ハギ

提供: miniwiki
2017/11/10/ (金) 20:09時点における119.173.163.80 (トーク)による版
(差分) ← 古い版 | 最新版 (差分) | 新しい版 → (差分)
移動先:案内検索




ハギ(萩 Lespedeza)は、マメ科ハギ属の総称。落葉低木。七草のひとつで、花期は7月から10月

名称

「萩」は本来はヨモギ類(あるいは特定の種を挙げる資料もある)の意味で、「はぎ」は国訓である。牧野富太郎によるとこれは「+秋」という会意による国字であり、ヨモギ類の意味の「萩」とは同形ではあるが別字という[1]

「芽子」「生芽」とも字を当てる。

分布

東アジア南アジア北米東部、オーストラリアの、温帯亜熱帯

特徴

数種あるが、いずれも比較的よく似た外見である。

背の低い落葉低木ではあるが、木本とは言い難い面もある。茎は木質化して固くなるが、年々太くなって伸びるようなことはなく、根本から新しい芽が毎年出る。直立せず、先端はややしだれる。

葉は3出複葉、秋に枝の先端から多数の花枝を出し、赤紫の花の房をつける。果実は種子を1つだけ含み、楕円形で扁平。

荒れ地に生えるパイオニア植物で、放牧地や山火事跡などに一面に生えることがある。

分類

範囲

ハギ属は当初、Maximowicz (1873) により、現在のハギ属・ハナハギ属 Campylotropisヤハズソウ属 Kummerowia にわたる範囲に定義された。

現在それらは3属に分けられ、それらをまとめる分類群としてハギ亜連 Lespedezinae がある。

亜属・節

ハギ属は、北米のハギ亜属 subgenus Lespedeza と、アジアのヤマハギ亜属 subgenus Macrolespedeza に分かれる[2]。芽生えの第1節の葉が、ハギ亜属では互生、ヤマハギ亜属では対生する[2]。従来は、アジア・北米のハギ亜属とアジアのヤマハギ亜属に分けられていたが、この分類は系統を反映していない[2]

2亜属は、それぞれ2節ずつ、計4節に分かれる[2]。それらには計44種(および43雑種)が含まれる[2]

  • ハギ属 Lespedeza
    • ハギ亜属 subgenus Lespedeza - 北米。11種。
      • ハギ節 section Lespedeza - 7種。
      • section Lespedezariae Torr. & A. Gray - 4種。
    • ヤマハギ亜属 subgenus Macrolespedeza (Maxim.)H. Ohashi - アジアの系統。33種。
      • ヤマハギ節 section Macrolespedeza Maxim. - 9種。
      • シベリアメドハギ節 section Junceae (Maxim.) H. Ohashi & T. Nemoto - 24種。

代表的なものをあげる。

このほか、マメ科植物で、ハギの名を持ったものにはメドハギ・ヤブハギ・ヌスビトハギ・ネコハギなど多くのものがある。他に、ヒメハギはマメ科ではなく、ヒメハギ科に属するが、花の外見がややマメ科に似る。

主な雑種

  • Lespedeza × acuticarpa
  • Lespedeza × brittonii
  • Lespedeza × divaricata
  • Lespedeza × intermixta
  • Lespedeza × longifolia
  • Lespedeza × manniana
  • Lespedeza × neglecta
  • Lespedeza × nuttallii
  • Lespedeza × oblongifolia
  • Lespedeza × simulata

利用

緑化資材

ハギは、マメ科植物特有の根粒菌との共生のおかげで、痩せた土地でも良く育つ特性がある。この特徴を買われ、古くから道路斜面、治山砂防など現場で緑化資材として活用されている。現在では、ヤマハギ、メドハギの種子が、斜面緑化のための吹付資材として用いられている。

飼料

日本では戦後まもなくまでは、家畜の冬季の飼料として、萩の葉が利用された。秋に山から枝ごと刈ってきて、乾燥させて葉だけを取り、干し草などに混ぜ込んで与えた。

文化

和歌

古くから日本人に親しまれ、『万葉集』で最もよく詠まれる花でもある。秋ハギと牡鹿のペアの歌が多い。

民俗

  • 中秋の名月に萩・を月見団子と共に月に供える風習がある。萩も薄も、昔の日本では山野に自生する身近な植物であった。
  • 花札の7月10点札は「萩に猪」の絵柄である。

文芸

音楽

  • 『萩の露』(地歌箏曲) 幾山検校作曲。幕末に京都で活躍した盲人音楽家幾山検校の代表曲。恋に破れ涙に暮れる自分を露の萩にたとえ、秋の風物を詠み込んだ「手事もの」曲。
  • 『萩桔梗』(端唄

シンボリズム

都道府県の花

市区町村の花

その他

皇族高円宮家の承子女王お印である[3]

出典

  1. 牧野富太郎、「中国の椿の字、日本の椿の字」 『植物一日一題』、1998(初出1953)。 
  2. 2.0 2.1 2.2 2.3 2.4 大橋広好; 根本智行 (2014), “マメ科ハギ属の新分類体系 A New System of Lespedeza (Leguminosae Tribe Desmodieae)”, 植物研究雑誌 89 (1) 
  3. 高円宮家宮内庁、2016年3月16日閲覧。