ヴィット代数

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数学において、複素ヴィット環(ヴィット-かん、: Witt algebra; ヴィット代数)とは、二定点を除くリーマン球面の全域で正則な有理型ベクトル場全体の成すリー環である。名称はエルンスト・ヴィットに因む。このリー環は円周上の多項式ベクトル場全体の成すリー環の複素化でもあり、環 C[z, z−1] の微分(あるいは導分English版)全体の成すリー環でもある。ヴィット環は共形場理論の研究において現れる。

有限体上で定義されるいくつかの同様なリー環もやはりヴィット環と呼ばれる。

複素ヴィット環はエリ・カルタンによって初めて定義され{{#invoke:Footnotes | harvard_citation }}、その有限体上の類似物はヴィットによって1930年代に研究された。

基底

ヴィット環を円周上のベクトル場のリー環として考えたとき、その基底は整数 n に対して

[math]L_n=-z^{n+1} \frac{\partial}{\partial z}[/math]

によって与えられる。

2つのベクトル場の括弧積は、基底における積

[math][L_m,L_n]=(m-n)L_{m+n}[/math]

を線型に拡張したもので与えられる。ヴィット環はヴィラソロ代数と呼ばれる中心拡大を持つ。ヴィラソロ代数は共形場理論や弦理論において重要である。

有限体上のヴィット環

標数 p > 0 の体 k 上のヴィット環は環

[math]k[z]/(z^p)[/math]

上の微分全体の成すリー環として定義される。ヴィット環は Lm (−1 ≤ mp − 2) によって張られる。

参考文献