Jカーブ効果

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Jカーブ効果(ジェイカーブこうか、: J curve effect)とは、短期的な期間、または、ある閾値までは、ある出来事から最終的に予想される変化とは逆方向に変化をすることを表す言葉である。そのグラフがアルファベットの「J」の字に似ていることから付けられた言葉である。Uカーブとも言われる。

経常収支と為替レート

飲酒量と死亡率

量と総死亡率には相関関係が有り、「適量飲酒をしている者が最も死亡率が低い」。

  • 飲酒量と死亡率との関係において、飲酒量がある閾値を超えて増加すると死亡率が高まるが、その閾値までは飲酒量が増えるほど死亡率は低下する。

元々は、1993年6月にアメリカ合衆国アメリカ保健科学協議会(ACSH)で発表された「適量のを飲んでいる人の方が、酒を全く飲まない人、また大量に酒を飲む人に比べて、最も死亡率が低い」という疫学調査の結果に基づいて唱えられた考え方である。

ただし、上記の疫学調査には、酒を飲まないグループには「禁酒」を余儀なくされているグループが含まれている、あるいは、酒に強い・弱いという体質を考慮に入れていない等の批判があり、その後日本を含め、より詳細な形での追試が各国で行われた。

その結果、禁酒グループ及び体質別グループに分けても、飲酒量と総死亡率の間には、米国保健科学協議会の調査結果と同様のJの字状のカーブが認められ、飲酒量と総死亡率の関係がJカーブになることは、現在では世界的な通説となっている。 なお、最も死亡率が低くなる飲酒量は(あくまでも疫学調査の結果では)、日本酒なら1合/日~2合/日、ビールなら大瓶1本/~2本/日と言われている。

  • 疫学調査の結果は、あくまでも統計値として算出された数値であり、個人にそのまま当てはまるわけではない。個人別の飲酒の適量は、体重・体質・遺伝的状況等により左右される。
  • この調査結果は、元々飲酒習慣がない人に飲酒を勧めるものではなく、過剰飲酒の人達に適量を推奨するものである。

疾患別の飲酒量と死亡率との相関関係

Jカーブは総死亡率と飲酒量の関係を表すグラフであるが、近年のより詳細な調査により、各種疾患別の発症率、あるいは死亡率と飲酒量との相関関係が把握されている。

飲酒によって発症率・死亡率が上がるもの

悪性腫瘍(癌)
癌は飲酒によって発症率が高くなる。特に口腔癌喉頭癌食道癌等の発症率と飲酒量は相関関係が高い[1]
脳卒中
飲酒量が増えるにしたがって、脳卒中の発症率は段階的に増えていく[2]

飲酒によって発症率・死亡率が下がるもの

心筋梗塞
飲酒量が増えるにしたがって、心筋梗塞の発症率は低下する[3]
自殺
酒を全く飲まないグループの自殺率と、大量飲酒者の自殺率が最も高い[4]

注釈

  1. 国立がん研究センターがん予防・検診研究センター予防研究部. “喫煙のがん全体の罹患に与える影響の大きさについて―厚生労働省研究班による多目的コホート研究”. 国立がん研究センター. 2010年4月28日時点のオリジナルよりアーカイブ。. 2010年4月28日閲覧.
  2. 国立がん研究センターがん予防・検診研究センター予防研究部. “飲酒と脳卒中罹患”. 国立がん研究センター. 2009年10月28日時点のオリジナルよりアーカイブ。. 2009年10月28日閲覧.
  3. 国立がん研究センターがん予防・検診研究センター予防研究部. “喫煙のがん全体の罹患に与える影響の大きさについて-厚生労働省研究班による多目的コホート研究”. 国立がん研究センター. 2010年1月31日時点のオリジナルよりアーカイブ。. 2010年1月31日閲覧.
  4. 国立がん研究センターがん予防・検診研究センター予防研究部. “飲酒と自殺について”. 国立がん研究センター. 2009年10月4日時点のオリジナルよりアーカイブ。. 2009年10月4日閲覧.

関連項目

外部リンク