「ヘルベチカ」の版間の差分
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ヘルベチカ(Helvetica)は、1957年にスイス人タイプフェイスデザイナーのマックス・ミーディンガー とエドゥアルト・ホフマン(Eduard Hoffmann)が発表したサンセリフのローマ字書体。簡素で落ち着いた書体でありながら説得力に富む力強さが特長で、用途を選ばない幅広い汎用性がある。現在最も使用される書体の一つとなっているほか、出版や広告の業界では必要不可欠な書体として知られる。
今日ではフォントとして誰でも手軽に利用でき、Macintoshでは OS に付属する標準フォントの一つとなり、iOS(8以前)ではシステムフォントである。
「ヘルベチカ」の名称は、ラテン語で「スイス」を意味するHelvetia(ヘルウェティア / ヘルヴェティア)の形容詞形であるHelvetica(ヘルウェティカ / ヘルヴェティカ)に由来する。つまり、ヘルベチカとは「スイスの」を意味する語である。
Contents
歴史
Helvetica
1957年にハース鋳造所(ドイツ語: Haas’sche Schriftgiesserei)の手組み用活字として発表された。当時の名称は「ノイエ・ハース・グロテスク」(Neue Haas Grotesk) というもので、これは「ハース社の新しいグロテスク(サンセリフ)」という意味であった。1960年に、名称を変更しHelveticaとしてステンペル社から発表された。Ultra LightからUltra Boldまで、Helveticaは31種類の様々なウェイト(ファミリー)がデザインされた。
写植の時代になると、その人気ゆえに多くの模倣品が作られ、細部が微妙に異なるものの「別名のHelvetica」が氾濫した。
日本では原弘の希望で1964年の東京オリンピックを機に導入され、亀倉雄策の大会ポスターが初の利用事例ともいわれる[1]。
Neue Helvetica
ステンペル社は1983年に改訂版となるNeue Helveticaを発表した。Neue Helveticaでは51ウェイトという完璧なファミリーを形成し、それぞれがユニバース (Univers) を参考にしたわかりやすいナンバリングが施されている。Neue Helvetica 55 Romanを基準に、数字の一桁目が太さ、二桁目はスタイルを表す。現在、Neue HelveticaおよびHelveticaは、合併などによりモノタイプ・イメージング社の子会社であるライノタイプの商品・商標となっている。
誕生して60年が過ぎたヘルベチカは、現代においても、文化・国家の壁を越え、多くのシーンで用いられている。日本においても、常に日常生活に身近なところでヘルベチカを目にする事ができる。また、コーポレート・タイプ(企業の制定書体)としてよく用いられ、アメリカン航空やBMW、ドイツ鉄道、ルフトハンザドイツ航空、インテル、三菱電機、川崎重工業、名古屋市交通局[注釈 1]、NTTデータ、パナソニックなど枚挙にいとまがない。
変形
デジタルフォント
Macintoshでは、HelveticaがOSに付属している。macOSでは、Helvetica Neueも付属している。
Geneva
また、Macintosh用システムフォントのGenevaはHelveticaをディスプレイで読みやすくなるよう加工した派生書体。字形に独特のかわいらしさがあり、ヘルベチカ系統でも特に魅力的なフォントといわれている[2]。
Arial
ArialはHelveticaによく似た派生書体で、WindowsやmacOSに付属している。ArialはHelveticaとは字形が微妙に異なる(特に大文字の "R" や小文字の "a",数字の"1"や"3")が、文字幅がHelveticaと同じになるようデザインされている。WindowsでHelveticaは「Arial の別名」として登録されており、フォント名をHelveticaと指定するとArialで代用されるようになっている[3]。
その他
この他、ヘルベチカの代用フォント製品として、アメリカのビットストリーム社製の「Swiss 721」シリーズのフォントがあり[4]、PostScript、TrueTypeの双方でよく利用されている。Ghostscriptには、ドイツのURW++社が開発したフリーのPostScriptフォントが複数含まれているが、このうち「Nimbus Sans」がヘルベチカの代用となる。その他「Helios」(コンピュグラフィック社)、「Megaron」(AM社)、「Newton」(オートロジック社)などもヘルベチカクローンである[4]。だだし、いずれも完全な互換性を持つものではない。
出典
注釈
- ↑ 名古屋市交通局と関わりの深い名古屋臨海高速鉄道、名古屋ガイドウェイバス、愛知高速交通も含む。
出典
- ↑ 第28回 奇跡の普遍性 Helvetica forever: Story of a Typeface ヘルベチカ展 DNP 大日本印刷株式会社
- ↑ Macintosh Bible 第2版
- ↑ “KB102960 REG: Fonts Entries” (英語). Microsoft Knowledge Base (2015年12月4日). . 2016閲覧.
- ↑ 4.0 4.1 『改訂6版 TrueTypeフォントパーフェクトコレクション』pp10-11
関連項目
- スイス・スタイル
- en:Helvetica (film) - この書体に関するドキュメント映画
- ヘルヴェティア共和国