阪神電気鉄道
阪神電気鉄道株式会社(はんしんでんきてつどう、英称:Hanshin Electric Railway Co., Ltd.)は、大阪と神戸を結ぶ鉄道を運営している大手私鉄。通称は「阪神電鉄」、「阪神電鉄KK」または「阪神電車」、略称は「阪神」、キャッチコピーは「“たいせつ”がギュッと。 阪神電車」。阪急阪神ホールディングスの完全子会社であり、阪急阪神東宝グループの企業である。
Contents
会社概要
1905年に営業を開始しており、都市間電気鉄道(インターアーバン)としては日本で最も古い。2009年3月現在の鉄道事業の営業キロは48.9km、バス事業の営業キロは1,979.8km。また、プロ野球球団「阪神タイガース」の親会社でもある。
2006年6月19日に村上ファンドによる買収問題を発端とする株式公開買い付け (TOB) が成立し、阪急ホールディングスの連結子会社 (64.76%) となった。同年10月1日には阪神電気鉄道株1株につき阪急ホールディングス株1.4株を割り当てる株式交換を実施し、阪急阪神ホールディングス(阪急ホールディングスから商号変更)の完全子会社となった。詳しくは「阪急・阪神経営統合」を参照のこと。
本社所在地は大阪府大阪市福島区海老江一丁目1番24号。他に東京事務所が東京都千代田区有楽町一丁目5番2号 東宝ツインタワービル5階にある。
歴史
1896年(明治29年)田中市兵衛、外山脩造、川上左七郎、前川槇造、大阪発起人総代により広瀬宰平、藤田伝三郎、豊田文三郎、岡橋治助らを加え発起人会が発足する。1899年(明治32年)6月に、社名を摂津電気鉄道株式会社として社長に外山脩造を迎えて設立。同年7月に阪神電気鉄道株式会社に改称し、1905年(明治38年)4月に神戸(三宮) - 大阪(出入橋)間の営業を開始した。
年表
- 1899年(明治32年)
- 1902年(明治35年) 東証・大証に上場。
- 1905年(明治38年)4月12日 本線 神戸(三宮) - 大阪(出入橋)間が開業。
- 1914年(大正3年)8月18日 北大阪線開業。
- 1924年(大正13年)1月20日 伝法線(現在の阪神なんば線)開業。
- 1926年(大正15年)7月1日 甲子園線開業。
- 1928年(昭和3年)4月1日 阪神国道電軌を合併し、国道線とする。
- 1929年(昭和4年)4月14日 尼崎海岸線開業。
- 1933年(昭和8年)
- 1935年(昭和10年)12月10日 株式会社大阪野球倶楽部(大阪タイガース)を設立(1961年〈昭和36年〉4月1日付で株式会社阪神タイガースに社名変更)。
- 1943年(昭和18年)11月21日 武庫川線開業。
- 1944年(昭和19年)8月17日 武庫川線 武庫大橋 - 武庫川間の延伸で阪神の路線総延長が最長の76.5kmとなる[1]。
- 1949年(昭和24年)11月17日 阪神国道自動車(阪国バス)を合併。
- 1954年(昭和29年)
- 1957年(昭和32年)4月17日 百貨店事業を分離独立する形で株式会社阪神百貨店が設立。
- 1958年(昭和33年)7月24日 ジェットカー5001形(初代)営業運転開始。
- 1962年(昭和37年)12月1日 尼崎海岸線廃止(これにより当時の路線総延長は休止区間を含めて75.6kmとなる。以下も路線総延長に休止区間含む。2年後の西九条延長で総延長は0.8km追加される)。
- 1968年(昭和43年)4月7日 神戸高速鉄道が開業。山陽電気鉄道と相互直通運転開始。
- 1970年(昭和45年)7月1日 日本初の電機子チョッパ制御装置(力行のみ)採用の7001・7101形営業運転開始。
- 1975年(昭和50年)5月6日 国道線・甲子園線・北大阪線全線廃止(当時の路線総延長41.0km)。
- 1977年(昭和52年)12月27日 全線を軌道法に基づく軌道から地方鉄道法に基づく鉄道に変更。
- 1983年(昭和58年)4月30日 営業用全車両の冷房化を完了(日本の民鉄界で初)。ただしこの時点では武庫川線は冷房電源のない3301形の単行で運行されていたため、冷房は使用できなかった。
- 1984年(昭和59年)4月3日 武庫川線洲先 - 武庫川団地前間0.6km延伸開業(当時の路線総延長41.6km。翌1985年の同線休止区間の廃止で40.1kmとなる)。同線が2両編成での運行となり、全線全営業列車での冷房使用を開始。
- 1985年(昭和60年)8月12日 運輸省(現・国土交通省)で日本民営鉄道協会の会議が行われたが、代表取締役社長で阪神タイガース球団オーナーである久万俊二郎が私用で出席できなくなり、専務取締役鉄道事業本部長でタイガース球団社長の中埜肇と常務取締役の石田一雄の2人が代理でこの会議に出席し、終了後帰阪のために羽田発伊丹行日本航空123便に搭乗し、その墜落事故で犠牲となった。
- 1988年(昭和63年)4月1日 元町 - 西代間の第2種鉄道事業(第3種鉄道事業者:神戸高速鉄道)開始。
- 1992年(平成4年)5月18日 本社を梅田から野田阪神ビルに移転。
- 1995年(平成7年)
- 1996年(平成8年)
- 3月20日
- 石屋川車庫が復旧。9000系営業運転開始で震災前の車両数に復旧。
- スルッとKANSAI対応「らくやんカード」発売開始。
- 3月20日
- 1998年(平成10年)2月15日 梅田 - 山陽姫路間に直通特急を運転開始。
- 2001年(平成13年)3月10日 9300系営業運転開始。
- 2005年(平成17年)10月1日 株式交換により、株式会社阪神百貨店を完全子会社化。
- 2006年(平成18年)
- 2007年(平成19年)
- 2009年(平成21年)
- 2010年(平成22年)
- 10月1日 神戸高速鉄道へ委託していた神戸高速線(東西線)の駅業務・運行業務を引き継ぐ(これにより路線総延長は現行の48.9kmとなる)。
- 12月29日 5550系営業運転開始[3]。
- 2011年(平成23年)9月1日 全線各駅において、構内終日全面禁煙化[4]。
- 2013年(平成25年)
- 2014年(平成26年)
- 2015年(平成27年)8月24日 5700系営業運転開始。
- 2016年(平成28年)5月24日 5700系が自社車両として初のブルーリボン賞を受賞[8]。
- 2018年(平成30年)
- 2019年春 阪神にてプリペイド式ICカード「ICOCA」および「ICOCA定期券」の発売を開始予定[9]。あわせて「阪急 阪神 能勢 北急レールウェイカード」の発売を終了予定[10]。
スポーツ・レジャー事業
レジャー事業は古くから活動しており、最初期のものに1907年(明治40年)開設の香櫨園遊園地がある(1913年(大正2年)閉鎖)。全国中等学校優勝野球大会(現・全国高等学校野球選手権大会)(夏の高校野球)の会場も誘致し、鳴尾球場(現在廃止。タイガース二軍球場とは別のもの)と阪神甲子園球場を相次いで建設している。その後甲子園球場を本拠地とする阪神タイガースを創立し、また甲子園球場では選抜高等学校野球大会(春の高校野球)も開催されている。また甲子園地区や六甲山地区の開発にも携わり、阪神間モダニズムの一翼を担った。
現在でも直営の施設を持っているが、大部分の施設の運営は子会社の六甲山観光株式会社に委託されており、子会社が所有している施設もある。
現在の主な直営施設
- 阪神甲子園球場(阪神タイガース本拠地、春・夏の高校野球大会会場)
- 六甲高山植物園
- 六甲山スノーパーク
- ホール・オブ・ホールズ六甲
子会社によるもの
- ラフィット(フィットネスクラブ・株式会社ウエルネス阪神)
- リゾ鳴尾浜(複合スパリゾート・株式会社鳴尾ウォーターワールド - 西宮市と阪神電鉄が中核として出資している第三セクター)。
閉鎖されたもの
- 香櫨園遊園地
- 鳴尾運動場 - 鳴尾競馬場を改造したもの。場内に鳴尾球場があった。
- 南甲子園運動場 - 戦前に全国中等学校蹴球選手権大会や全国中等学校ラグビーフットボール大会などが開催された。鳴尾競馬場の西側にあった。
- 甲子園プール - 1万人収容スタンドがあった公認プールで、甲子園球場の西側にあった。
- 甲子園阪神パーク - 2003年に閉鎖した遊園地。跡地は三井不動産プロデュースのららぽーと甲子園とキッザニア、イトーヨーカドーとなる。
関係企業
阪急阪神東宝グループに属する全企業の一覧は「阪急阪神東宝グループ」を参照。
- 阪急電鉄
- 阪急百貨店(エイチ・ツー・オー リテイリング、イズミヤ)
- 東宝
- 阪神グループ
- 阪神タイガース
- 阪神園芸
- 阪神百貨店
- 大阪ダイヤモンド地下街株式会社
- 阪神ホテルシステムズ - ザ・リッツ・カールトン大阪の経営
- 阪神コンテンツリンク - ビルボードライブ(東京六本木、大阪梅田、福岡天神)運営主体
- ベイ・コミュニケーションズ - ケーブルテレビ局
- 阪神ケーブルエンジニアリング - ケーブルテレビ局の設計、施工、保守管理業務等
- Be Happy!789(FMキタ) - コミュニティFMラジオ放送局
- 山陽自動車運送
- 阪神車両メンテナンス - 武庫川車両工業より継承
- 西大阪高速鉄道
- 六甲山観光 - 2013年に六甲摩耶鉄道が阪神総合レジャーと合併して社名変更
- 神戸高速鉄道 - 阪急阪神ホールディングスグループ
- 山陽電気鉄道
- 神姫バス
- 京福電気鉄道 - かつては阪神の車両が譲渡されたり自社発注車に阪神との共通点が見られるなど、関係が深かった。だが1960年代より京阪電気鉄道が関係強化に乗り出した結果、現在京福および分社化した叡山電鉄は、京阪の100%子会社となっている。
- 近畿日本鉄道
- 大阪シティドーム - 京セラドーム大阪運営会社
- 朝日放送グループホールディングス - 朝日放送テレビはANN準キー局で、朝日放送ラジオはJRNとNRNの系列局。阪神との関連が深く、同社会長の坂井信也が朝日放送会社の取締役を2018年6月まで務めていた。また、2007年から2011年まで同局のアニメ・特撮番組である「仮面ライダーシリーズ」と「プリキュアシリーズ」のキャラクターを使って夏休み期間中にスタンプラリー(阪急・能勢電鉄と共催)を行っていた。現在では一部車両の中扉の浜側右側に番組宣伝のポスターを出稿している。サイズは昔阪急が、現在でも山陽電鉄が採用している正方形サイズの広告枠。
- 関西テレビ放送 - FNN/FNS準キー局。筆頭株主はフジ・メディア・ホールディングスでその持分法適用会社でもあるが、元来阪急系(阪急東宝グループ)の会社であり阪急との経営統合後は関連が深くなった。
- 東京巨人軍(読売ジャイアンツ。東京巨人軍は出資当時の名称) - 戦前の一時期、大阪タイガースの親会社でありながら出資していた。ただしこの当時の巨人軍の筆頭株主は阪神と同業の京成電鉄であり、読売新聞社ではなかった。また当時は無協約時代であったため、球団の親会社が他球団を含めた複数の球団に出資しても問題視されなかった。なお、読売新聞社も逆に大阪タイガースの株式を保有していた時期があった。
- 読売新聞大阪本社 - 読売新聞の大阪進出にあたり、阪神が仲介して社屋の用地を提供した。
関連施設
- ハービスOSAKA
- ホテル阪神 - 阪急阪神第一ホテルグループ
- ウイステ - 大手スーパー・イオンの野田阪神店が入居。
- アンスリー - 南海電気鉄道・京阪電気鉄道と共同経営していたコンビニエンスストア。阪急との経営統合により、阪神の駅にある店舗についてはアズナスに切り替わっている。
- ウインズ神戸 - 阪神電鉄がA館設置者。
- そごう神戸店 - 三宮阪神ビルが本館の一部となっている。竣工当時は梅田に阪神マートを開業したばかりで百貨店のノウハウがなかったため、そごうをキーテナントとして招へいした。
CM・提供番組
CM
1995年までは朝日放送(ABC)のテレビとラジオで提供番組を持ち、CMが放送されていたが、阪神・淡路大震災発生後は自粛に入りその後は阪神パーク甲子園住宅遊園のCMが放送された時期があったが、1998年頃の直通特急運行開始の時期、2009年の阪神なんば線開通の時期[注 1]にそれぞれCMが放送されていた。その後はラジオCMのみとなっていたが、2014年に入り、「阪神沿線物語」でテレビCMが2009年の阪神なんば線開通の時期以来5年ぶりに放送されることとなった[11]。このCMではHD制作となったが、2009年以前のCMは全てSD制作となっていた。2014年のテレビCMの主な出演者は女優の佐藤江梨子とお笑い芸人のハマカーン。ラジオについてはグループ会社のエフエムキタではスポット枠や提供枠を持っており、朝日放送では後述の提供番組で放送されている。2011年から2013年まで放送されていたCMは列車到着メロディを使用したCMが放送されていた。
1987年に「ぼくの街の阪神電車」のCMが放送され、CMソングは憂歌団が歌っていた。2017年には同CMを30年の時を越えてリメイクした「ぼくの街の阪神電車2017」が放映される。1987年版と2017年版では構図・CMソング[注 2]は全く同じであり、阪神タイガースの帽子、阪神百貨店の紙袋が2017年現在のものに変更され、撮影車両も8000系から1000系に変わった[12]。
阪神沿線物語シリーズCM出演者
このほか、桧山進次郎がワンシーンのみ出演していたこともある。
現在の提供番組
- サンテレビボックス席(サンテレビジョン放送分・阪神甲子園球場での阪神タイガース戦のみ)
- ABCフレッシュアップベースボール
- 駅ぶら街ぶら 阪神沿線 - 阪神沿線の各駅周辺を訪ねる、5分間のミニ番組。阪神グループのケーブルテレビ局・ベイ・コミュニケーションズが制作。同局および阪神・近鉄・山陽沿線のケーブルテレビ各局にて放送(提供クレジット表示はなし)。
過去の提供番組
- スポーツ・パレード - かつてABCラジオで放送されていた提供番組。
- ANNニュースレーダー→たいむ6(1983年の放映枠拡大時から)→ニュース・ウェーブ→600ステーションABC→ABC News Report→ワイドABCDE〜す - かつてABCテレビで放送されていた提供番組。阪神・淡路大震災発生に伴いCM放映を休止し、そのまま撤退している。
- 渡辺篤史の建もの探訪 - ABCテレビのみで提供していた。住宅情報番組のため当時あった阪神パーク甲子園住宅遊園のCMが中心だった。
- おはよう朝日です - 一時期スポンサーに付くことがあった。
- 沿線散歩 - 「ときめき沿線ドラマティックロード」の前番組
- 三月の花嫁 on ドラマティックロード(FM大阪)
- 正木明のエコ・スタイル(ラジオ関西制作)
- ABCフレッシュアップベースボール
- MBSタイガースライブ
- ドッキリ!ハッキリ!三代澤康司です(朝9時25分頃のニュースコーナー)
- ABCニュース(テレビ・ラジオ)
- 伍芳(ウー・ファン)のふらっと阪神沿線 - ABCラジオで放送されていた沿線情報番組。
脚注
注釈
出典
- ↑ 和久田康雄『私鉄史ハンドブック』電気車研究会、1993年、p.135
- ↑ 平成21年3月20日(祝)阪神なんば線開通 (PDF) - 阪神電気鉄道、2008年8月1日。
- ↑ 阪神5550系が営業運転を開始 - 交友社『鉄道ファン』railf.jp 鉄道ニュース 2010年12月31日
- ↑ 阪神電車のすべての駅を9月1日から終日全面禁煙化します阪神電気鉄道プレスリリース 2011年7月5日
- ↑ “たいせつ”がギュッと。 阪神電車 沿線活性化プロモーションを始動します (PDF) - 阪神電気鉄道、2013年7月1日。
- ↑ 阪神「三宮」を「神戸三宮」に駅名変更、駅ナンバリングを導入し、すべてのお客さまに分かりやすい駅を目指します (PDF) - 阪急阪神ホールディングス、2013年4月30日
- ↑ “[アラカルト]3月20日=兵庫 ◆駅ナンバリング、神鉄が導入”. 読売新聞(大阪朝刊) (読売新聞大阪本社): p. 32. (2014年3月20日)
- ↑ 阪神電気鉄道株式会社 (2016年5月24日), “普通用車両5700系(ジェット・シルバー5700)が、「ブルーリボン賞」を受賞!” (PDF) (プレスリリース), 阪神電車 . 2016閲覧.
- ↑ 阪急、阪神、能勢、北急におけるICOCAおよびICOCA定期券の発売について - 阪神電気鉄道、2018年3月29日
- ↑ 「阪急 阪神 能勢 北急レールウェイカード」の取扱について - 阪神電気鉄道、2018年3月29日
- ↑ 〜佐藤江梨子さんがお笑いコンビ「ハマカーン」と共に、阪神沿線の魅力を発信〜テレビCM「阪神沿線物語」の放送を1月14日から開始します。 阪急阪神ホールディングス 2014年1月7日
- ↑ 「ぼくの街の阪神電車 2017」 1月25日公開 (PDF) 、阪神電気鉄道、2017年1月24日。
関連項目
外部リンク
- 公式サイト