新幹線952形・953形電車

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ファイル:JRE 953-5 953-1.jpg
新幹線953形電車

952形および953形は、東日本旅客鉄道(JR東日本)が騒音微気圧波、地盤振動等の低減などの環境対策をさらに進めるため、1992年平成4年)に製作した高速試験用新幹線電車である。通常構造の非連接車952形4両と連接構造の953形5両で1編成を構成していた。愛称STAR21(スター21)で、Superior Train for Advanced Railway toward the 21st century(日本語訳:「21世紀の素晴らしい電車」)の頭文字をとって名付けられたものである。

構造

次世代車両製造時のデータ収集のため、車体には3種類の車体構造が試されており、車体は952形がアルミダブルスキン構造またはアルミハニカムパネル構造(952-4のみ)、953形がアルミハニカムパネル構造(953-1のみ)またはジュラルミンリベット構造[1]を採用している。また、先頭車形状が952形側と953形側で異なっていた。制御装置はJR東日本の新幹線電車としては初のVVVFインバータ制御を採用しており、インバータ装置で使用される半導体素子にはゲートターンオフサイリスタ (GTO) が使用された。

仕様

952形

  • 952-1 - 1号車。東京方の制御電動車。新製時は付随車で、1993年(平成5年)に速度向上試験に備え電動車に改造された。横2+2配列の座席を設置。車体は大型押出形材を使用したアルミダブルスキン構造を採用している。2軸ボギー車。製造は日本車輌製造(952-2・3も)。
  • 952-2 - 2号車(改造後は3号車)。中間電動車。横2+2配列の座席を設置し、1993年(平成5年)の改造時にパンタグラフが搭載された。多目的室や車椅子対応トイレを配備。車体は大型押出形材を使用したアルミダブルスキン構造を採用している。2軸ボギー車。
  • 952-3 - 3号車(改造後は4号車)。中間電動車。横2+2配列の座席を設置。新製時はパンタグラフが搭載されており、1993年(平成5年)の改造の際に撤去された。車体は大型押出形材を使用したアルミダブルスキン構造を採用している。2軸ボギー車。
  • 952-4 - 4号車(改造後は2号車)。中間電動車。新製時は付随車で、1993年(平成5年)に電動車改造された。横1+2配列の座席が設置されグリーン車に相当する。車体はアルミハニカムパネルを使用したアルミハニカムパネル構造を採用している。2軸ボギー車。製造は日立製作所(953-1も)。

953形

  • 953-1 - 5号車。中間付随車。横2+2配列の座席を設置。車体はアルミハニカムパネルを使用したアルミハニカムパネル構造を採用している。953-2側の台車は連接構造だが、952-4との連結側の台車は通常のボギー台車。
  • 953-2 - 6号車。中間電動車。横2+2配列の座席を設置。車体はジュラルミンリベット構造を採用している。連接車。製造は川崎重工業(953-3・4・5も)。
  • 953-3 - 7号車。中間電動車。パンタグラフを搭載。2+2の座席を設置。車体はジュラルミンリベット構造を採用している。連接車。
  • 953-4 - 8号車。中間電動車。横2+2配列の座席を設置。車椅子対応多機能トイレや洗面所があった。車体はジュラルミンリベット構造を採用している。連接車。
  • 953-5 - 9号車。盛岡方の制御電動車。2+2の座席が設置。車体はジュラルミンリベット構造を採用している。連接車。

運用実績

ファイル:JRE 952 953 Star21 SpeedRecord425km.jpg
最高速度425km/hを達成を記念した表示

1992年平成4年)3月27日から、東北新幹線仙台 - 北上間で走行試験を開始し、1993年(平成5年)12月21日上越新幹線越後湯沢 - 新潟間で試験中に燕三条駅付近で最高速度425km/hを達成している。試験終了に伴い、1998年(平成10年)2月17日付で廃車となった。

保存状況

先頭車2両のうち952-1が財団法人鉄道総合技術研究所風洞技術センター(滋賀県米原市)に、953-5が中間車953-1を連結された状態でJR東日本新幹線総合車両センター宮城県宮城郡利府町仙台市宮城野区多賀城市)に静態保存されている。また、奈良工業高等専門学校の敷地内に台車が保存され、実習に使用されている。

脚注

  1. アルミニウム合金の一種であるジュラルミンの外板と車体の骨組みに穴を開け、そこにリベッドを打ち込んで外板を車体の骨組に固定して組立てる構造であり、航空機の機体で使用されているセミ・モノコック構造である。