新幹線鉄道規格新線

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新幹線鉄道規格新線(しんかんせんてつどうきかくしんせん)とは、新幹線の形態の一つで、一般的には「スーパー特急」と呼ばれている。

概要

整備新幹線建設のトータルコスト削減という目的から、路盤やトンネル高架橋といった構造物は新幹線規格(フル規格)で整備するが、軌道は在来線と同じ軌間の1,067 mm狭軌)として建設するもの。架線電圧も在来線と同じ交流20,000 Vとなっている。

主たる区間を200 km/h以上で運行するため、法令(全国新幹線鉄道整備法)上もれっきとした新幹線であるが、狭軌のため在来線との直通運転が可能なことが大きな特徴である。スーパー特急用の車両の新造は必要であるが、車両基地停車場などを在来線と共用できる。一方、着工区間によってはフル規格と比べて時間短縮効果が低いことや、フル規格新幹線区間との直通にはフリーゲージトレインが必要な点、乗り入れずに別個の車両を使用するとしても対面乗り換えなどの対策が必要な点などが課題となる。建設費はフル規格とさほど変わらないとされている。

建設当初にスーパー特急方式として整備されていた区間があるが、それらは途中で全てフル規格新幹線に変更されているため、現時点においてスーパー特急方式の路線は存在しない。

非スーパー特急方式の新幹線対応在来線

スーパー特急方式は、整備新幹線として認可される工事実施計画の一つの方式である。次の路線はスーパー特急方式ではなく、将来の新幹線路線の敷設も対応した通常の在来線として開業している。なお、これらの路線は新幹線路線を全く新規に作ると建設費が莫大になるため、このような方法を採用した。

北海道新幹線海峡線):中小国駅 - 木古内駅[1]
青函トンネルとその前後の区間は、整備新幹線計画に合わせて新幹線規格で建設され、1988年昭和63年)3月13日北海道旅客鉄道(JR北海道)の海峡線として開業した。線路間隔4.4 m、軌間1,435 mm(標準軌)に対応するスラブ軌道を採用。勾配は±15 ‰以内、曲線半径もR=6,500程度と、新幹線規格の範囲で抑えている。
青函トンネル内は日本国有鉄道(国鉄)時代に製造された旧型特急車両(通常制限最高速度120 km/h)でも140 km/h現示まで出すことが可能であった。保安装置は、開業当時に東北新幹線の全線で使用されていたアナログATC(ATC-2型)と互換性を持つATC-L型を採用していた[2]
2005年(平成17年)5月22日に北海道新幹線の新青森 - 新函館北斗間がフル規格で着工され、2016年(平成28年)3月26日に開業した。新幹線開業まではレールは軌間1,067mm(狭軌)にボルトで固定されていたが、開業後は新中小国信号場 - 木古内駅間が三線軌条となり、新幹線と在来線が共用している。同時に、架線電圧も交流20,000Vから交流25,000Vに昇圧したため、貨物列車には複電圧電気機関車EH800形)が新規に投入された。
四国横断新幹線本四備讃線):茶屋町駅 - 宇多津駅
1988年(昭和63年)3月20日西日本旅客鉄道(JR西日本)管轄の茶屋町駅 - 児島駅間が開業。同年4月10日四国旅客鉄道(JR四国)管轄の児島駅 - 宇多津駅間が開業。
茶屋町駅 - 児島駅間は一部で勾配や曲線が新幹線規格に適合していない区間があるため、その区間は別途新幹線用の線路が敷設される。また、児島駅 - 宇多津駅間の鷲羽山トンネル部分と瀬戸大橋の下層には、新幹線と在来線の複々線を敷設する空間が確保されているが、現在は新幹線用の線路は敷設されておらず、在来線の複線のみが敷設されている。なお、架線電圧は直流1500V、保安装置は自動列車停止装置(ATS-SS)である。
四国横断新幹線の建設時は、新幹線と在来線の複々線にする計画であるが、具体的な建設計画は未だ白紙状態のままである。仮に建設決定になったとしても、現状でも瀬戸大橋区間において騒音問題ゆえに最高速度での運転が出来ない状況にある等、難題は多い。

着工後、フル規格に変更された区間

北陸新幹線
石動(西石動信号場) - 金沢
1992年(平成4年)8月6日着工。当初、高岡(西高岡信号場、北陸本線西高岡駅とは異なる地点) - 金沢とされていたが、地元自治体が北陸本線・石動 - 高岡の在来線分離に消極的だったことから、起点が石動に変更された。このルート変更によって、難工事区間として先行着工されていた加越トンネルは不要となり、既に投入された建設費は富山県が負担した。また、この変更によるミッシングリンクへの対応のために暫定的に時速160km程度で走行出来る在来線特急列車を既設の新幹線構造物に敷設した在来線軌道へ入線させると決定していた。2004年(平成16年)12月16日の建設計画見直しで富山 - 白山車両基地の着工が決まり、フル規格に格上げ。2015年(平成27年)3月14日にフル規格で開業。
糸魚川(西糸魚川信号場) - 魚津(東魚津信号場)
1993年(平成5年)着工。2000年(平成12年)12月18日の建設計画見直しで上越 - 富山の着工が決まり、フル規格に格上げ。2015年(平成27年)3月14日にフル規格で開業。
九州新幹線鹿児島ルート
八代(南八代信号場)のち新八代 - 西鹿児島(現在は鹿児島中央
1991年(平成3年)9月7日着工。1998年(平成10年)10月13日の建設計画見直しで船小屋 - 新八代の着工が決まり、起点を新八代に変更。2000年(平成12年)12月18日の建設計画見直しで博多 - 船小屋の新規着工が決まり、フル規格に格上げ。2004年(平成16年)3月13日にフル規格で開業。00年の計画見直しまでは新八代駅にアプローチ線を敷設し、以南をスーパー特急方式としていた。
船小屋(船小屋信号場、現在は筑後船小屋) - 新八代
1998年(平成10年)3月12日着工。2000年(平成12年)12月18日の建設計画の見直しで博多 - 船小屋の新規着工が決まり、新八代 - 鹿児島中央とともにフル規格に格上げ。2011年(平成23年)3月12日にフル規格で開業。
九州新幹線長崎ルート武雄温泉 - 諫早
2004年(平成16年)12月16日の建設計画見直しで武雄温泉 - 諫早間の着工が決定した。2007年(平成19年)12月16日に沿線自治体が建設に合意、2008年(平成20年)4月28日にスーパー特急方式で着工。2012年(平成24年)6月29日に諫早 - 長崎間のフル規格での着工が決定し、この区間もフル規格へと変更された。

スーパー特急への技術的応用を考慮して製造、設計された車両

構造物は新幹線規格でありながら軌道は在来線規格であるという特徴を持つスーパー特急への投入を考慮し、将来的な投入の為の準備として高速性能を向上させた車両が存在する。

  • JR西日本681系電車:設計当時の北陸新幹線の黒部-富山間および石動-金沢間での160km暫定運用や湖西線における高速走行の可能性を考慮し、設計最高時速160km、営業最高時速130kmの車両性能を確保している。後のほくほく線内における160km運転の際に気密性を向上させ、列車種別の選定のために車上子を搭載した。
  • JR東日本E991系電車:在来線における究極の技術開発に挑戦する試験車両として、設計最高運転速度200kmを担保している。
  • JR九州787系電車:九州新幹線の八代-西鹿児島間および博多-船小屋間が未着工だった当時の路線計画に基づき、新八代以南の区間での運用を考慮し、鋼製車体かつ電動車の比率を上げて高速走行性能を確保している。

また、スーパー特急への投入を意図している車両ではないものの、京成AE型電車も高速性能を向上させている。これは未成線となった成田新幹線の路盤を成田空港線として転用する際に成田空港へのアクセス路として活用し、東京-成田空港間を30分台で結ぶために設計最高速度170km、営業最高速度160kmを担保している。JR西日本の681系の一部車両と同じく気密性を高くし、また車上子による列車種別の選定を行っている。

脚注

  1. 中小国駅 - 新中小国信号場間は東日本旅客鉄道(JR東日本)津軽線との重複区間である。
  2. ただし、JR各社は新幹線のATCシステムのデジタル化を進め、東北新幹線では2007年平成19年)7月22日から全線がデジタルATC(DS-ATC)へ移行したため、新幹線との互換性保持は意味を持たなくなっていた。北海道新幹線の開業後は置き換えられた。

関連項目