桜庭一樹
桜庭 一樹(さくらば かずき、1971年7月26日 - )は、日本の作家、小説家。女性[1]。島根県生まれ、鳥取県米子市出身[2][3]。1999年、「夜空に、満点の星」で第1回ファミ通エンタテインメント大賞小説部門佳作を受賞しデビュー[3]。ゲームのノベライズやライトノベル、ジュブナイルなどの作品や、山田桜丸名義でゲームシナリオを数多く手がける。
2008年に『私の男』で直木賞を受賞した。他の作品に『GOSICK -ゴシック-』『砂糖菓子の弾丸は撃ちぬけない』『赤朽葉家の伝説』などがある。
Contents
経歴
出生から学生時代まで
小説を書き始めたのは小学校4、5年生のときで、図書室でよく会う女の子がいて、仲良くなり、その子が小説みたいなものを書いていたので、「自分もやってみようかな」と小説の真似みたいなのをノートに書き出したのが最初である[4][5]。
中高生時代は授業をさぼったり、塾をさぼったりして本を読んでいた[4]。悩みは勉強ができなかったのと、勉強が嫌いだったことだった[4]。鳥取県立米子東高等学校卒業[1]。大学進学で東京にでる[1]。大学時代、書いてはみるが、やはり書けないみたいなことを繰り返した[5]。また、本を読んだりバイトをしたりした[5]。
作家として
1993年にDENiMライター新人賞受賞[1]。 1999年、「夜空に、満天の星」(のち『AD2015隔離都市 ロンリネス・ガーティアン』と改題)でファミ通エンタテインメント大賞小説部門佳作[1]。中村うさぎが選考委員にいて、推してくれてギリギリ入選して、デビューできた[6]。デビューした後もあまり仕事がなかったし、出した本も売れないという迷走期間があった[6]。
2003年ライトノベル『GOSICK -ゴシック-』シリーズで注目を集める[7]。さらに2004年に発表した『推定少女』『砂糖菓子の弾丸は撃ちぬけない』が高く評価される[8]。2005年に刊行した『少女には向かない職業』は、初の一般向け作品として注目を集めた[8]。
2006年刊行の『赤朽葉家の伝説』(東京創元社)で、2007年、第60回日本推理作家協会賞(長編及び連作短編部門)受賞[3]。同作で第28回吉川英治文学新人賞候補[3]。第137回直木三十五賞候補になる[3]。 2008年、『私の男』で第138回直木賞を受賞した[3]。
人物
- 桜庭は一人っ子で、母親が真面目な人だったため禁止するものが多かった[9]。テレビではドラマ『毎度おさわがせします』やバラエティ番組を見てはダメだった[9]。
- 大学卒業後バブル崩壊の余波を受け就職しなかった[7]。バイトをしながら書く仕事を始めた[7]。
- 地元鳥取について、桜庭によれば「鳥取の好きなところは、人柄が穏やかで、地に足が着いている(いまだにバブルっぽい、ギラギラしたこわい人とかいない)ところ[4]。嫌いなところは、昔はやはり閉鎖的に感じて「こんなところ出ていったる!」と思っていました[4]。作家になりたいと言って、先生に「なれない」と断言されて、呪いました[4]。」という。
- 「桜庭一樹」という名前の由来について桜庭は「なんとなくつけて新人賞に応募したので、あまりよく憶えてないのです……。応募原稿の主人公が「一樹」だったので、つい自分にもつけちゃったような気がします。」と述べている[4]。
- 作家になるために必要なこと、続けるために必要なことについて桜庭は「たくさん書くこと。たくさん読むこと。群れないこと。」と述べている[4]。
- インタビューに来る人に対して桜庭は『桜庭一樹オフィシャルサイト』に「wikipediaは不正確ですので、できれば参考にせずきていただけると助かります。」と書いている[3]。
- 2009年にお笑い芸人・放送作家の友野英俊と結婚したが、2011年末に離婚したことが2014年7月に報道された[10]。
- 29歳ごろから空手を始め、4年ほど続けていた。極真空手初段。試合にも何度か出ており、関東大会で準決勝に進出したことがある[11]。
作品一覧
小説
- ロンリネス・ガーティアン AD2015隔離都市(1999年12月、ファミ通文庫、ISBN 4-7572-0619-4)
- ルナティック・ドリーマー(2001年12月、EXノベルズ、ISBN 4-7575-0601-5)
- Girl's Guard 君の歌は僕の歌(2002年1月、ファミ通文庫、ISBN 4-7577-0710-X)
- B-EDGE AGE 獅子たちはアリスの庭で(2002年7月、富士見ミステリー文庫、ISBN 4-8291-6167-1)
- 竹田くんの恋人(2002年9月、スニーカー文庫、ISBN 4-04-428101-7)
- B-EDGE AGE 獅子たちはノアの方舟で(2002年11月、富士見ミステリー文庫、ISBN 4-8291-6186-8)
- 赤×ピンク(2003年1月、ファミ通文庫、ISBN 4-7577-1283-9、2008年2月、角川文庫、ISBN 978-4-04-428102-1)
- 推定少女(2004年9月、ファミ通文庫、ISBN 4-7577-1995-7、2008年10月、角川文庫、ISBN 978-4-04-428103-8)
- 砂糖菓子の弾丸は撃ちぬけない A Lollypop or A Bullet(2004年11月、富士見ミステリー文庫、ISBN 4-8291-6276-7、2007年2月、富士見書房、ISBN 978-4-8291-7634-4、2009年2月、角川文庫、ISBN 978-4-04-428104-5)
- 少女には向かない職業(2005年9月、東京創元社ミステリ・フロンティア、ISBN 4-488-01719-3、2007年12月、創元推理文庫、ISBN 978-4-488-47201-6)
- 荒野の恋 第一部 catach the tail(2005年5月、ファミ通文庫、ISBN 4-7577-2289-3)
- ブルースカイ(2005年10月、ハヤカワ文庫JA、ISBN 4-15-030820-9、2011年4月、ハヤカワ文庫JA〈新装版〉、ISBN 978-4-15-031028-8、2012年5月、文春文庫、ISBN 978-4-16-778405-8)
- 荒野の恋 第二部 bump of love(2006年1月、ファミ通文庫、ISBN 4-7577-2604-X)
- 少女七竈と七人の可愛そうな大人(2006年6月、角川書店、ISBN 4-04-873700-7、2009年3月、角川文庫、ISBN 978-4-04-428105-2)
- 赤朽葉家の伝説(2006年12月、東京創元社、ISBN 4-488-02393-2、2010年9月、創元推理文庫、ISBN 978-4-488-47202-3)
- 青年のための読書クラブ(2007年6月、新潮社、ISBN 978-4-10-304951-7、2011年7月、新潮文庫、ISBN 978-4-10-135681-5)
- 私の男(2007年10月、文藝春秋、ISBN 978-4-16-326430-1、2010年4月、文春文庫、ISBN 978-4-16-778401-0)
- 荒野(2008年5月、文藝春秋、ISBN 978-4-16-327040-1)※上記『荒野の恋 第一部』『荒野の恋 第二部』に第三部を加え合本の上大幅加筆。以下3分冊で文庫化。
- 荒野 12歳 ぼくの小さな黒猫ちゃん(2011年1月、文春文庫、ISBN 978-4-16-778402-7)
- 荒野 14歳 勝ち猫、負け猫(2011年2月、文春文庫、ISBN 978-4-16-778403-4)
- 荒野 16歳 恋しらぬ猫のふり(2011年3月、文春文庫、ISBN 978-4-16-778404-1)
- ファミリーポートレイト(2008年11月、講談社、ISBN 978-4-06-215132-0、2011年11月、講談社文庫、ISBN 978-4-06-277062-0)
- 製鉄天使(2009年10月、東京創元社、ISBN 978-4-488-02450-5、2012年11月、創元推理文庫、ISBN 978-4-488-47203-0)
- 道徳という名の少年(2010年4月、角川書店、ISBN 978-4-04-874058-6、2013年3月、角川文庫、ISBN 978-4-04-100750-1)
- 伏 贋作・里見八犬伝(2010年11月、文藝春秋、ISBN 978-4-16-329760-6、2012年9月、文春文庫、ISBN 978-4-16-778406-5)*電子書籍版も発売
- ばらばら死体の夜(2011年5月、集英社、ISBN 978-4-08-771402-9)
- 傷痕(2012年1月、講談社、ISBN 978-4-06-217459-6)
- 無花果とムーン(2012年10月、角川書店、ISBN 978-4-04-110321-0)
- 桜庭一樹短編集(短編集。2013年6月、文藝春秋、ISBN 978-4-16-382210-5)
- 収録作品:このたびはとんだことで / 青年のための推理クラブ / モコ&猫 / 五月雨 / 冬の牡丹 / 赤い犬花
GOSICK -ゴシック-シリーズ
単行本未収録・未刊行作品
(読切)
- 釦と鈎の話(『小説現代』2008年7月号)
- 解剖台の上のミシンと蝙蝠傘の話(『オール読物』2008年12月号)
- Bamboo(『オール読物』2013年5月号)
- ロボトミー(『小説すばる』2013年8月号)
アンソロジー収録作品
- 暴君(『異形コレクション・オバケヤシキ』)2005年8月
- 脂肪遊戯(『異形コレクション・闇電話』)2006年5月
- 少年バンコラン! 夜歩く犬(『密室と奇蹟 J・D・カー生誕百周年記念アンソロジー』)2006年11月
- ライティング(『桜庭一樹 物語る少女と野獣』)2008年7月
- A(『みじかい眠りにつく前にIII』)2009年7月
- じごくゆきっ(『短編工場』)2012年10月
エッセイ集
- 二代目のバカにつける薬(1996年12月、イーハトーブ出版、ISBN 4-900779-08-3)山田桜丸名義
- 桜庭一樹日記 BLACK AND WHITE(2006年3月、富士見書房、ISBN 4-8291-7610-5)
- 桜庭一樹読書日記 少年になり、本を買うのだ。(2007年7月、東京創元社、ISBN 978-4-488-02395-9)
- 書店はタイムマシーン 桜庭一樹読書日記(2008年9月、東京創元社、ISBN 978-4-488-02435-2)
- 少年になり、本を買うのだ 桜庭一樹読書日記(2009年8月、東京創元社・創元ライブラリ、ISBN 978-4-488-07064-9)※『桜庭一樹読書日記 少年になり、本を買うのだ。』の文庫化
- お好みの本、入荷しました 桜庭一樹読書日記(2009年12月、東京創元社、ISBN 978-4-488-02452-9)
- 本に埋もれて暮らしたい 桜庭一樹読書日記(2011年1月、東京創元社、ISBN 978-4-488-02468-0)
- 本のおかわりもう一冊 桜庭一樹読書日記(2012年9月、東京創元社、ISBN 978-4-488-02499-4)
コンピュータゲームシナリオ
いずれも山田桜丸名義。
- EVE The Lost One(1998年3月、シーズウェア)
- サンリオタイムネット(1998年11月、イマジニア)
- マーメイドの季節(2001年3月、ゲームビレッジ )
- ときめきメモリアル Girl's Side(2002年6月、コナミ) - サブシナリオライターの一人
ノベライズ
- アークザラッド(1996年12月、集英社、ISBN 4-08-613244-3)山田桜丸名義
- 学園都市ヴァラノワール 未来は薔薇の色(2002年11月、ファミ通文庫、ISBN 4-7577-1159-X)
- 『学園都市 ヴァラノワール』のノベライズ
- ジェネレーション・オブ・カオス3 時の封印(2003年5月、エンターブレイン、ISBN 4-7577-1460-2)
- PS2の同名RPGのノベライズ
- 555(2003年8月、角川書店、ISBN 4-04-873489-X)
- 映画『仮面ライダー555 パラダイス・ロスト』のノベライズ
EVEシリーズ
- イヴ・ザ・ロストワン(1998年4月、扶桑社、ISBN 4-594-02471-8)
- 山田桜丸名義、自身がシナリオを書いた同名ゲームのノベライズ
- イヴゼロ The Beginning EVE(2000年4月、ファミ通文庫、ISBN 4-7577-0004-0)
- 山田桜丸名義、本作以降はオリジナルストーリー
- EVE TFA 亡き王女のための殺人遊戯(2001年9月、ファミ通文庫、ISBN 4-7577-0573-5)
- 本作以降は桜庭一樹名義
- EVE burst error PLUS サヨナラキョウコ、サヨナラセカイ(2003年8月、ファミ通文庫、ISBN 4-7577-1547-1)
漫画原作
山田桜丸名義。
- 冒険時空タイムネット(作画:征矢浩志、小学館)
- ゲーム『サンリオタイムネット』の漫画化。
- (1999年9月、ISBN 4-09-149591-5)
- (2000年3月、ISBN 4-09-149592-3)
以下桜庭一樹名義のもの。
- (2008年3月、ISBN 978-4-04-854171-8)
- (2008年3月、ISBN 978-4-04-854172-5)
- (2009年1月、ISBN 978-4-7973-5215-3)
- (2010年9月、ISBN 978-4-7973-6141-4)
- 荒野の恋(作画:タカハシマコ、講談社)
- (2012年2月、ISBN 978-4-06-364338-1)
- (2012年7月、ISBN 978-4-06-376661-5)
- (2012年10月、ISBN 978-4-06-376703-2)
- 伏 少女とケモノの烈花譚(作画:hakus、スクウェア・エニックス)
- (2012年9月、ISBN 978-4-7575-3745-3)
- (2013年3月、ISBN 978-4-7575-3923-5)
- (2013年11月、ISBN 978-4-7575-4147-4)
共著
- すたんだっぷ風太くん!(2005年7月、富士見書房、ISBN 4-8291-9131-7)
- レッサーパンダの写真集。イッセイハットリが写真、桜庭一樹が文を担当
映像化作品
配信ドラマ
- 少女には向かない職業(2006年5月26日 - 7月28日、全10話、主演:緑友利恵)
テレビアニメ
- GOSICK -ゴシック-(2011年1月7日 - 7月1日、全24話、監督:難波日登志)
映画
- 伏 鉄砲娘の捕物帳(2012年10月20日公開、配給:東京テアトル、監督:宮地昌幸、主演:寿美菜子、原作:伏 贋作・里見八犬伝)
- 赤×ピンク(2014年2月22日公開、配給:KADOKAWA、監督:坂本浩一、主演:芳賀優里亜)
- 私の男(2014年6月14日公開、配給:日活、監督:熊切和嘉、主演:浅野忠信・二階堂ふみ)
メディア出演
- 王様のブランチ(2008年1月19日、TBS)
- 大竹まこと ゴールデンラジオ(2008年2月4日、文化放送)
- 情熱大陸(2008年2月24日、MBS)
- トップランナー(2008年3月8日、NHK教育)
- 女神の勝負食(2008年5月3日、テレビ朝日)
- カシャッと一句!フォト575(2009年4月6日 - 4月10日、NHK衛星第2)
参考文献
脚注
- ↑ 1.0 1.1 1.2 1.3 1.4 桜庭一樹 2013年11月27日閲覧。
- ↑ 2.0 2.1 米子市出身作家の桜庭一樹さん〜日本推理作家協会賞受賞〜 2013年11月27日閲覧。
- ↑ 3.0 3.1 3.2 3.3 3.4 3.5 3.6 3.7 桜庭一樹オフィシャルサイトプロフィール 2013年11月27日閲覧。
- ↑ 4.0 4.1 4.2 4.3 4.4 4.5 4.6 4.7 作家桜庭一樹さんインタビュー、著作紹介 2013年11月27日閲覧。
- ↑ 5.0 5.1 5.2 『週刊文春』(2008年2月21日号)124頁、「阿川佐和子のこの人に会いたい」。
- ↑ 6.0 6.1 対談 2013年11月27日閲覧。
- ↑ 7.0 7.1 7.2 『週刊文春』(2008年2月21日号)122頁、「阿川佐和子のこの人に会いたい」。
- ↑ 8.0 8.1 少女には向かない職業 桜庭一樹 2013年11月27日閲覧。
- ↑ 9.0 9.1 『週刊文春』(2008年2月21日号)123頁、「阿川佐和子のこの人に会いたい」。
- ↑ “桜庭一樹さん、友野英俊と離婚していた”. スポーツ報知. (2014年7月15日) . 2014閲覧.
- ↑ 嗜好と文化:第35回 桜庭一樹さん「不気味が大好き」 毎日新聞 2014年2月3日
外部リンク
- 桜庭一樹オフィシャルサイト
- 桜庭一樹読書日記(Webミステリーズ!)
- 「WEB本の雑誌」“作家の読書道(第54回)”
- 製鉄天使