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サルペードーン

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エウフロニオスの紀元前515年頃の作品『エウフロニオスのクラテールEnglish版』(別名『サルペードーンのクラテール』)。ヒュプノスとタナトスに運ばれるサルペードーンが描かれている。ヴィラ・ジュリア国立博物館所蔵。

サルペードーン古希: Σαρπήδων, Sarpēdōn)は、ギリシア神話の人物で、リュキアの王である。長母音を省略してサルペドンとも表記される。

フェニキアアゲーノールの娘エウローペーゼウスの子で、ミーノースラダマンテュスと兄弟とも[1]ベレロポーンの娘ラーオダメイアとゼウスの子ともいわれる[2]トロイア戦争のとき、グラウコスとともにリュキア勢を率いてトロイアを救援し、ギリシア軍と戦った。

神話

ミーノースとの対立

サルペードーンは他の兄弟とともにクレータ島の王アステリオスに育てられたが、成長すると美少年ミーレートス(あるいはアテュムニオス)をめぐって兄弟のミーノースと争った。しかしミーノースはミーレートスがサルペードーンを慕っていたため、戦争を起してサルペードーンをクレータ島から追い払った。サルペードーンは多くの者を率いて小アジアキリキアに赴いた。そのころキリキアの王キリクスはリュキア人と戦っており、サルペードーンはリュキアの一部を分けてもらうという条件でキリクスの味方をして戦った。その後、約束通りキリクスから土地をもらってリュキアの王となった彼にゼウスは人間の3世代分の寿命を与えた。またミーレートスも小アジアに赴き、都市ミーレートスを建設した[3]

その後、サルペードーンのもとにパンディーオーンの子リュコスが亡命し、それまでテルミライ呼ばれていた人々はリュコスにちなんでリュキア人と呼ばれるようになったという[4]

トロイア戦争

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ヨハン・ハインリヒ・フュースリーの1803年の絵画『サルペドンをリキュアに運ぶ死と眠り』。

トロイア戦争が起こるとサルペードーンはトロイアの味方をして戦った。ギリシア軍はサルペードーンに協力を得ようとしたが、それより先にプリアモスは莫大な報酬によってサルペードーンを味方にしたともいわれる[5]

イーリアス』初日、サルペードーンはロドス島の武将トレーポレモスと戦い、左太腿に深手を負ったがトレーポレモスを倒した。トロイア軍がギリシア軍の防壁を攻撃したさいには同盟軍を指揮し、グラウコスとアステロパイオスを副将とした。サルペードーンはアテーナイの武将メネステウスが守備するところに攻撃を仕掛け、脅威を感じたメネステウスは大アイアースに助けを求めた。大アイアースはテウクロスとともにメネステウスを助け、グラウコスはテウクロスの矢に傷つけられて後退したが、サルペードーンは防壁の一部を崩して突破口を作った。しかし大アイアースとテウクロスの攻撃を受けたため防壁から離れ、リュキア軍を突撃させたが防壁内に侵入することができず、ヘクトールが突破口を作って味方を突入させた。ヘクトールが大アイアースに気絶させられたときには他の武将たちとともにヘクトールを守って戦ったが、ゼウスはサルペードーンの死を予言した。

パトロクロスアキレウスの鎧をまとって戦ったとき、サルペードーンは兵士を踏みとどまらせ、自らはパトロクロスと戦った。このときゼウスは自分の子サルペードーンの運命を知っていたので悲しくなり、助けたいと思ったがヘーラーに説得されて考え直し、我が子を思って天から血の雨を降らした。サルペードーンはパトロクロスに2本の槍を連続して投げ、どちらも当たらなかったが、最初の槍はアキレウスの戦車を引く馬のうち唯一不死でなかった馬ペダソスを殺した。しかしサルペードーンはパトロクロスの槍に刺されて地に倒れ、死の間際もがきながらグラウコスに助けを求めた。グラウコスはトロイア軍の武将たちにサルペードーンの遺体を守って戦うことを訴え、両軍は激しく戦った。ゼウスはアポローンにサルペードーンの遺体を運び出して洗い清め、アムブロシアーを塗り、ヒュプノスタナトスに遺体をリュキアに運ばせるよう命じた[6]

その後サルペードーンは壮麗な葬送の行進によって墓に運ばれ、葬られた。サルペードーンの遺体はまるで眠っているかのようだったという[7]

系図

テンプレート:シーシュポスの系図 テンプレート:ミーノースの系図

その他のサルペードーン

脚注

  1. アポロドーロス、3巻1・1。
  2. 『イーリアス』6巻。
  3. アポロドーロス、3巻1・2。
  4. ヘロドトス、1巻173。
  5. クレータのディクテュス、1巻18。
  6. 『イーリアス』2巻、5巻、12巻、13巻、14巻、15巻、16巻。
  7. ピロストラトス『ヘーローイコス』。
  8. アポロドーロス、2巻5・9。

参考文献

関連項目