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{{Otheruses}}
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'''素粒子'''(そりゅうし、{{lang-en-short|elementary particle}}
{{出典の明記|date=2013年12月}}
 
[[File:Standard Model of Elementary Particles.svg|thumb|300px|[[標準模型]]に含まれる17の素粒子]]
 
[[物理学]]において'''素粒子'''(そりゅうし、{{lang-en-short|elementary particle}})とは、[[物質]]を構成する最小の単位のことである。[[基本粒子]]とほぼ同義語である。
 
  
== 概要 ==
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物質を構成する最も基本的,かつ要素的な粒子。すべての物質は[[分子]]と[[原子]]からなり,原子は[[原子核]]とそれを取り巻く[[電子]]から構成されている。原子核はまた[[陽子]][[中性子]]の結合したものであり,陽子や中性子はさらに 3個の[[クォーク]]から構成されていることがわかっている。今日素粒子と考えられているのはクォーク,[[レプトン]],そしてこれらの素粒子の間に働く力を媒介する[[ゲージボソン]]の三つの種属である。クォークは原子核や[[π中間子]]など[[ハドロン]]の構成要素でこれまでに 6種類(アップ〈u〉,ダウン〈d〉,チャーム〈c〉,ストレンジ〈s〉,トップ〈t〉,ボトム〈b〉)の存在が確認されている。一方,レプトンは電子,[[μ粒子]],τ粒子と,それぞれに対応する電子ニュートリノ,μニュートリノ,τニュートリノの総称で,全部で 6種類存在する([[ニュートリノ]])。これらは次の表のように組にして,各組を世代またはファミリーと呼ぶ。
[[File:Elementary particle interactions.svg|300px|thumb|right|標準模型による素粒子の相互作用の説明]]
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素粒子はそれが従う統計によって二種類に分類され、フェルミ統計に従う[[粒子]][[フェルミ粒子]]、ボース統計に従う粒子を[[ボース粒子]]と呼ぶ。現時点で存在が知られているフェルミ粒子は[[クォーク]][[レプトン (素粒子)|レプトン]]とに分類される。一方、現時点で知られているボース素粒子には、素粒子間の相互作用を伝達する[[ゲージ粒子]]と、素粒子に質量を与えるヒッグス機構に関連して現れる[[ヒッグス粒子]]とがある。[[ゲージ粒子]]のうち、[[重力]]を媒介するとされる[[重力子]]は未発見である。
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<table cellpadding="3" border="1" cellspacing="0" width="559">
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<tr>
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<td>
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</td>
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<td nowrap="" align="center">第1世代</td>
 +
<td nowrap="" align="center">第2世代</td>
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<td nowrap="" align="center">第3世代</td>
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<td nowrap="" align="center">電荷</td>
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</tr>
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<tr>
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<td>レプトン</td>
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<td>電子</td>
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<td>μ粒子</td>
 +
<td>τ粒子</td>
 +
<td align="right">-1</td>
 +
</tr>
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<tr>
 +
<td>ニュートリノ</td>
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<td>電子型</td>
 +
<td>μ型</td>
 +
<td>τ型</td>
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<td align="right">0</td>
 +
</tr>
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<tr>
 +
<td valign="center">クォーク</td>
 +
<td>ダウン
 +
アップ
 +
</td>
 +
<td>ストレンジ
 +
チャーム
 +
</td>
 +
<td>ボトム
 +
トップ
 +
</td>
 +
<td align="right">-1/3
 +
2/3
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</td>
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</tr></table>
  
素粒子の大きさは分かっておらず、大きさが無い(点粒子)とする理論と、非常に小さいがある大きさを持つとする理論がある。
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世代が進むにつれて質量が大きくなってゆく。また,ゲージボソンとしては,[[グルーオン]][[光子]],Z<sup>0</sup>ボソン,W<sup>±</sup>ボソンなどの存在が確認されている。クォーク,レプトンおよび Z<sup>0</sup>ボソン,W<sup>±</sup>ボソンに質量をもたせる役割を[[ヒッグス粒子]]が演じている。重力を媒介する[[重力子]]は未確認である。グルーオンはクォークを結合させる力([[強い相互作用]])を媒介するゲージボソンで,この力によりクォークは単体として取り出すことができない。光子は電荷をもつ粒子の間に働くクーロン力を媒介し,Z<sup>0</sup>,W<sup>±</sup>ボソンは[[β崩壊]]など[[弱い相互作用]]を媒介する素粒子である。これら[[素粒子の相互作用]]を記述する体系はゲージ不変性に基づく[[]]の理論で,標準理論([[素粒子の標準理論]])と呼ばれている。
 
 
[[標準模型]](標準理論)では素粒子には大きさが無い(点粒子)ものとして扱っており、現時点では実験結果と矛盾が生じていない。ただし、点粒子は空間が最小単位の存在しない無限に分割可能な連続体であることを前提としているが、標準模型で扱うスケールより15桁以上小さいスケール([[プランク長]]スケール)においては、空間が連続的であるか離散的であるかは判明していない。離散的である場合には点粒子として扱えない。
 
 
 
[[超弦理論]]においては全ての素粒子は有限の大きさを持つひもの振動状態であるとされる。
 
 
 
我々が普段目にする物質は(微小な、あるいは大きさが無い)素粒子からできているにも関わらず、有限の大きさを持っている。それは、複数の素粒子が運動する有限の領域が、[[ハドロン]]や[[原子]]などの大きさを持つ粒子を構成することによる。
 
 
 
素粒子のうちほとんどのものは、自然界に単独で安定的に存在しているわけではないので、[[宇宙線]]の観測や[[加速器]]による生成反応により発見・研究された。素粒子の様々な性質を実験で調べ、それを理論的に体系化していくこと、及び理論的に予言される素粒子を実験で探索していくことが、[[素粒子物理学]]の研究目的である。
 
 
 
== 素粒子の分類 ==
 
=== ボソン(ボース統計に従う粒子) ===
 
; [[ゲージ粒子]]
 
: 素粒子間の相互作用(力)を伝え運ぶ粒子。それぞれの相互作用に応じて以下の種類がある。
 
:* [[光子]](フォトン) - [[電磁相互作用]]を媒介する。[[ガンマ線]]の正体であるためγで表されることが多い。
 
:* [[ウィークボソン]] - [[弱い相互作用]]を媒介する。質量を持つ。
 
:** Wボソン - 電荷±1をもつ。W<sup>+</sup>, W<sup>&minus;</sup>で表され、互いに反粒子の関係にある。
 
:** Zボソン - 電荷をもたない。Z<sup>0</sup>と書かれることもある。
 
:* [[グルーオン]] - [[強い相互作用]]を媒介する。[[色荷|カラーSU(3)]]の下で八種類存在する。
 
:* [[重力子]](グラビトン) - [[重力]]を媒介する(未発見)。標準模型には含まれないが、[[素粒子論]]で取り扱う素粒子のため掲載。
 
; [[ヒッグス粒子]]
 
: 素粒子に[[質量]]を与える。
 
 
 
=== フェルミオン(フェルミ統計に従う粒子) ===
 
; [[フェルミオン]]
 
: 物質を構成する粒子。[[クォーク]]と[[レプトン (素粒子)|レプトン]]に大きく分けられる。更にそれぞれが二系列に分けられ、三世代ずつの計6種類が発見されている。傾向として、世代数が大きいほど質量が大きいとされている。
 
:* [[クォーク]] - 強い相互作用をする。[[ハドロン]]の構成要素とされる。
 
:** 上系列クォーク - 電荷+2/3を持ち、それぞれに[[反粒子]]が存在する。
 
:*** [[アップクォーク]] (u)
 
:*** [[チャームクォーク]] (c)
 
:*** [[トップクォーク]] (t)
 
:** 下系列クォーク - 電荷&minus;1/3を持ち、それぞれに反粒子が存在する。
 
:*** [[ダウンクォーク]] (d)
 
:*** [[ストレンジクォーク]] (s)
 
:*** [[ボトムクォーク]] (b)
 
:* [[レプトン (素粒子)|レプトン]] - 強い相互作用をしない。
 
:** [[ニュートリノ]] - 電荷をもたない。標準模型の範囲では反粒子の存在が必然ではない。
 
:*** [[電子ニュートリノ]] (&nu;<sub>e</sub>)
 
:*** [[ミューニュートリノ]] (&nu;<sub>&mu;</sub>)
 
:*** [[タウニュートリノ]] (&nu;<sub>τ</sub>)
 
:** 荷電レプトン - 電荷&minus;1を持ち、それぞれに反粒子が存在する。
 
:*** [[電子]] (e) - [[原子]]の構成要素として一般によく知られる。電子の反粒子は[[陽電子]]と呼ばれる。
 
:*** [[ミュー粒子]] (&mu;)
 
:*** [[タウ粒子]] (τ)
 
 
 
<!--
 
==== クォークとレプトンの分類表 ====
 
[[クォーク]]と[[レプトン (素粒子)|レプトン]]は以下のように、世代によって分類される。傾向として、世代数が大きいほど質量が大きいとされている。
 
 
 
{| class="wikitable"
 
!  !! 電荷 !! 第1世代 !! 第2世代 !! 第3世代
 
|-
 
! rowspan="2" | [[クォーク]]
 
| +2/3 || [[アップクォーク]] (u) || [[チャームクォーク]] (c) || [[トップクォーク]] (t)
 
|-
 
| &minus;1/3 || [[ダウンクォーク]] (d) || [[ストレンジクォーク]] (s) || [[ボトムクォーク]] (b)
 
|-
 
! rowspan="2" | [[レプトン]]
 
| 0 || [[電子ニュートリノ]] (&nu;<sub>e</sub>) || [[ミューニュートリノ]] (&nu;<sub>&mu;</sub>) || [[タウニュートリノ]] (&nu;<sub>τ</sub>)
 
|-
 
| &minus;1 || [[電子]] (e) || [[ミュー粒子]] (&mu;) || [[タウ粒子]] (τ)
 
|}
 
-->
 
== 関連項目 ==
 
* [[標準模型]]
 
* [[基本粒子]]
 
* [[亜原子粒子]]
 
* [[素粒子物理学]]
 
 
 
{{粒子の一覧}}
 
{{物質構造}}
 
  
 +
{{テンプレート:20180815sk}}
 
{{デフォルトソート:そりゆうし}}
 
{{デフォルトソート:そりゆうし}}
 
[[Category:素粒子|*]]
 
[[Category:素粒子|*]]
 
[[Category:素粒子物理学]]
 
[[Category:素粒子物理学]]

2019/4/27/ (土) 17:13時点における最新版

素粒子(そりゅうし、: elementary particle

物質を構成する最も基本的,かつ要素的な粒子。すべての物質は分子原子からなり,原子は原子核とそれを取り巻く電子から構成されている。原子核はまた陽子中性子の結合したものであり,陽子や中性子はさらに 3個のクォークから構成されていることがわかっている。今日素粒子と考えられているのはクォーク,レプトン,そしてこれらの素粒子の間に働く力を媒介するゲージボソンの三つの種属である。クォークは原子核やπ中間子などハドロンの構成要素でこれまでに 6種類(アップ〈u〉,ダウン〈d〉,チャーム〈c〉,ストレンジ〈s〉,トップ〈t〉,ボトム〈b〉)の存在が確認されている。一方,レプトンは電子,μ粒子,τ粒子と,それぞれに対応する電子ニュートリノ,μニュートリノ,τニュートリノの総称で,全部で 6種類存在する(ニュートリノ)。これらは次の表のように組にして,各組を世代またはファミリーと呼ぶ。

第1世代 第2世代 第3世代 電荷
レプトン 電子 μ粒子 τ粒子 -1
ニュートリノ 電子型 μ型 τ型 0
クォーク ダウン

アップ

ストレンジ

チャーム

ボトム

トップ

-1/3

2/3

世代が進むにつれて質量が大きくなってゆく。また,ゲージボソンとしては,グルーオン光子,Z0ボソン,W±ボソンなどの存在が確認されている。クォーク,レプトンおよび Z0ボソン,W±ボソンに質量をもたせる役割をヒッグス粒子が演じている。重力を媒介する重力子は未確認である。グルーオンはクォークを結合させる力(強い相互作用)を媒介するゲージボソンで,この力によりクォークは単体として取り出すことができない。光子は電荷をもつ粒子の間に働くクーロン力を媒介し,Z0,W±ボソンはβ崩壊など弱い相互作用を媒介する素粒子である。これら素粒子の相互作用を記述する体系はゲージ不変性に基づくの理論で,標準理論(素粒子の標準理論)と呼ばれている。



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