デッドモール
デッドモール(dead mall)とは、入居テナントの相次ぐ撤退により稼働率が極端に低い状態で営業を継続するショッピングモールを指す。閉鎖により廃墟化した状態で建物が放置されている場合も含むことがある。
Contents
概要
デッドモールの問題は主にECサイトの台頭、独身化・少子高齢化や若者の車離れによるライフスタイルの変化、消費者の価値観の変化や乱立によるオーバーストアの発生などが要因とされている。小売業の低迷が続くアメリカではこの問題が顕在化しており、同国の1人当たりの小売面積は、約2.2平方メートルにも及び、需要の2倍および3倍にのぼるとされている[1]。日本では、2000年に大店法の改正によって全国各地にショッピングモールの建設が相次いだ。これらのショッピングモールは殆どが郊外立地で、無料駐車場が完備され、ひとつの施設内に複数の物販店や飲食店、ゲームセンターなどの娯楽施設や旅行代理店などの各種サービス施設が入居していることから、公共交通網が未発達な地方部においては既存の商店街や百貨店を凌ぐ顧客吸引力を武器に成長していった。しかし、2010年代以降は前述した要因により客足が遠のきテナントの大半が撤退、稼働率が極端に低い状態に陥るショッピングモールが全国各地に出現している[2]。
世界各国での事例
アメリカ合衆国
1973年に大手百貨店のJ.C.ペニーなどを核テナントにオープン。2015年に閉鎖された。
1975年にシアーズやJ.C.ペニーなどを核テナントにオープン。核テナントであったシアーズは2017年夏に撤退し[3]、現在は僅かなテナントのみを残し辛うじて営業している状態である[4]。
中華人民共和国
2005年にオープン。約46万平方メートルのショッピングエリアに2350店もの店舗が入居可能で、完成当時は世界最大のショッピングモールと称された。しかし、商圏住民の多くが経済的に余裕のない労働者であるという立地条件の悪さなどから、大半が空き区画で購買客もほとんどいない、事実上機能停止状態に陥っている。原因は合理的な事業計画のない投機的な不動産投資であると指摘されている[5]。
日本での事例
大和システムとオウミ都市開発の共同開発により、守山市の琵琶湖畔エリアに商業施設面積約55,000平方平方メートル、約200のテナントのモールとして2008年にオープンしたが、 開業前後に発生したリーマン・ショックによる景況悪化や商圏内へその後多数の大型商業施設が開業したことによる競合などの影響により次第に店舗数が減少、2013年末には僅か3店舗のみを残すのみとなり、「生ける廃墟」「明るい廃墟」「ネオ廃墟」とネット上で話題になった[6]。その後大和システムからkodo.ccに売却され、施設改装が計画されるものの実現には至らず、マイルストーンターンアラウンドマネジメントが運営会社の株式を取得し2014年にリニューアルが実施された。
脚注
- ↑ アマゾンではなかった…… アメリカの小売業を低迷させた2つの元凶 BUSINESS INSIDER JAPAN,(2017年7月26日)
- ↑ ショッピングモールが死んでいく INSIGHT NOW!,(2015年11月30日)
- ↑ Regency Square's owners on Sears closing: 'It’s a positive step' richmondo.com,(2017年6月7日)
- ↑ 閉店が続くアメリカ小売業「最期の日々」 BUSINESS INSIDER JAPAN,(2018年6月7日)
- ↑ 「世界最大の商店街」は今やゴーストタウン、不動産バブルのツケ 中国 CNN.co.jp,(2013年3月10日)
- ↑ 30年後、日本は「明るい廃墟モール」だらけ!? ピエリ守山に学ぶ、失敗するモール・成功するモール 東洋経済オンライン,(2014年7月31日)