林道
提供: miniwiki
林道(りんどう)とは、森林の整備・保全を目的として森林地帯に設けられる道路の総称である。
各国の林道の路網密度
日本の林道
概要
日本においては、森林法の規定に基づいて設置されるものであり、道路法・および関連法規(道路構造令など)の枠外にある[2]。ただし、一般の用に供される林道については、道路交通法・道路運送車両法などの規定は適用される[2]。所管は国土交通省ではなく、林業を管轄する農林水産省(林野庁)で林業の受益地に設けられるものであり、必ずしも林の中だけとは限らない[2]。このような道路の制度は日本独自のもので通行権の制限がある[2]。また広義(日常語的)には、林の中に通る道を、すべて林道と呼ぶ。
歴史
第二次世界大戦以前までは、材木の伐採に必要な資材や人員の輸送は人の足に頼ることがほとんどであり、木材の搬出も木馬や鉄砲堰、筏流し、時代が下って森林鉄道が主流であった。当時に林道と呼ばれたものはせいぜい、人の通行が可能な程度の幅や規模のものが多かった。それらの林道の一部は、現在でも登山道として使われたり、ハンターや釣り人、山菜取りの人に利用されているが、大多数は山林中にその痕跡のみをとどめている。自動車が通行する道路としての林道の建設が始まったのは、1960年代以降、国産トラックの性能が向上して以降である。
林道の種類
- 緑資源機構大規模林道
- (農林水産省所管)が緑資源幹線林道として整備を行ってきた高規格林道(いわゆる大規模林道)。1973年(昭和48年)、森林開発公団(後の独立行政法人「緑資源」機構)によって、全国に7つの林業圏域が設定された(大規模林業圏開発林道事業)。大規模林道(大規模林業圏開発林道)とは、それらの林業圏域において、林道網の中核として位置付けられた大規模な林道のことをいう。大規模林道は、スーパー林道と同じく「峰越し・多目的」の林道であるが、その規格(幅員7 m・2車線完全舗装)は、スーパー林道(道路幅員4.6 m未舗装)を上回る[3]ものであり、大型観光バスも走行可能な山岳ハイウェイ(観光道路)をめざしたものとなっている。2007年度末、緑資源機構は廃止となった。その時点で未完成区間を残していたため、それらについては独立行政法人の事業としては廃止し、地方公共団体(具体的には北海道および該当県)の判断により、必要な区間について国の補助事業として実施することになった。そして、そのために「山のみち地域づくり交付金」が創設された。その後の各道県の対応(そのまま事業を継続するか、あるいは中止するか)をみると、各自治体ごとに異なっている。例えば、北海道中止、広島県(十方山林道を含む)中止などである。
- 特定森林地域開発林道(スーパー林道)
- かつて建設されていた高規格林道。現在は、地元自治体等へ移管され多くが市町村道等となっている。
- ふるさと林道
- 過疎が進む山間地を連絡するために林道を建設または既存の林道を改修(アスファルト舗装等)するもの。二車線区間や、トンネルや橋梁が多く存在する(本来の林道は、山を迂回させて多くの森林所有者の敷地を通した方が有利)など、性格的には林道というよりも市町村道の肩代わり的な役割を担っている。県の単独事業であるが、総務省から補助金に相当する額が県に交付される。
- 広域基幹林道
- 併用林道
- 地元市町村が林道を借り受けて管理、実質的に市町村道として利用しているもの。一般補助林道と異なり、一般車両の自由な通行が可能となる。本来の一般補助林道は1車線が基本であるが、併用林道化に伴い、地元自治体が独自に2車線へと拡幅する例もある。
- 一般補助林道
- 森林組合などの森林所有者や管理者、地方自治体が開設する林道[2]。開設に要する工事費の大部分は、国や地方自治体の補助で賄われるが、森林所有者にも負担金が生じるため、コストの切りつめや所有者間の境界を意識した路線の設定が行われる。このため、一般道路に比べると勾配区間が多く線形もきつい『悪路』であることが多い。完成後の維持管理費は、自治体や森林所有者の負担となるため、廃棄物の不法投棄や一般車両に路盤が荒廃されないよう、安全確保を名目に施錠機能を持つゲートが設けられる例もある。しかし、一部の登山者が、林道の入口ゲートの鍵を壊すなどするケースが、全国3,924か所のうちの3割に当たる1,233件に及ぶことが、林野庁の調査で発覚しており、林野庁は対策に苦慮している[4]。
出典
参考文献
- 窪田陽一 『道路が一番わかる』 技術評論社〈しくみ図解〉、2009-11-25、初版。ISBN 978-4-7741-4005-6。