ブリヂストン美術館
ブリヂストン美術館 (ブリヂストンびじゅつかん) (英称:Bridgestone Museum of Art)は、東京都中央区京橋にある、西洋美術、日本近代美術を中心とした私立美術館である。公益財団法人石橋財団が運営している。
概要
ブリヂストンの創業者である実業家石橋正二郎の収集した美術品を展示するため、1952年、東京・京橋に新築されたブリヂストンビル内に開館した。石橋は昭和のはじめ頃から日本の近代絵画の収集を始め、西洋美術の収集に本格的に乗り出したのは第二次大戦後のことであった。石橋は、戦前にすでに日本にもたらされていた西洋美術のコレクションを、戦後まとまった形で入手し、美術館開館までのわずか数年間に日本有数の西洋美術コレクションを形成した。
石橋正二郎は美術館の開館後も収集を継続した。1956年には財団法人石橋財団が設立され、1961年には美術品も財団へ移管された。同じ1956年、石橋の郷里の福岡県久留米市には石橋の寄贈という形で石橋文化センターが設置され、センター内には姉妹館の石橋美術館が開館した。なお、石橋財団は2016年9月をもって石橋美術館の運営から撤退することとなり、同美術館は2016年10月から久留米市美術館として再出発することとなった。石橋財団が所有し石橋美術館で展示してきた国宝・重要文化財を含む美術品は全て、石橋財団アートリサーチセンター(東京都町田市)で一括管理されることとなった[1]。
館では1999年にリニューアルを行い、内装を一新した。印象派絵画の展示室は、従来の無機質な空間ではなく、床に絨毯を敷き、壁は色付きとして、19世紀当時、絵画が鑑賞されていた時代の雰囲気を出している[2]。
2015年5月18日より、ビルの建替えにともない長期休館中で、再開は2019年秋となる見込みである[3]。
主な収蔵品
- レンブラント・ファン・レイン『聖書あるいは物語に取材した夜の情景』1626-28年
- カミーユ・コロー『ヴィル・ダヴレー』1835-40年
- オノレ・ドーミエ『山中のドン・キホーテ』1850年頃
- ギュスターヴ・クールベ『雪の中を駆ける鹿』1856-57年頃
- エドガー・ドガ『レオポール・ルヴェールの肖像』1874年頃
- ピエール=オーギュスト・ルノワール『すわるジョルジェット・シャルパンティエ嬢』1876年
- カミーユ・ピサロ『菜園』1878年
- エドゥアール・マネ『自画像』1878-79年
- アルフレッド・シスレー『サン=マメス、六月の朝』1884年
- フィンセント・ファン・ゴッホ『モンマルトルの風車』1886年
- ポール・ゴーギャン『乾草』1889年
- ギュスターヴ・モロー『化粧』1885年-1890年
- ポール・セザンヌ『サント=ヴィクトワール山とシャトー・ノワール』1904-06年
- モーリス・ド・ヴラマンク『運河船』1905-06年
- クロード・モネ『黄昏、ヴェネツィア』1908年
- アメデオ・モディリアーニ『若い農夫』1918年頃
- モーリス・ドニ『バッカス祭』1820年
- ジョルジュ・ルオー『郊外のキリスト』1920-24年
- パブロ・ピカソ『腕を組んですわるサルタンバンク』1923年
- パウル・クレー『島』1932年
- アンリ・マティス『青い胴着の女』1935年
- 藤島武二『黒扇』(重要文化財)1908-09年
- 山下新太郎『読書』1908年
- 藤田嗣治『猫のいる静物』1939-40年
- 小出楢重『帽子をかぶった自画像』1924年
- 中村彝『自画像』1909年
- 佐伯祐三『テラスの広告』1927年
- 関根正二『子供』1919年
- Camille Corot - Ville d'Avray - Google Art Project.jpg
カミーユ・コロー『ヴィル・ダヴレー』1835 - 40年
- Gustave Moreau - La Toilette.jpg
モロー『化粧』1885 - 90年頃
- Edouard Manet - Self-Portrait - Google Art Project.jpg
エドゥアール・マネ『自画像』1878 - 79年
- Claude Monet - Water-Lilies (Bridgestone Museum).jpg
モネ『睡蓮の池』1907年
- Alfred Sisley - June Morning in Saint-Mammès - Google Art Project.jpg
アルフレッド・シスレー『サン=マメス、六月の朝』1884年
- Paul Cézanne - Mont Sainte-Victoire and Chateau Noir (Bridgestone Museum).jpg
セザンヌ『サント=ヴィクトワール山とシャトー・ノワール』1904 - 06年頃
- Henri Rousseau - Meadowland.jpg
アンリ・ルソー『牧場』1910年
- Asai Chu - Woman Sewing - Google Art Project.jpg
浅井忠『縫物』1902年
- Aoki Shigeru - The Tempyo Era - Google Art Project.jpg
青木繁『天平時代』1904年
- Fujishima Takeji - Black Fan - Google Art Project.jpg
藤島武二『黒扇』(重要文化財)1908 - 09年
- Koide Narashige - Self-Portrait with a Hat - Google Art Project.jpg
小出楢重『帽子をかぶった自画像』1924年
- Nakamura Tsune - Self-Portrait - Google Art Project.jpg
中村彜『自画像』1909年
- Saeki Yuzo - Café Terrace with Posters - Google Art Project.jpg
佐伯祐三『テラスの広告』1927年
- Sekine Shoji - Boy - Google Art Project.jpg
関根正二『子供』1919年
主な収蔵品(旧石橋美術館保管分)
- 禅機図断簡(丹霞焼仏図) 因陀羅筆 1幅 紙本墨画 元時代(国宝)福岡藩黒田家伝来
- 雪舟「四季山水図」4幅 絹本墨画淡彩 15世紀(重要文化財)福岡藩黒田家伝来で、正二郎が黒田家から直接譲り受けた
- 円山応挙「竹に狗子・波に鴨図」(襖絵)8面 紙本墨画淡彩 18世紀
- 黒田清輝「針仕事」(1890年)
- 藤島武二 「天平の面影」(1902年)(重要文化財)・「チョチャラ」(1908 - 09年)
- 青木繁 「海の幸」(1904年)(重要文化財)・「大穴牟知命」(1905年)・ 「わだつみのいろこの宮」(1907年)(重要文化財)
- 佐伯祐三 「コルドヌリ」(1925年)
- 古賀春江 「鳥籠」(1929年)
- 坂本繁二郎 「放牧三馬」(1932年)
- 古今和歌集 巻第一断簡(高野切第一種)(重要文化財)福岡藩黒田家伝来
- 青磁鉄班文瓶(飛青磁花瓶) 元時代(重要文化財)福岡藩黒田家伝来
- Landscape of the Four Seasons (Spring) by Sesshu.jpg
雪舟 四季山水図(春景)
- Landscape of the Four Seasons (Summer) by Sesshu.jpg
雪舟 四季山水図(夏景)
- Landscape of the Four Seasons (Autumn) by Sesshu.jpg
雪舟 四季山水図(秋景)
- Landscape of the Four Seasons (Winter) by Sesshu.jpg
雪舟 四季山水図(冬景)
- Paradise under the Sea by Aoki Shigeru.jpg
青木繁 『わだつみのいろこの宮』
利用案内
※2015年5月18日より、ビルの建替えにともない長期休館。
- 開館時間
- 火曜〜土曜 10:00 - 20:00
- 日曜・祝日(休日)10:00 - 18:00
- 入館は閉館の30分前まで
- 休館日 毎週月曜日(国民の祝日や休日の場合は開館 それにあたる場合は火曜日以降の最初の平日)
脚注
- ↑ 久留米・石橋美術館が60年の歴史に幕 (産経ニュース、2016年8月20日)
- ↑ 宮崎克己「ブリヂストン美術館への招待」『読むブリヂストン美術館』所収、p.7
- ↑ 館の公式サイトによる。
参考文献
- 石橋財団ブリヂストン美術館編 『読むブリヂストン美術館』、2001
- 石橋財団ブリヂストン美術館編 『特集展示 コレクター石橋正二郎』、2002
- 週刊朝日百科 『日本の美術館を楽しむNo.3 ブリヂストン美術館』 朝日新聞社、2004
関連項目
- 石橋財団アートリサーチセンター - 美術館で展示する絵画などの保管研究施設。
- オーディオテクニカ - ブリヂストン美術館でレコードコンサート担当だった松下秀雄が、自作のレコードプレーヤー用のカートリッジを販売するため創業した。
- 石橋文化センター - 石橋正二郎がブリヂストン創業地である福岡県久留米市に寄贈した。
外部リンク
- ブリヂストン美術館HP
- [1] - インターネットミュージアム
- [2] - artscape