首都圏新都市鉄道
首都圏新都市鉄道株式会社(しゅとけんしんとしてつどう、英語: Metropolitan Intercity Railway Company, MIR)は、つくばエクスプレスを運営している日本の鉄道会社である。
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概要
現在のつくばエクスプレスである常磐新線の建設を目的に、沿線地方公共団体と民間企業が出資する第三セクター方式で設立された。資本金額は1,850億円で、2,000億円の東日本旅客鉄道(JR東日本)に次いで日本の鉄道を本業とする会社では2位である。出資株主は、茨城県、東京都、千葉県など沿線地方公共団体が89パーセントを占め、代表取締役など役員は国土交通省や都県庁出身の官僚が占めている[1]。
北総鉄道、東葉高速鉄道や埼玉高速鉄道のようなニュータウン開発型第三セクター鉄道が建設費の利子負担と返済に苦しんだことを教訓として、建設費の大部分を無利子で調達していることが特徴である。建設費の圧縮、ATOやワンマン運転の採用により、経費節減を行っている。
運賃は4 - 30km程度の近距離では割高だが、50km程度ではJR幹線の運賃水準と大差ない。全線運賃は既存高速バスに合わせて設定され、1 - 3km区間も東京の地下鉄並みとするなど割高感を抑えている。
高速運転を実施したことで既存交通機関からの移乗を促し、輸送実績は上昇傾向にある。宅鉄法による強制的な沿線開発事業との連動性も強い。
2008年度は約18億円の最終赤字だが約4億円の営業黒字、2009年度は約1500万円の最終黒字、2010年度は約21億円の最終黒字をそれぞれ計上している。社員は未経験者を多く採用[1]しているが、現場の人手不足や退職者の多さが2014年の第186回国会で取り上げられている[2]。
営業状況の推移
年度 | 回次 | 決算年月 | 営業収益 | 営業損益 | 経常損益 | 当期純損益 |
---|---|---|---|---|---|---|
2004 | 第15期 | H17/3 | - | n.a. | ▲ 10.18億円 | ▲ 9.49億円 |
2005 | 第16期 | H18/3 | 140.40億円 | n.a. | ▲ 52.64億円 | ▲ 49.64億円 |
2006 | 第17期 | H19/3 | 267.74億円 | n.a. | ▲ 47.20億円 | ▲ 37.60億円 |
2007 | 第18期 | H20/3 | 307.28億円 | ▲ 0.56億円 | ▲ 19.01億円 | ▲ 19.53億円 |
2008 | 第19期 | H21/3 | 333.77億円 | 4.31億円 | ▲ 13.63億円 | ▲ 18.91億円 |
2009 | 第20期 | H22/3 | 342.48億円 | 16.78億円 | 0.30億円 | ▲ 0.15億円 |
2010 | 第21期 | H23/3 | 353.98億円 | 29.66億円 | 26.29億円 | 21.41億円 |
2011 | 第22期 | H24/3 | 360.75億円 | 26.95億円 | 21.83億円 | 25.30億円 |
2012 | 第23期 | H25/3 | 379.01億円 | 37.36億円 | 29.76億円 | 30.93億円 |
2013 | 第24期 | H26/3 | 398.94億円 | 48.45億円 | 37.11億円 | 35.19億円 |
2014 | 第25期 | H27/3 | 404.61億円 | 56.08億円 | 42.66億円 | 34.97億円 |
2015 | 第26期 | H28/3 | 420.11億円 | 66.74億円 | 51.32億円 | 37.94億円 |
2016 | 第27期 | H29/3 | 432.75億円 | 66.95億円 | 50.11億円 | 37.00億円 |
2017 | 第28期 | H30/3 | 443.63億円 | 79.55億円 | 61.48億円 | 46.01億円 |
沿革
- 1991年(平成3年)3月15日 - 首都圏新都市鉄道株式会社を設立。
- 1992年(平成4年)1月10日 - 第一種鉄道事業免許を取得[3]。
- 1995年(平成7年)1月 - 東京都台東区浅草橋五丁目に本社事務所を移転。
- 2000年(平成12年)1月 - 台東区元浅草二丁目に本社事務所を移転。
- 2004年(平成16年)12月 - 台東区台東四丁目に本社事務所を移転。
- 2005年(平成17年)8月24日 - つくばエクスプレスを開業。
- 2007年(平成19年)3月18日 - PASMOを導入。
- 2008年(平成20年)3月14日 - パスネットの自動改札機での使用を終了。
- 2017年(平成29年)1月30日 - 本社事務所を千代田区神田練塀町に移転。ただし本店登記は変更なし。
路線
車両
車両は、直流電化区間である秋葉原 - 守谷間のみで使用されるTX-1000系と、交流電化区間である守谷 - つくば間を含む全線で使用されるTX-2000系があり、ダイヤによって使い分けている。
今後、新型交直流車両TX-3000系を30両(6両固定×5編成)を増備し、2020年3月に運行開始する予定である[6][7][8]。
車両番号の振り方
TX-○○○○
- 千の位 … 電気方式:1→直流用、2→交直両用
- 百の位 … 車両番号:つくば方から秋葉原方へ1から6(通称営団方式、号車番号と同じ)
- 十と一の位 … 編成番号:TX-1000系は01から14、TX-2000系は51から73
将来に増結を予定している場合、事業者によってはあらかじめ空き番号を設ける場合があるが、TX-1000・2000系は百の位に欠番はない(東京急行電鉄の5050(東横)・5080(目黒)系と同じ)。
運賃・企画乗車券
TXカード
パスネットに対応した鉄道乗車カード(磁気カード)である。開業と同時に発売を開始し、2008年1月に終売した。カードは5,000円、3,000円、1,000円の3種類があった。図柄は「パスネット」のみの表記となっており、「TXカード」の表記はされなかった。通常カードのほか記念カードがあり、通常カードはTXのマスコットキャラクタースピーフィと路線図がモチーフで記念カードは違う絵柄であった。
2007年3月18日、ICカード「PASMO」を導入し、2008年3月14日の終電をもってパスネットの自動改札機利用を終了した。残額のあるTXカードは同年3月15日以降無手数料での払い戻しや、PASMOへ残額の移行を行っているほか、自動券売機での切符の購入、自動精算機、有人改札での乗り越し精算でそれぞれ引き続き利用できる。
TXカードは、券売機等での利用を2015年3月31日に終了し、払い戻しの取り扱いを資金決済に関する法律に基づいて2018年1月31日をもって終了することが発表されている[9]。
携帯電話・無線LANサービス
地下区間を含む全線の走行中の車内で、全携帯電話事業者の電波が受信可能であると宣伝しているが、Y!mobileのPHSサービスは対象外で地下の駅間など使用できない区間がある。
TX-2000系電車の車内で公衆無線LANが利用できる。開業時から2006年7月まで車内で無線LANによるインターネット接続のモニターテストが行なわれ、同年8月24日からMzoneのサービスが開始された。
特記事項
脚注
- ↑ 1.0 1.1 “首都圏新都市鉄道株式会社の有価証券報告書(2012年04月01日 - 2013年03月31日期)”. 有報リーダー. . 2013閲覧.
- ↑ 第186回国会 予算委員会第八分科会 第1号(平成26年2月26日(水曜日))
- ↑ 『つくばエクスプレス建設物語 ―構想・施工・新技術の紹介―』 都市高速鉄道研究会 編、成山堂書店、2007-03-18。ISBN 978-4-425-96121-4。
- ↑ “3編成18両の車両増強と南流山駅ホーム改良計画について” (PDF) (プレスリリース), 首都圏新都市鉄道株式会社, (2011年1月11日), オリジナルの2012年3月6日時点によるアーカイブ。 . 2013閲覧.
- ↑ “輸送力増強に向けて車両を増備! 3編成18両(TX-2000系車両)を導入します。” (プレスリリース), 首都圏新都市鉄道株式会社, (2012年6月18日) . 2013閲覧.
- ↑ “平成31年度末の輸送力増強に向けて車両5編成(30両)を増備します (PDF)”. 首都圏新都市鉄道 (2016年10月19日). 2017年4月29日時点のオリジナルよりアーカイブ。. 2017閲覧.
- ↑ “つくばエクスプレス,車両増備へ”. 鉄道ファン・railf.jp. 交友社 (2016年10月21日). 2016年12月20日時点のオリジナルよりアーカイブ。. 2017閲覧.
- ↑ “TX新型車両TX-3000系を導入します”. 首都圏新都市鉄道 (2018年6月8日). . 2018閲覧.
- ↑ パスネットの使用終了と残額の払い戻しについて (PDF) - パスネット協議会 2014年12月15日発表
- ↑ つくばエクスプレスで「トラブル・不祥事多発」一体なぜ!? - 現代ビジネス 2017年11月8日発信。同年同月10日閲覧。