国道122号
国道122号(こくどう122ごう)は、栃木県日光市から群馬県東毛、埼玉県東部を経由して東京都豊島区に至る一般国道である。
Contents
概要
栃木県日光市から旧足尾町を経由して東京都豊島区を結ぶ幹線道路で、群馬県桐生市、太田市、館林市、埼玉県羽生市、蓮田市、川口市、東京都北区を経由する。日光中心市街地から、いろは坂のある奥日光方面へ国道120号と重複し、日光市細尾大谷橋交差点の国道120号分岐から実延長区間が始まる。かつて日本最大規模の銅鉱山として栄えた足尾銅山跡へと続く道路は、「銅街道(あかがねかいどう)」の名がある[1]。また、この道路は、「122」からとって「ワン・ツー・ツー」とも言われる。群馬県から埼玉県内の平地部の市街地内において、バイパス道路や東北自動車道(東北道)と並走する区間があり、さいたま市内で浦和ICで東北道と連絡する。東京都心に入って明治通りと合流すると、国道17号と交差する西巣鴨交差点で終わる。
群馬県太田市内の太田桐生ICで北関東自動車道と、埼玉県久喜市の白岡菖蒲ICで首都圏中央連絡自動車道(圏央道)と相互接続する。
路線データ
一般国道の路線を指定する政令[2][注釈 1]に基づく起終点および経過地は次のとおり。
- 起点 : 日光市(神橋交差点=国道119号・国道120号起点)
- 終点 : 東京都豊島区(西巣鴨交差点=国道17号・東京都道305号芝新宿王子線交点)
- 重要な経過地 : 栃木県上都賀郡足尾町[注釈 2]、群馬県山田郡大間々町[注釈 3]、桐生市、太田市(龍舞)、館林市、羽生市、加須市、埼玉県南埼玉郡菖蒲町[注釈 4]、蓮田市、岩槻市[注釈 5]、浦和市[注釈 6]、川口市、鳩ケ谷市[注釈 7]、東京都北区(王子一丁目)
- 総延長 : 165.2 km(栃木県 28.9 km、群馬県 69.6 km、埼玉県 41.2 km、さいたま市 19.1 km、東京都6.5 km)[3][注釈 8]
- 重用延長 : 12.9 km(栃木県 6.0 km、群馬県 6.9 km、埼玉県 - km、さいたま市 0.0 km、東京都 - km)[3][注釈 8]
- 実延長 : 152.4 km(栃木県 22.9 km、群馬県 62.7 km、埼玉県 41.2 km、さいたま市 19.1 km、東京都 6.5 km)[3][注釈 8]
- 指定区間 : 国道50号と重複する区間[4]
歴史
現行の道路法(昭和27年法律第180号)に基づく二級国道として初回指定された1953年(昭和28年)際は、122号は前橋水戸線として指定されていた[5]。1963年(昭和38年)に一級国道50号への昇格[6]に伴って欠番となり、同日新たに指定された日光東京線に採番された。
銅街道
江戸時代の後期に発見された足尾銅山で採掘された銅を、利根川水系まで運ぶために開通した街道である。群馬県みどり市大間々地区から栃木県日光市足尾地区にかけては渡良瀬川に沿う形で道が開かれ、所々に銅倉が設置された。現道が開通してからは、本来の街道は使われなくなり荒廃してしまった。そのため、現道を銅街道とした。
国道を銅街道にした後も、平成に入るまでは道路事情が悪く、特にわたらせ渓谷鐵道と立体交差する部分では、大型車同士のすれ違いが困難であった。現在は、新しく立体交差化され拡張されている。降雨量が160 mmを超すと通行止めになり、平行するわたらせ渓谷鐵道も運転見合わせになり、街道沿いの地区が孤立することもある。
年表
- 1963年(昭和38年)
- 1965年(昭和40年)4月1日:道路法改正により一級・二級区分が廃止されて一般国道122号として指定施行[8]。
- 1970年(昭和45年)3月:岩槻鳩ヶ谷バイパス開通。
- 1980年(昭和55年)3月:岩槻鳩ヶ谷バイパスに沿って東北自動車道が開通。
- 2006年(平成18年)
- 2008年(平成20年)6月7日:騎西菖蒲バイパス暫定2車線で開通。
- 2010年(平成22年)4月11日:騎西菖蒲バイパスの4車線化完了。
- 2011年(平成23年)3月8日:蓮田岩槻バイパスの岩槻区平林寺橋 - 蓮田市馬込地区の下り線が開通。
- 2014年(平成26年)
- 2018年(平成30年)3月26日:国道354号東毛広域幹線道路へ接続する、館林明和バイパス開通[9]。
路線状況
日光市の細尾峠は日足トンネルで貫通しており、国道指定を解除された旧道である、かつての峠道も残されている[1]。
桐生市広沢町4丁目 - 太田市只上まで、国道50号桐生バイパスとの重複区間である。
太田市龍舞東交差点 - 大泉町上小泉まで、バイパスとなる八重笠道路が4車線で開通し国道354号へ接続され、現在ドライバーの多くはこのまま国道354号を経由し、館林市苗木町付近にて4車線である館林明和バイパスへ接続するルートを通っている。
そこから群馬県と埼玉県を結ぶ昭和橋は完成4車線であり、連続する羽生バイパスや騎西菖蒲バイパスなどのバイパス道路も4車線で構成され、そのほか、群馬県太田市と明和町、埼玉県内の大部分が既存道路の車線拡幅工事やバイパスを新設するなどして4車線化されている。
蓮田市とさいたま市岩槻区の境から川口JCT(首都高速川口線、東北自動車道および東京外環自動車道)まで、東北自動車道の側道として片側2車線のバイパス(蓮田岩槻バイパス・岩槻鳩ヶ谷バイパス)が建設された。ただし、蓮田岩槻バイパスの一部の区間は現在でも片側2車線化されておらず、岩槻区内の旧道において住宅街や市街地を一部歩道のない狭い片側1車線で通っており、途中東武アーバンパークラインの踏切がある等、歩行者や自転車との接触事故に注意を要する。さいたま市岩槻区から埼玉県と東京都の境で荒川をまたぐ新荒川大橋までは、岩槻街道と呼ばれる。
新荒川大橋からは北本通り(きたほんどおり)と呼ばれ、北区の王子駅前交差点で北東側から明治通りが合流し、終点の西巣鴨交差点まで明治通りとなる。王子駅前から飛鳥山交差点付近までは都電荒川線(東京さくらトラム)との併用軌道区間となる。飛鳥山交差点から終点までの一部は首都高速道路中央環状線との2層構造となっている。終点の西巣鴨交差点では国道17号(白山通り・中山道)と交差し、明治通り(東京都道305号芝新宿王子線)は直進していく。
道路交通情報では、終点である東京方面を上りと表現している[10]。
バイパス
バイパスの建設後は主に県道や市町道へ降格がされているため、ほとんどが本線となっている。 以下のうち、八重笠道路と館林明和バイパスは共に本線とは片方ずつしか接しておらず、両者の移動には国道354号東毛広域幹線道路を利用することとなる。
- 足尾バイパス(日光市足尾地区)
- 太田バイパス(東今泉道路)(太田市内)
- 八重笠道路(太田市 - 大泉町)
- 館林バイパス(館林市)
- 事業推進中。
- 館林明和バイパス(館林市 - 明和町)
- 羽生バイパス(羽生市)
- 騎西菖蒲バイパス(加須市 - 白岡市)
- 既存区間である加須市内は当初「騎西バイパス」という名称であった。
- 蓮田岩槻バイパス(蓮田市 - さいたま市岩槻区)
- 岩槻区内は暫定2車線で、現在下り線の建設が進められている。
- 岩槻鳩ヶ谷バイパス(さいたま市岩槻区 - 川口市)
通称
- 銅街道(あかがねかいどう)または銅山街道(栃木県日光市 - 群馬県みどり市)
- 東国文化歴史街道(群馬県館林市 - 太田市)
- 岩槻街道(埼玉県さいたま市岩槻区 - 川口市 新荒川大橋東京都境)
- 北本通り(きたほんどおり、東京都北区岩淵町 新荒川大橋埼玉県境 - 王子駅前交差点)[11][12]
- 明治通り(王子駅前交差点 - 豊島区 西巣鴨交差点)[11][12]
重複区間
- 国道120号(栃木県日光市神橋交差点 - 細尾大橋交差点) ※ただし、区間内に「122」の重複表示などはない
- 国道353号(群馬県みどり市大間々町6丁目中交差点 - 桐生市広沢町四丁目交差点)
- 群馬県道3号前橋大間々桐生線(群馬県桐生市相生町3丁目交差点 - 桐生合同庁舎前交差点)
- 国道50号(群馬県桐生市広沢町四丁目交差点 - 太田市只上交差点)
- 群馬県道2号前橋館林線(群馬県太田市龍舞東交差点 - 館林市北成島町交差点)
- 栃木県道・群馬県道・埼玉県道7号佐野行田線(群馬県館林市諏訪町交差点 - 埼玉県羽生市昭和橋交差点)
- 群馬県道361号矢島大泉線(群馬県邑楽郡明和町矢島西交差点 - 川俣駅入口交差点) ※館林明和バイパス区間
- 群馬県道368号上中森川俣停車場線(群馬県邑楽郡明和町大佐貫交差点 - 川俣交差点)
- 国道125号行田バイパス・加須羽生バイパス(埼玉県羽生市須影交差点 - 下川崎交差点)
- 埼玉県道38号加須鴻巣線(埼玉県加須市プラザきさい前交差点 - 藤の台工業団地交差点)
- 埼玉県道2号さいたま春日部線(埼玉県さいたま市岩槻区本町付近交差点 - 加倉北交差点)
- 東京都道455号本郷赤羽線(東京都北区音無橋交差点 - 飛鳥山交差点)
- 東京都道305号芝新宿王子線(飛鳥山交差点 - 豊島区 西巣鴨交差点)
道路施設
トンネル
主な橋梁
道の駅
地理
起点の神橋交差点から南下すると日足トンネルをくぐり、足尾の谷沿いの区間がしばらく続く。この区間は渡良瀬川・わたらせ渓谷鐵道と並行しているほか、途中には草木ダムが存在している。みどり市大間々地区の市街地付近で関東平野に入る。群馬県桐生市の上桐原交差点で道路が90度曲がり、ここを境に山岳地帯の風景から、東京まで続く市街地の風景へと大きく変化する[1]。埼玉県北部の郊外を走るバイパス道路周辺は、田園地帯となっている[13]。
通過する自治体
交差する道路
- 栃木県
- 群馬県
- 埼玉県
- 東京都
- 東京都道311号環状八号線(環八通り、北区・赤羽交差点)
- 東京都道318号環状七号線(環七通り、北区・神谷陸橋交差点)
- 東京都道307号王子金町江戸川線(明治通り、北区・王子駅前交差点)
- 国道17号(白山通り・中山道、豊島区・西巣鴨交差点)
主な峠
脚注
注釈
- ↑ 一般国道の路線を指定する政令の最終改正日である2004年3月19日の政令(平成16年3月19日政令第50号)に基づく表記。
- ↑ 2006年3月20日に日光市ほか1市2町1村が合併して日光市発足。
- ↑ 2006年3月27日に2町1村が合併してみどり市発足。
- ↑ 2010年3月23日に久喜市ほか3町が合併して久喜市発足。
- ↑ 2005年4月1日にさいたま市に編入合併し、さいたま市岩槻区となる。
- ↑ 2001年5月1日に3市が合併してさいたま市発足。
- ↑ 2011年10月11日に川口市へ編入。
- ↑ 8.0 8.1 8.2 8.3 8.4 8.5 2015年4月1日現在
- ↑ 八重笠道路が一部町域に入っている
出典
- ↑ 1.0 1.1 1.2 佐藤健太郎 2014, p. 118.
- ↑ “一般国道の路線を指定する政令(昭和40年3月29日政令第58号)”. 法令データ提供システム. 総務省行政管理局. . 2012閲覧.
- ↑ 3.0 3.1 3.2 3.3 3.4 3.5 “表26 一般国道の路線別、都道府県別道路現況 (PDF)”. 道路統計年報2016. 国土交通省道路局. p. 6. . 2017閲覧.
- ↑ “一般国道の指定区間を指定する政令(昭和33年6月2日政令第164号)”. 法令データ提供システム. 総務省行政管理局. . 2012閲覧.
- ↑ ウィキソースには、二級国道の路線を指定する政令(昭和28年5月18日政令第96号)の原文があります。
- ↑ ウィキソースには、一級国道の路線を指定する政令の一部を改正する政令(昭和37年5月1日政令第184号)の原文があります。
- ↑ ウィキソースには、二級国道の路線を指定する政令の一部を改正する政令(昭和37年5月1日政令第184号)の原文があります。
- ↑ 一般国道の路線を指定する政令(昭和40年3月29日政令第58号)
- ↑ “国道122号館林明和バイパス開通のお知らせ”. 館林市 (2018年3月1日). . 2018閲覧.
- ↑ “旅行時間一覧(埼玉県東部)”. 日本道路交通情報センター. . 2013閲覧.
- ↑ 11.0 11.1 東京都通称道路名一覧表 東京都建設局
- ↑ 12.0 12.1 東京都通称道路名地図(区部拡大版) 東京都建設局
- ↑ 佐藤健太郎 2014, p. 119.