電気感受率

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テンプレート:物理学 電気感受率(でんきかんじゅりつ、: electric susceptibility)は、誘電分極の起こりやすさを示す物性値である。感受率、電気的感受率などとも言う。

分極率とも呼ばれることがあるが、電気感受率はマクロな量であるのに対し、分極率はミクロな量である。電気感受率と分極率との間にはクラウジウス・モソッティの関係がある。

定義

外部から電場Eを掛けられると一般の誘電体には誘電分極Pが生ずる[1]が、このPE に比例する。その関係を

[math] \boldsymbol{P} = \chi \varepsilon _0 \boldsymbol{E} [/math]

のように書き表した時の比例係数χが電気感受率である(ε0真空の誘電率)。通常ギリシア文字のχで表現するが、磁化率にも同じ文字を使う場合があるので区別のためχeとすることもある。ε0EPは共に電束密度次元([Q1L-2])を持つので、χは無次元量であり単位系に依らない(ただしPEのように誘電率を介さず、直接にPとEを結ぶ係数を電気感受率χと定義する流派も存在し、この場合のχは誘電率と同じ次元を持つことになる)。

誘電率との関わり

物質中における電束密度電場分極の間には

[math] \boldsymbol{D} - \boldsymbol{P} = \varepsilon _0 \boldsymbol{E} [/math]

の関係がある[2]ので、上記したPの定義P=χε0Eを代入すれば以下のように整理できる。

[math] \boldsymbol{D} = \varepsilon _0 (1+ \chi) \boldsymbol{E} [/math]

そして誘電率ε1の物質中における電束密度と電場の関係は、一般にD1Eと書き表される。よって二式を比較すると

[math] \varepsilon _1 = \varepsilon _0 (1+ \chi) [/math]

である。即ち、物質の誘電率とは、換言すれば真空の誘電率を (1+χ) 倍したものであることが分かる。また比誘電率εr(その定義はεr10である)を用いて表せば

[math] \varepsilon _1 = \varepsilon _0 (1+ \chi) = \varepsilon _0 \varepsilon _r[/math]

なので(1+χ)=εrとなる。

脚注

  1. または、「分極電荷密度σが生ずる」とも表現できる。Pとσは同じ物理量である。
  2. この式の意味は、「分極により電束密度が相殺され、それに比例して電場も弱まる」。

関連項目

参考文献

  • 兵頭俊夫『電磁気学 - 裳華房テキストシリーズ・物理学』裳華房、2004年第七版、ISBN 4-7853-2089-3
  • 徳永正晴・和田宏『理工系の物理学』学術図書、1999年初版(2005年第6刷)、ISBN 4-87361-906-8