国道254号
国道254号(こくどう254ごう)は、東京都文京区から埼玉県・群馬県を経由し、長野県松本市へ至る一般国道である。
Contents
概要
東京都心と埼玉県西部を結ぶ道路という事もあり、渋滞が激しいこの道は古くから川越街道 - 児玉街道 - 信州街道 - 富岡街道として「江戸道」「川越道」などとも呼ばれた。中山道より行程距離も短く、通行者も多かったため、五街道に準ずる脇往還の1つであった。大名などが多く利用する五街道とは違い、役人や女性が多く利用していた事から群馬県下仁田町のように「姫街道」と呼んでいる地域もある[1]。長野県の一部区間は中山道となっている。
東京都文京区の国道254号起点から群馬県藤岡市まで国道17号・関越自動車道にほぼ並行しており、藤岡市から長野県佐久市までの間では上信越自動車道にほぼ並行している。
山手線内側では春日通り、山手線外側や埼玉県では川越街道、群馬県内では信州街道などと呼ばれている。
路線データ
- 起点:東京都文京区(本郷三丁目交差点 = 国道17号交点)
- 終点:長野県松本市(平瀬口交差点 = 国道19号、国道147号交点)
- 総延長 : 282.4 km(群馬県 76.3 km、埼玉県 111.2 km、東京都 15.2 km、長野県 79.7 km)重用延長を含む[2][注釈 1]
- 重用延長 : 26.7 km(群馬県 - km、埼玉県 5.6 km、東京都 - km、長野県 21.1 km)[2][注釈 1]
- 未供用延長 : なし[2][注釈 1]
- 実延長 : 255.7 km(群馬県 76.3 km、埼玉県 105.6 km、東京都 15.2 km、長野県 58.6 km)[2][注釈 1]
- 指定区間:東京都内の区間及び国道16号との重複区間
歴史
群馬県甘楽郡下仁田町南野牧から長野県佐久市に至る内山峠の箇所の旧道は急勾配で道幅も狭く、九十九折であったことも相まって、転落事故も多かった[3]。しかし、旧道時代においても長野県へと抜ける道路として普通車をはじめ、大型トラックなどが利用していた。しかし、1978年(昭和53年)に県境の内山トンネルが開通し、その後1989年(平成元年)に内山道路(現道)が全線開通したため、その利便性が大幅に改善され、ほとんどの車両はそちらを利用するようになり、同時に交通量も(特に貨物トラックの通行は新道開通以前とは比べものにならないほど)増大した。
年表
- 1963年(昭和38年)4月1日:二級国道東京小諸線(東京都文京区 - 長野県佐久市 - 長野県小諸市)として指定。佐久市 - 小諸市は国道141号と重複。
- 1965年(昭和40年)4月1日:一般国道254号となる。
- 1970年(昭和45年)4月1日:長野県佐久市 - 長野県松本市の区間(主要地方道松本佐久線)を編入し、総区間は東京都文京区 - 長野県松本市となる。
- 1971年(昭和46年)12月20日:一般国道254号東京川越道路として練馬IC - 川越ICが開通。
- 1973年(昭和48年)4月1日:東京川越道路が高速自動車国道の関越自動車道に編入される。
- 1976年(昭和51年)10月31日:長野県上田市 - 松本市間の三才山トンネル有料道路供用開始。
- 1977年(昭和52年):埼玉県東松山市 - 比企郡嵐山町間の嵐山バイパス全通。
- 1978年(昭和53年):群馬県甘楽郡下仁田町 - 長野県佐久市県境部の内山隧道開通。
- 1981年(昭和56年)8月1日:富士見川越有料道路全通。
- 1986年(昭和61年):埼玉県比企郡川島町 - 東松山市間の川島バイパス全通。
- 1989年(平成元年)8月9日:群馬県甘楽郡下仁田町 - 長野県佐久市間の内山道路全通。
- 1991年(平成3年):埼玉県比企郡小川町の小川バイパス全通。
- 1994年(平成6年)12月15日:長野県松本市の松本トンネル有料道路供用開始。
- 1997年(平成9年):埼玉県東松山市の東松山バイパス全通。
- 2000年(平成12年):群馬県甘楽郡甘楽町 - 富岡市間の富岡バイパス全通。
- 2005年(平成17年)12月22日:長野県佐久市内の平賀バイパスが全通。
- 2007年(平成19年)3月25日:東松山市内の旧道区間指定解除。
- 2009年(平成21年)8月1日:富士見川越有料道路無料開放。
- 2011年(平成23年)9月13日:埼玉県児玉郡美里町の猪俣バイパス開通
- 2021年:三才山トンネル有料道路・松本トンネル有料道路無料開放(予定)。
高速自動車国道に編入された区間
路線状況
200 kmを越える長大な路線のなかには、東京都心の春日通りなどに見られる大通りから、山間部のセンターラインの無い狭い道路まであり、また、三才山を貫く長大なトンネルも施設されているなど、道路の状況は変化に富む[6]。 長野県内において国道142号と重複している区間があるが、その先の北佐久郡立科町宇山からの単独区間は近辺集落を通過している他、途中センターラインもなくなる。それでも、普通車以外に大型車もこの道を利用することがあり注意が必要である。なお、このボトルネック改善のため、同区間においては代替のバイパス道路を建設中である。
通称
- 春日通り(東京都文京区 本郷三丁目交差点 - 豊島区 池袋六ツ又交差点)[7][8]。
- 川越街道(東京都豊島区 池袋六ツ又交差点 - 埼玉県川越市 新宿町(北)交差点)[7][8][9]
- 川越・児玉往還(江戸道、川越道)
- 信州街道
- 富岡街道
- 西上州やまびこ街道(群馬県西部区間)
- コスモス街道(内山峠 - 長野県佐久市中込)
- 松本街道
- 中山道
バイパス
- 和光富士見バイパス - 一部開通(東京外環自動車道から約2.6km)
- 新座バイパス
- 浦和所沢バイパス(国道463号本線との重複区間)
- 富士見川越バイパス
- 川越バイパス
- 川島バイパス
- 東松山バイパス
- 唐子バイパス
- 嵐山バイパス
- 小川バイパス
- 猪俣バイパス
- 児玉バイパス
- 藤岡バイパス
- 甘楽吉井バイパス - 建設中
- 富岡バイパス
- 下仁田バイパス
- 平賀バイパス
- 宇山バイパス
※「浦和所沢バイパス」という名称はかつて存在した埼玉県道2号浦和所沢線のバイパスを意味するもので、同バイパスのうち当国道のバイパスでもある区間は新座市の英ICから富士見市の下南畑交差点までで、当国道は浦和地区や所沢市は通っていない。
重複区間
- 国道463号(新座市中野 - 富士見市下南畑)
- 国道16号(川越市新宿町 - 川越市大仙波)
- 国道140号(大里郡寄居町桜沢)
- 国道462号(本庄市児玉町児玉 - 本庄市児玉町八幡山)
- 国道142号(佐久市・跡部交差点 - 北佐久郡立科町宇山)
- 国道152号(小県郡長和町古町 - 上田市腰越)
有料道路
- 三才山トンネル有料道路(長野県)
- 松本トンネル有料道路(長野県)
道の駅
地理
通過する自治体
- 東京都
- 埼玉県
- 群馬県
- 長野県
交差する道路
- 東京都
- 国道17号(本郷通り)・東京都道453号本郷亀戸線(春日通り)(文京区・本郷三丁目交差点)
- 東京都道301号白山祝田田町線(白山通り)(文京区・春日町交差点)
- 明治通り(東京都道305号芝新宿王子線)(豊島区・六又陸橋交差点)
- 首都高速5号池袋線北池袋出入口 - (豊島区・板橋区境付近)
- 山手通り(東京都道317号環状六号線)(板橋区・熊野町交差点)
- 環七通り(東京都道318号環状七号線)(板橋区・板橋中央陸橋)
- 環八通り(東京都道311号環状八号線)(練馬区・練馬北町陸橋)
- 国道17号(新大宮バイパス、練馬区)
- 埼玉県
- 群馬県
- 上信越自動車道 - (甘楽郡下仁田町)
- 長野県
並行する鉄道路線
明治期には、東京から群馬県渋川市を経て、新潟県長岡市までの鉄道路線として計画された東上鉄道(現在の東武東上線)の当時の敷設計画ルートも、群馬県藤岡市までほぼこの道に並行している。
脚注
注釈
出典
- ↑ 静かに時を刻む宿場町 、群馬県、2007年10月26日。
- ↑ 2.0 2.1 2.2 2.3 2.4 2.5 2.6 “表26 一般国道の路線別、都道府県別道路現況 (PDF)”. 道路統計年報2016. 国土交通省道路局. p. 14. . 2017閲覧.
- ↑ 現在でも「転落事故多し」の看板が旧道のあちこちに残っている。
- ↑ 佐藤健太郎 2014, p. 46.
- ↑ 浅井建爾 2015, pp. 91–92.
- ↑ 佐藤健太郎 2014, p. 110.
- ↑ 7.0 7.1 東京都通称道路名一覧表 東京都建設局
- ↑ 8.0 8.1 東京都通称道路名地図(区部拡大版) 東京都建設局
- ↑ 和光市民なら知っておきたい川越街道の真実 和光市
参考文献
- 浅井建爾 『日本の道路がわかる辞典』 日本実業出版社、2015-10-10、初版。ISBN 978-4-534-05318-3。
- 佐藤健太郎 『ふしぎな国道』 講談社〈講談社現代新書〉、2014年。ISBN 978-4-06-288282-8。