「浄土真宗親鸞会」の版間の差分
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浄土真宗親鸞会(じょうどしんしゅうしんらんかい)は、1958年(昭和33年)に発足した、仏教系新宗教のひとつ。親鸞会は新宗教と呼ばれるのを好まず、自らを、浄土真宗の宗派の一つであると主張し、今日の本願寺は親鸞の教えから逸脱していると批判している。一方、伝統的な浄土真宗系各宗派は教義の解釈の違いから、親鸞会を異端とみている。主として、組織的に偽装した布教方法を批判されることがあり、カルト問題と関連付けて議論されることがある。
元浄土真宗本願寺派僧侶である高森顕徹が設立し、代表を務める。本部を富山県射水市(旧射水郡小杉町)に置く。関連会社として1万年堂出版、チューリップ企画などがある。同会の会員数は約5万人[1](1980年(昭和55年))とも約10万人[2](1997年(平成9年))という報道もある。
目的
「宗祖親鸞聖人の正しい教えを広めることを唯一の目的として、親鸞、覚如、蓮如の文を根拠にして、それを忠実に解説する」という趣旨の法話会を各地で行っている。会では他の真宗宗派、とりわけ浄土真宗本願寺派(西本願寺)や真宗大谷派(東本願寺)との教義上の差異を主張しており、本願寺の教えは善の勧めがない教え、後生の一大事を否定した教えだと批判している。 伝統的な浄土真宗各派は親鸞会の教義を異端としている。
布教
日本全国各地で、大学新入生や、高齢者、在日外国人などを対象に、組織的に正体を隠した、いわゆる「偽装勧誘」を行っている。このため、カルト問題と関連付けて議論されることがある。「被害者家族の会」が存在する。
その手口は極めて巧妙である。その概要は、おおむね下記のとおり。
大学の空き教室を勝手に使用し、大学と関係のある勉強会のように見せかけて勧誘を行う。
大学新入生のアパート・マンションを、主として複数人で訪問し、「大学から、あなたの面倒をみるように頼まれて来ました。」等と偽り、接近する。大学がこのような目的で、学生の居所などの個人情報を開示することはない。
なお、この数年来、日本全国各大学では、これらの勧誘方法によって、主として新入生が偽装勧誘の被害に遭わないよう、警告ポスターが掲示される、新入学時に予防啓発DVDが上映されるなどの、防衛手段が取られてきている。
日本全国や日本国外で積極的な布教活動を展開して、その会員はあらゆる年齢層・地域・職業に広がっており、伝統教団の苦手とする若年層の会員の獲得にも成功している。
また、関連会社であるチューリップ企画が製作した親鸞のアニメビデオ『世界の光 親鸞聖人』を訪問販売する活動があった。
現在は各地でアニメ講師が上映会を行っている。近年、日本各地に会館が建設されている。
布施
親鸞会で会費は、本人の希望によって、12通りから選ぶことができる。いつでも変更は自由である。行事の際は名札を着け、会費を多く払っている者から順番に座る。財施は、新しい会館の建設、会館にかかげる絵画などの際に必要に応じて呼びかけられる。
歴史
- 1952年(昭和27年) - 高森顕徹を会長とし、68名の会員を集めて「徹信会」を発足。
- 1957年(昭和32年) - 富山県高岡市前田町に徹信会館(24畳)を建設。
- 1958年(昭和33年) - 宗教法人格を取得し、浄土真宗親鸞会と改称。
- 1974年(昭和49年) - 高岡市芳野へ本部を移転(100畳)。
- 1979年(昭和54年) - 浄土真宗本願寺派の紅楳英顕が論文「現代における異義の研究 ─高森親鸞会の主張とその問題点」を発表。親鸞会はこれに反発し、再三にわたり質問状を送り、本願寺派に対する批判キャンペーンが展開される。
- 1984年(昭和59年) - 上記に関し、紅楳側が誠意を持って答えていないとして、親鸞会会員約1,500人が西本願寺の御影堂に座り込み抗議を行う。
以後、西本願寺の駐車場は、指定旅行業者のバスのみ駐車可能となった。
- 1988年(昭和63年) - 富山市に隣接する射水郡小杉町に本部を移転。親鸞会館(現本館・520畳)となり、支部は全国及び南米・北米・台湾・韓国に及ぶ。
- 1992年(平成4年) - 既存の親鸞会館本館の収容能力不足から、隣接地に顕真会館を建設。
- 2004年(平成16年) - 参詣者で溢れるため、親鸞会館本館の隣接地に2,000畳の講堂を持つ正本堂を建設。
- 2013年 (平成25年) - 札幌市厚別区に北海道会館が開館。
浄土真宗親鸞会を取り上げたメディア
- 北國新聞編集局『真宗王国と新宗教「蓮如さん今を歩む」』 [1]
- 『岩波講座日本通史』第21巻、小沢浩のレポート
- 「蓮如」 マイナー・T・ロジャース アン・T・ロジャース 共著 [2]
- 富山新聞 平成9年10月28日号 掲載記事 「神よ仏よ」 信仰厚き北陸路を行く [3]
- 『宗教問題15:親鸞会とは何か』、合同会社宗教問題、2016年8月 ISBN 978-4990852641
評価
井上順孝は一般的な新宗教と比べ、伝統宗教と教義面での違いが少なく、教団改革運動ないし再生運動的な性格を持っているとしている。[3]。
なお、主に布教のあり方において、カルトとの関連で議論されることがあるのは、前述のとおりである。
参考文献
- 柏原祐義編 『真宗聖典』 法蔵館、1935。ISBN 4-8318-9001-4。
- 高森顕徹 著 『歎異抄をひらく』 1万年堂出版、2008年発行。ISBN 978-4-925253-30-7。
- 明橋大二・伊藤健太郎 著 高森顕徹 監修 『なぜ生きる』 1万年堂出版、2001年発行。ISBN 4-925253-01-8。
- 小沢浩 著 『新宗教の風土』 岩波書店、1997年発行。ISBN 978-4004305064。
関連項目
脚注
外部リンク