スイバ
スイバ(蓚・酸い葉、学名:Rumex acetosa)はタデ科の多年草。ギシギシという地方名もある(ただしギシギシという標準和名を持つ植物はは同じスイバ属の別種)。また、スカンポ、スカンボなどの別名でも呼ばれることもあるが、これらはイタドリの方言名としても用いられることが多い。英名からソレルとも呼ばれる。北半球の温帯に広く分布し、田畑や道端によく見られる。
葉は長く、付け根は矢尻型になる。雌雄異株で、花は春から初夏にかけて咲く。葉を噛むと酸味があり、スイバ(酸い葉)などの語源となっている。
1923年に木原均と小野知夫によって、X染色体とY染色体を持つことが報告された。これは種子植物に性染色体があることを初めて示した発見の一つである。スイバの性決定は、ショウジョウバエなどと同じく、X染色体と常染色体の比によって決定されている。
利用
料理
日本では野生のものの新芽を山菜として春先にイタドリ同様に食べるが、ヨーロッパでは古くから葉菜として利用され、野菜としての栽培品種はソレルやオゼイユと呼ばれる。利用法は主にスープの実、サラダ、肉料理の副菜や付け合わせで、スイバを単体で調理するだけでなく、ホウレンソウやその他の葉菜類と混ぜて用いることもある。例えばフランス料理ではポタージュ、オムレツ、ベニエ、ピュレ、料理に添えるソース、アイルランド料理ではスイバのパイ、ギリシア料理では煮込み料理やピタ(ブレク風のパイ)、ブルガリア料理ではチョルバ、ルーマニア料理ではサルマーレ、ウクライナ料理ではスイバのボルシチ、ロシア料理では緑のシチーの素材として好んで用いられる。
ハーブ
古代エジプトでは、食用のほかに薬草としても使われた。また、古代ギリシャ、古代ローマでは利尿作用がある薬草として、特に胆石を下す効用があるとして利用された。この葉のハーブティーは、昔より解熱効果があるとして知られている。現在でも、うがい薬、火傷の手当などに使われている。ただしシュウ酸を多く含むので、大量に食べると中毒の恐れがある[1]。
脚注
- ↑ 基本ハーブの事典 東京堂出版 北野佐久子 2005年p84-85