京浜急行電鉄
京浜急行電鉄株式会社(けいひんきゅうこうでんてつ、英: Keikyu Corporation)は、東京都港区に本社を置く大手私鉄である。略称は「京急(けいきゅう)」。
東証一部に上場し、芙蓉グループを構成する企業の一つで、京急グループの中核企業である。かつては「京浜急行(けいひんきゅうこう)」を公式通称、「Keihin Electric Express Railway Co., Ltd.」[注釈 1]を英文社名としていたが、2007年(平成19年)12月1日よりポスター・チラシ類などにおいて「京急電鉄(けいきゅうでんてつ)」の名称[注釈 2]および新ロゴマーク、2010年(平成22年)10月21日[1]より「Keikyu Corporation」の英文社名を使用開始し、順次変更している。
グループのコーポレートスローガンは、「あんしんを羽ばたく力に」(2008年以降)。
Contents
概要
京浜急行電鉄は、東京都港区から品川区、大田区、神奈川県川崎市、横浜市、さらに三浦半島へ至る鉄道路線を運営している。近年は羽田空港へのアクセス鉄道としても利用されている。また都営地下鉄浅草線、京成電鉄、北総鉄道北総線と相互乗り入れ、芝山鉄道芝山鉄道線に乗り入れを実施しており(詳細は後述)、千葉県北部の千葉ニュータウンや成田空港まで乗り入れている。
今後は通勤利用者の減少や羽田空港アクセスの競合激化が予測されることから、戦略として、外国人を含む観光客の三浦半島への誘致を重視している[2]。2018年5月には日本旅行と提携した[3]。
鉄道に京浜急行バスを加えた交通事業のほかに、グループ各社と連携して流通事業、サービス事業、不動産事業なども経営する[4]。これらは直接の収益確保のほかに、京急線沿線地域の定住・交流人口の減少を防ぐことも目指している。2017年には、空き家を転貸したり、独居高齢者宅に学生の下宿を仲介したりする事業を開始[5]。2018年3月には、京急沿線に営業網を持つ湘南信用金庫及び日本保証と提携した[6]。
過去の略称は前身である京浜電気鉄道時代の「京浜」が使われており、1963年(昭和38年)には湘南電気鉄道時代の駅名であった「湘南-」を「京浜-」に改称し統一させた。しかし昭和30年代前半から子会社の名前などに「京急」を使うようになり、一時は「京浜」と「京急」の略称が混在していたが、次第に「京急」の方が定着していったことから1987年(昭和62年)6月1日には同年に民営化した東日本旅客鉄道(JR東日本)との差別化も意識し、コーポレートアイデンティティ (CI) の一環として、それまで「京浜-」としていた10駅の駅名冠称を「京急-」に改め[注釈 3]、略称を「京急」に統一した。なお、「京急-」という名称は同社の登録商標になっている。
現在の京浜急行電鉄は鉄道駅業務、列車運転業務、工務・電気設備保守および施工管理業務、車両整備業務を電鉄本体で行っている。鉄道駅については一時期、泉岳寺駅を除く[注釈 4]全駅の業務を京急ステーションサービスに委託していた[注釈 5]。
2016年3月に、京浜急行電鉄が横浜みなとみらい21地区の開発事業者に決定し、神奈川県横浜市西区高島一丁目に京浜急行電鉄のほか複数のグループ企業の本社機能を集約した「京急グループ本社ビル」を建設して、東京都港区から本社を同ビルに移転することが予定されている。京急グループ本社ビルは2017年に着工し、2019年3月に完成、2019年秋に稼働開始を目指している[7][8]。このことを京急の2100形1編成に貼られたステッカーで「この春横浜駅から新たな感動が始まる」のスローガンとともに告知している。
コーポレートスローガン
- 「めざす未来へ ふれあい京急」(1988年 - 1998年)
- 「新しい出会いに夢のせて」(1998年 - 2008年)
- 「あんしんを羽ばたく力に」(2008年 - )
歴史
現在の京浜急行電鉄の元となったのは、1899年に旧東海道川崎宿に近い六郷橋から川崎大師まで1435mmの標準軌で開通した大師電気鉄道である(現・大師線の一部)。同社は日本で三番目、関東では最初の電気鉄道会社であった。創立時には安田財閥が人的・資金で援助したこともあり、そのため現在でも安田財閥の流れを組む芙蓉グループの一員となっている。同年、京浜電気鉄道と社名を改めた。
東京市電との相互乗り入れを目論み、軌間を開業時の標準軌から一旦は1372mmの馬車軌間へ改軌を行うが、後に子会社となる湘南電気鉄道による三浦半島方面の延伸線への乗り入れを行うために、再度標準軌に改軌された。
1942年には陸上交通事業調整法に基づく戦時統合により東京急行電鉄(いわゆる大東急)に併合されるが、1948年に京浜急行電鉄、小田急電鉄、京王帝都電鉄(現:京王電鉄)の3社が分離・独立し、現在に至る。
年表
- 1897年(明治30年)8月26日 - 大師電気鉄道に対し軌道特許状下付(橘樹郡川崎町久根崎-同郡大師河原村字中瀬間)[9]。
- 1898年(明治31年)2月25日 - 大師電気鉄道株式会社設立。
- 1899年(明治32年)
- 1900年(明治33年)11月2日 - 軌道特許状下付(橘樹郡川崎町六郷橋際-神奈川町停車場間)[12]。
- 1901年(明治34年)
- 1902年(明治35年)6月28日 - 蒲田(現・京急蒲田) - 穴守間開業。
- 1902年(明治35年)9月1日 - 六郷橋 - 川崎(現・京急川崎)間開業。
- 1904年(明治37年)
- 1905年(明治38年)12月24日 - 品川(現・北品川) - 神奈川間開通。
- 1913年(大正2年)12月31日 - (旧)穴守 - 穴守間開業。1914年には(旧)穴守駅付近に羽田駅(後の稲荷橋駅、現・穴守稲荷駅)が開業。
- 1923年(大正12年)5月1日 - 電灯・電力供給事業を群馬電力(後の東京電力[注釈 7])に譲渡。
- 1925年(大正14年)3月11日 - 高輪 - 北品川間開業。
- 1927年(昭和2年)8月27日 - 自動車事業開始。
- 1930年(昭和5年)
- 1931年(昭和6年)
- 1933年(昭和8年)4月1日 - 高輪駅を廃止し品川駅へ乗り入れ。全線を標準軌に改軌。品川 - 浦賀間直通運転開始。
- 1937年(昭和12年)3月8日 - 大森支線、大森停車場前 - 大森海岸間を廃止。
- 1941年(昭和16年)11月1日 - 京浜電気鉄道と湘南電気鉄道・湘南半島自動車が合併し、この時に現在の路線網の骨格がほぼ完成した。
- 1942年(昭和17年)
- 5月1日 - 小田急電鉄と共に東京横浜電鉄へ合併。東京急行電鉄(東急、「大東急」)が発足。
- 12月1日 - 久里浜線、横須賀堀ノ内 - 久里浜間が開業。
- 1945年(昭和20年)1月7日 - 大師線、桜本まで開通。
- 1948年(昭和23年)6月1日 - 東京急行電鉄(「大東急」)の第3会社として京浜急行電鉄株式会社が設立。東京急行電鉄から現在の当社線を譲り受けて営業開始。
- 1949年(昭和24年) - 東京証券取引所に株式上場。
- 1952年(昭和27年)1月1日 - 大師線のうち塩浜 - 桜本間を川崎市交通部(現・川崎市交通局)に譲渡。
- 1956年(昭和31年)4月20日 - 穴守線、穴守稲荷 - (旧)羽田空港間開業。
- 1963年(昭和38年)11月1日 - 穴守線を空港線に改称。久里浜線に久里浜検車区および久里浜工場(当時)を開設し、野比(当時)まで開通。
- 1966年(昭和41年)
- 1968年(昭和43年)6月21日 - 品川 - 泉岳寺間開業。都営浅草線と直通運転開始。
- 1974年(昭和49年)5月26日 - 横浜駅下り専用ホームを撤去し島式1面2線に(2006年7月22日に再設置)。
- 1975年(昭和50年)4月26日 - 久里浜線、三崎口まで開通。
- 1984年(昭和59年)7月1日 - 大船 - 片瀬間の有料道路事業廃止。
- 1985年(昭和60年)3月2日 - 逗子線、京浜逗子・逗子海岸両駅を統合し、新たに新逗子駅を開業。
- 1986年(昭和61年)12月26日 - 東京 - 弘前間に夜行高速バス「ノクターン号」運行開始。
- 1987年(昭和62年)6月1日 - 「京浜-」と名の付く10駅を「京急-」に改称。
- 1991年(平成3年)1月15日 - 空港線、穴守稲荷 - (旧)羽田空港間休止(1993年廃止)。
- 1993年(平成5年)4月1日 - 空港線、穴守稲荷 - 羽田(現・天空橋)間開業。
- 1994年(平成6年)4月1日 - 「ルトランカード」によるストアードフェアシステム導入(パスネット普及に伴い2002年10月使用停止)。
- 1995年(平成7年)2月21日 - 品川 - 横浜間で最高速度を120km/hに引き上げ。同時に昼間点灯を実施。同年4月1日のダイヤ改正で同区間の最速列車は15分45秒運転となった。
- 1998年(平成10年)11月18日 - 空港線、天空橋 - 羽田空港(現・羽田空港国内線ターミナル)間が開業し、現在の路線がすべて開通。
- 2000年(平成12年)12月20日 - パスネット導入[15]。
- 2003年(平成15年)10月1日 - 自動車事業を京浜急行バス株式会社に継承し、分割する。
- 2004年(平成16年)11月24日 - 西武鉄道の株式計260万株を同年中にホテル京急と共同で購入していたことが発表される(「西武鉄道#証券取引法違反事件」参照)。
- 2005年(平成17年)
- 2006年(平成18年)11月14日 - 全駅への自動体外式除細動器 (AED) 設置を完了。
- 2007年(平成19年)3月18日 - PASMOを導入、Suicaとの相互利用開始(その後、在庫僅少により横須賀中央・上大岡・横浜・品川の各定期券センターをのぞき発売中止、同年10月1日より全駅で発売再開)。同時に首都圏の私鉄としては初めての試みとして全駅構内(売店、飲食店、自動販売機)でPASMO電子マネーを導入。
- 2008年(平成20年)2月25日 - 会社創立110周年の一環として、駅係員と乗務員の制服を一新。
- 2009年(平成21年)9月30日 - セブン-イレブン・ジャパンと業務提携を行い、京急ステーションコマースが運営する京急線各駅の売店すべてをセブン-イレブンに転換することを発表[17]。
- 2010年(平成22年)
- 2011年(平成23年)
- 4月29日 - 前年9月末で営業終了させたホテルパシフィック東京の建物をテナントビルへ転換し、京急EXイン(ビジネスホテル)・結婚式場・会議場とショッピングモールを併設した複合商業施設「SHINAGAWA GOOS(シナガワグース)」として開業。
- 6月 - 3月11日に発生した東日本大震災に伴う電力供給逼迫の影響で、8両編成の弱冷房車を1両増加し2両体制(既存の三崎口側3両目と新設の同7両目)に変更。4両・6両編成で弱冷房車を1両(三崎口側3両目)新設。
- 2012年(平成24年)10月21日 - 本線平和島駅 - 六郷土手駅間および空港線京急蒲田駅 - 大鳥居駅間の下り線高架線使用開始。
- 2013年(平成25年)3月23日 - 交通系ICカード全国相互利用サービス開始により、Kitaca、manaca、TOICA、ICOCA、PiTaPa、nimoca、はやかけん、SUGOCAが京急線で利用可能になる[注釈 8]。
- 2015年(平成27年)
歴代経営陣
期間 | 代表 | 備考 | |
---|---|---|---|
1898年2月25日 - 1903年12月5日 | 立川勇次郎 | ||
1903年12月5日 - 1904年10月23日 | 岩田作兵衛 | ||
1904年10月23日 - 1904年12月22日 | 雨宮敬次郎 | ||
期間 | 会長 | 社長 | 備考 |
1904年12月22日 - 1907年10月24日 | (stub) | 雨宮敬次郎 | 社長制を設ける。 |
1907年10月24日 - 1909年5月15日 | (stub) | 栗生武右衛門 | |
1909年5月15日 - 1910年8月5日 | (stub) | 三浦泰輔 | |
1910年8月5日 - 1918年6月28日 | (stub) | 青木正太郎 | |
1918年6月28日 - 1921年12月24日 | (stub) | 安田善三郎 | |
1921年12月24日 - 1923年10月18日 | (stub) | 安田善五郎 | |
1923年10月18日 - 1930年6月24日 | (stub) | 青木正太郎 | |
1930年6月24日 - 1939年4月 | 望月軍四郎 | 生野団六 | |
1939年4月 - 1941年11月25日 | (stub) | ||
1941年11月25日 - 1942年4月30日 | (stub) | 五島慶太 | |
期間 | 備考 | ||
1942年5月1日 - 1948年5月31日 | 東京急行電鉄(大東急)時代 | ||
期間 | 代表 | 備考 | |
1948年6月1日 - 1948年12月23日 | 上田甲午郎 | 京浜急行電鉄を設立。 | |
期間 | 会長 | 社長 | 備考 |
1948年12月23日 - 1950年12月25日 | (stub) | 井田正一 | |
1950年12月25日 - 1964年2月25日 | (stub) | 田中百畝 | 田中百畝は社長在任中の1964年2月11日に死亡。 |
1964年2月25日 - 1964年5月23日 | (stub) | 鈴木三郎助 | |
1964年5月23日 - 1969年11月22日 | (stub) | 佐藤晴雄 | |
1969年11月22日 - 1975年5月27日 | (stub) | 中川幸一 | |
1975年5月27日 - 1981年6月25日 | 中川幸一 | 片桐典徳 | |
1981年6月25日 - 1987年6月26日 | 片桐典徳 | 飯田道雄 | |
1987年6月26日 - 1991年6月27日 | 飯田道雄 | 芹沢守利 | |
1991年6月27日 - 1997年6月27日 | (stub) | 平松一朗 | |
1997年6月27日 - 2005年6月29日 | (stub) | 小谷昌 | |
2005年6月29日 - 2013年6月27日 | 小谷昌 | 石渡恒夫 | |
2013年6月27日 - | 石渡恒夫 | 原田一之 |
路線
前身の京浜電気鉄道や湘南電気鉄道などの路線も含む。
現有路線
総延長キロ数 : 87.0km
- 本線 : 泉岳寺駅 - 浦賀駅 56.7km
- 空港線 : 京急蒲田駅 - 羽田空港国内線ターミナル駅 6.5km
- 大師線 : 京急川崎駅 - 小島新田駅 4.5km
- 逗子線 : 金沢八景駅 - 新逗子駅 5.9km
- 久里浜線 : 堀ノ内駅 - 三崎口駅 13.4km
- 京急衛星画像050.jpg
京急全線
- 京急衛星画像100北.jpg
川崎以北拡大
- 京急衛星画像100中.jpg
川崎-金沢八景間拡大
- 京急衛星画像100南.jpg
金沢八景以南拡大
廃止路線・区間
- 大森支線 : 大森駅 - 大森海岸駅 0.7km
- 大師線 : 小島新田駅 - 桜本駅 3.5km : うち塩浜駅 - 桜本駅間は川崎市に譲渡され川崎市電の一部となり、のちに川崎市電の他の区間とともに廃止。
- 空港線 : 穴守稲荷駅 - 穴守駅 1.3km
未成線
- 鎌倉線 : 金沢文庫駅 - 鎌倉八幡:朝比奈峠付近を経由する予定であった。1958年失効。[20]
- 武山線 : 衣笠駅付近(現在の衣笠十字路付近)- 林 : 着工後に終戦となり中止。[20]
- 久里浜線 : 三崎口駅 - 油壺駅(仮称) - 三崎駅(仮称): 事業廃止[20][16][21]
- 三浦半島西部線(葉山線) : 逗子海岸駅 - 飯森駅(仮称) [20]
京浜急行電鉄の前身の一つである湘南電気鉄道にも「予定線」として計画線が存在した。日ノ出町駅 - 桜木町駅間の建設予定地には、予定地に沿って道路や住宅が並んでいる。
駅
2015年3月末現在、73駅[23]を営業している(泉岳寺駅を含む)。
京浜急行電鉄は、東京の大手私鉄で唯一東京メトロとの乗り換え駅がない。都営地下鉄とは泉岳寺駅で浅草線に乗り入れている。
乗降人員上位15駅
順位 | 駅名 | 人数 (人) |
前年比 (%) |
前年 順位 |
前年人数 (人) |
所在地 | 備考 |
---|---|---|---|---|---|---|---|
11px 1 | 横浜駅 | 311,593 | 11px 0.6 | 1 | 313,608 | 横浜市西区 | 各社局線総合では日本・世界第5位 |
11px 2 | 品川駅 | 264,309 | 1.0 | 2 | 261,780 | 東京都港区 | 各社局線総合では日本・世界第9位 |
11px 3 | 泉岳寺駅 | 173,577 | 3.3 | 3 | 168,009 | 東京都港区 | 浅草線の直通人員含む |
11px 4 | 上大岡駅 | 141,288 | 11px 1.4 | 4 | 143,226 | 横浜市港南区 | |
11px 5 | 京急川崎駅 | 120,030 | 1.7 | 5 | 118,034 | 川崎市川崎区 | |
11px 6 | 羽田空港国内線ターミナル駅 | 81,016 | 3.6 | 7 | 78,171 | 東京都大田区 | |
11px 7 | 金沢文庫駅 | 69,368 | 11px 3.0 | 6 | 71,523 | 横浜市金沢区 | |
11px 8 | 横須賀中央駅 | 66,063 | 11px 0.0 | 8 | 66,082 | 神奈川県横須賀市 | |
11px 9 | 金沢八景駅 | 55,971 | 11px 1.7 | 9 | 56,963 | 横浜市金沢区 | |
11px 10 | 京急蒲田駅 | 50,948 | 3.0 | 10 | 49,477 | 東京都大田区 | |
11px 11 | 平和島駅 | 46,488 | 0.2 | 11 | 46,402 | 東京都大田区 | |
11px 12 | 京急久里浜駅 | 43,004 | 11px 2.3 | 12 | 44,029 | 神奈川県横須賀市 | |
11px 13 | 青物横丁駅 | 42,251 | 0.0 | 13 | 42,243 | 東京都品川区 | |
11px 14 | 追浜駅 | 40,139 | 0.3 | 14 | 40,008 | 神奈川県横須賀市 | |
11px 15 | 杉田駅 | 34,046 | 11px 0.4 | 15 | 34,169 | 横浜市磯子区 |
駅長所在駅
駅長所在駅は品川・平和島・京急蒲田・羽田空港国内線ターミナル・京急川崎・京急鶴見・川崎大師・神奈川新町・横浜・日ノ出町・上大岡・金沢文庫・追浜・横須賀中央・京急久里浜・三浦海岸の16駅。駅長所在駅ごとに管区が置かれ、泉岳寺駅とここに挙げた16駅以外の駅は、いずれかの駅長に属する被管理駅となっている。なお、京急ステーションサービスへの委託時代は駅長もその他の駅係員同様、同社の社員であった。
運行体制
都営地下鉄浅草線(泉岳寺以北)、京成電鉄押上線・本線(青砥以東)・東成田線・成田スカイアクセス線、北総鉄道北総線、芝山鉄道芝山鉄道線と直通運転を実施している。乗り入れ車両は8両編成のため、普通列車の停車駅の有効長の関係で空港線と逗子線以外は普通としては運転されず、京急線内ではエアポート急行・特急・快特・エアポート快特として運転される。おおよその目安として、品川 - 浦賀間の普通、空港線系統・本線系統の快特と羽田空港 - 新逗子間のエアポート急行が、それぞれ10分間隔で運行されている。そのほかに、普通が品川-京急蒲田間、エアポート快特が京成線方面 - 羽田空港間に40分間隔で運行されている。
基本的に信号は駅の信号室で取り扱う[注釈 10]。そのため事故などでダイヤが乱れた場合は各信号室の判断による運行が行われ、運転再開は他社に比べて早いが、運行中に種別が変更される場合もある。
また通常ダイヤ以外に、貸切イベント列車を運行することがある。2017年までも企業からの申し込みに対応してサイクルトレインなどを走らせていたが、個人の同窓会や結婚式などの受け付けも2017年10月から始めた(実施は最短で3か月後)。土・日曜日のみで、午前中の品川駅発→浦賀駅または三浦海岸駅着か、夕方の大師線往復(京急川崎駅発着)が利用できる[26]。
車両
京急の現有車両は東急車輛製造[注釈 11]および同社から鉄道車両事業を継承した総合車両製作所製と川崎重工業製で、総合車両製作所(東急車輛製造を含む)と川崎重工業でそれぞれほぼ半々の割合で製造されている。2015年12月3日現在、796両を保有する。各形式の詳細、使用線区、運用などについてはそれぞれの記事を参照されたい。
外観
経営・技術面など多方面から範としたアメリカのパシフィック電鉄の影響から、創業以来の伝統として車体広告車などの例外を除いて車体は赤く塗装されており、会社のイメージカラーにもなっている。塗色のパターンは幾度か変遷があり、現在では、窓下に白帯が入るもの、窓周りが白く塗られているもの(800形で初めて採用され、現在では600形・2100形・新1000形で採用している)がある。2007年3月に登場した京急初のステンレス車両・新1000形6次車より、車体幕板と腰板に赤色のラッピングを施し、さらに窓下に白帯を入れアクセントとした外装となり、2015年度製造の15次車の6両編成まで継続された。同年度製造の15次車4両編成(1800番台)以降は、赤色に窓周り白色のラッピングが窓枠及び客室扉と乗務員室扉の周りを除いた車体側面全体に拡大され[27][28]、さらに2017年度に導入された17次車からはラッピングではなく、ステンレス車体に全面塗装が施されることになり、5次車以来となる全面塗装車体で導入されることになった[29]。
京急の電車に広く見られる赤地に白帯のデザインは、友好鉄道協定を結んでいる台湾鉄路管理局においても、2016年5月12日より同年10月12日までの期間にEMU700型電車第1編成においてラッピングで再現された[30][31][32]。
- Pacific Electric 1001.jpg
パシフィック電鉄の赤い電車(保存車、2008年)
- TRA Keikyu EMU700 EMC701 Xizhi 20160829.jpg
京急ラッピング仕様の台湾鉄路管理局EMU700型電車(2016年)
種別・行先表示
視認性の問題から行先表示に3色LED表示器は導入しなかったが、フルカラー・白色LEDが実用化され視認性に特に問題なかったこと、多くの色を表現でき種別案内が色で可能になったこと、行先の増加や運転系統の変化に伴い幕交換が多数発生している現状を踏まえ、2005年(平成17年)以降製造車両から本格採用した。また、2010年3月ごろより東急5000系列に類似したフルカラー・白色LED行先表示(日本語・英語を交互表示)が搭載されるようになり、LED装備車全車の表示内容を収めたROM変更が完了している。さらに前面のみをフルカラーLEDに交換した編成が出現しており、新1000形や600形、2100形、1500形などが該当する。1500形の全車LED化に伴って地下鉄直通用の京急車は全車LEDとなった。
相互直通運転を行っている京成電鉄とは異なり、駅名の「京急」は省略しない(「京急川崎」など)。以前は「京急」(1987年までは「京浜」)を省略していたが、神奈川新町などを正式駅名表記とするようになった頃から省略しなくなった。
方向幕搭載車は、以前は黒地に白抜き文字の表示(さらにそれ以前は白地のローマ字無し)であったが、現在では白地のローマ字入り幕に交換が進んでいる[注釈 12]。かつては行先板を使用していた名残りから「新町(神奈川新町)」「文庫(金沢文庫)」など省略駅名を表示していたが、現在は羽田空港国内線ターミナル行を「羽田空港」と表示するのを唯一の例外として京急線内の駅についてはすべての車両が正式な駅名を表示するようになっている。
特殊な表示形態として以下のものがある。
- エアポート快特と快特を区別するため、エアポート快特には「快特」の文字の前に飛行機のマークを表示する(他社の車両も同様)。2012年10月21日からは、アクセス特急との統一と誤乗防止のため、橙色となる。京成線内から羽田空港国内線ターミナルへ向かうアクセス特急や快速、または京急線内のエアポート急行についても同様に「(飛行機マーク)アクセス特急」「(飛行機マーク)快速」「(飛行機マーク)急行」の表示を行う。ただし、「エアポート急行」の表示機能のない車両は「急行」の表示を行う。
- 一部の泉岳寺行上り列車は品川まで「品川方面泉岳寺」と表示する(搭載車に限る)。その場合は、品川駅到着前に「泉岳寺」単体表示に変更する。
- 「京急ウィング号」の種別表示「Wing」は横幅の広い行先表示箇所に表示され、行先が種別表示箇所に表示されるのが2000形の時からの京急ウィング号ならではの特徴であった。現在は新種別幕の追加および全車両共通幕化改造により、他の列車種別と同様に種別が種別幕に、行き先が方向幕に表示されるのみとなった。
- 京成線への直通列車では、駅名の「京成」を省略する(京成成田は「成田」と表示など)。
- 京成線への直通列車のうち、京成佐倉で成田空港行に接続する列車は京急線内で「成田空港方面 佐倉」と表示する。基本的に品川駅到着前に「佐倉」の単体表示になるが、稀に都営浅草線・京成線内でも表示することがある。
- 北総線への直通列車は品川まで「品川・日本橋方面 印西牧の原」もしくは「品川・日本橋方面 印旛日本医大」と2行に分けて乗り入れ先を強調した行先を表示する。なお、新1000形のLED車および1500形と600形(前面のみ)の前面は「品川方面 印西牧の原」もしくは「品川方面 印旛日本医大」と2行に分けて行先を強調した表示がなされ、側面は1行で同じように表示する。どちらも品川駅到着前に「印西牧の原」「印旛日本医大」の単体表示に変更する。
- 大師線で運用される列車は「京急川崎⇔小島新田」と表示する。ただし、京急川崎駅から折り返さない列車については「京急川崎」と表示する。
- Keikyu600 LtdExp for Misakiguchi(Black).JPG
600形の黒地方向幕(快特三崎口行)
- Keikyu1500 LtdExp for Imba-Nihon-idai.JPG
行先が2行表示された
1500形の白地方向幕(特急印旛日本医大行) - KeikyuNew1000 LtdExp for Misakiguchi(LED).JPG
新1000形のLED方向幕(快特三崎口行・旧仕様)
- KeikyuNew1000 LtdExp for Uraga(LED Japanese).JPG
新1000形のLED方向幕
(快特浦賀行・現行仕様・日本語表記) - KeikyuNew1000 LtdExp for Uraga(LED English).JPG
新1000形のLED方向幕
(快特浦賀行・現行仕様・英語表記) - Keikyu Airport Express.JPG
エアポート急行の種別・行先表示(エアポート急行羽田空港国内線ターミナル行)
- Keikyu600 Access express.JPG
600形
アクセス特急の方向幕(アクセス特急羽田空港国内線ターミナル行)
種別色
- エアポート快特…橙
- エアポート快特(旧表示)・快特…緑
- 特急…赤
- エアポート急行…青
- 普通…黒
型式呼称
形式呼称は、京成電鉄や東京都交通局および小田急電鉄と同様に「…系」ではなく「…形」を使用し、相互乗り入れを行う各事業者の車両と形式番号が重複しないように2000番台より若い数字を用いる(京成車は3000番台、都営車は5000番台、北総車は7000番台、千葉ニュータウン鉄道車は9000番台。なお、大東急時代は元京浜電鉄・湘南電鉄の車両に5000番台が振られていたが、京急の分離独立時に5000を引いて一斉に改番した)。また、京急では必ずしも編成を固定しておらず、1500形を中心に現在でも編成替えが多く行われていることから編成を表す「…F」(「編成」を意味する英単語Formationの頭文字)などの呼称は用いない。さらに、京急線内では車両形式と編成を表す記号も使用されており、一例を挙げると、2代目1000形の8両編成では「8V」などと呼称されている(出典:「京急ダイヤ100年史」)。
仕様
都営地下鉄線乗り入れ車両
都営地下鉄線に乗り入れる列車は、片側3扉で、貫通扉を備え、火災などの非常時に運転室正面から脱出可能な編成に限定される。現在、この条件を満たすのは1500形・600形・新1000形とその派生型である。なお2100形は、貫通扉を備え、非常時には、正面から避難できるつくりだが、片側3扉という直通規格を満たしていないため、京急・都営線共同利用の泉岳寺駅までの運用(A快特またはC特急が該当)となっている。800形は、品川駅以南の運用である。
先頭車両
先頭車両(制御車)は事業用車両クト1形が廃車された2010年度以降はすべて電動車となっており、他社局からの乗り入れ車両についても先頭台車は重量の重く安定している電動台車に限定している。これは国鉄三河島事故、鶴見事故以降、京急線内では脱線事故などの際に転覆事故へと被害を拡大させないこと、車輪とレールの半・導体膜が破壊され短絡感度が良くなり[33]、軌道回路の正確な検知を行うことで素早く確実な分岐器の転換・信号の開通・踏切の動作が求められているためである。過去には京成の3500形や旧3000系列(3200形・3300形)などの先頭付随台車(6M車)の車両(改造前に、主に夏季の海水浴や正月の初詣臨時列車で使用された)や、当時先頭車が電動車でなかった北総7000形(北総・公団線(現・北総線)の2期線開通直後の一時期)が例外的に入線した時期もあったが、現在は一切の例外を認めていない。
台車
ボルスタレス台車は走行安定性の観点から現在に至るまで採用されておらず[注釈 13]、ダイレクトマウント式のボルスタ(枕ばり)付き台車を採用している。軸箱支持装置についても800形でペデスタル式と600形で軸梁式が一旦採用されたものの、2100形以降は走行安定性確保から円筒案内式へと戻され、現在では新車で同方式を採用する日本国内唯一の事業者となっている。
その他
ドイツの電気機器メーカー「シーメンス」社製主制御器やノルウェー製座席、スウェーデン製座席カバーを使用するなど、諸外国の技術導入も積極的である。また、起動加速度は全車両で3.0 - 3.5km/h/s と高めに設定されている一方、直流モーターを使用する車両は弱め界磁制御の領域を広く取るなどして高速性能も確保している。
かつて運行していた週末座席指定特急では禁煙プレートに号車札を差し込み、灰皿を置いて喫煙可能にしていた名残で、現在の600形まで独特の形をしていた禁煙プレートを採用していた。しかし600形や1500形は更新・改造の際に2100形以降と同様のステッカー表示に変更されたため、現在この禁煙プレートは800形の大部分に残るのみとなっている。
首都圏近郊の会社としては珍しく(特に在京大手私鉄では唯一)、車内における日本語の次駅案内の自動放送を導入していない(いわゆる肉声放送)[注釈 14]。
現有車両
- 旅客用車両
- 事業用車両
- Keikyu 600 Series (Blue Sky Train).jpg
600形(3代)
- Keikyu 824-6.jpg
800形
- Keikyu 1000 series EMU (II) 045.JPG
1000形(2代)
- Keikyu 1000gata naritayugawa.JPG
1000形(2代)ステンレス車
- Keikyu 1000gata 1800bandai.jpg
1000形(2代)1800番台
- Keikyu 1731.jpg
1500形
- Hakkei bunko 001.jpg
2100形
過去の車両
京浜急行電鉄分離独立後に在籍した過去の車両は以下の通り。いずれも廃車時の形式。東急統合時と1965年、1966年に改番が実施され、製造時とは形式名が変更されている車両が多い。
- 旅客用車両
- 事業用車両
- Keikyu-de51.JPG
51形(140形)
- Keikyu268.JPG
230形
- Keikyu501 Hakkei 1986.JPG
500形
- Keikyu 616 kaitoku.jpg
600形(2代)
- KeikyuDaishi 04p5907sv.jpg
700形(2代)
- Keikyu1000-1st 1357.jpg
1000形(初代)
- Keikyu 2011 revival.jpg
2000形
開業期から京浜急行電鉄成立以前までに下記3形式の木造車両が在籍した。形式はいずれも製造時のもの。一部は京急分離独立後にも在籍していた。このほか、大師電気鉄道開業時から大正時代まで木造2軸電車が在籍していた。
廃車後の地方私鉄への譲渡先は、東京急行電鉄や西武鉄道と比べると多くないが、特筆すべき譲渡先としては高松琴平電気鉄道が挙げられ、木造車時代から平成に入って引退した車両まで、多くが譲渡されている。特に近年の琴平線と長尾線はほとんどが元京急車である。
設備
運転保安装置
運転保安装置は全線で乗り入れ先各線と共通の1号型ATSを採用していたが、2009年(平成21年)2月14日よりC-ATSに更新した。検車区は久里浜の車両管理区を中心に金沢検車区と新町検車区を加え計3か所を有する。
立体交差化事業
路線はかつての軌道線や地方鉄道に由来するため地上を走行する区間が多かったが、各地で立体交差化が進んでいる。近年は弘明寺 - 上大岡間の高架化や空港線の一部地下化、京急蒲田付近の高架化が行われた。特に京急蒲田駅周辺では第一京浜や環状八号線に跨るため慢性的な交通渋滞の要因となっていたことから、早急な高架化を実現するために大部分で直接高架工法を導入して連続立体交差事業が行われ[34][35]、2012年(平成24年)10月には事業区間全線が高架化[36]。2017年(平成29年)3月に事業全体が完了した[37]。
待避線
待避駅では列車衝突の防止および信号現示の効率化のため、待避線に安全側線を設けることを基本としている。これにより、待避列車に対しYY現示(警戒)でなくY現示(注意)で進入させることができ、また後続列車に対しても場内信号機にG現示(進行)を早く出すことができる[33]。
旅客案内施設
大規模な駅では発車時刻や行先などを表示する発車標のLED式表示装置、液晶式表示装置への更新も行われているが、依然主要駅でも反転フラップ式案内表示機が使われている駅もある。また品川駅、京急蒲田駅、羽田空港国際線ターミナル駅、羽田空港国内線ターミナル駅、横浜駅では外国人の利用客を意識して日本語、英語のみならず中国語、韓国語の表示ができるようになっている。
品川駅、京急蒲田駅、羽田空港国際線ターミナル駅、羽田空港国内線ターミナル駅、横浜駅などでは自動放送装置も導入されている。ドア数や車両数の違いや分割・併合の多さ、先着などの案内が複雑なため主要駅への自動放送装置導入には消極的だったが、詳細なアナウンスができるシステムが構築され、駅員によるアナウンスと遜色のない細やかな情報が提供されることが特徴である。
その他、接近する列車の種別が表示される簡易案内装置が多くの駅で導入されている。あくまで接近列車の種別を示すもので、JRのATOSのように次発列車の時刻・種別を案内するものではない。当初は機械式だったが、現在はLED式となっている。また、併せて列車接近自動放送(通過・停車別)が導入されている駅も多い。品川駅と京急蒲田駅では発着の多い羽田空港行の列車について羽田空港国内線ターミナル駅での出口案内も合わせて行う。
また、2008年(平成20年)11月18日より「京急駅メロディ大募集」として同年7月に一般公募により決定したご当地ソングが京急線内主要17駅(品川・青物横丁・立会川・平和島・京急蒲田・羽田空港(現在の羽田空港国内線ターミナル)・京急川崎・横浜・上大岡・金沢文庫・金沢八景・新逗子・横須賀中央・堀ノ内・浦賀・京急久里浜・三崎口)で、列車接近案内音(駅メロディ)として使用が開始されている(後に生麦・羽田空港国際線ターミナル・港町・井土ヶ谷・三浦海岸や、期間限定で梅屋敷・川崎大師でも採用された。それぞれの駅の採用曲は「発車メロディ#京浜急行電鉄」の項目を参照)。なお、ご当地ソングを鉄道事業者が採用している例はこれが初めてではなく、既に西日本鉄道で行っているが、西鉄では列車車内でのメロディでの採用に対して京急では駅の案内で使用している点が異なる。
ホームで駅員が監視業務をしていない駅では車掌がワイヤレスマイクを通じて駅ホームスピーカーを使い(一部の京成車は車外スピーカーで直接)、種別、行先、ドア閉めの告知をしており、笛や発車ブザーによる発車案内は主要駅を除き省略されている。通過待ちをする列車の乗務員はホームに立ち通過監視を行うのが慣習になっているほか、車掌による発車時のホーム監視は8両編成以下の場合乗務員室扉を開けて行っていたが(ホームドアのある羽田空港国際線ターミナル駅を除く)、近年は安全のため乗務員扉を閉め窓から監視するようになっている。また監視に集中することから、車掌と駅員の間での敬礼は行われない。
また、車両は羽田空港・浦賀・新逗子・三崎口寄りを1号車とし、品川寄りを大きい数字(12両編成の場合12号車、8両編成の場合8号車)としている。
駅務施設
自動券売機は現在すべてがタッチパネル式多機能券売機となっているが、PASMOの導入に合わせてPASMO対応への改造が行われた。一部には定期券発行機能(新規含む)が搭載され、利便性向上を図っている。2010年7月下旬から品川駅を皮切りに、自動券売機が順次更新されている。1994年(平成6年)4月1日には独自のストアードフェアシステムを導入し、対応するルトランカードの販売・利用が開始された。一方でパスネットの利用開始は機器更新が間に合わず、2000年(平成12年)10月14日のサービス開始時には導入せず2001年(平成13年)以降の予定としていたが、羽田空港駅(現・羽田空港国内線ターミナル駅)開業に伴う乗客増加に対応すべく、2000年12月20日に前倒しで導入した(ただし導入当時は対応自動改札機が限定されていた)。
その他の駅の設備
全駅にNTTBPの公衆無線LAN設備が設置されており、docomo Wi-Fi・フレッツスポットのサービスが利用できる。
また、UQコミュニケーションズの公衆無線LAN設備も設置されており、Wi2の公衆無線LANサービスも利用できる。
運賃
大人普通旅客運賃(小児半額・端数は1円単位で切り捨て)。2014年4月1日改定。
- 下表はICカードの運賃である。切符の運賃は10円単位で、10円未満は切り上げる(小児半額・端数は10円単位で切り上げ)。
キロ程 運賃(円) 初乗り3km 133 4 - 6 154 7 - 10 195 11 - 15 237 16 - 20 278 21 - 25 308 26 - 30 360 31 - 35 422 36 - 40 483 41 - 45 565 46 - 50 638 51 - 55 710 56 - 60 760 61 - 65 854 66 - 67 926
- 特定運賃
- JR線との競合のため、品川 - 横浜で298円(切符は300円)、品川 - 京急川崎、京急川崎 - 横浜で227円(切符は230円)の特定運賃を設定。
- これに伴い、品川 - 神奈川・仲木戸、北品川・新馬場 - 横浜などの区間でも特定運賃を適用。
- 加算運賃
- 羽田空港国際線ターミナル・羽田空港国内線ターミナル発着の運賃は170円を加算。
- 天空橋 - 羽田空港国内線ターミナル間内のみの利用は加算運賃なし。
- 京急蒲田・糀谷 - 羽田空港国際線ターミナルは294円(切符は300円)、大鳥居・穴守稲荷 - 羽田空港国際線ターミナルは283円(切符は290円)の特定運賃。
- 京急蒲田 - 羽田空港国内線ターミナルは335円(切符は340円)、糀谷・大鳥居・穴守稲荷 - 羽田空港国内線ターミナルは304円(切符は310円)の特定運賃。
- 加算運賃減額区間があるため、下に挙げる割引運賃適用区間以外への運賃は天空橋駅で乗車区間を分割した方が安くなる。
- 割引運賃
- 羽田空港国内線ターミナル - 都営線各駅、都営線経由で他社線までの運賃は、大人60円・小児30円の割引。
- 都営線を経由して東京メトロ線各駅との運賃は、都営線・東京メトロ線間の連絡特殊割引(大人70円)を適用[38]。
- 羽田空港国内線ターミナル - 京成線空港第2ビル・成田空港の運賃は、大人90円・小児50円の割引。京成本線経由、成田スカイアクセス線経由両方とも適用される。
- 品川 - 新馬場の各駅と泉岳寺を経由して都営浅草線大門 - 五反田、泉岳寺・三田を経由して都営三田線白金高輪 - 芝公園の各駅との運賃は、大人20円・小児10円の割引。
- 子安 - 日ノ出町の各駅(横浜を除く)とみなとみらい線新高島 - 馬車道の各駅との運賃は、大人20円・小児10円の割引。
このほかにも有人改札口で硬券による入場券および初乗り運賃の乗車券を発売していたが、2012年2月現在は京急線全線で硬券の発売は終了している。
東京モノレールと同様に、羽田空港への路線が就航している空港にも券売機が設置されており、羽田空港からの乗車券を購入することができる。2016年3月15日から、全日本空輸(ANA)が運営するANAマイレージクラブと連携し、全国17の空港に設置されている京急の券売機できっぷを買うとANAのマイルが貯まる「京急ANAのマイルきっぷ」の発売を開始した[39]。
割引乗車券
京急線は、沿線に三浦半島、横浜といった観光地や羽田空港を擁し、観光客を始めとする利用者に向けて様々な割引乗車券を発売している。
なお、ここでは単に「羽田空港駅」と記した場合、羽田空港国際線ターミナル駅と羽田空港国内線ターミナル駅両方が含まれる。
発売中の割引乗車券
- 三浦半島1DAYきっぷ/三浦半島2DAYきっぷ
- 京急本線金沢文庫駅 - 浦賀駅、逗子線・久里浜線全線および三浦半島エリアの京浜急行バス指定区間が乗降自由、三浦半島の各種施設の優待特典が付く。各々1日ないし2日間有効。以前は横須賀市内エリアをフリー区間に収めたものも発売していた。
- みさきまぐろきっぷ
- 京急線乗車駅 - 三崎口駅の往復乗車券と、三崎エリアの京浜急行バスが乗り降り自由、マグロ料理の食事券、レジャー施設利用券が付く。1日間有効で、乗車券は往復とも後戻りしない限り途中下車も可能である。なお、三浦国際マラソン当日は発売休止となる[注釈 16]。
- 東京1DAYきっぷ
- 京急線乗車駅 - 品川駅の往復乗車券と、フリー区間となる京急線泉岳寺駅 - 品川駅および東京都交通局(都営地下鉄・都営バス・都電さくらトラム・日暮里・舎人ライナー、即ち都営部分は都営まるごときっぷと同等の効力)が乗降自由。泉岳寺駅をのぞく京急線各駅で販売している。1日間有効。以前は「TOKYO探索きっぷ」の名称で発売していた。
- 横浜1DAYきっぷ
- 京急線横浜駅 - 上大岡駅および横浜市営地下鉄ブルーライン横浜駅 - 上大岡駅(ただし阪東橋 - 弘明寺では途中乗降不可)、みなとみらい線全線、横浜市営バス(横浜都心部の一部区間)が乗降自由。1日間有効。「みなとぶらりチケット」に京急線横浜駅 - 上大岡駅間とみなとみらい線を追加したものといっても良い。
- 弘明寺みうら湯きっぷ
- 乗車駅 - 弘明寺駅の往復乗車券と「みうら湯弘明寺店」の入場割引券。2日間有効。橋脚耐震工事による長期休業のため、2015年4月1日から1年間発売を停止していた。
- 東京湾フェリー往復きっぷ
- 京急線乗車駅 - 京急久里浜駅および京急久里浜駅 - 久里浜港の京急バスと、久里浜港 - 金谷港の東京湾フェリー往復乗車券。4日間有効。
- 京急羽田・ちか鉄共通パス[40]
- 京急線羽田空港駅 - 泉岳寺駅の片道乗車券と都営・東京地下鉄共通一日乗車券。羽田空港国内線ターミナル駅と羽田空港国際線ターミナル駅で発売。
- 東京トラベル1DAYパス/東京トラベル2DAYパス
- 京急線羽田空港駅 - 泉岳寺駅(品川駅でも乗降可能)の片道乗車券と都営地下鉄一日乗車券(ワンデーパスと同等の効力)。羽田空港国内線ターミナル駅と羽田空港国際線ターミナル駅で発売。
- 空の旅おでかけきっぷ
- 京急線羽田空港駅 - 押上駅または浅草駅経由 - 東武本線各駅(一部のぞく)の割引乗車券。1日間有効。羽田空港国内線ターミナル駅と羽田空港国際線ターミナル駅で発売。
- 羽得きっぷ
- 関東地区をのぞくJTBグループと近畿日本ツーリストグループの窓口(一部をのぞく)で発売。京急線羽田空港駅 - 泉岳寺または横浜駅の往復割引乗車券。9日間有効。
- 羽得2枚きっぷ
- 券売機を設置している空港で発売。また、航空会社との提携で品川駅・横浜駅・羽田空港駅でも発売されることがある。効力は10日間有効であること以外は上記の羽得きっぷと同じだがこちらは2枚1組となっているのでペア乗車券としても利用できる。京急線駅で購入する場合、往路品川/復路横浜という利用も可能。
- よこすか満喫きっぷ
- 『よこすかグルメきっぷ』の後継商品。京急線乗車駅 - 往復乗車券、フリー区間電車バス乗車券、選べる食事券(ヨコスカネイビーバーガーまたはよこすか海軍カレー)、施設利用券またはお土産引換券。当日限り有効。
- 葉山女子旅きっぷ
- 京急線乗車駅 - 新逗子駅までの往復乗車券、フリー区間電車バス乗車券、選べる逗子・葉山ごはん券、お土産引換券。「女子旅」と記載されているが、男性も購入できる。当日限り有効。
- 羽田京急きっぷ
- 日本各地の空港のリムジンバスの往復乗車券と、京急線往復乗車券がセットになったきっぷ。京急線内では羽田空港国内線ターミナル駅から品川(泉岳寺)または横浜までならどの駅でも利用可能。バスの乗車券、京急の乗車券とも2枚1組になっているのでペア乗車券としても使える。有効期限は10日。2013年8月現在、新千歳空港 - 札幌・室蘭、とかち帯広空港 - 帯広、秋田空港 - 秋田、富山空港 - 富山、小松空港 - 金沢、伊丹空港 - 大阪・京都・神戸、広島空港 - 広島、北九州空港 - 小倉・折尾、福岡空港 - 小倉・佐賀・久留米・荒尾・熊本・日田・由布院・別府・長崎・佐世保、長崎空港 - 長崎・ハウステンボス・佐世保、阿蘇くまもと空港 - 熊本、大分空港 - 別府・大分、鹿児島空港 - 鹿児島間のリムジンバスとのセット券が発売されている。
過去に発売されていた割引乗車券
- 平和島温泉クアハウスきっぷ
- 乗車駅 - 平和島駅の往復乗車券と「平和島温泉クアハウス」の入場割引券。2日間有効。2011年6月現在、発売終了。
- 記念艦三笠きっぷ
- テレビドラマ『坂の上の雲』の放送に合わせて発売されていた割引乗車券。2012年3月31日までの期間限定発売。京急線乗車駅 - 往復乗車券、フリー区間および記念艦「三笠」の入場引換券、Z旗のハンカチが付く。なお、中学生の場合は記念品がプレゼントされる。また、小人用の設定はない[注釈 17]。1日間有効。
- 大田江戸前きっぷ
- 京急線乗車駅 - 往復乗車券、フリー区間および江戸前食事券(指定された10店舗の中から1品選ぶ)、商店街おみやげ券 または レトロ喫茶券。当日限り有効。
- 京急&東京スカイツリー周辺散策フリーきっぷ
- 京急線乗車駅 - 都営浅草線浅草駅・押上駅の往復乗車券、東武伊勢崎線(東武スカイツリーライン)浅草駅 - 北千住駅間・押上駅 - 曳舟駅間・東武亀戸線全線のフリー区間の割引乗車券。1日間有効。2014年3月31日で販売終了[41]。
- よこすかグルメきっぷ
- 京急線乗車駅 - 往復乗車券、フリー区間電車バス乗車券および選べる食事券(ヨコスカネイビーバーガーまたはよこすか海軍カレー)。よこすか満喫きっぷの発売に伴い、発売終了。
広報
広報誌
- 京急のまちマガジン なぎさ(偶数月の1日発行)
- 京急線 普通電車の旅(Web版も公開 奇数月更新)
他社との相互旅客誘致
- 東武鉄道、近畿日本鉄道、京阪電気鉄道、南海電気鉄道、ならびに西日本鉄道などと共同で、空港アクセスPRなど相互の旅客誘致活動を推進している。
- 2012年には京急が西武鉄道の沿線を、西武が京急の沿線を互いにPRするラッピングを施した電車を半年間運行した[42]。
- 2018年の羽田空港国内線ターミナル駅開業20周年を記念して、2100形の塗装を模したラッピング車両が他事業者において運行されている。以下、運行開始順に記す。
キャラクター
- けいきゅう♪ドレミたん[50]
- 2009年頃に展開されたキャラクターである。電車を模した箱の中に「萌えキャラ」の女の子が制服姿で乗り、電車の運行業務を行う意匠となっている。愛称の「ドレミたん」は、2100形電車に採用されているドイツ・シーメンス社製GTOサイリスタ素子VVVFインバータ制御装置および主電動機から発する磁励音(通称「ドレミファインバーター」)に由来する。箱のデザインモデルとなる電車は、愛称の由来となった2100形のほか、600形 (KEIKYU BLUE SKYTRAIN) [51]や新1000形(ステンレス車)[52]のバージョンもあった。2009年3月、タイトーが販売するゲームソフト『鉄道ゼミナール -大手私鉄編-』のスピンオフとして公式サイトにアップデートされた「京急検定」に登場したのち、同年11月にリニューアルした公式モバイルサイトなどでも使用された。また、京急系列のホテルでは関連グッズを付属させた宿泊プランの販売も行われた[53]。
- けいきゅん[54][55]
- 2011年10月に羽田空港国際線ターミナル駅が開業1周年となったことを記念して作成されたキャラクターである。「開業1周年記念祭」の告知とあわせて愛称の公募が開始され、同年11月に結果発表し命名された。京急によると、同社の広報活動全般に展開するとしている。
協賛番組
- 過去
-
- クイズ・チェック!NOW(NETテレビ)→1970年代後半-1980年代前半平日夜の天気予報→1980年代後半平日夕方のローカル天気予報→おはようテレビ朝日など歴代のテレビ朝日平日朝ワイド内天気コーナー(テレビ朝日) - NTT東日本と入れ替えに降板。
- 京急ミュージック・トレイン(ラジオ関東→ラジオ日本)
- おしゃべりトマト(テレビ神奈川)‐ 番組内コーナー「京急情報ステーション」。沿線の情報と同社イメージガール(歴任者に武田雅子など)を起用し、沿線で撮影されたイメージビデオを放送。
- 新報道2001(フジテレビ) - 2018年3月25日を持って降板。なお、同番組の最終回は翌週4月1日だった。
空港線の羽田空港延長後は、地方からの羽田空港到着便利用者を対象として、京急沿線とつながりのない中国地方など遠隔地の放送局の番組に複数社提供社として名を連ねたり、スポットCMを出稿した例があり、過去に札幌テレビでは、ズームイン!!朝!の7時半以降のローカルセールス枠のスポンサー(複数社のうちの一つ)となったことがある。
その他
関連会社
- 参照: 京急グループ
京急本体やグループ各社と、グループ外企業と連携するオープンイノベーションを推進するため、ベンチャー企業への出資枠を新設した。初年度の2018年度は1億円[57][58]。
脚注
注釈
- ↑ 「京浜急行電鉄株式会社」の直訳。
- ↑ 同じく関東の大手私鉄東京急行電鉄(略称:東急)もかつて公式通称は「東京急行」だったが、現在は「東急電鉄」となっている。
- ↑ 京急蒲田、京急川崎、京急新子安、京急鶴見、京急富岡、京急田浦、京急大津、京急久里浜、京急長沢、京急安浦(現・県立大学)が該当。
- ↑ 東京都交通局の管理駅(都営地下鉄浅草線との共同使用駅)であるため。
- ↑ 2005年から2017年10月まで。その間、乗務員は登用試験の合格者が電鉄本体に転籍、教習を経て業務に就いていた。
- ↑ 『京浜電気鉄道株式会社沿革』にも本社ノ事業ノ一段落ヲ告ゲタルモノと記述『京浜電気鉄道株式会社沿革』
- ↑ 東邦電力系。現在の東京電力とは別。
- ↑ 割引用manaca、障がい者用nimoca、割引用はやかけんは相互利用対象外。
- ↑ 従来の誘導無線式列車無線(IR無線)との併用。
- ↑ CTCは久里浜線・大師線のみ導入。また、近接駅により遠隔操作される駅もある。
- ↑ 2014年に横浜金沢プロパティーズへ商号変更後、2016年に東京急行電鉄に吸収合併され解散した。
- ↑ 京阪電気鉄道の場合は逆に白地から黒地白抜き文字表示に変更している。
- ↑ ただし、京急線に他事業者のボルスタレス台車装備車が入線したことはあり、2013年11月から2014年1月にかけて同方式の台車を装備する東京都交通局E5000形電気機関車が終電後の深夜に京急ファインテック久里浜事業所まで自力走行で入線している。
- ↑ 注意喚起放送や英語の放送は存在し、車掌による放送と併用する形で使用されている。また、羽田空港国際線ターミナル・羽田空港国内線ターミナルの両駅に到着する際のみ日本語の自動放送もある。
- ↑ 1 - 9次車は、扉の上に液晶ディスプレイが設置されていないために、ダイヤ乱れ時の代走以外では乗り入れを行っていない。
- ↑ 三崎エリア全体の施設・店舗の混雑や交通規制に伴うバスの運行中断・経路変更などを考慮しての措置。
- ↑ 中学生以下は記念艦「三笠」の入場料が無料であるため。
- ↑ 2018年4月7日深夜(翌8日未明)の土曜深夜(日曜未明)から新規。
出典
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- ↑ 京急、沿線の空き家対策、独居高齢者宅を将来転貸『日本経済新聞』朝刊2017年10月12日(東京面)
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- ↑ 『京浜電気鉄道株式会社沿革』(国立国会図書館デジタルコレクション)
- ↑ 「黎明期の京浜電車」寺島京一、鉄道ファン1967年1月・67号
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参考文献
- 『京浜急行八十年史』 京浜急行電鉄 社史編集班 編、京浜急行電鉄、1980年3月15日。
- 『京浜急行百年史』 京浜急行電鉄 編、京浜急行電鉄、1999年3月。
- 『京浜電気鉄道沿革史』 京浜急行電鉄 編、京浜急行電鉄、1949年5月。
関連項目
外部リンク
- テンプレート:芙蓉グループ