乗り物
乗り物(のりもの、英: vehicle)とは、人を乗せて移動するもの[1]。馬車、籠、汽車、電車、自動車、船、飛行機、人力車 等々の総称[1]。語としては「乗り物」で交通機関を指すことも[2]。
英語の「vehicle ヴィーィクル」の語源は、フランス語の「véhicule ヴェイキュール」が17世紀に英語に入ったものであり、さらにその語源はラテン語の「vehiculum ウェヒクルム」であり、これは「vehere ウェヘレ」(「運ぶ」)という動詞の派生語である[3]。ドイツ語の「ファールツォイク」(Fahrzeug)でも総称であるが、生物[4]を含まない、道具としての「乗り物」を指す。なお vehicle は、さらにはヒトが乗れないため「乗り物」ではない無人機(en:Uncrewed vehicle)を含む移動する機器類一般(の、どれか)を、指す場合もある。
「輸送機器」「輸送(用)機械」などといった類義語もあるが、これらの語はしばしば、ヒトの移動を目的とする[5]「乗り物」よりもむしろ貨物が移動することに焦点があてられている。
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乗り物の特性と選択
乗り物ごとに特性が異なり、用途によって適した乗り物が異なる。
- 迅速性…いかに早く目的地まで人が移動できるか
これは移動する場所による。 大都会の街中で移動するならば、自転車やオートバイが短い時間で移動できる。 郊外の空いた道路で数十km先まで移動するなら自動車やオートバイである。
数百km先まで移動するならば、一般的には、列車、特に高速鉄道が早い。
旅客機は(一応、一般論として言えば)速度は最も速い部類である[6]。だが、旅客機は搭乗前の手続きに時間がかかりすぎることがしばしば指摘されており、300km~400km程度では高速鉄道とほぼ同等になる場合も多い。数千km なら旅客機が早く着く。
道路が無い海を越えるなら船が用いられるが、迅速に移動したい場合、水中翼船、TSLなどが選ばれることがある。
- 定時性…いかに安定した時間で、人が移動できるか
- 定時性に優れた乗り物として鉄道が挙げられ、とりわけ地下鉄は特に定時性に優れた乗り物として挙げられる。航空機や船のように天候に左右されることも少なく、自動車のように交通状況に左右されることも少ないからである。もっとも、鉄道以外のこれらの交通機関でも、企業努力などの結果優れた定時性を示すものもある[7]。
- 大量性…いかに多くの人や物を目的地まで運べるか
- 大量性に優れた乗り物としては、船が挙げられる。また、旅客に対しては、鉄道は大量性に優れた乗り物といえる。
- コスト…人や物を運ぶコストの低さ
- 乗り物を所有するか、定期便契約を結ぶか、それとも臨時の一乗客として利用するか 等々よって大きくことなる。所有する場合は、比較的大きな固定費(乗り物の購入費用、置いておく場所(駐車場、停泊場など)の費用、定期的な整備費用、保険費)および変動費(移動する量などに応じた燃料費など)がかかる。乗客として利用する場合は、距離、路線などによって定められた運賃を支払うだけで済む。自動車で、かつ移動の頻度が少ない場合は、タクシー・カーシェアリング・レンタカーなどが安く済み、連日のように自動車で移動することを数ヶ月程度以上続ける場合ば中古車を購入して自力で運転するほうが安く済むようになる。
- 船舶は、島と本土を移動する場合では、便(路線)が限られ、コスト比較できるものがない場合も多い。数百キロ以上の移動では鉄道と運賃が拮抗・競合することも多い。
なお所有に関しては、小型のカヌー等はともかくとして、中規模以上は一般論としては、かなりのコストがかかる、とされている。だが、一年~数年ほどかけて世界一周をするには、大型豪華客船の乗客として移動し続けるよりも、小型のセーリングクルーザーを安価に手に入れ自力で操船するほうが、かえって安あがりで済む場合もある。
鉄道(システム)は(産業用モノレール等を除き一般人が所有することはほぼ不可能なくらいコストがかかり、一般に所有することは検討されず)、通常の速度の鉄道を一乗客として利用すると鉄道の運賃は、最も安価な部類に属する。
なお、自転車で行ける距離・経路ならば、自転車がもっともコストがかからないので、人々から広く選ばれている。
- 安全性…いかに安全に、人や物を目的地まで運べるか
- 事故発生率の低さでは航空機が一番安全といわれている[8][9]。航空機以外では日本の新幹線が安全性を売りとしている[10](新幹線の車両事故に起因する死亡はゼロである)。
- 快適性…いかに快適に移動できるか
- 乗り物のどの座席に座るかにもよるので、一般論は困難である。一般に、座席の狭い乗り物、空調の悪い乗り物、騒音のはげしい乗り物などは快適ではないと指摘されることが多い。高速バスに比べて新幹線のほうが快適だと指摘されることは多い。
- 低公害性
- 排出ガスを出さないという点から鉄道が評価されているが、動力源の産生場所(発電所)などの環境負荷を考慮すると、明確に結論を出しがたい。
利用空間における分類
陸上
水上
水中
空中
宇宙
遊具
動力源における分類
電動式の乗り物の分類
- 電動輸送機器(electric vehicle; EV)
電動式の自動車の分類
- 電気自動車(electric car / electric automobile)
- バッテリー式電気自動車(battery electric car / battery electric automobile)
- 水素自動車(hydrogen car / hydrogen automobile)
- 燃料電池自動車(fuel cell car / fuel cell automobile)
脚注
- ↑ 1.0 1.1 大辞泉「乗り物」
- ↑ 広辞苑第六版
- ↑ Oxford Dictionaries, 「vehicle」
- ↑ 乗用馬などのこと。
- ↑ 「乗り物」という語では、旅客用ではない、ヒトは乗組員しかいないヴィークルも含むことが多いが、輸送機器・機械という語はもっぱらヒトが乗組まないものを指すことが多い。
- ↑ “旅客機の中を探検しよう│空ののりもの│みんなののりもの”. 一般財団法人運輸振興協会. . 2013閲覧.
- ↑ “JAL - 定時運航への取り組み|日本の品質で最良のひとときを”. 日本航空. . 2013閲覧.
- ↑ “数字に見る航空機事故の確率”. All About. . 2013閲覧.
- ↑ “日本の災害による死者数”. 西日本旅客鉄道労働組合. . 2013閲覧.
- ↑ “車両のご案内|JR東海”. 東海旅客鉄道. . 2013閲覧.