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{{Otheruses}}
 
'''米'''(こめ、{{lang-en-short|rice}})は、[[イネ|稲]]の[[果実]]である[[籾]]から外皮を取り去った粒状の[[穀物]]である。穀物の一種として'''米穀'''(べいこく)とも呼ぶ。[[東アジア]]・[[東南アジア]]・[[南アジア]]以外では一般的に[[主食]]として特別視することが希薄であり、日本語でいう「米」「[[イネ|稲]]」「[[飯]]」といった、収穫前・収穫後・調理前・調理後などによる区別がない言語が多数ある。例えば英語圏ではすべて''rice''という同一の単語で扱われる。
 
  
[[File:Hinohikari hulled.jpg|thumb|right|240px|短粒種の玄米]]
+
'''米'''(こめ、{{lang-en-short|rice}}
[[File:US long grain rice.jpg|thumb|240px|成熟期の[[イネ]]([[インディカ米|長粒種]])]]
 
[[File:Rice Animation.gif|thumb|240px|
 
{| class="wikitable"
 
!||形態||||||部位名
 
|-
 
|A||[[籾]]|||| (1)||[[籾殻]]
 
|-
 
|B||[[玄米]]||||(2)||[[糠]]
 
|-
 
|C||胚芽米||||(3)||残留糠
 
|-
 
|D||[[白米]]||||(4)||[[胚芽]]
 
|-
 
|E||[[無洗米]]||||(5)||[[胚乳]]
 
|}]]
 
  
== イネの系統と米 ==
+
[[イネ]]の種実。籾殻([[]])を除いただけの[[玄米]]と,さらに糠(ぬか)を除いた[[白米]]とに大別される。またイネの種類から,おもに日本,エジプト,アメリカ合衆国などで生産される短粒で丸みを帯びた日本型米([[ジャポニカ米]])と,おもにミャンマー,タイなどインドシナ半島で生産される長粒で粘りが少ないインド型米([[インディカ米]])がある。生育上の水分要求度の観点から区別すると水稲と陸稲(おかぼ)とがあり,日本国内の生産においては水稲が 9割を占めている。またデンプン成分の違いから,[[粳米]](うるちまい)ともち米がある。実質的には東アジアおよび南東アジア全域を中心に,世界人口の約半数が主食を米に依存し,世界の米の 95%までが人間の食用となる。米文化の起源は諸説あるが,前7000~前5000年頃の中国ですでに稲作が行なわれていたとみられる。その後徐々に東西へ広まり,中世には南ヨーロッパに紹介されるにいたったとされる。日本へは前3~前1世紀頃に,中国から朝鮮を経て日本型イネが伝えられたようである。
[[File:Rice diversity.jpg|thumb|[[国際稲研究所]](IRRI)による米の種子の収集]]
 
[[イネ科]]植物にはイネのほかにも、[[コムギ]][[オオムギ]][[トウモロコシ]]など、人間にとって重要な食用作物が含まれる。イネはトウモロコシ、コムギとともに[[世界三大穀物]]と呼ばれている<ref name="saishin_p105">農業・生物系特定産業技術研究機構編『最新農業技術事典』農山漁村文化協会 p.105 2006年</ref>。
 
  
イネ科イネ属の植物には22種が知られている<ref name="saishin_p105"/>。このうち野生イネが20種で栽培イネは2種のみである<ref name="saishin_p105"/>。栽培イネは大きく'''アジアイネ'''(アジア種、サティバ種、''Oryza sativa'' L.)と'''[[アフリカイネ]]'''(アフリカ種、グラベリマ種、''Oryza glaberrima'' Steud.)に分けられる<ref name="saishin_p105"/><ref name="sakumotsu_p218">日本作物学会編『作物学用語事典』農山漁村文化協会 p.218 2010年</ref><ref name="ryouri_p307">『料理食材大事典』主婦の友社 p.307 1996年</ref>。また、両者の[[種 (分類学)|種間]][[雑種]]から育成された[[ネリカ]]がある。
+
おもに熱帯,亜熱帯,または温和な地域の沿岸平野部や干満のあるデルタ地,または川の流域で栽培される。イネは変異性に富み,世界に広く分布しているので,栽培方法や栽培時期はさまざまである。水稲は一般に[[苗床]]に種がまかれ,25~50日たったところで[[水田]]に移植される。水流のある 5~10cmの水につかり,成長するまでその状態を保つことが必要となる。収穫された種実は,籾殻に覆われている。通常は脱穀して籾殻と糠を除き,つや出しのため仕上げにグルコースとタルク([[滑石]])をかぶせることもある。籾殻だけを除いた玄米は約 8%の[[蛋白質]]と若干の脂肪を含み,[[ビタミンB<sub>1</sub>]],ビタミンB<sub>2</sub>,ニコチン酸,鉄分,カルシウムの源になる。[[精米]]過程で糠まで除去された白米は栄養価が大幅に低下するため,白米に頼りすぎる食生活は,ビタミンB<sub>1</sub>と無機物の不足から起こる病気である脚気の原因ともなる。白米の栄養的欠陥を補うための米製品には,鉄分とビタミンB<sub>1</sub>,ビタミンB<sub>2</sub>などを添加した[[強化米]]のほか,保存性や即席性を高めた[[α米]]などがある。
  
=== アジアイネと系統 ===
+
調理法は,東洋および中東では主食として粒のまま炊いて食べるが,そのほかにもスープ類に入れたり副食にしたりと,さまざまである。また醸造蒸留され,酒や[[酢]]にも加工される。精米過程の副産物である粉状の糠と,つや出し過程で出るデンプンは家畜の飼料になり,糠からとれる[[ぬか油]]は食用にも工業用にも利用される。砕米はデンプンや[[ビーフン]](米粉)になる。籾殻は燃料や填材,工業研磨剤,肥料原料,化学工業の合成樹脂製造用の[[フルフラール]]などになる。わらは飼料や家畜の敷きわら,マット,衣類などに利用される。
イネは狭義にはアジアイネを指す<ref name="sakumotsu_p218"/>。アジアイネにはジャポニカ種とインディアカ種の2つの系統があり<ref name="sakumotsu_p218"/>、これらの両者の交雑によって生じた中間的な品種群が数多く存在する<ref name="sakumotsu_p218"/>。アジアイネ(アジア種、サティバ種)の米は、'''[[ジャポニカ米|ジャポニカ種]]'''(日本型米、ジャポニカ・タイプ)、'''[[インディカ種]]'''(インド型米、インディカ・タイプ)、そして、その中間の'''[[ジャバニカ種]]'''(ジャワ型米、ジャバニカ・タイプ)に分類されている<ref name="maruzen_p411">『丸善食品総合辞典』丸善 p.411 1998年</ref><ref name="ryouri_p307"/>。それぞれの米には次のような特徴がある。
 
; ジャポニカ種(日本型、短粒種、短粒米)
 
: 粒形は円粒で加熱時の粘弾性(粘り)が大きい<ref name="saishin_p105"/><ref name="nihon_p11">杉田浩一編『日本食品大事典』医歯薬出版 p.11 2008年</ref>。[[日本]]での生産は、ほぼ全量がジャポニカ種である。主な調理法は、炊くか蒸す。他種に比べ格段の耐寒冷特性を示す。
 
; インディカ種(インド型、長粒種、長粒米)
 
: 粒形は長粒で加熱時の粘弾性(粘り)は小さい<ref name="nihon_p11"/>。世界的にはジャポニカ種よりもインディカ種の生産量が多い。主な調理法は煮る([[飯#調理法|湯取]])。
 
; ジャバニカ種(ジャワ型、大粒種)
 
: 長さと幅ともに大きい大粒であり、粘りはインディカ種に近い。東南アジア島嶼部で主に生産されるほか、イタリア・ブラジルなどでも生産される。
 
 
 
なお、日本型とインド型に分類した上で、このうちの日本型を温帯日本型と熱帯日本型(ジャバニカ種)として分類する場合もある<ref name="saishin_p105"/><ref name="nihon_p9">杉田浩一編『日本食品大事典』医歯薬出版 p.9 2008年</ref>。
 
 
 
=== 品種・銘柄 ===
 
[[日本]]においては、'''農産物規格規程'''に、[[品位]]の[[規格]]と、「[[産地品種銘柄]]」として[[都道府県]]毎に幾つかの稲の品種が予め定められている。玄米は、[[米穀検査]]で、品位の規格に合格すると、その品種と産地と産年の[[証明]]を受ける。[[輸入品]]は[[輸出]]国による証明を受ける。
 
 
 
日本国内での[[米の銘柄]](品種)の包装への表示は、'''玄米及び精米品質表示基準'''に定められている。
 
* 原料玄米の産地、品種、産年が同一で証明を受けている単一銘柄米は、それらと、「使用割合100%」を表示''する''。
 
* ブレンド米は「複数原料米」等と表示し、原産国毎に使用[[割合]]を表示し(日本産は国内産と表示)、証明を受けている原料玄米について、使用割合の多い順に、産地、品種、産年、使用割合を表示''できる''。
 
証明を受けていない原料玄米については「未検査米」等と表示し、品種を表示できない。情報公開より偽装防止を優先しているともいえる。
 
 
 
== 種類 ==
 
[[File:Indonesian rice vendor.JPG|thumb|インドネシアの米屋に並ぶ多種多様のコメ]]
 
米は各種の観点から以下のように分類される。
 
 
 
なお、日本では農産物検査法による公示の「農産物規格規程」や、[[JAS法]]に基づいた告示の「玄米及び精米品質表示基準」<ref>{{PDFlink|[http://www.maff.go.jp/j/jas/hyoji/pdf/kijun_04.pdf 玄米及び精米品質表示基準(平成12年3月31日農林水産省告示第515号)]}}</ref>に一定の定めがある。
 
 
 
=== 水稲と陸稲 ===
 
水田で栽培するイネを'''水稲'''(すいとう)、耐旱性や耐病性が強く畑地で栽培するイネを'''[[陸稲]]'''(りくとう、おかぼ)という<ref name="maruzen_p411"/><ref name="nihon_p11"/>。水稲と陸稲は性質に違いがあるが、同じ種の連続的な変異と考えられている。
 
 
 
一般的に圃場の整備については水稲の方がコストがかかる一方で、面積当たりの収量が多く、[[連作障害]]が殆ど無いなどのメリットと、全国的に水田整備がいきわたったことから、現在、[[日本]]の[[稲作]]では、ほとんどが水稲である。水稲の収穫量は798万6000tで陸稲の収穫量は2700t(2015年見込み)おおよそ水稲は陸稲の2957倍となっている。また、栽培面積においても水稲が99.9%以上を占めている。
 
 
 
日本では水稲と陸稲の区分は農産物規格規程においても規定されている。日本では水稲と陸稲は明確に区別されているが、他の国では明確には区別されていない<ref name="saishin_p105"/>(世界的に見ると水稲といっても灌漑稲、天水稲、深水稲、浮稲のように栽培の環境は大きく異なっている<ref name="sakumotsu_p220">日本作物学会編『作物学用語事典』農山漁村文化協会 p.220 2010年</ref>)。
 
 
 
=== 粳米と糯米 ===
 
デンプンの性質(糯粳性)により、[[粳|粳性]]のものを'''粳種'''あるいは'''粳米'''(うるちまい、うるごめ、あるいは単に粳〈うるち、うる〉)、[[糯|糯性]]のものを'''糯種'''あるいは'''[[もち米|糯米]]'''(もちまい、もちごめ)という<ref name="maruzen_p411"/><ref name="nihon_p9"/>。
 
 
 
日本では玄米及び精米品質表示基準で、「うるち」と「もち」に分けられている。
 
; [[粳米]](うるちまい)
 
: デンプン分子が直鎖の[[アミロース]]約20%と分枝鎖の[[アミロペクチン]]約80%から成る米。もち米より粘り気が少ない<ref name="ryouri_p307"/>。粳米は通常の米飯に用いられる。販売で「うるち」を省略される事が認められていて、「もち」と断りが無ければ「うるち」である。団子などの材料とする上新粉は、粳米を粉末に加工したものである。
 
; [[糯米]](もちごめ)
 
: デンプンにアミロースを含まず、アミロペクチンだけが含まれる米<ref>平成18年11月 農林水産省総合食料局総務課発行資料より。</ref>。モチ性の品種の[[デンプン]]は調理時に強い[[粘性]]を生じるという特性を持つ<ref name="saishin_p1126">農業・生物系特定産業技術研究機構編『最新農業技術事典』農山漁村文化協会 p.1126 2006年</ref>。[[餅]]や[[おこわ|強飯]]に用いられる。白玉の材料とする白玉粉や和菓子の材料とする寒梅粉は、糯米を粉末に加工したものである。
 
 
 
アジアイネではジャポニカ種だけでなくインディカ種にも糯米が存在するが<ref name="ryouri_p307"/>、アフリカイネについては糯性のものは知られていない<ref name="sakumotsu_p218"/>。
 
 
 
なお、糯粳性のある植物としては、イネのほか、トウモロコシ、オオムギ、[[アワ]]、[[キビ]]、[[モロコシ]]、[[アマランサス]]などがある<ref name="saishin_p1525">農業・生物系特定産業技術研究機構編『最新農業技術事典』農山漁村文化協会 p.1525 2006年</ref>。
 
 
 
=== 軟質米と硬質米 ===
 
米は軟質米と硬質米に分けられる<ref name="nihon_p11"/>。軟質米は食味の点で優れるが貯蔵性の点では劣る<ref name="nihon_p11"/>。
 
 
 
=== 飯用米と酒造米 ===
 
醸造用の酒造米(酒造用米、[[酒米]])は飯用米と区分される<ref name="nihon_p9"/><ref name="nihon_p11"/>。農産物規格規程には、「うるち」と「もち」に加えて[[醸造]]用が定められている。[[酒造]]が[[酒税法]]で[[規制]]されている為、個人用には売られていない。
 
 
 
=== 新米と古米 ===
 
米は新米と古米と区分される<ref name="nihon_p11"/>。[[新米と古米]]を参照。
 
 
 
=== 有色米 ===
 
[[黒米]]、[[赤米]]、[[緑米]]などを総称して有色米という<ref name="ryouri_p307"/>。野生種に近い米である<ref name="ryouri_p307"/>。古代から栽培していた品種あるいは古代の野生種の形質を残した品種の総称として[[古代米]]と呼ばれることもある。
 
 
 
=== 香り米 ===
 
強い香りを持つ品種を[[香り米]]という。[[東南アジア]]、[[南アジア]]、[[西アジア]]など、地域によっては香りの少ない品種よりも好まれる。[[インド]]の[[バスマティ]]などが有名。
 
 
 
== 生産と流通 ==
 
=== 米の生産 ===
 
{| class="wikitable" style="float:right; clear:left;"
 
! colspan=2|米の生産高 トップ20ヶ国<br>(2010年、百万トン、FAO統計)<ref>{{cite web | url=http://faostat.fao.org/site/339/default.aspx | title=Countries by commodity (Rice, paddy)| last=fao.org (FAOSTAT)| accessdate=Jan 30, 2013}}</ref>
 
|-
 
| {{PRC}} || style="text-align:right;"| 197.2
 
|-
 
| {{IND}} || style="text-align:right;"| 120.6
 
|-
 
| {{IDN}} || style="text-align:right;"| 66.4
 
|-
 
| {{BAN}} || style="text-align:right;"| 49.3
 
|-
 
| {{VNM}} || style="text-align:right;"| 39.9
 
|-
 
| {{flag|Burma}} || style="text-align:right;"| 33.2
 
|-
 
| {{THA}} || style="text-align:right;"| 31.5
 
|-
 
| {{PHI}} || style="text-align:right;"| 15.7
 
|-
 
| {{BRA}} || style="text-align:right;"| 11.3
 
|-
 
| {{USA}} || style="text-align:right;"| 11.0
 
|-
 
| {{JPN}} || style="text-align:right;"| 10.6
 
|-
 
| {{CAM}} || style="text-align:right;"| 8.2
 
|-
 
| {{PAK}} || style="text-align:right;"| 7.2
 
|-
 
| {{KOR}} || style="text-align:right;"| 6.1
 
|-
 
| {{MAD}} || style="text-align:right;"| 4.7
 
|-
 
| {{EGY}} || style="text-align:right;"| 4.3
 
|-
 
| {{SRI}} || style="text-align:right;"| 4.3
 
|-
 
| {{NEP}} || style="text-align:right;"| 4.0
 
|-
 
| {{NGR}} || style="text-align:right;"| 3.2
 
|-
 
| {{LAO}} || style="text-align:right;"| 3.0
 
|}
 
 
 
年間[[生産]]量は6億5000万トンを超える(籾。以下いずれも農林水産省「海外統計情報」より、「FAOSTAT」の2007年統計<ref>[http://www.toukei.maff.go.jp/world/index.html 農林水産省「海外統計情報」]</ref>)。米は[[コムギ|小麦]](年間生産量6億599万トン)、[[トウモロコシ]](年間生産量約7億9179万トン)とともに世界の三大[[穀物]]といわれる。1980年代の生産量は4億5000万トン前後であったため大幅に増産されていることが理解される。
 
 
 
生産量は増加基調だが、[[在庫]]量は[[需要]]の伸びを背景に2000年をピークに減少している。在庫率は2006年には20%を割り込んだ<ref name="syoku">『食料争奪』柴田明夫 日本経済新聞出版社 2007年</ref>。
 
 
 
[[File:RiceYield.png|thumb|240px|left|世界の米の生産量(2000年)]]
 
 
 
米の9割近くは[[アジア]]圏で生産され、消費される。最大の[[生産国]]は[[中国]]で、[[インド]]、[[インドネシア]]が続く。
 
 
 
==== 日本における生産状況 ====
 
日本の農業において、米は最重要の農産物であり、農産物全体に占める生産額の割合は、単一の作目としては最大であり続けている。しかしながら、近年一貫してその比率を落とし、[[1960年代]]は50%前後だったものが、[[2009年]](平成21年)には22.3%に縮小している。生産額は、[[1984年]](昭和59年)の3兆9,300億円(年間生産量約1180万トン)をピークとして、2009年(平成21年)には1兆7,950億円(年間生産量約850万トン)程度まで減少し、米、野菜(米、果物を除く耕種)、畜産物、果物の分類においては、2000年前後には畜産物に、2005年前後には野菜に抜かれ、日本の産業としての農業における地位は年々低下している<ref>農林水産省発表『[http://www.maff.go.jp/j/tokei/kouhyou/nougyou_sansyutu/index.html 生産農業所得統計]』等</ref>。
 
 
 
米は日本の戦後農業政策の根幹であったため、昭和40年代([[1965年]]-[[1974年]])初頭に米の自給が実現できるようになって以降は原則として輸入がなされなかったが、[[ウルグアイ・ラウンド]]において、関税化を延期する代償としてコメにおいては他品目よりも厳しい輸入枠([[ミニマム・アクセス]])を受け入れ、[[1993年]](平成5年)以降、年間77万トンの輸入を行っている。なお、年間20万トン程度の輸出も行っている。
 
 
 
=== 米の貿易 ===
 
米の[[貿易]]量は、増加傾向で推移している。最大の輸出国は[[タイ王国|タイ]]で、[[アメリカ合衆国]]、インド、[[パキスタン]]が続く。上位四か国で、世界の輸出総量の7割を占める。一方、輸入国は[[フィリピン]]、[[ナイジェリア]]、[[イラン]]、[[イラク]]、[[サウジアラビア]]、[[マレーシア]]等で各国100万〜200万トンを輸入している。
 
 
 
米は他の穀物に比べ、生産量に対して貿易量は少ない(生産量の約7%、なお、小麦は約20%、トウモロコシは約12%が生産量に対する貿易量となっている)。これは、米は基礎食料として国内で消費される傾向が強いため、生産量に占める貿易量の割合が低くなっているためである<ref name="syoku"/>。そのため、小麦やトウモロコシと異なり、国際的な[[商品先物取引]]の対象商品となっていない。[[国際取引指標]]は、タイ国貿易取引委員会 (BOT) の[[#亜種|長粒種]]輸出価格。
 
 
 
なお日本国内では、[[2011年]]8月8日より[[東京穀物商品取引所]]と[[関西商品取引所]]で「コメ先物」として商品先物取引の試験上場が開始、[[2013年]]2月12日、名称を関西商品取引所から改名した「[[大阪堂島商品取引所]]」が、東京穀物商品取引所閉所に伴い、同所からコメ先物取引(東京コメ)を引き継いだ。なお、現物決済の標準品は、「東京コメ」については茨城県産、栃木県産及び千葉県産[[コシヒカリ]]、「大阪コメ」は石川県産及び福井県産のコシヒカリとなっている。
 
 
 
=== その他 ===
 
米の生産([[稲作]])には病害虫の防除や稲の生長のため、殺菌剤、殺虫剤、除草剤など各種の[[農薬]]が使用される。農薬については玄米中への残留農薬の基準がある。
 
*プロクロラズ(殺菌剤)
 
*ヒドロキシィソキサゾール(殺菌剤)<ref>{{PDFlink|[https://web.archive.org/web/20120114100224/http://mitochon.gs.dna.affrc.go.jp:81/csdb/jc/jc43/43531.pdf ヒドロキシ-5-メチルィソキサゾールの作物の生育調節作用に関する研究]}}(2012年1月14日時点の[[インターネットアーカイブ|アーカイブ]])</ref><ref>小川正巳、太田保夫、[http://agriknowledge.affrc.go.jp/RN/2010081058 3-ヒドロキシ-5-メチルイソキサゾールの作物の生育調節作用に関する研究 第1報] Japanese Journal of Crop Science 42(4), 499-505, 1973-12-30, {{naid|110001727446}}</ref>
 
*フィプロニル(殺虫剤)
 
*ベンスルフロンメチル(殺菌剤)
 
*メフェナセット(除草剤)
 
*ベンタゾン(除草剤)
 
*ピロキロン(殺菌剤)
 
*ジノテフラン(殺虫剤)
 
*エトフェンプロックス(殺虫剤)
 
 
 
== 歴史 ==
 
稲は、原産地の[[中華人民共和国|中国]]中南部から北部、[[南アジア]]に、そして[[日本]]へと伝わった。[[ムギ|麦]]などの他の穀物に比べて栄養価が高く、ほぼ[[完全食]]であり、大量に収穫できることから、アジアの人口増大を支える原動力となった。
 
 
 
=== 日本 ===
 
[[File:Hokusai01 nihonbashi.jpg|thumb| [[葛飾北斎]]の『[[富嶽三十六景]]』に描かれる米の仲買人]]
 
[[File:Hokusai09 waterwheel.jpg|thumb| [[葛飾北斎]]の『[[富嶽三十六景]]』に描かれる水車の流れ水で米をとぐ農夫]]
 
稲作は日本においては、[[縄文時代]]中期から行われ始めた。これは[[プラント・オパール]]や、[[炭化]]した[[籾]]や米、[[縄文土器]]に残る痕跡などからわかる。大々的に[[イネ|水稲]]栽培が行われ始めたのは、縄文時代晩期から[[弥生時代]]早期にかけてで、各地に[[田|水田]]の遺構が存在する。
 
 
 
弥生期では一粒辺りから生産できる量は400粒ほどだったが<!-- 後述書 p.21 -->(それでも[[ムギ|麦]]が一粒辺り150 - 170粒の生産量であることを考えれば、高い生産量といえる<!-- 後述書 p.21 -->)、[[品種改良]]や水田開発が進んだ現在では一粒辺り2千粒(約5倍)まで生産量が上がっている<ref>[[原田信男]] 『和食とはなにか 旨みの文化をさぐる』 [[角川ソフィア文庫]] 2014年 p.21</ref>。
 
 
 
米は、食料として重要である一方で、比較的長期に保存ができるという特徴から、[[マダガスカル]]の[[メリナ人]]や[[タイ王国|タイ]]における[[サクディナー]]制など、米食文化においては経済的に特殊な意味を持ち、これは日本でも同様であった。
 
 
 
長らく[[租税]]([[租庸調|租]]・あるいは[[年貢]])として、また、[[石高制]]に代表されるように、ある地域の[[領主]]や、あるいは単に家の勢力を示す指標としても使われた。[[貨幣経済]]が発達すると、それとの調和を図るべく、[[札差]]業が発達、[[米切手]]の発生や[[堂島米会所]]に代表される近代的商品取引システムの生成が見られ、江戸時代には[[政治]][[経済]]の中心に米が置かれていた。そのため日本人の米に対する思い入れは強く、米は最も重要な食べ物とされ[[主食]]とされてきた。
 
 
 
しかし、[[社会階級|階級]]や貧富、[[地域]]などによって大きな違いがあり、[[戦後]]の[[高度経済成長]]以前は[[雑穀]]や[[芋]]などを実際の主食にしていた人たちも多く、[[関東地方]]の畑作地帯などでは麦が7割から8割の飯を常食としていた<ref name="shi" />。現在は住宅地になっている[[東京]]の[[杉並区]]では[[大正時代]]から少しずつ[[野菜]]の栽培が増加し、都市近郊の野菜栽培農家に転換したが、それ以前は[[ヒエ|稗]]などの穀物を栽培し、日常食は稗と麦で米は少し入れるだけだった<ref name="zak" />。その一方、明治の初め[[秋田県]][[県令|権令]][[島義勇]]の政府への報告書のなかに、「県民は山間僻地でも白米を食している……」とあり、藩政時代から白米の飯を食べている地域もあった。秋田は日本有数の[[穀倉地帯]]であり、雑穀の生産が少ないこともあって、農民に雑穀を食べるよう強要した他の地域とは違い、[[為政者]]の締め付けが然程ではなかったことにもよる<ref name="zak">増田 昭子 『雑穀の社会史』 吉川弘文館, 2001年, ISBN 4-642-07545-3, 40, 46, 79頁</ref>。また、例えば[[越後長岡藩]]の[[武士]]によるとされる『粒々辛苦録』[[文化 (元号)|文化]]2年([[1805年]])は、農民のきわめて厳しい食生活を描いている。これに対し、同じ越後長岡藩の[[庄屋]]大平家「農家年中行事記」[[天保]]6年([[1835年]])には、しばしば行事が催され食物や酒がふるまわれ、[[小作人]]を含めて自由に食を楽しんでいた様子が窺え、[[為政者]]による記述とは異なり農民側からの記述には悲惨さが感じられない。
 
 
 
このように、最近、各地域に残された[[古文書|家文書]]の研究が進み、厳しい制限のもとに雑穀を中心とした食生活を強いられた貧しい農民像が必ずしも実態を示すものではないことがわかってきた<ref>江原 絢子 他 『日本食物史』 吉川弘文館, 2009年, ISBN 978-4-642-08023-1, 188-190頁</ref>。戦後の学校教育などにより「近世の百姓は米を作りながら米を食べられなかった」という「哀れむべき農民像」が半ば常識となっていることについては、これは為政者側が望んだ農民像であり、実際の農民側の記録を分析したところ近世の農民は、1日に4合程度の米を[[麦飯]]あるいは雑穀などと[[かて飯]]や[[雑炊]]にした食事を日常的に摂っていたという。必要な栄養を摂取することによりそれなりの食糧生産ができるわけで、それがかて飯や雑炊であったにしろ食べずに米を作っていた筈はないのである<ref>有薗正一郎『近世庶民の日常食:百姓は米を食べられなかったか』 海青社、2007年。ISBN 9784860992316、第2章</ref>。
 
 
 
[[戦前]]は米も通常の物資と同じく[[市場経済]]に基づき取引されており、相場商品・[[投機]]の対象として流通に不安を来すこともあり、しばしば社会問題となった([[米騒動]]、特に[[1918年米騒動]]参照)。[[太平洋戦争]]開戦に向けての[[戦時体制]]整備の一環として、[[1939年]](昭和14年)4月に[[米穀配給統制法]]が交付され、米の流通が政府により管理されるようになった。なお、同年9月には戦時の物資不足に鑑み[[興亜奉公日]]が設定され、[[日の丸弁当]]が奨励されたものの白米は禁止されず、この時点ではまだ[[節米運動|米不足]]は酷くはなかった。だが12月には厳しさを増し[[米穀搗精等制限令]]が出され、七分搗き以上の白米を流通に付すことは禁止、[[1940年]](昭和15年)の[[正月]]は[[餅|お餅]]すら白米は許されなかった。米不足は深刻となり、この年から中国や東南アジアからの輸入米いわゆる[[インディカ米|外米]])を国産米に混ぜて販売することが義務付けられた。更に、[[真珠湾攻撃|日米開戦]]の2ヶ月後の[[1942年]](昭和17年)2月には[[食糧管理法]]が制定され[[食糧管理制度]]が確立、米の流通は完全に政府が掌握するようになった<ref name="nih" />。米だけでなく、[[魚介類]]や野菜・[[果物]]も[[米穀配給通帳|配給制]]になり、国民の栄養状態は極度に悪化していった。こうした食糧難に対して、江戸時代の[[かてもの]]の研究に帰って、食用[[野草]]や[[昆虫食]]など[[非常食]]の工夫が盛んに試みられた<ref name="was" />。一方米食の習慣がなかった地域や家庭では、配給制になったことで米を食べる機会を得て、そのことが戦後の食生活の変革の一因となったとする指摘もある<ref name="nih">江原 絢子 他 『日本食物史』 吉川弘文館, 2009年, ISBN 978-4-642-08023-1, 265-284頁</ref>。
 
 
 
[[1945年]](昭和20年)に[[第二次世界大戦]]は終結、戦後の食糧難は深刻を極めたが、米は引き続き食糧管理法による政府の固定価格での買い上げだったため[[闇米]]が横行、闇米を拒否した[[東京地方裁判所|東京地裁]]の[[判事]][[山口良忠]]が[[餓死#日本における餓死|餓死]]するという事件も起きている<ref name="was" />。米の生産拡大のための基盤整備事業が国内各地で行われ、[[肥料]]の投入や[[農業機械]]の導入などによる生産技術の向上から生産量が増加したものの、少なくとも昭和30年代([[1955年]]-[[1964年]])までは、大半の日本人が米飯を常食とすることは出来なかった<ref name="shi">新谷 尚紀 他 『民俗小事典 食』 吉川弘文館、2013年、ISBN 978-4-642-08087-3、26-28頁</ref>。そのような中で、[[ガリオア資金|ガリオア]]・[[エロア資金|エロア]]の資金援助で[[小麦粉|メリケン粉]]が大量に[[輸入]]され、アメリカの[[小麦]]戦略により、[[日本の学校給食|学校給食]]はメリケン粉を使った[[パン]]が供され、[[1952年]](昭和27年)には[[栄養改善法]]が施行され[[慶應義塾大学医学部]]教授の[[木々高太郎|林髞]]の著した『頭脳』([[光文社]]、[[1958年]])が評判となり、「米を食うと馬鹿になる」という説が流布され、[[頭脳パン]]なるものが出現するなどし、日本人の食事の欧風化が進行した<ref name="ame" />。
 
 
 
米食悲願民族<ref>渡部 忠世 『稲の大地』 小学館、1993年、ISBN 4-09-626178-5、17-18頁</ref><ref>[http://www.ricepier.jp/2013/06/21/%E6%97%A5%E6%9C%AC%E4%BA%BA%E3%81%AF-%E7%B1%B3%E9%A3%9F%E6%82%B2%E9%A1%98%E6%B0%91%E6%97%8F-%E3%81%A0%E3%81%A3%E3%81%9F/ 日本人は「米食悲願民族」だった!]</ref>といわれる日本人にとって、米を実際の主食とすることは有史以来の宿願であったが、昭和40年代(1965年-1974年)初頭には、ようやく米の自給が実現でき名実ともに主食となった。しかし、その時既にアメリカの小麦戦略は見事に成功をおさめ<ref name="ame">[http://www.junkan.org/main/katsudo2/kyusyoku/americakomugi0307.txt 「アメリカ小麦戦略」と日本人の食生活]</ref>、学校のパン給食や[[厚生省]]がはじめた[[栄養学#戦後|栄養改善運動]]も手伝って、日本人の食事の欧風化が進行し、米離れに拍車がかかっていた<ref name="was">原田 信男 『和食と日本文化』 小学館、2005年、ISBN 4-09-387609-6、200,201,204頁</ref>。このため全国で米余り現象がおき、食糧管理法下におけるコメ政策は見直しを余儀なくされるようになり、[[1970年]](昭和45年)以降は[[減反政策]]といわれる生産調整政策(新規の開田禁止、政府米買入限度の設定、転作奨励金の設定など)がとられた。その結果、水稲の作付け面積は [[1969年]](昭和44年)の 317万[[ヘクタール]]をピークに、[[1975年]](昭和50年)には 272万ヘクタール、[[1985年]](昭和60年)には 232万ヘクタールに減少、生産量も[[1967年]](昭和42年)の 1426万トンをピークに、1975年(昭和50年)には 1309万トン、1985年(昭和60年)には 1161万トンに減少した。
 
 
 
生産は減少したものの、米離れに歯止めがかからず、政府[[備蓄米]]などに[[古米]]、[[古古米]]の不良在庫が多く発生、米の消費拡大のために、それまで主食はパンだけであった学校給食に米飯や米の加工品がとりいれられるようになったり、古米をアフリカなどの政府援助に使用したり、その他家畜の飼料などに処分するなど、在庫調整に腐心するようになった。そのような状況の下、流通面においては、[[縁故米]]の拡大から[[自主流通米]]の承認などにより、食糧管理制度の逸脱を認めるようになった。しかしながら、根本的解決には至らなかったため、食管赤字は収束せず、生産者米価よりも消費者米価が安い逆ザヤだったため、歳入が不足し赤字(食管赤字)が拡大、[[1980年代]]には、[[日本国有鉄道|国鉄]]、[[健康保険]]とともに、日本政府の巨額赤字を構成する「[[3K|3K赤字]]」と呼ばれるようになり、[[行政改革]]における重要なテーマとなった。
 
 
 
供給においても、[[1983年]](昭和58年)の不作時には、政府が放出しようとした[[1978年]](昭和53年)度産の超古米に規定以上の[[臭素]]が検出され安全性に問題があるとされたため、翌[[1984年]](昭和59年)に[[大韓民国|韓国]]から米15万トンの緊急輸入が行われたり、1993年(平成5年)の全国的な米の不作による[[1993年米騒動|平成の米騒動]]においては、[[タイ王国|タイ]]などから米の緊急輸入が行われるなどした。なお、米の消費量は、ピークの[[1962年]](昭和37年)には、日本人一人あたり年間118.3キログラム消費していたものが、その後一本調子で減少 [[1990年代]]後半には、ひと頃の半分の60キログラム台に落ち込んだ。家計支出に占める米類の支払いの割合は、10%強だったものが 1.1 - 1.3% と {{分数|1|10}} になり、米の地位低下が甚だしい<ref>藤岡 幹恭 他 『農業と食料のしくみ』 日本実業出版社、2007年、ISBN 978-4-534-04286-6、126頁</ref>。
 
 
 
一方で、1993年(平成5年)[[ウルグアイ・ラウンド]]農業合意により、米の義務的な輸入([[ミニマム・アクセス]])を課せられるようになり、食糧管理制度は本格的な見直しを迫られた。[[1995年]](平成7年)、[[主要食糧の需給及び価格の安定に関する法律]]いわゆる食糧法)が施行され、これに伴い食糧管理法は廃止となり、政府の管理が緩められた。水稲の作付け面積と生産量に関しては、その後も減少し、1995年(平成7年)には作付け面積 211万ヘクタール、生産量 1072万トンに、[[2000年]](平成12年)以降は、作付け面積 170万ヘクタール、生産量 900万トン程度となり、作付け面積は半減、生産量は60%程度を推移している。また、食糧法は、[[2004年]](平成16年)に大幅に改正され、さらに政府の関与度を減らしている。
 
 
 
=== 中国 ===
 
中国は、2000年代後半時点で世界最大の米生産・消費国である。生産は、約7割が[[インディカ種]]約3割が[[ジャポニカ種]]となっている<ref name="syoku"/>。
 
 
 
伝統的な農業地理の理解では、[[秦嶺・淮河線]]以南が稲作地域とされてきたが、近年は、農業技術の発展から[[中国東北部]]においても稲作が大々的に展開されている。
 
 
 
経済発展による所得向上からジャポニカ種の消費増加、地方都市間の人口移動による新たな消費層の発生などを背景に、中国の米消費量は増加傾向にある。一方で、1990年代後半に[[豊作]]だったことから作付け面積が減少、中国政府は2004年に援助政策に乗り出している<ref name="syoku"/>。
 
 
 
中国政府は寒冷地への稲作拡大だけでなく、収量を増やすための栽培技術や品種改良にも力を入れている。[[中国工程院]]の袁隆平らのチームが開発したハイブリッド米「湘両優900(超優千号」は2017年、[[河北省]]の試験圃場で1ヘクタール当たり17.2トンと、米としては世界最高の収量を記録した<ref>[http://j.people.com.cn/n3/2017/1016/c95952-9280230.html 中国のスーパーハイブリッド稲、生産量で世界新記録を樹立]『[[人民日報]]』日本語版2017年10月16日(2018年2月10日閲覧)</ref>。これは日本の平均の3倍近い<ref>米寿直前の研究者、日本平均の3倍の多収米開発「爆食」中国、主食自給に希望の芽『[[日経ヴェリタス]]』2018年2月4日(アジア面)</ref>。
 
 
 
== 米の利用 ==
 
[[File:Bap (cooked rice) 2.jpg|thumb|right|200px|釜で炊いた米]]
 
米は、世界中で[[食用]]されている。利用例は、以下のとおり。
 
* 食材として
 
** '''[[主食]]''' - [[アジア]]や[[アフリカ]]<ref name="20080514nikkeibo">「世界的なコメ危機の実態 背後に潜む問題点とは何か」『日経ビジネスオンライン』日経BP社、2008年5月14日付配信</ref>など。日本でも、[[飯]]として食べられている。
 
** '''[[副食|主菜]]のつけあわせ''' - 欧米では、[[ジャガイモ]]や[[パスタ]]同様主菜のつけあわせとして利用される
 
** '''[[デザート]]''' - 欧米や[[東南アジア]]で、デザートとしても用いられる。利用例は、[[#デザート|以下]]を参照。
 
** '''[[茶]]''' - [[玄米茶]]として
 
 
 
* [[原料]]として
 
** [[日本酒|酒]]や[[餅]]、[[飴]]、[[菓子]]、[[味噌]]、[[醤油]]、[[酢]]など(日本)
 
** [[ライスヌードル]][[ビーフン]][[ライスペーパー]]([[中華人民共和国|中国]]、[[ベトナム]]、[[タイ王国|タイ]]など)
 
** 製粉技術の向上により、[[米粉パン|パン]]にしているケースも現れている(日本)
 
 
 
* その他
 
** [[糊]]として用いられる(日本)
 
** [[飼料]]としても用いられる。[[大豆]]や[[トウモロコシ]]など飼料として主に使用される他の作物に比べるとコストなどで見劣りしていたが、飼料用作物の価格高騰に伴い、米の飼料用需要が増加している
 
** [[おしろい]]として粉砕し粉状にしたものが用いられる(主に[[フランス]]・[[プロヴァンス]]地方)
 
 
 
=== 米の調製・調理・加工 ===
 
米は稲穂の状態をそのまま食用とはせずに、精製を行って食用とするのが基本である。精製のプロセス(一般にこの作業を[[調製]]という)は一般に以下のようになっている。
 
 
 
# '''パーボイル''' - インド・パキスタンでは、香り米以外の米は収穫直後に水に浸け、煮るもしくは蒸して、再び乾燥させた後に脱穀する。
 
# '''[[脱穀]](だっこく)''' - 稲穂から[[籾]](もみ)をはずす。[[先進国]]の機械化農業では、[[コンバイン]]により[[稲刈り]]と同時に行われるのが主流。
 
# '''ふるい''' - 脱穀した籾、籾殻、稲藁などから籾を選別するために篩(ふるい)にかける。
 
# '''[[乾燥]]''' - 収穫されたばかりの籾は水分が多いので、保存性の為に[[乾燥]]する。銘柄等が表示できる証明米は、水分率の上限が定められている。質量取引なので過乾燥は金銭的に損になる。
 
# '''[[籾すり機|籾摺]](もみすり)''' - [[籾殻]]をむいて玄米とする。
 
# '''風選(ふうせん)''' - 籾から籾殻や[[しいな]]を取り除く。
 
# '''選別(せんべつ)''' - [[玄米]]をふるいにかけ、標準以下の大きさの玄米(くず米)を除く。
 
# '''貯蔵''' - 保存性から玄米か籾で貯蔵される。日本では、籾で貯蔵する地域(鹿児島・宮崎など)と、玄米で貯蔵する地域がある。
 
# '''[[精米機|精白]](せいはく)''' - 玄米の糠層と胚芽を削り取り、白米(精白米)とする。この作業をすることを「精米」(せいまい)あるいは「搗精」(とうせい、「米を搗(つ)く」)ともいう。包装に「精米年月日」が記される。
 
# '''精選(せいせん)''' - 精白後の米からさらに選別を行う。
 
 
 
==== 精製 ====
 
厚い外皮の[[籾殻]]を取り去ったものが[[玄米]]である。[[生物学]]上は[[果実]]部分を含み、[[胚芽]]・[[胚乳]]・[[果皮]]から成っている。玄米の表面を覆う[[糠|糠層]](ぬかそう、主として果皮と糊粉層)を取り去ることを'''[[#調製|精白]]'''([[精米]]、搗精〈とうせい〉)という。糠層も胚芽も取り去った米を'''[[白米]]'''(精白米、[[精米]])といい、糠を除去したものを精米や白米という。
 
 
 
収穫した[[稲穂]]から、[[種子]]([[穎果]])を取り離すことを'''[[脱穀]]'''(だっこく)という。脱穀によって取り離した種子を'''[[籾]]'''(もみ、籾米)といい、籾の外皮を'''[[籾殻]]'''(もみがら)という。籾から籾殻を取り去ることを'''[[籾摺り]]'''(もみすり)といい、この籾摺り過程を経たものを米という。
 
 
 
==== 加工による分類 ====
 
[[File:kome.JPG|thumb|左から、白米、胚芽米、玄米]]
 
[[#調製|精白]]等の加工による分類。玄米及び精米品質表示基準では、玄米、精米、胚芽精米に分けられている。
 
;[[玄米]]
 
:籾を籾摺りして籾殻を取り除いた米で[[全粒穀物]]。下記の他の米の原料。[[糠]]層には発芽に必要な[[ビタミン]]類、[[脂肪]]分などを含んでおり栄養価が高い。糠層は[[胚乳]]部に比べ硬く、また脂肪分の影響で[[疎水性]]もあるため、白米用[[炊飯器]]で炊くと[[アルファ化米|アルファ化]]が不完全となり消化が悪く、食感も悪くぼそぼそになる。圧力釜や玄米対応の炊飯器で炊くことで、消化が良く味わいが豊かになる。糠と胚芽には脂肪分が含まれるため、常温保存では精白米に比べ劣化しやすい。
 
;[[発芽玄米]]
 
:僅かに発芽させた玄米。[[スプラウト]]の一種と考えられ、玄米よりも栄養価が高い。また、玄米より消化、味ともにも良く、白米用炊飯器で炊くのに比較的適している。他の加工米より高コストで高価。市販のものは発芽の進行を休眠させている物もある。
 
;分搗き米
 
:玄米から糠層を一定の割合でとった精米。とった割合により3分搗き米、5分搗き米、7分搗き米という。栄養は玄米と胚芽米の間となるが、残留する糠層の量によって異なる。
 
;胚芽精米(胚芽米)
 
:玄米から糠層のみを取り去って胚芽が残るように精白した米<ref>[http://www.eiyo.ac.jp/haigamai/ 胚芽米のすべて|女子栄養大学教授 五明紀春]</ref>。一般には'''胚芽米'''と呼ばれる方が多い。外見上、白米同然に白く精白されており、胚芽だけが残っている。胚芽精米の品位基準によると、重量比で胚芽を80%以上を残したものとされており、この基準を満たしたものが「胚芽精米」と表示出来る。胚芽精米を調製するには、一般の家庭用[[精米機]]では現在ところ技術的に困難とされており、専用の大型精米機を使う必要がある。最近の家庭用精米機の中には、胚芽を多く残すための「胚芽モード」といった機能を備えたものが出回っているが、胚芽精米の品質基準を満たすことを保証しているわけではない。栄養は玄米と白米の中間程度。玄米より消化が良く、白米用[[炊飯器]]で炊ける。一般に白米より高価。
 
;[[白米]](精白米、精米)
 
:玄米を精白して糠層と胚芽を取り除いた米。日本で最も食べられている主食だが、胚乳のみの為栄養バランスが悪く副食が必須。日本では主に洗米してから炊いて米飯とする。そのため、一般に市販されている炊飯器は通常白米を主な対象としている。味が淡白で色々な料理に合せやすい。
 
;[[無洗米]]
 
:精白した白米の表面に付着している糠の粉を取り去った精米。洗米の必要が無く、洗米すると栄養が溶け出すので洗米しない方が良く、節水にもなる。それにより白米よりは当然単価は高いものの、洗米時の水道代を考慮した場合の総合的なコストが白米より低くなる場合がある。
 
;早炊き米
 
:短時間で炊飯できるように米を加熱し、あらかじめ細胞壁を破壊しデンプンを糊化させておき、水を浸透し易くさせるために米粒の表面に亀裂を入れ、最終的に乾燥させたもの。
 
 
 
=== 調理 ===
 
米は主に水分を加えて加熱調理する。東アジアでは一般に水だけで調理するが、[[地中海]]地方など米が常食ではない地域では、肉や魚の[[出汁|ストック]]や[[バター]]、[[香辛料|スパイス]]など水以外の何かを加えることが多い。調理するときに糠を砥ぎ落とすことを[[洗米]]という。米一合に対して水一合で米を炊いたものを'''[[飯]]'''という。<!--飯の状態にした米の粒を「お米」と呼ぶこともある。-->広く主食用とされ飯にされるのは、粳米の白米であり、玄米や胚芽米の飯を主食とすることは、あまり多くない。
 
[[#亜種|短粒種]]の白米は、日本等では、[[糠|ぬか]]を洗い流した(洗米とか「米を研ぐ」という)のち、[[調理]]する。粳米は炊いて'''[[飯]]'''とし、糯米は蒸して'''[[強飯]]'''(こわいい)としたり、'''[[餅]]'''として供される。
 
[[中国]]などでは、粳米を蒸す場合もある。インドでは多量の水でコメを煮て、概ね火が通ったところで余分な水を捨てて蒸し煮にする。
 
 
 
米を炊くことを'''炊飯'''(すいはん)、あるいは'''炊爨'''(すいさん)という。「蒸し飯」を、'''[[お強]]'''(おこわ)、あるいは'''強飯'''(こわいい)とも呼ぶ。これは、蒸した飯が炊いた飯よりも「こわい」(「硬い」の古い言い方)ことに由来する。
 
[[#亜種|長粒種]]の粳米は、煮る([[飯#調理法|湯取]])事が多い。
 
 
 
古くから、飯を乾燥させたものを「干し飯」(ほしいい)、あるいは「糒」(ほしい)といい、携帯保存食として用いた。現在では、この干し飯と同じ物を[[アルファ化米]](加水加熱して糊化(アルファ化)させた米)といい、同じく携帯保存食や非常食などとして用いる。
 
 
 
飯として炊くときよりも多目の水を加えて、米を煮た料理を'''[[粥]]'''という。このとき加える水の量により、全粥(米1に対して水5〜6)、七分粥、五分粥、三分粥(米1に対して水15〜20)などと呼ばれる。また、粥から固形の米粒を除いた糊状の水を'''重湯'''(おもゆ)といい、病人食や乳児の離乳食に用いられる。
 
 
 
栄養分をそぎ落とさないように、[[胚芽]]部分を残した[[#加工による分類|胚芽米]]や[[#加工による分類|分搗き米]]、[[玄米]]をそのまま炊いて食べる場合もある。最近では[[発芽玄米]]も食べられている。胚芽部分には[[脚気]]を予防する[[ビタミン]]B1が豊富に含まれる。
 
 
 
籾殻を取る前に、水に長くつけ、蒸しあげてから籾摺りをしたものを用いる地域もある。[[タイ王国|タイ]]、[[マレーシア]]、[[シンガポール]]などの国のほか、日本では[[和歌山県]]などでこの習慣があった。干し飯のように、熱い湯や茶をかけてやわらかくすることができるほか、炒って食べる場合もある。
 
 
 
[[黒米]]や[[赤米]]は、白米に混ぜて炊くことが多い。研いだ白米に対して3〜10%程度(好みに合わせて分量を調節)を洗わないでそのまま入れて炊く。
 
 
 
餅(もち)については、[[餅]]の項目を参照。
 
 
 
==== 調理用具 ====
 
米の調理には次のようなものが利用される(汎用加熱器具を除く)。
 
:[[甑]]・[[釜]]・[[鍋]]・[[炊飯器|電気炊飯器・ガス炊飯器]]・[[蒸篭]]
 
 
 
=== 加工品 ===
 
[[東南アジア]]を中心として粉食も一般的で、'''[[ライスヌードル]]'''としても広く食用にされる。
 
 
 
;[[上新粉]]
 
:うるちの精白米を粉末にしたもの。料理や[[団子]]や[[せんべい|煎餅]]などの[[和菓子]]や[[中華菓子]]などの原料となる。粒子が粗いため[[洋菓子]]には適さなかったが、最近では[[リ・ファリーヌ]]と呼ばれる、[[小麦粉]]並の細かさのものが製粉会社各社で開発されており、それらは洋菓子や[[パン]]などの材料に使用が可能である。米からつくったパンの外見・食味は小麦粉からつくったものに劣らず、もちもちとした食感になる。
 
; [[白玉粉]]
 
:[[もち米]]を粉末にしたもの。水挽き粉砕をしているため、粒子が細かく滑らかな食感が特徴である。
 
; [[道明寺粉]]
 
:水に浸して蒸したもち米を干して粗めに挽いたもの。用途は上の2種類の粉に比べ幅が狭めである。主に[[上方]]([[関西]])風[[桜餅]]の材料に使われる。
 
; [[アルファ化米|α化米]]
 
:加工米の一種。糒など。
 
; [[着香米]]
 
:竹のエキスなど、他の[[成分]]で人為的に[[香り]]をつけたもの
 
 
 
=== 米料理 ===
 
==== 各国の料理 ====
 
;{{JPN}}
 
:'''[[和食]]''' - [[おこわ]](強飯)・[[赤飯]]・[[姫飯]]・[[粥]]・[[重湯]]・[[雑炊]]・[[寿司]]・[[稲荷寿司]]・[[巻き寿司]]・[[赤寿司]]・[[酒寿司]]・[[おにぎり]]・[[茶漬け]]・[[炊き込みご飯]]・[[桜飯]]・[[そばめし]]・[[黄飯]]・[[鶏飯]]・[[菜飯]]・[[干葉飯]]・[[茶飯]]・[[丼物]]・[[卵かけご飯]]・[[納豆]]かけご飯・[[餅]]・[[ちまき#日本のちまき|ちまき]]
 
:'''[[洋食]]''' - [[カレーライス]]・[[ハヤシライス]]・[[チキンライス]]・[[オムライス]]・[[ドリア]]・[[ピラフ]]・[[タコライス]]・[[トルコライス]]・[[ハントンライス]]・[[エスカロップ]]・[[ガパオライス]]・[[ライスバーガー]]・[[かつめし]]・[[えびめし]]
 
;:
 
;{{CHN}}・{{HKG}}・{{Flagicon|Macau}} [[マカオ|マカオ・]]{{TWN}}:[[チャーハン]]・[[ビーフン]]・[[海南鶏飯]]・[[ちまき#中国のちまき|ちまき]]・[[お焦げ]]料理・[[油飯]]・[[排骨飯]]・[[魯肉飯]]・[[米糕]]
 
;{{KOR}}・{{PRK}}:[[クッパ (料理)]]・[[ビビンバ]]・[[トック]]・[[トッポッキ]]・[[ポックムパプ|ポック<small>ム</small>パ<small>プ</small>]](炒飯)・[[キムパプ]]
 
;{{VIE}}:[[フォー]]・[[ライスペーパー]](バインチャン)・[[生春巻き]](ゴイクオン)・[[ちまき#ベトナムのちまき|バインチュン]]
 
;{{THA}}:[[パッタイ]]・[[カオニャオ]]・[[カーオパッ]](炒飯)・[[海南鶏飯|カオマンガイ]]・[[カオ・パット・サパロット]]・[[カオ・ニャオ・マムアン]]
 
;{{LAO}}:[[カオソーイ]]
 
;{{MMR}}:[[シャン・タミン・チン]]
 
;{{MAL}}:[[ナシゴレン]]・[[ナシレマッ]]・[[海南鶏飯|ナシアヤム]]・[[ラクサ]]
 
;{{SIN}}:[[海南鶏飯]]
 
;{{PHI}}:[[パンシット・ログログ]]
 
;{{IDN}}:[[ナシゴレン]]・[[ナシウドゥッ]]・[[ナシクニン]]・[[ブブル]]
 
;{{IND}}近辺:[[プラーオー]]・[[ビリヤニ]]・[[キール (デザート)|キール]]・[[ドーサ]]・[[イドリ]]
 
;{{PAK}}:[[バルチ (料理)|バルティ]] - 形式としてはカレーライスのようなスタイルで出されることが多い
 
;{{BGD}}:[[ダール・カレー]]
 
;{{NPL}}:[[ダルバート]]・[[タルカリ]]
 
;{{UZB}}ならび[[中央アジア]]一帯:[[プロフ]](ポロ)・[[パラオ (曖昧さ回避)|パラオ]](オシ)
 
;{{AFG}}:[[チャラウ]]・[[ピラウ]]・[[カーブリー]]・[[バタ (料理)|バタ]]
 
;[[ファイル:Flag of Iraq.svg|25px]] [[イラク]]:[[ムジャッダラ]] - この料理には[[豆]]類や[[脱穀]]した[[穀物]]が用いられるが、一般的にコメを使うことが多い
 
;{{IRN}}:[[ベレンジ ドゥーディー]]・[[チェロウ]]・[[ポロウ]]・[[ゼレシュク・ボロウ]]
 
;{{SAU}}:[[カブサ]]
 
;{{LBN}}:[[マクルーベ]]
 
;{{TUR}}:[[ピラフ|ピラヴ]]・[[ビベル・ドルマス]]
 
;{{GRC}}:[[ドルマ|ドルマダキア]]
 
;{{ITA}}:[[リゾット]]
 
;{{FRA}}:[[サラド・ド・リ]](Salade de Riz)
 
;{{ESP}}:[[パエリア]]、[[アロス・コン・ポーヨ]]
 
;{{GBR}}:[[ケジャリー|ケージャリー]]
 
;{{SEN}}:[[チェブジェン]]
 
;{{GHA}}ならび[[西アフリカ]]一帯:[[ジョロフライス]]
 
;{{EGY}}:[[コシャリ]]・[[マハシ]]
 
;{{CAN}}:[[ブリティッシュコロンビアロール]]
 
;{{USA}}:[[ジャンバラヤ]]・[[ロコモコ]]・[[カリフォルニアロール]]
 
;{{CUB}}:[[アロス・コングリ]]
 
;{{MEX}}:[[アロス・ア・ラ・メヒカーナ]]
 
;{{BOL}}:[[シルパンチョ]]
 
;{{BRA}}:[[アホス・コン・フェイジャオン]](バイオン)・[[ピッキーライス]]
 
;{{PER}}:[[アロス・コン・マリスコス]] ・[[セコ・デ・ポージョ]]
 
;{{PAN}}ならび[[中南米]]一帯:[[アロス・コン・ポヨ]]
 
;{{BLZ}}:{{仮リンク|ライス・アンド・ビーンズ|en|rice and beans}}
 
 
 
==== デザート ====
 
[[ファイル:Arros amb llet.jpg|thumb|right|150px|南米のアロス・コン・レチェ]]
 
[[ファイル:Rice_pudding_spoons.jpg|thumb|right|150px|アロス・コン・レチェ]]
 
[[ファイル:Kiribath.jpg|thumb|right|150px|スリランカのキリバット]]
 
[[ファイル:Milchreis.jpg|thumb|right|150px|シナモンと砂糖を添えたミルヒライス]]
 
米を[[牛乳]]で煮込んだ'''[[プディング]]'''は、東は[[南アジア]]から西は[[西ヨーロッパ]]まで広く見られるデザートである。
 
 
 
例えば[[ドイツ]]では(主食料理扱いだが)[[ミルヒライス]]といい、英語圏では[[ライスプディング]]、[[スペイン語]]圏では[[アロス・コン・レチェ]]または[[メキシコ料理#デザート|アロス・デ・クレマ]]と呼ばれる。インドには[[キール (インド料理)|キール]]、トルコには[[ストラッチ]]と呼ばれるミルク・ライス・プディングがある。トルコの[[ムハッレビ]]は[[米粉]]と牛乳のプディングである。[[ブラン・マンジェ]]も米粉で作ることがある。
 
 
 
[[東南アジア]]では、米を[[マンゴー]]、[[ササゲ|ささげ]]、[[リョクトウ|緑豆]]、[[里芋]]、[[トウモロコシ#品種|スイートコーン]]などと煮込んだ粥状のデザートがあり、[[ココナッツミルク]]をかけて食べる。ベトナムには、[[:en:Bánh cốm|バインコム]]という、もち米の青い未熟米と緑豆餡から作る餅菓子がある。また、タイには、[[:th:ข้าวเม่า|カオマオ]]・トードというバナナともち米の青い未熟米とココナッツを使った揚げ菓子があり、[[カオニャオ・マムアン]]という砂糖入りココナツミルクで炊いた(カットしたマンゴーも添えた)デザートもある。
 
 
 
日本には、餅米を蒸して搗いた[[餅]]菓子、[[白玉]]団子、[[外郎 (菓子)|ういろう]](小麦粉で作った物もある)、[[ぼたもち]]、[[あくまき]]、[[きりせんしょ]]、[[ゆべし#くるみゆべし|ゆべし]]などがある。[[軽羹]]のようにうるち米を[[米粉]]にして用いるものもある。
 
 
 
中国や朝鮮半島には、[[薬食]]のように餅米を蒸した菓子や[[芝麻球]]や[[トック#トックの種類|シルトック]]など上新粉や白玉粉から作る餅菓子がある。インドの[[モーダカ]]は米粉の生地で[[ココナッツ]]と[[黒砂糖]]のフィリングを包んだ菓子である。
 
 
 
[[ロシア]]では、一口大にカットした[[キウィ]]や[[苺]]や[[バナナ]]を潰しご飯でロールし、[[練乳]]や[[ココナッツパウダー]]やストロベリーソースでトッピングした[[巻き寿司]]風デザート「[[スイートロール]]」が人気を博しており、同国内の寿司業界にて普及が広まっている。
 
 
 
空手挌闘家[[アンディ・フグ]]は生前、日本滞在中に自ら考案したストロベリー[[ヨーグルト]]練り掻き混ぜ米飯([[バナナ]]をトッピング)をとても気に入り、頻繁に作っては喜んで食べていたというエピソードがある。[http://ww2.tiki.ne.jp/~morim/syokuji.html#『アンディ・フグご飯』 調理再現HP]
 
 
 
== 偽米 ==
 
{{質問}}
 
 
 
「[[人造米]]」の項目参照
 
 
 
主に[[ジャガイモ]]や[[サツマイモ]]、[[小麦粉]]などを原材料として、米の形に成形した物が多い。[[第二次世界大戦]]中の[[食糧難]]の日本で[[代用食]]として開発された。これらの材料を加熱して潰して小さな粒状にして、それを核として、表面に[[デンプン]]をまぶして蒸す工程を数回繰り返し、米状の大きさになったら、乾燥させて水分含有量を減らして保存可能にする。食べるときは普通に炊く。製法や形状は粒状のパスタである「[[クスクス]]」に類似している。戦後の食糧難の時代には政府も生産を奨励したが、その後食糧事情が好転したこともありまた、製造に非常に手間と時間がかかることと、食味の違い、すなわち所詮は代用食なため、昭和29年をピークに急速に姿を消し、本物の米が余っている現在の日本では作られていない。
 
 
 
現在食糧難の[[北朝鮮]]でも代用食として、[[トウモロコシ]]やサツマイモやジャガイモから偽米が[[開発]]・[[製造]]されているとの話がある。
 
 
 
== 文化 ==
 
=== 信仰・民俗 ===
 
* 日本文化においては、単なる食糧品に止まらず、[[古神道]]や[[神道]]における[[稲作信仰]]に起因する[[霊]]的価値を有する穀物である。[[地鎮祭]]や[[上棟式]]、[[農林水産]]の職業的[[神事]]、また日本各地の[[祭り]]で、[[御神酒]]や[[塩]]等とならび[[供物]]として[[奉納]]される。
 
* 天皇が[[五穀]](中心となるものはコメ)の収穫を祝う'''[[新嘗祭]]'''(「[[勤労感謝の日]]」として[[国民の祝日]]となっている)は宮中における最も重要な祭祀であり、天皇即位後最初の新嘗祭である'''[[大嘗祭]]'''は、実質的な[[践祚]]の儀式と認識されている。
 
* 「米」の字を分解すると八十八とも読めることから、付会して八十八行程を経て作られる、八十八の[[神 (神道)|神]]が宿る、また「八十八人の働きを経て、はじめて米は食卓にのぼるのであるから、食事のたび感謝反省しなくてはならない」等、道徳教育のためのさまざまの訓話が構成された。
 
* 出雲大社の神職は食事の前後に、斎庭之神勅(ゆにわのしんちょく)という祝詞の一種を食礼として奏上する。「掛巻母畏伎高天原之斎庭之稲穂乎青人草之食志斗食須穀津物斗下志給比志大御恵乎嬉志美辱計奈美奉里手謝毘奉羅久斗恐美恐美母白須」というものだが、「米は高天原から賜った有難いものだ、嬉しく、かたじけなく、感謝申し上げる。」と言う意味を含む。また、他の神社にも同類の儀礼がみられる<ref>『祀典』大谷書舎平成18年9月27日発行全762頁中56頁</ref>。
 
* 日本のみならず、東アジアにおいては[[イネ]]を[[精霊]]の宿る神聖な作物とみなし、これに不敬な行為を行うと食物より滋養は得られず、また田畑に蒔いても凶作を呼ぶと言い伝えられている。[[伏見稲荷大社]]では、秦の長者が[[餅]]を的にして矢を射たところ、餅が白い鳥となって飛び山峰にとまったため、彼が鳥をイネの精霊と気づいてそこに神社を建てこれを祭ったことが起源とされている。なお、異説では精霊を祭った秦の長者には不毛は訪れなかったが、ただ餅を射ただけの富裕者は天罰を受け没落したともいわれる<ref>石毛直道『世界の食べもの 食の文化地理』p145 講談社学術文庫</ref>。
 
* 米が貴重だった昔、[[黒瀧寺]](徳島県)周辺には「米養生」という習慣があった。重病人の枕元で、生米を[[竹]][[筒]]に入れて振った音を聞かせると治るという俗信である<ref>[[渡辺昭五]]『日本人の秘境』(産報)115p、1973年</ref>。
 
* うるしかぶれの時に生米を噛んで患部に塗ったり、あせもの時に稲の葉をもんで風呂に入れる伝統が長野県秋山郷地方にある<ref>『信州の民間薬』全212頁中15頁医療タイムス社昭和46年12月10日発行信濃生薬研究会林兼道編集
 
</ref>。
 
 
 
=== 風習 ===
 
*沖縄県では、お中元またはお歳暮に真空パックされたお米を親戚へ渡す風習がある。
 
 
 
=== 米に関する語 ===
 
古くは[[イネ科]]の植物の穀物について広く「米」という単語が用いられていた。古来、稲が生産されていなかった[[華北]]([[漢字]]発祥の地)では、長く[[アワ]](粟)に対して用いられていた。中国[[後漢]]の[[許慎]]が著した[[漢字]]の解説書『[[説文解字]]』において、「米…粟實也。象禾實之形」(禾=粟)と書かれ、米即ちアワの実であると解説されている。現在の中国語では、イネ科の植物にとどまらず、米粒のような形状をしたものも米と呼ぶ例が多い。例えば、「海米、蝦米」は干した剥き[[エビ]]、「茶米」は[[烏龍茶]]などの粒状の茶葉などを指す。
 
 
 
『米』という[[漢字]]自体は籾が四方に散った様子を描いた[[象形文字]]である。しかし、この字形から「八十八」と分解出来ると見立てて[[年齢#年齢とその呼称|米寿]]等の言葉に利用されている。また、日本では水稲を作る際の手間の多さを「籾から育てて食べられる様にするまでに八十八の手間がかかる」とたとえられている。
 
 
 
『岩波 古語辞典』は、「うるしね」(「しね」は“稲”の意の古語)の項で、“米”を表す日本語「うる(ち)」(粳)、[[マレー語]] 'bəras',[[アミ語]] 'fərats'; 'vərats',古代[[ペルシア語]] 'vrīzi',古典[[ギリシャ語]] 'oryza',[[イタリア語]] 'riso',英語 'rice' などを、すべて[[サンスクリット]] 'vrīhih' にさかのぼるものとしている。<!--しかし、「うるごめ/もちごめ」だけでなく、「うるあわ/もちあわ」(粟)・「うるきび/もちきび」([[黍]])もあることから、日本語の「うる」(水分多・粘り弱)と「もち」(水分少・粘り強)とは[[対義語]]で、「うる」は元来“米”そのものを指す語ではなかったと見られる。なお、「うる''ち''」は「も''ち''」に揃えて江戸時代に作られた語である。:独自研究の恐れあり。異説あり。要出典。粳の字源。-->
 
 
 
なお、新聞やテレビのニュースにおいては、米国(アメリカ)の略である「米(べい)」との混同を避けるため、「コメ」とカタカナで表記するのが一般的になっている。
 
 
 
=== 米に関わる語彙 ===
 
* 粃・秕(しいな)
 
*: 稔実が不良で残る籾のこと。中身がなく軽いため、脱穀した籾を風に舞わせたり水に浸したりして選別する。
 
* 糴(テキ かいよね)/ 糶(チョウ うりよね)
 
*:中国や日本で米の備蓄と価格安定を目的として政府などが過剰時には買い上げ、不足時に売り払った制度([[常平倉]]、[[義倉]]等)において、買い入れ備蓄することを「糴」、備蓄米を売り払うことを「糶」といった。
 
* [[舎利]](しゃり)
 
*:米は[[サンスクリット]]でシャーリ({{翻字併記|sa|शालि|Śāli|n}})。音写して「舎利」となる。同じ[[仏教]]語として遺体や骨を意味する「舎利」があるが、語源を異にする別の語([[仏舎利]]を参照)。「米は細かい骨に似ている事から舎利とも呼ばれる」という説は、これらの混同によるもの。白米が珍しかった時代には、玄米と区別する意味で白米を銀シャリとも言った。現在では主に[[寿司屋]]の[[隠語]]で[[酢飯]]の事を指す。
 
*餉(かれい、げ)
 
*:「かれいい」の転化。「糒」(ほしい)と同義。米を蒸すか炊いて飯にしたもの乾燥して保存食や携帯食にし、水に浸して食べた。朝餉(あさげ)、午餉(ひるげ)、夕餉(ゆうげ)はここからきたもの。
 
* [[こめかみ]]
 
*:[[頭]]の両側の[[側頭骨]]ならび[[側頭筋]]の在る箇所。米を噛む時にこの部分が動くことからその名が付けられた。
 
* [[コメツキバッタ]]
 
*: 米を搗く様な動作をする事が語源となった。転じてペコペコ頭を下げる様子も表す。
 
* [[コメツキムシ]]
 
:*仰向けにすると、自ら跳ねて元に戻る能力があり、その動作が米を搗く動作に似ている事が名前の語源となっている。
 
*神社や祝詞では、白米を和稲(にぎしね)。玄米を荒稲(あらしね)と呼ぶことがある<ref>『出雲大社教布教師養成講習会』発行出雲大社教教務本庁平成元年9月全427頁中167頁
 
</ref>。
 
 
 
=== 米に関する諺 ===
 
* 米俵一俵には7人の神様が乗っている。
 
* 米を一粒無駄にすると目が一つ潰れる。
 
* 年貢の納め時
 
 
 
=== 派生した俗語 ===
 
* [[大相撲]]の[[隠語]]で、[[貨幣|お金]]のこと。[[相撲部屋]]において将来有望な[[力士]]を「米びつ」ともいう。
 
 
 
== 過去に栽培されていた米 ==
 
日本では嘗て栽培されていたが今は全く栽培されていない品種の米が存在する。その中の一つに、「'''チンコ坊主'''」と呼ばれる品種がある。
 
 
 
この品種は[[明治時代|明治]]-[[大正時代]]に掛けて[[北海道]]に在る[[道央]]という地域で栽培されていた。
 
 
 
名の由来は
 
* 実った稲穂についている筈の毛がないことから、それを人間の髪の毛のない坊主頭に引っ掛ける形で准えて言ったもの<ref>コメの種子となる籾(モミ)には通常、先端部に「芒(のぎ)」と呼ばれる毛のような器官が突出している。</ref>。
 
* 成長した苗の高さが、男性の股間までの高さしかないこと。
 
である。
 
 
 
「チンコ坊主」の苗は風に弱い面があり、夏場の強風によって苗が折れたり吹き飛ばされるなどの被害が出易いという弱点がある。
 
 
 
当該品種の種子は現在、[[国立研究開発法人]](以前は[[独立行政法人]])[[農業生物資源研究所]]にて保管されており、その事が[[フジテレビ]]の番組「[[トリビアの泉]]」で放送されていた。
 
 
 
== 脚注 ==
 
{{脚注ヘルプ}}
 
{{Reflist|2}}
 
 
 
== 参考文献 ==
 
* 原田信男 『コメを選んだ日本の歴史 』(文春新書 文藝春秋 外国の米作りISBN 4166605054)
 
*「「米」で総合学習みんなで調べて育てて食べよう!〈2〉図解 米なんでも情報」([[金の星社]])
 
* {{Cite |和書 |author = Harold McGee |translator = 香西みどり |title = マギー キッチンサイエンス |date = 2008 |publisher = 共立出版 |isbn = 9784320061606 |ref = harv }}
 
 
 
== 関連項目 ==
 
{{sisterlinks|commons=Rice|commonscat=Rice|d=Q5090}}
 
{{Div col}}
 
* [[イネ]]
 
* [[稲作]](水稲)
 
* [[田]]
 
* [[米相場]]
 
* [[炊飯器]]
 
* [[米粉]]
 
* [[黄変米]]
 
* [[事故米穀]] - [[事故米]]
 
* [[米価]]
 
* [[米穀通帳]]
 
* [[米価の変遷]]
 
* [[減反]]
 
* [[1993年米騒動]]
 
* [[石 (単位)]]
 
* [[俵 (単位)]]
 
* [[米寿]]
 
* [[ブレンド米]]
 
* [[ワイルドライス]]
 
* [[結婚式|ライスシャワー]] - 結婚式で、新郎新婦に米をシャワーのようにかけて祝福すること。
 
* [[宇和米博物館]] - 米の[[博物館]]
 
* [[粟]]
 
* [[食糧管理法]]
 
* [[米穀等の取引等に係る情報の記録及び産地情報の伝達に関する法律]]
 
* [[食味官能試験]]
 
* [[食物アレルギー]]
 
* [[主食]]
 
* [[カドミウム]] - 国産米1kg中のカドミウム量は平均して0.06 mg(=0.06 ppm)。流通、販売の規制値は米(玄米及び精米)0.4 mg/kg以下となっている。厚生労働省 [http://www.mhlw.go.jp/houdou/2003/12/h1209-1c.html#05 「食品に含まれるカドミウム」に関するQ&A]
 
* 「Nutritious Rice for the World」- 「[[栄養価]]の高い米を世界に」を標題とした[[World Community Grid]] において[[飢餓]]対策の為の、高収穫・高栄養で耐病性に優れた米のタンパク質構造予測を行うプロジェクト。
 
* [[:en:List of rice varieties|List of rice varieties]] - 世界のさまざまな「米」の一覧(英文版)
 
* [[闇市]] - ヤミ米
 
* [[脚気]]
 
* [[米部]] - 漢字の部首
 
{{Div col end}}
 
 
 
== 外部リンク ==
 
* [http://www.komenet.jp/ 米穀安定供給確保支援機構:米ネット]
 
  
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1960年代,いわゆる[[緑の革命]]が起こり,世界を飢餓の脅威から救うべく先進国が科学力を出し合い,多数の農作物の改良種・変形種が生み出された。高収品種の短稈イネ IR8は,短く丈夫な茎をもち倒れにくいのが特徴であったが,洪水や病害虫に弱く,農薬や肥料を必要とするうえ,食味が悪いなどもろもろの要素が相まって,期待されたほどの成果は得られなかった。米の主要生産国としては,中国,インド,インドネシア,バングラデシュ,ベトナム,タイ,ミャンマー,日本,フィリピン,ブラジル,大韓民国(韓国),アメリカ,パキスタンがあげられる。
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[[Category:米|*]]
 
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2018/10/27/ (土) 00:00時点における最新版

(こめ、: rice

イネの種実。籾殻()を除いただけの玄米と,さらに糠(ぬか)を除いた白米とに大別される。またイネの種類から,おもに日本,エジプト,アメリカ合衆国などで生産される短粒で丸みを帯びた日本型米(ジャポニカ米)と,おもにミャンマー,タイなどインドシナ半島で生産される長粒で粘りが少ないインド型米(インディカ米)がある。生育上の水分要求度の観点から区別すると水稲と陸稲(おかぼ)とがあり,日本国内の生産においては水稲が 9割を占めている。またデンプン成分の違いから,粳米(うるちまい)ともち米がある。実質的には東アジアおよび南東アジア全域を中心に,世界人口の約半数が主食を米に依存し,世界の米の 95%までが人間の食用となる。米文化の起源は諸説あるが,前7000~前5000年頃の中国ですでに稲作が行なわれていたとみられる。その後徐々に東西へ広まり,中世には南ヨーロッパに紹介されるにいたったとされる。日本へは前3~前1世紀頃に,中国から朝鮮を経て日本型イネが伝えられたようである。

おもに熱帯,亜熱帯,または温和な地域の沿岸平野部や干満のあるデルタ地,または川の流域で栽培される。イネは変異性に富み,世界に広く分布しているので,栽培方法や栽培時期はさまざまである。水稲は一般に苗床に種がまかれ,25~50日たったところで水田に移植される。水流のある 5~10cmの水につかり,成長するまでその状態を保つことが必要となる。収穫された種実は,籾殻に覆われている。通常は脱穀して籾殻と糠を除き,つや出しのため仕上げにグルコースとタルク(滑石)をかぶせることもある。籾殻だけを除いた玄米は約 8%の蛋白質と若干の脂肪を含み,[[ビタミンB1]],ビタミンB2,ニコチン酸,鉄分,カルシウムの源になる。精米過程で糠まで除去された白米は栄養価が大幅に低下するため,白米に頼りすぎる食生活は,ビタミンB1と無機物の不足から起こる病気である脚気の原因ともなる。白米の栄養的欠陥を補うための米製品には,鉄分とビタミンB1,ビタミンB2などを添加した強化米のほか,保存性や即席性を高めたα米などがある。

調理法は,東洋および中東では主食として粒のまま炊いて食べるが,そのほかにもスープ類に入れたり副食にしたりと,さまざまである。また醸造蒸留され,酒やにも加工される。精米過程の副産物である粉状の糠と,つや出し過程で出るデンプンは家畜の飼料になり,糠からとれるぬか油は食用にも工業用にも利用される。砕米はデンプンやビーフン(米粉)になる。籾殻は燃料や填材,工業研磨剤,肥料原料,化学工業の合成樹脂製造用のフルフラールなどになる。わらは飼料や家畜の敷きわら,マット,衣類などに利用される。

1960年代,いわゆる緑の革命が起こり,世界を飢餓の脅威から救うべく先進国が科学力を出し合い,多数の農作物の改良種・変形種が生み出された。高収品種の短稈イネ IR8は,短く丈夫な茎をもち倒れにくいのが特徴であったが,洪水や病害虫に弱く,農薬や肥料を必要とするうえ,食味が悪いなどもろもろの要素が相まって,期待されたほどの成果は得られなかった。米の主要生産国としては,中国,インド,インドネシア,バングラデシュ,ベトナム,タイ,ミャンマー,日本,フィリピン,ブラジル,大韓民国(韓国),アメリカ,パキスタンがあげられる。





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