわかる本 第2版』秀和システム、2014年、78頁
- ↑ 吉田力『図解入門 業界研究最新航空業界の動向とカラクリがよーくわかる本 第2版』秀和システム、2014年、211頁
- ↑ “日本発着路線をもつアルテア利用航空会社 (2015年6月現在)” (日本語). アマデウス・ジャパン. . 2015閲覧.
- ↑ “Airlines using Amadeus” (英語). アマデウスITグループ. . 2015閲覧.
- ↑ 9.0 9.1 KLM、2017年夏にアムステルダム/フリータウン/モンロビア線へ就航 Flyteam 2016年11月17日付
- ↑ 10.0 10.1 10.2 10.3 10.4 エールフランス-KLM、2017/18冬スケジュールで長距離10路線を開設 Flyteam 2017年10月18日付
- ↑ KLMオランダ航空、2018年5月にアムステルダム/フォルタレザ線を開設 Flyteam 2017年9月27日付
- ↑ KLM、3月からアムステルダム/ボゴタ/カルタヘナ線に就航 週3便 Flyteam 2016年12月8日付
- ↑ KLMオランダ航空、2016年1月5日に福岡/アムステルダム線を運休 Flyteam 2015年10月1日付
- ↑ KLMオランダ航空、2017年3月下旬にアムステルダム/ドーハ線を運休 Flyteam 2016年11月25日付
- ↑ [1]
- ↑ KLMオランダ航空、2016年1月5日に福岡/アムステルダム線を運休 Flyteam 2015年10月1日付
- ↑ planespotters.net - KLM Royal Dutch Airlines retrieved 17 January 2016
- ↑ “KLM Plane Facts”. KLM. . 2010閲覧.
- ↑ klm.com - seating plans retrieved 16 June 2015
- ↑ http://www.upinthesky.nl/2016/10/17/historisch-moment-klm-neemt-afscheid-van-oudste-747/
- ↑ https://www.planespotters.net/production-list/search?fleet=KLM-Royal-Dutch-Airlines&manufacturer=Boeing&subtype=747-400&fleetStatus=historic
- ↑ First Boeing 737 in new livery Amstelveen, 04 December 2014
- ↑ "Who is Prince Willem-Alexander?" FAQ - Dutch royalty (Radio Netherlands Worldwide. Retrieved 28 January 2013.)
- ↑ オランダ国王、KLM旅客機操縦の「副業」明かす (CNN 2017年5月18日 同日閲覧)
関連項目
- エールフランス
- KLMオープン
- テネリフェ空港ジャンボ機衝突事故(1977年に起こった航空事故史上最悪の死者数を記録した、当航空とパンアメリカン航空のボーイング747同士がテネリフェ空港の滑走路で衝突した事故。このときの同社側の747の尾翼は1973年、日本赤軍によって爆破された元日本航空の747 (JA8109) のものであった。)
- エールフランス‐KLM
- KLMシティホッパー
- 航空会社の一覧
- オランダの交通