ブロカールの問題

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ブロカールの問題 (: Brocard's problem) とは、

[math]n!+1 = m^2[/math]

を満たす整数の組 (n, m) がいくつ存在するか、という数学の問題である。ただし、 n! は階乗を表す。アンリ・ブロカールEnglish版が1876年・1885年に自身の論文で提示した。1913年にはシュリニヴァーサ・ラマヌジャンが同じ問題を独立に提示している。

ブラウン数

上式を満たす (n, m) の組はブラウン数 (: Brown numbers) と呼ばれる。ブラウン数の組は

(4,5), (5,11), (7,71)(小さい方の数はオンライン整数列大辞典の数列 A146968、大きい方の数はオンライン整数列大辞典の数列 A216071を参照)

の3つしか知られていない。ポール・エルデシュは、これ以外の解は存在しないと予想した。Overholt (1993) は、ABC予想が真だとすれば解の個数が有限であることを示した。Berndt & Galway (2000) は109までの n について計算を行い、その範囲で他の解がないことを確かめた。

一般化

Dabrowski (1996)はOverholtの結果を一般化し、ABC予想が正しければ、任意の自然数 A に対し

[math]n!+A = k^2[/math]

を満たす解は有限組しか存在しないこと、A平方数でないときはABC予想によらず解は有限個しか存在しないこと(実際 Ap を法として平方剰余ではないような最小の素数 p をとると [math]k^2-A[/math]p で決して割り切れないので n < p でなければならない)を示した。Luca (2002)はこれをさらに一般化し、 (ABC予想が正しければ) 2次以上で整数係数を持つ任意の多項式P(x)に対して

[math]n! = P(x)[/math]

を満たす解は有限組しか存在しないことを示した。

指数が2より大きい場合、および [math]x^2+y^2=n![/math] の形の方程式については Erdős & Obláth (1937) が既に

[math]x^m+y^m = n! (\gcd(x, y)=1, m\geq 2)[/math]

は 1+1=2! 以外の解を持たないこと、および

[math]x^m-y^m = n! (x\gt y, \gcd(x, y)=1, m\geq 3)[/math]

m が 4 以外のときには解を持たず m =4 の場合にも有限個の解しか持たないことを示している。また

[math]m!\pm n!=x^k (m\gt n\gt 0, k\geq 2)[/math]

の解は有限個であることも示している。その後Pollack & Shapiro (1973)

[math]x^4-1 = n! [/math]

は解を持たないことを示している。

参考文献

外部リンク