三振

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三振(さんしん)とは、野球ソフトボールにおいて打者投手からストライクを3つ取られること、またそのときの記録である。英語ではStrike Out(略記SO)といい、スコアブックではK、またはS.Oと記す。

概要

1回の打席において、打者が3回ストライクを宣告されたときの記録を三振という。このとき、第3ストライクの投球を捕手が正規に捕球するか、後述する規則により第3ストライクの宣告を受けた打者が直ちに走者となれない場合には、打者はアウトになる。ここで第3ストライクの宣告は、直ちに打者のアウトを意味するとは限らないことに注意しなければならない(→振り逃げ)。

球審は、第3ストライクを宣告する際、「ストライク・スリー」とコールする。

MLBでは1887年シーズンのみストライク4つでアウトにする四振が規則として採用された。反対が多かったのか翌シーズンには三振に戻された[1]。またチャーリー・O・フィンリーは試合短縮を狙って、ストライク2つでアウトにする二振をオープン戦で採用したことがある。

規定

2ストライク後にストライクを宣告された場合に三振が記録される(ストライクを宣告される場合については「ストライクが宣告される条件」を参照)。

公式記録の上で状況による区別はないが、特に目的をもって記録をつけている者はその目的に応じてしばしば区別して記録する。

  • 3ストライク目が空振りである場合、空振り三振という。
  • 打者が打とうとしなかった投球がノーバウンドでストライクゾーンを通過することを見逃しといい、3ストライク目が見逃しである場合、見逃し三振という。
  • 2ストライク後にバントをした打球がファウルボールになった場合、スリーバント失敗と呼ばれる。

打席途中に投手交代があった場合や代打があった場合に誰に奪三振や三振の記録が付くかは野球規則に定められている。

  • 打席途中に投手交代となった場合、2ボール、2ボール1ストライク、3ボール、3ボール1ストライク、3ボール2ストライクから四球になったとき以外は、すべて救援投手の記録となる[2][3]。そのため救援投手の投球数が1球でも奪三振1が記録されることがある。
  • 打席途中に代打があった場合、第2ストライクが記録された時に打席に立っていた打者に三振が記録される(複数の代打があった場合も同じ)[2]

1人の打者に対するすべての投球がストライクとなり、3球の投球でその打者から三振を奪うことを俗に「三球三振」という。

無死または一死で、一塁には走者がいない場合、もしくは二死の場合、第3ストライクにあたる投球を捕手が正規に捕球出来ないと、打者はアウトではなく、打者走者となる。これを振り逃げといい、打者をアウトにするためには、内野ゴロ同様に、守備側は打者または一塁に触球しなければならない。それまでに打者が一塁に到達すれば、打者は走者となって一塁に生きることが出来る。振り逃げによる一塁出塁の成否に関わらず、打者には三振が、投手には奪三振が記録される(これにより、1イニングで4つ以上の三振が記録される場合がある。詳細は、振り逃げを参照)

三振で打者がアウトになった直後に塁上の走者が盗塁に失敗、または離塁が大きかったために触球されてアウトになることを、俗に「三振ゲッツー三振併殺)」という。この場合、打者には三振が記録されるが併殺打は記録されない。

Kの表記について

スコアブック上で三振をKと表記する理由は諸説あり、今も明確にはなっていない。

  • 「struck」の末尾の「K」を採ったとする説
スポーツライターのヘンリー・チャドウィックによって考案された。頭文字の「S」をそのまま表記してしまうと、「Sacrifice(犠打)」と重複するためだとされる。[4]
  • 「Knockout」のKを採ったとする説
現在はこれが最も有力である。「Strike out」の頭文字の「S」や「SO」をそのまま表記してしまうと、「Sacrifice(犠打)」や「Steal(盗塁)」、「StealOut(盗塁死=盗塁失敗)」と重複するためだと言われる。
  • 「kill(ed)」のKを採ったとする説
日本語で「1死」などと言うように、「アウト」は「死」を意味する。
「三振する」=「打者は死ぬ」=「投手は打者を殺した」
「殺す」=「kill」(「殺した」=「killed」)
  • 「単なる偶然」説
ルールブック編集者がアウトにする方法を適当に箇条書きした上で、アルファベットを一文字ずつ振っていき、その結果、偶然にも三振のところに「K」が振られたとする。ただし、公認野球規則において三振になった打者がアウトになることを規定しているのは、打者がアウトになる場合を列挙している2015年までの6.05のうち(b)(c)(j)、2016年以降は5.09(a)の(2)(3)(10)(14)となっている。

打数 / 三振比率 (At Bats per Strikeout : AB/K)

メジャーリーグの野球記録では、打者に対する「三振のしにくさ」を評価する数値として、打数を三振数で割った係数が用いられる。この係数の特徴は打数を分子とすることで、四死球や犠打、失策の要素が影響せず、その打者の打撃がどれほど確実に投球を打ち返すかを表現している点である。 数値が大きいほどその打者は三振しにくい。評価基準は概ね、7.8ほどで良好、10を上回ると優秀であるとされている。また実際は打者の打率の高さともある程度の相関を持ち、いわゆる「アベレージヒッター」ほど高い数値を示す。

奪三振

奪三振(だつさんしん)は、投手が打者を三振に仕留めることで、投手に与えられる記録である。

上記の要領で打者に三振が記録されると同時に、投手には奪三振が記録される。対戦打者の三振と対戦投手の奪三振は必ず同数になる。

  • 1イニングが3アウトで終了することから、1イニングで記録できる奪三振は3個が基本的な上限である。しかし、振り逃げが成功した場合、奪三振は記録されるが、アウトカウントは増加しない。振り逃げは条件さえ整っていれば1イニングに何度でも行うことが可能であるので、理論上は1イニングで何個でも奪三振が記録できることになる。
  • 投手にとって三振を取ることは、打者の狙いを完全に外すことであり、投手対打者の対戦において投手の完勝と言える。特に奪三振の多い投手はドクターKなどと呼ばれ、強打者との対戦がクローズアップされるなど注目度が高い。
  • 1人の打者との対決の途中に投手が交代し、最終的にその打者が三振した場合は、第3ストライクを取った投手に奪三振1が記録される。よって「奪三振1を記録するために必要な最少投球数」は「1球」ということになる。
  • 1試合のプロ野球記録としては1952年5月13日マイナーリーグのクラスD級において、ロン・ネッチアイ投手が回を追うごとに増す胃潰瘍による胃の痛みに耐え、9回27奪三振(=ノーヒットノーラン)の大記録を達成している[5]

奪三振率

奪三振率とは投手が1試合(9イニング)完投したと仮定した場合の平均奪三振数である。すなわち次の式により求められる。

奪三振率=奪三振数×9÷投球回

この値は投手の能力を評価する指標の一つであり、高ければ自力でアウトに取る能力が高い投手と認識される。BABIPとの関わりから奪三振率の高い投手は被打率が低くなりやすいというメリットがある。評価基準は、7.5から8.0であれば高い部類に入り9.0を超えると典型的な、三振を取る投手となる。年代別に見ると、奪三振率はMLBにおいては全体的に上昇する傾向にある[6]。近年では奪三振を被打者数で割ったK%による評価が主流となりつつある。

シーズンを通しての日本プロ野球記録(規定投球回数達成者)は1998年石井一久11.05(196.1回で241奪三振)。MLB記録は2001年ランディ・ジョンソン13.41(249.2回で372奪三振)。ちなみにシーズン401奪三振を記録した1968年江夏豊10.97(投球回は329回)。

三振数に関する記録

日本プロ野球

通算記録

順位 選手名 三振数
1 清原和博 1955
2 谷繁元信 1838
3 山崎武司 1715
4 秋山幸二 1712
5 金本知憲 1703
6 中村紀洋 1691
7 新井貴浩 1667
8 T.ローズ 1655
9 衣笠祥雄 1587
10 広澤克実 1529
順位 選手名 三振数
11 門田博光 1520
12 小久保裕紀 1516
13 中村剛也 1490
14 野村克也 1478
15 大島康徳 1462
村田修一
17 池山隆寛 1440
18 田中幸雄 1416
19 井口資仁 1409
20 王貞治 1319
  • 記録は2017年シーズン終了時点[7]

シーズン記録

順位 選手名 所属球団 三振数 記録年 備考
1 R.ブライアント 近鉄バファローズ 204 1993年 パ・リーグ記録
2 R.ブライアント 近鉄バファローズ 198 1990年
3 R.ブライアント 近鉄バファローズ 187 1989年
4 R.ブライアント 近鉄バファローズ 176 1992年
5 岩村明憲 ヤクルトスワローズ 173 2004年 セ・リーグ記録
6 中村剛也 埼玉西武ライオンズ 172 2015年
7 B.エルドレッド 広島東洋カープ 169 2014年
8 M.ゴメス 阪神タイガース 166 2014年
9 O.デストラーデ 西武ライオンズ 165 1990年
10 A.ジョーンズ 東北楽天ゴールデンイーグルス 164 2013年
  • 記録は2017年シーズン終了時点[8]

メジャーリーグベースボール

通算記録

順位 選手名 三振数 打席
1 レジー・ジャクソン 2597 11,418
2 ジム・トーミ 2548 10,313
3 アダム・ダン 2379 8,328
4 サミー・ソーサ 2306 9,896
5 アレックス・ロドリゲス 2287 12,207
6 アンドレス・ガララーガ 2003 8,916
7 ホセ・カンセコ 1942 8,129
8 ウィリー・スタージェル 1936 9,027
9 マイク・キャメロン 1901 7,884
10 マイク・シュミット 1883 10,062
順位 選手名 三振数 打席
11 フレッド・マグリフ 1882 10,174
12 トニー・ペレス 1867 10,861
13 ライアン・ハワード 1843 6,531
14 デレク・ジーター 1840 12,602
ボビー・アブレイユ 10,081
16 デーブ・キングマン 1816 7,429
17 マニー・ラミレス 1813 9,774
18 マーク・レイノルズ 1806 5,846
19 アルフォンソ・ソリアーノ 1803 8,395
20 カルロス・ベルトラン 1795 11,031
  • 記録は2017年シーズン終了時点[9]
  • 太字は現役選手

シーズン記録

順位 選手名 所属球団 三振数 記録年 備考
1 マーク・レイノルズ アリゾナ・ダイヤモンドバックス 223 2009年 ナ・リーグ記録
2 アダム・ダン シカゴ・ホワイトソックス 222 2012年 ア・リーグ記録
3 クリス・デービス ボルチモア・オリオールズ 219 2016年
4 クリス・カーター ヒューストン・アストロズ 212 2013年
5 マーク・レイノルズ アリゾナ・ダイヤモンドバックス 211 2010年
6 クリス・デービス ボルチモア・オリオールズ 208 2015年
アーロン・ジャッジ ニューヨーク・ヤンキース 2017年 新人記録
8 クリス・カーター ミルウォーキー・ブリュワーズ 206 2016年
9 ドリュー・スタッブス シンシナティ・レッズ 205 2011年
10 マーク・レイノルズ アリゾナ・ダイヤモンドバックス 204 2008年
  • 記録は2017年シーズン終了時点[10]

奪三振数に関する記録

日本プロ野球

最多奪三振

通算記録

順位 選手名 奪三振数
1 金田正一 4490
2 米田哲也 3388
3 小山正明 3159
4 鈴木啓示 3061
5 江夏豊 2987
6 梶本隆夫 2945
7 工藤公康 2859
8 稲尾和久 2574
9 三浦大輔 2481
10 村田兆治 2363
順位 選手名 奪三振数
11 山本昌 2310
12 村山実 2271
13 小野正一 2244
14 杉内俊哉 2156
15 石井一久 2115
16 槙原寛己 2111
17 川口和久 2092
18 西口文也 2082
19 山田久志 2058
20 平松政次 2045
  • 記録は2017年シーズン終了時点[11]

シーズン記録

順位 選手名 所属球団 奪三振数 記録年 備考
1 江夏豊 阪神タイガース 401 1968年 セ・リーグ記録
2 稲尾和久 西鉄ライオンズ 353 1961年 パ・リーグ記録
3 金田正一 国鉄スワローズ 350 1955年
4 江夏豊 阪神タイガース 340 1970年
5 杉浦忠 南海ホークス 336 1959年
6 稲尾和久 西鉄ライオンズ 334 1958年
7 梶本隆夫 阪急ブレーブス 327 1956年
8 稲尾和久 西鉄ライオンズ 321 1959年
9 杉浦忠 南海ホークス 317 1960年
10 金田正一 国鉄スワローズ 316 1956年
  • 記録は2017年シーズン終了時点[12]

1試合記録

選手名 所属球団 奪三振数 記録日 対戦相手
野田浩司 オリックス・ブルーウェーブ 19 1995年4月21日 千葉ロッテマリーンズ

1イニング記録

4奪三振

幸田優野村貴仁工藤公康西口文也岡島秀樹ドナルド・レモン斉藤和巳杉内俊哉金澤健人松坂大輔前田幸長涌井秀章ウィルフィン・オビスポ澤村拓一千賀滉大高橋聡文平田真吾八木亮祐藤浪晋太郎石田健大松井裕樹田口麗斗ブランドン・ディクソン

連続奪三振記録

選手名 所属球団 記録 記録日 対戦相手
梶本隆夫 阪急ブレーブス 9 1957年7月23日 南海ホークス
土橋正幸 東映フライヤーズ 1958年5月31日 西鉄ライオンズ

メジャーリーグベースボール

最多奪三振

通算記録

  • 記録は2014年シーズン終了時点[13]

シーズン記録

  • 1901年以降を対象
順位 選手名 所属球団 奪三振数 記録年 備考
1 ノーラン・ライアン カルフォルニア・エンゼルス 383 1973年 ア・リーグ記録
2 サンディ・コーファックス ロサンゼルス・ドジャース 382 1965年 ナ・リーグ記録
3 ランディ・ジョンソン アリゾナ・ダイヤモンドバックス 372 2001年
4 ノーラン・ライアン カルフォルニア・エンゼルス 367 1974年
5 ランディ・ジョンソン アリゾナ・ダイヤモンドバックス 364 1999年
6 ルーブ・ワッデル フィラデルフィア・アスレチックス 349 1904年
7 ボブ・フェラー クリーブランド・インディアンス 348 1946年
8 ランディ・ジョンソン アリゾナ・ダイヤモンドバックス 347 2000年
9 ノーラン・ライアン カルフォルニア・エンゼルス 341 1977年
10 ランディ・ジョンソン アリゾナ・ダイヤモンドバックス 334 2002年

その他の記録

1試合最多奪三振(延長含む)
21トム・チェニーEnglish版ワシントン・セネタース)(1962年、投球回16)
1試合最多奪三振(投球回9イニング以内)
20ロジャー・クレメンス(1986年、1996年)
20ケリー・ウッド(1998年)
20ランディ・ジョンソン(2001年)
20マックス・シャーザー(2016年)
連続奪三振
10トム・シーバー(1970年4月22日)
10エリック・ガニエ:(2003年5月17日 - 21日)
1試合三振数
2017年5月7日カブスヤンキース戦で両チーム合わせて48三振(カブスは22個、ヤンキースは26個)を記録した[14][15]。従来の記録は1971年7月9日、アスレチックスエンゼルス戦の43個だった。

マイナーリーグベースボール

1試合記録

選手名 所属球団 奪三振数 記録日 対戦相手
ロン・ネッチアイ ブリストル・ツインズEnglish版(クラスD級) 27 1952年5月13日 ウェルチ・マイナーズEnglish版

比喩

「三振」という語は、三度目の有罪判決で罪状に関係なく最大の量刑が課せられるという三振法や、新司法試験の3回しかない受験機会の全てで不合格だった者を指す三振博士のように、野球を離れて比喩的に用いられることがある。

脚注

関連項目