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{{暴力的}}
 
{{Infobox disease
 
| Name = 自殺
 
| Image = Edouard Manet 059.jpg| Caption = ''Le Suicidé([[エドゥアール・マネ]]、1877–1881年)
 
| Field = [[精神医学]]
 
| ICD10 = {{ICD10|X|60||x|60}}–{{ICD10|X|84||x|60}}
 
|ICD9 = {{ICD9|E950}}
 
|DiseasesDB=12641
 
|MedlinePlus = 001554
 
| eMedicineSubj = article
 
| eMedicineTopic = 288598
 
| MeshName = Suicide
 
| MeshNumber = F01.145.126.980.875
 
}}
 
[[File:Suicide rates map-en.svg|thumb|460px|WHOによる人口10万あたり自殺率(年齢標準化)<ref>{{Cite report|publisher=WHO |title=Suicide data |url=http://www.who.int/mental_health/prevention/suicide/suicideprevent/en/}}</ref>。赤は13以上、黄は6.5-13、青は6.5以下]]
 
'''自殺'''(じさつ)とは、自分で自分を[[殺害|殺す]]こと<ref>広辞苑 第5版 p.1165</ref>。'''自害'''、'''自死'''、'''[[自決]]'''、'''自尽'''、'''自裁'''などとも言い、状況や方法で表現を使い分ける場合がある。
 
  
[[世界保健機関]](WHO)によると、世界で2014年時点で毎年約80万人が自殺している{{Sfn|世界保健機関|2014|loc=Key messages}}<ref name="whofact">{{Cite report|publisher=世界保健機関 |title=FactSheets - Suicide |url=http://www.who.int/mediacentre/factsheets/fs398/en/ |date=2014-07}}</ref>。世界の自殺の75%は低中所得国で起こり<ref name="whofact" />、自殺は各国において死因の10位以内に入り、特に15〜29歳の年代では2位になっている(2012年)と報告している{{Sfn|世界保健機関|2014|loc=Key messages}}<ref name="whofact" />。
+
'''自殺'''(じさつ)
  
自殺は様々な事情が複雑に絡み合って生じる場合が多い{{Sfn|世界保健機関|高橋祥友|2002}}。高所得国における主な理由は[[精神疾患]](特に[[うつ病]]と[[アルコール乱用]])であり、ほか金銭的問題、人間関係の破綻、慢性[[疼痛|痛]]や病気などがある<ref name="whofact" />。WHOは「自殺は、そのほとんどが防ぐことのできる社会的な問題。適切な防止策を打てば自殺が防止できる<ref>{{lang-en-short|Suicides are preventable.}}</ref>」としている{{Sfn|世界保健機関|高橋祥友|2002}}{{Sfn|世界保健機関|2014|loc=Key messages}}。そのうえでWHOは、一人一人のこの上なく尊い生命を守るため、本格的な予防戦略である世界自殺予防戦略(SUPRE)を実施している。このようなWHOに準ずる形で、各国で行政・公的機関・NPO・有志の方々による多種多様な自殺予防活動が行われている。日本では『支援情報検索サイト<ref>http://shienjoho.go.jp/</ref>』『いきる・ささえる相談窓口<ref>http://ikiru.ncnp.go.jp/ikirusasaeru/</ref>』などが設けられていて「もしあなたが悩みを抱えていたら、ぜひ相談してください<ref>http://www8.cao.go.jp/jisatsutaisaku/link/soudan.html</ref>」と呼びかけている。日本では景気の回復に伴い、1978年から統計が始まった10万人あたりの自殺率が過去最低を下回った<ref>[https://www.jiji.com/jc/graphics?p=ve_soc_tyosa-jikenjisatsu]【図解・社会】自殺者数の推移:時事ドットコム</ref>。
+
みずからの意思でみずからの生命を絶つ行為。その概念,法律上の扱われ方は時代,地域 () ,宗教,生活慣習などにより異なる。原因は多種多様であるが,É.デュルケムは『自殺論』で社会学的に解明した。彼は社会学的には自殺の個人的動機そのものよりも,主として自殺に追込む諸要因を解明することによって自殺への傾向や社会構造的特徴を明らかにしようとした。自殺の手段も多様で服毒 (催眠薬など) ,ガス,縊首 (いしゅ) などがある。自殺者の増減には,社会情勢が大きく影響することも見逃せない。日本ではかつては青年層の自殺が多かったが,その後 65歳以上の老人の自殺率が非常に目立つようになってきており,動機としては病苦が圧倒的に高い比率を占めている。
 
 
{{世界の疾病負荷}}
 
 
 
== 概要 ==
 
[[画像:A_Rixens_Goupil_Death_of_Cleopatra.jpg|thumb|280px|[[クレオパトラ]]の死を描いた絵画]]
 
[[画像:Death_Dido_Cayot_Louvre MR1780.jpg|thumb|200px|『[[ディードー]]の死』<br />(1711年作品)]]
 
自殺をどのような概念としてとらえるか、またその法律上の扱われ方は、時代・地域・[[宗教]]・生活習慣などによって異なっている<ref name="britanica">ブリタニカ百科事典「自殺」</ref>。欧米など[[キリスト教]]圏では伝統的に自殺は罪と見なされ、忌避されてきた。→[[#宗教と自殺]]<ref group="注">文化的に推奨される場合には、社会的圧力によって自殺が強要される場合もある。[[チェコ]]の[[ヤン・パラフ]]や、[[フランス]]における[[イラン]]人焼身自殺などである。また「抗議の意思を伝える政治的主張のため」とする自殺が行われる場合がある。これは後述の「焼身自殺」の項でも述べる。</ref>。
 
 
 
自殺が、家族とその他自殺者に以前かかわったことのある人々や、偶然もしくは業務上自殺後の対応にかかわった人、さらに社会に対して及ぼす心理的影響・社会的影響は計り知れないものがある{{Sfn|世界保健機関|高橋祥友|2002}}。自殺が1件生じると、少なくとも平均6人の人が深刻な影響を受ける{{Sfn|世界保健機関|高橋祥友|2002}}。学校や職場で自殺が起きる場合は少なくとも数百人の人々に影響を及ぼす{{Sfn|世界保健機関|高橋祥友|2002}}。
 
 
 
たとえば、高橋祥友によれば「うつ病、不安障害、PTSD([[心的外傷後ストレス障害]])などの深刻な危険を生じかねない」「さまざまな深刻な心理的苦痛に圧倒される」「遺された人自身が自殺の危険を伴う事態に追い込まれることすらある」としている<ref>高橋祥友 2014 『自殺の危険(第三版)臨床的評価と危機介入』 231ページ 金剛出版</ref>。また、河西千秋(2009)によれば、「自殺の事実を知った人の多くは、まず衝撃で頭の中が真っ白になり、すべての感覚がマヒ状態に陥ってしまう」「多大な罪責感にさいなまれ、抑鬱状態になる」「長期にわたり影響が残り続け、心的外傷後ストレス障害などの精神障害を発症する」としている。<ref>河西千秋 2009 『自殺予防学』 新潮選書</ref>
 
 
 
== 語義 ==
 
;英語
 
自殺を意味する英語でのスーサイド(suicide)という言葉自体の歴史は比較的浅く、『[[オックスフォード英語辞典]]』によると[[1651年]]、ウォーター・チャールトンの「自殺によって逃れることのできない災難から自己を救うことは[[罪]]ではない」という文が初出とされる。この用語の語源は現代(近代)[[ラテン語]]の「suicida」であり、「sui(自分自身を)」+、「caedere(殺す)」という表現である<ref>Oxford Dictionaries 【suicide】</ref>。
 
他にも[[1662年]]、[[1635年]]という説もあり、いずれにしても[[17世紀]]からの使用が[[定説]]とされる。それ以前には自己を殺す、死を手にする、自分自身を自由にする、などの表現があったが、一言でまとまってはいない。米国自殺学会のエドウィン・S・シュナイドマン([[:en:Edwin Shneidman]])は「[[魂]]と[[来世]]という思想を捨て去ることができたとき、その時初めて、人間にとって"自殺"が可能になった」と述べて、観念の変化が反映していると指摘した<ref>E・S・シュナイドマン『自殺とは何か』白井徳満・白井幸子訳、誠信書房、1993年、12-23頁</ref>。来世や魂の[[不死]]といったことを信じたとき、死は単なる終わりではなく別の形で「生き続ける」という存在の形態を移したものに過ぎなくなるからである。この概念の登場したのには[[死生観]]の変化がある。<!--「{{要出典範囲|科学技術の発展により宗教的思考が説得力を持たなくなったことが背景にある。|date=2014年4月}}」{{誰|date=2014年4月}}-->
 
 
 
このように自殺の問題は「'''死'''」をどう捉えるかということと不可分の関係にあり、文化や時代によってさまざまな様相を呈する。
 
 
 
;仏教での「自殺」
 
[[日本]]の[[仏教]]では自殺を「じせつ」と読む。死は永遠ではなく[[輪廻]]・[[転生]]により[[生]]とは隔てがたいと、死生観を説いた。[[殺生]]は[[十悪]]の一つに数え、[[波羅夷罪]](はらいざい)を犯すものであるとして、[[五戒]]の1つであるため、自殺もそれに抵触するとして禁じられているが、[[真言宗豊山派]]の[[寺院]][[石手寺]]は「自殺者が[[成仏]]しないという考えは仏教にはない」という見解を示している<ref>[http://nehan.net/jisi.htm 石手寺公式ホームページ 自死(自殺)者供養の案内]2013年7月4日閲覧。</ref>。病気などで死期が近い人が、病に苦しみ、自らの存在が僧団の他の[[比丘]]([[僧侶]])に大きな迷惑をかけると自覚して、その結果、自発的に[[断食]]などにより死へ向う行為は自殺ではないとされる<ref>『善見律』11</ref>。また[[仏]]や[[菩薩]]などが他者のために自らの身体を捨てる行為は[[捨身]](しゃしん)といい、これは最高の[[布施]]であった。また、[[焼身往生]]や[[補陀落渡海]]、[[密教]]系仏教の[[入定]]([[即身仏]])や[[行人塚]]のように人々の幸福のために自ら命を絶った例があった。
 
 
 
現代の日本では、仏教僧が「自死・自殺に向き合う僧侶の会」を組織して遺族や自殺を考える人の話を聞いたり<ref>[http://www.chion-in.or.jp/05_otetsugi/kacho/tokushu/2014-05.html 「仏教、自死に向き合う」][[知恩院]](2014年5月)2018年6月20日閲覧</ref>、宗派を問わない追悼法要を[[増上寺]]で毎年行ったりしている<ref>[https://www.sankei.com/life/news/180608/lif1806080017-n1.html 「故人思い重荷を下ろす時間を」10日、増上寺で「自死者追悼法要」]『産経新聞』朝刊2018年6月8日(東京面)2018年6月20日閲覧</ref>。
 
 
 
== 類型 ==
 
[[画像:Goethe_(Stieler 1828).jpg|thumb|『若きウェルテルの悩み』の著者ゲーテ<br />(神聖ローマ帝国)]]
 
<!--
 
独自の研究の臭いが強い。百科事典の最初ではこういう書き方をしていない。
 
「手段」の節があるから十分だろうと思われる。
 
 
 
;{{要出典範囲|一般的な自殺|date=2014年4月}}
 
「{{命を絶った方法で呼び分けることもあり、[[縊死|首吊り]]自殺、[[飛び降り]]自殺、飛び込み自殺、[[焼身自殺]]、服毒自殺、[[入水]]自殺、割腹、身投げ、[[切腹]]、自刃などと類型がある。また、恋人・配偶者・[[子ども]]などを道連れにすることを[[心中]]という。」
 
-->
 
;群発自殺、集団自殺、連鎖自殺
 
その他、複数人の自殺が、近接した時間・場所において実行される[[群発自殺]]があり、これはメディア報道がきっかけとなって起こることが多い。群発自殺には、複数の自殺志願者が、お互いに合意の上で同時に自殺する[[集団自殺]]がある。インターネット上の[[自殺サイト]]を媒介として実行されたことがあった。戦争での[[集団自決]]とは異なる。
 
 
 
有名人の自殺の後追い自殺などを連鎖自殺、模倣自殺ともいい、その他一般人の凄惨な自殺を報じるニュースが、模倣者を発生させる現象のことも含めて'''[[ウェルテル効果]]'''ともいう。[[オーストリア]]などでは報道の仕方を変えることで群発自殺を減らせることが実証されている。疾病や人間関係など解決困難な問題から逃れるために自殺したい状態を'''自殺願望'''、具体的な理由はないが死にたいと思う状態を'''自殺念慮'''と使い分けることがある<ref>{{cite journal|last1=Gliatto|first1=MF|last2=Rai|first2=AK|title=Evaluation and treatment of patients with suicidal ideation.|journal=American family physician|date=15 March 1999|volume=59|issue=6|pages=1500-6|pmid=10193592}}</ref>。
 
 
 
その他の類型として、利他的あるいは偽利他的な動機から相手の同意なく他人を自殺行為に巻き込む[[拡大自殺]](Extended Suicide)、自身で直接自殺するのではなく、犯罪を犯して[[死刑]]になることで司法の手を借りて自殺しようとする[[間接自殺]]などがある。警官を挑発して事件現場で殺害されようと企てる(俗にいう"suicide by cop")場合もある。
 
 
 
; 宗教的な自殺
 
自殺は社会的な制度として行われることもある。宗教的な理由から[[生け贄]]として自害するなどである。また一部のカルト宗教において、ある種の死によって魂が救われる、と教祖的立場の人間が説く場合に発生することがある([[カルトの集団自殺]])。[[自爆テロ]]などの事例があり、こうした死が[[殉教]]と見なされる場合もある<ref>{{cite web
 
|url = http://www.yomiuri.co.jp/feature/fe4500/news/20060429id22.htm
 
|title = ザワヒリ容疑者「殉教作戦800件」ビデオ声明で成果 - YOMIURI ONLINE
 
|accessdate = 14 March 2009
 
}}</ref>。
 
 
 
;他の行為との類似と区別
 
自殺に関連、また類似したものとして以下のものがある。
 
;安楽死・尊厳死
 
{{main|1=安楽死|2=尊厳死}}
 
 
 
末期の[[悪性腫瘍|がん]]や病気などで多大な苦痛を伴い死が目前と差し迫っている患者は、[[アメリカ合衆国]]、[[オランダ]]、[[スイス]]などの国々では薬物投与などにより苦痛を伴わずに死を選択することができる[[安楽死]]が法律で認められている。
 
 
 
[[尊厳死]]は無用な延命治療を拒み、患者の尊厳が損なわれるのを避けるという理念であり、[[1994年]]に[[日本学術会議]]は、[[尊厳死]]容認のために、
 
# 医学的にみて、患者が回復不能の状態に陥っていること。
 
# 意思能力のある状態で、患者が尊厳死の希望を明らかにしているか、患者の意思を確認できない場合、近親者など信頼しうる人の証言に基づくこと。
 
# 延命医療中止は、担当医が行うこと。
 
以上の3つを条件として挙げている。
 
 
 
なお、米国では病院内での重大な[[医療事故]]の最多のものは自殺であるという<ref>独立系・非営利組織の医療施設評価認証機構である「ジョイント・コミッション」の医療事故報告</ref>。日本での[[日本医療機能評価機構]]による調査では、調査の3年間に29%の一般病院(精神科病床なし)で自殺が起こっている。その自殺者の入院理由となる疾患は、35%が[[悪性腫瘍]](ガン)である。
 
 
 
;自傷行為
 
自傷段階の場合、現世への希望をまだ諦めきっていないため、なんらか事態の改善につながる助けを求めている傾向があるとされるが、自殺ではコミュニケーションを求める行為はほとんどみられず、またそのような心の余裕もないことが多い<ref>E・S・シュナイドマン『自殺とは何か』誠信書房、1993年</ref>。
 
 
 
以下、Walsh(2005)による自傷行為と自殺未遂の判定表を挙げる。ただし、双方は死への意図のあるなしではなく強弱の同一線上にある例も多いため、一種の指標として柔軟に用いるのが望ましい。
 
 
 
{| class="wikitable" style="font-size:90%; margin-right:0px; margin-left:1em"
 
|+'''自傷行為と自殺企図との区別の例'''
 
|-
 
! style="white-space:nowrap;" | 番号 !! 項目 !! 自傷行為 !! 自殺企図
 
|-
 
| style="text-align:center;" | 1 || 行為そのもので期待されるもの
 
| どうにもならない感情の救済(緊張、怒り、空虚感、生気のなさ)。
 
| 痛みから逃れること。意識を永久に終わらせること。
 
|-
 
| style="text-align:center;" | 2 || 身体的ダメージレベル、および潜在的に行為が死に至る確率
 
| 身体的にはあまり強くないことが多い。致死率はあまり高くない方法を好む。
 
| 深刻な身体ダメージを及ぼすことが多い。致死率が非常に高い方法を好む。
 
|-
 
| style="text-align:center;" | 3 || 慢性的、反復的であるかどうか
 
| 非常に反復的である。
 
| 反復的なことは少ない。
 
|-
 
| style="text-align:center;" | 4 || 今までにどの程度の種類の行為を行ってきたか
 
| 2つ以上の種類の方法を繰り返し行う。
 
| 主に1つの方法を選ぶことが多い。
 
|-
 
| style="text-align:center;" | 5 || 心理的な痛みの種類
 
| 不快感、居心地の悪さが間欠的に襲ってくる。
 
| 耐えられない感情が永続的に続く。
 
|-
 
| style="text-align:center;" | 6 || 決意の強さ
 
| もともと自殺するつもりは強くないのでそれほど強くはない。他の選択肢を考えることもできる。一時的な解決を図ろうとして行ってしまうことが多い。
 
| 決意が並外れて強い。自殺することが唯一の救いとしか思えない。視野が狭い。
 
|-
 
| style="text-align:center;" | 7 || 絶望、無力な感じがどの程度あるか
 
| 前向きに考えられる瞬間と、自分をコントロールする感覚を少しは保っている。
 
| 絶望、無力感が中心で、一瞬であってもその感情を外すことができない。
 
|-
 
| style="text-align:center;" | 8 || 実行することで不快な感情は減少したか
 
| 短期的には回復する。間違った考え方も感情も行為そのものによっておさまる。「意識の変化」を起こす。
 
| まったく回復しない。むしろ自殺がうまくいかなかったことによってさらに救いがもてなくなる。即時の治療介入が必要。
 
|-
 
| style="text-align:center;" | 9 || 中心となる問題は何であるか
 
| 疎外感。特に社会の中での自らのボディ・イメージ(アイデンティティにもつながる)が築けていないこと。
 
| うつ。逃れられない、耐えられない痛みに対する激しい怒り。
 
|}
 
いずれの場合でも状況を一見しただけで安易に自殺であると断定するのは拙速であることがあり、特に有名人の自殺に関しては多くこの問題が取り上げられる。
 
 
 
;事故・他殺と自殺
 
警察の捜査で自殺と断定された事件が[[事故]]または[[殺人事件]]ではないかと疑われる例は以前から存在している。反対に、自殺であるにもかかわらず、遺族が故人の自殺を恥じるなどの理由によって事故とされている場合も存在するのではないか、ともいわれている。
 
 
 
日本では、[[徳島自衛官変死事件]]のように遺族とのトラブルや訴訟となった例もある。また、日本で起きた[[生坂ダム殺人事件]]は、警察により自殺として処理されたが、発生から20年後に犯人が名乗り出たため、殺人事件であることが判明している。
 
 
 
なお、[[警察庁]][[統計]]では、解剖による鑑定において自殺と断定された案件においても[[遺書]]が残されている件は半数以下である。また、遺書の真贋を本人に質問できないので偽造や執筆強要だとしても認定が難しい<ref>[[警察庁]][[統計]]「自殺の概要」。「遺書らしきモノが自筆」と認定されたとしても筆跡が不自然に乱れているモノなどは脅されて書かされた場合も有り得る。</ref>。
 
 
 
;未遂
 
死亡しなかった場合は「自殺未遂」(じさつみすい)という。
 
 
 
== 統計 ==
 
{| class="wikitable floatright" style="font-size:85%; margin-left:1em; text-align:right"
 
|+世界における自殺率(WHO,2014年 {{Sfn|世界保健機関|2014|loc=Table.1}})
 
! rowspan=2| 世界銀行による<br>地域区分
 
! rowspan=2| 世界<br>人口比
 
! rowspan=2| 自殺者数<br>(2012年)
 
! rowspan=2| 全世界自殺者<br>に占める比率
 
! colspan=3| 人口10万あたり自殺率<br>(年齢標準化,2012年)
 
! rowspan=2| 自殺者の<br>年齢標準化男女比<br>(2012年)
 
|-
 
! 男女 !! 男 !! 女
 
|-
 
|{{rh}}| 全世界 || 100.0% || 804 千人|| 100.0% || 11.4 || 8 || 15 || 1.9
 
|-
 
|{{rh}}| 高所得国 || 18.3% || 197千人 || 24.5% || 12.7 || 5.7 || 19.9 || 3.5
 
|-
 
|{{rh}}| 上位中所得国 || 34.3% || 192千人 || 23.8% || 7.5 || 6.5 || 8.7 || 1.3
 
|-
 
|{{rh}}| 下位中所得国 || 35.4% || 333千人 || 41.4% || 14.1 || 10.4 || 18 || 1.7
 
|-
 
|{{rh}}| 低所得国 || 12.0% || 82千人 || 10.2% || 13.4 || 10 || 17 || 1.7
 
|}
 
 
 
{{main|国の自殺率順リスト}}
 
{{Main2|日本における統計|日本の自殺#統計}}
 
[[世界保健機関]](WHO)によると、世界では40秒に1回程度の自殺が起こっており、世界の死因の1.4%を占め第15位である(2012年){{Sfn|世界保健機関|2014}}。これは高所得国では1.7%、低中所得国では1.4%となる{{Sfn|世界保健機関|2014}}。
 
 
 
自殺の統計は、[[疾病及び関連保健問題の国際統計分類]]<ref group="注">{{Harv|厚生労働省大臣官房統計情報部|2007}}. 「ICDとは、我が国が加盟する WHO において定められた分類であり、正式には「疾病及び関連保健問題の国際統計分類:International Statistical Classification of  Diseases and  Related  Health  Problems」といい、異なる国や地域から、異なる時点で集計された死亡や疾病のデータの記録、分析、比較を行うために国際的に統一した基準で設けられた分類です。データを集める上で重要なことは、一定のルールと基準が示されていることです。実際に、ICD は多くの原則とルールが定められ、時系列の比較や国際比較が可能となり、一般疫学全般や健康管理のための標準的な国際分類となっています。」</ref>に基づいているので国際比較が可能である。[[疾病及び関連保健問題の国際統計分類]]における自殺のコードはX60-X84<ref>{{Harv|世界保健機関|2011-10-30}}."Intentional self-harm (X60-X84)"</ref><ref>{{Harv|厚生労働省|2011-10-30}}.分類番号20200、分類名「自殺」、基本分類コードX60-X84</ref>である。また、[[アフリカ]]や[[東南アジア]]は、多くの国で統計が入手できていない<ref>{{cite news |title=年間自殺者100万人、世界自殺予防デーを前にWHOが報告書 |newspaper=[[フランス通信社|AFPBB News]] |date=2012-9-10|url=http://www.afpbb.com/articles/-/2899953|accessdate=2013-12-30}}</ref>。
 
 
 
WHOの『暴力と健康に関する世界報告』では、2000年における世界全体の暴力死が、自殺が815,000、他殺が520,000、[[戦争]]関連死が310,000と見積もられ<ref>{{Harv|Krug|2002}}. p.10.  "TABLE 1.2 Estimated global violence-related deaths, 2000"</ref>、「これら160万の暴力関連死の1/2近くが自殺、ほぼ1/3が他殺で約1/5が戦争関連である」と述べられている<ref group="注"> {{Harv|Krug|2002}}. p.10. "Nearly half of these 1.6 million violence-related deaths were suicides, almost one-third were homicides and about one-fifth were war-related."</ref><ref>{{Harv|共同通信|2002}}「【ジュネーブ3日共同】世界保健機関(WHO)は3日、内戦や紛争、殺人、自殺により世界で毎年約165万人が死亡していると警告した「暴力と健康に関する世界報告」を発表した。疾病対策が主体のWHOとしては今回の報告は初の試み。今後はこうした「暴力による死傷者」も公衆衛生問題として対策に取り組む。報告によると、自殺による死者は年間約82万人で、殺人は52万人、内戦など紛争関連の死者は31万人に達した。」</ref>。この結果を、世界全体の暴力死では戦争によるものよりも自殺によるものが多い、と述べた資料もある<ref group="注">{{Harv|Eberwine|2003}}. "The panorama of global violence presented in the report is at odds with some commonly held assumptions. Of all violent deaths in 2000, nearly half were suicides, just under a third were homicides and only a fifth were directly related to war. 'This is quite different from the picture we get from the media, where the focus is on organized forms of violence,' says Krug. 'Suicides and homicides represent a much bigger proportion of fatal violence around the world.'"</ref>。
 
 
 
ただし、[[アフリカ]]や[[東南アジア]]については、多くの国で自殺についてまとめた統計が存在しない。このため、自殺に関する国際的なデータでは、[[アフリカ]]や[[東南アジア]]の国々については省かれていることが多い<ref>{{cite news |title=年間自殺者100万人、世界自殺予防デーを前にWHOが報告書 |newspaper=[[フランス通信社|AFPBB News]] |date=2012-9-10|url=http://www.afpbb.com/articles/-/2899953|accessdate=2015-9-22}}</ref>。
 
 
 
=== 年齢差 ===
 
WHOによると、世界の15-29歳成人の死因において、自殺は8.5%を占め第2位である(1位は交通事故){{Sfn|世界保健機関|2014}}。30-49歳成人では4.1%であり第5位であった{{Sfn|世界保健機関|2014}}。とりわけ低中所得国と[[東南アジア]]においては、自殺は15-19歳成人の死因の16.6〜17.6%と高く、男女ともに第1位であった{{Sfn|世界保健機関|2014}}。
 
 
 
=== 性差 ===
 
{{Double image aside|right|Suicide world map - 2009 Male.svg|260|Suicide world map - 2009 Female,2.svg|260|100,000人あたりの自殺者数。男性(左)、女性(右)  (1978–2008年のデータ).
 
{{Multicol}}
 
{{legend|#b3b3b3|no data}}
 
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{{legend|#ff2c00|33–36.5}}
 
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{{legend|#cb0000|>36.5}}
 
{{Multicol-end}}
 
||}}
 
世界的には、男性の自殺は女性の3倍に上るとWHOは報告している{{Sfn|世界保健機関|2014|p=29}}。日本でも自殺者の70%以上が男性であり、人口10万あたりの年齢調整自殺率は男性26.9、女性10.1、男女では18.5となり(2012年) {{Sfn|世界保健機関|2014|loc=Annex.1}}、日本における自殺の男女比は平均的なものである{{Sfn|世界保健機関|2014}}。
 
 
 
カトリーヌ・ヴィダルらは、失業時や離婚時に男性の方に負荷が集中しやすいことを指摘、失業や離婚をした場合、女性であれば家族や社会の状況に組み込まれて保護されるのに対し、男性は社会的に孤立を余儀なくされることを挙げている<ref>{{Cite book|和書 |author = カトリーヌ・ヴィダル |translator = 金子ゆき子 |others = ドロテ・ブノワ=ブロウエズ |title = 脳と性と能力 |origdate = 2005-02-03 |url = http://shinsho.shueisha.co.jp/kikan/0396-g/index.html |date = 2007-06-15 |publisher = [[集英社]] |series = [[集英社新書]]|language = [[日本語]] |isbn = 978-4-08-720396-7|}}</ref>。
 
 
 
== リスクファクター ==
 
{{Main2|日本における統計|日本の自殺#自殺の原因}}
 
 
 
=== 過去の自殺試行・自傷行為 ===
 
過去の自殺試行は最大のリスクファクターである{{Sfn|世界保健機関|2014|loc=Individual risk factors}}。また[[自傷行為]]は自殺リスクと関連性があり、自傷行為を行う人は12か月後の自殺死亡リスクが50-100倍であると[[英国国立医療技術評価機構]](NICE)は報告している<ref>{{Cite report|publisher=英国国立医療技術評価機構 |title=CG133:Self-harm: longer-term management |url=http://www.nice.org.uk/guidance/CG133 |date=2011-11 |at=Introduction}}</ref>。
 
 
 
=== メンタルヘルス問題 ===
 
{| class="wikitable floatright" style="margin-left:1em; font-size:80%; text-align:right"
 
|+ 一般市民の自殺既遂者の診断<ref name="pmid16946849" />
 
| [[気分障害]] || 35.8%
 
|-
 
| [[薬物乱用]] || 22.4%
 
|-
 
| [[統合失調症]] || 10.6%
 
|-
 
| [[パーソナリティ障害]] || 11.6%
 
|-
 
| [[器質性精神障害]] || 1.0%
 
|-
 
| [[その他の精神疾患]] || 0.3%
 
|-
 
| [[不安障害]] || 6.1%
 
|-
 
| [[適応障害]] || 3.6%
 
|-
 
| その他のDSM分類Iの疾患 || 5.1%
 
|-
 
| 診断なし || 3.2%
 
|}
 
{{See also|メンタルヘルス}}
 
WHOの自殺予防マニュアルによれば、自殺既遂者の90%が精神疾患を持ち、また60%がその際に[[抑うつ]]状態であったと推定している<ref name="naid130001751821" />{{Refnest|group="注"|"It is estimated that as many as 90% of indivisuals who have ended their lives by commiting suecide had a mental disorder, 60% of which were depressed at the time" {{Harv|WHO|2006|p=10}}。<br>本図は、世界保健機関(WHO)が精神科入院歴の無い自殺既遂者 8,205例について調査したもので、複数診断の総数(12,292)に対する割合を示している<ref name="pmid16946849">{{cite journal |author=Bertolote JM, Fleischmann A |title=Suicide and psychiatric diagnosis: a worldwide perspective |journal=World Psychiatry |volume=1 |issue=3 |pages=181–5 |date=2002-10 |pmid=16946849 |pmc=1489848 |doi= |url=}}</ref>。}}。該当しなかったのは、診断なし2.0%と適応障害2.3%に過ぎないとしている。物質関連障害(アルコール依存症や麻薬)の比率については日本の状況と大きくことなるものの<ref group="注">日本では薬物乱用、依存が少ないが、欧米ではこれが高く、特にアメリカ、オーストラリアでは日本の数十倍の有症率を示している{{Harv|国立精神・神経医療研究センター|2005}}。</ref>。
 
 
 
WHOの2008年の発表では、毎年100万人近くの自殺者のうち、うつ病患者が半数を占めると推定している<ref>{{Cite news|newspaper=共同 |title=うつ病患者3億5千万人と推定 WHO、自殺者の過半数 |date=2012-10-09 |url=http://www.47news.jp/CN/201210/CN2012100901002320.html }}</ref>。WHO は自殺と密接に関連しているうつ病など、3種の精神障害を早期に治療に結びつけることによって、自殺予防の余地は十分に残されていると強調している。
 
 
 
=== 物質乱用 ===
 
[[File:The Drunkard's Progress 1846.jpg|thumb|upright=1.35|「飲酒者の辿る過程」(1846年)。アルコール依存は貧困、犯罪、自殺を導くことを描いた]]
 
{{Main|薬物乱用}}
 
[[物質乱用]]は、[[大うつ病]]や[[双極性障害]]に起因する自殺で、2番目に一般的なリスクファクターである<ref>{{cite book|last=Perrotto|first=Jerome D. Levin, Joseph Culkin, Richard S.|title=Introduction to chemical dependency counseling|year=2001|publisher=Jason Aronson|location=Northvale, N.J.|isbn=978-0-7657-0289-0|pages=150–152|url=https://books.google.com/?id=felzn3Ntd-cC&pg=RA1-PA151}}</ref>。慢性的な物質乱用は、[[薬物中毒]]と同程度の関連性が認められている<ref name=Drug2011>{{cite journal|last=Vijayakumar|first=L|author2=Kumar, MS |author3=Vijayakumar, V |title=Substance use and suicide|journal=Current opinion in psychiatry|date=May 2011|volume=24|issue=3|pages=197–202|pmid=21430536|doi=10.1097/YCO.0b013e3283459242}}</ref><ref name=Fadem2004/>。個人的な悲しみ<ref name=Fadem2004>{{cite book|last=Fadem|first=Barbara|title=Behavioral science in medicine|year=2004|publisher=Lippincott Williams & Wilkins|location=Philadelphia|isbn=978-0-7817-3669-5|page=217}}</ref>、メンタルヘルス問題<ref name=Drug2011/>は物質乱用リスクを増加させる。
 
 
 
<!--Sedatives (EtOH, benzodiazepines, opioids -->
 
自殺を試みる多くの人々は、催眠鎮静剤([[アルコール]]や[[ベンゾジアゼピン]]など)の影響を受けており、<ref name=Youssef2008>{{cite journal |author=Youssef NA, Rich CL |title=Does acute treatment with sedatives/hypnotics for anxiety in depressed patients affect suicide risk? A literature review |journal=Ann Clin Psychiatry |volume=20 |issue=3|pages=157–69 |year=2008 |pmid=18633742 |doi=10.1080/10401230802177698 |url=}}</ref>、[[アルコール依存症]]は15-61%のケースで確認されている<ref name=Drug2011/>。アルコール消費量やバーの分布が高い国々では、自殺率も高い<ref name=ETOH2006/>。アルコール依存治療を受けた人々は、その2.2〜3.4%が自殺で人生を終える<ref name=ETOH2006>{{cite journal|last=Sher|first=L|title=Alcohol consumption and suicide|journal=QJM : monthly journal of the Association of Physicians|date=January 2006|volume=99|issue=1|pages=57–61|pmid=16287907|doi=10.1093/qjmed/hci146}}</ref>。アルコール依存症による自殺は、男性、老人、過去に自殺を試行した人々らで一般的である<ref name=Drug2011/>。[[ヘロイン]]利用者の3-35%は自殺し、これはそうでない人の14倍高い<ref>{{cite journal |author=Darke S, Ross J |title=Suicide among heroin users: rates, risk factors and methods|journal=Addiction |volume=97 |issue=11 |pages=1383–94 |date=November 2002 |pmid=12410779 |doi= 10.1046/j.1360-0443.2002.00214.x|url=http://onlinelibrary.wiley.com/resolve/openurl?genre=article&sid=nlm:pubmed&issn=0965-2140&date=2002&volume=97&issue=11&spage=1383}}</ref>。青年期のアルコール乱用、神経精神的不全は自殺リスクを増大させるといわれている<ref name="pmid17458319">{{cite journal |author=Sher L |title=Functional magnetic resonance imaging in studies of the neurobiology of suicidal behavior in adolescents with alcohol use disorders |journal=Int J Adolesc Med Health |volume=19 |issue=1 |pages=11–8 |year=2007 |pmid=17458319 |doi= 10.1515/ijamh.2007.19.1.11|url=}}</ref>。
 
 
 
<!--Stimulants -->
 
[[コカイン]]や[[メタンフェタミン]]乱用は、自殺と高い関連性がある<ref name=Drug2011/><ref>{{cite journal|last=Darke|first=S|author2=Kaye, S |author3=McKetin, R |author4= Duflou, J |title=Major physical and psychological harms of methamphetamine use|journal=Drug and alcohol review|date=May 2008|volume=27|issue=3|pages=253–62|pmid=18368606|doi=10.1080/09595230801923702}}</ref>。コカイン利用者は、その離脱時が自殺リスクが最大となる<ref>{{cite book|last=Jr|first=Frank J. Ayd,|title=Lexicon of psychiatry, neurology, and the neurosciences|year=2000|publisher=Lippincott Williams & Wilkins |location=Philadelphia [u.a.]|isbn=978-0-7817-2468-5|page=256 |url=https://books.google.com/books?id=ea_QVG2BFy8C&q=256|edition=2nd }}</ref>。習慣的乱用者は、そのおよそ20%がいつかは自殺を試行し、65%は以上は自殺を考えている<ref name=Drug2011/>。[[喫煙]]は自殺リスクと関連性があり<ref name=Hughes2008>{{cite journal|last=Hughes|first=JR|title=Smoking and suicide: a brief overview|journal=Drug and alcohol dependence|date=Dec 1, 2008|volume=98|issue=3|pages=169–78|pmid=18676099 |doi=10.1016/j.drugalcdep.2008.06.003|pmc=2585177 }}</ref>、エビデンスは小さいが関連性が指摘されている<ref name=Hughes2008/>。[[大麻]]はリスクを増加させるとは確認されていない<ref name=Drug2011/>。
 
 
 
=== ギャンブル問題 ===
 
[[ギャンブル依存症]]は、一般人口と比較して自殺念慮と実行リスクを増加させるとされている<ref>{{cite  |first1=Stefano |last1=Pallanti |first2=Nicolò Baldini |last2=Rossi |first3=Eric |last3=Hollander |chapter=11. Pathological Gambling |editor1-first=Eric |editor1-last=Hollander |editor2-first=Dan J. | editor2-last=Stein |title=Clinical manual of impulse-control disorders |url=https://books.google.com/books?id=u2wVP8KJJtcC&pg=PA253 |year=2006 |publisher=American Psychiatric Pub |isbn=978-1-58562-136-1 |page=253}}</ref>。病的ギャンブラーの12-24%が自殺を試みており<ref name=Oliv2008/>、その配偶者では自殺率が一般人口の3倍となっている<ref name=Oliv2008>{{cite journal|last=Oliveira|first=MP|author2=Silveira, DX |author3=Silva, MT |title=Pathological gambling and its consequences for public health|journal=Revista de saude publica|date=June 2008|volume=42|issue=3|pages=542–9|pmid=18461253|doi=10.1590/S0034-89102008005000026}}</ref>。また病的ギャンブラーは、精神疾患、アルコール乱用、薬物乱用リスクも増加する<ref>{{cite journal|last=Hansen|first=M|author2=Rossow, I |title=Gambling and suicidal behaviour|journal=Tidsskrift for den Norske laegeforening : tidsskrift for praktisk medicin, ny raekke|date=Jan 17, 2008|volume=128|issue=2|pages=174–6|pmid=18202728}}</ref>。
 
 
 
=== 心理社会的要因 ===
 
日本の自殺者305名の遺族を対象にした調査を元にした危険複合度の分析によれば、主な根本要因として「'''事業不振'''」、「'''職場環境の変化'''」、「'''[[過労]]'''」があり、それが「[[病気|身体疾患]]」、「職場の[[人間関係]]」、「失業」、「[[負債]]」といった問題を引き起こし、そこから「家族の不和」、「[[貧困|生活苦]]」、「[[うつ病]]」を引き起こして自殺に至る<ref name="whiteOne">{{PDFlink|[http://www.lifelink.or.jp/hp/Library/whitepaper2_1.pdf 自殺対策支援センター ライフリンク 「自殺実態白書2008」第一章]}}</ref>。つまり統計的に見ると、自殺の根本要因には社会的な要因があることが多い<ref group="注">このような精神的危機の背景には、激しい[[競争社会]]や、低い自己評価に起因するさまざまな否定的感情、家庭、職場での生活が困難など複数の要因がある。膨大な数の統計学的・疫学的研究は、文化(宗教・教育)と生活様式(都会暮らしか田舎暮らしか)と家族の状態(独身か既婚か)、社会的状況(失業者や囚人など)が自殺行為に重要な意味をもつことを明らかにしている(「脳と性と能力」カトリーヌ・ヴィダル、ドロテ・ブノワ=ブロウエズ(集英社新書){{要ページ番号|date=2014年4月}})。</ref>。しかし、失業率が高い国は世界には多くあるが、例えばスペインの失業率は20%を超えているが自殺が社会問題とはなっていない<ref>橘玲 『大震災の後で人生について語るということ』 講談社、2011年、32頁。</ref>。各国ごとの[[ジニ係数]]と自殺率には相関がみられず<ref name="naikaku16" />、これは所得格差が自殺率と相関が少ないことを意味する。ただし、ジニ係数は自殺未遂率とは有意な相関がある<ref name="naikaku16" />。
 
 
 
=== マスコミ報道と自殺 ===
 
{{quote box|
 
'''WHO[[自殺を予防する自殺事例報道のあり方|自殺報道ガイドライン]]'''{{Sfn|WHO|2008}}<br>
 
すべきではないこと
 
* 写真や遺書を公開しない
 
* 具体的で詳細な自殺手段を報告しない
 
* 単純化した理由付けをしない
 
* 自殺を美化したり、扇情的に扱わない
 
* 宗教的な固定観念や文化的固定観点を用いない
 
* 悪人探しをしない
 
}}
 
{{See also|ウェルテル効果}}
 
センセーショナルな自殺報道がなされた場合に、他者の自殺に影響されて複数の自殺を誘発すること(群発自殺(clustered suicide、[[:en:Copycat suicide|Copycat suicide]]))が統計的に知られており、この事実を実証した社会学者のDavid P. Phillips<ref>[http://sociology.ucsd.edu/faculty/bio/phillips.shtml David Phillips] Faculty Listing, Department of Sociology, UC SanDiego</ref>により[[ウェルテル効果]]と名づけられている{{Sfn|自殺予防総合対策センター|2004|loc=Chapt.2.8.2 マスメディアに望むこと}}。
 
 
 
* 日本では例えば、[[1986年]]([[昭和]]61年)[[4月8日]]に[[アイドル]]歌手の[[岡田有希子]]が18歳で自殺すると30余名の青少年が自殺し、「そのほとんどが、岡田と同様に高所から飛び降りて自殺した」{{Sfn|自殺予防総合対策センター|2004|loc=Chapt.2.8.2 マスメディアに望むこと}}。「この影響はほぼ1年続き、1986年はその前後の年に比べて、青少年の自殺が3割増加」{{Sfn|自殺予防総合対策センター|2004|loc=Chapt.2.8.2 マスメディアに望むこと}}した。
 
* また{{誰範囲2|[[X Japan]]の[[Hide]]が自殺した(後に事故死の説も浮上する)月はその周辺の月に比べ、2倍程度自殺率が高い<ref name="naikaku16">{{PDFlink|[http://www.esri.go.jp/jp/archive/hou/hou020/hou18a-1.pdf 内閣府経済社会総合研究所「自殺の経済社会的要因に関する調査研究報告書」報告書本文1]}}</ref>|date=2014年2月}}。(1998年は自殺者が急増した年であり、その大半が中高年、男性であった)
 
* 別個の問題として、2000年ごろの日本での練炭騒動や[[2007年]]前後の日本での[[硫化水素]]騒動のように、報道番組が新たな自殺方法をセンセーショナルに取り上げることで、その自殺方法が喧伝(けんでん)されてしまう場合もある。
 
 
 
自殺報道にはこうした負の影響があるため、世界保健機関は2000年「[[自殺を予防する自殺事例報道のあり方]]」において「写真や遺書を公表しないこと」「自殺の詳しい内容や方法を報道しないこと」「自殺に代わる手段(alternative)を強調すること」「ヘルプラインや各地域の支援機関を紹介すること」などを勧告した{{Sfn|WHO|2008}}。2011年、内閣府参与の[[清水康之]]は、日本における「[[自殺報道ガイドライン]]」の策定を提案した<ref>[http://www.lifelink.or.jp/hp/Library/110704_tf_shimizu.pdf 政府が取り組むべき自殺対策(PDF)] - ライフリンク</ref>。
 
 
 
報道方法を変えることにより、自殺数を減らすことに成功した例として、[[1984年]]から[[1987年]]にかけて[[オーストリア]]の[[ウィーン]]で[[ジャーナリスト]]が報道方法を変えたことで、地下鉄での自殺や類似の自殺が80%以上減少し、自殺率を減らす効果があったといわれる<ref>[http://www.afsp.org/index.cfm?fuseaction=home.viewPage&page_id=7852EBBC-9FB2-6691-54125A1AD4221E49 AFSP: For the Media: Recommendations] [[AFSP]](American Foundation for Suicide Prevention)</ref>{{Sfn|自殺予防総合対策センター|2004|loc=Chapt.2.8.2 マスメディアに望むこと}}。
 
 
 
[[フィンランド]]では、自殺の報道方法変更を含む諸対策により、自殺率の減少を達成している<ref>{{Cite journal|和書|journal=日経サイエンス |date=2003-05 |url= http://www.nikkei-science.com/page/magazine/0305/sp3.html |title=特集 自殺は防げる }}</ref><ref name="naid130001751821">{{Cite journal |和書|title=海外における自殺対策の取り組みとエビデンス (特集 わが国の自殺の現状と対策) |author=山田光彦 |journal=学術の動向 |volume=13 |issue=3 |pages=20-25 |date=2008 |publisher=財団法人日本学術協力財団 |naid=130001751821 |doi=10.5363/tits.13.3_20 }}</ref>。
 
 
 
== 予防 ==
 
世界保健機関(WHO)の自殺予防に関する特別専門家会議によると、自殺の原因は個人や社会に内在する多くの複雑な原因によって引き起こされるものの、自殺は予防できることを知ることが大切で、自殺手段の入手が自殺の最大の危険因子で自殺を決定づける、とした。毎年9月10日は「[[世界自殺予防デー]]」として、[[世界保健機関]]と[[国際自殺防止協会]]( IASP=The International Association for Suicide prevention)、その他の[[非政府組織]]によって、世界保健機関加盟各国で自殺防止への呼びかけやシンポジウムが行われている。日本でも16日までの1週間を[[自殺予防週間]]と定めており、地方自治体や関係機関が9月に各種啓蒙運動を行っている。
 
 
 
日本における自殺対策としては相談室の設置、カウンセラーの増強などの対策が取られている地域がある(各都道府県・都市の相談窓口一覧[http://ikiru.ncnp.go.jp/ikiru-hp/ikirusasaeru/index.html])。[[2006年]]10月28日には[[自殺対策基本法]]が施行され、毎年[http://www8.cao.go.jp/jisatsutaisaku/whitepaper/index-w.html 自殺対策白書]が発表されている。ほか、ボランティアらによって営まれている[[いのちの電話]]([[日本いのちの電話連盟]])が、相談のための電話を24時間受け付けている[http://www.find-j.jp/zenkoku.html] <ref>[http://www.find-j.jp/about.html 日本いのちの電話連盟「私たちについて」]</ref>。
 
 
 
新たに、治療抵抗性うつ病を6時間以内に緩和する[[ケタミン]]が、同時に自殺念慮を顕著な減少させる作用が注目されており、ケタミンを抗自殺薬と分類するには時期尚早であるが、重篤なうつ病患者の自殺の危険性を考慮すると有望であると、{{仮リンク|アメリカ国立精神衛生研究所|en|National Institute of Mental Health}}の所長は述べている<ref name="NIMHKetamine2014">{{cite web |author=Thomas Insel |authorlink=トーマス・インセル |title=Director’s Blog: Ketamine |url=http://www.nimh.nih.gov/about/director/2014/ketamine.shtml |date=October 1, 2014 |publisher=National Institute of Mental Health (NIMH) |accessdate=2015-11-01}}</ref>。
 
 
 
アメリカの成人の全国調査では、19万人から生涯における[[シロシビン]]と[[LSD (薬物)|LSD]]の使用が、心理的苦痛や自殺思考、また自殺計画や自殺企図の減少と関連していることがわかった<ref name="Psychedelicdruguse">{{cite news |title=Psychedelic drug use could reduce psychological distress, suicidal thinking, study suggests |url=http://www.sciencedaily.com/releases/2015/03/150309174507.htm |date=March 9, 2015 |newspaper=ScienceDaily |accessdate=2015-11-01}}</ref>。研究者は統計という研究性質から、幻覚剤がこうした効果を起こしたという結論はできないとしている<ref name="Psychedelicdruguse"/>。
 
 
 
NPO法人 自殺対策支援センター ライフリンクが運営する「生きる支援の総合検索サイト」である『いのちと暮らしの相談ナビ<ref>http://www.lifelink-db.org/</ref>』では、多様な悩みに応じた相談窓口を検索できる。また、『いきる・ささえる相談窓口(都道府県・政令指定都市別の相談窓口一覧)<ref>http://ikiru.ncnp.go.jp/ikirusasaeru/</ref>』でも、日本全国の各地域ごとのさまざまな相談窓口が紹介されており、「悩みを抱えて孤立した人が一人でも多く支援につながること、そのことが自殺を防ぐ<ref>http://ikiru.ncnp.go.jp/ikirusasaeru/</ref>」という理念から相談窓口への相談を訴えている。
 
 
 
== 各国の自殺 ==
 
[[File:Oecd-suicide.svg|thumb|460px|right|OECD各国の人口10万人あたり標準化自殺率。ピンクがOECD平均、オレンジが日本<ref name="OECD2013">{{Cite report|publisher=OECD |date=2013-11-21 |title=Health at a Glance 2013 |doi=10.1787/health_glance-2013-en |at=Chapt.1.6}}</ref>]]
 
 
 
=== アメリカ合衆国 ===
 
[[アメリカ疾病予防管理センター]](CDC)によれば、米国では自殺は2010年の死因トップ10に入り、年間38,364人、一日平均で105人が自殺しており、その医療・労働損失コストは346億米ドルになると推定されている<ref name="cdcglance">{{Cite report|publisher=アメリカ疾病予防対策センター |title=Suicide: At a Glance |date=2012 |url=http://www.cdc.gov/violenceprevention/pdf/suicide-datasheet-a.pdf }}</ref>。米国の18歳以上の成人について、2008-2009年の間、830万人(人口の3.7%)が自殺を考え、220万人(人口の1.0%)が自殺計画を立て、100万人(人口の0.5%)が自殺を試みている<ref name="cdcglance" />。自殺念慮者の25人のうち1人は自殺を完遂する<ref name="cdcglance" />。
 
 
 
全国暴力死亡報告システムによれば、2009年では33.3%のケースでアルコール、23%のケースで抗うつ薬、20.8%でオピオイドが検出されている<ref name="cdcglance" />。10代では、小火器([[拳銃]]など)による自殺が全体の49%を占めている<ref>[http://www.imic.or.jp/mmwr/backnum/5322.html 財団法人国際医学情報センター 10 - 19歳の人々における自殺の方法]</ref>。銃による自殺が多い理由にはその致死率の高さと手軽さが挙げられる。詳しくは[[#銃による自殺]]を参照。
 
 
 
アメリカでは一部の州で自殺幇助が合法化されている。このため、終末期ではない病人や、精神障害者が自殺を望む場合、医師は治療する方向ではなく致死薬を処方する場合があるとされる。[[抗がん剤]]治療の公的保険給付は認められないが、自殺幇助なら給付を認める事例もあるとされる<ref>{{cite news |title=安楽死や自殺幇助が合法化された国々で起こっていること |newspaper=シノドス |date=2012-10-1 |url=http://synodos.jp/society/1070|accessdate=2013-12-22|author= 児玉真美}}</ref>。
 
 
 
アメリカでは退役した軍人が毎日18人前後自殺している。男性の元兵士の自殺率はアメリカ成人男性の率の2倍、女性の場合は平均の3倍となっている。平均のアメリカには伝統的に軍での厳しい訓練が自殺を抑制するとの考えがある。しかし、[[アメリカ合衆国退役軍人省|退役軍人省]]の研究によれば「軍事訓練にはもはや十分な自殺防止効果がないのかもしれない。ただしそれを裏付けるデータはない」としている<ref>{{cite news |title=帰還後に自殺する若き米兵の叫び |newspaper=[[ニューズウィーク]] |date=2012-8-7|url=http://www.newsweekjapan.jp/stories/us/2012/08/post-2647_1.php|accessdate=2013-12-22|author=アンソニー・スウォフォード}}</ref>。[[アメリカ軍]]では、2005年以来、自殺率が増加している。戦闘経験や戦場への派兵が原因ともされているが、2001年から08年の間に自殺した83人の質問票データを分析した結果では、自殺リスクの増加と、戦闘経験や戦場への派兵回数・累積日数には関連性は無いとされる<ref>{{cite news |title=米軍内の自殺増加、戦闘経験とは関連なし |newspaper=[[フランス通信社|AFPBB News]] |date=2013-8-15|url=http://www.afpbb.com/articles/-/2960532|accessdate=2013-12-30}}</ref>。
 
 
 
アメリカ軍人の自殺にマラリア予防薬メフロキンの関与が示唆され、2008年以降に段階的な使用量の削減が図られ、2013年に禁止された。その後、自殺率は減少していない。
 
 
 
2016年4月22日に発表された[[アメリカ疾病予防管理センター|疾病予防管理センター]]の調査では、1999年から2014年まで、米国の自殺率が24%増加している。このうち、特に10〜14歳の少女について上昇が顕著で、3倍に増えている。[[児童精神医学]]の専門家は、[[ネットいじめ]]の影響の可能性を指摘している<ref>{{cite news |title=米国の自殺率、1999年以降で24%増 政府統計 |newspaper=[[フランス通信社|AFPBB News]] |date=2016-4-22 |url=http://www.afpbb.com/articles/-/3084983 |accessdate=2016-4-23}}</ref>。
 
 
 
以後もアメリカの自殺率は増加傾向にあり、[[アメリカ疾病予防管理センター]]が1999年から2016年にかけての10歳以上の自殺率について分析したところ、アメリカ全体では自殺率は25%増加しているという<ref name="cnn35120779">{{cite news |title=米国の自殺率、過去約20年で25%増加 CDC調査 |newspaper=[[CNN]] |date=2018-6-14|url=https://www.cnn.co.jp/usa/35120779.html|accessdate=2018-7-21}}</ref>。州によって増加幅には開きがあり、この中で、唯一[[ネバダ州]]は1%ながら減少したが、ネバダ州はもともと10万人あたり21~23人と高い自殺率の地域である。2016年時点でアメリカで最も自殺率が高いのは[[モンタナ州]]で、10万人当たりの自殺者の数は約29人である。一方、最も自殺率が少ないのは[[ワシントンD.C.]]で、10万人当たりの自殺者の数は約7人である。2016年のアメリカ全体での自殺率は10万人当たり15人である<ref name="cnn35120779"/>。
 
 
 
===イギリス===
 
17-18世紀のイギリスは自殺大国として知られ、自殺はイギリス病とも呼ばれた<ref>[http://repository.dl.itc.u-tokyo.ac.jp/dspace/bitstream/2261/973/1/KJ00000696220.pdf 近世イ ングラン ドにおける初期自殺論の特性]松永幸子、東京大学大学院教育学研究科紀要. 42巻, 2003.3</ref>。[[イギリス]]ではかつて自殺は[[犯罪]]とされ、自殺未遂者は処罰され[[投獄]]されていたが、{{仮リンク|1961年自殺法|en|Suicide Act 1961|label=1961年の自殺法}}の成立によって自殺は犯罪ではなくなった<ref>中澤幸夫『話題別英単語 リンガメタリカ』[[Z会]] 226頁「医学・生命倫理(2) Theme11 欧米の[[安楽死]]への対応――[[ヴァチカン]]から[[オランダ]]まで」</ref>。
 
 
 
ニキビ治療薬の[[イソトレチノイン]]を使用中に自殺が多発したことで問題となった<ref name="pmid25266008">{{cite journal |author=Thomas KH |title=Reporting of drug induced depression and fatal and non-fatal suicidal behaviour in the UK from 1998 to 2011. |journal=[[:en:BioMed_Central#BMC_journal_series|BMC Pharmacology and Toxicology]] |volume=15 |issue=54 |date=2014-9-30 |url=https://bmcpharmacoltoxicol.biomedcentral.com/articles/10.1186/2050-6511-15-54 |doi=10.1186/2050-6511-15-54 |pmc=4184159 |pmid=25266008}}</ref>。主に10〜20代がニキビ治療薬を使用すると考えられ、自殺者の殆どが若者であったとみられる。
 
 
 
他のニキビ治療薬を使用中の自殺は目立っていないことから<ref name="pmid25266008" />、原因不明の自殺として知られている。現在も原因解明に向けての活動がある<ref>[http://www.roaccutaneaction.com/ Ro/Accutane Action Group]([[アイルランド]]の首都[[ダブリン]]に拠点を置くイソトレチノイン被害者会)</ref>。
 
 
 
===カナダ===
 
[[カナダ]]は、国家規模での自殺防止政策が存在しない数少ない国の一つである。特に先住民の[[イヌイット]]などの自殺率は非常に高い。イヌイットの自殺率は、2001年の[[保健省 (カナダ)|保健省]]調査によると、10万人あたり135人で、カナダ全体の10万人あたり12人の11倍を超えた。また、イヌイットの自殺で目立つのは若者の自殺であり、自殺者の83%は30歳未満である<ref>{{cite news |title=自殺率高いカナダのイヌイット、政府に自殺防止対策の強化求める |newspaper=[[フランス通信社|AFPBB News]] |date=2009-9-11|url=http://www.afpbb.com/articles/-/2640013|accessdate=2013-12-30}}</ref>。
 
 
 
2016年4月9日には、1日だけで11人の先住民が自殺を図るという事件が起こった<ref>{{cite news |title=中国人“ウルトラ・リッチガール”は「目立たないからアウディ」先住民は「毎晩のように自殺未遂」…カナダ版「天国と地獄」 |newspaper=[[産経新聞]] |date=2016-5-2 |url=http://www.sankei.com/west/news/160502/wst1605020004-n1.html |accessdate=2016-5-3}}</ref>。
 
 
 
=== 中華人民共和国 ===
 
[[画像:Meritorious_Officers_Paintings_of_Ziguang_Ge-Bandi.JPG|thumb|250px|[[清朝]]の役人・班第の殉死を描いた画]]
 
[[中華人民共和国]](人口13億人)における自殺者数は、2003年は年間約25万人強<ref>[http://www.china.ne.jp/2004/09/11/jp20040911_43289.html 中国の自殺者、毎年25万人 死因の第5位に]</ref>、2005年は約29万人(うち女性は約15万人)となっている<ref name="20061128searchina">『自殺する女性15万人、家庭内暴力が原因』2006年11月28日 中国情報局サーチナ</ref>。特に、15 - 34歳の若年層を中心とした年代では、自殺は死因のトップとなっている<ref name="20080910recochina">「2分に1人が自殺、原因トップは「夫の不倫」」『Record China』2008年9月10日付配信</ref>。都市と比べ貧しい農村部では自殺率が3倍ほど高くなる、男女別では、女性の方が若干多く([[国の自殺率順リスト]]を参照)、日本を含む他のほとんどの国では男性の自殺者の方が多いのと対照的である。自殺の要因については、[[ドメスティックバイオレンス]](女性)<ref name="20061128searchina"/>、夫の[[不倫]](女性)<ref name="20080910recochina"/>、「生活や就職」<ref name="20080910recochina"/>などが挙げられる。
 
 
 
また、[[チベット問題]]に揺れる[[チベット自治区]]では、[[漢民族|漢族]]による[[チベット民族|チベット人]]への弾圧や虐殺に抗議するため、[[焼身自殺]]を行うチベット人が後を絶たない<ref>{{cite news |title=チベット僧侶がまた焼身自殺=政府に抗議-中国 |newspaper=[[時事通信社|時事通信]] |date=2013-12-20|url=http://www.jiji.com/jc/zc?k=201312/2013122000256|accessdate=2013-12-30}}</ref>。
 
 
 
また、[[中華人民共和国|中国]][[広東省]]広州市は、2008年6月に多発する[[自殺ショー]]と呼ばれるパフォーマンスの取り締まり強化を行った。自殺ショーとは、自殺すると見せかけ高層ビルの屋上などで「自殺する」と騒ぎ立て、未払い賃金支払いなどを訴え、見返りとして未払い金の支払いを要求をするというもの。自殺ショーが行われるたびに、警察車両や救急車両が出動し、交通渋滞などの原因にもなっていた。そこで[[広東省]]広東市は自殺ショーを迷惑行為と位置づけ、ショーを数回にわたり実施した者に対する罰則を規定した<ref>[http://www.recordchina.co.jp/group/g20850.html 中国ニュース通信社]</ref>。
 
 
 
=== 大韓民国 ===
 
{{Main|韓国の自殺}}
 
 
 
[[大韓民国|韓国]]でも他のほとんどの国と同様、男性のほうが女性よりも2.5倍程度自殺しやすいものの、男女比は日本よりも若干低く{{Sfn|世界保健機関|2014}}、20代では男性より女性の方が自殺者数が多いとの報告がある<ref>[http://www.hani.co.kr/arti/specialsection/newspickup_section/372285.html 急増する20代女性の自殺、同世代男性を上回る…なぜ?] - [[ハンギョレ新聞]](韓国語) 2009年8月21日</ref>。日本と同様に近年自殺者数が急増しており、ここ数年は日本よりもはるかに高率となっている。なお、[[2009年]]以降は[[経済協力開発機構|OECD]]諸国最高値となっている<ref>[[中央日報]](2012年9月9日)「[http://japanese.joins.com/article/150/159150.html 自殺率1位の韓国]」</ref>。韓国の場合、高齢者に自殺が偏っており、60歳以上の自殺率は、2009年は10万人あたり68.25人、2010年は69.27人と極めて高く、その背景には高齢者の生活不安が解消されていないことにあると考えられている<ref>[http://news.searchina.ne.jp/disp.cgi?y=2012&d=0723&f=national_0723_031.shtml]</ref>。
 
 
 
[[東亜日報]]が、韓国の小学校4、5、6年生に調査したところ、2割が「自殺したいと思ったことがある」と回答するなど、韓国人は幼少時から激しい不安感を感じているとされる<ref>{{cite news |title=小学生2割が「自殺したい」の驚愕…“自殺共和国”といわれる韓国の特殊事情とは |newspaper=[[日本経済新聞]] |date=2014-8-4 |url=http://sankei.jp.msn.com/west/west_life/news/140804/wlf14080407000001-n1.htm |accessdate=2014-8-11 }}</ref>。
 
 
 
===スイス===
 
[[スイス]]は自殺が多い国として知られていたが、近年は減少傾向にあり、1991年から2011年までの間に、スイスの自殺率は10万人に20.7人から11.2人まで減少している。かつてはタブー視されていた[[精神病]]の存在が徐々に認められ、患者が助けを求めやすくなったことが背景にあるという。スイスでは、人生のある時点で自殺を企てる人は10人に1人。また、5割の人が死ぬことを考えたことがあるとされる。また、スイスでは、[[自殺関与・同意殺人罪|自殺幇助]]が認められており、幇助者に直接の利益がない場合は自殺幇助は犯罪とされない。スイスの自殺の5件に1件は、幇助者の協力によるものとされる<ref>{{cite news |title=死のとば口で: 自殺率の低下は、助けを求める人が増えたため |newspaper=[[スイス放送協会]] |date=2010-9-10|url=http://www.swissinfo.ch/jpn/detail/content.html?cid=36748260|accessdate=2013-12-30}}</ref>。
 
 
 
自殺幇助が合法となっているため、例えば末期患者が自殺を望めば、病院の医師は自殺のために協力する。このため、スイスを訪れる末期患者の外国人が年々増加しており、社会問題となっている。自殺幇助はスイスで圧倒的な支持を得ており、[[国民投票]]でその是非が問われた時でも、自殺幇助禁止には85%、自殺旅行禁止には78%が反対票を投じ、いずれも否決された<ref>{{cite news |title=「自殺幇助は合法」スイスの流儀 |newspaper=[[ニューズウィーク]] |date=2011-6-28|url=http://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2011/06/post-2168.php|accessdate=2013-12-30}}</ref>。スイスには、自殺幇助を専門に扱う非営利の団体が存在している。外国人も積極的に受け入れる[[ディグニタス]]や、スイス永住者に限定するエグジットなどが存在する。{{いつ範囲|近年|date=2016年4月}}、彼らを利用する顧客は増加傾向にある<ref>{{cite news |title=自殺ほう助クリニックによる安楽死件数、35%増 スイス |newspaper=[[フランス通信社|AFPBB News]] |date=2012-2-22|url=http://www.afpbb.com/articles/-/2859717|accessdate=2013-12-30}}</ref>。
 
 
 
[[スイス]]は[[銃社会]]であり、自殺にも[[銃]]を用いる傾向にある。その割合は[[ヨーロッパ]]最高であり、自殺者の24%から28%が銃で自殺している。また、特に男性が銃による自殺を選択する傾向があり、銃による自殺者の95%は男性となっている。スイスでは、国による自殺を予防するプログラムは存在しないが、[[スイスの地方行政区画|州]]による自殺予防プログラムがある<ref>{{cite news |title=ヨーロッパでスイスほど銃による自殺が多い国はない。|newspaper=[[スイス放送協会]] |date=2010-3-22|url=http://www.swissinfo.ch/jpn/detail/content.html?cid=8413586|accessdate=2013-12-30}}</ref>。
 
 
 
{{いつ範囲|現在|date=2016年4月}}と事情は異なるが、[[エミール・デュルケーム]]による[[1897年]]の著作「自殺論」では、スイスの州別自殺率について触れられており、[[カトリック教会|カトリック]]系[[ドイツ人]]の州の自殺率は87/100万、カトリック系[[フランス人]]の州の自殺率は83/100万、[[プロテスタント]]系ドイツ人の州の自殺率は293/100万、プロテスタント系フランス人の州の自殺率は456/100万と、地域別に見て大きな開きがあった<ref>{{Cite web |date= |url=http://www.hkg.ac.jp/~sawada/kougi/09/09.htm |title=デュルケームの社会学(1)―『自殺論』を読む |publisher=沢田善太郎[[広島国際学院大学]][[教授]] |accessdate=2013-12-30}}</ref>。
 
 
 
=== フランス ===
 
[[フランス]]は[[ヨーロッパ]]で最も自殺率の高い国の一つであり、[[主要国首脳会議|G8]]中でも、[[ロシア]]や[[日本]]に次いで自殺率が高い国である<ref name="bloomberg20100125">{{cite news |title=自殺多発するフランステレコムの闇-週35時間制がストレスの温床か |newspaper=[[ブルームバーグ (企業)|Bloomberg]] |date=2010-1-25|url=http://www.bloomberg.co.jp/news/123-KWNO4X0YHQ0Z01.html|accessdate=2013-12-22|author=Laura Colby }}</ref>。自殺の方法として最も多いのは[[縊死|首吊り]]であり、[[猟銃]]での自殺や、[[飛び降り]]自殺、列車に飛び込むといった手法も使われる。2009年以降、経済悪化を背景に、フランスの自殺者は増加傾向にある<ref name="yomiuri20130928">{{cite news |title=自殺が増加 背景に失業率上昇 : ボンジュール!パリからの健康便り |newspaper=[[読売新聞]] |date=2013-9-26|url=http://www.yomidr.yomiuri.co.jp/page.jsp?id=85309|accessdate=2013-12-22}}</ref>。
 
 
 
仕事のストレスによる自殺もある。フランスでは2000年から一週間に35時間以上の労働を基本的に禁じる[[週35時間労働制]]が施行されている。そのため、一般の労働者に[[過労死]]などは基本的に起こりえないとされる。しかし、こうして減らされた労働時間を取り戻すために、企業は労働者に更なる結果を求める傾向にあるため、労働者にはストレスが掛かり、多くの暴力事件や自殺者を生み出しているとの指摘がある<ref name="bloomberg20100125" />。[[フランステレコム]](現:[[Orange (通信会社)|Orange]])では、2008年2月から2009年9月の約1年半の間に、23人もの自殺が発生し、社会問題となった。職場で自殺をしたり、仕事が原因で自殺するとの遺書を遺したケースもある<ref>{{cite news |title=フランステレコムの従業員が次々自殺、23人に |newspaper=[[フランス通信社|AFPBB News]] |date=2009-9-19|url=http://www.afpbb.com/articles/-/2643677 |accessdate=2013-12-22}}</ref>。この一連の自殺では、1週間の間に5人が立て続けに自殺したこともある<ref name="yomiuri20130928" />。
 
 
 
===ベルギー===
 
[[ベルギー]]は、フランスなどと同様に、ヨーロッパで最も自殺率の高い国の1つであり<ref name="yomiuri20130928" />、特に[[オランダ語]]圏の[[フランドル]]地方はヨーロッパで最も自殺が多く、10人に1人が自殺しようと思ったことがあるという調査もある。自殺の理由は、[[親]]との[[コミュニケーション]]、[[学校]]の[[成績]]、[[いじめ]]、[[恋愛]]、[[喧嘩]]などである<ref>{{cite news |title=ベルギー、2人のティーンエージャーが学校で自殺|newspaper=ポートフォリオ・ベルギーニュース|date=2008-5-24|url=http://www.portfolio.nl/article/show/2095 | accessdate=2014-2-15}}</ref>。
 
 
 
=== ドイツ ===
 
[[File:Suiz zahlen d80 11.png|thumb|right|200px|ドイツの自殺数の推移。1980-2011年]]
 
[[ドイツ]]における自殺者の推移は右のグラフのとおり。
 
 
 
=== フィンランド ===
 
[[フィンランド]]は自殺大国として有名であり、[[1990年]]には国民10万人のうち30人が自殺しており、[[1991年]]には10代の自殺率が世界1位を記録している。その後、自殺率は大幅に減少して、[[2007年]]には10万人のうち18人となっている。自殺が減少した要因として、[[うつ病]]治療の改善などに取り組んだ結果とも言われるが、フィンランド国立公衆衛生研究所でも、詳しい理由は不明としている。また、若い男性の自殺率は依然として高く、20歳から34歳の男性における死亡原因は自殺がトップとなっている<ref>{{cite news |title=フィンランド、「自殺大国」の汚名を返上 |newspaper=[[フランス通信社|AFPBB News]] |date=2007-9-15|url=http://www.afpbb.com/articles/-/2282969 |accessdate=2013-12-22}}</ref>。フィンランドの自殺率の急激な減少は、高い自殺率に悩む[[日本]]でも注目されており、[[内閣府]]などもフィンランドの取り組みを研究している<ref>{{PDFlink|[http://www8.cao.go.jp/jisatsutaisaku/whitepaper/w-2010/pdf/pdf_honpen/h049.pdf フィンランドにおける自殺対策]}} - [[内閣府]]</ref>。
 
 
 
=== ロシア ===
 
[[ロシア]]は、世界で最も自殺率の高い国である。[[1990年]]には、10万人あたり26.5人だった自殺者は、[[1995年]]には41.5人に急増している。ロシアの自殺者の増大は、男性の平均寿命を押し下げている要因の一つとなっている。本来であれば、医療技術の進歩や栄養・公衆衛生の改善によって上昇していくはずの平均寿命だが、ロシアでは経済が発展しているにもかかわらず、1965 - 1966年平均の69.5歳をピークに寿命の低下が進行しており、1990年に69.2歳、2000年に65.36歳、そして2002年には64.8歳となった。この平均寿命の低下と、少子高齢化の進行により、ロシアは急激に人口が減少している<ref>{{cite news |title=フランステレコムの従業員が次々自殺、23人に |newspaper=[[日経ビジネス|日経ビジネスオンライン]] |date=2006-6-21|url=http://business.nikkeibp.co.jp/article/world/20060621/104822/ |accessdate=2013-12-29}}</ref>。ただ、近年は自殺率が低下傾向にあり、2012年の統計では、人口10万人あたり、自殺者は20人ほどとなっている<ref>{{cite news |title=ロシアの自殺率、低下も世界平均上回る|newspaper=NNA.EU |date=2013-12-13|url=http://nna.jp/free_eu/news/20131213rur003A.html |accessdate=2013-12-29}}</ref>。
 
 
 
=== ニュージーランド ===
 
[[画像:Young_Maori_man_dancing.jpg|190px|thumb|マオリの若者]]
 
[[ニュージーランド]]では、保健省の発表によれば、1983年 - 2003年の間に自殺者数が減少する一方で、自殺未遂者が増加しているという(自殺では男性の割合が多いのに対して、自殺未遂での入院では女性の割合が多い)<ref>[http://nzdaisuki.com/news/news.php?id=2503 NZニュース 自殺者数が減少する一方で自殺未遂件数は増加]</ref>。1980年代から自殺者が増加しだしており、2003年では10万人あたり11.5人となっている。特徴的な点として、若者の自殺が多く、年代別では25歳 - 44歳の自殺死亡率が最も多くなっている<ref>{{Cite web |date= |url=http://www8.cao.go.jp/jisatsutaisaku/whitepaper/w-2007/html/part1/clm05.html |title=平成19年版 自殺対策白書
 
|publisher=自殺予防総合対策センター |accessdate=2013-12-30}}</ref>。ニュージーランドの若者の自殺は、[[経済協力開発機構]]の中でも高い部類になる。また、民族別では[[先住民]]の[[マオリ]]の自殺率が、ヨーロッパ系やアジア系に比べても最も多い。マオリもまた、若者の自殺が多い傾向にある<ref>{{Cite web |date= |url=http://ikiru.ncnp.go.jp/ikiru-hp/book/book6.pdf |title=ニュージーランド自殺予防活動計画 |publisher=自殺予防総合対策センター |accessdate=2013-12-30}}</ref>。
 
 
 
=== イスラム諸国 ===
 
本来の[[イスラム教]]では、自殺も[[殺人]]も禁じられている。かつ、[[統計学]]的にみてもイスラム諸国における自殺率は国際的にみて著しく低い傾向がみられる。現代のイスラム世界においても、自殺を行って死んだ者は[[地獄]]に落ちると強く信じられる傾向があり、かつ自殺者に対する社会的な[[偏見]]も強いということが原因として考えられる。しかし一方で、聖戦(ジハード)の犠牲者は天国へ行くという概念があり、自殺を伴う攻撃が正当化されることがある。そのためなんらかの事情で困窮した若者が、過激派の[[自爆テロ]]要員としてスカウトされやすいとされる。ただし、穏健派は民間人を巻き込むようなテロはジハードに当たらないと一般的に考えている。
 
 
 
=== 日本 ===
 
{{Main|日本の自殺|日本の精神保健}}
 
2014年現在、日本における自殺者数は世界各国と比べて大きい値であり、10万人あたりの自殺率はOECD平均の12.4人と比べ、日本は20.9人であった{{Sfn|OECD|2014|loc=Country press releases - Japan}}。[[OECD]]は、「日本の[[メンタルヘルス|精神医療制度]]はOECD諸国の中で、精神病床の多さと自殺率の高さなど悪い意味で突出している」{{Sfn|OECD|2014|loc=Country press releases - Japan}}、また日本はうつ病関連自殺により25.4億ドルの経済的損失をまねいていると報告している{{Sfn|OECD|2013|p=45}}。
 
 
 
1978-1997年での年間自殺者はおおよそ2万5千人台であったが{{Sfn|世界保健機関|2014|loc=Case example: Japan – suicide prevention in the face of socioeconomic change }}、1998年には3万2千人にまで上昇し {{Sfn|世界保健機関|2014|loc=Case example: Japan – suicide prevention in the face of socioeconomic change }}、この時期はすべての年齢層で上昇していたが、とりわけ中高年男性が高いとWHOは報告した{{Sfn|世界保健機関|2014|loc=Case example: Japan – suicide prevention in the face of socioeconomic change }}。そのため、2006年には[[自殺対策基本法]]が制定、2007年には自殺総合対策大綱が制定された{{Sfn|世界保健機関|2014|loc=Case example: Japan – suicide prevention in the face of socioeconomic change }}。
 
 
 
その後自殺率は2009年からは徐々に減少し{{Sfn|世界保健機関|2014|loc=Case example: Japan – suicide prevention in the face of socioeconomic change }}、2010年には30千人以下{{Sfn|世界保健機関|2014|loc=Case example: Japan – suicide prevention in the face of socioeconomic change }}、[[2012年]]の総自殺者数は27858人に減少した<ref name="jiji130314">[http://www.jiji.com/jc/graphics?p=ve_soc_tyosa-jikenjisatsu 【図解・社会】自殺者数の推移] 時事ドットコム 2013年3月14日</ref>。中年および老年の自殺率は減少しているが、一方で若年者の自殺率については上昇を続けているため<ref name="jiji130314"/>{{Sfn|世界保健機関|2014|loc=Case example: Japan – suicide prevention in the face of socioeconomic change }}、WHOは新たにターゲットを設定しなおした介入政策が必要だとしている{{Sfn|世界保健機関|2014|loc=Case example: Japan – suicide prevention in the face of socioeconomic change }}。そのため2012年には、自殺総合対策大綱について、若年層と過去に自殺試行した者についての支援を強化する方向に改定された{{Sfn|世界保健機関|2014|loc=Case example: Japan – suicide prevention in the face of socioeconomic change }}。
 
 
 
2014年の自殺者は2万5374人であり、2013年より7%減り、2009年より5年連続で減少している<ref>{{cite news |title=自殺者、5年連続減少 3年連続で3万人下回る|newspaper=[[朝日新聞]] |date=2015-1-15 |url=http://www.asahi.com/articles/ASH1G5HSYH1GUTIL026.html|accessdate=2015-1-24}}</ref>。
 
 
 
[[都道府県]]別で見ると、2014年において最も自殺率が低いのは[[大阪府]]であり、10万人当たりの自殺者は15.7人である<ref>{{cite news |title=自殺率:府の昨年、全国最低15.7 相談電話増設が奏功 /大阪 |newspaper=[[毎日新聞]] |date=2015-8-25 |url=http://mainichi.jp/area/osaka/news/20150825ddlk27040379000c.html |accessdate=2015-8-30|author=小山由宇}}</ref>。一方、2014年において最も自殺率が高いのは[[岩手県]]であり、10万人当たりの自殺者は26.6人である<ref>{{cite news |title=<岩手県議選>自殺予防取り組み なお途上 |newspaper=[[河北新報]] |date=2015-8-26 |url=http://www.kahoku.co.jp/tohokunews/201508/20150826_31001.html |accessdate=2015-8-30}}</ref>。
 
 
 
2016年の自殺数は2万1764人で、22年ぶりに2万2000人を下回った。また、女性の自殺数は6747人で、統計を取り始めた1978年以降で、最も少なくなった<ref>{{cite news |title=16年、2.2万人割る 22年ぶり 女性は78年以降最少 |newspaper=[[毎日新聞]] |date=2017-1-20|url=http://mainichi.jp/articles/20170120/ddh/041/040/004000c |accessdate=2017-2-27}}</ref><ref>{{cite news |title=自殺者2万1700人 7年連続減少 “仕事”で50代増加 |newspaper=[[テレビ朝日]] |date=2017-1-20|url=http://news.tv-asahi.co.jp/news_society/articles/000092537.html |accessdate=2017-2-27}}</ref>。
 
 
 
日本における自殺の動機の3人に2人は心身の健康問題で、[[借金]]などの生活苦と家庭問題はそれぞれ5人に1人であることが2016年中の[[厚生労働省]]と[[警察庁]]の分析により判明した。具体的には[[うつ病]]など健康問題が11,014人(67.6%)、生活苦、借金などの7経済・生活問題が3,522人(21.6%)、家族内の不和など家庭問題が3,337人(20.5%)であった。2015年度もほぼ同様の傾向であった<ref name="asahi-soci">[https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20170323-00000019-asahi-soci 自殺の動機、3人に2人「心身の健康問題」 対策検討へ 朝日新聞デジタル 3/23(木) 10:31配信]</ref>。
 
 
 
== 自殺の歴史 ==
 
=== 古代 ===
 
[[画像:Sappho-drawing.jpg|thumb|180px|サッポー]]
 
[[画像:Samuraj7795232486.jpg|thumb|切腹]]
 
自殺の歴史は古く、紀元前の[[壁画]]などにもその絵や記述が残されている。古代ギリシャの詩人[[サッポー]]は入水して死亡したという説がある。
 
 
 
;賜死
 
重大な犯罪を起こして[[死刑]]を免れない状況に陥った貴人が、公衆の前で処刑されるという屈辱を免じてその名誉を重んじさせる意味で、自殺を強要されることがあった。[[律令制]]国家における[[皇族]]や高位者が死刑判決を受けた場合に、自宅での自殺をもって代替にするのを許したことや、戦国時代から江戸時代初期にかけての日本における武士階級に対する切腹処分などがこれにあたる。[[賜死]]の形態を取ることも多く、洋の東西を問わずみられる現象であり、[[ルキウス・アンナエウス・セネカ]]などが知られる。諸説あるが、[[荀イク|荀彧]]も主君[[曹操]]に死を強要されたとの説がある。
 
 
 
=== キリスト教 ===
 
[[キリスト教]]においては基本的に、自殺は重大な罪だとされるが、キリスト教で自殺に対する否定的道徳評価が始まったのは、4世紀の聖[[アウグスティヌス]]の時代とされる。当時は殉教者が多数にのぼり、信者の死を止めるために何らかの手を打たねばならなくなっていた。また10人に1人死ぬ者を定めるという「デシメーション」と呼ばれる習慣のあったことをアウグスティヌスは問題にした。[[アウグスティヌス]]は『[[神の国 (アウグスティヌス)|神の国]]』第1巻第16-28章において、自殺を肯定しない見解、自殺を[[罪]]と見なす見解を示した。神に身を捧げた女性が捕虜となって囚われの間に恥辱を被ったとしても、この恥辱を理由に自殺してはいけない、とした。また[[キリスト教徒]]には自殺の権利は認められていない、と述べた。「自らの命を奪う自殺者というのは、一人の人間を殺したことになる」とし、また旧約聖書の[[モーゼの十戒]]に「汝、殺すなかれ」と書かれている、と指摘し<ref>20章</ref>、自殺という行為は結局、神に背く罪だ、とした。アウグスティヌスは「真に気高い心はあらゆる苦しみに耐えるものである。苦しみからの逃避は弱さを認めること」「自殺者は極悪人として死ぬ。なぜなら自殺者は、誘惑の恐怖ばかりか、[[罪の赦し]]の可能性からも逃げてしまうからだ」と理由を述べた。
 
 
 
[[693年]]には{{仮リンク|第十六回トレド会議|en|Sixteenth Council of Toledo}}において自殺者を[[破門]]するという宣言がなされ、のちに聖[[トマス・アクィナス]]が自殺を生と死を司る神の権限を侵す罪であると述べるに至って、すでに広まっていた罪の観念はほぼ動かしがたいものになり<ref>E・S・シュナイドマン『自殺とは何か』誠信書房、1993年、44, 45項</ref>、自殺者の遺族が処罰されていた時代<ref>[[碓井真史]]『あなたが死んだら私は悲しい』[[いのちのことば社]] 178頁</ref><ref>[[ジュディス・ピーコック]]『10代のメンタルヘルス6 自殺』[[大月書店]] 47頁</ref>や、自殺者は教会の墓地に埋葬することも許されなかった時代もある。
 
 
 
[[ダンテ・アリギエーリ|ダンテ]]の[[叙事詩]]『[[神曲]]』においては、自殺は「自己に対する暴力」とされており、[[神曲#地獄篇 Inferno|地獄篇]]の第13歌には醜悪な樹木と化した自殺者が怪鳥[[ハルピュイア]]に葉を啄ばまれ苦しむという記述がある。
 
 
 
ドイツの哲学者[[アルトゥル・ショーペンハウアー|ショーペンハウエル]]は『自殺について』のなかで、キリスト教の聖書の中に自殺を禁止している文言はなく、[[原理主義]]的にいえば、自殺を禁じているわけではないため、「不当に貶められた自殺者の名誉を回復するべきだ」とした。
 
 
 
=== 日本における歴史 ===
 
{{Main|日本の自殺}}
 
日本で最も古い自殺に関する伝承は、『[[古事記]]』の[[ヤマトタケル]]の妃[[弟橘媛|弟橘比売命]](オトタチバナヒメノミコト)の伝承である。
 
 
 
中世には、[[弘安]]7年([[1284年]])あるいは[[延慶 (日本)|延慶]]2年([[1309年]])、[[文保]]元年([[1317年]])が没年とされる[[足利尊氏]]の祖父[[足利家時]]が[[八幡大菩薩]]に三代後の子孫に天下を取らせよと祈願した[[置文]]を残して自害したという伝説が残るが(『[[難太平記]]』)、自害した事実を含め定かではない。戦国期には[[天文 (元号)|天文]]22年([[1553年]])に[[織田信長]]の傳役[[平手政秀]]が死をもって信長の行動をいさめたとされる事例などもある。
 
 
 
[[足利義輝]]など最後は戦闘の末、敵兵に討ち取られた人物が、義輝と付き合いのあった[[山科言継]]の日記「[[言継卿記]]」には、その最後が自殺となっているなど、改変されて記録されている者もいる。これも雑兵に討ち取られるよりは、自害の方が名誉ある死と考えられていたためである。これらは現在でも国語の教科書に掲載され、日本の武家文化の一つとして継承されている。
 
 
 
;キリシタン
 
カトリック洗礼を受けていた[[細川ガラシャ]]は、武士の妻としては自害すべきだったが、キリスト教徒としては自殺できず、家臣に胸を槍で突かせた。なお日本における[[キリシタン]]に対する[[迫害]]が強まった時代において、キリシタンに対して棄教するよう強烈な[[圧力]]がかけられていた際に、[[クリストファン・フェレイラ]]のように[[幕府]]による[[拷問]]に耐えかねて棄教した者もいれば、最後の最後まで[[キリスト教]]に対する[[信仰]]を放棄しないで殉教したキリシタンもいる。日本における[[カトリック教会]]は、[[ペトロ岐部]]など殉教したキリシタン187名を祝福し、2008年には[[長崎県営野球場]]において[[列福]]式が実施された。
 
 
 
;江戸時代
 
鎌倉以来[[武士]]は江戸時代初期までは主君に死罪を自ら行う[[切腹]]を命じられても、従容として死につくのではなく、ある程度の抵抗を示した後に主君側に討ち取られる以外に選択肢がなくなってから自害することが「武士の意気地」とされた。ところが、江戸時代中期になると、従容として腹を切ることが「潔い」とされるようになる。これは[[家系|家門]]の存続が個人の武名以上に重要な価値をもつようになったなってきたことが大きな要因となっているが、[[徳川家|徳川]]の文治政治の進展とともに[[連座]]が緩和されたため、制裁が決まる前に単独で一命をもって責任を取れば、多くの場合において家門もしくは家族の存続は許されたからでもある。なお、女性の場合は切腹ではなく喉を短刀で突くのが武家における自害の作法とされた。
 
 
 
また、江戸時代には大坂や江戸を中心に[[心中]]が庶民の間に流行した。これは[[近松門左衛門]]の『[[曾根崎心中]]』を代表とする「[[心中]]もの」の芝居や[[浄瑠璃]]が評判を呼んだことによる影響と考えられている。この世を憂き世として忌避し、あの世で結ばれるとして男女が自殺に及んだ。これに対し、幕府は[[心中禁止令]]を出すとともに、心中死体や心中未遂者を3日間さらし者にした上で、未遂者は被差別階級に落とすという厳罰を実施している<ref>[[樋口清之]]著 『樋口博士のおもしろ雑学日本「意外」史』 三笠書房1989年 P218-219</ref>。
 
 
 
;近代
 
[[画像:Maresuke Nogi, 近世名士写真 其1 - Photo only.jpg|thumb|190px|乃木希典]]
 
近代においては[[明治天皇]][[崩御]]のおりに殉死した[[乃木希典]]・[[乃木静子|静子]]夫妻が世論の称賛を浴びた。明治以降は日本の自殺率は[[1936年]]まで20人前後と緩やかな上昇傾向にあったが、戦争の影響で減少し戦前戦後を通じ最低レベルとなった。[[国家総動員法]](1938年制定)下の時代情勢によるとされ、また詳細な統計を取っていられる状況ではなかったと考えられる。
 
 
 
;戦後
 
その後、戦後の価値観の大きな転換や社会保障が整備されていなかったこともあり、高度成長が本格化するまでのあいだ(1950年代)日本の自殺率は1958年には10万人あたり25.7人と世界一となり、2008年現在に至るまで過去最高の数値を記録している。[[高度経済成長]]の時期は減少に転じた。1973年の[[オイルショック]]のころから再び増加したが、1980年代後半からの[[バブル経済]]期には減少した。[[バブル崩壊]]後の1990年代後半に[[スウェーデン]]、[[ドイツ]]より低かった自殺率は急激に上昇し<ref name="OECD2013" />、OECDはその原因について[[アジア通貨危機]]を挙げている<ref name="OECD2013" />。
 
 
 
=== 戦争と自殺 ===
 
====中国====
 
[[中国]]では、[[紀元前1100年]]ごろ[[殷]]王朝最後の[[帝]]である[[帝辛]](紂王)が[[周]]の[[武王 (周)|武王]]に敗れ、焼身自殺したと伝えられている。古代中国の軍人においては「自刎(ミズカラクビハネル)」と称される、剣をもって頸動脈を切断する自殺手法があり、[[伍子胥]]、[[項籍|項羽]]、[[白起]]など名だたる軍人が用いており、{{いつ範囲|現在|date=2016年4月}}でも中国人の自殺にもちいられることがある<ref>[http://tw.news.yahoo.com/%E5%8F%B0%E5%A5%B3%E9%81%AD%E6%AE%BA%E6%A1%88-%E5%AB%8C%E7%8A%AF%E5%BC%B5%E5%BF%97%E6%8F%9A%E5%9C%A8%E8%AD%A6%E5%B1%80%E5%89%8D%E8%87%AA%E5%88%8E-133612443.html](中国語記事)</ref>。
 
 
 
====エジプト====
 
[[エジプト]][[プトレマイオス朝]]最後の女王である[[クレオパトラ7世]]は[[アクティウムの海戦]]に敗北した際に、[[アウグストゥス|オクタウィアヌス]]に屈することを拒み、[[コブラ科|コブラ]]に自分の体を咬(か)ませて自殺したと伝えられている。
 
 
 
====インドネシア====
 
[[インドネシア]]では[[ププタン]]とよばれる[[集団自決]]の風習があり、19世紀に[[オランダ]]が[[バリ島]]に侵攻した際に、いくつかの王国で実施された。
 
 
 
====日本====
 
[[画像:Korechika_Anami.jpg|thumb|160px|阿南惟幾]]
 
[[画像:D4Y_Yoshinori_Yamaguchi_col.jpg|thumb|210px|神風特別攻撃隊]]
 
[[平安時代|平安]]、[[鎌倉時代|鎌倉]]、[[戦国時代 (日本)|戦国時代]]に至るまで、日本の[[武士]]には敵に討ち取られるよりは自害することをよしとする風潮があった。『[[平家物語]]』の登場人物には自殺で終わる者が多い。これらには、自らが討ち取られその武名が誰かによって落とされること、ことに格下の兵に功名の手柄とされることを[[恥]]としたからである。江戸時代中期の[[武士道]]の著書『[[葉隠]]』では「武士道と云ふは死ぬ事と見つけたり」という一文がある。
 
 
 
[[第一次世界大戦]]から[[第二次世界大戦]]にかけて[[軍事国家|軍国]]化した日本では、「生きて虜囚の辱めを受けず」の一文で有名な[[戦陣訓]]に象徴される、[[軍人]]は[[捕虜]]になることより潔い自決を名誉と考えられた。そのため、[[太平洋戦争]]では、前線の指揮官が無断撤退の責任を取るために自決を強いられることもあった。自決であれば、軍人[[軍属]]の場合は[[戦死]]扱いになり、不名誉でないとされた。名誉の自決をした軍人は[[新聞]]報道や[[ラジオ]]放送、[[ニュース映画]]や[[大本営発表]]を通し市民の目や耳に入り、立派な最期を遂げた尊敬すべき偉人とされ賞賛された。また、[[陸軍|陸]][[海軍]]を問わず日本軍の航空部隊は、[[パイロット (航空)|操縦者]]や機体が被弾し、帰還が不可能となった場合は「敵機・敵施設・敵地上軍・敵艦に突入し自爆」「背面宙返りで地上や海上に自爆」が常態であった<ref group="注">前者としては、[[真珠湾攻撃]]時に被弾した[[大日本帝国海軍|海軍]]の[[戦闘機]]操縦者([[飯田房太]]海軍[[大尉]])が[[アメリカ軍|米軍]]格納庫に突入しており、後者としては[[ビルマ航空戦]]の[[ベンガル湾]]上空において、[[爆撃機]]迎撃時に被弾し海上に自爆し、戦死後は生前の功績も含め、[[軍神]]としてあがめられた[[加藤建夫]]陸軍[[少将]](死後昇進)が有名な事例として挙げられる(両人とも被弾後に不時着ないし[[落下傘]]にて脱出することは可能だった)</ref>。日本の戦線が後退する[[1943年]]以降は、撤退できないで孤立した部隊が自らの戦いを終わらせるため、しばしば「[[バンザイ突撃]]」と米兵が名付けたような決死的な[[肉弾攻撃]]を実行した。[[神風特別攻撃隊]]や対戦車肉弾攻撃のように作戦そのものが未帰還や[[自爆]]を前提としていたものもあり、これらを米軍は「自殺攻撃(Suicide Attack)」と名付けた。また、激戦地となった[[沖縄県]]や、満洲などの[[外地]]では、軍人のみならず多くの市民が[[集団自決]]に追い込まれた。
 
 
 
敗戦時や大戦最末期には、軍の上層部の人間から、この責任を取るため自決を選んだ人間が多く出た。「一死以テ大罪ヲ謝シ奉ル」との遺書を残し[[介錯]]なしで割腹自決した[[陸軍大臣]][[阿南惟幾]]陸軍[[大将]]や、「沖縄県民斯ク戦ヘリ 県民ニ対シ後世特別ノ御高配ヲ賜ランコトヲ」と打電し拳銃自決した[[大田実]]海軍[[中将]]らが後世に名を残す一方、本来なら責任(自決)を取るべきところ、自決せずに自分だけ生きながらえた[[花谷正]]や[[牟田口廉也]]、[[福留繁]]などが部下や世間からの批判にさらされた。[[東條英機]]は自決に失敗し、また[[安達二十三]]陸軍中将や[[今村均]]陸軍大将は戦後[[戦犯]][[収容所]]服役中に自決、自決未遂した。開戦時の[[海軍大臣]]だった[[嶋田繁太郎]]は「[[ポツダム宣言]]を忠実に履行せよとの聖旨に沿う為」という理由で自決を見合わせた。
 
 
 
フランスの[[モーリス・パンゲ]]は、日本の[[武士道]]などにみられる自死を名誉とする考えについて『自死の日本史』([[筑摩書房]])において論じた。評論家[[西部邁]]はこのパンゲの本について、「生きることには、何かしら[[裏切り]]、[[堕落]]、汚辱とかそういう本来拒否すべきものが濃厚に伴う。それが限界までくると、[[神]]にも[[仏]]にも頼らずに、自分の命を抹殺してしまうことで、汚いと自分の思っていることをしないですむ」「[[形而上学]]、この場合は[[宗教]]に頼らずに自分の生に伴う[[ニヒリズム|虚無感]]、[[価値]]あるものは何もありはしないという虚無感を吹き払うために、死んでみせることを選び、選んだことを一つの[[文化]]に仕立てたのは、世界広しといえども、[[世界の歴史|世界史]]長しといえども、[[日本人]]だけである。そういう[[日本]]礼賛なのである」と説明した<ref>{{Cite book|和書|author=西部邁|coauthors=[[黒鉄ヒロシ]]|title=もはや、これまで: 経綸酔狂問答|publisher=PHP研究所|year=2013|pages=213-214}}</ref>。
 
 
 
====アメリカ====
 
[[アメリカ合衆国|アメリカ]]では、[[第二次世界大戦]]で、[[重巡洋艦]][[インディアナポリス (重巡洋艦)|インディアナポリス]]の艦長[[チャールズ・B・マクベイ3世]]が、[[日本]]の[[伊号第五十八潜水艦|伊58]][[潜水艦]]にインディアナポリスを撃沈された責任を追及され、自殺に追い込まれている。
 
 
 
また、第47代[[アメリカ合衆国海軍長官|海軍長官]][[ジェームズ・フォレスタル]]は、第二次世界大戦の後に設立された[[アメリカ空軍]]と、[[航空母艦|空母]]の運用をめぐって激化した対立により、神経が衰弱して辞職に追い込まれ、最終的に自殺している。
 
 
 
[[アフガニスタン紛争 (2001年-)|アフガニスタン紛争]]や[[イラク戦争]]を始め、海外の戦争に派兵されたアメリカ軍兵士の中には、自殺する者が出ている。アフガニスタンとイラクからの帰還兵だけでも自殺者は数千人にも上り、その数は戦闘中の死者数を上回るとの見方がある<ref>{{cite news |title=帰還後に自殺する若き米兵の叫び |newspaper=[[ニューズウィーク]] |date=2012-8-7|url=http://www.newsweekjapan.jp/stories/us/2012/08/post-2647.php |accessdate=2016-1-30|author=アンソニー・スウォフォード }}</ref>。
 
 
 
====ドイツ====
 
[[アドルフ・ヒトラー]][[ヒトラー暗殺計画|暗殺]]の一つ、[[7月20日事件]]では、失敗したクーデター側は、[[ヘニング・フォン・トレスコウ]][[少将]]や[[ギュンター・フォン・クルーゲ]][[元帥]]、[[ルートヴィヒ・ベック]][[上級大将]]など、クーデターに加担した多くの者が自殺を遂げている。また、実際に関与したかは未だに不明だが、[[エルヴィン・ロンメル]][[元帥 (ドイツ)|元帥]]は、関与が疑われた結果、「反逆罪で裁判を受けるか名誉を守って自殺するか」の選択を迫られ、自殺を選んでいる。
 
 
 
[[第二次世界大戦]]における[[欧州戦線における終戦 (第二次世界大戦)|ドイツの降伏]]は、[[アドルフ・ヒトラー]]の[[アドルフ・ヒトラーの死|自殺]]がきっかけとなっている。同時期に、[[ヴィルヘルム・ブルクドルフ]]、[[ハンス・クレープス]]、[[ヨーゼフ・ゲッベルス]]などが自殺している。
 
 
 
[[ヴァルター・モーデル]]は[[連合国 (第二次世界大戦)|連合軍]]に包囲された時、「[[ドイツ]]の[[元帥]]は降伏しないものだ」と降伏を潔しとせず、自殺している。
 
 
 
=== 宗教と自殺 ===
 
[[ユダヤ教]]、[[キリスト教]]、[[イスラーム]]などの[[アブラハムの宗教]]は、自殺は宗教的に禁止されている。欧米やイスラーム諸国では自殺は犯罪と考えられ、自殺者には[[葬式]]が行われないなどの社会的な制約が課せられていた。
 
 
 
*[[キリスト教]]においては伝統的に、自殺は基本的に[[罪]]と受け取られており、現在でもそうした見方が基本にある。
 
*[[イスラーム]]では、自殺した者は[[地獄]]へ行くとされている。[[クルアーン]]『婦人章』第29・30節では「あなたがた自身を、殺し(たり害し)てはならない」と明確な禁止の啓示が下されており、さらに「もし敵意や悪意でこれをする者あれば、やがてわれは、かれらを業火に投げ込むであろう」と続けて、自殺が地獄へと通じる道であることを示している。現代の[[イスラム原理主義]]者による[[自爆テロ]]について多数派のイスラムの教義解釈では、敵の戦闘員に対しての自爆は[[ジハード]]として[[天国]]に行けるが、民間人に対しての[[自爆テロ]]は自殺として永遠の滅びの刑罰が与えられるとされている。
 
[[バリ島]]では[[ププタン]]という[[集団自決]]の風習があり、オランダの侵攻に抗議して実施された。[[マヤ文明]]では、一般に[[死]]をつかさどる[[神]]「[[ア・プチ]]」のほかに絞首台の[[女神]]「[[イシュタム]]」がいて、自殺者の[[魂]]を死後の楽園へ導くとされた。
 
 
 
;聖書
 
:[[使徒行伝]]の中では、自殺を図った牢番を[[パウロ]]が大声で制止し、後に改宗させる場面がある。
 
{{Quotation|獄吏は目をさまし、獄の戸が開いてしまっているのを見て、囚人たちが逃げ出したものと思い、つるぎを抜いて自殺しかけた。そこでパウロは大声をあげて言った、「自害してはいけない。われわれは皆ひとり残らず、ここにいる」。すると、獄吏は、あかりを手に入れた上、獄に駆け込んできて、おののきながらパウロとシラスの前にひれ伏した。それから、ふたりを外に連れ出して言った、「先生がた、わたしは救われるために、何をすべきでしょうか」。|[[s:使徒行伝(口語訳)#16:27|使徒行伝16章27節から30節(口語訳)]]}}
 
 
 
=== 文学・芸術における自殺 ===
 
[[画像:Goethe 1774.JPG|thumb|『若きウェルテルの悩み』初版]]
 
自殺は、文学における重要なテーマの一つであり、主人公の自殺に至る心理など、物語の終焉や筋の展開のなかで描かれることが少なくない。
 
 
 
ドイツの作家[[ヨハン・ヴォルフガング・フォン・ゲーテ|ゲーテ]]の小説『[[若きウェルテルの悩み]]』が、自殺を主題とした作品として特に有名である。恋人との[[失恋]]に[[絶望]]し自殺した主人公を描き、その影響で模倣自殺する人が相次いだため、[[発禁処分]]に処するところも出た事例がある。このような模倣自殺の現象を[[ウェルテル効果]]という。
 
 
 
日本文学では、[[夏目漱石]]の『[[こゝろ]]』、[[井上靖]]『しろばんば』、[[渡辺淳一]]『[[失楽園 (渡辺淳一)|失楽園]]』などで自殺が描かれた。
 
 
 
;自殺した作家
 
また、動機はさまざまであるが、多くの著名な[[作家]]や[[文学者]]が自殺を決行している。海外で有名なのは[[フセーヴォロド・ガルシン]]、[[ジャック・ロンドン]]、[[ヴァージニア・ウルフ]]、[[シュテファン・ツヴァイク]]、[[アーネスト・ヘミングウェイ]]、[[リチャード・ブローティガン]]、[[老舎]]など。
 
 
 
日本では[[北村透谷]]、[[川上眉山]]、[[有島武郎]]、[[芥川龍之介]]、[[金子みすゞ]]、[[牧野信一]]、[[太宰治]]、[[田中英光]]、[[木村荘太]]、[[原民喜]]、[[久坂葉子]]、[[火野葦平]]、[[三島由紀夫]]、[[川端康成]]、[[田宮虎彦]]、[[佐藤泰志]]、[[江藤淳]]、[[鷺沢萠]]、[[野沢尚]]、[[片山飛佑馬]]、[[見沢知廉]]などがいる。
 
 
 
=== 自殺の研究 ===
 
[[画像:Emile_Durkheim.jpg|thumb|180px|エミール・デュルケーム]]
 
自殺に関する文献は古くから数多く伝存しているが、19世紀中葉より西欧で当時増大をみせていた自殺に対して統計学的手法が適用された。
 
 
 
[[1879年]]に[[イタリア]]の[[モルセッリ]]著『自殺』では
 
#ゲルマン型(変種としてドイツ人、スカンディナヴィア人、アングロサクソン人、フラマン人を含む)
 
#ケルト-ローマ型(ベルギー人、フランス人、イタリア人、スペイン人)
 
#スラヴ型
 
#ウラル-アルタイ型(ハンガリー人、フィンランド人、ロシアの若干の地方)
 
といった人種的類型が設定され、性別や年齢、職業、信仰、居住特性、経済状況などの要因が自殺に影響していることが認められている。とはいえ、自殺を身体的、精神的病理の現れとする見方が支配的であった。
 
 
 
これに対して[[エミール・デュルケーム]]は、1897年の『[[エミール・デュルケーム#『自殺論』|自殺論]]』において、モルセッリやワーグナーの研究成果を参照しながらも、精神病理や人種・遺伝、気候、[[模倣]]によっては自殺の現象が完全には説明できないことを統計的に明らかにし、「それぞれの社会は、ある一定数の自殺をひきおこす傾向をそなえている」として、社会ないし集団の条件と結びついて生じる自殺傾向を社会学の研究対象として位置づけた。つまり、一定範囲内の自殺の発生は「正常な」社会現象だというのである。デュルケームは、近代社会における(社会的紐帯の弱化による)「自己本位的自殺」、(欲望の際限なき拡大がもたらす苦痛による)「[[アノミー]]的自殺」の2タイプを定式化するとともに、伝統的社会における「集団本位的自殺」、極限状況における「宿命的自殺」を析出し、計4類型を設定した。
 
 
 
[[ジークムント・フロイト|フロイト]]は長らく人間の[[心理]]の底にある生命衝動としては「生の欲動([[リビドー]]または[[エロス]])」によって快を受け苦痛を避ける[[快感原則]]で説明しようとしたが、晩年近くになり[[PTSD]]で苦痛なはずの体験を反復強迫している症例などから、それでは説明できない破壊衝動を見出し、後にそれを「死の欲動([[デストルドー]]または[[タナトス]])」と名付け、生を「生の欲動」と「死の欲動」との闘争、さらには愛憎混じった感情の転移であるなどの思索をした。これらの考えに批判も多いが、自殺者の心理剖検に対し一定の貢献があったと[[臨床]]の現場では受け止められることもある<ref>この臨床例は、熊倉伸宏『死の欲動―臨床人間学ノート』新興医学出版社、2000年 ISBN 4-88002-423-6 などに詳しい。</ref>。
 
 
 
== 自殺の手法 ==
 
{{出典の明記|section=1|date=2008年5月}}
 
{{暴力的|section=1}}
 
{{注意|image=Justice and law.png|ウィキペディアは'''[[百科事典]]'''であり、以下の記述は'''自殺'''を[[幇助]]・推奨するものではありません。|section=1}}
 
 
 
WHOは、世界の自殺のおおよそ30%は服毒であり、特に地方農村部や、低中所得国に多いとしている<ref name="whofact" />。他に多い方法としては、首吊りや焼死を挙げている<ref name="whofact" />。
 
 
 
=== 縊頸(首吊り) ===
 
{{Main|縊死}}
 
[[画像:Giotto_-_Scrovegni_-_-47-_-_Desperation.jpg|thumb|180px|『首吊り』・[[ジョット・ディ・ボンドーネ]]画]]
 
日本において自殺する手法として、男女を問わずもっとも多いのが、首をロープなど紐状のものによって吊り、[[縊死]]することによる自殺である<ref>[http://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/jinkou/tokusyu/suicide04/6.html 厚生労働省 統計 手段別にみた自殺]</ref>。
 
 
 
;死体現象
 
死後、[[括約筋]]の弛緩により吊り下げられた体内から重力により地面に向け鉛直方向に体液([[糞尿]]、唾液、涙など)が流出する。死亡直後に発見された死体は、時により[[眼球]]が飛び出し、[[唾液]]や糞尿が垂れ流れ、男性は[[陰茎]]が[[勃起]]した状態で発見されることもありうる。
 
 
 
未遂の場合、脳が酸欠を起こした時点で脳[[細胞]]の破壊が始まっているために、[[植物状態]]や[[認知症]]、体の[[麻痺]]などといった重い[[後遺症]]を残してしまう可能性が高い<ref>{{Cite book|和書 |author=鶴見済 |authorlink=鶴見済 |title = [[完全自殺マニュアル]] |url = http://www.ohtabooks.com/publish/1993/07/05202311.html |accessdate = 2011-03-06 |date = 1993-07-07 |publisher = [[太田出版]] |language = 日本語 |isbn = 9784872331264 |asin = 4872331265 |pages = 56-69 }}</ref>。また、首を吊る際の衝撃で[[頸椎]]骨折や[[延髄]]損傷などで即死(または即失神)する場合がある。自殺ではないが、日本などで行われる[[絞首刑]]「落床式首吊り死刑台」に多くみられ、救出後仮に命をとりとめても、重大な障害が残る。また軽度であっても、脊髄液の漏出から激しい頭痛などの後遺症に長く苦しむ。
 
 
 
=== ガス ===
 
[[画像:Yasunari_Kawabata 1938.jpg|thumb|200px|川端康成]]
 
ガスの有毒成分による[[中毒]]死と、無酸素または低酸素のガスを吸入することで[[酸素欠乏症|酸欠]]による意識不明、そのまま吸入し続けることで心肺停止で死亡する[[窒息]]死の2種に大別できる。有毒ガスの場合、屋内の部屋で行うと発見者や救助者、同居人、さらに集合住宅の場合は配管のためのパイプスペースなどから、重いガスは階下の人を、軽いガスは階上の人を、さらに爆発性のものならば近隣の者さえ巻き添えにする極めて危険な方法であり、自分だけでなく無関係の者への殺人の危険性すらある方法である。
 
 
 
家庭用ガスで自殺を図り引火、[[爆発]]事故を起こし、[[ガス漏出等罪]]で有罪判決を受けた例もある<ref>一例として、大阪地裁昭和58年2月8日判決 判例タイムズ504号190頁</ref>。その他のガス自殺については[[シンナー]]など揮発性の高い薬品を容器に入れ、容器と一緒に布団をかぶり窒息死した例(『[[完全自殺マニュアル]]』)、[[ヘリウム]]ガスを使用した[[安楽死]]([[Final Exit]])、[[塩素]]系の洗剤など家庭用品を混ぜた際に発生する[[塩素]]ガスや[[硫化水素]]など{{Sfn|世界保健機関|2014|loc=Methods of suicide}}の有毒ガスを吸って[[中毒]]死する方法などがある。なお、有毒ガスによる自殺は周辺住民や救助者にも被害を及ぼす可能性がある。
 
 
 
これらの自殺方法は、首吊りと同じく、長時間の酸欠によって[[脳]][[細胞]]が破壊されるために、未遂時、有毒ガスの場合は呼吸器、皮膚なども含め、[[植物状態]]や[[認知症]]、体の[[麻痺]]や感覚異常などの重篤な後遺症を残す可能性が高い<ref>上述の久留米大学医学部のサイト内を参照。</ref>(「[[一酸化炭素#一酸化炭素中毒]]」も参照)。<!--Wikipediaにおいて自己参照は認められていません。Vidi [[WP:V]] and [[WP:NOR]]-->
 
 
 
=== 大量服薬・服毒 ===
 
{{Main|オーバードース}}
 
[[画像:Suicide_of_Reichsfuehrer_Ss_Heinrich_Himmler,_May_1945_BU6732.jpg|thumb|200px|ハインリヒ・ヒムラーの死]]
 
[[精神疾患]]などの治療を受けている人が、処方された薬を大量服薬して自殺を図ることがある<ref name="mhlw1006">{{cite press release|author=|title=向精神薬等の過量服薬を背景とする自殺について 障精発0624第1号/2号|publisher=厚生労働省 |date=2010-06-24|url=http://www.mhlw.go.jp/bunya/shougaihoken/jisatsu/jisatsu_medicine.html|accessdate=2013-03-15}}</ref>。家族や友人が薬を服用しており(特に[[三環系抗うつ薬]]などの[[賦活症候群]])、かつ自殺願望やうつ症状を持っていたり、[[リストカット]]などの[[自傷行為]]を頻繁に行ったりするような状況の場合、注意が必要である<ref>{{cite report |author=[[英国国立医療技術評価機構]] |title=Borderline personality disorder - Clinical guidelines CG78 |url=http://guidance.nice.org.uk/CG78 |year=2009a|month=01 |publisher=National Institute for Health and Clinical Excellence }}</ref>。精神疾患患者に対する精神安定剤や[[睡眠薬]]などの[[多剤大量処方]]も問題となっている<ref name="mhlw1006" />。
 
 
 
大量服薬をした場合、服用後の経過時間が比較的短い場合は、[[胃洗浄]]を行うのが一般的であるが、服薬量や経過時間、意識状態などによっては胃洗浄を行わないこともある。発見・処置が早ければ後遺症が残らないことも多いが、気道閉塞を伴っていた場合などは死に至ることもある。その他、誤嚥性肺炎、低体温症、肝障害、腎障害、長時間筋を圧迫することによる[[挫滅症候群]]などの合併症が生じることもある。
 
 
 
[[毒物]]を飲むことで自殺を試みる場合もある。毒物の種類はさまざまである。[[近衛文麿]]、[[ハインリヒ・ヒムラー]]などが用いた[[青酸カリ]]が名高いが、古くは[[ソクラテス]]、[[クレオパトラ]](服毒ではないが)が用いた動植物性の神経毒、[[賈南風]]、[[御船千鶴子]]が用いた金属毒などさまざまであり、対処法、後遺症も違う。一般に吐かせることが有効だといわれるが、飲んだものが[[石油]]系製品や[[強酸]]・[[強アルカリ]]性の物質の場合、吐かせるのは[[禁忌]]である。強酸・強アルカリ性の物質を飲んだ場合は、飲んだ時点で[[食道]]や[[胃]]の[[細胞]]が破壊されていることが多く、[[消化器官]]に後遺症が残る場合がある。
 
 
 
=== 飛び降り ===
 
{{main|飛び降り}}
 
[[ビルディング|ビル]]や[[崖]]、[[滝]]などの上から[[飛び降り]]ることにより、[[自由落下]]によって重力で自らの体を加速させ、地面などに激突する衝撃で肉体を破壊し、死亡を試みる方法。'''投身自殺'''ともいわれる。
 
 
 
=== 入水(じゅすい) ===
 
{{Main|入水}}
 
[[画像:Osamu_Dazai1946.jpg|thumb|200px|太宰治]]
 
[[入水]]は[[海]]や川、湖沼などに身を投げ、窒息死を試みる自殺方法。水中で水が気管に入ると咳きこみ、それがさらに大量の水を肺の中にいれ、肺によるガス交換を妨げ、血液中の酸素を低下させることで脳への酸素を断つことにより死亡に至る。したがって肺の中を水で満たされると[[水死]]する。古くからある方法の1つである。息を止めるようなことはせず、冷たい水の中に入ることで体温を奪われることにより自殺することもあるが、それは「低温」の項で後述する。未遂に終わった場合、心停止15分以内に処置ができなければ、他の酸欠による自殺と同様に生き残っても[[アダムス・ストークス症候群]]により脳や神経に重い障害が残る可能性が高い。冬の川や湖など水温の極端に低いところで入水した場合、[[低体温症]]により死亡するまでの時間が延びて、他の人に救助される可能性も高くなる。条件がよければ、数時間の仮死状態ののち、ほとんど脳にダメージを受けることなく蘇生することもある。ただ、このような場合は寒さにより入水した直後[[ショック死]]をすることもあり、一概にはいえない。また、[[滝]]の上のような高い場所から[[飛び降り]]、入水することで自殺しようとする場合もあり、[[栃木県]][[日光市]]の[[華厳滝]]で[[藤村操]]が滝つぼへ飛び込み自殺した事件は有名である。作家[[太宰治]]は愛人と[[玉川上水]]に入水自殺を遂げた。
 
 
 
艦船が沈没する際に艦長船長が船と運命をともにするということがある([[船員法]]の「船長の最後退船の義務」が拡大解釈されたもの)。氷山と衝突した[[タイタニック (客船)|タイタニック号]]や、[[イギリス海軍]]やその伝統を受け継いだ[[日本海軍]]でも広く行われた<ref>月刊丸2007年4月号</ref>。
 
 
 
=== 飛び込み ===
 
[[File:Suicide Prevention Illuminations 003.JPG|thumb|right|300px|[[東日本旅客鉄道|JR東日本]]が[[プラットホーム]]に設置している青色光を放つ2種類([[LED照明]]と[[蛍光灯]])の自殺防止灯]]
 
 
 
[[鶴見済]]の著書『[[完全自殺マニュアル]]』によれば、[[自動車|車]]や[[鉄道]]などへの飛び込みによって自殺を行う飛び込み自殺は、死体の肉片や血液が周囲に飛び散るために周囲へ与える影響や印象も大きく、自殺後の[[死体]]は悲惨なものとなる。高速で走行する[[新幹線]]の場合はさらに凄惨で、瞬時に跡形もなく粉砕され、臓器や肉片が衝突場所から2 - 5 kmにわたって散乱する<ref name="tobikomi">{{Cite book|和書 |author=鶴見済 |authorlink=鶴見済 |title = [[完全自殺マニュアル]] |url = http://www.ohtabooks.com/publish/1993/07/05202311.html |accessdate = 2011-03-06 |date = 1993-07-07 |publisher = [[太田出版]] |language = 日本語 |isbn = 9784872331264 |asin = 4872331265 }}</ref>。未遂に終わった場合でも、四肢が切断されるなどの大怪我を負い、残りの人生を[[寝たきり]]の状態や[[車椅子]]などに頼って生きなければならないことが多い。[[通勤]]・[[通学]]途中や帰宅途中の駅で飛び込み自殺に及ぶケースが多く、割合が高いのは、男性の[[サラリーマン]]<ref name="tobikomi"/>である</span>。
 
 
 
[[2013年]](平成25年)9月、[[京都大学]]の研究グループは、直前数日間の[[日照時間]]の少なさが鉄道自殺に関係すると明らかにした<ref>[http://response.jp/article/2013/10/09/208136.html 直前数日間の日照時間が少ないと鉄道自殺の危険性高まる…京都大研究グループ | レスポンス]</ref><ref>[http://www.kyoto-u.ac.jp/ja/news_data/h/h1/news6/2013/130925_412931033043.htm 直前数日間の日照時間が少ないほど鉄道自殺の危険性が高いことが明らかに -鉄道自殺の予防に期待- — 京都大学]。[[2013年]][[9月25日]]、[[京都大学]]研究グループ発表</ref>。
 
 
 
ただし、鉄道線路への落ちる者は、必ずしも自殺志願者でないことも多い。「視力が弱い人や泥酔者の転落」「保護者の不注意による幼児の転落」といった事故のほか、「悪ふざけや犯罪など他者による突き落とし」による飛び込みもあるので、注意されたい。
 
 
 
;鉄道への飛び込み自殺
 
[[鉄道事業者]]では、自殺でない場合も考慮し、発生直後は「[[鉄道人身障害事故|人身事故]]」と呼ぶ。鉄道への飛び込みは列車の遅延・運休が生じ多くの利用客に影響を与えるので[[社会問題]]化している。
 
 
 
また、偶然飛び込み自殺の現場付近に居合わせた[[乗務員]]や[[旅客]]が傷害を負う事故も多数発生している<ref>[[2006年]](平成18年)2月16日 [[小田急小田原線]][[小田急相模原駅]]を通過中の[[箱根湯本駅|箱根湯本]]行「[[はこね (列車)|はこね]]43号」に20代の男性が飛び込み自殺。その際に男性の体が車両前面の展望室に激突して窓ガラスが飛散。車内の乗客9人が重軽傷を負った。</ref>。
 
 
 
事故後に鉄道会社が請求する[[損害賠償]]額は原則として非公表だが<ref name="jcast">[http://www.j-cast.com/2008/08/14025166.html?p=1 J-CASTニュース「人身事故という名の「電車飛び込み自殺」「遺族に1億円請求」は都市伝説か」] 2010年8月6日閲覧。</ref>、例えば[[京浜急行電鉄]]の場合、被害額が200万程度であっても、実際の請求額は高くても100万円に満たないという。([[京浜急行電鉄]]の広報宣伝担当による)<ref name="jcast" />。なお、自殺を図った者が死亡した場合、自殺者の遺族が[[相続放棄]]を行って賠償を免れるケースもある。[[洋光台駅]]での事例では、PTSDを発症した30代の女性が自殺した男性の遺族に[[慰謝料]]を請求したものの却下。女性は「鉄道会社に責任がある」として[[東日本旅客鉄道|JR東日本]]を提訴した<ref>[[神奈川新聞]] [[2009年]]10月14日</ref>。
 
 
 
;鉄道会社の対策
 
 
 
自殺・転落防止のために[[ホームドア]]を設置している路線もあるが、建設費が高額、車両の種類によって扉の位置が合わない、混雑が激しい区間などの理由により、普及は遅れている<ref>[http://mainichi.jp/select/jiken/news/20101209k0000e040049000c.html ホーム防護柵:必要駅の16% コストネックで設置進まず]-[[毎日新聞|毎日.jp]] 2010年12月9日</ref>。
 
 
 
JR東日本は[[企業の社会的責任]]の一環として、[[いのちの電話]]の活動を財政的に支援しているほか、ホームと向かい合う壁に[[鏡]]の設置、発車ベルを[[発車メロディ]]に変える、青色照明を設置する、[[列車非常停止警報装置|緊急停止ボタン]]を設置するなどの試みもなされている。
 
 
 
=== 刃物による失血死 ===
 
[[画像:Seneca.JPG|thumb|200px|セネカ]]
 
刃物による失血死を試みるケースも少なくない。<!---{{要出典範囲|2014年2月|これは[[リストカット]]などの[[自傷行為]]を行っている人が少なくないことに由来する。失血死を試みる人、自傷による失血死をした人には実際に[[自傷行為]]経験者が多い}}--->[[静脈]]を切断した場合は、切ってから死に至るまでの時間が長いので、[[ルキウス・アンナエウス・セネカ|セネカ]]のように意図して緩慢な自殺を選んだ場合を除けば、誰かに見つかって未遂に終わることが多い。また、自殺する際の苦痛も大きい。ただし、[[心臓]]や[[動脈]]を切った場合は、出血性[[ショック]]により死亡する可能性がある。なお、後述するが、死ぬのが目的ではなく自傷行為そのものが目的であったとしても、出血がひどくて失血死をしてしまう場合もある。切ったのが静脈の場合、発見・対処が早ければ後遺症が残ることはまれである。切ったのが動脈の場合は、一刻も早く止血する必要がある。健康な成人の場合、体内から半分の[[血液]]が失われると死亡するといわれている<ref>[http://www.synapse.ne.jp/labo/Q&A/005.html ラボ・データ研究所/Q&A/005 血液の量は?]</ref>。ただし、失った血液量にかかわらず、傷口が深い場合は[[神経]]が破損している場合や、そうでなくても切った傷跡が何年も残る。[[解剖学]]に通じてない者の場合、[[頚動脈]]を切ろうとして[[頚静脈]]を切ってしまう例がある<ref>[[渡辺淳一]]『自殺のすすめ』</ref>。
 
 
 
発見した場合は、腕を切っているのならば、脇を[[ベルト (服飾)|ベルト]]や[[ネクタイ]]などで[[止血#止血の方法|止血]]する。腹などの場合は圧迫して止血し、止血した時間を救急に知らせる。なお、自殺かどうかにかかわらず、事故・事件の場合も含め、頭部や腹部に刃物などが刺さっている場合に無理に抜くと、かえって傷口を広げる場合も多く、刃物が傷口の「栓」の役割も兼ねている場合は抜くことで失血死する可能性が高まるため、抜かないでそのままにしておく。発見した場合は一刻も早く救急に連絡し、体温低下によって体力が消耗するのを防ぐために毛布などをかけて体温を保つ。無理に揺り動かすのは傷口が広がる可能性があるために良くない。針と糸で動脈などの傷口を縫合できれば生存率は上がる。
 
 
 
特徴的な自刃自殺として[[武士]]がその名誉を守るために行っていた[[切腹]]が挙げられる。腹部を損傷することにより、内臓出血による緩慢なショック死をもたらす。ただし、[[江戸時代]]以降は苦痛が長引くことを嫌って、切腹を行った直後に、傍にいる刑手が斬首して即死させる「介錯」と呼ばれる行為がなされた。
 
 
 
=== 焼身自殺 ===
 
{{main|焼身自殺}}
 
自らの体に[[ガソリン]]や[[灯油]]などの燃料をかけ、それに火をつけて行う自殺である。かつては油のしみこんだ蓑に火をつけて殺すなど、拷問的な火刑の一つに採用された方法である。燃えるのは主に気化した燃料である。燃料は体温で気化し、引火後は燃焼で気化し燃焼を続け体を焼く。液体の燃料を体にかけると、厳冬期でも体の体温で気化し引火性のガスが被服の間に充満し、わずかな火気や静電気に対しても非常に危険な状態になる。灯油などの着火点の高い(40℃程度)燃料も、体温による気化ガスが発生するので、床に流れた灯油とは比較にならない引火性をもつ。ここで点火もしくは引火し着火すれば、一瞬で全身が火だるまになる。燃料がごく少量でも、化繊の被覆ならば溶けて燃え、燃料とともに体を損傷する。肌を濡らすほどの燃料に引火すると、仮に消火に成功しても大きな障害が残る。燃焼中も自らの皮膚が白く変色して硬化し、激痛を感じる。広範囲な[[熱傷]]、[[気道]]熱傷を伴い死に至ることも多いが、即死する場合は少なく、死に至るまでの期間も比較的長いことが多く、呼吸不全、全身のやけどによる激痛により苦痛は長く激しい。また、救命される例も多いが、急性期には集中治療を要し、その後も何度にもわたる激痛を伴う[[植皮|植皮手術]]を行う必要があり、その治療には長期を要する。回復後も四肢機能の低下や美容的問題などの後遺症を残すことが多い。
 
 
 
抗議手段の1つとして焼身自殺が選ばれることも多い。[[ベトナム戦争]]当時の南ベトナム政権による[[仏教]]徒弾圧に対する抗議のためにビデオカメラの前で焼身自殺した[[ティック・クアン・ドック]](釋廣德)師<ref>彼は支援者たちが拝跪する中、燃え上がる炎の中でも蓮華坐を続け、絶命するまでその姿を崩さなかった。その衝撃的な姿がカメラを通じて世界中に放映され、ベトナム国内だけでなく国際世論に大きな影響を与えることとなった。[[左翼思想]]をもつ[[ロックバンド]]、[[レイジ・アゲインスト・ザ・マシーン]]の初アルバムには炎に包まれるティック・クアン・ドックの写真が載せられている。</ref>、彼を範にしてベトナム戦争抗議の焼身自殺を遂げた[[由比忠之進]]、[[アリス・ハーズ]]などが知られている。
 
 
 
=== 感電 ===
 
自分の身体を[[感電]]させることによって自殺する方法。『[[完全自殺マニュアル]]』によれば1995年の日本の統計では感電自殺者の95%が男性という極端に性差の激しい手段として紹介されている。手段としては湯船に水を入れ、自身も入った後に感電物を入れる、電源コードの銅線をむき出しにして体に貼り付けて電源を入れるなどがある。いずれの場合も発見者、救助者の感電の危険性がある。
 
 
 
=== 銃による自殺 ===
 
<!-- Vidi [[WP:V]] and [[WP:NOR]][[銃]]が身近にある場合、即座に自殺を決行でき、殺傷力も申し分ないため、よく使用される。-->
 
[[ファイル:Edouard Manet 059.jpg|thumb|240px|[[エドゥアール・マネ]]の絵画『自殺』<br/>拳銃を右手に持っている]]
 
日本では[[銃]]は[[銃砲刀剣類所持等取締法|銃刀法]]によって厳しく取り締まりが行われているため、銃による自殺は極めて少ない。[[拳銃]]自殺にいたってはほとんどが[[警察官]]や[[自衛官]]、[[暴力団]]である。それに対して、銃の所持に寛容な国では銃による自殺が多い<ref> [http://mmh.banyu.co.jp/mmhe2j/sec07/ch102/ch102a.html メルクマニュアル家庭版,102章 自殺行動]</ref>。中でもアメリカは自殺手段の半分以上を銃が占める<ref>[http://www.suicide.org/suicide-statistics.html Suicide Statistics米自殺統計]</ref>。銃自体も100ドル程度から手に入り、[[弾丸]]も1発20セントから買える。また、自衛の意識が強く、[[狩猟|狩り]]が盛んであるため、多くの家庭に銃があり、州によってはスーパーなどで手軽に弾薬も購入できる。アメリカ以外では、[[カナダ]]<ref>[http://www.statcan.ca/bsolc/english/bsolc?catno=11-008-X20020026349 SuicideDeathsAndAttempts(自殺とその試み)]</ref>、[[オーストラリア]]<ref>[http://www.abs.gov.au/AUSSTATS/abs@.nsf/Lookup/3309.0Main+Features12005?OpenDocument Suicides, Australia, 2005(オーストラリア統計局)]</ref>などの国々も、銃による自殺が多い。
 
 
 
銃で頭を撃ち抜いても、[[脳幹]]の機能を破壊できないと死亡に至らない。映画などでよく描写される拳銃自殺に、[[こめかみ]]に銃口を当てて引き金を引くという方法があるが、発射の反動や引き金の固さ(大型リボルバーなどは撃鉄をあげても引き金はかたく、射撃も両手で行う)によって銃口が動き、弾道がそれて生存する場合がある<ref>Repassez des Cercueils H. Werner</ref>。
 
 
 
より確実な方法として、脳幹を狙える口に銃口をくわえて発射する方法を取る場合が古くからある。1978年に自殺した[[田宮二郎]]や、1987年会見中に自殺した[[R・バド・ドワイヤー]]、1993年に、クリントンアメリカ大統領次席法律顧問の[[ヴィンセント・フォスター]]や、1945年8月15日[[古賀秀正]][[近衛師団|近衛第一師団]]参謀が割腹した時、とどめに口中を撃っている。2007年6月に島根県出雲市の出雲署内で、25歳の女性巡査長が拳銃で口から頭を撃つなど、多数例がある。
 
 
 
=== その他の方法 ===
 
[[画像:KevorkianUCLARoyce.jpg|thumb|190px|ジャック・ケヴォーキアン]]
 
 
 
== 法律 ==
 
=== オランダ ===
 
[[オランダ]]においては、[[2000年]]に[[安楽死]]が合法化された。ただし、死期が近く、耐えがたい肉体的苦痛があり、治療の方法がないなどの厳格な要件が付与されている。
 
 
 
=== 日本 ===
 
日本でも他人を自殺させること、自殺を助けることは[[自殺関与・同意殺人罪|自殺関与罪]]([[b:刑法第202条|刑法第202条]])とされ、法律で禁止されている。また、もともと自殺する意思がない人に自殺を決意させて自殺させることは[[自殺幇助罪]]として、法律で禁止されている。また、一人で自殺しようとしそれが未遂で終わった場合、その行為自体では処罰の対象とはならない。だが自殺を複数人数で行おうとし未遂に終わった場合は、互いに対する犯罪として処罰される([[自殺関与・同意殺人罪]])。また、{{いつ範囲|現在の|date=2016年4月}}日本の刑法では、自殺しようとした行為で同時で他者に危険を及ぼした場合(ガス自殺を図った場合の[[ガス漏出罪]]・[[失火罪]]など)は、具体的な被害がなくても処罰される可能性がある。また、第三者に被害が発生した場合(たとえば飛び降り自殺、飛び込み自殺など)には、刑事手続上は重[[過失致死罪]]などの罪により自殺した者は、被疑者死亡で送検される可能性があり、[[民事]]上は被害者から、自殺した者の遺族に対して[[損害賠償]]責任が発生する可能性がある(厳密には、「自殺した本人に賠償請求をして、それを遺族が相続する」という形となる。ここでいう「遺族」とは、相続権を保持する人のことである。自殺者が残した遺産の総額と損害賠償額を比較して、損になるような場合には[[相続放棄]]をすればよい)。
 
 
 
その他、日本での自殺に関する法律として、2006年(平成18年)の[[自殺対策基本法]]や、[[銃砲刀剣類所持等取締法]]第5条での「自殺をするおそれがあると認めるに足りる相当な理由がある者については銃砲刀剣類の所持を許可してはならない」といったものがある。
 
 
 
また[[保険法]](第51条第1号)には「保険者は、被保険者が自殺をしたときには、保険給付を行う責任を負わない」とある。[[貸金業法]]12条の7でも「保険契約において、自殺による死亡を保険事故としてはならない」とある。ただし、[[精神障害]]によって自殺行為の結果に対する認識能力のない[[精神疾患]]者による未遂の場合は、例外的に保険給付される<ref>{{PDFlink|[http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/2r98520000006re7-img/2r98520000006rfp.pdf PDF]}}自殺未遂による傷病に係る保険給付等について 厚生労働省保険局保険課長 2010年5月21日</ref>。
 
 
 
== 比喩的表現 ==
 
確実に失敗・自滅するとわかっている方法をあえて採用することを「自殺行為」と言うことがある。
 
 
 
== 関連項目 ==
 
{{Columns-list|colwidth=15em|
 
* 自殺
 
** [[自殺予告]]
 
** [[自殺の名所]]
 
** [[自殺した有名人の一覧]]
 
** [[自殺攻撃]]
 
* [[メンタルヘルス]]
 
** [[トラウマ]]
 
** [[PTSD]]
 
** [[死生観]]
 
** [[人生の意義]]
 
* [[児童精神医学]]
 
* [[労働安全衛生]] / [[産業精神保健]]
 
** [[無縁社会]]
 
** [[身辺整理]]
 
* [[ウェルテル効果]] - 自殺の波及効果
 
** [[暗い日曜日]] - ハンガリーの曲
 
** [[デプレッシブブラックメタル]]
 
* [[愚行権]]
 
* [[スーサイドドア]]
 
* [[図頼]](中国の風習)
 
}}
 
==参考文献==
 
'''国際機関'''
 
* {{Cite report |title=Making Mental Health Count The Social and Economic Costs of Neglecting Mental Health Care |publisher=[[OECD]] |date=2014-07 |doi=10.1787/9789264208445-en |ref={{SfnRef|OECD|2014}} }}
 
* {{Citation | last = [[世界保健機関]] | accessdate = 2011-10-30 | title = International Statistical Classification of Diseases and Related Health Problems 10th Revision (ICD-10) Version for 2010 | publisher = [[世界保健機関]] | url = http://apps.who.int/classifications/icd10/browse/2010/en#/X60-X84 }}
 
* {{Cite press| last =[[世界保健機関]] | date =2004-07-08 | title =Suicide huge but preventable public health problem, says WHO | place =GENEVA | publisher =[[世界保健機関]] | url =http://www.who.int/mediacentre/news/releases/2004/pr61/en/ }}
 
* {{Citation | editor-last = Krug | editor-first =Etienne | editor-last2 =Dahlberg | editor-first2 =Linda | editor-last3 =Mercy | editor-first3 =James | editor-last4 =Zwi | editor-first4 =Anthony | editor-last5 =Lozano | editor-first5 =Rafael | date =2002 | title =World report on violence and health | place =Geneva | publisher =[[世界保健機関]] | isbn =92-4-154561-5 | url =http://www.who.int/violence_injury_prevention/violence/world_report/en/full_en.pdf }}
 
*WHO自殺予防マニュアル
 
** {{Cite report |author= Mental and Behavioural Disorders Department of Mental Health |title=Preventing suicide : a resource for counsellors |date=2006| publisher =[[世界保健機関]] |url=http://www.who.int/mental_health/resources/preventingsuicide/en/ |ref={{Sfnref|WHO|2006}} }} - カウンセラー向け自殺予防マニュアル
 
** {{Cite report |author= Mental and Behavioural Disorders Department of Mental Health |publisher=[[世界保健機関]] |title=Preventing suicide : a resource for general physicians |id=WHO/MNH/MBD/00.1 |url=http://www.who.int/mental_health/media/en/56.pdf }} - 総合診療医向け自殺予防マニュアル
 
** {{Cite report |publisher=[[世界保健機関]] |title=Preventing Suicide: A Resource for Media Professionals |date=2008 |author= Mental and Behavioural Disorders Department of Mental Health |id=WHO/MNH/MBD/00.2 |url=http://www.who.int/mental_health/media/en/426.pdf |ref={{SfnRef|WHO|2008}} }} [[自殺を予防する自殺事例報道のあり方]]
 
** {{Cite report|title=WHO による自殺予防の手引き -平成14年度厚生労働科学研究(こころの健康科学研究事業) |author=世界保健機関 |author2=高橋祥友|date=2002 |url=http://www8.cao.go.jp/souki/tebiki.pdf |ref={{SfnRef|世界保健機関|高橋祥友|2002}} }}
 
* {{Cite |title=Preventing suicide: A global imperative |publisher=[[世界保健機関]] |date=2014 |isbn=9789241564779 |url=http://www.who.int/mental_health/suicide-prevention/world_report_2014/en/ |ref={{SfnRef|世界保健機関|2014}} }}
 
 
 
'''政府資料'''
 
* {{Citation | last = 厚生労働省大臣官房統計情報部| year =2007 | title = 疾病、傷害及び死因分類の正しい理解と普及に向けて(ICD-10(2003 年版)準拠)| publisher = 厚生労働省大臣官房統計情報部| url = http://www.mhlw.go.jp/toukei/sippei/dl/fukyuubon.pdf }}
 
* {{Citation | last =厚生労働省| accessdate = 2011-10-30 | title = 死因分類表| publisher =厚生労働省| url = http://www.mhlw.go.jp/toukei/sippei/xls/siin.xls }}
 
* {{Citation | author = 厚生労働省大臣官房統計情報部医政局 | year = 2010 | title = 死亡診断書(死体検案書)記入マニュアル 平成22年度版 | publisher = 厚生労働省大臣官房統計情報部医政局 | url = http://www.mhlw.go.jp/toukei/manual/dl/manual.pdf }}.
 
* {{Citation | author = 総務省行政評価局 | year = 2005 | title = 自殺予防に関する調査結果報告書 | publisher = 総務省行政評価局 | url = http://www.soumu.go.jp/kanku/tohoku/yamagata/hyouka/result/jisatsuhoukokusyo.pdf }}
 
* {{Citation | 和書| last= 中根| first= 憲一| year= 2007 | title= 我が国の検死制度―現状と課題―| periodical= レファレンス| volume = 57 | issue= 2 | pages= 96-124 | url= http://www.ndl.go.jp/jp/data/publication/refer/200702_673/067306.pdf }}
 
* {{Citation | author = 犯罪死の見逃し防止に資する死因究明制度の在り方に関する研究会 | year = 2011 | title = 犯罪死の見逃し防止に資する死因究明制度の在り方について | publisher = | url = http://www.npa.go.jp/sousa/souichi/gijiyoushi.pdf }}
 
*{{Cite report |publisher=自殺予防総合対策センター |date=2004-04|title=行政担当者のための自殺予防対策マニュアル |url=http://ikiru.ncnp.go.jp/ikiru-hp/manual/gyosei.html |ref={{SfnRef|自殺予防総合対策センター|2004}} }}
 
 
 
'''その他'''
 
* {{Citation | last= Eberwine | first= Donna | year= 2003 | title= The Violence Pandemic: How Public Health Can Help Bring it Under Control | periodical= Perspectives in Health Magazine: The Magazine of the Pan American Health Organization | volume= 8 | issue= 3 | pages= | url=http://www.paho.org/English/DD/PIN/Number18_article1.htm
 
}}
 
* {{Citation | 和書 | last = 倉嶋 | first = 厚 | year = 2004 | date =2004-02-01 | title = やまない雨はない―妻の死、うつ病、それから… | publisher = 文藝春秋 | isbn = 9784167656966 }}
 
* {{Cite report|publisher=[[自殺対策支援センター ライフリンク]] |title=自殺実態白書 |date=2008 |url=http://www.lifelink.or.jp/hp/whitepaper.html |ref={{SfnRef|自殺実態白書|2008}} }}
 
 
 
'''歴史書'''
 
*[{{NDLDC|1279866/9}} 『近世自殺者列伝』][[宮武外骨]]編 (宮武外骨, 1931)
 
 
 
== 脚注 ==
 
{{脚注ヘルプ}}
 
=== 注釈 ===
 
{{Reflist|group="注"}}
 
 
 
=== 出典 ===
 
{{Reflist|2}}
 
 
 
== 外部リンク ==
 
{{Wiktionary}}
 
{{Commonscat|Suicide}}
 
'''国際機関'''
 
*[http://www.who.int/topics/suicide/en/ Suicide] - WHO
 
** [http://www.who.int/mental_health/prevention/suicide/suicideprevent/en/ Mental health - Suicide data] - WHO
 
*[https://data.oecd.org/healthstat/suicide-rates.htm Health status - Suicide rates] - OECD
 
 
 
'''政府機関'''
 
* [http://www.cdc.gov/ViolencePrevention/suicide/index.html Suicide Prevention] - 米国CDC
 
* [http://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/jinkou/tokusyu/suicide04/index.html 厚生労働省 自殺死亡統計の概況]
 
* [http://www8.cao.go.jp/jisatsutaisaku/index.html 共生社会政策統括官 自殺対策] - 内閣府
 
* [http://www.esri.go.jp/jp/archive/hou/hou020/hou018.html 内閣府経済社会総合研究所 自殺の経済社会的要因に関する調査研究報告書]
 
* [http://www8.cao.go.jp/jisatsutaisaku/whitepaper/index-w.html 自殺対策白書](内閣府政策統括官共生社会政策担当)
 
* [http://jssc.ncnp.go.jp/index.php いのち支える 自殺総合対策推進センター (JSSC)] - [[国立精神・神経医療研究センター]]内
 
* {{PDFlink|[http://www.jaish.gr.jp/information/jisatu/thp21_27.pdf 自殺の予兆 - 安全衛生情報センター]}}
 
 
 
'''その他'''
 
* [http://www.lifelink.or.jp/hp/whitepaper.html 自殺実態白書2008]([http://www.lifelink.or.jp/hp/ top.html NPO法人 自殺対策支援センター ライフリンク] )
 
{{SEP|suicide|Suicide}}
 
* {{脳科学辞典|自殺}}
 
* {{DMOZ|Health/Mental_Health/Disorders/Suicide}}{{en icon}}
 
 
 
{{アジアの題材|自殺|}}
 
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 +
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[[Category:自殺|*]]
 
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[[Category:社会問題]]
 
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自殺(じさつ)

みずからの意思でみずからの生命を絶つ行為。その概念,法律上の扱われ方は時代,地域 (国) ,宗教,生活慣習などにより異なる。原因は多種多様であるが,É.デュルケムは『自殺論』で社会学的に解明した。彼は社会学的には自殺の個人的動機そのものよりも,主として自殺に追込む諸要因を解明することによって自殺への傾向や社会構造的特徴を明らかにしようとした。自殺の手段も多様で服毒 (催眠薬など) ,ガス,縊首 (いしゅ) などがある。自殺者の増減には,社会情勢が大きく影響することも見逃せない。日本ではかつては青年層の自殺が多かったが,その後 65歳以上の老人の自殺率が非常に目立つようになってきており,動機としては病苦が圧倒的に高い比率を占めている。



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