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赤崎勇


ノーベル賞受賞者ノーベル賞
受賞年:2014年
受賞部門:ノーベル物理学賞
受賞理由:高輝度で省電力の白色光源を可能にした青色発光ダイオードの発明

赤﨑 勇(あかさき いさむ、1929年1月30日 - )は、日本半導体工学者学位工学博士名古屋大学)。名城大学大学院理工学研究科終身教授、名城大学先端科学技術研究所所長、名古屋大学特別教授名誉教授、名古屋大学赤﨑記念研究センターフェロー京都大学名誉博士文化功労者文化勲章受章者、日本学士院会員。2014年『高輝度青色発光ダイオード発明』でノーベル物理学賞を受賞。

株式会社松下電器東京研究所基礎第4研究室室長松下技研株式会社半導体部長、名古屋大学工学部教授などを歴任した。

「赤﨑」の「﨑」は山偏に竒(いわゆる「たつさき」)であるが、JIS X 0208に収録されていない文字のため、赤崎 勇と表記されることも多い。

概要

鹿児島県出身の半導体工学者。高輝度青色発光ダイオードの核となる窒化ガリウム (GaN) の研究が知られており、世界の学術界産業界物性研究者達が挑戦し撤退し、物性制御が困難と信じられた窒化ガリウムを半導体研究ではそれまで用いることがほとんどなかったMOCVD法を決断し、高品質高純度の結晶化を実現し、1986年世界初の成功を収める(『特許1708203/米国特許4855249』、『特許3026087/米国特許5122845』)。そして学術上不可能とされた窒化ガリウムにおけるp型伝導の発見や発光ダイオードを高輝度にするために必要なp型半導体n型半導体pn接合青色発光ダイオードを発明し、1989年世界で初めて不可能だとされた高輝度青色発光ダイオードを誕生させることになる。また自然界には存在しない窒化ガリウム結晶の創造はエレクトロニクス革命とも呼ばれ次世代の半導体発明にもつながることになった(これらの青色発光ダイオード発明業績、GaN窒化物半導体に関する業績の原著論文は約700編以上、221以上にも上る特許を取得)。これらの傑出した業績により、恩賜賞ノーベル物理学賞を受賞するなど国内外の数々の重要な賞を多数受賞する。なお1986年には名古屋大学・赤崎研究グループと豊田合成産学連携による青色発光ダイオード製品化生産技術プロジェクトが始動し、1987年科学技術振興事業団から青色LEDの製造技術開発を受託。1991年には世界に先駆けて実用化の成功認定がされる。2014年度にノーベル物理学賞天野浩中村修二と共に受賞。

生い立ち

鹿児島県川辺郡知覧村(のちの知覧町、現・南九州市[1]出身。幼少期に鹿児島市の上町地区に移り鹿児島市立大龍小学校、鹿児島県立第二鹿児島中学校(現・鹿児島県立甲南高等学校[2]1946年に旧制第七高等学校造士館(現・鹿児島大学)を卒業し、京都大学理学部に進学[3]。大学時代は吉田寮に住み、地元の人もめったに訪れないような神社仏閣を寮の友人達と巡ったり、夏休みには信州の山々を歩き、クラシック鑑賞などをして充実した学生時代を過ごす[4]。1952年京都大学理学部化学科卒業。2歳年上の兄は九州大学大学院総合理工学教授や福岡工業大学学長を歴任したプラズマ工学が専門の赤崎正則九州大学名誉教授。

研究者として

京都大学卒業後、1952年神戸工業(現デンソーテン)に入社し、明石市大久保製作所でブラウン管開発に従事するが、固体素子研究や電子放射分野の大家で直属の上司だった有住徹弥真空管部長が名古屋大学工学部電子工学科に転出するのに伴い、有住研究室の助手になるよう誘われる。当初断ったものの強い要請により、1959年からは名古屋大学有住研究室で学究生活に入ることになり、助手、講師、助教授を務め、1964年名古屋大学工学博士、博士論文は『 Geの気相成長に関する研究 』[5]。1964年スカウトされる形で松下幸之助の熱望で新しく創られたばかりの松下電器東京研究所に招聘されることになる。よりすぐりの研究者が招聘された東京研究所では一番若い研究室長と迎えられた以後、基礎第4研究室長や松下技研株式会社半導体部長に就任する。研究室ではGaAsGaPAlNを中心とするIII-V族半導体、及び混晶(GaAsP,GaInP,GaInAsPなど)の各種結晶成長気相および化学気相成長物理気相成長エピタキシャル成長融液成長、液体封止高圧引き上げ成長など)および電気光学性質に関する研究業績、赤色、黄緑色LEDの開発に関する著しい業績を上げ、1979年には日本初の赤色レーザーダイオードを発振させることに成功させている[6]。1981年復帰要請の出ていた名古屋大学に戻り、工学部電子工学科教授に就任。大学では研究室を異例となる赴任初年度に開設される。研究室メンバーは最初の指導学生となる天野浩・現名古屋大学特別教授や小出康夫・現国立研究開発法人物質・材料研究機構 (NIMS) 理事らが在籍し、数多くの優秀な研究者達を育て上げたことでも有名である。1992年に名古屋大学を定年退官。1992年からは名城大学理工学部教授に就任。現在は名城大学終身教授、名古屋大学特別教授を務める。

物性制御が困難とあきらめられていた窒化ガリウム (GaN) の結晶化に成功し、世界初の青色発光ダイオード(青色LED)を実現させたことでも世界で有名。それらの驚きは1993年から2002年までの10年間だけでも国際会議や学術会儀での基調講演・招待講演が140件を優に超える反響を呼ぶことになる。その窒化ガリウム・青色LED・ レーザー関連に及ぶ膨大な特許料を建設費の一部に用いて、名古屋大学東山キャンパス内に赤﨑記念研究館が建設され、2006年10月20日に開館した[7]

現職

略歴

ファイル:Isamu Akasaki 20141211.jpg
ノーベル賞受賞に際して文部科学省により公表された肖像写真

主な業績

  • 高品質・高純度のGaN結晶の成長創製を新たに発明した低温堆積緩衝層技術MOCVD法によって世界で初めて実現させ、結晶学的均衡性・光学的特性・エレクトロニクス特性を同時に達成したワイドギャップ半導体としての機能を発現させる。(1986年
  • Mgをドープし低エネルギー電子線照射 (LEEBI) で活性化させることによって窒化物半導体におけるp型伝導を発見する。(1989年
  • 高品質GaN結晶にシリコンをドープさせたn型伝導度制御の実現。(1989年)
  • 世界で初めてp型GaNの結晶化を証明し世界初となるGaNのpn接合型高輝度青色発光ダイオードを発明する。(1989年)
  • GaNからの室温における紫外光誘導放出コヒーレント光を実現させpn接合型青色/紫外発光デバイス (LED, LD) に必須の全ての基礎技術に世界に先駆けて成功する。(1990年
  • 窒化物半導体における量子サイズ効果を示す多重ヘテロ効果の発見。(1991年
  • AlGaN/GaNダブルヘテロ構造での低閾値光励起誘導放出の実現。(1993年
  • 室温における最短波長レーザーダイオード(パルス 376nM)に成功。(1995年
  • GaN系半導体量子構造による量子閉じ込めシュタルク効果の実証確認。(1997年
  • GaN系統の結晶におけるピエゾ電界強度結晶方位依存性の無極性面、半極性面の存在を理論的に明らかにする。(これが引き金となり無極性面/半極性面への結晶成長および半導体デバイス研究へと繋がる次世代半導体の大きな開発潮流を生み出すことになる。)(2000年
  • 高電子移動度AlGaN/Gal超格子の実現。(2001年
  • 高品質AlGaNテンプレートを用いた最高出力紫外LEDの開発。(2002年
  • ZrB2基板上の紫外/紫色LEDの開発。(2003年
  • 世界最高峰となる最短波波長レーザー (350.9nM) の実現に成功する。(2004年
  • 高温MOVPE法の開発による高品質AlNの実現。(2005年
  • HFET型高感度ホトセンサーの開発。(2012年
  • 窒化物半導体系世界最高効率となる太陽電池の開発。(2012年)
  • 世界初の窒化物半導体系電子線励起レーザーに成功する。(2013年

学術賞

栄典

科学アカデミー会員

重要な論文

1981年
  • Y. Ohki, Y. Toyoda, H. Kobayasi and I. Akasaki: “Fabrication and properties of a practical blue-emitting GaN m-i-s diode”, Inst. Phys. Conf. Ser., No. 63, Chap. 10, pp. 479-484
1986年
  • Metalorganic vapor phase epitaxial growth of a high quality GaN film using an AlN buffer layer (Amano, H., Sawaki, N., Akasaki, I. and Toyoda, Y.). Applied Physics Letters 48: 353-355.
1989年
  • Effects of AlN Buffer Layer on Crystallographic Structure and on Electrical and Optical Properties of GaN and Ga1-xAlxN (0<x≤0.4) Films Grown on Sapphire Substrate by MOVPE (Akasaki, I., Amano, H., Koide, Y., Hiramatsu, K. and Sawaki, N.). Journal of Crystal Growth 98: 209-219.
  • P-Type Conduction in Mg-Doped GaN Treated with Low-Energy Electron Beam Irradiation (LEEBI) (Amano, H., Kito, M., Hiramatsu, K. and Akasaki, I.). Japanese Journal of Applied Physics 28: L2112-L2114.
1990年

H. Amano, T. Asahi and I. Akasaki: “Stimulated Emission Near Ultraviolet at Room Temperature from a GaN Film Grown on Sapphire by MOVPE Using an AlN Buffer Layer”, Jpn. J. Appl. Phys., Vol. 29, No. 2, pp. L205-L206, 1990.

1991年
  • H. Murakami, T. Asahi, H. Amano, K. Hiramatsu, N. Sawaki and I. Akasaki: “Growth of Si-doped AlxGa1-xN on (0001) sapphire substrate by metalorganic vapor phase epitaxy”, J. Crystal Growth, Vol. 115, pp. 648-651
1995年
  • I. Akasaki, H. Amano, S. Sota, H. Sakai, T. Tanaka and M. Koike: “Stimulated Emission by Current Injection from an AlGaN/GaN/GaInN Quantum Well Device”, Jpn. J. Appl. Phys., Vol. 34, Pt. 2, No. 11B, pp. L1517-L1519
1997年
  • Crystal Growth and Conductivity Control of Group III Nitride Semiconductors and Their Application to Short Wavelength Light Emitters (Akasaki, I. and Amano, H.). Japanese Journal of Applied Physics 36: 5393-5408.
2006年
  • Breakthroughs in Improving Crystal Quality of GaN and Invention of the p-n Junction Blue-Light-Emitting Diode (Akasaki, I. and Amano, H.). Japanese Journal of Applied Physics 45: 9001-9010.

著書・編著・監修

  • 『電気・電子材料』1985年9月(朝倉書店
  • 『III-V族化合物半導体』1994年5月(培風館
  • 『青色発光デバイスの魅力―広汎な応用分野を開く』 1997年4月(工業調査会
  • 『III族窒化物半導体』1999年12月(培風館)
  • 『ワイドギャップ半導体―あけぼのから最前線へ・・』2013年2月(培風館)
  • 『青い光に魅せられて〜青色LED開発物語』2013年3月(日本経済新聞出版社)。大川出版賞受賞(財団法人大川情報通信基金)/サントリー文化財団海外出版助成書籍

参考資料

出典

  1. The Nobel Prize in Physics 2014
  2. 『赤崎氏ノーベル賞 愚直に「噛んつけ」 不屈の探究心輝く(荒野を行く - 赤崎勇物語 - <下>)』 南日本新聞2014年10月9日付 23面
  3. ノーベル物理学賞受賞者・赤﨑勇博士と京都大学 -大学時代に育まれた研究者の芽-”. 京都大学. . 2017閲覧.
  4. http://www.kyoto-u.ac.jp/ja/about/history/honor/award_b/nobel/2015/akasaki/interview.html ノーベル物理学賞受賞者・赤﨑勇博士と京都大学 -大学時代に育まれた研究者の芽-
  5. 学位論文書誌データベースによる
  6. https://www.jsap.or.jp/apsp/oralhistory/QOBU070808.pdf 青色発光ダイオードを求めて-応用物理 | 創刊75周年記念特集記事
  7. 赤﨑記念研究館
  8. http://www.aip.nagoya-u.ac.jp/extramural/akasaki/
  9. http://www.jacg.jp/jacg/japanese/frame_main/16/2014_JACGAWARD.html
  10. http://www.jacg.jp/jacg/japanese/top.html
  11. http://www.photonicssociety.org/award-winners/Engineering%20Achievement%20Award
  12. http://inouesho.jp/jyusyou/index.html
  13. http://www.iocg.org/prizes/frank_laudise_prize.html
  14. http://www.candc.or.jp/kensyo/recipient_cc.html
  15. http://www.ieee.org/documents/morton_rl.pdf
  16. http://www.rankprize.org/opto-electronics1.htm
  17. http://www.electrochem.org/awards/ecs/ecs_awards.htm
  18. http://www.electrochem.org/awards/ecs/recipients/ssst_recipients.htm
  19. 朝日賞:過去の受賞者”. 朝日新聞. . 2009-11-4閲覧.
  20. http://www.toray.com/tsf/kagaku/kag_004.html
  21. http://www.fujizai.or.jp/prize-J41_50.htm
  22. https://www.jsap.or.jp/activities/award/outstanding/prizewinner.html
  23. http://www8.cao.go.jp/cstp/sangakukan/1kai.pdf
  24. http://www.ssdm.jp/SSDM_Award_history.html
  25. http://masu-www.pi.titech.ac.jp/links_files/patent/2004/contest/20041108-announce-year.pdf
  26. http://www.jacg.jp/jacg/japanese/frame_main/16/JACG%20Outstanding%20Achievement%20Award.html
  27. http://www.tms.org/awards/TMSAwardWinnersSpecific.aspx?year=ALL%20YEARS&awardName=%27FMD%20John%20Bardeen%20Award%27
  28. https://www.jsap.or.jp/jsapi/Pdf/Number06/07_Awards.pdf
  29. http://www.nae.edu/MembersSection/Directory20412/31054.aspx
  30. http://www.inamori-f.or.jp/laureates/k25_a_isamu/prf_e.html
  31. 赤﨑勇教授に日本人2人目のエジソン賞名城大学プレスリリース
    赤崎勇氏にエジソン賞=日本2人目、青色LEDで貢献時事通信
  32. [1]
  33. http://asiasociety.org/new-york/events/2015-asia-game-changer-awards-and-gala-dinner
  34. ドレイパー賞:LED開発で赤崎と中村両氏ら5人
  35. http://en.unesco.org/news/fifth-unesco-medals-contributions-development-nanoscience-and-nanotechnologies-ceremony
  36. 中日文化賞:第41回-第50回受賞者”. 中日新聞. . 2009閲覧.
  37. http://www.ieee.org/membership_services/membership/fellows/chronology/fellows_1999.html

外部リンク