ホテルニューグランド

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ホテル ニューグランドは、神奈川県横浜市中区に在するホテル、及びその運営企業である。プリファード・ホテル・グループに加盟し、JR東日本ホテルズ準会員である。

概要

通称山下公園通りを挟んで山下公園真向かいに位置し、横浜中華街へ通じる横道沿い1区画を占める。横浜における主要なランドマークの一つである。

横浜市は関東大震災で壊滅的な打撃を受けたため、当時の横浜市長の提案により、横浜市在住の有力者を集めた「横浜市復興会」を結成。そこで決議された「外人ホテル建設の件」が、ホテルニューグランド建設の端緒となった。名称は公募によって集められたが、関東大震災で倒壊し廃業した外国ホテル「グランドホテル」の後継館として訪日客に謳う狙いで選ばれたとも、公募の中に適当な名称がなかったため横浜市復興会計画部長の井坂孝が命名したという説もあり、定かではない。

こうしてニューグランドは、横浜市復興計画の一環として官民一体となって建設が進められ、当初は今日の第三セクターとして発足した。現在の本館は、1927年創業時に渡辺仁の設計で建築され、クラシックホテルの代表例として名高い。

初代会長には先の井坂孝が就任し、井坂は東洋汽船出身であったことから、ホテルの主要業務であるサービス・宿泊・飲食に関する知識に明るく、さらに当時東洋汽船サンフランシスコ支店長であった土井慶吉を自分の補佐として呼んだ。そして土井は、総支配人としてパリからアルフォンゾ・デュナンを招聘し、新生ホテルの目玉として「最新式設備とフレンチ・スタイルの料理」をキャッチフレーズレストランには特に力を注ぎ、総料理長には、先のアルフォンゾ・デュナンの紹介で、パリのホテルからスイスコックサリー・ワイルを据え、さらに元帝国ホテル第4代総料理長の内海藤太郎をその補佐につけた。

ニューグランドの厨房からは、ドリアナポリタンプリンアラモードなど後に広く知られる料理が生まれた[1]。また、ホテルオークラ初代総料理長となる小野正吉や、プリンスホテルグループ総料理長となる木沢武雄、霞ヶ関飯野ビル「キャッスル」の荒田勇作や銀座5丁目「コックドール」の林久次ロイヤル中洲本店前川卯一[2]など数々の名店の料理長を輩出し、日本の食文化に多大な影響を与えた。

開業当時から、皇族イギリス王族などの賓客や、チャーリー・チャップリンジョージ・ハーマン・ルースなど著名人も多数来訪し、ダグラス・マッカーサー1937年に新婚旅行の帰路、1945年SCAPとして来日直後、それぞれ滞在している。マッカーサーが当時宿泊していた315号室は、「マッカーサーズスイート」として一般客も宿泊できる。

その独特のクラシカルな雰囲気から、『RAMPO』『ツナグ』等、我が国の映画ロケーションにも多用されている。

沿革

  • 1926年大正15年)7月 - 「株式会社ホテル、ニューグランド」を設立する。幕末に開設されたフランス海軍病院跡を敷地とする。
  • 1927年昭和2年)12月1日 - ホテルニューグランドを開業する。
  • 1963年(昭和38年)2月 - 株式を店頭公開する。
  • 1991年平成3年) - 18階建て(高さ73m)のニューグランドタワーを開業する。
  • 2003年(平成15年)3月 - 東日本旅客鉄道が株式の一部を取得。
  • 2004年(平成16年)- 東日本旅客鉄道と業務及び資本提携を締結。JR東日本ホテルチェーンにアソシエイトホテルとして加盟。全面リニューアルオープンする。
  • 2011年(平成23年)4月1日 - プリファード・ホテル・グループに加盟する。

施設概要

本館 (地上5階)
スイートルーム3室含む全49室 (3階 - 4階)
  • レストラン&バー
    • イタリアン レストラン“イル・ジャルディーノ”
    • 京料理“たん熊北店”
    • コーヒーハウス“ザ・カフェ”
    • ロビーラウンジ“ラ・テラス”
    • バー“シーガーディアンII”
ニューグランドタワー (地上18階・地下5階)
全202室 (6階 - 17階)
  • レストラン
    • パノラミックレストラン“ル・ノルマンディ”
エグゼクティブフロア (15階 - 17階)
  • エグゼクティブラウンジ「ザ・クラブ」 (16階)
    (エグゼクティブフロア宿泊者専用)

アクセス

JRグループとの関連

2004年3月、東日本旅客鉄道が業務提携により株式の2.9%を取得する。同年4月以降、直営以外唯一の準会員としてJR東日本ホテルズ加盟となり[3]ビューカード利用者向け「ホテルズ利用特典」提供ならびにTYOなどびゅう国内旅行商品として取り扱われている。準会員であるため、JR東日本ホテルズWebサイトでの予約は受け付けず、JRホテルグループにも属さずJRホテルグループ施設要覧などに掲載はない。北海道旅客鉄道ツインクルプラザ」商品の首都圏フリープランパッケージツアーパンフレットでは「JRホテルグループ」として扱われている。JR東日本は自社運営ホテルを横浜市内に長らく展開していなかった[注 1]

JR東日本ホテルズの会員制度である、「EASTYLE MEMBERS」についても、2015年12月1日付でようやく加盟し、以降は、当館でも同会員制度の特典が受けられるようになった。

雑記

  • 運営会社「株式会社ホテル、ニューグランド」は商号に「、(句読点)」が入り稀有である。
  • ニューグランドタワー屋上に、テレビ朝日情報カメラが設置されている。
  • 1988年矢沢永吉はシングル「ニューグランドホテル」をリリースしている。シングル、アルバムを含め演奏場所以外に矢沢が具体的建物を題名とした、唯一の作品である。
  • 東京事変のミニアルバム「color bars」に収録される「今夜はから騒ぎ」のPVは当ホテルで撮影された。
  • 当地以外の同名あるいは類似名称の宿泊施設とは一切無関係である。たとえば、以下が挙げられる:
  • 2013年、本館および横浜そごうのバーで、メニューと実際に提供される食材が異なっていたことが判明した[注 2]。これについて総務人事部の見解は「酒中心の店で認識が甘くなった」ためであるとする[4][5][6]

脚注

注釈

  1. 2008年、JR東海系「ホテルアソシア新横浜ターミナル」が開業してグループに加盟し、2010年10月、鶴見駅近くに「ホテルメッツ横浜鶴見」を開業している。
  2. 本館の「シーガーディアンII」および横浜そごうの「シーガーディアンIII」において、バナメイエビを「芝海老」、また加熱処理された冷凍ジュースを「フレッシュ」としていた。なお、2013年は阪急阪神ホテルズの各ホテルを皮切りに各地で類似の偽装が発覚した。

出典

  1. ホテルニューグランド ザ・カフェ”. 2013年10月18日時点のオリジナルよりアーカイブ。. 2013閲覧.
  2. 梅谷羊次 『ファミレスは進化する!』 商業界、2010年、14頁。ISBN 9784785503901 
  3. “ホテルニューグランドとの業務提携開始について” (プレスリリース), 東日本旅客鉄道, (2003年11月11日), https://www.jreast.co.jp/press/2003_2/20031104.pdf . 2017-7-14閲覧. 
  4. “ホテルニューグランドとベイシェラトン 偽装、横浜の名門も”. 朝日新聞: 神奈川版. (2013年11月7日) 
  5. “横浜のホテルニューグランドでも不適切表記 「バナメイエビ」を「芝海老」”. MSN産経ニュース. (2013年11月6日). http://sankei.jp.msn.com/region/news/131106/kng13110618370004-n1.htm . 2013閲覧. 
  6. バー シーガーディアンIIおよびIIIにおける表記についてお知らせとお詫び”. ホテル、ニューグランド (2013年11月6日). 2013年11月10日時点のオリジナルよりアーカイブ。. 2013閲覧.

参考文献

  • 高橋清一 『横浜流―すべてはここから始まった』 東京新聞出版局、2005年。ISBN 4808308347
  • 白土秀次 『ホテルニューグランド50年史』 中央公論事業出版、1977年。

関連項目

  • クラシックホテル - 当ホテルと他の5つの老舗ホテルで「クラシックホテルの仲間たち」というグループを結成し、共同での広報活動を行っている。

外部リンク

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