釧路空港
釧路空港(くしろくうこう、英: Kushiro Airport)は、北海道釧路市にある空港。空港法では第4条第1項第6号に該当する空港として政令で定める空港(国管理空港)に区分されている。滑走路など施設の一部は白糠郡白糠町に跨る。愛称はたんちょう釧路空港[1]。
Contents
概要
釧路市中心部より北西に約20km離れた丘陵上に位置する。近隣に釧路湿原国立公園と阿寒国立公園を擁し、道東の拠点空港として重要な役割を担っている。
滑走路は17/35方向に2,500m[2]。一部は高さ50mの高盛土の上に造成されている。滑走路全体に渡り、平行誘導路を有する。着陸帯の幅は300mであり、計器着陸に対応している。計器着陸装置(ILS)は滑走路17に設置。
海岸から約5kmの位置にあり、親潮の上で南風冷やされることから夏場は霧の影響を受けやすいため[3]、1970年(昭和45年)1月8日にVOR(超短波全方向式無線標識)を設置したのを皮切りに[4]、1973年(昭和48年)11月1日にILSの導入[4]、1995年(平成7年)10月12日から地方空港としては全国で初めてILSカテゴリーIIIAによる運航が始まり[4][5]、霧や悪天候による欠航が200便/年近くあった状況が1/4以下に改善された[6]。さらに2006年(平成18年)4月13日よりILSカテゴリーIIIBで運用している。このため、このシステムに対応している中型機・大型機では濃霧や悪天候時でも安全な離着陸が可能となっている[7]。しかし、北海道内の他の空港との路線では小型のプロペラ機などでの運行が多く、システムに対応していないため、霧の際の欠航率が高い状況が続いている[8]。 滑走路35方向に新たにカテゴリーIIの設置要望を釧路商工会議所が行っている。これは既存道内便と急増するアジア各国からの航空機はカテゴリーIIの対応機が多い為である。
年間利用客数は、国内669,739人、国際10,868人(2014年度)[9]。
1991年(平成3年)11月10日にシンガポールへの国際チャーター便の運航が開始され、国際線の運行が始まることになった[10]。
2009年(平成21年)1月からチャーター便で乗り入れを始めた台湾の復興航空が[11]、2012年(平成24年)9月7日から定期便としての運行に切り替えたため、国際線の定期便が初めて就航することになった[12]。この台湾路線は、搭乗率がよく同年12月28日に早くも機材の大型化が行われたものの[13]、航空会社の機材不足が原因で2014年(平成26年)5月末で運航が休止されることになった[14]。
国際便の就航に伴うCIQ体制は、税関は函館税関釧路税関支署、出入国管理は札幌入国管理局釧路港出張所、検疫は小樽検疫所釧路出張所が対応していた。
道東一帯の各空港を管轄する東京航空局の空港事務所、および海上保安庁の釧路航空基地、新千歳航空測候所釧路空港出張所[15]を併設している。
歴史
- 1957年(昭和32年)8月29日 - 運輸相が設置・管理する公共用空港としての設置予定を告示[16]。
- 1961年(昭和36年)7月20日 - 1,200mの滑走路を持つ空港として開港[4][17]。北日本航空の札幌―釧路線が運航を開始[4]。
- 1967年(昭和42年)5月2日 - 東京直行便が運航を開始[4]。
- 1972年(昭和47年)6月29日 - 釧路空港ビル株式会社の設立総会を開催[4]。
- 1973年(昭和48年)11月1日 - 滑走路を1,800mに延長[4][18][19]、ILSを導入[4]。ジェット化され[4]、東亜国内航空(日本航空ジャパン→現・日本航空)が東京/羽田線を開設(DC-9で運航[4])。
- 1974年(昭和49年)12月1日 - 千歳空港便が運航を開始[4]。(丘珠空港便を運航を廃止して移転[4])
- 1975年(昭和50年)7月 - 全日本空輸が、東京/羽田線を開設(ボーイング727で運航)[20]。
- 1978年(昭和53年)10月1日 - 第一管区海上保安本部釧路航空基地を開設[4]。
- 1988年(昭和63年)10月 - 平行誘導路して供用開始[21]。
- 1989年(平成元年)12月1日 - 滑走路を2,300mに延長して供用開始[4][22]。
- 1990年(平成2年)4月1日 - エアーニッポン(エアーニッポンネットワーク(現・ANAウイングス)に移管)が札幌/丘珠線を開設[23]。
- 1991年(平成3年)11月10日 - シンガポールへの国際チャーター便の運航し、国際線の運行開始[10]。
- 1993年(平成5年) 7月1日- 日本エアシステムが名古屋線を開設[24]。
- 1995年(平成7年) 10月12日- ILS カテゴリーIII A 運用開始[5]。
- 1996年(平成8年)
- 1997年(平成9年)1月1日 - 北海道エアシステムが函館線を開設[26]。
- 1999年(平成11年)7月16日 - 北海道エアシステムが新千歳線を開設[27]。
- 2000年(平成12年)11月30日 - 2,500m×45mの滑走路を供用開始[28][29]。
- 2001年(平成13年) - 空港利用旅客 累計2千万人達成。
- 2003年(平成15年)
- 2004年(平成16年)
- 2005年(平成17年)
- 2006年(平成18年)
- 2011年(平成23年)2月28日 - ジャルツアーズの企画旅行「新・鶴丸ロゴ機お披露目フライト 北海道・たんちょう釧路空港へ空散歩[36]」で、日本航空インターナショナル(現・日本航空)のボーイング767-300ER新塗装初号機(国際線機材・JA654J)のファーストフライトを兼ねたチャーター便として東京/羽田 - 釧路間を1往復し、当空港および「鶴丸」に因み阿寒国際ツルセンター(道の駅阿寒丹頂の里に隣接)で関連イベントが開催[37]。
- 2012年(平成24年)9月7日 - 復興航空が、台北・台湾桃園国際空港に初の国際線定期便が就航[12]。
- 2013年(平成25年)3月31日 - AIRDOが、東京/羽田線を1日2便で就航開始。東京線が3社(ANA・JAL・AIRDO)体制となる。
- 2014年(平成26年)5月30日 - 復興航空が、台北/桃園線を運休[14]。再び定期便は国内線のみとなる。
- 2014年7月〜8月 - ジンエアーが、チャーター便としてソウル・仁川国際空港に就航[38]。
- 2015年7月〜8月 - 中国東方航空が、チャーター(週2)便して上海浦東国際空港に就航。
- 2015年11月〜12月 - エアドゥが、チャーター(週2)便として台湾桃園国際空港に就航。
- 2015年12月〜1月 - エバー航空が、チャーター(週2)便として台湾桃園国際空港に就航。
- 2018年夏 - ピーチ・アビエーションが、関西国際空港線を1日1便で就航予定。合わせて、拓殖バスが帯広まで接続するリムジンバス「スイーツライナー」を新規運行予定[39]。
施設
空港ターミナル(11454.73㎡)は釧路空港ビル株式会社が運営している。地上3階建て。外観は、屋根部分は雌阿寒・雄阿寒岳をモチーフにしており、建物の赤いラインの縁取りとグレーの外壁色とで丹頂鶴を、正面のグリーンのガラス部分は釧路湿原をイメージしている。
2007年(平成19年)2月にタンチョウが羽ばたく姿のネオンサインが外壁に設置されると共に[40]、つがいのタンチョウのモニュメントが玄関前に設置された[41]。
内部は国内線の設備が中心であるが、入国検査場を備えるなど一部に国際線設備も配置する。
ターミナルビル
- 1階 - 航空会社カウンター、到着ロビー 、総合案内所、レンタカーカウンター、派出所、喫茶店
- 2階 - 出発ロビー、搭乗待合室、会議室、有料ラウンジ[42]、売店、エフエムくしろサテライトスタジオ
- 3階 - 送迎デッキ(無料)、レストラン、有料待合室
- 120917 Kushiro Airport Hokkaido Japan06s.jpg
1F 到着口、レンタカーカウンター前
- 120917 Kushiro Airport Hokkaido Japan11s3.jpg
2F 搭乗口、搭乗待合室
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2F-3F吹き抜け
- 120917 Kushiro Airport Hokkaido Japan13n.jpg
3F レストランフロア
駐車場
有料駐車場 - 756台
- 車種別に1時間ごとの料金設定があり、一定額を超えると24時間までの一律料金になる。
- 身障者は半額になる。
- 2011年(平成23年)8月1日から空港内の店舗で1000円以上の買い物をすると1時間無料となった[43]。
- クレジットカード払い、専用プリペイドカード払い対応。
レンタカー
到着ターミナル内に送迎受付カウンターがあり、空港駐車場外側に営業所がある。店名はいずれも「釧路空港」である。
- ニッポンレンタカー北海道
- トヨタレンタリース釧路
- 日産レンタカー
- オリックス自動車(オリックスレンタカー兼レンタカージャパレン)
- タイムズカーレンタル
- ジャパレン
就航路線
航空会社が2社以上の場合、最前の航空会社の機材・乗務員で運航する共同運航便(コードシェア便)
国内線
- 中部国際空港(季節運航便)
- 日本航空・ブリティッシュ・エアウェイズ
- 大阪国際空港(季節運航便)
- 全日本空輸
- 関西国際空港
- Peach Aviation(2018年8月1日から就航予定)[44]
路線別利用客数
行き先 | 年度 | 利用客数(人/年) | 搭乗率(%) | 備考 |
---|---|---|---|---|
羽田空港 | 2010
2011 2012 |
474,199
414,223 449,776 |
66.5
69.0 63.7 |
|
中部国際空港
(愛知県) |
2010
2011 2012 |
101,618
95,455 92,270 |
65.4
55.5 67.2 |
|
伊丹空港
(大阪府) |
2010
2011 2012 |
10,665
11,251 10,337 |
71.0
70.7 62.4 |
|
新千歳空港 | 2010
2011 2012 |
96,943
95,854 94,537 |
32.7
45.8 45.3 |
|
丘珠空港
(札幌市) |
2010
2011 2012 |
39,134
36,722 32,564 |
50.9
48.5 49.8 |
|
函館空港 | 2010
2011 2012 |
10,090
1,474 廃止 |
40.9
39.0 --.-- |
周辺
- 釧路市丹頂鶴自然公園 - 自動車で約7分
- 山花温泉リフレ - 自動車で約11分
- 釧路市動物園 - 自動車で約11分
アクセス
釧路市中心部まで約22km、阿寒湖温泉まで約56km。
道東自動車道 釧路空港IC(建設中)、阿寒ICまで約12km。
- 阿寒バス
- 空港連絡バス : 釧路フィッシャーマンズワーフMOO発着便(釧路駅・大楽毛駅経由)
- 阿寒エアポートライナー (阿寒湖温泉)
- 路線バス : 釧路駅 - 大楽毛駅 - 釧路空港 - 鶴公園 - 丹頂の里 - 阿寒湖バスセンター
- 路線バス : 釧路駅 - イオンショッピングセンター - 大楽毛駅 - 釧路空港 - 動物園 - 山花温泉
脚注
- ↑ “釧路空港開港50周年 逆風下、需要開拓に知恵 業者連携しツアー 路線削減や機材小型化 旅客減どう歯止め”. 北海道新聞. (2011年7月23日)
- ↑ “釧路空港2500メートル滑走路 利用スタート 大型機飛来 式典に華 「道東発展」高まる期待”. 北海道新聞. (2000年12月1日)
- ↑ “<探る 霧-釧路の白い主>1 なぜ出る? 親潮の上で南風冷やされ 発生多い夏 道内の天候は安定”. 北海道新聞. (2003年7月23日)
- ↑ 4.00 4.01 4.02 4.03 4.04 4.05 4.06 4.07 4.08 4.09 4.10 4.11 4.12 4.13 4.14 4.15 釧路市地域史研究会 『釧路市統合年表:釧路市・阿寒町・音別町合併1周年記念』 釧路市 、2006年10月。
- ↑ 5.0 5.1 “<点検「霧に強い空港」 釧路・カテゴリー3a完成>下 モノが動く 航空貨物に追い風 滑走路延長路線充実も”. 北海道新聞. (1995年10月13日)
- ↑ “釧路空港 着陸装置「カテゴリー3a」効果絶大 霧で欠航 大幅減 就航率過去最高 空路の信頼増す”. 北海道新聞. (1998年12月3日)
- ↑ “釧路空港 生かしたい先進設備 カテゴリー3 濃霧の着陸 機種次第 道内プロペラ機、多い欠航”. 北海道新聞. (2008年10月28日)
- ↑ “<発信2008 霧にも負けず 釧路空港の実力>中 遠い札幌 道内便 対応機種なく”. 北海道新聞. (2008年10月29日)
- ↑ “管内空港の利用状況概況集計表(平成26年度確定値)” (PDF) (プレスリリース), 国土交通省東京航空局
- ↑ 10.0 10.1 “釧路から海外直行便”. 北海道新聞 (北海道新聞社). (1991年11月11日)
- ↑ “台湾・復興航空のチャーター便 釧路空港へようこそ 初就航 満席の乗客乗せ到着”. 北海道新聞. (2009年1月29日)
- ↑ 12.0 12.1 “初の国際定期便 復興航空が釧路就航 悲願11年 羽ばたく 国際化へ大きな弾み 台北からツアー客 関係者ら出迎え”. 北海道新聞. (2012年9月8日)
- ↑ “台湾・復興航空の機材大型化 初便が釧路空港到着”. 北海道新聞. (2012年12月29日)
- ↑ 14.0 14.1 “<消える国際線>羽田経由 台湾客呼び込め 釧路市と観光団体 乗り継ぎ便活用 「直行」頼み脱却図る”. (2011年4月29日)
- ↑ “<なるほど納得 今さら聞いちゃえ!>釧路空港の「測候所出張所」 どんな業務? 気象観測 空の安全守る 風向、風速、気圧…滑走路横の機器で計測”. 北海道新聞. (2012年9月20日)
- ↑ 1957年(昭和32年)8月29日運輸省告示第347号「釧路空港の設置について告示」
- ↑ 1961年(昭和36年)7月22日運輸省告示第239号「釧路空港の供用開始期日等について告示」
- ↑ “釧路空港 昭和48年11月1日オープン”. 北海道新聞 (北海道新聞社). (1973年11月1日)
- ↑ 1973年(昭和48年)10月30日運輸省告示第451号「釧路空港の施設に変更を加えた件」
- ↑ “不振の東亜、全日空”. 北海道新聞 (北海道新聞社). (1975年7月9日)
- ↑ “混雑解消へ誘導路完成 釧路”. 北海道新聞 (北海道新聞社). (1988年10月6日)
- ↑ 1989年(平成元年)10月19日運輸省告示第572号「釧路空港の施設に変更を加えた件」
- ↑ “エアーニッポン 丘珠-釧路線が就航 1時間5分、1日2往復”. 北海道新聞 (北海道新聞社). (1990年4月2日)
- ↑ “JAS釧路~名古屋線 ANA女満別~名古屋線 就航便が飛び立つ”. 北海道新聞 (北海道新聞社). (1993年7月2日)
- ↑ “道東の“玄関”一新 釧路空港ビル”. 北海道新聞 (北海道新聞社). (1996年7月4日)
- ↑ “HACトライアングル実現 函館-釧路線が就航”. 北海道新聞 (北海道新聞社). (1998年7月1日)
- ↑ “HACの新千歳-釧路線就航”. 北海道新聞 (北海道新聞社). (1999年1月17日)
- ↑ “釧路空港2500メートル滑走路 利用スタート 大型機飛来 式典に華 「道東発展」高まる期待”. 北海道新聞 (北海道新聞社). (2000年12月1日)
- ↑ 2000年(平成12年)11月2日運輸省告示第354号「釧路空港の施設について告示した事項に変更を加えた件」
- ↑ “搭乗率は8割超 HAC 釧路-丘珠線が就航”. 北海道新聞 (北海道新聞社). (2003年8月1日)
- ↑ “道東、日高で震度6 交通、電気 各地で寸断 大地に海につめ跡 釧路空港が管制不能 JR列車167本運休 道東道など通行止め”. 北海道新聞 (北海道新聞社). (2003年9月26日)
- ↑ “<こだま>昨年秋の十勝沖地震で二階天井が崩落した釧路空港ビルの修復工事が終わり、二十一日、しゅん工式があった”. 北海道新聞 (北海道新聞社). (2004年4月22日)
- ↑ “釧路空港 香港チャーター便就航 ドラゴン航空 ほぼ満席 275人到着”. 北海道新聞 (北海道新聞社). (2004年12月26日)
- ↑ “動物検疫申請 初日はゼロ 釧路空港”. 北海道新聞. (2005年4月8日)
- ↑ “愛称は「たんちょう釧路空港」 上がれ知名度 10月にも使用開始”. 北海道新聞 (北海道新聞社). (2006年6月19日)
- ↑ JAL Webサイト 国内ツアー案内 [1]
- ↑ 釧路空港ターミナルビル公式サイト JAL「新・鶴丸ロゴ初号機」特別チャーター就航をセレモニーで歓迎!
- ↑ ジンエアー、釧路〜ソウル/仁川線にチャーター便を就航へ! 7月〜8月に Traicy 2014年4月4日付
- ↑ “お知らせ詳細” (ja-JP). 北海道拓殖バス公式ホームページ. . 2018閲覧.
- ↑ “白いタンチョウ 壁面からふわり 釧路空港 ネオン完成し点灯式”. 北海道新聞. (2007年2月3日)
- ↑ “巨大タンチョウ つがいで登場 釧路空港にモニュメント”. 北海道新聞. (2007年2月15日)
- ↑ “有料ラウンジで快適に 釧路空港2階に整備 飲み物無料、旅行雑誌も配置”. 北海道新聞. (2010年12月3日)
- ↑ “釧路空港駐車場 1時間まで無料 店舗で1000円以上利用者に 来月から”. 北海道新聞. (2011年7月12日)
- ↑ 釧路—大阪 (関西 )線を開設〜「ひがし北海道 」をアジアの新たな観光ブランドに〜
- ↑ ANAウイングスの機材・乗務員で運航する便あり
関連項目
- 山内恵介 : 2013年にシングル『釧路空港』をリリース。
- 旧愛国飛行場 (釧路市)
- 北海道の関与団体の一覧 : 釧路空港ビル株式会社は北海道の「関与団体」として指定されている。