国際自動車連盟

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国際自動車連盟
略称 FIA
設立年 1947年
種類 非営利国際機関
目的 自動車団体統括
モータースポーツ統括
本部 フランスの旗 フランスパリ
位置 コンコルド広場
公用語 英語
フランス語
ウェブサイト www.fia.com
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国際自動車連盟(こくさいじどうしゃれんめい、フランス語: Fédération Internationale de l'Automobile)は、世界各国の自動車団体により構成される非営利の国際機関。略称はFIA。本部はフランスパリにある。2009年以降の会長はジャン・トッド

歴史

1894年、史上初の自動車レースとされる「パリ-ルーアン (Paris–Rouen」が開催され、これを開催した競技団体がフランス自動車クラブ (Automobile Club of France, ACF) へと発展した[1]。ヨーロッパ各国でも同様に四輪モータースポーツ統括団体となるナショナル・スポーツ・オーソリティー(Autorite Sportive Nationale, ASN)が設立されていった[2]。ASN相互の交流や公平なルール制定などを図るための国際機構として、1904年にドイツで国際自動車公認クラブ協会(Association Internationale des Automobile Clubs Reconnus, AIACR)が発足した[2]1922年には世界のモータースポーツを統括する下部組織として、国際スポーツ委員会 (Commission Sportive Internationale, CSI) を設立した。

AIACRは第二次世界大戦終戦後の1947年に改組され、国際自動車連盟 (FIA) となった。

1978年、CSIはジャン=マリー・バレストル会長の指揮下で国際自動車スポーツ連盟 (Fédération Internationale du Sport Automobile, FISA) に改編された。FISAはF1の運営を巡ってバーニー・エクレストン会長率いるF1コンストラクター協会 (FOCA) と激しい抗争 (FISA–FOCA warに及んだが、1981年に合意したコンコルド協定を基に共同運営を行うことになった。バレストルは1985年よりFIA会長も兼任し、強権をかざして論争を起こすことも厭わなかった。

1991年、FOCAのマックス・モズレーがFISA会長選で当選。モズレーが1993年にFIA会長にも就任すると、FISAをFIAに吸収し、代わりに世界モータースポーツ評議会 (World Motor Sport Council; WMSC) を新設した。バレストル時代を終わらせたモズレーも、安全性や費用削減を理由に強引な改革を進め、競技者側の自動車メーカー連合と対立するようになる。2009年のF1分裂騒動に幕を引く形で4期16年の権力から去り、ジャン・トッドが新会長に就任した。

トッドは道路の交通安全運動と、ハイブリッドEV技術のモータースポーツへの導入促進に力を注いだ。

活動

FIAの活動の趣旨は、世界各国の自動車団体(自動車連盟や自動車クラブ)とその登録会員(オーナードライバー)の権益を代表し、国際的な振興を目指すことである。世界125カ国、213の自動車団体が加盟し、総会員数は1億人を超える[1]国際運転免許証発行の便宜を図るほか、自動車の安全確保(ロードサービスEnglish版の提供、カーアシスタンス業務)や環境保護のための様々な啓蒙活動も行っており、2001年にはそのための下部組織としてFIA Foundationを設立した。これらの業務の決定機関が、移動と自動車の世界評議会(World Council for Mobility & Automibile)で、現在のFIA世界ツーリング&オートモービル評議会English版(World Council for Touring and the automobile; WCTA)である。

また、世界中の四輪モータースポーツの統轄機関という役割をもち、競技ルール(スポーティング・レギュレーション)や技術規定(テクニカル・レギュレーション)の制定、レース記録の公認、競技施設の安全性監督、ドライバーへのライセンス発行など多岐の業務を行う。世界選手権、国際選手権、国内選手権などのカテゴリーを設け、フォーミュラ1世界選手権、世界ラリー選手権世界ツーリングカー選手権など多くのレースイベントを主催している。F1に関するレギュレーション決定は下部組織のひとつ、F1委員会 (Formula One Commission) で行われる。最高決定機関であるFIA世界モータースポーツ評議会 (WMSC) には世界118ヶ国が加盟している(2004年4月現在)[3]

FIA世界ツーリング&オートモービル評議会 (WCTA)

世界各国の自動車団体は、相互に提携・協力し、FIAグローバルサービスとして、ロードサービスやそれに付随する会員サービスを提供する。国によっては地域ごとに異なる団体が管轄しているため、複数の協会・クラブが存在する(例:オーストラリア)。

FIA世界モータースポーツ評議会 (WMSC)

FIAが指定する各国のモータースポーツ管轄団体をナショナル・スポーツ・オーソリティ(Authority Sport NationaleASN)といい、通常一国一団体、例外的に複数団体が公認されその国での運営を行う。FIAとASNの関係は、IOC(国際オリンピック委員会)と各国のNOC(ナショナルオリンピック委員会)の関係に近い[3]

アメリカのモータースポーツはACCUSの下にUSAC(1956設立、インディーカーレース)、NASCAR(1948年設立、ストックカーレース)、SCCA(1944年設立、スポーツカーロードレース)、PSCR[旧名IMSA](1969年設立、プロフェッショナルGTなど)、NHRA(ドラッグレース)、CART(チャンプカーによるシリーズ戦)の独立した組織があり、各々のカテゴリーの拡張を図っている[3]

組織

  • FIA総会 FIA General Assembly
    • FIA会長 FIA President
      • 副会長(Mobility) Deputy President(Mobility&Automobile)
        • 世界ツーリング&オートモービル評議会 World Council for Touring and the automobile; WCTA
      • 副会長(Sport)Deputy President(Sport)
  • FIA評議員会 FIA Senate - FIA管理運営上の緊急課題の審議、次年度予算・予算管理・決算の承認
  • 国際控訴裁判所 International Court of Appeal - FIA管轄事項に関する紛争解決を図る国際控訴裁判所
  • 事務局 Secretariat

歴代会長

FIA会長は任期4年で、FIA総会(FIA General Assembly)の投票により選出される。

会長名(国籍) 期間
フランスの旗 ジュアン・ド・ロアン=シャボー(Jehan de Rohan-Chabot)フランス 1946年–1958年
フランスの旗 アドラン・ド・リドケルク・ボーフォール(Hadelin de Liedekerke Beaufort)(フランス) 1958年–1963年
イタリアの旗 フィリッポ・カラッチオーロ・ディ・カスタニェート(Filippo Caracciolo di Castagneto)イタリア 1963年–1965年
イギリスの旗 ウィルフリッド・アンドリューズ(Wilfrid Andrews)イギリス 1965年–1971年
ベルギーの旗 アモーリー・ド・メロード(Amaury de Merode)ベルギー 1971年–1975年
ドイツの旗 パウル・アルフォンス・フォン・メッテルニヒ=ヴィンネブルク(Paul Alfons von Metternich-Winneburg)ドイツ 1975年–1985年
フランスの旗 ジャン=マリー・バレストル(Jean-Marie Balestre)(フランス) 1985年–1993年
イギリスの旗 マックス・モズレー(Max Mosley)(イギリス) 1993年–2009年
フランスの旗 ジャン・トッド(Jean Todt)(フランス) 2009年–

主催競技

世界選手権

ワールドカップ

国際・地域選手権

  • FIA フォーミュラE選手権 - FIA Formula E Championship
  • FIA F2選手権 - FIA Fromula Two Championship
  • FIA GT3ヨーロッパ選手権 - FIA GT3 European Championship
  • FIA F3インターナショナルトロフィー - FIA Formula 3 International Trophy
  • FIA ヨーロッパツーリングカーカップ - FIA European Touring Car Cup
  • FIA ヨーロッパトラックレース選手権 - FIA European Truck Racing Championship
  • FIA ヨーロッパドラッグレース選手権 - FIA European Drag Racing Championship
  • FIA ヨーロッパ選手権 オートクロスドライバーズ - FIA Europian Championship for Autocross Drivers
  • FIA ヨーロッパラリークロス選手権 - FIA European Rallycross Championships
  • FIA オルタネティブエネルギーカップ - FIA Alternative Energies Cup
  • FIA ヨーロッパヒルクライム選手権 - FIA European Hill Climb Championship
  • FIA 国際ヒルクライムチャレンジ - FIA International Hill Climb Challenge
  • FIA ヨーロッパヒルクライムカップ - FIA European Hill Climb Cup
  • FIA ヒストリックラリー選手権 - FIA Historic Rally Championship
  • FIA ヒストリックレギュラリティーラリー - FIA Historic Regularity Rallies
  • FIA ヒストリックヒルクライム選手権 - FIA Historic Hill Climb Championship
  • FIA ヨーロッパラリーカップ - FIA European Rally Cups
  • FIA 中東ラリー選手権 - FIA Middle-East Rally Championship
  • FIA アフリカラリー選手権 - FIA African Rally Championship
  • FIA アジアパシフィックラリー選手権 - FIA Asia-Pacific Rally Championship
  • FIA ヨーロッパラリー選手権 - FIA European Rally Championship

廃止

競技車両規定

FIAは、モータースポーツに使用できる車両を規定し制定および公布する権限を持つ。国際モータースポーツ法典の付則J項の下、車両は製造目的による部門(カテゴリー)の大分類、形態や製造台数による群(グループ)の中分類、エンジン排気量またはシャシ規格などグループ内で個別の小分類がなされる。

FIAによる統轄は1948年からであり、当初は本則の下に競技目的で製造される単座席レーシングカーを規定するのみであったが、1950年に二座席スポーツカーを規定するC項、1954年に一般交通の下での運行を本来の製造目的とする車両をツーリングカー、グランドツーリングカーと規定するJ項がモータースポーツの多様化に促して付則され、1961年に二座席スポーツカーはJ項に編入された。1966年に全ての車両規定はJ項に統合され、1965年までのJ項内3カテゴリーは1カテゴリーに統合された。以降、カテゴリー、グループの追加、廃止が適宜行われている。
1981年まではAから始まるアルファベットカテゴリーと1から始まるアラビア数字グループで分類されていた。どちらも車両類型の競技性高度が高くなるのに従い後続の記号が従順に付与され、いずれのグループにも適合しない車両類型は競技性高度とは無関係に全て最後尾カテゴリーに属し、規格外車両として一纏めにされ末尾グループ記号が付与されていた。この類別方式では、規格外車両を除き、カテゴリーとグループの記号は競技性高度に整然と一致するが、車両類型の追加または廃止が行われた場合、以降の全記号は増減方向へ序列が移動するため、年度によってはカテゴリーおよびグループの記号が車両類型と不一致する場合が度々あった。1982年からはIから始まるギリシャ数字カテゴリーとアルファベットグループによる分類に改められた。運用開始時点では車両類型の競技性高度に従って記号が順番に付与されており、最も低高度の乗用車類型グループのみ記号順序に従わずNとされた。前方式とは異なり記号は特定車両類型の専用であり、車両類型が廃止されればその記号も廃止され、追加されれば新記号が付与される。これにより、車両類型と記号は絶えず一致するようになったが、記号順序と競技性高度は無関係になった。

1966年から1981年まで

※1965年以前も参考付記

製造公認車両
連続十二月間内に規定台数が製造された車両。
カテゴリーAに分類されていた。
  • 継続製造ツーリングカー:5000台以上を製造した4座席以上の閉鎖座席車両。グループ1に分類されていた。※1965年までは付則J項のA「ツーリング」カテゴリー、グループ1で、義務製造台数は1000台であった。
  • ツーリングカー(~1969年、1976年~)または特殊ツーリングカー(1970年~1975年):1000台以上を製造した4座席以上の閉鎖座席車両。グループ2に分類されていた。※1965年までは付則J項のA「ツーリング」カテゴリー、グループ2「改造ツーリングカー」で、製造台数義務はなかった。
  • 継続製造グランドツーリングカー(1970年~):1000台以上を製造した2座席以上の閉鎖座席車両。1970年から新設されグループ3に分類されていた。
  • グランドツーリングカー(~1969年、1976年~)または特殊グランドツーリングカー(1970年~75年):1975年までは500台以上、1976年からは連続二十四月間内400台以上を製造した2座席以上の閉鎖座席車両。1969年までグループ3、1970年からグループ4に分類されていた。※1965年までは付則J項のB「グランドツーリング」カテゴリー、グループ3で、閉鎖座席である必要はなく義務製造台数は100台であった。
  • スポーツカー(~1971年):1968年までは50台以上、1969年から1971年までは25台以上を製造した2座席車両。1969年までグループ4、1970年からグループ5に分類されていた。1972年からカテゴリーBに編入され製造台数義務が外された。※1965年までは付則J項のC「スポーツカー」カテゴリー、グループ4で、製造台数義務はなかった。1965年まで存在した試製型グランドツーリングカーもこれに包括される。
  • 特殊プロダクションカー(1976年~):グループ1から4の車両を基に、シャシの基本部とボディ上面の形状を残し広範囲の改造や変更を施した車両。通称シルエットフォーミュラ。製造台数義務はない。1976年から新設されグループ5に分類されていた。
特殊車両(~1969年)または試験的競技車両(1970年〜1975年)
カテゴリーBに分類されていたが、1976年から廃止された。
  • 特殊ツーリングカー(~1969年):グループ1と2の車両を基に、車体の根幹部を残し広範囲の改造や変更を施した車両。当時米国のストックカーが代表例。グループ5に分類されていたが、1970年からカテゴリーAに編入され製造台数義務が課せられた。
  • 試製型スポーツカー(~1971年)またはスポーツカー(1972年〜1975年):カテゴリーA公認車両の製造者により、スポーツカーの規格で開発実験用に製造された2座席車両。1971年までグループ6、1972年からグループ5に分類されていたが、1976年から廃止された。
競走車両
1975年までカテゴリーC、1976年からカテゴリーBに分類されていた。
  • 二座席レーシングカー:サーキットロードレース用に製造された並列2座席車両。全ての車輪が車体に覆われている。1974年以前の北米スポーツカーと1976年以降の国際スポーツカーが該当する。1975年までグループ7、1976年からグループ6に分類されていた。
  • フォーミュラ・レーシングカー(〜1971年)または国際フォーミュラ・レーシングカー(1972年〜):主にドライバーの技量を競うサーキットロードレース用に製造された1座席の開放座席車両。全ての車輪には覆いがない。No.1から3の車格に分類されていた。1975年までグループ8、1976年からグループ7に分類されていた。※1965年までは本則であった。
  • 規格外レーシングカー:No.1から3のフォーミュラ・レーシングカーを除くロードレース用に製造された1座席車両。1977年以降のカンナムカーもこれに該当する。フォーミュラ・リブレと呼ばれる。1975年までグループ9、1976年からグループ8に分類されていた。

1982年から

アルファベットで表記されるようになってからは多くの改訂があった。ここでは現在は消滅しているものも記す。

カテゴリI(量産車両)

  • グループN - プロダクションカー
  • グループA - ツーリングカー
  • グループB - スポーツカー(消滅)
  • グループS - ラリーカー(導入前に消滅)
  • グループR - ツーリングカーまたは大規模量産プロダクションカー
  • グループE-I - フリーフォーミュラレーシングカー
  • グループT1 - 改造クロスカントリーカー※
  • グループT2 - 量産クロスカントリーカー※

カテゴリII(競技車両)

  • グループC - スポーツプロトタイプカー(消滅)
  • グループT3 - 進化クロスカントリーカー※
  • グループRGT - GTプロダクションカー
  • グループGT1(消滅)
  • グループGT2(消滅)
  • グループGT3 - カップグランドツーリングカー
  • グループCN - プロダクションスポーツカー
  • グループD - 国際フォーミュラレーシングカー
  • グループE-II - フリーフォーミュラレーシングカー

カテゴリIII(トラック)

  • グループF(レーシングトラック)
  • グループT4(クロスカントリートラック)

[4][5]

※2001年まではグループT1が量産、T2が進化、T3が改造であった。

脚注

関連項目

外部リンク