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キリスト教

キリストきょう Christianity

1世紀の初めパレスチナで神の国を説いたイエス・キリストの刑死ののち,その生涯と教えに基づき,イエスを復活した救い主と信じることによって成立した宗教。ユダヤ教がその母体で,ユダヤ教の聖典トーラーはキリスト教成立の前提をなしている。キリスト教徒は,イエスが旧約の預言に従って生まれ,かつてイスラエル民族に与えられた救いの約束(旧約)を全人類に拡大完成する新しい契約(新約)の仲介者であり,そのために人類の罪を負って十字架上であがないの死を遂げたものと考えた。

イスラエル民族の信じた神ヤハウェはそれによって全世界の人々の神となったが,イエスはこの神の子,神的ロゴスの託身したものという新しい信仰的要素を加えるとともに,ユダヤ教の律法の廃棄もキリスト教の新しい特徴となった。こうしてキリスト教は 1世紀後半にはユダヤ教と分離して独自の教会組織を形成していった。キリスト教は短時日の間にローマ帝国内に広まり,激しい迫害を克服して 4世紀には公認宗教となった。中世以後は,さらにゲルマン諸族の改宗によって西洋史の中心に踏み出し,今日にいたるまでヨーロッパ,地中海沿岸諸地方において文化と社会の基礎をなしている。

早くから世界的な宣教の努力を重ねてきたが,特に 16世紀以降ヨーロッパ以外へも進出,アジア,アフリカ,南北アメリカにもキリスト教国,キリスト教信徒の数は多い。古代の教会はローマ教皇を首座とする司教制度のもとに統一されていたが,1054年ギリシア正教会がローマ・カトリック教会から分離した。また宗教改革によりプロテスタント諸教会が後者のなかから独立し,それらは今日ではさらに多くの分派を生じている。

しかし一方では 20世紀に入って,教会合同・一致(エキュメニズム)の機運も高まっている。キリスト教の特色は,ユダヤ教以来の唯一神信仰に立って,イエスを真の神,真の人とする独特の三位一体論や,キリスト論を教義としているところにある。ここから信徒の生活は,神の礼拝とともにイエスの生涯と教えに従う実践に重きがおかれることとなり,良心と隣人愛が強調される。また神と永遠の生命を究極目標とする超越性とともに,社会や文化への積極的関心を示していることもその特質をなす。西欧中世において,キリスト教会が文化の媒介者,形成者として大きな役割を果たしたのもこれによるが,近代以降においても,キリスト教の社会的活動は他の諸宗教をしのいで著しいものがある。