日産・マーチ

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マーチMARCH)は、日産自動車が製造・販売するハッチバック型のコンパクトカーである。

日産・マーチ
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4代目 2013年6月改良型
販売期間 1982年
製造国 日本の旗 日本
ボディタイプ 3/5ドアハッチバック
4ドアセダン(台湾のみ)
2ドアオープンカー
5ドアステーションワゴン
駆動方式 FF (初代)
FF / 4WD (2代目)
FF / 4WDe-4WD)(3代目-)
別名 日産・マイクラ(海外向け)
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派生車種は派生車種の項目を参照。


概要

かつて、トヨタ・スターレットと日本のコンパクトカー市場の人気を二分していた。日欧両市場での販売を視野に入れており、欧州などいくつかの地域では「マイクラ」(Micra)名で販売されている。扱いやすいコンパクトなボディに大人4人が快適に移動できるキャビンを持つ、合理的なパッケージングが特長であり、専門家の評価も高い。特に2代目・K11型は、日欧でカー・オブ・ザ・イヤーを同時受賞するなど、高い評価を受けた。また、日本車としては珍しく、フルモデルチェンジのスパンがかなり長い[注釈 1]のも特徴の一つである。競合車種のトヨタ・ヴィッツとともにワンメイクレースが行われるなど、手軽なモータースポーツへの登竜門としての一面も持つ。

なお、欧州向けマイクラについては、2016年9月29日 - 30日フランスで開催された「パリモーターショー2016」にて5代目モデル(K14型)が先行発表され、その後市販を開始した。この欧州向け左ハンドル仕様車(マイクラ)をルノーの欧州域内の工場で生産するが[1]、この時点において日本市場向けマーチを含む欧州向け以外のマーチ / マイクラの次期モデルについて公式アナウンスはされていない。

初代 K10型系(1982年 - 1992年)

1981年10月に開催された第24回東京モーターショーに「NX-018」の名で参考出品。長期に渡るプレキャンペーンが展開され、一般公募により車名が「マーチ」[注釈 2]と決定された後、1982年10月に発売された。

イメージキャラクターは近藤真彦が起用され、キャッチコピーは「マッチのマーチ」「スーパーアイドル」(いずれも前期型)。

開発は、当時、東京都杉並区荻窪にあった荻窪事業所[注釈 3]にて行われた。初代マーチはその荻窪事業所で開発された新車種として最後に開発されて発売された車種である[注釈 4]。開発主管は旧・プリンス自動車出身の伊藤修令が務めた。基本デザインは世界的に著名なデザイナーであるジョルジェット・ジウジアーロが行い、生産に向けて社内でデザイン調整が行われた[2]

約10年という、日本の量産車としては珍しく極めて長いモデルライフであった。当初から最小限の装備だけを持っていたが、最終型にはパワーウインドウ装着車 (FV) も存在した。

当初搭載されたエンジンは、MA10S 987cc電子キャブレターECC仕様(E-K10)。グレードもE(基本性能に徹し、ビジネスユースに特化したモデル)・L(基本的車種でファミリー若者向実用車)・Sトリップメーターを標準装備し、機能、内装の充実を図ったモデル)・G(最上級モデル)の3ドアハッチバック車4種類だけだったが、後にグレードが充実化され、キャンバストップ車や5ドアハッチバック車、MA10ET 987cc水冷ターボECCSエンジンを搭載した「マーチターボ」、MA09ERT930cc空冷式インタークーラー、ダブル過給機付きECCSエンジンを搭載し、ビスカスLSD標準装備のモータースポーツに対応したマーチR、そのグランドツーリング版のマーチスーパーターボなどの車種も登場した[注釈 5]

主な派生車種は、パイクカーの「Be-1」BK10型、MA10Sエンジン搭載・「パオ」PK10型、MA10Sエンジン搭載・「フィガロ」FK10型、MA10ETエンジン搭載や、レーシングフォーミュラーカーの「ザウルスジュニア」NSJ-91型、MA10Eエンジン搭載などが挙げられる。パイクカーの人気は高く、特にBe-1は中古車市場にリセールしたほうが本体購入価格より倍近い値段がつくということで「財テクカー」と呼ばれた。

年表

マーチR

マーチR(マーチアール)は、かつて日産自動車が製造販売していた3ドアハッチバック型の自動車で、モータースポーツ用のベース車両である。

初代マーチの競技車両ベース向けのグレードである。主に全日本ラリー選手権で活躍した。スーパーチャージャーターボチャージャー複合過給機システム、ダブルチャージエンジンシステムを日本初搭載し、車両装備によってタイプ1から3までバリエーションが存在した。専用で超クロースレシオの5速MTを装備していた。事後交換を前提としている為に、シート(5ドア車と同型)、タイヤ、ホイールは基本車両となったK10型マーチのベースグレードの安価なパーツが装備されている。内装もセミトリムと簡素である。

また、タイプ1から3までは、乗車定員が2人であった。型式はE-EK10。

なお、競技専用車両のため、メーカー保証の内容が異なっており、車両登録は無改造のノーマル車以外、当時の改造申請に基づき車両の持ち込みで手続きを行わなければ登録できなかった。

マーチターボ

マーチターボとは、かつて日産自動車が製造販売していた、3ドアハッチバック型の自動車である。

1985年2月 K10型のマイナーチェンジで3ドアハッチバック「ターボ」新発売。

1987年8月、一部変更。新形状デザインのステアリングホイールの採用、シートパターン及び表皮材の変更。パワーステアリング装着車の設定。MA10ETエンジン搭載車はパワステ追加に伴い、アイドル回転数補正補助の変更と空燃比の最適制御により、EGR装置を廃止。

ターボのボディはドア下端にターボストライブを採用、またバックドア上端にターボストライプと同デザインのターボロゴステッカーを装着。

1988年1月、マイナーチェンジ。同じ年式のK10マーチの他グレードの燃料供給装置が電子制御キャブレター (ECC) に対して、今まで上級車のみの採用であったマイコン制御による、エンジン集中制御システム(ECCSエックス)の採用、新開発の小型ターボチャージャーにより、最高出力85ps、最大トルク12.0kgm(いずれもネット値)を実現した。

新設計のUターン型ロングインテークホールドや、4連サイアミーズシリンダーブロックの採用により、低回転域のトルク増大を図り、ダッシュ力を高めている。この出力に合わせて、足回りもファインチューニング、タイヤホイールもサイズアップ、マフラーをデュアルエキゾースト化。外装も専用エアロパーツや、フロントバンパー下に専用丸形ハロゲンフォグランプが採用されていた。

また、内装も専用メーターフードの採用により、マーチターボ独特のコクピットを演出していた。向かって左がフェールメーター、右がテンプメーターを配し、独立シェルに覆われ、メインメーターも、タコメーターがアナログ式、スピードメーターがオレンジの液晶デジタル式とした、ハイブリッドメーターを採用、専用デザインのステアリング中央には、エンジンの性能曲線グラフを配している。シートも、ハイバックのバケットタイプを採用、ブラックを基調とし、明るめなオレンジのアクセントと新デザインのTURBOの文字を織り込んでいる。

1991年12月、初代マーチ(K10型)の販売終了、1992年1月、2代目マーチ(K11型)発売。後継モデルにはマーチターボは設定されずそのままモデル終了となった。

マーチスーパーターボ

日産自動車が生産していた3ドアハッチバック、K10型マーチに設定されていたホットハッチグレードのひとつである。

1988年8月に発売された競技専用車の「マーチR」をベースに、1989年1月に発売開始された一般向けモデル。型式はE-EK10。国際モータースポーツ規約の過給係数(1.7倍)、または国内競技の過給係数(1.4倍)を掛けた際に1,600ccクラス内へ収まるよう、ベースとなった自然吸気モデルのMA10S型エンジン (987cc) に比べて排気量をダウンさせ、930ccとなっている。

「マーチR」と同じMA09ERT型エンジンを搭載し、最高出力110ps/6400rpm、最大トルク13.3Kgm/4800rpmを発生するエンジンは、量産車には珍しくターボチャージャースーパーチャージャーの2種類の過給機を搭載し、日産は「ダブルチャージ」と呼称していた。これにより低回転域ではスーパーチャージャーによる瞬発力を、高回転域では余裕のある最高出力を得ることに成功しているが、一方で両機器を積んだことでフロントヘビーの原因ともなっている。機構が複雑であるため、故障の際に修理費が高くつくなどの理由により、販売面では成功したとは言えなかった。そのため次期モデルには設定されず1代限りで廃止となった。

ビスカスカップリングLSDを標準で搭載するほか、MA10SではECC (EGR) 、電子制御キャブレターによる気化器が採用されていたが、スーパーターボでは全電子化されたEGI (ECCS) 制御のインジェクター仕様であった。また、補機類装着スペースの関係から、パワーステアリングが省略されている。

2代目 K11型系(1992年 - 2002年)

1992年1月、初のフルモデルチェンジを受けて2代目に移行する。エクステリアデザインにおいてはそのほとんどを、当時の厚木NTC[注釈 6]デザインセンター[注釈 7]日本ユニシスと共同開発の真っ最中だった日産初の造形意匠用CADシステムである「STYLO(スタイロ)」を、試用段階ではあったが初めて造形の初期段階から運用して制作されたものである。ボディ形式は初代に引き続き3ドアと5ドアのハッチバック型、後期型にはワゴン型「マーチBOX」やオープンモデルの「カブリオレ」もラインナップされていた。また、台湾オリジナルモデルとして、3ボックス(ノッチバック)型のセダンや国内仕様のボレロやルンバに似たクラシカルモデル「ベリータ」(VERITA)があった。

1998年には派生モデルとして、初代・Z10型キューブが生まれている。

フルCセグメントクラスのセダンの初代・P10型プリメーラフルBセグメントクラスのハッチバック、およびセダンの4代目・N14型パルサーと同じく、日欧両市場を主要マーケットとして、欧州車と比肩しうる性能や快適性、合理的なパッケージングを実現することを目標として開発された。「安かろう悪かろう」とスタイルを強調した「スモールキャビン」が普通であった当時の日本製コンパクトカーの中では異彩を放つ存在であり、日本におけるコンパクトカー市場の革命児とまで称された。

プラットフォーム及びエンジンは新開発され、1.0/1.3LのCG型エンジンを搭載、5速MT/4速ATに加えて、富士重工業(現・SUBARU)から供給を受けたN-CVTを組み合わせていた。CVTの採用は日産では初である。なお、マーチBOXにはニーズを考慮してか5MTは一切設定されず4ATかCVTを選択できた。

日本市場での販売実績は、モデルサイクル全般にわたって堅調なもので、マーチに対抗できる商品力を持つ競合車が1995年トヨタ・スターレット(5代目・EP90/NP90型)や1996年ホンダ・ロゴ1998年ダイハツ・ストーリア/トヨタ・デュエットまで登場しなかったことや、バブル崩壊に伴い、コンパクトカーの経済性が見直されてきたことなどの要因から、登場から4年後の1996年度には142,000台を販売し、記録を更新しライバルが新型となってマーチよりスペックや安全性が向上しそれに加えて主力グレードが安価であったがマーチはヒットし続けた。当時の日産は莫大な有利子負債を抱え、深刻な経営状態となっていたが、その時期を支えた車種の一つである。このモデルから、日産で初めて、全店舗併売された。

その後トヨタ・ヴィッツ、ホンダ・フィットスズキ・スイフトなど、競争力の高いコンパクトカーが他社から続々と登場したこともあり、販売台数は若干落ちたものの、2001年製の最終モデルでも月間5,000台程度の安定した販売実績を残している。生産工場はK10型同様村山工場であったが、閉鎖後は追浜工場に移管された。

1998年に誕生したトールワゴン・初代「キューブ」は、マーチの基本コンポーネンツを流用して開発され、こちらも大ヒットした。また、レトロ風のメッキグリルを持ち、リアオーバーハングを延長し独立したトランクルームを備えたセダン、前後をバンデン・プラ風に仕立てた「コペル・ボニート」、光岡ビュート」、エンジンチューン、機能的なエアロパーツを外装に持つトミーカイラ「m13(初代)」や、無印良品とのコラボレーションモデル「Muji Car 1000」も生まれている。 なお、追加キットだがクラシカルな外観を持つ「ムークプリンセス」などもある。

受賞歴

K11型の評価は日本国内外ともに高く、日本カー・オブ・ザ・イヤー(1992)、RJCカー・オブ・ザ・イヤー(1992)をダブル受賞、欧州でも欧州カー・オブ・ザ・イヤー(1993)を日本車としては初めて獲得する快挙を成し遂げた。これら3賞を同時受賞した日本車は1999年登場のヴィッツ(欧州名・ヤリス)まで登場しない。


年表

備考

3代目 K12型系(2002年 - 2010年)

2002年2月、2度目のフルモデルチェンジを受ける[注釈 10]。生産は引き続き追浜工場で行われ、コンセプトは変わらず3ドアと5ドアのハッチバックのリッターカーであったが、日本市場では、2003年夏には1Lエンジンのグレードが消え、2005年のマイナーチェンジを機に、3ドアモデルは廃止された。欧州市場向けは英国日産自動車製造での生産となり、クーペカブリオレの「マイクラC+C」も発売され、日本にも2007年7月に導入され1,500台が限定販売されている。

技術面ではルノーと共同開発した「アライアンス・Bプラットフォーム[注釈 11]が初めて採用された。日本仕様車では新開発の1.0/1.2/1.4LのCR型エンジンを搭載、5速MT/4速ATを組み合わせていた。欧州では1.6Lモデルも存在する。駆動方式はFFに加え、電動式四駆「e-4WD」も用意された。尚、e-4WDに用いられる後輪用モーターは日立製作所の業務用洗濯機のものを流用していて[5]、後にマツダデミオベリーサのe-4WDにも供給された。 また、燃費の向上を目的に、全車に電動式パワーステアリングが採用されている。2代目の特徴の一つであったCVTは当初ラインナップされていなかったが、2005年のマイナーチェンジを機に1.5LのHR型エンジン+CVT搭載のモデルが復活した。CR、HRのいずれのエンジンの場合も電子制御スロットル仕様となる。

くりくりしたヘッドランプカエルの顔をイメージさせる特徴的なエクステリアデザインは、NTC内デザイン本部第一プロダクトデザイン部(担当:猿渡義市)によるもの。欧州向け日産車に共通するウイング型のグリルをはじめ、丸くラウンドしたルーフや、わずかに残されたリアノッチ、ショルダー部分のキャッツウォーク形状には2代目の面影を残す。競合車種と比較した場合、全長が短いことや、後ろ下がりのルーフ形状のため、後席居住性やラゲッジスペースは若干劣ることが多い。また、日本仕様車では多彩に用意された個性的な内外装色も特色であり、自動車の優れたカラーデザインを顕彰する「オートカラーアウォード」を3度(内グランプリ2度)受賞している。ちなみに、初期型に設定されていた内装色の「シナモン(オレンジ)」は開発段階で微妙だという意見が出たものの、カルロス・ゴーン最高経営責任者の「いいじゃないか!」という一言で市販が決定した。

ゴーンCEO着任後、初めて開発された車種[注釈 12]として、その売れ行きには注目が集まったが、発売初年度の日本市場では月販目標台数8,000台を大幅に上回る月平均14,000台を販売した。その後、他社から競合車が続々と発売されたこともあり、販売実績は低下傾向となった[注釈 13]。しかし近年では他社の競合車種がモデルチェンジするたびに車両のサイズを拡大する傾向にあるなか、マーチは車幅などのサイズが比較的小さい車種ということもあり、発売後4年を経過した2006年時点でも月5,000台程度をコンスタントに売り続けていた。

このモデルから、車両の構造上字光式ナンバープレートが装着できなくなった。

K12は、同一プラットフォームを利用する他のメーカー車がある他に、スタイリング改造メーカーが利用する種車にもなっている。代表的なところでは、光岡・ビュートは、リアオーバーハングを延長し、独立したトランクを備えたセダンである。以前はK11ベースであったが、2005年9月の13年ぶりとなるモデルチェンジでK12系ベースに移行した[注釈 14]。ビュートの妹分といった位置付けの、キュートもある。他にもビートル[6]セイチェント[注釈 15]などといったモデルがある。

改造車では、トミーカイラ「m13」もK11型に続いてK12型ベースとなった。

受賞歴
  • 2002年10月 - 経済産業省選定グッドデザイン賞を受賞。
  • 2002年11月 - 「パプリカオレンジ×シナモン」の内外装色組合せと5色の外装色(コミュニケーションカラー)が第5回オートカラーアウォードのグランプリを受賞。
  • 2003年7月 - ドイツのレッド・ドット・デザイン賞受賞。
  • 2003年12月 - 外装色「ショコラ」が第6回オートカラーアウォードのファッションカラー賞受賞。
  • 2005年12月 - 「チャイナブルー×アイスブルー」の内外装色組合せが第7回オートカラーアウォードで2度目のグランプリ受賞。
  • 2007年12月 - 「サクラ×カカオ」の内外装色組合せがオートカラーアウォード2008で3度目のグランプリ受賞。同時にオートカラーデザイナーズセレクション・インテリア部門賞も受賞した。


年表

4代目 K13型系(2010年 - )

2010年7月におよそ8年半ぶり、3度目のフルモデルチェンジを受ける。今回は日本国内での生産はなく、タイ・中国・インド(ルノー・パルスとの混産)・メキシコ・ブラジル・台湾の各工場での生産となる。日本仕様は追浜工場製からタイタイ日産(旧:サイアム日産オートモービル)製に変更された(なお、日本向け仕様については追浜工場にてPDIが行われる)。日本での月間販売目標台数は4000台と発表された。

プラットフォームはレイアウトの最適化とシンプルなボディ構造を追及し新開発されたVプラットフォームを採用。低重心化とタイヤを四隅に配列したデザインとしたことでリアトレッドを拡大すると共に、シル部も外側へ張り出したことでコンパクトでありながら踏ん張り感のあるプロポーションとした。また、後端はわずかに跳ね上がるような流線型のルーフラインとしたことで空力性能を高め、燃費向上に貢献した。また、特徴の一つである丸型ヘッドランプやアーチを描くサイドウィンドウはマーチのDNAである「フレンドリー」を継承する為、先代のK12型に近いデザインとした。

エンジンは軽量・コンパクト・低フリクションロスに優れた燃費効率を持つ新開発のHR12DE直列3気筒DOHC12バルブエンジンに変更となり、トランスミッションはCVTに2段変速の副変速機を組み合わせた「新世代エクストロニックCVT」を全グレードに採用。また、「12X」と「12G」には信号待ちなどの停車時にエンジンを自動停止するアイドリングストップ機構を備える。このアイドリングストップ機構はアイドリングストップ作動中にステアリングを進行方向に切り始めるとエンジンが再始動するため、ドライバーの意図に合ったスムーズな発進を可能にしており、また、ブレーキペダルの緩め方一つでエンジンの再始動やアイドリングストップの維持などを車両が最適な判断を行うことで違和感を低減している。これらにより、「12X」・「12G」は26.0km/L(10・15モード)の低燃費を達成。アイドリングストップ機構を搭載しないグレードを含めて全車「平成17年基準排出ガス75%低減レベル(☆☆☆☆)」と「平成22年度燃費基準+25%」を同時に達成した。なお、日産では既存のエンジン車に次世代環境技術を搭載した"エンジン進化型エコカー"として「PURE DRIVE(ピュアドライブ)」を展開しており、4代目マーチは「PURE DRIVE」の第1弾として展開する。その証として、「12X」と「12G」にはリアに「PURE DRIVE」エンブレムが装着される。

グレード体系は装備を充実しながら100万円を切ったスタンダード仕様の「12S」、アイドリングストップ機構に加え、インテリジェントキー、カラードドアハンドル等を装備した充実仕様の「12X」、UVカット機能付プライバシーガラス(リアドア・バックドア)、オートライトシステム(フロントワイパー連動、薄暮れ感知機能付)、タコメーターオゾンセーフフルオートエアコン、SRSカーテンエアバッグシステム等を装備した上級仕様の「12G」の3グレードを用意し、「12X」と「12G」には4WD車も設定される(4WD車のグレード名称は「12X FOUR」と「12G FOUR」)。また、オーテックジャパン扱いのカスタムカー「ボレロ」もモデルチェンジを行い、同日に販売を開始した。販売開始当初、ボディカラーは9色(うち、オプションカラー3色)が設定されていたが、「12S」は「バーニングレッド」、「パシフィックブルーパールメタリック」、「シャンパーニュゴールドメタリック」を除く6色、「ボレロ」は4色であった。

なお、3点式シートベルト(前席のみプリテンショナー機構、ロードリミッター機構も付く)、EBD付きABSが全グレードで全席標準装備。「12G」以外でもオプションでサイド・カーテンエアバッグが選択できる。

2013年6月改良型では新たにジュークZ34型フェアレディZに続くプレミアムスポーツバージョン(実質的にコンプリートカー扱い)である「NISMO」を設定することが発表された。マーチNISMOでは他の車種と異なり、モータースポーツファンやスポーツドライビング志向のユーザーのみならず、より幅広い層のクルマ好きユーザーにも提供できるよう、「NISMO」および「NISMO S」の2グレードが設定された。「NISMO」は、「X」をベースとした低燃費・エコ志向の1.2L・CVT車[注釈 16]。「NISMO S」は、「S」をベースとして海外向けに設定されているHR15DE型エンジンにチューニングを施して出力・トルク共に大幅アップさせた専用仕様のエンジンを搭載し、車体剛性のアップも行ったパフォーマンス志向の1.5L・5MT車(なお、5MT車は海外向けでは設定があるものの、日本国内向けでは4代目にフルモデルチェンジされてから設定されておらず、今回の「NISMO S」が日本国内向けでは唯一の5MT車となる[注釈 17])。ボディカラーは既存の「ピュアブラックパールメタリック」と「ブリリアントシルバーメタリック」に加えて、NISMO専用色の「ブリリアントホワイトパール3コートパール(オプションカラー)」の3色展開となる。この「ブリリアントホワイトパール3コートパール」は2014年5月の一部仕様向上に伴い、他のグレードでも設定できるようになった。

受賞歴
  • 2010年12月 - スプリンググリーン外装+ブラック×アイボリー内装が、オートカラーアウォード2011ファッションカラー賞を受賞。

年表

車名の由来

  • 「マーチ」 (MARCH) は、英語で「行進曲」「行進」「3月」の意である[21]。同社のサニーも同じように一般公募で命名された。しかし、商標登録上の問題はないとはいえ当時最大のレーシングカーメーカーだったマーチの名を車名に使うことには批判があった。
  • そのためもあってか欧州ではマーチの名は用いず、「Micra」(マイクラ、しばしばミクラとも発音されるが、日産の公式文書及び日本名ではマイクラ)の車名で販売されている。これは英語でごく小さな長さの単位であるMicron(ミクロン)の複数形である。

関連項目

出典

  1. 日産自動車 欧州の次期型コンパクト車をルノーの欧州工場で生産”. 日産自動車ニュースリリース (2013年4月26日). . 2013閲覧.
  2. 歴史の中のイノベーション - N-Link(日産自動車)
  3. ちなみに1993年10月以前のK11型マーチの場合、「i・Z」以下のグレードにはトリップメーターが装備されていなかった。
  4. このグレード体系の見直しに伴い、最上級グレードに必ず標準装備されていたタコメーターはK12型にモデルチェンジするまで一時的に廃止された。
  5. ベストカー2012年9月10日
  6. グッドウッドパーク・マーチハービー
  7. 日産自動車、メキシコで「マーチ」の生産を開始 - 日産自動車 プレスリリース 2011年3月7日(2011年11月4日閲覧)
  8. マーチ/マイクラの世界販売台数600万台達成 - 日産自動車 プレスリリース 2011年6月22日(2011年7月7日閲覧)
  9. Renault small car Pulse unveiled”. Zigwheels.com (2011年10月29日). . 2011閲覧.
  10. Facelifted 2014 Nissan Micra / March Hatchback Puts on a New Face”. Carscoops (2013年3月23日). . 2013閲覧.
  11. NEW LOOK AND MORE TECHNOLOGY FOR NEW MICRA”. NISSAN NEWSROOM EUROPE (2013年6月4日). . 2013閲覧.
  12. 「フェアレディZ NISMO」を発売、あわせて「マーチNISMO」を発表 - 日産自動車 ニュースリリース 2013年6月24日
  13. 13.0 13.1 NISSAN DRIVES IN PREMIUM NEW MICRA & SPORTY MICRA ACTIVE”. インド日産 (2013年7月3日). . 2013閲覧.
  14. “[http://www.motorbeam.com/cars/nissan-micra/nissan-launches-micra-active-priced-at-rs-3-5-lakhs/ Nissan Launches Micra Active Priced At Rs. 3.5 Lakhs Read more at http://www.motorbeam.com/cars/nissan-micra/nissan-launches-micra-active-priced-at-rs-3-5-lakhs/#KFTYw5hZea46gosa.99]”. MotorBeam India (2013年7月3日). . 2013閲覧.
  15. Nissan Announces Micra's Return to Canada”. Nissan Online Newsroom Canada (2014年1月9日). . 2014閲覧.
  16. “「マーチ」の仕様を一部変更” (プレスリリース), 日産自動車株式会社, (2014年5月19日), http://www.nissan-global.com/JP/NEWS/2014/_STORY/140519-01-j.html . 2014閲覧. 
  17. “日産自動車、「ノート」「マーチ」の全国希望小売価格を改定” (プレスリリース), 日産自動車株式会社, (2016年1月1日), http://www.nissan-global.com/JP/NEWS/2016/_STORY/160101-01-j.html . 2016閲覧. 
  18. “オーテックジャパン創立30周年記念車、マーチ「Bolero A30(ボレロ エー サーティ)」を30台限定発売 - 4月11日(月)からホームページにて商談申込みの受付けを開始-” (プレスリリース), オーテックジャパン株式会社, (2016年4月1日), http://www.autech.co.jp/release/20160401_01.html . 2016閲覧. 
  19. “「マーチ」に新グレード「パーソナライゼーション」を追加” (プレスリリース), 日産自動車株式会社, (2017年7月5日), https://newsroom.nissan-global.com/releases/170705-01-j?lang=ja-JP . 2017閲覧. 
  20. 前期型は「G」系でも選択できた。
  21. 日産:車名の由来参照

注釈

  1. なおマーチの場合、次期モデルまでのモデルチェンジまでの期間は、平均して10年。
  2. 新型車の思想を反映したもの」「商標権上問題の無いもの」「発音しやすく覚えやすい」を前提とした一般公募による第1位は「ポニー」(118.820通)、第2位は「フレンド」(54152通)、第3位は「ラブリー」(42929通)、第4位は「シャトル」(40304通)、第5位は「スニーカー」(30628通)であったが、当時、審査員を務めた岡本太郎坂本九石原裕次郎王貞治などの有名・著名人の多くが第164位の「マーチ」(4065通)に投票していた。なお、応募総数は565万1318通だった。
  3. 荻窪事業所は旧・プリンス自動車工業の開発拠点であり、日産初のFF車、チェリー(後のパルサー)、ローレル(C31型まで)、スカイライン(R30型まで)、プレーリー(初代M10型)、レパード(初代F30型)も手がけている。
  4. 荻窪事業所の成り立ちは中島飛行機東京工場時代から続くプリンス自工の製造開発拠点で、戦後GHQの命により中島飛行機が解体され、その中の一つが富士産業→富士精密工業となり荻窪に残った事による。自動車の開発拠点としては、主にスカイラインをはじめプリンス時代から続くブランドの車や、チェリーを端緒とするFF車の開発を担当していたが、1981年11月に神奈川県厚木市に落成した大型研究開発施設のテクニカルセンターへ日産旧来の開発拠点であった鶴見の横浜事業所らと共に集約され、自動車の開発拠点としての使命は終わった。ただし日産はプリンスが中島飛行機時代から荻窪で行っていたロケット開発を引き継いで宇宙航空事業に参入しており、1998年に宇宙航空事業部が群馬県へ移転するまで荻窪事業所は存在していた(その後、宇宙航空事業部は2000年石川島播磨重工業へ部門ごと売却され、現在のIHI・エアロスペースとなる)。
  5. 日本国外ではMA12S 1235ccエンジンを搭載した車種や、Micra super(マイクラスーパー)などの独自車両も存在した。
  6. 日産テクニカルセンターの略。
  7. 現・デザイン本部。
  8. 生産はオープンカーの製造を得意とする高田工業が受託。
  9. 後年、K12型ベースのクロスオーバーSUVの車種名に流用される。
  10. 当初2000年の発売を目指して「ほぼ」開発は終了していたが、ルノーとプラットフォームの共通化のため発売が大幅に遅れたといわれている。
  11. ルノーとのプラットフォームの共通化に伴い、給油口がこれまでの日産FF車の定位置であった左側からBプラットフォーム標準の右側に変更された。ただし、Vプラットフォームを採用した次期型では再び左に戻されている
  12. それより前に発表された車種は着任前すでに開発が始まっていた。
  13. 日産社内からもノートが登場した。
  14. K12系ベースの新世代に移行した後も、旧型がK11型マーチの中古車をベースに継続生産され、「メイクアップビュート」と名前を変えて販売されている。
  15. フリード・マーチリッツ
  16. ちなみにスポーティー仕様にも関わらず、ベースとなった「X」同様、タコメーターは標準装備されていない。
  17. このほか、「NISMO S」にはNISMOロゴの刻印が入ったタコメーター、および220km/hまで表示されたスピードメーターが付いた2眼式コンビネーションメーターなどが装備される。
  18. 海外からの輸送のため、ボレロ同様、ライトやバンパーはレスではなく仮装着の状態である。

外部リンク

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