アメリカ英語

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アメリカ英語(アメリカえいご、: American English)は、アメリカ合衆国で使用されている英語方言米語(べいご)、米国語とも呼ばれる。

概要

イギリス英語ほどの著しい地域差はないが、アメリカ英語にも方言は存在する。アメリカ英語は大きく北部の方言と南部の方言に分けられ、東海岸西海岸によっても違いがある。また多民族国家であるため、黒人英語など人種・民族・階層ごとの言葉の違い(社会方言)も複雑である。メディアなどで使用される標準的な英語(General American)に最も近いのは中西部の方言であるとされる(アメリカ合衆国中西部#言語的特性も参照)。

アメリカ英語の方がイギリス英語よりも新しいと思われがちだが、アメリカ英語はエリザベス1世時代の英語を基にしているため、アメリカ英語の方が古い形を保っている場合もある[1]。 (例)getやforgetの過去分詞(英ではgotおよびforgot、米ではgottenおよびforgottenが優勢)。ask、dance、fastのaの発音(英では[ɑː]、米では[æ])。stopなどのoの発音(英では[ɔ]、米では[ɑ])。

19世紀にノア・ウェブスターらによって綴り字が簡略化され、その後もイギリス英語とは一部の綴り字に違いが生じている。 (例)colour→color、catalogue→catalog、centre→center、ラテン語の名残であるæeに簡略化など。

今日ではイギリス英語の影響が強かったイギリス連邦諸国にもアメリカ英語の影響がみられる。日本では太平洋戦争以前の英語教育ではイギリス英語が中心だったが、戦後はアメリカ英語が中心となった[2]

主な方言

ウィリアム・ラボフらの研究に基づく北米英語の大まかな地域区分[3]

  1. Canadian English/カナダ英語
  2. Western American English - 様々な方言が含まれているが、代表的な特徴は「cot」などの[ɑː]と「caught」などの[ɔː]が統一され、話し手はその聞き分けもできなくなっていることである。カリフォルニア州ではイントネーションは肯定文の終わりでも上がり、またカリフォルニア州南部では語彙などにスペイン語の影響がある。
  3. Upper Midwest American English - ミネソタ訛りなど。
  4. Inland Northern American English - シカゴなど五大湖沿岸部(アメリカ合衆国側)の訛り。北部都市母音推移(Northern Cities Vowel Shift)が特徴的。
  5. Midland American English
  6. Southern American English/南部アメリカ英語 - 母音を引き伸ばして発音すること(drawl)や、二人称複数でyou all(y'all)を用いることで知られる。
  7. Pittsburgh English
  8. Mid-Atlantic American English
  9. New York City English - ブルックリン訛りなど。
  10. New England English (Southeastern New England)
  11. New England English (Western New England)
  12. New England English (Northeastern New England) - ボストン訛りなど。
  13. Canadian Maritime English

このほか、ハワイ州で話される英語(Hawaiian Pidgin)は、本土から離れた地理的環境と、アジア・太平洋諸島地域をはじめとする移民の影響から、独特の単語や言い回しが非常に多い(ピジン語も参照)。

出典

  1. How Americans preserved British EnglishBBC.日付:2018年2月8日)
  2. 旧文部省は長い間に渡って「英語はまず正しい発音、正しい文法を」と掲げてきたが、それがアメリカ英語なのかと聞かれると公式にはそのように答えることがなかった。文部科学省の時代に入ると「英語らしく」というスタンスになった。
    末延岑生『ニホン英語は世界で通じる』〈平凡社新書〉 2010年 ISBN 9784582855357 p44
  3. The Atlas of North American English (2006).
  •  早川勇『ウェブスター辞書と明治の知識人』春風社、2007(アメリカ英語に言及) 

関連項目

el:Αμερικανισμός