p-進L-函数

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数学では、p-進ゼータ函数 (p-adic zeta function)、あるいはより一般的に p-進 L-函数 (p-adic L-function) とは、リーマンゼータ函数やより一般的なディリクレの L-函数に類似した函数であるが、函数の定義域値域p-進的であるものを言う(ここに p素数である)。p-進 L-函数の定義域は p-進整数環 Zp や、射有限 p-群ガロア表現p-進族であり、像はp-進数Qp もしくはその代数的閉包である。

ディリクレ L-函数

ディリクレ L-函数は、級数

[math]L(s,\chi) = \sum_{n=1}^{\infty}\frac{\chi(n)}{n^s} = \prod_{p \text{ prime}} \frac{1}{1-\chi(p)p^{-s}}[/math]

の解析接続として与えられる。負の整数でのディリクレ L-函数の値は、

[math]L(1-n, \chi) = -\frac{B_{n,\chi}}{n}[/math]

である。ここに、Bn,χ一般化されたベルヌーイ数であり、導手 f を持つディリクレ指標 χ に対し、

[math] \displaystyle \sum_{n=0}^\infty B_{n,\chi}\frac{t^n}{n!} = \sum_{a=1}^f\frac{\chi(a)te^{at}}{e^{ft}-1}[/math]

で定義される。

補完を使った定義

久保田-レオポルドの p-進 L-函数 Lp(s, χ) は、p でのオイラー因子を取り除いたディリクレのL-函数を補完する。さらに詳しくは、Lp(s, χ) は p-進数 s の連続函数であり、p − 1 により割ることのできる正の整数 n に対し

[math] \displaystyle L_p(1-n, \chi) = (1-\chi(p)p^{n-1})L(1-n, \chi)[/math]

となる唯一のものである。この式の右辺はまさに通常のディリクレの L-函数から、p でのオイラー因子を取り除いたものである。また、 p でのオイラー因子を取り除かない 場合には、右辺は p-進的に連続とはならない。右辺の連続性は密接にクンマー合同English版(Kummer congruence)と関連している。

n が p − 1 により割れない場合は、一般的にこのことは成立しない。代わりに、正の整数 n に対し、

[math] \displaystyle L_p(1-n, \chi) = (1-\chi\omega^{-n}(p)p^{n-1})L(1-n, \chi\omega^{-n})[/math]

が成り立つ。ここに χ はタイヒミューラー指標English版(Teichmüller character) ω のべきによりツイストされている。

p-進測度と見なすと

p-進L-函数はまた、p-射有限ガロア群上のp-進測度English版(p-adic measures)(あるいは、p-進分布English版(p-adic distributions))とも考えることができる。この観点と久保田・レオポルトの観点との間の変換は(Zp 上の Qp-値を持つ函数として)、メイザー・メリン変換English版(Mazur–Mellin transform)(と類体論)を経由する。

総実体

Deligne & Ribet (1980) では、前に行われている Serre (1973) に立脚し、総実体の解析的 p-進L-函数を構成した。Barsky (1978)Cassou-Noguès (1979)は独立に同じ結果を導き出したが、このアプローチは、新谷卓郎の L-値の研究のアプローチに従っている。

参考文献