ファミリー・インターナショナル
ファミリー・インターナショナル(The Family International、TFI)は、キリスト教系の新宗教。1968年にアメリカ合衆国カリフォルニア州にてデビッド・バーグが創設した。渋谷区に日本支部がある。旧教団名は神の子供たち(The Children of God)、愛の家族(The Family of Love)、その後、ファミリー(The Family)、2004年からはファミリー・インターナショナルとなる。
1960年代後半のジーザス・ムーブメントから派生した団体で、初期の改宗者の多くはヒッピー運動から流れてきた。1970年代、80年代において、アメリカとヨーロッパにおけるカルト論争を引き起こした団体のひとつである。
概要
救済、黙示信仰、そして会員が"システム"と呼ぶ外の世界に対する精神的な「革命」のメッセージと共に、ファミリー・インターナショナルが成長、拡大するにつれ、結果として物議をかもした。 1974年、セックスを使って、神の愛を表現し、改宗者を獲得するという"浮気釣り"と呼ばれる福音伝道の方法を始めた。[1] 浮気釣りの実践は1987年に終了した。神の子供たちの創設者で預言者でもあり、自身を"モーゼ・デイビッド"と呼んだデビッド・バーグは、1994年の彼の死まで、多くの精神的で実践的なことがらの指示、助言を記した手紙Mo Lettersを通して、信者とやりとりした。[2]彼の死後、未亡人のカレン・ゼルビーがファミリー・インターナショナルのリーダーとなった。
コミュニティ内で近親相姦が認められていることで知られている。
グループの性に関する進歩的な考えから、児童性的虐待のうわさを呼ぶことになった。1990年代に司法当局や学者によって行われたいくつもの調査で、TFIは子どもたちにとって安全な環境であると結論付けされたが、そのような調査によって過去のトラブルが強調されることとなった。TFIの指導者陣は、1978年から1986年の間に幾人かの子どもに虐待が起こったことを認め、過度の罰や成人と未成年者の間のいかなる性的接触をも禁じる指針を作成した。1988年12月以降に子どもを虐待したことがわかった者は、TFI指導者陣によって破門されている。
2005年1月にリッキー・ロドリゲス(その数年前に団体を離れていた)が、元メンバーを殺害後に自殺したことで、メディアから再び注目された。事件は、元メンバー、現メンバーの両方にショックを与えた。[3]
TFIの元・現信者である著名人
- リヴァー・フェニックス、ホアキン・フェニックス、レイン・フェニックス、サマー・フェニックスは、両親とともに1972年から1978年までTFIで生まれ育った。リヴァーは、1994年に雑誌エスクァイアで「あいつらは人の人生を駄目にしている」と、怒りながら教団のことを話した。[4]
- ロック・バンド「フリートウッド・マック」の初期メンバーであるジェレミー・スペンサーは、TFIの前身である神の子供たちに加わり、現在もメンバーである。
- ガールズ (アメリカのバンド)の元メンバーのクリストファー・オウエンス。16歳で脱会。
- ジャノアナ・バーリング(en:Juliana Buhring) - 23歳で脱会するまでの教団での生活を暴露した『Not Without My Sister』がベストセラーになった。
批判
1971年に反カルトグループFREECOGが結成された。FREECOGは1980年代初期にw:Cult Awareness Networkに合流したが、1996年にCult Awareness Networkは、倒産裁判所にて、サイエントロジー関係者によって買収されている。
メディア
- Children of God: Lost and Found - Noah Thomsonによる75分のドキュメンタリー。2007年w:Slamdance Film Festival出品 IMDB
- 2005年3月30日、ロー&オーダーの第15シーズンにおいて、セクト(Sects)と言う題名で、「Mrs. Shelby」と言う、ファミリー・インターナショナルのリーダーカレン・ゼルビーを連想させる、虐待を行う女性のカルトリーダーが登場する。エピソード中、そのリーダーの子供が殺人を犯すという、リッキー・ロドリゲス事件を元にした描写もされている。
日本
日本でファミリー・インターナショナルは、1972年に始まり[5]、1990年代初期(当時は「愛の家族」)に日本のメディアにおいて話題となった。特に「ビッグモーニング」では「乱交」「児童への性的虐待」などがセンセーショナルに取り上げられ、繰り返し報道された。
1995年、阪神・淡路大震災直後から救援ボランティア活動を開始し、地震から5年後の2000年3月まで震災ボランティアとして活動した[6]。
活動は、ファミリー関係者やその他の個人によって運営される独立したボランティア組織やNGOによって実施されている[5]。会員誌として聖書や創立者デビッド・バーグの言葉や会員などを紹介した『アクティベート』が発行されていたが、2010年に休刊した[7]。
代表的な信者としては、銀座でキャバレーや会員制クラブ「シャリバリ」など数軒を手掛け、馬主でもある実業家の成田柾太郎(株式会社シーアンドシー)・蔦子夫妻がおり、1970年代末に夫婦で入信し[8]、資金援助のほか、教団のために館山市に土地を購入して「21世紀インターナショナル・スクール」(別名ヘブンリーシティスクール(HCS)、館山市神余4359−94)を設立し、最盛期には300人以上の信者が住んでいた[9]。施設建設のいきさつなどについての本が2001年に自費出版されている[10]。
研究者
参照
- ↑ “'The Family' and Final Harvest”. ワシントン・ポスト. (1993年6月2日) . 2008閲覧.. "Sure, Alexander concedes, plenty of people object that The Family's "Law of Love" permits sex outside marriage and that the group once condoned a practice known as "flirty fishing" – the use of sex to win converts."
- ↑ xFamily.org Publications Database — contains the entire text of "Mo Letters"
- ↑ http://www.cnn.com/2007/US/12/04/kaye.murdersuicide/index.html
- ↑ 雑誌Esquireの記事
- ↑ 5.0 5.1 日本での活動概要ファミリー・インターナショナル公式サイト
- ↑ 渡邊太『復興と宗教』第二章『キリスト教のボランティア活動』(東方出版)
- ↑ アクティベート誌休刊と「アクティベート・リーフ」に関するお知らせアクティベートジャパン
- ↑ 運命の出会いとなった一枚の写真 そして、人生を変えた一冊の書『アクティベート』Vol.2-1, p10-11
- ↑ Heavenly City Schoolxfamily.org
- ↑ 成田蔦子『奇跡に導かれて』自費出版図書館
関連項目
- リッキー・ロドリゲス
- リヴァー・フェニックス
- w:Opposition to cults and new religious movements
- w:FREECOG
- w:Cult Awareness Network
外部リンク
- 公式サイト(グローバルサイト)
- 公式サイト(日本)
- TFIonline - 会員のコミュニティサイト
- アクティベート・ジャパン - ファミリー・インターナショナルの雑誌
- 教祖の母親ヴァージニア・ブラントのライフストーリー
- 日本人信者インタビュー動画