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エリピューレー

ファイル:Polynices Eriphyle Louvre G442.jpg
ポリュネイケースから首飾りを受け取るエリピューレー。ルーブル美術館所蔵

エリピューレー古希: Ἐριφύλη, Eriphȳlē, ラテン語: Eriphyla)は、ギリシア神話に登場する人物である。長母音を省略してエリピュレとも表記する。 アルゴスタラオスとリューシマケーの娘。アポロドーロスによれば、兄弟にアドラストスパルテノパイオスプローナクスメーキステウスアリストマコスがある。 テーバイ攻めの七将の一人アムピアラーオスと結婚し、アルクマイオーンアムピロコスの息子がある。

神話

テーバイ攻めの七将

アドラストスがテーバイ攻めの召集をかけたとき、エリピューレーの夫アムピアラーオスは、この戦いがアドラストス以外は死ぬ運命にあることを予見して反対し、他の将の参加も阻止しようとした。ポリュネイケースは、テーバイから持ち出していたハルモニアーの首飾りをエリピューレーに贈って口添えを頼んだ。首飾りは、ヘーパイストスが作り、アプロディーテーがハルモニアーに贈った魔法の品だった。

アムピアラーオスは、あらかじめエリピューレーに贈り物を受けないよう伝えていたが、エリピューレーは首飾りを受けてアムピアラーオスに参戦するよう説得した。アムピアラーオスは、かつてエリピューレーの兄弟であるアドラストスと不和が生じたとき、以後二人に争いがあったときはエリピューレーの裁断に従うことを誓言していたため、やむなく戦いに出発した。その際、アムピアラーオスは息子たちに、成人したら母親を殺してテーバイを攻めるよう言い残した。テーバイの戦いに敗れ、逃亡したアムピアラーオスは地下の割れ目に呑み込まれて姿を消した。

エピゴノイ

10年後、七将の息子たちエピゴノイは父親たちの遺志を継いでテーバイ攻めを計画した。彼らのなかでエリピューレーの息子アルクマイオーンひとりは戦う意志がなく、弟のアムピロコスと口論になった。二人はエリピューレーに参戦するか否かの結論を委ねた。ポリュネイケースの息子テルサンドロスはこれを見て、父親から受け継いでいたハルモニアーの結婚衣装をエリピューレーに贈り、アルクマイオーンの参戦を促すよう頼んだ。この結婚衣装は、アテーナーがハルモニアーに贈った魔法の品だった。エリピューレーは再び贈り物を受け取り、息子たちを戦いに送り出した。

エピゴノイはテーバイを陥落させ、アルクマイオーンはエリピューレーが2度までも買収されたことを知った。アムピアラーオスの遺言とあわせ、デルポイの神託が「エリピューレーは死に値する」と告げたことから、母親を殺せとの命だと受け取ったアルクマイオーンは、帰還するとエリピューレーを殺した。この殺害には弟のアムピロコスも加わっていたとするものもある。エリピューレーは死の直前にアルクマイオーンを呪い、アルクマイオーンはエリーニュスたちから追われる身となった。

ホメーロス叙事詩オデュッセイアー』(第11書)では、オデュッセウス冥府を訪れたとき、多くの王妃や王女たちの亡霊に出会っているが、そのなかにエリピューレーの姿があった。

グレーヴスの論考

ロバート・グレーヴスによれば、これらの物語を通じて、エリピューレーが常に戦争か平和かの決断を下す力を持っていたことに着目している。エリピューレーとは「鬱蒼とした」という意味で、これはドードーナヘーラーに仕える巫女と同様に彼女がアルゴスで巫女であったことを暗示しているとする。

野生のの木は白い花を付けるので、にゆかりの神木とされた。プルタルコスの『ギリシア問題』やアッリアノスの『雑録』では、アルゴスやティーリュンスで梨の木がことのほか珍重されていたことを述べており、ミュケーナイのヘーライオンに安置されてあったヘーラー最古の像は梨の木で作られていた。このことから、グレーヴスはエリピューレーの名前の由来と、神木としての梨に関連を見ているのである。

系図

テンプレート:タラオスの系図

参考書籍