豊田真由子
豊田 真由子(とよた まゆこ、1974年10月10日 - )は、日本の政治家、元厚生官僚。元衆議院議員(2期)。無所属。学位は修士(ハーバード大学・2002年)。自由民主党女性局次長・青年局次長・国会対策委員会委員等、内閣府大臣政務官(東京オリンピック・パラリンピック競技大会担当)、文部科学大臣政務官、復興大臣政務官などを歴任したが、2017年8月、秘書への暴言・暴行が報道されたことを受け離党した。
官僚としては金融庁総務企画局課長補佐、在ジュネーブ国際機関日本政府代表部一等書記官、厚生労働省老健局課長補佐などを歴任。
Contents
来歴
生い立ち
1974年[1][2]、千葉県に生まれる。血液型A型[1]。3人姉妹の次女[1]。船橋市立法典東小学校[1]、桜蔭中学校・高等学校を経て[1]、1993年に東京大学文科一類に入学[1]。法学部第2類(公法コース)に進み、佐々木毅 教授(2001年 - 2005年 東京大学総長)のゼミで政治学を学んだ[1]。
官僚として
1997年、東京大学法学部を卒業後、厚生省へ入省[1][3]。2000年に国費留学生として ハーバード大学大学院へ入学し、パブリック・ヘルスを学ぶ[4]。2002年に理学の修士号を取得した[1][3]。
中央省庁再編により設置された厚生労働省にて、社会・援護局や健康局などで勤務。2003年からは金融庁の総務企画局保険企画室課長補佐。2007年には、在ジュネーブ国際機関日本政府代表部に一等書記官として赴任した[5][1][3]。在職中、ジュネーブで長男、その後パリで長女を出産[1]。
2011年に帰国し、厚生労働省の老健局高齢者支援課課長補佐に就任した[1][3]。東日本大震災の発生により、避難先や仮設住宅等における高齢者福祉政策等を担当した[4]。復興が一向に進まない現状から、民主党政権の国家運営の実情に対し強い疑問を抱き、政治の世界に転身する決意をする[6]。
政治家として
厚生労働省を退官後、自民党埼玉県連の公募に合格。2012年12月の第46回衆議院議員総選挙に埼玉県第4区から自由民主党公認で出馬し[1]、初当選した[7]。この時、豊田は足首を骨折していた[8]。
自由民主党においては、厚生労働副部会長、厚生関係団体委員会・労働関係団体委員会・外国人労働者等特別委員会等にて副委員長、首都圏整備特別委員会の事務局次長、国家戦略本部の主査を務めた[9]。派閥としては清和政策研究会に所属した[10][11]。
2014年、第47回衆議院議員総選挙で他候補を大きく引き離して再選[12]。2015年10月9日に、第3次安倍第1次改造内閣の内閣府大臣政務官(東京オリンピック・パラリンピック担当)、文部科学大臣政務官(科学技術・イノベーション、スポーツ振興担当)、復興大臣政務官に就任。
2017年6月22日、週刊新潮で秘書への暴言や暴行について報じられ、同日に自民党へ離党届を提出する[13]。8月10日に離党が了承される[14]。
2017年10月の第48回衆議院議員総選挙に無所属で出馬したが落選[15]。得票数は第47回総選挙の4分の1となる21,614票に減少し、立候補者5名のうち最下位であった[15]。
発言
- 厚生労働省時代、甚大な被害を受けた東日本大震災の被災地において、避難先や仮設住宅等での高齢者福祉政策等を担当した経験から、議員となった後も、被災者の声を聞き、「決して忘れない」ことを伝えるためにも、被災地に通い続けることが大切だと述べている[4]。
- 2014年の衆議院議員再選の際に、政策を立案する官僚と、現場の思いをくみ取る国会議員という異なる立場を経験したことを生かしたいと述べている[16]。
主張
人物
- 国土交通省のキャリア官僚である夫との間に一男一女を儲けている[17]。
- 座右の銘は「艱難汝を玉にす」、趣味は絵画鑑賞、ジョギング、料理[7]。
- 厚生労働省時代に、TOEIC960点のスコアを取得[8][注 1]。
- ハーバード公衆衛生大学院時代に豊田を教えたマイケル・ライシュは、同大学院の修了生の多くが医療や途上国のフィールドでの活動を選ぶ中で、豊田は政治家となった数少ない事例であると述べている[4]。
- 第18回ビートたけしのエンターテインメント賞話題賞を受賞した。
政治資金
- 医療法人「徳洲会」のグループ企業(株式会社ダイエタリーケア)から豊田の後援会に、2012年に開催されたパーティー代150万円の寄付があったことが、2013年に報じられている[18]。これについて、2013年12月2日に全額返還している[19]。
園遊会でのトラブル
2014年4月17日の春の園遊会には、豊田は夫と共に招待されていたが、夫ではなく、招待者ではない女性(豊田の母親[20])を同伴して入場しようとしたため、宮内庁の職員に断られ、その場で大声で抗議をした[20]。豊田は、招待者でない女性を同伴してそのまま入場した[21]。その後、宮内庁は衆議院に対しルールの周知徹底を要請した[21][注 2]。
秘書への暴行
2017年6月22日発売の『週刊新潮』が、豊田が政策秘書の男性(6月22日の時点で既に退職。以下「元秘書」)に対して暴言・暴行を行っていたと報じ、元秘書が録音した音声[23][24][25]をネット上で公表した[26][27]。
6月29日発売の『週刊新潮』の報道によると、同誌が公表した音声には、「このハゲー!」「ちーがーうーだろーっ!」「鉄パイプでお前の頭を砕いてやろうか!」「うん、死ねば?生きてる価値ないだろ、もうお前とか」といった元秘書への豊田の暴言、元秘書の娘が強姦通り魔に遭って殺されたというたとえ話が含まれていた[28]。
6月22日発売の『週刊新潮』の報道によると、この暴行のきっかけとなったのは、豊田の支援者へ贈るバースデーカードの宛名を元秘書が間違えたことに、豊田が激怒したことであった[26][29]。6月29日発売の『週刊新潮』の報道によると、豊田の「赤ちゃん言葉」による暴言も存在した[30]。
6月22日、下村博文・自民党幹事長代行は、豊田が精神的に不安定となり、入院したと発表した[31]。
6月22日、豊田の事務所は暴言・暴行の事実を認めた[32]。豊田は元秘書に対する暴言・暴行の責任を取り[32]、事務所を通じて自民党に離党届を提出した[27][32]。
7月3日、毎日新聞は、豊田の事件が、2017年都議選(2017年7月2日)における自民党大敗の一因となったと論評した[33]。
7月6日、元秘書は、豊田から暴力を振るわれた旨の被害届を埼玉県警に提出した[34][35]。
元秘書は、豊田から被害を受けた際の音声データ、診断書も埼玉県警に提出した[36]。
7月7日、埼玉県の自民県連は、党本部が離党届を受理した時点で、地元出身者等を公募で募集して公認候補とする意向を発表した[37]。
豊田は9月17日放送の『Mr.サンデー』(フジテレビ系列)に出演し、謝罪した上で当時の心境を述べた[38]。
10月27日、埼玉県警は、傷害と暴行の容疑で豊田を書類送検した[39]。
12月27日、さいたま地検が豊田を不起訴とした[40]。元秘書が刑事処罰を求めない旨の上申書を さいたま地検に提出したことにより(元秘書は豊田と示談していない)[36]、豊田に傷害と暴行の嫌疑はあるものの[40]、起訴猶予となった[41][40][36]。
12月27日、豊田は事務所を通じて謝罪と反省を述べたコメント(直筆[36])を発表した[42]。
所属団体・議員連盟
著書
共著
- 『保険業法Q&A―少額短期保険業のポイント』(白藤文祐との共著)、保険毎日新聞社、2006年11月、ISBN 4892930156。
寄稿
- 自民党国家戦略本部(編)『日本未来図2030』、日経BP社、2014年12月、ISBN 4822225194。
脚注
注釈
- ↑ 海外赴任前に、TOEIC900点以上のスコアが必要であったことが取得の動機である[8]。
- ↑ 園遊会に招待されるのは、(1)要人(立法・行政・司法、地方公共団体)と、その配偶者 (2)各界功績者と、その配偶者 (3)日本に駐箚する各国の外交官(大使など)と、その配偶者・令嬢[22]。例外として、たとえば招待者が車いすを使用している場合などに、「介助者」を同伴して入場することは認められる[21]。豊田の母親は2014年4月17日の園遊会に招待されておらず[20]、例外として招待者への同伴が認められる「介助者」に該当しないため、豊田が母親を同伴して入場することはできないルールであった[20]。
出典
- ↑ 1.00 1.01 1.02 1.03 1.04 1.05 1.06 1.07 1.08 1.09 1.10 1.11 1.12 とよた真由子. “プロフィール”. . 2013閲覧.
- ↑ “豊田 真由子”. 自民党. . 2014閲覧.
- ↑ 3.0 3.1 3.2 3.3 “文部科学大臣政務官 豊田 真由子 (とよた まゆこ) 第3次安倍改造内閣 大臣政務官名簿 総理大臣 首相官邸ホームページ”. 首相官邸ホームページ. . 2017閲覧.
- ↑ 4.0 4.1 4.2 4.3 Public health politician Harvard T.H. Chan School of Public Health
- ↑ 引用エラー: 無効な
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」という名前の引用句に対するテキストが指定されていません - ↑ [1] MEDIFAX digest
- ↑ 7.0 7.1 “文部科学大臣政務官(2015年10月現在)”. 文部科学省. 2015年12月1日時点のオリジナルよりアーカイブ。. 2017閲覧.
- ↑ 8.0 8.1 8.2 月刊「新潮45」2013年12月号「桜蔭だけがなぜ特別なのか」
- ↑ 自由民主党 役員表 自由民主党
- ↑ 会員・準会員紹介 清和政策研究会
- ↑ 豊田 真由子 清和政策研究会
- ↑ 読売新聞 2014年12月15日
- ↑ “豊田真由子衆院議員が自民党に離党届を提出 元秘書への暴行・暴言報道で引責”. 産経新聞. (2017年6月22日) . 2017閲覧.
- ↑ “豊田真由子氏の離党了承”. 毎日新聞. (2017年8月10日) . 2017閲覧.
- ↑ 15.0 15.1 “豊田真由子氏は最下位 得票数は前回の4分の1の2万票 支援者らと涙流し抱き合う”. 産経新聞. 2017年10月22日時点のオリジナルよりアーカイブ。. 2017閲覧.
- ↑ 埼玉新聞 2014年12月15日
- ↑ “桜蔭中高-東大-ハーバード院/豊田真由子氏の略歴”. 日刊スポーツ. (2017年6月23日). オリジナルの2017年6月23日時点によるアーカイブ。 . 2017閲覧.
- ↑ 朝日新聞 2013年11月25日
- ↑ 「変えるぞ日本とよた真由子を育てる会」政治資金収支報告書(平成25年分 定期公表)
- ↑ 20.0 20.1 20.2 20.3 “豊田議員、園遊会でもトラブル 母親入場させようと”. 共同通信. (2017年6月22日). オリジナルの2017年7月9日時点によるアーカイブ。 . 2017閲覧.
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- ↑ “【第3弾】〈物事にはねえ!裏と表があんの!!〉 さらなる絶叫暴力「豊田真由子」代議士”. デイリー新潮(Youtube) (2017年6月28日). . 2017閲覧.
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- ↑ 43.0 43.1 俵義文『日本会議の全貌』花伝社、2016年。
- ↑ “とよた真由子所属議員連盟一覧” (ja-JP). http://www.toyotamayuko.com. とよた真由子. . 2018閲覧.