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{{スピリチュアリティ}}
 
'''神秘主義'''(しんぴしゅぎ、{{Lang-en-short|mysticism}})とは、[[絶対者]]([[神]]、最高実在、[[宇宙]]の究極的根拠などとされる存在)を、その絶対性のままに[[人間]]が自己の内面で直接に体験しようとする立場のことである<ref name='heibonsha'>{{Cite book|和書|author=[[上田閑照]]|year=1988|chapter=神秘主義|title=世界大百科事典|publisher=平凡社}}</ref><ref name="religiondic">{{Cite book|和書|author=上田閑照|year=1973||month=1|chapter=神秘主義|title=宗教学辞典|publisher=東京大学出版会|isbn=9784130100274}}</ref>。
 
<!--英語の ''mysticism'' の訳語にあたるが、''mysticism'' は、この立場での神学や哲学を指すこともあり、この場合は'''神秘主義思想'''、あるいは神秘思想と訳される。{{要出典|date=2011-5}}-->
 
  
== 概要 ==
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'''神秘主義'''(しんぴしゅぎ、{{Lang-en-short|mysticism}}
{{Lang-en|mysticism}} などが「神秘主義」と訳されている<ref name='heibonsha' />。この {{Lang|en|mysticism}} の[[語源]]をたどると {{Lang-el|myein}}(眼や口を閉じる)に由来するとされており<ref name='heibonsha' />、こうした表現が選ばれたことにより、すでに通常の表現が許されない経験が示唆されている<ref name='heibonsha' />。
 
 
 
神秘主義の根本的な特質は、unio mystica (ウニオ・ミスティカ、神秘的合一)と呼ばれる、絶対者と自己との合一体験にある<ref name='heibonsha' />。行うことが人間を超えた絶対者との合一であり、通常の自己からすれば絶対的に他なる者との合一であるから、それは必然的に自己からの脱却、あるいは自己という枠を突破することを意味する<ref name='heibonsha' />。つまり絶対者との合一は、脱自を行うということになり、神秘家というのは、いわゆる脱我(=[[エクスタシー]])を体験している者である<ref name='heibonsha' />。その体験において、我々が普段“自己”と信じているものは、絶対者の前に吸収されつくして無になり、同時に絶対者は対象ではなくなり、それが真の自己の根拠になる<ref name='heibonsha' />。このような、“自己”の徹底的な死と復活と言える脱我的合一が[[神秘体験]]の宗教的な核心となっているのである<ref name='heibonsha' />。
 
 
 
=== 神秘的合一 ===
 
神秘主義における神秘的合一は、あくまで自己自身の内面を通して体験される、自己の最内奥におけるできごとである<ref name='heibonsha' />。だからこそ、神秘主義では《[[魂]]》や《[[霊]]》が強調されるのである<ref name='heibonsha' />。(その点で、神秘主義というのは絶対者が世界にあるとする[[汎神論]]からは区別される<ref name='heibonsha' />。)
 
 
 
自己の最内奥において、“自己”が破られる体験であり、そこにおいて無限の深さが開かれることである。魂の内奥が“自己”という枠を超えて神の秘奥であるような内面性を体験するのである<ref name='heibonsha' />。
 
 
 
合一体験はその最初期においては絶対的受動性とともにある<ref name='heibonsha' />。自己が破られるという体験だからである<ref name='heibonsha' />。自己からは突破できない自我性の最後の壁が彼方から破られる<ref name="religiondic"/>。だが次に、それまで“自己”という枠によってふさがれてしまっていた《[[生命|生]]の無限の泉》から新しい生命が湧き出てきて、それが自分の生命となる<ref name='heibonsha' />。逆説的なことに、絶対的受動性を経ることによって生の活発な高揚や無限感が与えられるのである<ref name='heibonsha' />。
 
 
 
こうした合一体験は、(日常的な感覚、当人以外の第三者が外面的・表層的に見ると)短い時間起きたように見え、長期間続いているようには見えない<ref name='heibonsha' />。だが、それを体験した主体としては、自己理解や[[世界観|世界理解]]が根本的に入れ替わるほどに決定的なことが起きている<ref name='heibonsha' />。
 
 
 
== 歴史 ==
 
[[西洋]]で神秘主義の筆頭に挙げられるのが、[[古代ギリシア|古代ギリシャ]]の[[エレウシスの秘儀]]である。類似のものとしては[[オルペウス教]]、[[ピタゴラス教団]]などがある。やや時代を下り、[[ネオプラトニズム]]([[新プラトン主義]])、[[キリスト教神秘主義]]、更には[[ヘルメス・トリスメギストス|ヘルメス思想]]なども、代表的な神秘主義である。
 
 
 
[[ユダヤ教]]の代表的な神秘主義としては[[カバラ]]が、[[イスラーム]]圏の代表的な神秘主義としては[[スーフィズム]]がある。
 
 
 
[[インド]]においては、[[バラモン教]]の[[ウパニシャッド]]における[[アートマン]]思想などが、典型的な神秘主義であり、ここから派生した[[ヒンドゥー教]]や、[[仏教]]における[[密教]]なども含む、いわゆる[[タントラ教]]全般も、その典型である。また、ヒンドゥー教においては、イスラームのスーフィズムに影響を受けた[[バクティ]]信仰があげられる。なお、こうしたインドの神秘主義は、20世紀後半の[[ニューエイジ]]ムーブメントに多大な影響を与えている。
 
 
 
[[中国]]では[[道教]]の[[仙人|神仙思想]]、[[日本]]では[[密教]]及び[[修験道]]などが、代表的な神秘主義である。
 
 
 
== 出典・脚注 ==
 
<references />
 
 
 
== 参考文献 ==
 
* {{Cite book|和書||author=[[上田閑照]]|year=1988|chapter=神秘主義|title=世界大百科事典|publisher=[[平凡社]]}}
 
* {{Cite book|和書|author=上田閑照|year=1973|chapter=神秘主義|title=宗教学辞典|publisher=[[東京大学出版会]]}}
 
 
 
== 関連項目 ==
 
* [[神秘学]]
 
* [[神道霊学]]
 
* [[ヨーガ]]
 
* [[神智学]]
 
* [[霊操]]
 
* [[精神世界]]
 
* [[スピリチュアリティ]]
 
 
 
== 外部リンク ==
 
* [http://mysticisma.com/ Mysticism - 神秘主義 - 古代エジプト、ユダヤ・キリスト教の神秘主義的伝統(英語サイト)]
 
{{SEP|mysticism|Mysticism}}
 
 
 
{{宗教}}
 
{{哲学}}
 
  
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神,絶対者などの究極的実在との直接的・内面的一致の体験を重んじる哲学ないし宗教上の思想。この神秘的体験は言語では表現しえないとする。この体験が[[主観]]と[[客観]]の対立を超越して直接的無媒介的である以上,それは歴史上の[[啓示]]や秘跡そのほかの合理的手段による経験とは区別されるものであり,さまざまな歴史的現実として現れる。[[シャーマニズム]]や[[呪術]],魔術などにも神秘的要素は多少認められるが,神秘主義が明確なかたちをとるのは,西洋では[[オルフェウス教]]などギリシアの宗教や[[プラトン主義]]の伝統,東洋では梵我一如(ぼんがいちにょ)を唱えた[[ウパニシャッド]]哲学などである。神人融合の神秘主義は[[キリスト教]]では異端視されたが,[[プロチノス]]に代表される[[新プラトン主義]]的神秘主義は,その後のキリスト教に大きな影響を与えた。美術では,客観的描写をこえて神秘的・宗教的情趣を表現しようとする傾向の作品をいう。原始時代の造形や中世の絵画,彫刻にはこの傾向が濃厚であるが,これらを神秘主義とはいわない。むしろ近代におけるスペインの[[エル・グレコ]],イギリスの[[ラファエル前派]],ウィリアム・[[ブレーク]],フランスのオディロン・[[ルドン]]らの作品をさす。音楽では,14世紀の宗教行事中の音楽や,現代の神秘和音を用いたアレクサンドル・[[スクリャービン]]の音楽をさす。([[キリスト教神秘主義]])
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2018/12/23/ (日) 00:55時点における最新版

神秘主義(しんぴしゅぎ、: mysticism

神,絶対者などの究極的実在との直接的・内面的一致の体験を重んじる哲学ないし宗教上の思想。この神秘的体験は言語では表現しえないとする。この体験が主観客観の対立を超越して直接的無媒介的である以上,それは歴史上の啓示や秘跡そのほかの合理的手段による経験とは区別されるものであり,さまざまな歴史的現実として現れる。シャーマニズム呪術,魔術などにも神秘的要素は多少認められるが,神秘主義が明確なかたちをとるのは,西洋ではオルフェウス教などギリシアの宗教やプラトン主義の伝統,東洋では梵我一如(ぼんがいちにょ)を唱えたウパニシャッド哲学などである。神人融合の神秘主義はキリスト教では異端視されたが,プロチノスに代表される新プラトン主義的神秘主義は,その後のキリスト教に大きな影響を与えた。美術では,客観的描写をこえて神秘的・宗教的情趣を表現しようとする傾向の作品をいう。原始時代の造形や中世の絵画,彫刻にはこの傾向が濃厚であるが,これらを神秘主義とはいわない。むしろ近代におけるスペインのエル・グレコ,イギリスのラファエル前派,ウィリアム・ブレーク,フランスのオディロン・ルドンらの作品をさす。音楽では,14世紀の宗教行事中の音楽や,現代の神秘和音を用いたアレクサンドル・スクリャービンの音楽をさす。(キリスト教神秘主義



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