台湾関係法

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テンプレート:米国連邦法 台湾関係法(たいわんかんけいほう、: Taiwan Relations Act、略称: TRA)は、アメリカ合衆国法律である。中華民国台湾)に関するアメリカ合衆国としての政策の基本が定められている。事実上のアメリカ合衆国と中華民国(台湾)との間の軍事同盟である。

経緯

1979年1月1日に民主党ジミー・カーター大統領中華人民共和国との国交を樹立し、中華民国台湾)との国交は断絶された。ホワイトハウスのこの方針は、ソビエト連邦と中華人民共和国の離間を決定的なものとし、また、アメリカ企業が将来中国大陸の巨大な市場を獲得するための重要な布石ともなった。

しかし、同時に米華相互防衛条約の無効化に伴う米軍台湾協防司令部English版の廃止と在台米軍中文版の撤退によって東アジアで急激な軍事バランスの変化が起きることが懸念され、自由主義陣営の一員である中華民国(台湾)が中華人民共和国に占領される事態は避けるため、また中華民国政府(民主党とほぼ唯一のパイプであった許国雄僑務委員会顧問)や在米国台湾人(台湾独立派を含む)からの活発な働きかけもあって、台湾関係法が1979年4月に制定され、1月1日にさかのぼって施行された。

アメリカは、国内法規である台湾関係法に基づき、通常の軍事同盟のように中華民国(台湾)に駐留こそしてないものの、武器売却や日本各地にある在日米軍基地やフィリピンの米軍基地(米比相互防衛条約を参照)などにより、中華人民共和国を牽制している。

内容

外交関係

  • アメリカ合衆国が中国と外交関係を樹立するのは、台湾の未来が平和的に解決することを期待することを基礎としている[1]
    • 台湾に関して、アメリカ合衆国の国内法へ影響を与えずこれまで通りとする[2]
    • 1979年以前の(かつて中華民国として認識していた)台湾とアメリカ合衆国との間のすべての条約、外交上の協定を維持する[3]
    • 台湾を諸外国の国家または政府と同様に扱う。ただし、アメリカにおける台湾外交官への外交特権は、認められない場合がある。
    • 米国在台湾協会に対して免税措置を与える。

防衛関係

  • 平和構築関係維持の為に台湾に、あくまで台湾防衛用のみに限り米国製兵器の提供を行う。
  • アメリカ合衆国は台湾居民の安全、社会や経済の制度を脅かすいかなる武力行使または他の強制的な方式にも対抗しうる防衛力を維持し、適切な行動を取らなければならない。

その他

  • アメリカ議会は台湾関係法について、その施行および監督を行う義務がある。

議論

近年はアメリカが中華人民共和国に政治的配慮をし、F-16戦闘機イージス艦船の売却予定が凍結になっている。

アメリカ議会の保守強硬派の中で、中華人民共和国の反国家分裂法制定は、条文の抵触に値すると主張されることも多いが、現在のアメリカの法解釈では「台湾海峡で武力衝突が生じた場合、必ずしもアメリカがこれに介入しなくてもよいし、介入してもよい」とされている。

これは、冷戦後の1990年代には国力が落ちた新生ロシアに代わり、アメリカに次ぐ軍事費と経済力を持った中華人民共和国がアメリカの大きな貿易相手国となってることから、両国の衝突は可能な限り回避するべきというニュアンスが支配的となったためである。

アメリカが有事回避の動きをとるために、一つの中国の堅持を支持し、台湾独立の動きを牽制していることは、事実上中華人民共和国の思惑通りにアメリカ合衆国が動かされていると主張する議会関係者も少なくない。

対中関係を重視する馬英九総統の政権下で、中国と台湾の関係が改善してからは、ジョン・ミアシャイマー[4]など研究者や学者からは、台湾への武器供与を控える、あるいはさらに踏み込んで、台湾から手を引くという「台湾放棄論」とも言える意見が出ているが[5]、現実的な対応としては地政学上の第一列島線に含まれる台湾島を放棄した場合、中国が西大平洋を支配する事を許しかねない為、有事の際のアメリカ軍の対応は、台湾海峡危機に準じた対応になる事は、北京政府も暗黙の了解として認識を共有しているのが現状とされる。

他国での動き

日本では自民党の議員連盟である「日本・台湾経済文化交流を促進する若手議員の会」を中心に、「日本版・台湾関係法」の制定を目指す動きがある[6]

出典

  1. Taiwan Relations Act -Sec. 3301. Congressional findings and declaration of policy. (b) Policy. (3)
  2. Taiwan Relations Act - Sec. 3303. Application to Taiwan of laws and international agreements (b)
  3. Taiwan Relations Act - Sec. 3303. Application to Taiwan of laws and international agreements (c)
  4. “米国の対台湾窓口トップ、「台湾放棄論」に反論”. 中央社フォーカス台湾. (2014年5月14日). http://japan.cna.com.tw/news/apol/201405140008.aspx . 2018-1-27閲覧. 
  5. 阿部純一 (2014年3月27日). “アメリカで叫ばれ始めた「台湾放棄論」 中国に統一されるのは避けられない流れ?”. 日本ビジネスプレス. http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/40270 . 2014-3-30閲覧. 
  6. “自民有志、台湾関係法策定で関係強化”. 産経新聞. (2014年2月17日). http://sankei.jp.msn.com/politics/news/140217/plc14021721220014-n1.htm . 2014-4-15閲覧. 

関連項目



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