みずほ (列車)
みずほ | |
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概要 | |
国 | 日本 |
種類 | 特別急行列車(新幹線) |
現況 | 運行中 |
地域 | 大阪府・兵庫県・岡山県・広島県・山口県・福岡県・佐賀県・熊本県・鹿児島県 |
運行開始 | 2011年3月12日 |
運営者 |
西日本旅客鉄道(JR西日本) 九州旅客鉄道(JR九州) |
路線 | |
起点 | 新大阪駅 |
終点 | 鹿児島中央駅 |
営業距離 | 810.5 km(新大阪 - 鹿児島中央間)[注 1] |
使用路線 |
JR西日本:山陽新幹線 JR九州:九州新幹線(鹿児島ルート) (山陽・九州新幹線) |
車内サービス | |
クラス | グリーン車・普通車 |
身障者対応 | 7号車 |
座席 |
グリーン車指定席:6号車(半室) 普通車指定席:4 - 8号車 普通車自由席:1 - 3号車 |
技術 | |
車両 | N700系電車(JR西日本博多総合車両所・JR九州熊本総合車両所) |
軌間 | 1,435 mm |
電化 | 交流25,000 V・60 Hz |
最高速度 |
300 km/h(山陽新幹線) 260 km/h(九州新幹線) |
みずほは、西日本旅客鉄道(JR西日本)および九州旅客鉄道(JR九州)が山陽新幹線・九州新幹線(鹿児島ルート)の新大阪駅 - 鹿児島中央駅間で運行している特別急行列車である。
「みずほ」の愛称は、1961年10月1日から1994年12月3日までの33年間にわたって東京 - 熊本・長崎[注 2]間の夜行列車(寝台特急)の名称として用いられており、日本国有鉄道・JRの列車名として用いられるのは新幹線の列車名で2代目になる。新大阪駅の改札口の案内表示ではオレンジ色が用いられる[1]。
Contents
概要
2011年3月12日の九州新幹線鹿児島ルート全線開業と同時に運行を開始した[2][3][4]。
山陽・九州新幹線を直通する最速達列車として運行されている。山陽新幹線では「のぞみ」に準じた取り扱いがなされており、料金体系も「のぞみ」と同様に他の列車と別体系となっている。
当初、山陽・九州新幹線の直通列車は「さくら」のみが設定される予定であったが、JR九州主体で「航空機を意識した、航空機対策の列車」として停車駅を絞った最速達列車が新たに設定された[5][6]。
なお、航空機対策としてビジネス客の取り込みを目指した列車という関係上、修学旅行などの団体利用はほとんど認められていない。また、一部の特別企画乗車券での利用は対象外となる(後述)。
列車名の由来
「みずみずしい稲の穂」を意味する「瑞穂」(みずほ)は、実り豊かな国を表す「瑞穂国」、「豊葦原千五百秋瑞穂国」(とよあしはらの ちいおあきのみずほのくに)として日本国の美称に用いられており、九州新幹線(鹿児島ルート)全線開業による山陽・九州新幹線の直通運転を通じて、豊かな実りを提供する意味が込められている[4]。
運行概況
2018年3月17日現在、朝夕を中心に新大阪 - 鹿児島中央間で定期列車が6往復、高頻度で(ほぼ毎日)運転される臨時列車が2往復運転されている。この他、繁忙期などには追加の臨時列車も運行されている。所要時間はいずれも最速で、新大阪 - 博多間を2時間23分、新大阪 - 熊本間を2時間57分、新大阪 - 鹿児島中央間を3時間41分で結んでいる[注 3]。
号数は600番台が割り振られている。この号数は「みずほ」運行開始前の東海道・山陽新幹線では新大阪 - 博多間に朝晩運転の最速達の「のぞみ」1往復(途中停車駅は新神戸、岡山、広島、小倉のみ。2011年3月12日ダイヤ改正で廃止)に割り振られていたもので、全列車が運行系統を含めて実質的に引き継いだものである。
停車駅
2011年3月12日の運行開始当初より新大阪 - 鹿児島中央間で運転されている。停車駅は新大阪駅・新神戸駅・岡山駅・広島駅・小倉駅・博多駅・熊本駅・鹿児島中央駅に全列車が停車し、一部列車は姫路駅、久留米駅、川内駅にも停車する。
現行(2018年3月17日ダイヤ改正)
高頻度で運転する臨時列車が新たに久留米駅、川内駅に停車。久留米駅には日中運転の臨時1往復(姫路駅にも停車)が、川内駅には夕時間帯運転の臨時1往復がそれぞれ停車する[8]。
2017年3月4日ダイヤ改正
高頻度で(基本的に毎日)運転する臨時列車が2往復が設定され、事実上8往復体制での運行となる。
2013年3月4日ダイヤ改正
一部列車で新たに姫路駅に停車する列車が設定された。定期2往復が停車する[9]。
2011年3月12日ダイヤ改正(運行開始時)
停車駅は東海道・山陽新幹線の「のぞみ」全列車停車駅に熊本駅・鹿児島中央駅を加えた8駅に統一、1日4往復体制で運行を開始した。
使用車両・編成
テンプレート:Sanyo Kyusyu Shinkansen N700 for Sakura & Mizuho Unit 車両は山陽・九州新幹線直通「さくら」と同じくN700系7000・8000番台が使用されている[10]。車体色は薄い水色になっている。
- Shinkansen Sakura number first-class car (N700 series No. 8000 stand).JPG
グリーン席
- Shinkansen Sakura number standard-sized car reserved seat (N700 series No. 8000 stand).JPG
普通車指定席
- Shinkansen Sakura number standard-sized car nonreserved seat (N700 series No. 8000 stand).JPG
普通車自由席
特急料金
山陽新幹線区間で「みずほ」指定席に乗車する場合は、「のぞみ」と同じ特急料金表を用いることになっており[11]、「ひかり」「こだま」「さくら」に比べて200 - 300円高い料金が採用される。一方、自由席については「のぞみ」と同様にほかの列車の自由席特急料金と同額となる。九州新幹線区間では、「さくら」「つばめ」と同じ料金体系を採用しており、加算料金は発生しない。九州新幹線2枚きっぷでも利用制限はない。ただし、フルムーン夫婦グリーンパス・ジャパンレールパスは、全区間で自由席を含め利用できない。ジパング倶楽部に関しても「のぞみ」と同様、特急料金の割引はできない。
なお、山陽新幹線と九州新幹線を直通して(あるいは博多駅で途中下車しないで)利用する場合の特急料金は博多駅までの山陽新幹線の特急料金と九州新幹線の特急料金の合算額が基本となり[11]、「みずほ」乗車の場合は「山陽新幹線区間の自由席特急料金+九州新幹線区間の自由席特急料金+510円+加算料金」で算出された特急料金が採用される(「のぞみ」と博多駅で乗り換えた場合も同じ)。
車内販売
運行エリアの関係により新大阪 - 博多間がジェイアール西日本フードサービスネット、博多 - 鹿児島中央間がJR九州の客室乗務員が担当するので博多駅で入れ替わる。
運行開始の背景
これまで大阪 - 鹿児島間は飛行機を利用する客が多く、2010年時点でJRは数%のシェアしかなかったが[5]、九州新幹線全線開業後はビジネス客の取り込みを図り[4][12]2割から3割のシェア獲得を目指すとしていた[5]。
「さくら」よりも停車駅を絞った列車の計画は、「スーパーさくら」の仮称や「みずほ」という列車名の案も含めて2010年8月24日に新聞などで報道され[13][14]、JR側は翌25日に最速達型列車の計画が存在し、JR九州が中心となって検討中であることを公式に認めた[6]。列車名として報じられた「みずほ」は当初あくまでも候補の一つとしていたが[15]、同年9月15日にJR九州が「みずほ」で検討中と表明した[16]。
名称検討は「さくら」と異なり、公募ではなくJR九州にて行われ[15][16][注 4]、同社は事前に地元自治体へ相談せずに進展させた[17]。
このため、最速達列車の名称が仮称段階で「みずほ」と報道された際には、「みずほ」が寝台特急として運行されていたころの運行区間が東京 - 熊本・長崎間で、鹿児島県内には運行されていなかった事情や公募などではなく、社内のみでの決定という経緯や列車愛称からイメージされる「格」などから反発があり、鹿児島県知事の伊藤祐一郎や鉄道ファンから不快感や異論が相次いでいた[17][18]。
同年10月20日に最速達列車の運行内容と、列車名が「みずほ」となることが正式に発表された[3][4]。
沿線自治体からは新鳥栖駅など地元主要駅への停車要望が相次いでいたが、開業に当たっては「みずほ」の運転本数を朝夕4往復に絞り、他の時間帯は「さくら」のみ運行することで対処し、航空機対策として停車駅を限定した設定となった[5]。
沿革
- 2011年(平成23年)3月12日:九州新幹線の全線開業と同時に、山陽・九州新幹線新大阪 - 鹿児島中央間で運行開始。新たに開発されたN700系(7000・8000番台)を充当。朝夕を中心に4往復運転。新大阪 - 鹿児島中央間の所要時間は最速3時間45分。
- 2012年(平成24年)3月17日:ダイヤ改正により以下のように変更[19]。
- 朝の下り新大阪発を1本、夕方の上り鹿児島中央発を1本、計1往復を増発。
- 新八代駅付近の徐行区間の解除に伴い、所要時間を短縮。新大阪 - 鹿児島中央間の所要時間は最速3時間42分。
- 2013年(平成25年)3月16日:ダイヤ改正により以下のように変更。
- 週末を中心に朝の下り新大阪発を1本、昼間の上り鹿児島中央発を1本、計1往復を増発。
- 2014年(平成26年)3月15日:ダイヤ改正により以下のように変更。
- 2016年(平成28年)
- 2018年(平成30年)3月17日:ダイヤ改正により以下のように変更。
- 臨時列車の一部が新たに久留米駅、川内駅に停車。
事件
山陽新幹線放火事件
2017年5月26日11時10分ごろ、新大阪発鹿児島中央行きみずほ615号が岡山駅停車直前、先頭車両の1号車で乗客の男がライターで火を点けた書類を座席に置く事件が発生。この事件で座席の一部が焦げたほか、後続列車7本が最大19分遅れる等、約4,600人に影響が出た。
脚注
注釈
出典
- ↑ 佐藤亜季 (2010年12月13日). “車内照明に新幹線表示板… 鉄道もLED化進行中”. 朝日新聞. 朝日新聞社 . 2018閲覧.
- ↑ “九州新幹線が全線開通 1番列車が主要駅を出発 式典は地震で中止”. msn産経ニュース. 産業経済新聞社. (2011年3月12日). オリジナルの2011年7月20日時点によるアーカイブ。 . 2017閲覧.
- ↑ 3.0 3.1 大阪-鹿児島を3時間45分=最速の「みずほ」-山陽・九州新幹線 - 時事通信社 2010年10月20日
- ↑ 4.0 4.1 4.2 4.3 “山陽・九州新幹線直通列車「みずほ」について” (プレスリリース), 九州旅客鉄道・西日本旅客鉄道, (2010年10月20日), オリジナルの2010年10月24日時点によるアーカイブ。 . 2017閲覧.
- ↑ 5.0 5.1 5.2 5.3 大阪-熊本3時間切る 最速新幹線みずほ正式発表「航空機3割奪う」 - MSN産経ニュース 2010年10月21日
- ↑ 6.0 6.1 “JR九州、3時間40分目標 新大阪への最速新幹線”. 47NEWS. 共同通信社. (2010年8月25日). オリジナルの2013年5月14日時点によるアーカイブ。 . 2017閲覧.
- ↑ “新幹線「みずほ」朝夕計8本を検討 ビジネス客に照準”. 朝日新聞 (朝日新聞社). (2010年10月15日). オリジナルの2010年10月18日時点によるアーカイブ。 . 2010閲覧.
- ↑ “平成30年3月にダイヤを見直します” (PDF) (プレスリリース), 九州旅客鉄道, (2017年12月15日) . 2018閲覧. -
- ↑ 9.0 9.1 9.2 “平成26年春ダイヤ改正について” (PDF) (プレスリリース), 西日本旅客鉄道, (2012年12月20日) . 2017閲覧. -
- ↑ 九州新幹線:「みずほ」正式決定…最速列車の名称 - 毎日新聞 2010年10月20日
- ↑ 11.0 11.1 “山陽・九州新幹線直通列車「みずほ」「さくら」の特急料金について” (プレスリリース), 西日本旅客鉄道, (2010年12月10日), オリジナルの2012年2月4日時点によるアーカイブ。 . 2010閲覧.
- ↑ “新幹線「みずほ」朝夕計8本を検討 ビジネス客に照準”. 朝日新聞. 朝日新聞社. (2010年10月15日). オリジナルの2010年10月18日時点によるアーカイブ。
- ↑ “九州新幹線、来年3月12日全線開業へ”. 読売新聞. 読売新聞社. (2010年8月24日). オリジナルの2011年9月29日時点によるアーカイブ。 . 2017閲覧.
- ↑ 小河雅臣 (2010年8月24日). “大阪―鹿児島が3時間47分、新幹線「みずほ」登場へ”. 朝日新聞. 朝日新聞社 . 2017閲覧.
- ↑ 15.0 15.1 “JR最速新幹線の新鳥栖駅停車を要望 佐賀県”. 佐賀新聞. 佐賀新聞社. (2010年8月26日). オリジナルの2016年3月8日時点によるアーカイブ。 . 2017閲覧.
- ↑ 16.0 16.1 “全線開業は来年3月12日 九州新幹線鹿児島ルート”. 47NEWS. 共同通信社. (2010年9月15日). オリジナルの2013年5月14日時点によるアーカイブ。 . 2017閲覧.
- ↑ 17.0 17.1 鹿児島知事「みずほ」に不快感 東京-熊本の寝台特急と同名 新幹線「地元発着に」 - 西日本新聞 2010年9月4日
- ↑ 九州新幹線:「みずほ」に異論 「格」にふさわしくないと - 毎日新聞 2010年10月16日
- ↑ 平成24年春ダイヤ改正について (PDF) - 九州旅客鉄道
関連項目
外部リンク
- JRおでかけネット : 車両案内 : みずほ N700系 - 西日本旅客鉄道
- N700系 新幹線 | JR九州の列車たち 〜JR九州 観光列車【D&S列車】・新幹線〜 - 九州旅客鉄道