非核兵器地帯
非核兵器地帯(ひかくへいきちたい、英語: Nuclear Weapon Free Zone、NWFZ)は、核兵器を条約により禁止した地域である。
単に非核地帯(ひかくちたい、英語: Nuclear Free Zone、NFZ)と呼ぶ場合も多いが、より正確には「非核地帯」とは核兵器だけでなく、平和的核爆発や原子力発電所なども禁止した地域である。
Contents
概要
非核兵器地帯の条約は、該当地域の各国による核兵器の使用(開発、核実験、保有、配備、実際の使用など)の禁止だけではなく、付随する議定書によって、核保有国が非核地帯への核兵器による攻撃や攻撃の威嚇を禁止する内容も含む。こちらは核保有国の条約参加(署名および批准)が必要であり、必ずしもすべての核保有国が参加しているわけではない。この意味では「消極的な安全の保証」(注:保障ではない)と表現される。
例えば、南太平洋地域の非核兵器化を定めたラロトンガ条約では、1996年になってイギリス・フランスが署名したが、直前の1995年にはフランスが南太平洋地域で核実験を行っている。また2009年11月現在でもアメリカはラロトンガ条約を批准していない。
東南アジア地域の非核兵器化を定めたバンコク条約では核保有国である5大国の署名が行われていない。ここから、非核兵器化を進めている地域の中でもその進行度の違い、また核保有国の中でも非核兵器化に積極的な国と消極的な国をある程度うかがい知ることができる。また、これらの条約には放射性廃棄物の排出禁止の規程が含まれることが多い。
各地帯をまたがった動きでは、2005年4月26日、メキシコで初の非核兵器地帯条約加盟国・署名国会議が開催され、中南米、アフリカ、東南アジア、南太平洋の4つの非核兵器地帯に属する90ヶ国以上が参加した。
各地域の条約署名・批准の動向
2009年現在までに非核兵器化を進めている地域には、海底・宇宙の他に以下がある。詳細は各条約の項目を参照。なお文中の「5大国」とは、核拡散防止条約(NPT)により核兵器保有が国際的に認められている5カ国 (アメリカ、ロシア(旧ソ連)、イギリス、フランス、中国)である。
南極
中南米
- ラテンアメリカ及びカリブ核兵器禁止条約(トラテロルコ条約)
南太平洋
- 南太平洋非核地帯条約(ラロトンガ条約)
東南アジア
- 東南アジア非核兵器地帯条約(バンコク条約)
アフリカ
- アフリカ非核兵器地帯条約(ペリンダバ条約)
中央アジア
- 中央アジア非核兵器地帯条約(セメイ条約)
モンゴル
旧東ドイツ
ウクライナ
非核兵器化されていない地域
非核兵器化されていない地域は、核兵器の開発・保有国、核兵器を配備している国、潜在的核開発国または核開発に関心を持っている国、核兵器搭載艦船・軍用機の立ち寄る国、核保有国の安全保障条約や集団的自衛権(核の傘もこれに含まれると看做される)の下にある国など、いくつかに分かれる。
北米、ヨーロッパ、ロシア、東アジア(中国、朝鮮半島、日本など)、南アジア、中東など、つまり北半球の大半の地域は非核化されていない。北極も戦略原子力潜水艦が活動した戦略上重要な地域だったため、非核化されていない。
東アジア
- 1991年12月、大韓民国と朝鮮民主主義人民共和国が署名。1992年2月、批准書交換。
- 朝鮮半島における核兵器の実験、生産、保有、配備、使用の禁止。原子力の平和利用は認めるが、ウラン濃縮とプルトニウム再処理の禁止と相互査察の実施を含むという内容であった。
南アジア
- 非核兵器地帯の提案
中東
- 中東非核兵器地帯の提案
東欧
冷戦終了後、NATOの東方拡大までの間、非核兵器地帯化が模索された。
脚注
外部リンク