ロータリー交差点

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ロータリー交差点(ロータリーこうさてん、日本語:円形交差点)とは、交差点の一種で、中心の島の周囲を一方向に周回する方式のものをいう。

ロータリー交差点(円形交差点)の一種にラウンドアバウト(環状交差点)がある(いわゆる現代的ラウンドアバウトに関しては「ラウンドアバウト」の項目も参照のこと。また、日本では2013年6月14日法律第43号改正の道路交通法によりこの現代的ラウンドアバウトが導入された)。

概要

ファイル:ColumbusCirclefromTimeWarnerCenterNYC20050807.jpg
コロンバスサークル。ニューヨーク市。環状交差点としては珍しいタイプで、進入が信号でコントロールされている。また、珍しく歩行者が中心へと横断歩道でたどりつくことができるタイプ。

ロータリー交差点(円形交差点)は、交通整理に円形の環状部分を用いる交差点の一種である。通常は、環状部分の通行方向は一方通行である。すなわち左側通行の場合は右回り(時計回り)、右側通行の場合は左回り(反時計回り)となる。

現代的ラウンドアバウト(環状交差点)とは異なり、円形交差点・ロータリー交差点は入口の部分で一時停止(STOP)の標識が設置されたり、交差点内に信号機が設置され交通整理が行われる。また、環状部分の入口で曲がるのではなく環状部分に合流する形態や、環状部分内部で車線が区切られており、環状部分から出るときに進路変更が必要な場合がある。

円形交差点・ロータリー交差点の入口で交通整理が行われていない場合には、ロータリーに進入する車両は安全を確認して、進入可能な場合のみ進入する。

高速道路等のインターチェンジやジャンクション等において円形交差点が適用される場合には、環状部分の半径が現代的ラウンドアバウトに比較してかなり大き目に取られ、環状部分を比較的高速で走行する場合もある。

ヨーロッパ大陸の街々では、しばしば街の中心部に何かを記念するための円形の広場などが多く造られ、そこから放射状に道路が伸びていることが多く、こうした交差点は古くから多数存在しており、きわめて日常的な存在である。

世界的に見ると、「ラウンドアバウト」タイプ(英語では「ラウンドアバウト」と分類されるもの)の数が最も多い。近年イギリス連邦諸国などでもこの方式の利点が認められ、設置例が増えつつある。

要素

円形交差点を設計する際の要素は次がある。

  • 優先側の定義
    環状部分に入る車と、環状部分を通行する車のどちらが優先となるか。一時停止標識信号機により指示する場合もある。なお現代的ラウンドアバウトは環状部分通行車が優先になる。
  • 進入角度
    直角(90度)に近い場合には、通常の交差点における左折と同様に徐行程度の速度で進入する。角度が浅く合流するような形態の場合、本線通行時から若干の減速で進入する場合もある。
  • 進路変更の可否、車線の設置の有無
  • 半径
    高速通過を前提とする場合は半径がかなり大きくなる。交通容量が大きい場合には環状部分(ドーナツ部分)の幅員が大きくなる。
  • 中央島の機能
    駐車場、公園、泉などに利用することもある。

欠点

フランスやアメリカなどでは19世紀末から設計、利用が始まり、20世紀前半にはアメリカにおいて多数の円形交差点・ロータリー交差点が設置された。しかし下記の要因により否定的な評価がなされている。

  • 高速で合流させる円形交差点の場合には、かなり大きな半径を必要とする。半径100m程を超える巨大な円形交差点もあるが、高速で合流させるにはなお不十分である。
  • 高速で合流させる場合には実質的に環状部分に入る車が優先となり、環状部分の交通容量を超えた場合にはデッドロックが生じて警察官による交通整理が必要となった。

このような従来型の円形交差点・ロータリー交差点は事故の発生率が高く渋滞も起きやすいものと評価され、アメリカでは1950年代に円形交差点・ロータリー交差点の設置は中断された。

アメリカ以外でも円形交差点はそれまで普及せず、1960年代にイギリスで現代的ラウンドアバウトが開発されるのを待つ必要があった。

日本でのロータリー交差点・環状交差点

ファイル:Japan road sign 201-2.svg
日本の警戒標識(201の2)ロータリーあり
ファイル:Japan road sign 327-10.svg
環状の交差点における右回り通行(327の10)

日本における円形交差点は従来「ロータリー交差点」と呼ばれ、鉄道駅の駅前広場に設置する例が多く、日本の主要道路では設置例が少ない。これはかつて、明治から大正時代にかけて都心の交差点に数多く設置されていたものが、昭和30年代以降の高度経済成長によって、交通量の増加や渋滞の発生、用地の確保の難しさ、運転のしにくさなどによる混乱などの欠点のため、急速に撤去が進んだためである。

日本では2013年6月14日法律第43号改正の道路交通法により「環状交差点」として現代的ラウンドアバウトが定義されたが、これについては環状交差点の項目を参照のこと。

変わった形のロータリー交差点

ファイル:Nakanoshima rotari.JPG
旧中之島ロータリー交差点(2003年3月)
  • 和歌山市にある中之島ロータリーはロータリー交差点と信号を兼用していた。平成21年1月から改修工事に着手し、当交差点は平成21年3月10日よりロータリー方式を廃止、右折専用レーンを増設するなど、大幅に改良された。これに伴い、名称が「中之島交差点」と改められ「ロータリー」の名前が消えた。
  • 東京都中央区に所在する箱崎ジャンクションには、箱崎パーキングエリアや複数の出入り口が併設されており、3方向に伸びる首都高速道路本線とそれらの施設を結ぶための箱崎ロータリーが設置されている。
  • 福島県本宮市にある国道4号戸崎ロータリー交差点はロータリーと名のつくものの、実態は立体交差する県道へのアプローチ道路と交わる単なる丁字路交差点である。

脚注

関連項目

  • 2013年11月30日をもって国道426号線としての供用廃止(2013年11月30日兵庫県告示第1335号(『兵庫県公報』2548号、2013年11月29日)。2013年12月1日、豊岡市に移管され市道となった。