サレップ
サレップ(Salep、トルコ語: salep, sahlep、ペルシア語: ثعلب, sa‘lab、アラビア語: سحلب, saḥlab、アルバニア語: salep、テンプレート:Lang-az、ヘブライ語: סַחְלֶבּּ, saḥlab、ギリシア語: σαλέπι, salepi、セルビア語, マケドニア語, ボスニア語: салеп, salep)は、オルキス・マスクラやオルキス・ミリタリス等のオルキス属の塊茎から作られる粉である。これらの塊茎はグルコマンナンと呼ばれるデンプンに似た多糖を豊富に含み、かつてのオスマン帝国の領域では、飲み物やデザートなどに利用される。
サレップは、コーヒーや紅茶が普及する以前にイギリスやドイツに伝わり、これを用いた飲料は喫茶店のメニューの1つとなった。イギリスでは「サループ(saloop)」という名称で、17世紀から18世紀頃に人気となった。作り方は、水に粘度が出るまでサレップの粉を加え、オレンジの花やローズウォーターで風味を付ける。18世紀には、ドッグストーンと呼ばれるイギリスのランの根が代わりに用いられるようになった[1]。
サラブと呼ばれる飲料は、現在ではしばしば水の代わりに熱い牛乳を用いて作る。サレッププディングやドンドゥルマ(トルコ風アイスクリーム)もサレップの粉から作られる。トルコのカフラマンマラシュ地区は、Salepi Maraşとして知られるサラブの主な生産地である。トルコでのサラブの人気のために天然のオルキスが少なくなり、サレップの輸出が禁止されたため、インスタントのサラブ粉末は人工香料から作られる[2]。サレップはギリシャでも消費され、熱い飲料として、寒い季節に路上で販売される。中東の多くの地域、特にレバントでは非常に人気がある。シリア、ヨルダン、パレスチナ、レバノンでも冬季に熱い飲料として飲む。リビア等の北アフリカでは冷たくして飲まれる。
古代ローマでもランの球根を挽いて飲み物が作られており、サテュロスやプリアーポス等、多くの名前で呼ばれた。呼び名が示す通り、彼らはこの飲み物を強力な媚薬と考えていた[3]。サレップについて、パラケルススは次のように書いている。「サテュロスの根を見よ。これは男性の秘密の部分と同じように作られたのではないか?誰もこれを否定できない。魔術がこれを発見し、男性が生殖能力と情熱を回復できることを明らかにした。」[4]
文化との関連
ジョーン・エイケンの小説Isでは、長い寿命を与えるものとしてサループに言及されている。アフロディテス・チャイルドのアルバム666のライナーノーツには、この作品は「サレップの影響下で録音された」と書かれている。獣の数字をタイトルに持つこのアルバムは、恐らく「サレップ」という言葉がキリスト教根本主義で薬物、悪魔、黒魔術と解釈されることも影響して、一部のラジオ局からボイコットされた。リック・ライアダンの小説The Red Pyramidでは、古代エジプトの女神ヌトが主人公にシュラブを提供した。ジュード・ワトソンの小説Beyond the Graveでは主人公がホテルでサラブを出された。テリー・プラチェットの小説Monstrous Regimentでは、サレップが「サループ」の名前で言及される。
1985年の映画Çıplak Vatandaşでは、アンチヒーローがインフレーションを生き抜くための複数の仕事の1つとして、イスタンブールの路上で外来のサレップを売った。
レシピ
- スキムミルク - 200ml
- サレップ粉 または代替品として、米粉といもくずを半々に混ぜたもの - 1さじ
- 砂糖
- 以上をよく混ぜた後、仕上げにシナモン粉を振る
関連項目
脚注
出典
- Dalby, Andrew (2003). Food in the Ancient World: from A to Z. Routledge. ISBN 0-415-23259-7.
- Davidson, Alan (1987). Oxford Companion to Food. Oxford University Press. ISBN 0-19-211579-0.
- “Ice cream threatens Turkey's flowers”. BBC News. (2003年8月5日)
- (1995) in Jacobi, Jolande: Paracelsus: Selected Writings. Princeton University Press. ISBN 0-691-01876-6.
- Pedanius Dioscorides. De materia medica.
- Pliny the Elder. Naturalis historia.
- Pseudo-Apuleius. Herbarium Apuleii Platonici.
- Theophrastus. Historia plantarum.