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物理定数

物理定数(ぶつりていすう、ぶつりじょうすう、: physical constant)とは、値が変化しない物理量のことである。プランク定数万有引力定数アボガドロ定数などは非常に有名なものである。例えば、光速はこの世で最も速いスカラー量としてのスピードで、ボーア半径水素電子の(第一)軌道半径である。また、大半の物理定数は固有の単位を持つが、光子と電子の相互作用を具体化する微細構造定数の様に単位を持たない無次元量も存在する。

以下に示す数値で特記のないものは科学技術データ委員会 (CODATAが推奨する値であり[1]、論文として複数の学術雑誌に投稿された後[2][3][4]2015年6月25日に"2014 CODATA recommended values"として発表されたものである[5]

以下の表の「値」の列における括弧内の数値は標準不確かさを示す。例えば {{safesubst:#invoke:val|main}} は、{{safesubst:#invoke:val|main}} という意味である(不確かさを参照)。

普遍定数

記号 相対標準不確かさ
真空中の光速 [math]c,c_0[/math] main}} 定義値
真空の透磁率 [math]\mu_0[/math] 4πテンプレート:E- N A−2
= 12.566 370 614...テンプレート:E- N A−2
真空の誘電率 [math]\varepsilon_0=\frac{1}{\mu_0c^2}[/math] 8.854 187 817...テンプレート:E- F m−1
真空のインピーダンス [math]Z_0=\mu_0c[/math] 376.730 313 461... Ω
万有引力定数 [math]G[/math] main}} 4.7テンプレート:E-
プランク定数 [math]h[/math] main}} 1.2テンプレート:E-
ディラック定数 [math]\hbar=\frac{h}{2\pi}[/math] main}}

電磁気学の定数

記号 値(SI単位) 相対標準不確かさ
電気素量 [math]e[/math] main}} 6.1テンプレート:E-
[math]\frac{e}{h}[/math] main}}
磁束量子 [math]\Phi_0=\frac{h}{2e}[/math] main}}
コンダクタンス量子English版 [math]G_0=\frac{2e^2}{h}[/math] main}} 2.3テンプレート:E-
抵抗量子 [math]R_0=\frac{h}{2e^2}[/math] main}}
ジョセフソン定数 [math]K_\text{J}=\frac{2e}{h}[/math] main}} 6.1テンプレート:E-
フォン・クリッツィング定数 [math]R_\text{K}=\frac{h}{e^2}[/math] main}} 2.3テンプレート:E-
ボーア磁子 [math]\mu_\text{B}=\frac{e\hbar}{2m_\text{e}}[/math] main}} 6.2テンプレート:E-
核磁子 [math]\mu_\text{N}=\frac{e\hbar}{2m_\text{p}}[/math] main}}

原子・核物理学の定数

記号 値(SI) 相対標準不確かさ
微細構造定数 [math]\alpha=\frac{e^2}{4\pi\varepsilon_0\hbar c}[/math] main}} 2.3テンプレート:E-
[math]\alpha^{-1}[/math] main}}
リュードベリ定数 [math]R_\infty=\frac{\alpha^2m_\text{e}c}{2h}[/math] main}} 5.9テンプレート:E-
ボーア半径 [math]a_0=\frac{\alpha}{4\pi R_\infty}[/math] main}} 2.3テンプレート:E-
ハートリーエネルギー [math]E_\text{h}=2R_\infty hc[/math] main}} 1.2テンプレート:E-
循環量子 [math]\frac{h}{2m_\text{e}}[/math] main}} 4.5テンプレート:E-

電子及び核子

電子に関わる物理定数
記号 値(SI) 相対標準不確かさ
質量 [math]m_\text{e}[/math] main}} 1.2テンプレート:E-
コンプトン波長 [math]\lambda_\text{e}=\frac{h}{m_\text{e}c}[/math] main}} 4.5テンプレート:E-
古典電子半径 [math]r_\text{e}=\alpha^2a_0[/math] main}} 6.8テンプレート:E-
トムソン断面積 [math]\sigma_\text{e}=\frac{8\pi}{3}r_\text{e}^2[/math] main}} 1.4テンプレート:E-
磁気モーメント [math]\mu_\text{e}[/math] main}} 6.2テンプレート:E-
g因子 [math]g_\text{e}=\frac{2\mu_\text{e}}{\mu_\text{B}}[/math] −2.002 319 304 361 82(52) 2.6テンプレート:E-
異常磁気モーメント [math]a_\text{e}=\frac{|g_\text{e}|}{2}-1[/math] main}} 2.3テンプレート:E-
磁気回転比 [math]\gamma_\text{e}=\frac{2|\mu_\text{e}|}{\hbar}[/math] main}} 6.2テンプレート:E-
陽子に関わる物理定数
記号 値(SI) 相対標準不確かさ
質量 [math]m_\text{p}[/math] main}} 1.2テンプレート:E-
コンプトン波長 [math]\lambda_\text{p}=\frac{h}{m_\text{p}c}[/math] main}} 4.6テンプレート:E-
磁気モーメント [math]\mu_\text{p}[/math] main}} 6.9テンプレート:E-
g因子 [math]g_\text{p}=\frac{2\mu_\text{p}}{\mu_\text{N}}[/math] main}} 3.0テンプレート:E-
磁気回転比 [math]\gamma_\text{p}=\frac{2\mu_\text{p}}{\hbar}[/math] main}} 6.9テンプレート:E-
遮蔽された磁気モーメント[* 1] [math]\mu'_\text{p}[/math] main}} 1.3テンプレート:E-
[math]\frac{\mu'_\text{p}}{\mu_\text{B}}[/math] main}} 1.1テンプレート:E-
遮蔽された磁気回転比[* 1] [math]\gamma'_\text{p}=\frac{2\mu'_\text{p}}{\hbar}[/math] main}} 1.3テンプレート:E-
[math]\frac{\gamma'_\text{p}}{2\pi}[/math] main}}
  1. 1.0 1.1 H2O 中, 球, 25℃
中性子に関わる物理定数
記号 値(SI) 相対標準不確かさ
質量 [math]m_\text{n}[/math] main}} 1.2テンプレート:E-
コンプトン波長 [math]\lambda_\text{n}=\frac{h}{m_\text{n}c}[/math] main}} 6.7テンプレート:E-
磁気モーメント [math]\mu_\text{n}[/math] main}} 2.4テンプレート:E-
g因子 [math]g_\text{n}=\frac{2\mu_\text{n}}{\mu_\text{N}}[/math] main}}
磁気回転比 [math]\gamma_\text{n}=\frac{2|\mu_\text{n}|}{\hbar}[/math] main}}

電弱理論

この節の値はParticle Data Groupによる。

記号 相対標準不確かさ
フェルミ結合定数 [math]\frac{G_\text{F}}{(\hbar c)^3}[/math] main}} 5.0テンプレート:E-
弱混合角 [math]\sin^2\theta_\text{W}[/math] main}} 2.2テンプレート:E-

物理化学の定数

記号 値(SI) 相対標準不確かさ
ボルツマン定数 [math]k[/math] main}} 5.7テンプレート:E-
アボガドロ定数 [math]N_\text{A}, L[/math] main}} 1.2テンプレート:E-
原子質量定数
統一原子質量単位
[math]m_\text{u}= 1~\text{u}[/math] main}}
ファラデー定数 [math]F=N_\text{A}e[/math] main}} 6.2テンプレート:E-
モルプランク定数 [math]N_\text{A}h[/math] main}} 4.5テンプレート:E-
モル気体定数 [math]R=N_\text{A}k[/math] main}} 5.7テンプレート:E-


理想気体に関わる物理定数
記号 値(SI) 相対標準不確かさ
理想気体のモル体積 [math]V_\text{m}=\frac{RT}{p}[/math] main}} [† 1] 5.7テンプレート:E-
main}} [† 2]
ロシュミット数 [math]n_0=\frac{N_\text{A}}{V_\text{m}}[/math] main}} [† 1]
main}} [† 2]
ザックール=テトローデ定数 [math]\frac{S_0}{R}=\frac{5}{2}+\ln\left[\left(\frac{2\pi m_\text{u} kT}{h^2}\right)^{\frac{3}{2}}\frac{kT}{p}\right][/math] main}} [† 3] 1.2テンプレート:E-
main}} [† 4]
  1. 1.0 1.1 温度 T = 273.15 K, 圧力 p = 100 kPa における値
  2. 2.0 2.1 温度 T = 273.15 K, 圧力 p = 101.325 kPa における値
  3. 温度 T = 1 K, 圧力 p = 100 kPa における値
  4. 温度 T = 1 K, 圧力 p = 101.325 kPa における値
熱輻射に関わる物理定数
記号 値(SI) 相対標準不確かさ
シュテファン=ボルツマン定数 [math]\sigma=\frac{\pi^2}{60}\frac{k^4}{\hbar^3c^2}[/math] main}} 2.3テンプレート:E-
第一放射定数 [math]c_1=2\pi hc^2[/math] main}} 1.2テンプレート:E-
第一放射定数
分光放射輝度
[math]c_{1L}=2hc^2[/math] main}}
第二放射定数 [math]c_2=\frac{hc}{k}[/math] main}} 5.7テンプレート:E-
ウィーンの変位則定数 [math]\begin{align} b &=\lambda_\text{max} T \\ &=c_2/4.965~114~231\ldots\end{align}[/math] main}}
[math]\begin{align}b'&=\nu_\text{max}/T \\ &=2.821~439~372\ldots c/c_2\end{align}[/math] main}}

協定値

記号 値(SI) 相対標準不確かさ
ジョセフソン定数の協定値[‡ 1] [math]K_\text{J-90}[/math] main}} 定義値
フォン・クリッツィング定数の協定値[‡ 2] [math]R_\text{K-90}[/math] main}}
炭素12の相対質量 [math]A_\text{r}(^{12}\text{C})[/math] 12
モル質量定数 [math]M_\text{u}[/math] main}}
炭素12モル質量 [math]M(^{12}\text{C}) = A_\text{r}(^{12}\text{C}) M_\text{u}[/math] main}}
標準重力加速度 [math]g_n[/math] main}}
標準状態圧力 main}}
標準大気圧 [math]1~\text{atm}[/math] main}}
セルシウス 0度 [math]0^\circ\text{C}[/math] main}}
  1. この値は、ジョセフソン効果を利用してボルトの値を現示するために国際的に採択されたものである。
  2. この値は、量子ホール効果を利用してオームの値を現示するために国際的に採択されたものである。

プランク単位

これらの定数は、他の物理定数の中から恣意的に幾つかの定数を選び便宜上"1"として定義する自然単位系に分類される単位系の一種で、マックス・プランクによって提唱された c = G = ħ = k = 1 として定義するプランク単位系で使用される基本単位である。したがって、何らかの理論の基礎となる方程式の中で係数としての意味を持つ、などの重要な意義を持つ他の物理定数とは厳密に言えば性質は異なるが、CODATAより他の物理定数とともに普遍定数の項目で発表されているのでここにも載せておく。

記号 相対標準不確かさ 定義·特徴
プランク質量 [math]m_\text{P}=\sqrt{\frac{\hbar c}{G}}[/math] main}} 2.3テンプレート:E- ある物質コンプトン波長π で割った値
と同じ物質のシュヴァルツシルト半径
とが等しくなる時の物質の質量
プランクエネルギー [math]E_\text{P}=m_\text{P}c^2[/math] main}}
{{safesubst:#invoke:val|main}})
質量が1プランク質量
である物質の静止エネルギー
プランク温度 [math]T_\text{P}=\frac{E_\text{P}}{k}\left(=\sqrt{\frac{\hbar c^5}{Gk^2}}\right)[/math] main}} ビッグバンから1プランク時間が
経過した時の宇宙温度であり
物理的に最も高い温度でもある
プランク長 [math]\ell_\text{P}=\frac{\hbar c}{E_\text{P}}\left(=\frac{\hbar}{m_\text{P}c}=\sqrt{\frac{\hbar G}{c^3}}\right)[/math] main}} 質量が1プランク質量である物質の
換算コンプトン波長であり
物理的に最も短い距離でもある
プランク時間 [math]t_\text{P}=\frac{\hbar}{E_\text{P}}\left(=\frac{\ell_\text{P}}{c}=\sqrt{\frac{\hbar G}{c^5}}\right)[/math] main}} 1プランク長の距離を
が進むのに必要な時間であり
物理的に最も短い時間でもある

※()内の式はCODATAによる定義式

脚注

  1. NIST
  2. {{#invoke:Footnotes | harvard_core }}
  3. {{#invoke:Footnotes | harvard_core }}
  4. {{#invoke:Footnotes | harvard_core }}
  5. Constants bibliography

参考文献

関連項目

外部リンク