アニミズム
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アマゾンのシャーマン
アニミズム(英語: animism)とは、生物・無機物を問わないすべてのものの中に霊魂、もしくは霊が宿っているという考え方。19世紀後半、イギリスの人類学者、E・B・タイラーが著書『原始文化』(1871年)の中で使用し定着させた。日本語では「汎霊説」、「精霊信仰」「地霊信仰」などと訳されている。この語はラテン語のアニマ(anima)に由来し、気息・霊魂・生命といった意味である。
タイラーとマレットのそれぞれのアニミズム観
タイラーはアニミズムを「霊的存在への信仰」とし、宗教的なるものの最小限の定義とした。彼によれば諸民族の神観念は人格を投影したものという(擬人化、擬人観、エウヘメリズム)。現在でもこの語は宗教学で触れる際など抜きにしては考えられない語であるが、一方タイラーのアニミズム観に対してはマレット(Robert Ranulph Marett)が「未開」民族の間では人格性を欠いた力あるいは生命のような観念もあるとし、そのアニミズム以前の状態をプレアニミズム(pre-animism)と呼び、同様の概念はアニマティズム(animatism)、ヴァイタリズム(vitalism)、ダイナミズム(dynamism)などとも称された。また研究姿勢に対しては類推的とか、進化主義的であるとかの批判もされる。
世界中で普遍的な「始まりのとしての原始宗教であるアニミズム」とその蔑視
霊的存在が肉体や物体を支配するという精神観、霊魂観(日本で言えば「依り代」に近い観念)は、世界的に広く宗教、習俗の中で一般に存在している。キリスト教が先進のものというヨーロッパの視点から、アニミズムはかつて原始的な未開社会のものであると考えられた。レヴィ=ブリュールの『未開社会の思惟』など、民族学や文化人類学の南太平洋(トロブリアンド諸島)やアマゾンの先住民のその根本的な考察観にうかがい知ることができる。
関連書籍
- エドワード・タイラー『原始文化』比屋根安定訳、誠信書房、1962年
- 綾部恒雄編『文化人類学の名著50』 平凡社、1994年 ISBN 4-582-48113-2
関連項目
- 汎心論
- 汎神論
- 自然崇拝
- 八百万の神
- 付喪神
- ジン (アラブ)
- ヌーメン - 神の意志、神の存在、神性を表すラテン語。20世紀初期において、物等に宿る魔法的な力、またはマナの同意語の様に使われることも有る。