マップ (アップル)

本項ではマップ（英語: Maps）というアップルが開発したiOS対応の地図サービスアプリケーションについて触れる。

概要

本アプリは、iOS、macOS、およびwatchOSのデフォルトのマップシステムである。地図のほか、自動車、徒歩、および公共交通機関のナビゲーションや到着推定時刻を提供する。アプリには、ユーザーが建物の3Dランドスケープモデルで構成された特定の都市部の中心を探索できるFlyoverモードもある。

2012年9月19日、AppleはiOSで自社製のマップサービスをリリースし、Google マップをiOSのデフォルトのマップサービスから置き換えた。最初のリリースでは、不正な方向、公共交通機関のユーザーに対するサポートの欠如、およびその他のさまざまなバグやエラーについて、ユーザーや新聞から大量の批判を受けた。その後、これらの批判の多くに取り組んだ。

背景

このアプリケーションがiPhone OS（後のiOS）に搭載されるようになったのは初代iPhoneが発売された2007年6月29日であり、Google マップが使われていた。2012年6月11日に開催されたApple Worldwide Developers Conference (WWDC) 2012での基調講演にてスコット・フォーストールは新バージョンはGoogleマップの使用を止め、オランダのナビゲーションシステムメーカーであるTomTom社のデータを使用したアップル独自の地図を使用することを発表した。

機能

Apple Mapsはベクターグラフィックスを使用しているため、アプリケーションは2012年9月時点のGoogle マップよりも少ないデータで使用できた。マップには、レギュラー・マップ、サテライト・ビュー（航空写真）、ハイブリッド・ビュー（レギュラー・ビューとサテライト・ビューの組み合わせ）、および公共交通機関ビューの4つのレイヤーがある。地図データの主要プロバイダーはTomTomだが、データは自動車ナビゲーションデータ、ヘキサゴン、Intermap Technologies、オープンストリートマップ、Wazeでも提供されている 。Appleは2015年にTomTomと契約を更新した。TomTomは、Tele Atlasの親会社であり、Google マップでも使用されている。衛星画像はデジタルグローブのものを使用している。中国では、代わりにAutoNaviのデータを使用している。

Apple Mapsを使って経路を検索することができる。ナビゲーションサービスは、車両、歩行者、公共交通機関のための音声による案内を備えたターンバイターンナビゲーションがある。Appleによると、ナビゲーション機能は世界中の56カ国で利用可能である。Apple Mapsは、リアルタイムの交通情報を表示する事も可能である。さらに、AppleのバーチャルアシスタントSiriは、Apple Mapsに統合されている。このマップは、Booking.com、Foursquare、TripAdvisor、Yelpを含む約20社が提供するランドマークポイントを表示する。Foursquareのデータは2015年後半に追加された。ユーザーは後で検索できるように、地図上にピンをドロップして場所を保存できる。衛星ビューには、指定された場所を3次元衛星ビューで表示するFlyoversがある。

批判

Apple Mapsは、iOS 6で2012年9月19日にリリースされたが、多くのアップルユーザーや評論家に、地図の不正確さやバグなど、さまざまな理由で批判に晒された。

まず、Google ストリートビューや乗換案内といった、Google マップにはあった機能がなくなっていた。さらに次のような、地図自体の致命的間違いが複数のメディアで報じられた。

世界では、

• オーストラリア・シドニーのApple Storeの位置が間違っている。
• 街全体が病院と表示される。
• 保育園が空港と誤分類される。
• 一番近いガソリンスタンドが、利用者の位置から76マイル（約122.2キロメートル）先に表示される。
• ダブリンの農場が Airfield という名前のせいか、空港とされる。
• ワシントン記念塔が、実際に建っている場所から南に数百メートルずれる。
• 2012年12月には、オーストラリアビクトリア州・ミルデューラの位置が、実際の位置から70kmもずれたマレー・サンセット国立公園のステップ地帯に誤って表示された。この誤表示は、立往生した自動車の運転手が救援を求めたため、ビクトリア州警察が警告を発する事態に至っている。
• アメリカ合衆国アラスカ州では、行き先をフェアバンクス国際空港に設定した利用者が、マップに従ったところ、空港の滑走路に侵入した事件も発生している。
• モスクワにソビエト社会主義共和国連邦というスポットが表示される。
• ハワイ州オアフ島に真珠湾攻撃陰謀説というスポットが表示される。
• ニュージーランド北島オークランドにあるオークランド駅が海の中に表示される。

日本では、

• オホーツク紋別空港が「1号」と表示される。
• 成田国際空港が「天神峰トンネル」と表示される。
• 東京国際空港が「大王製紙」と表示される。
• 業平橋駅の隣に「東武鉄道東武館駅」が建つ。
• 新宿駅の東側に「新宿西口駅」が建つ。
• 総理大臣官邸前に日比谷高校が建つ。
• 高円寺駅の東隣に中野電車区が駅扱いで表示される。
• 電力館のそばに「東急駅」が建つ。
• 桜田門駅が日比谷公園の敷地内に建つ。
• 四ツ谷駅が乱立し、そのうち一つが「アトレ」になっている。
• 外濠公園が「マクドナルド」と表示される。
• 市ケ谷駅が外濠に水没している。
• ゆりかもめ日の出駅、東京都公文書館が東京湾に水没している。
• りんかい線東京テレポート駅、ゆりかもめ青海駅、東京モノレール昭和島駅も東京湾に水没。
• 田町駅と品川駅の間に「東京八重洲口開発計画駅」が出現。
• 立教大学の敷地内に「要町駅」が建つ。
• 自由が丘駅の北に「おくさわ駅」が出現した上、本来の奥沢駅は「バーミヤン駅」と表示される。
• 歯科医院のアイコンがレストランになっている。
• 代官山駅から離れた緑地の中に「代官山駅」が建つ。
• 花月園前駅そばに「☆」というスポットが出現する。
• 川崎駅と京急川崎駅の間に「kawasaki駅」が出現する。
• 東急溝の口駅が「餃子の王将駅」と表示される。
• 中目黒駅と祐天寺駅の間に「東急ストア駅」が出現。
• 大岡山駅付近に「東急病院駅」が出現。
• 新百合ヶ丘駅 - 百合ヶ丘駅間に「ケンタッキー駅」が出現。
• 中部国際空港がハングルで「セントレア」と表示される。
• 京都大学理学部の敷地内に「元田中駅」が建つ。
• 大阪国際空港が「阪神水道企業団」と表示される。
• 尼崎駅が「ミドリ電化」と表示される。
• 阪急今津駅が「マクドナルド」と表示される。
• 広島ヘリポート（広島西飛行場）が「広島空港」と表示される。
• フレスポ松山中央のそばに「ラ」というスポットが出現する。
• 北九州空港が「東横イン」と表示される。
• 福岡空港が「東那珂」と表示される
• 福岡ドームやナゴヤドームが消滅している。
• リゾートシーホークホテル福岡のアイコンが公園になっている。
• 佐賀空港が「空港公園」と表示される。
• 吉野ヶ里遺跡に「邪馬台国」というスポットが出現。
• 熊本空港が「崇城大学」と表示される。
• 宮崎空港が「緑松体育館」と表示される。
• 鹿児島空港が「出光」と表示される。
• 鹿児島駅が水没している。
• 尖閣諸島が消滅する。
• 魚釣島が二重に表示される。
• 実在しない鉄道駅「パチンコガンダム駅」、「スターバックス駅」、「マクドナルド駅」などが表示される。

地図の3D表示にも、完全な歪みがある例がいくつかあり、ブルックリン橋のような「象徴的な建築物」が、潰れて見えることがある。

アメリカ合衆国ワシントン州にあるタコマナローズ橋の「3D映像が崩壊している事」に際し、ワシントン州運輸局は「#ios6 の見解は異なるかもしれませんが、タコマナローズ橋が溶け出しているといった事実は全くありません」と公式Twitterでツイートを行った。

日本では、東京タワー・大阪城・さっぽろテレビ塔・通天閣・名古屋城が「ただの高層ビルの形」で表示されたり、東京スカイツリーが建っていない3D映像が表示されている。

また地球の衛星写真のいくつかの部分が、完全に雲に覆われている。

アプリケーションの欠陥部分をスクリーンショットで指摘し、それをカバーするtumblr上のブログもある。

これらの批判に対し、アップルは声明を発表し、地図を継続的に改善することや、利用者からのフィードバックを全て認識していると声明を出したが、2012年9月28日、アップルCEOのティム・クックは、地図アプリケーションについて公式サイトで謝罪すると共に、アップルが地図を改善するまで、iOS 6ユーザーにGoogle マップなど「サードパーティー製の地図アプリケーションを使用することを提案する」メッセージを、自社公式ウェブサイトに掲載した。

なお、iOS 7以降急速に改善し、iOS 11.xでは高機能で実用的な地図ソフトとなっている。

外部リンク

• 地図が新しい道を行きます。 - Apple