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宗教改革

Reformation

16世紀のヨーロッパで,カトリック教会の内部に起り,プロテスタント諸教会を生み出した宗教的,政治的,社会的な変革運動。教会体制改革の動きは,すでに J.ウィクリフや J.フスの運動,また 15世紀前半の公会議運動などに現れていたが,カトリック教会の信仰のあり方に対する原理的な変革運動は,1517年 M.ルターによる「九十五ヵ条の提題」の贖宥状 (免罪符) 批判から始る。

人の魂の救いにとって,律法を充足し功徳を積むための「よい行い」は無力であり,キリストの贖罪に示された神の恩寵の全面的な信仰のみによって人は罪の絆から解放される,という「福音主義」がその根本原理である。この福音主義信仰は,宗教上の真理 (教義,信条) の源泉を「神の言葉」としての聖書のみに求め,教皇の権威や教会の伝承の拘束力を認めないところから,それまでのカトリック教会体制自体を否定するものとなった。聖職者と俗人の身分的区別,聖職者の独身制,修道院制,司教裁判権,教会財産などが否定され,洗礼と,ミサに代る聖餐 (パンとワインによる) のみが新しい教会の礼典とされた。

ドイツにおけるルターの改革運動と並行して,スイスでも,D.エラスムスの人文主義的教会改革理念に影響された H.ツウィングリの運動が起り,やがて J.カルバンがそれを受継いで,ジュネーブを中心に福音主義の改革運動をオランダ,スコットランド,フランスなど,ヨーロッパ各地に広めていった。宗教改革の急進派として,幼児洗礼を否定する再洗礼派の運動がスイスから起り,農民戦争などの民衆運動とも結びついたが,国家権力とプロテスタント教会の提携のもとで,この運動は弾圧された。トリエント公会議で近代カトリシズムを確立した「反宗教改革」運動は,福音主義に対抗しつつカトリック教会が行なった自己刷新である。