電気素量

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テンプレート:物理定数 電気素量 (でんきそりょう、: elementary charge)は、電気量単位となる物理定数である。陽子あるいは陽電子1個の電荷に等しく、電子の電荷の符号を変えた量に等しい。素電荷(そでんか)、電荷素量とも呼ばれる。一般に記号 e で表される。

原子核物理学化学では粒子の電荷を表すために用いられる。現在ではクォークの発見により、素電荷の1/3を単位とする粒子も存在するが、クォークの閉じ込めにより単独で取り出すことはできず、素電荷が電気量の最小単位である。 素粒子物理学では、電磁相互作用ゲージ結合定数であり、相互作用の大きさを表す指標である。

SIにおける電気素量の値は

e ={{safesubst:#invoke:val|main}}

である[1]。SIとは異なる構成のガウス単位系(単位: esu)での値は

e ={{safesubst:#invoke:val|main}}

である[2]

電気素量の計測実験

1897年 ジョン・タウンゼントの実験
電気分解によって生じる帯電した気体イオンの量と帯電量を測定し、電荷を算出した。
1898年 J.J. トムソンの実験
水蒸気をイオン化して、電流と水蒸気の質量から求めた。
1903年 ジョン・タウンゼントとH.A. ウィルソンの実験
水蒸気のイオンの電界中の落下速度から求めた。
1909年 ミリカンの油滴実験
油滴を使ったウィルソン実験を改良し、多くの誤差要因を排除した。当時の計測値は {{safesubst:#invoke:val|main}}だったとされる。

電磁気学の単位

電磁気学の単位系は、元来は何らかの幾何学的な配位において作用する電磁気的な力の大きさによって定義されており、電気素量との理論的な関係はない。 なお、1mol の電子の電気量は電気分解の法則で知られる 1Fd であり、電気素量にアボガドロ数 NA mol をかけたものである。

1 Fd = (NA mol) e =({{safesubst:#invoke:val|main}}) × ({{safesubst:#invoke:val|main}}) = {{safesubst:#invoke:val|main}}

ただし、2018年に採用が見込まれている新しいSIの定義においては、電気素量を固定することで、別途で得られているの定義と組み合わせてアンペアの定義とすることが検討されている。

量子電気力学における電気素量

量子電気力学においては、ある時空点で電子が光子を放出したり吸収したりする確率振幅English版の大きさが電気素量に対応する。ファインマン・ダイアグラムを用いることでその事がより明らかになる。

新しいアンペアの定義

2018年11月の第26回国際度量衡総会 (CGPM) での改正が予定されている新しいSIの定義の決議案においては、アンペア定義に電気素量を用いることが提案される[3]

2019年5月20日に施行される予定の新しいSIの定義では電気素量の値は不確かさを持たず、その値は正確に e = {{safesubst:#invoke:val|main}} として定義されることになる[4][5]

脚注

参考文献

  • R. A. ミリカン (1913). “On the Elementary Electrical Charge and the Avogadro Constant”. Phys. Rev. 2: pp.109-143. doi:10.1103/PhysRev.2.109. 
  • R. A. ミリカン (1911). “The Isolation of an Ion, a Precision Measurement of Its Charge, and the Correction of Stokes's Low”. Phys. Rev. (Series I) 32 (4): pp.349-397. doi:10.1103/PhysRevSeriesI.32.349. 
  • 西条敏美 『物理定数とは何か-自然を支配する普遍数のふしぎ』 講談社ブルーバックス〉、1996-10。ISBN 4-06-257144-7。

外部リンク