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トラ

トラ
トラ
トラ Panthera tigris
保全状況評価[1][2]
ENDANGERED
(IUCN Red List Ver.3.1 (2001))
ファイル:Status iucn3.1 EN.svgワシントン条約附属書I
分類
: 動物界 Animalia
: 脊索動物門 Chordata
亜門 : 脊椎動物亜門 Vertebrata
: 哺乳綱 Mammalia
: 食肉目 Carnivora
: ネコ科 Felidae
: ヒョウ属 Panthera
: トラ P. tigris
学名
Panthera tigris (Linnaeus, 1758)[3][4][5]
シノニム

Felis tigris Linnaeus, 1758[3]

和名
トラ[6][7]
英名
Tiger[3]
分布域
橙:1900年、赤:1990年

トラ(虎、Panthera tigris)は、食肉目ネコ科ヒョウ属に分類される食肉類。

分布

インドインドネシアスマトラ島)、タイ王国中華人民共和国雲南省吉林省黒竜江省チベット自治区)、ネパールバングラデシュブータンマレーシアマレー半島)、ミャンマーラオスロシア東部[2]

カンボジア、中華人民共和国の一部(広東省、江西省、湖南省、浙江省、陝西省、福建省)、朝鮮民主主義人民共和国ベトナムでは絶滅したと考えられている[2]アフガニスタンイラン、インドネシア(ジャワ島バリ島)、ウズベキスタンカザフスタンキルギスシンガポール、中華人民共和国の一部(上海市、重慶市、天津市、北京市、安徽省、河北省、河南省、貴州省、江蘇省、湖北省、山西省、山東省、四川省、遼寧省、広西チワン族自治区、新疆ウイグル自治区)、トルクメニスタントルコパキスタンでは絶滅[2]

模式標本の産地(模式産地)はアジアとされていたが、後にベンガルとされている[5]

形態

体長140 - 280センチメートル[4]。尾長95 - 119センチメートル[4]。メスよりもオスの方が大型になる[4]。腹部の皮膚は弛んで襞状になる[4]。背面は黄色や黄褐色で、黒い横縞が入る[4]。縞模様は藪などでは周囲に溶けこみ輪郭を不明瞭にし、獲物に気付かれずに忍び寄ったり待ち伏せることに適している[6]。腹面や四肢内側は白い[4]。黒化個体の発見例はないが、インドでは白化個体の発見例がある[4]

鼻面は太くて短く、顎の力が強い[6]。前肢の筋肉は発達し[7]、後肢は前肢よりも長い[6]。これにより前肢は長い爪も含め獲物を押さえつけることに、後肢は跳躍に適している[6]

出産直後の幼獣は体長31.5センチメートル - 40センチメートル、尾長13 - 16センチメートル[3]。体重780 - 1,600グラム[3][7]。縞模様はあるが、体色は成獣よりも明色[3]

白化型(ホワイトタイガー)

ファイル:Singapore Zoo Tigers.jpg
ホワイトタイガー

ホワイトタイガーEnglish版とはインドに生息するベンガルトラの白変種で、アルビノとは異なる白化型であり、正式名は「ベンガルトラ白変種」という[8]。ホワイトタイガーは、普通のトラでは黄色になる部分の毛が白色もしくはクリーム色で、黒い縞模様の部分も色が薄い。縞模様は個体によっては茶色だったり、または縞がないかあっても極めて薄いスノーホワイトと呼ばれるパターンもある。虹彩の色は青である。白化型の遺伝にはメンデルの法則が当てはまるとされる。かつてはインド北部や中東部に数頭いたといわれるが、トラ全体の数が減ってしまった現在では全世界でも250頭あまり、国内には30頭ほどしかいない希少種で、飼育下でしか目にすることができない[8]

アムールトラの白化個体に関しても目撃情報はあるが、確かな記録はない[9]

ホワイトタイガーはインドでは神聖なものとされ、中国及び日本でも白虎として崇められた。また近年ではサーカスの目玉として脚光を浴びる事もある。現在、日本では各地の動物園サファリパークなどで20頭前後が飼育されている[10]

上記以外の体色も目撃された例がある[11]

分類

以下の分類・和名は小原(2000)に従う[12]

Panthera tigris tigris (Linnaeus, 1758) ベンガルトラ Bengal tiger
インド、ネパール、バングラデシュ、ブータン[2]
全長オス270 - 310センチメートル、メス240 - 265センチメートル[3][7]。体重オス180 - 258キログラム、メス110 - 160キログラム[3][7]。体毛は短い[7]。背面の毛衣はオレンジや赤褐色。頬、耳介の内側は白い体毛で被われる[7]。縞は少なく、肩部や胸部に縞のない個体もいる[7]
Panthera tigris altaica Temminck, 1844 アムールトラ、ウスリートラ、シベリアトラ、チョウセントラ、マンシュウトラ Siberian tiger[12]
ロシア(ウスリー東部)[4][12]。以前はバイカル湖からサハリンにかけて分布しているとされたが、サハリンの個体は一時的に移動してきただけと考えられている[12]
全長オス270 - 370センチメートル、メス240 - 275センチメートル[3][7][12]。体重オス180 - 306キログラム、メス100 - 167キログラム[3][7][12]。最大亜種[6]。体毛は長く、密生する[7]。腹面は脇腹も含めて白い[6]。尾は白と黒の体毛で被われる[6]
Panthera tigris amoyensis Hilzheimer, 1905 アモイトラ South China tiger
中華人民共和国南部(広東省、江西省、湖南省、福建省)に分布していたが、野生下では絶滅したと考えられている[2]
全長オス230 - 265センチメートル、メス220 - 240センチメートル[3][7]。体重オス130 - 175キログラム、メス100 - 115キログラム[3][7]。腹面の明色部は脇腹に達しない[6]。縞は太くて短く、数も少なく間隔が大きい[7]
Panthera tigris balica Schwartz, 1912 バリトラ Bali tiger (絶滅亜種)
インドネシア(バリ島[4]
オス全長220 - 230センチメートル、メス全長190 - 210センチメートル[3][7]。体重オス90 - 100キログラム、メス65 - 80キログラム[3][7]。最小亜種[6]
頭骨の比較や分子系統解析では現生の亜種スマトラトラと同一もしくは重複するとされる[13]
Panthera tigris corbetti Mazak, 1968 インドシナトラ、マレートラ 
カンボジアタイ、中華人民共和国南西部、ベトナムマレーシアマレー半島)、ミャンマーラオス[2][4]。カンボジアとベトナムでは近年繁殖が確認されていない[2]。ベトナムでは1997年に行われたカメラトラップによる撮影でも確認できず、カンボジアでは大規模な調査活動が行われたが2005年以降はごくわずかな報告例しかない[2]
全長オス255 - 285センチメートル、メス230 - 255センチメートル[3][7]。体重オス150 - 195キログラム、メス100 - 130キログラム[3][7]。背面の毛衣は赤褐色がかかる[7]。縞は細くて短く、数が多い[7]
ミトコンドリアDNAの分子系統解析から亜種インドシナトラのマレー半島個体群を亜種P. t. jacksoniとして分割する説が提唱されたが、詳細な記述がなく無効名とされる[13]
Panthera tigris sondaica Temminck, 1844 ジャワトラ Java tiger(絶滅亜種)
インドネシア(ジャワ島)[4]
オス全長248センチメートル[3][7]。体重オス100 - 141キログラム、メス75 - 115キログラム[3][7]
頭骨の比較や分子系統解析では現生の亜種スマトラトラと同一もしくは重複するとされる[13]
Panthera tigris sumatrae Pocock, 1929 スマトラトラ Sumatran tiger
インドネシア(スマトラ島)[4][14]
全長オス220 - 255センチメートル、メス215 - 230センチメートル[3][7][14]。体重オス100 - 140キログラム、メス75 - 110キログラム[3][7][14]。背面の毛衣は赤褐色。側頭部の体毛が長いが[14]、頸部の鬣は短い[6]。縞は太い[14]
Panthera tigris virgata (Illiger, 1815) カスピトラ Caspian tiger(絶滅亜種)
トルコから中華人民共和国(新疆ウイグル自治区)、イランにかけて[2]
全長オス270 - 295センチメートル、メス240 - 260センチメートル[3][7]。体重オス170 - 240キログラム、メス85 - 135キログラム[7]
毛皮の分子系統解析では亜種シベリアトラに極めて近縁とする解析結果もある[2][13]

2015年に頭骨の比較や分子系統解析の結果から、亜種間の頭骨の測定値が重複すること・常染色体やX染色体・Y染色体などに差異がないこと・ミトコンドリアDNAの分子系統解析で大きく2系統に分かれるがそれ以外の差異は小さいことなどから、本種をユーラシア大陸産とスンダ列島産の2亜種のみとする説が提唱された[13]。以下の分類・分布・形態はIUCN SSC Cat Specialist Group(2017)に従う[15]

Panthera tigris tigris (Linnaeus, 1758)
ユーラシア大陸(インド、中華人民共和国、ネパール、パキスタン、ブータン、ロシア、インドシナ半島、マレー半島)
大型亜種。体色は淡色で、横縞が少ない。
亜種アモイトラ、亜種インドドナトラ、亜種カスピトラ、亜種シベリアトラはシノニムとされる。
Panthera tigris sondaica Temminck, 1844
スマトラ島。ジャワ島、バリ島では絶滅
小型亜種。体色は暗色で、横縞が多い。
亜種スマトラトラ、亜種バリトラはシノニムとされる。

生態

熱帯雨林や落葉樹林・針葉樹林・乾燥林・マングローブの湿原など様々な環境に生息する[6]。木に登った例もあるが[4][7]、通常は木に登らない[3]夜行性だが[4]、主に薄明薄暮時に活動し昼間に活動することもある[7]。群れは形成せず、繁殖期以外は単独で生活する[4][6]。行動圏は獲物の量などで変動がある[7]。平均的にオスは数十平方キロメートル、メスは20平方キロメートルの行動圏内で生活し、雌雄の行動圏は重複する[7]。縄張りの中を頻繁に徘徊し、糞や爪跡を残す、肛門の臭腺からの分泌物を含む尿を木や岩・茂みに撒くなどして縄張りを主張する[6]。温暖な地域に生息する個体は避暑のため水に浸かる[4][6]。泳ぎも上手く[3]、泳いで獲物を追跡することもある[7]。河川を6 - 8キロメートル渡ることもあり、まれに29キロメートルを泳ぐこともある[3]。8 - 10メートルを跳躍することもあるが、通常は5 - 6メートル以下[3]

食性は動物食で、主に哺乳類を食べる[3]。 具体的にはイノシシCervus canadensisアクシスジカサンバーニホンジカ・ノロ類・バラシンガジカヘラジカホッグジカAxis porcinusなどのシカ類、シベリアジャコウジカMoschus moschiferusアジアスイギュウガウルニルガイバンテンブラックバックなどのウシ類などを食べる[3]ツキノワグマナマケグマヒグマヒョウなどの他の肉食獣も捕食する[3]。 大型の獲物がない時はヤマアラシ類などの齧歯類、キジ科などの鳥類カメ類・ワニ、カエル魚類などの小型の獲物も食べる[3]。 まれにアジアゾウインドサイの幼獣、マレーバクを襲うこともある[3]。家畜や人間を襲うこともある[6]。 1日あたり平均6 - 7キログラムの肉を食べるが、一晩で25キログラムの肉を食べることもある[4]。獲物を待ち伏せることもあるが、主に一晩あたり10 - 20キロメートルを徘徊し獲物を探す[6]。獲物を発見すると茂みなどに身を隠し近距離まで忍び寄り、獲物に向かって跳躍して接近する[4][6]。主に獲物の側面や後面から前肢で獲物を倒し、噛みついて仕留める[6]。狩りの成功率は低く10 - 20回に1回成功する程度[6]。獲物は茂みの中などに運び、大型の獲物であれば数日に何回にも分けて食べる[4][6]

繁殖様式は胎生。繁殖期は地域によっても異なりインドの個体群は雨期が明けると交尾し、主に2 - 5月に繁殖する[7]。発情期間は数日だが、約2日間に100回以上の交尾を行う[6]。妊娠期間は96 - 111日[3]。1回に1 - 6頭の幼獣を産む[4]。メスのみで幼獣を育てる[6]。授乳期間は3 - 6か月[7]。出産直後の幼獣は眼も耳も閉じているが生後6 - 14日で開眼し[7]、生後9 - 11日で耳が開く[3]。生後4 - 8週間で巣から出るようになる[7]。幼獣は生後18 - 24か月は母親の縄張り内で生活し徐々に独立する[6]。生後2年で幼獣の半数は命を落とし、オスが幼獣を殺すことも多い[7]。オスは生後4 - 5年、メスは生後3 - 4年で性成熟する[3]。寿命は約15年と考えられ[6]、飼育下では26年の記録がある[7]

人間との関係

骨が漢方薬になると信じられている[7]。中国には虎骨酒がある。

開発による生息地の破壊、薬用や毛皮用の乱獲、人間や家畜を襲う害獣としての駆除などにより生息数は激減している[7][14]。20世紀に入ると3亜種が絶滅した[7]。19世紀における生息数は約100,000頭と推定されている[7]。生息地を自然保護区に指定したり、獲物も含めた生態に関する調査などの保護対策が行われている[7]。1975年のワシントン条約発効時には亜種シベリアトラを除いてワシントン条約附属書Iに(亜種シベリアトラはワシントン条約附属書II)、1987年に全亜種を含む種としてワシントン条約附属書Iに掲載されている[1]。亜種や地域ごとの生息数に関する調査では

P. t. tigris ベンガルトラ
インドでの1969年における生息数は2,500頭と推定されている[7]
テンプレート:Endangered
P. t. altaica シベリアトラ
1998年における生息数は360 - 460頭と推定されている[12]
テンプレート:Endangered
P. t. corbetti インドシナトラ
テンプレート:Endangered
P. t. amoyensis アモイトラ、P. t. jacksoniP. t. sumatrae スマトラトラ
テンプレート:Critically endangered
P. t. balica バリトラ、P. t. sondaica ジャワトラ、P. t. virgata カスピトラ
テンプレート:Extinct

亜種シベリアトラの1994年における飼育個体は632頭とされる[12]

日本ではパンテラ属(ヒョウ属)単位で特定動物に指定されている[16]

文化的側面

中国では百獣の王といえば虎であり[17]、獰猛な野獣としての虎は古くから武勇や王者のイメージとして受容され、軍事的シンボルや建国・出生譚、故事成語などに結びついている[17]。また、虎と人間の生活が密接だった古代の中国や朝鮮など東アジアでは、虎をトーテムとして崇拝した氏族があり、その名残りから魔除け山の神として一般的な崇敬の対象になった[18]。虎はと同格の霊獣とされ、干支では年の始めに当たるに当てられている[19]

一方で、虎は凶悪・危険・残酷といったマイナスのイメージとして比喩される[17]。虎による被害の多い地域では虎にまつわる多くの民話が伝承されているが、ネガティブなイメージをもって語られるものが多い。

古代より日本人にとって虎の皮は海外との交易で輸入される唐物の代表だった[20]。『続日本紀』などに記録されている渤海使の献進物の中にも虎の皮が含まれている。虎皮は朝議では五位以上の貴族しか身に付けることができず、ときには病気や祟りから身を守る呪物として用いられた[20]。他に虎の強さのイメージを利用した例として、虎皮を材料に利用したがある。平貞盛から平維盛まで9代に渡って継承された「唐皮」などが有名である[20]

中国武術には虎をモチーフにした虎形拳、あるいはそれに類する名称のものが複数系列にわたって存在する。日本にはトラは生息していないが、大陸のトラの存在は古くから知られており、多くの絵師がトラを題材にした浮世絵などを残している。

虎をモチーフにした伝説の生物としては四神白虎さるとらへび人虎開明獣などがある。 また、の虎褌など、見知らぬ異国の住人である鬼と凶悪な虎の複合した観念が、平安末期以降に『地獄草紙』や『桃太郎』などの作品に見られるようになる[21]

ヨーロッパにその存在が知られるようになったのは、アレクサンドロス3世(大王)のインド遠征によるもので、ペルシア語のthigra(鋭い・尖った)から、ギリシア語でtigrisと呼ばれるようになり、英語ドイツ語のtigerへと変化した。ヨーロッパで最初にトラが持ち込まれたのは、紀元前19年ローマ皇帝アウグストゥスにインドの使者がトラを献上した時と言われている。

なお、アニマルプラネットで50,000人から世界で一番好きな動物をアンケートした所トラが一位となった[22]

虎退治

虎退治を題材とする伝説などのフィクションは古今東西にあり、その多くは登場人物の武勇を表現するために使用された。『水滸伝』の行者こと武松や黒旋風の李逵が有名である。同作品には実際作中で虎退治を確認できないが、虎殺し(打虎将)の異名を持つ人物も登場する。

日本書紀』の欽明6年(545年)には百済に派遣された膳臣巴提便が子供を食べた虎を倒しその皮を剥いだとあり、その武勇談は中世の『宇治拾遺物語』にも「遣唐使の子、虎に食るゝ事」という説話として採録されている[23]。 また豊臣秀吉の家臣加藤清正朝鮮出兵中に虎狩りをした逸話は良く知られており、これにあやかって明治時代以降、多くの日本人が虎狩りを行っている。なかでも旧尾張藩主の徳川義親シンガポールで虎狩りを行い、「虎狩りの殿様」として知られている。

一休宗純屏風に描かれた虎を退治するよう言われ、「ではまず虎を屏風から追い出してください」と切り返す頓智一休噺他数々の作品で取り上げられてきた。アニメ一休さん」でも足利義満が同様のことを発言し、一休を困らせようとしたが、この言葉で切り崩す話がある。

異名

強い者、豪傑の代名詞としてよく用いられる。中国の小説『三国志演義』では蜀の劉備に仕えた武将のうち武勇に優れた5人を五虎大将軍と呼び、特に張飛はその立派な(ひげ)を虎髯と呼ぶなど、勇猛ぶりを虎に喩えられた。

日本でも戦国大名武田信玄上杉謙信は、後世にその武威をそれぞれ甲斐の虎越後の虎と、虎に喩えられた。第二次世界大戦中には山下奉文陸軍大将がマレーの虎:Tiger of Malaya)という異名を取った。

兵器にも、虎の名を冠する物が多い。ナチス・ドイツの重戦車ティーガーIティーガーII、イギリスの巡洋戦艦タイガー、アメリカの戦闘機F-11タイガーF-5タイガーIIなどが有名。

黄色と黒

日本では虎の体色は「」と表される。例えば「警戒ロープ」・「警戒用テープ」はその色(黄色と黒)から、「虎ロープ・虎ヒモ(トラロープ・トラヒモ)」・「トラテープ」と呼ばれることがある。同様にセーフティーコーン(パイロン)間を繋ぐ縞模様の棒も「トラバー」と呼ばれる(工事現場などで使用されている)。しかし、実物および写真を見ても厳密には黄色ではなく、ある程度誇張されたあるいは比喩的な表現である。日本での「黄と黒」の表現が何に由来するかは不明である。

生物名としてトラを使う例は多い。一つには縞模様をトラに見立てたもの、トラマルハナバチトラカミキリトラフグなどがある。特に黄色と黒の縞に対して使うが、普通の縞模様を指す例もある。またトラフシジミなどのように虎斑という語もある。他には虎の尾は太くて、それを立てる行動があることから、細長くて立ちがちなものを虎の尾という。トラノオシダオカトラノオウミトラノオミズトラノオ(一回り小さいとミズネコノオ)などがある。

アメリカでは虎の体色はオレンジと黒とされる。虎をモチーフにしたスポーツチームのチームカラーも、MLBデトロイト・タイガースNFLシンシナティ・ベンガルズのようにオレンジと黒の2色となることが多い。

言葉

虎の入ったことわざや慣用句においては、「強いもの」「何より恐ろしいもの」の代表として使われる例が多い。

  • 竜虎 - 強大な実力を持ち、優劣つけがたい二者を指す喩え。竜虎相打つも同じ。『竜虎図』は、牧谿狩野派によって芸術表現された。
  • 虎に翼 - ただでさえ強い者が更に威力をつけること。出典:『韓非子』「難勢」。為虎添翼(いこ てんよく)も同じ。
  • 虎を野に放つ - 危険なものを放置すること。また、禍いの元となることを絶つことを怠り、後に起こる大事の原因を作ってしまうことを言う。出典:『後漢書』「馬援伝」。
  • 虎の尾を踏む - 虎の尾を踏めば、ただでは済まない。非常な危険を冒すことの喩え。虎の鬣を捻る(とらの たてがみを ひねる)も同じ。出典:『易経』「履卦」。
  • 虎穴に入らずんば虎子を得ず - 大きな成果や利得を望むなら、大きな危険は避けてはいられないことの喩え。貴重な虎の子が欲しければ、怖ろしい虎の棲む穴に挑まなければ手に入れることは叶わない。出典:『後漢書』「班超伝」。(→ ウィキトーク「虎穴に入らずんば虎子を得ず」)
  • 虎視眈々(こし たんたん) - 虎が獲物を狙って身構え、鋭く見詰めている様子。転じて、静かに機会をうかがい、隙があれば付け入ろうとしている様子を言う。出典:『易経』「頤」。
  • 前門の虎、後門の狼 - 一つの禍いを逃れても、さらにまた他の禍に遭うことの喩え。出典:趙弼『評史』。
  • 虎を養って虎に噛まる - 「飼い犬に手を噛まれる」を誇張した表現。
  • 虎になる - 酔って怖いもの知らずになること。泥酔すること。四つん這いになって手が付けられない様子から。警察署にある泥酔者保護所をトラ箱というのもこれに由来する。女房言葉のことをささ(おささ)と呼ぶことを踏まえ、「ささ=笹」「笹に虎は付きもの」という連想から、転じて酔漢のことを「虎(大虎」と呼ぶ場合がある(ただし他に諸説ある)。
  • 虎の子渡し - 物事が人の手を次々に経てゆく複雑で迂遠な工程の喩え。転じてある物を支払うために別の物の支払いを見送ることを次々と繰り返すさまから、生計が苦しく四苦八苦すること。虎が3匹の子を生むと、そのうちの1匹は必ずどう猛な「彪」(ひょう)になって、親が目を離した隙に他の2匹を喰ってしまうと考えられていた。そうした虎の親子が川を渡る際には、まず親虎が彪をくわえて対岸に渡り、彪をそこに残して単身元の岸に戻り、次に2匹の子虎のうちの1匹をくわえて対岸に渡り、その1匹を対岸に残し彪をくわえて元の岸に戻り、彪を元の岸に残しもう1匹の小虎をくわえて対岸に渡り、2匹の小虎を対岸に残して単身元の岸に戻り、最後に彪をくわえて対岸に渡るという、3往復半の手間を要したという故事から。出典:周密撰『癸辛雑識』「続集下」。
  • 苛政は虎よりも猛し - 民百姓に苛烈な政治は虎よりも残酷であること。出典:『礼記』「檀弓」。
  • 虎の威を借る狐 - 実力者の威光を借りていばること。出典:『戦国策』「楚策」。
  • 張子の虎 - 虎をかたどった首の動く張り子の玩具。転じて、首を振り動かす癖のある人、虚勢を張る人、見かけ倒しの人などを軽蔑して言う言葉。

その他、虎の習性を讃えたものもある。

  • 虎は千里往って千里還る - 勢いが盛んな様子。虎は一日の間に千里の道を行き、また戻ってくることができると考えられていたことに由来する。出典:『荀子』「勧学」。
  • 虎は死して皮を留め、人は死して名を残す - 虎は死後に立派な毛皮を残す。人が残せるのは名誉と功績であるから、それらを重んじて生きなければならない。出典:欧陽脩『王彦章画像記』。
  • 虎の子 - 虎は自分の子を非常に大事にすると伝えられる。そのことに因み、大事な物・貴重な物を喩えて言う。
  • 虎の巻 - 源義経が読んだとされる兵法書[21]。『義経記』では『六韜』の一篇「虎韜」としてあらわれる。『御伽草子』「天狗の内裏」では義経が鬼の島から持ち帰ったとされている。

その他

タイガーズアイ(虎目石)、レッドタイガーズアイ(赤虎目石)といった名が付けられた宝石もある。 古代中国では虎をモチーフにした形状のという打楽器が生まれた。

日本には虎拳という拳遊びがあり、戦時中の千人針では、虎の刺繍もなされた。 2003年の「今年の漢字」は、阪神タイガースの18年ぶりのセ・リーグ優勝による全国フィーバーの影響で「」となった。

画像

出典

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関連項目