「福島第一原子力発電所事故」の版間の差分

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(1号機における事故の進展)
 
 
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{{Infobox 事故
 
|image = [[画像:Fukushima I by Digital Globe.jpg|300px]]
 
|caption = 2011年3月16日撮影<br />左から4号機、3号機、2号機、1号機
 
|date = {{start date|2011|03|11}}
 
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|outcome = [[国際原子力事象評価尺度]] (INES) レベル7(4月12日時点の[[原子力安全・保安院]]による暫定評価<ref name="レベル7">{{Harvnb|原子力災害対策本部|2011|loc=21-22}}</ref>)
 
|reported injuries = '''地震による負傷者''' 6人<ref name="nisa 169">{{WAP |pid=7352649|url=http://warp.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/7352649/www.meti.go.jp/press/2011/06/20110614004/20110614004-1.pdf |title=地震被害情報(第169報)[2011年06月14日15時30分現在]|date=2013-02-05}}</ref><br />'''1号機・3号機の爆発による負傷者''' 15人<ref name="nisa 169"/><br />'''被曝の可能性'''<ref name="nisa 169"/>{{Indent|従業員 30人{{small|(100 [[ミリ|m]][[シーベルト|Sv]]を超過した人数)}}<br />住民 88人{{small|(除染を実施した人数)}}}}'''その他の負傷者''' 19人<ref name="nisa 169"/>
 
|reported death(s) = '''地震・津波による死者''' 2人{{small|(4号機タービン建屋内)}}<ref name="nisa 169"/><br />'''その他の死者''' 2人<ref name="nisa 169"/><br />(原子力安全・保安院 地震被害情報(第169報)、pp.50-55、2011年6月14日15時30分現在)<ref name="nisa 169"/><br />'''原発による[[災害関連死]]を含めた死者''' 1600人<ref>{{Cite Web |url=http://jp.wsj.com/articles/SB12270577396625053624104581398672256005558 |title=【オピニオン】原子力の安全性めぐるパラダイムシフト、誇張された被ばくリスク |date=2015-12-07 |accessdate=2017-03-28}}</ref>
 
|reported property damage = 21.5兆円<ref group="注">賠償金7.9兆円、中間貯蔵施設費1.6兆円、除染費4兆円、廃炉・汚染水対策費8兆円。2016年12月時点での経済産業省による試算。朝日新聞2016年12月21日朝刊、総合5面。</ref>
 
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}}
 
'''福島第一原子力発電所事故'''(ふくしまだいいちげんしりょくはつでんしょじこ)は、[[2011年]](平成23年)[[3月11日]]の[[東北地方太平洋沖地震]]による[[地震動]]と[[津波]]の影響により、[[東京電力]]の[[福島第一原子力発電所]]で発生した[[炉心溶融]](メルトダウン)など一連の[[放射性物質]]の放出を伴った[[原子力事故]]である。[[国際原子力事象評価尺度]] (INES) において最悪のレベル7(深刻な事故)に分類される。2015年(平成27年)3月現在、炉内燃料のほぼ全量が溶解している<ref>東京電力による19日の調査結果。[https://megalodon.jp/2015-0321-2106-57/dd.hokkaido-np.co.jp/news/science/science/1-0113551.html 炉内燃料、ほぼ全量溶融 福島第1原発1号機 調査で初の確認] 北海道新聞電子版、2015年3月19日。</ref>。[[東日本大震災]]の一環として扱われる<ref>{{Cite Web |url=http://www.bousai.go.jp/kaigirep/hakusho/h24/bousai2012/html/honbun/1b_1h_1s_01_00.htm |title=東日本大震災の被害状況 |publisher=内閣府 |accessdate=2017-03-28}}</ref>。
 
  
== 概要 ==
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'''福島第一原子力発電所事故'''(ふくしまだいいちげんしりょくはつでんしょじこ)
2011年(平成23年)3月11日の[[東北地方太平洋沖地震]]発生当時、福島第一原子力発電所(以下「原子力発電所」は「原発」と略す)では1〜3号機が運転中で、4号機〜6号機は定期検査中だった。1〜3号機の各[[原子炉]]は地震で自動停止。地震による停電で外部電源を失ったが{{Sfn|原子力災害対策本部|2011|loc=III.30}}、非常用ディーゼル発電機が起動した。
 
  
ところが地震の約50分後、遡上高14 [[メートル|m]] - 15 m(コンピュータ解析では、高さ13.1 m){{Sfn|原子力災害対策本部|2011|loc=III.28-III.29}} の[[津波]]が発電所を襲い、地下に設置されていた非常用ディーゼル発電機が海水に浸かって機能喪失。さらに電気設備、ポンプ、燃料タンク、非常用バッテリーなど多数の設備が損傷し、または流出で失ったため<ref>{{WAP |pid=3537352 |url=http://www.nsr.go.jp/archive/nisa/earthquake/files/houkoku230523-2.pdf |title=福島第一原子力発電所内外の電気設備の被害状況等に係る記録に関する報告を踏まえた対応について(指示)に対する報告について |date=2012-09-20}}</ref>、'''全電源喪失'''(ステーション・ブラックアウト、略称:SBO)に陥った。このため、ポンプを稼働できなくなり、原子炉内部や核燃料プールへの注水が不可能となり、核燃料の冷却ができなくなった。核燃料は運転停止後も膨大な[[崩壊熱]]を発するため、注水し続けなければ原子炉内が空焚きとなり、核燃料が自らの熱で溶け出す。
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2011年,[[福島県]]東部,[[双葉町]][[大熊町]]にまたがる太平洋岸にある東京電力福島第一原子力発電所で発生した,史上 2番目の規模の[[原子力発電所事故]]。福島第一原子力発電所は 1971~79年に建設された 6基の[[沸騰水型原子炉]]からなり,[[東京電力]]が運転していた。事故当時運転中だったのは 1~3号機だけで,定期点検中だった 4号機のプールには使用済み[[核燃料]]が貯蔵されていた。2011年3月11日に起こった[[東北地方太平洋沖地震]]により発生した津波で,福島第一原子力発電所の非常用電源が損傷した。運転中の[[原子炉]] 3基は緊急自動停止したものの,電源を喪失したことによって数日後には各原子炉の[[緊急炉心冷却装置]]が停止した。その結果,各原子炉で[[炉心溶融]]が起こったとみられた。数回にわたって[[格納容器]]内の蒸気を大気へ放出する排気(ベント)が行なわれたが,3月12日と 3月14日に 1号機と 3号機それぞれの原子炉建屋で水素爆発が発生,3月15日には 2号機の原子炉建屋で爆発が起こり,格納容器が損傷したとみられた。周辺地域に高濃度の放射性物質が拡散するおそれがあることから,政府は発電所から半径 30km圏内を飛行禁止区域とし,20km圏内の住民に避難指示を出した。4月12日,経済産業省の[[原子力安全・保安院]]はこの事故の[[国際原子力事象評価尺度]] INESを,1986年にソビエト連邦([[ウクライナ]])で起こった[[チェルノブイリ原子力発電所事故]]と同じレベル7とした。
 
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実際、1・2・3号機ともに、核燃料収納被覆管の溶融によって核燃料ペレットが[[原子炉圧力容器]](圧力容器)の底に落ちる'''[[炉心溶融]](メルトダウン)'''が起き、溶融した燃料集合体の高熱で、圧力容器の底に穴が開いたか、または制御棒挿入部の穴およびシールが溶解損傷して隙間ができたことで、溶融燃料の一部が圧力容器の外側にある[[原子炉格納容器]](格納容器)に漏れ出した(メルトスルー)。また、燃料の高熱そのものや、格納容器内の水蒸気や水素などによる圧力の急上昇などが原因となり、一部の原子炉では格納容器の一部が損傷に至ったとみられ<ref name="HOAN20110606">{{Cite news |title=メルトダウン「5時間後」=1号機、保安院が解析―東電推定より早く・福島第1 |url=http://www.jiji.com/jc/eqa?g=eqa&amp;k=2011060600456 |newspaper=時事ドットコム |date=2011-06-06 |accessdate=2011-06-06}}</ref><ref name="sonsyo">{{Cite web |url=http://www3.nhk.or.jp/news/genpatsu-fukushima/20110525/1215_1-2gouki_ana.html |title=1・2号機 格納容器に穴か |publisher=NHK |date=2011-05-25 |accessdate=2017-03-28}}</ref>、うち1号機は圧力容器の配管部が損傷したとみられている<ref name="HAIKAN20110525">{{Cite web |url=http://news.yahoo.co.jp/pickup/4300416 |title=圧力容器、地震当日破損か=配管部に蒸気漏れの可能性―福島第1原発1号機・東電 |publisher=時事通信 |date=2011-05-25 |accessdate=2017-03-28}}</ref>。
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{{テンプレート:20180815sk}}
 
 
また、1〜3号機ともメルトダウンの影響で、[[水素]]が大量発生し、原子炉建屋、タービン建屋各内部に水素ガスが充満。1・3・4号機は[[ガス爆発]]を起こして原子炉建屋、タービン建屋および周辺施設が大破した(4号機は定期検査中だったが、3号機から給電停止と共に開放状態であった、非常用ガス処理系配管を通じて充満した可能性が高い<ref name="gyaku20110515">{{Harvnb|内閣事故調|2012|pp=76-80}}</ref>)<ref name="NISA20110405">{{WAP |pid=7352649 |url=http://www.meti.go.jp/press/2011/04/20110405002/20110405002-1.pdf |title=地震被害情報(第74報) [2011年04月05日08時00分現在] |date=2013-02-05}}</ref><ref name="msn20110330"/>。
 
 
 
格納容器内の圧力を下げるために行われた排気操作(ベント)や、水素爆発、格納容器の破損、配管の繋ぎ目からの蒸気漏れ、冷却水漏れなどにより、大気中・土壌・海洋・地下水へ、大量の放射性物質が放出された。複数の原子炉(1,2,3号機)が連鎖的に炉心溶融、複数の原子炉建屋(1,3,4号機)のオペレーションフロアで水素爆発が発生し、大量に放射性物質を放出するという、史上例を見ない大規模な原発事故となった<ref name="setsumei20110415"/><ref name="sonsyo"/>。
 
 
 
事故により、大気中に放出された放射性物質の量は、諸説あるが、東京電力の推計によるとヨウ素換算値で約90京[[ベクレル]] (Bq) で、[[チェルノブイリ原子力発電所事故]]での放出量520京Bqの約6分の1に当たる<ref name="TEPCO20120524" /><ref name="NAIIC20120705" />。東京電力は、2011年8月時点で、半月分の平均放出量は2億 Bq (0.0002TBq) 程度と発表している<ref name="beku20110817">{{Cite news |title=東電:放射線放出量、毎時2億ベクレル-事故直後比1000万分の1 |url=http://www.bloomberg.co.jp/apps/news?pid=90920019&amp;sid=axO6ia7XC6Bc |newspaper=bloomberg |date=2011-08-17 |accessdate=2011-08-17}}{{リンク切れ|date=2017年3月}}</ref>。また空間放射線量が年間5[[ミリ]][[シーベルト]] (mSv) 以上の地域は約1800km{{sup|2}}、年間20mSv以上の地域は約500km{{sup|2}}の範囲に及んだ<ref name="NAIIC20120705" />。
 
 
 
[[日本国政府]]は、福島第一原発から半径 20 km圏内を[[警戒区域]]、20km以遠の放射線量の高い地域を「計画的避難区域」として避難対象地域に指定し、10万人以上の住民が避難した。2012年4月以降、放射線量に応じて避難指示解除準備区域・居住制限区域・帰還困難区域に再編され、帰還困難区域では立ち入りが原則禁止されている。2014年4月以降、一部地域で徐々に避難指示が解除されているが、帰還困難区域での解除は、事故発生から10年後の[[2021年]]以降となる見通しである。
 
 
 
== 事故の内容 ==
 
=== 事故経過 ===
 
[[画像:Fukushima I NPP 1975 medium crop rotated labeled.jpg|thumb|right|200px|各原子炉の配置図<br />({{国土航空写真}}[[1975年]]撮影。3号機〜6号機は当時建設中)<br />・6号機が[[相馬市|相馬]]側<br />・4号機が[[いわき市|いわき]]側]]
 
{{main2|3月末までの詳細な経緯|福島第一原子力発電所事故の経緯|4月以降の経緯|福島第一原子力発電所事故の経緯 (2011年4月以降)}}
 
 
 
==== 地震と津波による電源喪失 ====
 
日本近海の[[牡鹿半島]]沖で[[2011年]][[3月11日]]14時46分に発生した[[東北地方太平洋沖地震]]で、福島第一原発の在る[[大熊町]][[震度]]6強の揺れとなり、最大[[加速度]]は設計値の約126[[パーセント]]の550[[ガル]]を記録{{Sfn|原子力災害対策本部|2011|loc=III.27}}<ref name="f12np-gaiyou">{{Cite press release |title=東日本大震災における原子力発電所の影響と現在の状況について|url=http://www.tepco.co.jp/nu/fukushima-np/f1/images/f12np-gaiyou.pdf |format=PDF |publisher=東京電力 |date=2011-05-02 |accessdate=2011-09-12}}{{リンク切れ|date=2017年3月}}</ref><ref>[http://www3.nhk.or.jp/news/genpatsu-fukushima/index_0401.html NHK「福島第一原発 3基で想定を超える揺れ」]{{リンク切れ|date=2017年3月}}</ref>、施設内外に多くの破損が起こった。参考までに他の地震と比べると、[[兵庫県南部地震]][[阪神・淡路大震災]])で観測された最大加速度は818ガル<ref>[http://www.bousai.go.jp/1info/kyoukun/hanshin_awaji/earthquake/index.html 阪神・淡路大震災の概要]、[[内閣府]]{{リンク切れ|date=2013年8月}}</ref>、事故時までの世界最大は[[ギネス世界記録|ギネスブック]]によると<ref>[http://mainichi.jp/iPhone/select/news/20110112k0000m040062000c.html 岩手宮城内陸地震:一関市の揺れ「世界一」 ギネスが認定]{{リンク切れ|date=2012年10月}} [[毎日jp]]</ref>、[[2008年]][[6月14日]]の[[岩手・宮城内陸地震]]での4022ガル<ref>{{Cite web |url=http://www.kyoshin.bosai.go.jp/kyoshin/topics/Iwatemiyaginairiku_080614/IWTH25_NIED.pdf |title=平成20年(2008年)岩手・宮城内陸地震において記録されたきわめて大きな強震動について |publisher=防災科学技術研究所 |format=pdf |accessdate=2017-03-28}}</ref>である。
 
 
 
この地震により、稼働中の1 - 3号機は自動的に制御棒が挿入され緊急停止した([[原子炉スクラム]])。原発に電力を供給していた6系統の送電線の内の鉄塔1基<ref group="注">倒壊した鉄塔は、福島第一原発山側の、[[夜ノ森]]線第27号鉄塔である。</ref>が地震による土砂崩れで倒壊し{{Sfn|原子力災害対策本部|2011|loc=IV.82}}、5号機・6号機が外部電源を喪失した。1〜4号機もまた、送電線の断線やショート、関連設備の故障などにより、同じく外部電源を喪失した{{Sfn|原子力災害対策本部|2011|loc=III.30}}。外部電源・非常用発電機を損失したために館内は停電し、大量の水が降ってきた場所もあり<ref>[http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20110316-OYT1T00550.htm?from=main1 読売新聞「原発作業員の恐怖証言」]{{リンク切れ|date=2017年3月}}</ref>作業員は緊急退避した。
 
 
 
外部電源が失われたため、一旦は非常用電源([[ディーゼルエンジン|ディーゼル]][[発電機]])が起動し切り替わった。しかし、[[太平洋]]から押し寄せた大きな[[津波]]が、地震発生41分後の15時27分の第一波{{Sfn|原子力災害対策本部|2011|loc=III.28}}以後、数回にわたり本原発を襲った。津波は低い防波堤を越え、施設を大きく破壊し、地下室や立坑にも浸水した。地下にあった1 - 6号機の非常用電源は水没し<ref>{{Cite web |url=http://www.asahi.com/special/10005/TKY201106110146.html |title=「地下に非常電源」米設計裏目に ハリケーン対策だった |publisher=朝日新聞 |date=2011-06-11 |accessdate=2017-03-28}}</ref>、二次冷却系海水ポンプや、燃料のオイルタンクも流失した。
 
 
 
このため1・2・4号機が全電源喪失、3・5号機が全交流電源喪失に陥り、[[非常用炉心冷却装置]] (ECCS) や冷却水循環系のポンプを動かせなくなった。しかも海水系冷却装置系統 (RHR) は津波で破損した{{Sfn|原子力災害対策本部|2011|loc=IV.37}}。核燃料は原子炉停止後も長い年月、[[崩壊熱]]を発し続けるので、長時間冷却が滞ると過熱を起こし重大な事故に繋がる。
 
 
 
いったん冷却不能になれば、燃料棒は過熱し続け炉内温度は上昇、そのため冷却水からの水蒸気発生によって炉内水位は低下し、圧力容器と格納容器の内圧は上昇、燃料ペレット被覆管(ジルカロイ材)溶融による化学反応で多量の水素発生、といった過程は進行を続け、有効な対策を打たない限りは数十時間程度で爆発する可能性がある。
 
 
 
これを防ぐため、格納容器内の蒸気を外に逃がす操作('''ベント''')を行い格納容器の圧力を下げる必要がある。しかしベントによっても放射性物質は放出されるのであり、最悪の事態を避けるためのやむを得ない措置である。通常行なわれるベントは、ウェットベント(=PCVベント)といい、格納容器内の蒸気を圧力抑制室内に貯められた水にくぐらせて大半の放射性物質を取り除いてから外部に放出する。ドライベントは、格納容器から直接外部に放出するためより多くの放射性物質が放出されることになる。
 
 
 
電源喪失により、原子炉冷却機能を失っただけでなく、原子炉の状態を示す各計器の値が表示されなくなり、さらに発電所内の照明、通信機能も失ったことが、事故対応を極めて困難なものにした。また津波によって発電所敷地内にがれき、車両、重油タンク等が散乱し、事故復旧のための資材搬入や車両通行を妨げた。さらに、大津波警報が継続するとともに大きな余震が繰り返し発生し、それらへの警戒からたびたび作業中断を余儀なくされた。
 
 
 
1号機では最も早く注水が止まり、地震翌日までに炉心溶融、建屋爆発に繋がった。2号機では蒸気タービン駆動の隔離時注水系 (RCIC) が、奇跡的に3日間、炉心に水を注入し続けた。直流電源の残っていた3号機も2日間注水が継続していた(2号機・3号機は、全交流電源喪失を考慮し、隔離時注水系 (RCIC)・高圧注水系 (HPCI) と、2系統の蒸気タービン駆動注水装置がある)。
 
 
 
しかし停電時間は、電力会社が設計上想定してきた最大8時間に収まらず、非常用バッテリーを使い切った。渋滞による電源車の遅れ、原子炉の電圧と合う電源車が62台のうち1台しかなかったこと、電源車の出力不足、唯一の受電施設が水没したこと、地震翌日に開通した仮設電源ケーブルが開通6分後に1号機の水素爆発で吹き飛ばされたこと、[[自衛隊]]や[[在日米軍]]による電源車のヘリコプター空輸が、重量超過のため搬送できなかったことなどの複合要因により、全電源喪失の時間が長期化した<ref>{{Cite web |url=http://www.tepco.co.jp/cc/press/betu11_j/images/110618l.pdf |title=福島第一原子力発電所 被災直後の対応状況について |publisher=東京電力 |format=pdf |accessdate=2017-03-28}}</ref><ref name="gengikyo20110413">{{Cite web |url=http://www.gengikyo.jp/news/20110413.pdf |title=緊急提言 福島第一原子力発電所事故対応に向けて |publisher=日本原子力技術協会最高顧問 石川迪夫 |format=pdf |date=2011-04-13 |accessdate=2017-03-28}}</ref><ref>{{Cite news |author=足立旬子 |author2=奥山智己 |title=福島第1原発:地震直後データ公表 現場、極度の混乱 |url=http://mainichi.jp/select/weathernews/20110311/archive/news/2011/05/16/20110517k0000m040129000c.html |newspaper=毎日jp |date=2011-05-16 |accessdate=2011-09-12}}{{リンク切れ|date=2012年10月}}</ref>。
 
 
 
==== 1号機における事故の進展 ====
 
1号機では、3月11日14時46分の地震発生後、14時52分に原子炉を冷却する非常用復水器が起動{{Sfn|原子力災害対策本部|2011|loc=III.36}}したが、急激な圧力低下を緩和するため(圧力容器の破損を避けるため)作業員は手動での操作(起動・停止を繰り返し)に切り替えた{{Sfn|内閣事故調中間|2011|p=81}}。その操作中の15時半頃、[[津波]]に襲われ、15時50分に非常用電池が水没して遮断状態のまま非常用復水器が使用不能になり、同時に計器、動弁電源も失われた。東京電力は、17時に電源車を出動させたが[[渋滞]]で動けず、18時20分に[[東北電力]]に電源車の出動を要請したが、到着は22時で{{Sfn|東電事故報告|2012|p=124}}、津波の被害・電圧不一致もあって、翌3月12日15時まで接続できなかった。
 
 
 
一方11日19時30分に1号機の燃料は蒸発による水位低下で全露出して炉心溶融が始まり、20時50分から動かしていたディーゼル駆動消火ポンプも翌12日1時48分に機能停止{{Sfn|東電事故報告|2012|p=125, 129}}、翌12日明方6時頃には全燃料がメルトダウンに至ったとみられる<ref>55%炉心損傷は14日07時18分「炉心溶融基準 把握せず」読売新聞2016年2月25日朝刊38面</ref>。1号機は上記の経緯で、地震発生後5時間で燃料が露出したとみられ、15時間ほどで[[炉心溶融]]したと思われる。
 
 
 
東京電力は11日夕方から夜にかけて、非常用復水器が停止していることを認識せず、注水が行われているとみていた([[#1号機のIC作動状況の誤認|後述]])。ところが11日23時頃から1号機原子炉内圧力の異常な上昇を検知し、格納容器内部圧力は設計強度の1.5倍にも達したため、3月12日0時6分頃、第一原発所長の[[吉田昌郎]]は、ベントの準備をするよう指示した{{Sfn|内閣事故調中間|2011|p=143}}。
 
 
 
[[経済産業大臣]][[海江田万里]]も3月12日早朝、大量の放射性物質が大気中に放出される虞、また水素爆発低減用に充填されている窒素も抜けてしまう虞は承知の上で、ベント実施を命令し、[[内閣総理大臣]][[菅直人]]も第一原発を訪れて、ベントを急ぐように指示した{{Sfn|内閣事故調中間|2011|p=150}}{{Sfn|国会事故調|2012|p=259}}。東京電力は12日9時頃にウェットベント作業を開始。しかし、操作マニュアルの不備や、高濃度の放射線に現場が汚染されたことでベントの作業は難航し、14時30分にようやくベント成功を確認した{{Sfn|国会事故調|2012|p=152}}{{Sfn|東電事故報告|2012|p=119}}{{Sfn|原子力災害対策本部|2011|loc=IV.37-38}} 。
 
 
 
その1時間後の[[3月12日]]15時36分、1号機の原子炉建屋は水素爆発を起こして大破した{{Sfn|原子力災害対策本部|2011|loc=IV.38}}。この瞬間の様子は[[福島中央テレビ]]が唯一撮影に成功し、[[世界]]に知れ渡った。1号機は火炎を視認できない透明な爆発と同時に地面を這うような白煙が広がった。水素爆発の原因は、圧力容器が損傷したことで原子炉建屋内に水素が充満していたか、あるいはベントにより排出された多量の水素を含む水蒸気が、原子炉建屋のオペレーションフロアに流れ込んだためと諸説ある{{Sfn|原子力災害対策本部|2011|loc=IV.43-44}}。福島中央テレビが撮影した映像は、3月12日15時40分に福島県ローカルのみで映像が放送され、その1時間9分後の16時49分にNNN全国ネットで放送され、この映像で総理官邸が事態を把握したことになる。この映像は世界に配信されたものの、発生当日に国内で放送されたのはNNNのみである。
 
 
 
水素爆発でまき散らされた瓦礫等により、負傷者が出るとともに、完成間近だった2号機への注水用ポンプケーブル敷設作業が、振り出しに戻ってしまった{{Sfn|国会事故調|2012|p=154}}。また、爆風によって2号機建屋のブローアウトパネルが脱落、原子炉建屋内部が外気に通じた{{Sfn|国会事故調|2012|p=154}}。
 
 
 
==== 3号機における事故の進展 ====
 
バッテリーが生きていた3号機でも、隔離時注水系 (RCIC) による注水が、3月12日11時36分に停止。約1時間後の12時35分には高圧注水系 (HPCI) が、RCIC停止を感知して入れ替わり起動し、その後14時間ほど稼働し続けた。しかし高圧注水をいつまでも続けることはできず、13日2時42分、HPCIを手動で停止。ディーゼル稼働消火ポンプでの注水に切り替えようと、主蒸気逃し安全弁(SR弁)を開いて原子炉内の圧力を下げようとした。ところがSR弁が開かず、注水が約7時間中断してしまった{{Sfn|東電事故報告|2012|p=179}}。
 
 
 
このため、3月13日4時15分に、炉心の露出が始まった{{Sfn|国会事故調|2012|p=155}}。8時41分にベントに成功し、その1時間後までにディーゼル稼動消火ポンプと消防車によって注水も再開できたが、12時20分、注水用の水が無くなり注水が停止{{Sfn|国会事故調|2012|p=155}}。13時12分に海水注入に切り替えたが、十分に水位が上がらず炉心の露出が続いた。2014年8月6日に東京電力が発表した再解析の結果によると、すでに3月13日午前5時半頃から、3号機の[[炉心溶融]]が始まり、3月14日7時頃には、燃料の大部分が圧力容器の底を突き破って、格納容器へ溶け落ちたとみられる<ref name="nhk20140806">{{Cite web |url=http://www3.nhk.or.jp/news/genpatsu-fukushima/20140806/1212_kaisekikekka.html |title=3号機 大部分の燃料が溶融落下の解析結果 |publisher=NHK |date=2014-08-06 |accessdate=2017-03-28}}</ref><ref>{{Cite news |url=http://www.tokyo-np.co.jp/article/feature/nucerror/list/CK2014080702100003.html |title=核燃料ほぼ全量落下 福島3号機 廃炉一層困難 |newspaper=東京新聞 |date=2014-08-07 |accessdate=2016-04-09}}{{リンク切れ|date=2017年3月}}</ref><ref>3号機の30%炉心損傷は14日05時03分、2号機の35%炉心損傷は15日16時22分「炉心溶融基準 把握せず」読売新聞2016年2月25日朝刊38面</ref>。
 
 
 
[[3月14日]]11時1分、原子炉建屋のオペレーションフロアから上が、1号機と同じように水素爆発し大破した({{要出典範囲|保管燃料由来の水素爆発とされている|date=2016年4月}})。一瞬の透明な爆発の直後、燃料プール付近で一瞬の赤い炎が発生し、爆発煙が上がった。大量の瓦礫が高度数100mまで巻き上げられ7人が負傷し、復旧作業も中断した。その後数日間、3号機建屋からは何度も煙が上がった。核燃料を貯蔵する燃料プールが沸騰していると推測され、3月17日からは、自衛隊がヘリコプターと消防車で燃料プールを目掛けて放水を行った。
 
 
 
==== 2号機における事故の進展 ====
 
2号機では、全電源喪失2分前の11日15時39分に隔離時冷却系 (RCIC) を手動で起動していて、その後3日間も持ちこたえた。RCICの起動には直流電源が必要で、もし電源喪失前に起動していなければ、すぐに冷却機能を失い炉心損傷へと急転していた可能性が高い{{Sfn|国会事故調|2012|p=195}}。
 
 
 
RCICによる注水は14日13時25分に停止{{Sfn|国会事故調|2012|p=154}}。19時過ぎから格納容器ドライウェル圧力が上昇し、21時頃には圧力容器圧力とドライウェル圧力がほぼ同じになったことから、圧力容器が破損したものと推定される{{Sfn|国会事故調|2012|p=175}}。水素も発生したと考えられるが、ブローアウトパネル脱落により建屋に開いた穴から放出されたため水素爆発には至らなかった。東電はウェットベントとドライベントを試みたがすべて失敗し、このままでは圧力容器の破壊というこれまでよりも桁違いに深刻な事態に陥ることを恐れて現場は緊迫した空気に包まれた。東電は作業員の安全のため政府に第一原発からの撤退を申し入れたが、政府側はこれを「全面撤退」の意味で受け取り、拒否した(詳細は[[#東京電力の全面撤退をめぐる報道]]を参照)。格納容器圧力は600~700kPa(設計強度の約1.5倍)の高圧を7時間以上にわたって維持した{{Sfn|国会事故調|2012|p=175}}。
 
 
 
15日6時14分頃、大きな衝撃音が発生し、同時に圧力抑制室の圧力計が0を示した{{Sfn|東電事故報告|2012|p=157}}。圧力抑制室が破損した可能性があると判断した現場は、最小限の要員を残して第一原発から退避した。しかし、実際にはこれは圧力計の故障と推定されている{{Sfn|東電事故報告|2012|p=258-259}}。この衝撃音は、同時間帯に起きた4号機水素爆発のものと考えられる{{Sfn|東電事故報告|2012|p=258}}。東電による地震計の解析によれば、衝撃音発生の正確な時刻は6時12分、場所は4号機からで、同時間帯に発生した衝撃はこの1回だけだった{{Sfn|東電事故報告|2012|p=256-259}}。しかしながら、このとき2号機圧力抑制室が破損したとの見方もある{{Sfn|国会事故調|2012|p=175}}。
 
 
 
格納容器内圧力は15日7時25分にはまだ730kPaという高い値だったが、次に監視員が戻ってきて11時25分に確認した際には155kPaまで低下していたため、この間に格納容器に破損が生じたと考えられる{{Sfn|東電事故報告|2012|p=164-165}}{{Sfn|国会事故調|2012|p=176}}。事故で放出された放射性物質は、15日に2号機から放出されたものが最も多かったと推定されている。1・3号機ではウェットベントに成功したが、2号機ではベントに失敗し格納容器から直接放射性物質が放出されたためとみられる<ref>{{Cite web |url=http://www.tepco.co.jp/nu/fukushima-np/outline/2_5-j.html |title=2号機はなぜ過酷事故に陥ったか |publisher=東京電力 |accessdate=2017-03-28}}</ref>。しかし、吉田所長らが恐れていた原子炉の決定的な破壊にまでは至らず、最悪の事態は回避された(詳細は[[#最悪のシナリオ]]を参照)。この日放出された大量の放射性物質は、初めは南向きの風に乗って関東地方へ拡散したが、北西への風に変わった夕方に降り出した雨で土壌に降下し、原発から北西方向へ延びる帯状の高濃度汚染域を作り出した。
 
 
 
==== 4号機の水素爆発 ====
 
15日6時14分頃、大きな衝撃音と振動が発生し、その後4号機原子炉建屋の損傷が確認された{{Sfn|東電事故報告|2012|p=204}}。4号機建屋は水素爆発を起こしたと考えられるが、1・3号機と違って爆発時の映像が残っていない。4号機は炉心定期点検中で、炉に燃料は装荷されていなかったが{{Sfn|原子力災害対策本部|2011|loc=IV.76}}、3号機と4号機は原子炉建屋から排気筒への配管が共通のため、3号機建屋の水素が4号機建屋へ漏れたことで爆発が発生したと推定されている{{Sfn|原子力災害対策本部|2011|loc=IV.77}}。なお4号機建屋に3号機建屋からの水素ガスが漏れてきた原因は、電源喪失に伴う切替弁の作動停止によるものと思われている。仕様として、1号機・2号機、3号機・4号機というふうに隣接同士で原子炉建屋の排気筒を共有する設計が問題であると指摘されている<!--画像グーグル:福島第一-->。水素爆発によって4号機の使用済燃料プールがむき出しになり、プールの冷却水喪失による核燃料の過熱が恐れられたが、実際には水が残っていて核燃料の冠水が継続していた。15日9時38分、建屋内で火災を確認したが、11時までに自然に鎮火した{{Sfn|東電事故報告|2012|p=204}}。16日5時45分頃に再び火災の連絡があったが、6時15分には現場に火は無かった。隣接する3号機建屋付近の放射線量が極めて高かったため、現場の確認さえ困難になっていた。
 
 
 
==== 5-6号機 ====
 
5号機・6号機は、1〜4号機と立地が異なりやや離れた高所にあり、津波被害がやや軽微だった。6号機の高い位置に設置されたディーゼル発電機1基のみ津波被害を免れ実働であったので、これを輪番で兼用することで全電源喪失を免れることができ、核燃料冷却を継続できた{{Sfn|原子力災害対策本部|2011|loc=IV.84}}([[#地震と津波による電源喪失と原子炉の破損の進行]]も参照)。1号機〜4号機は、標高35mの丘陵を岩盤に近づけ標高10mまで削って整地し(→[[福島第一原子力発電所#各原子炉の建設]])、非常用電源も地下や1階に設置していた。標高は5号機・6号機は13m、福島第二原発は12mだった。この落差がそのまま、津波被害の軽重へ直結した。現地では、やや高い5号機付近の敷地から、施設周辺が次第に津波に覆われる様子を撮影している<ref>[http://www.tepco.co.jp/tepconews/pressroom/110311/indexold-j.html 福島第一原子力発電所 津波来襲状況[2011年3月11日 撮影場所:固体廃棄物貯蔵庫東側法面(5号機近傍 いわき側から海側を撮影)]ほか複数位置からの撮影画像あり]{{リンク切れ|date=2017年3月}}</ref>。
 
 
 
==== 収束へ ====
 
原子炉の冷温停止状態を目指す復旧作業として、原子炉と使用済み核燃料プールを冷やすための注水または放水(初期は海水、のちに淡水。[[福島県]][[双葉郡]][[大熊町]]の[[坂下ダム]]の貯水の淡水を使用。)が各種ポンプ車両、および仮設ポンプなどにより行われ続け、完成とは呼べないものの7月上旬には従来の注水から、[[アレヴァ]]、[[キュリオン]]の設備により[[放射性物質]]を除去した上での循環水冷却に完全に移行し、8月には[[東芝]]などの開発した[[サリー (機械)]]も加わり処理能力が向上した。以降も引き続き事態を収束へ向かわせる懸命の努力が続いた。
 
 
 
現場では、過酷な状況の中で作業者、技術者らが事故収束作業をしている。彼らは当初の人数に因み「[[フクシマ50]]」(フクシマフィフティ)などと称賛された<ref name="フクシマ50">{{Cite news |url=http://www.asahi.com/national/update/0318/TKY201103180477.html |title=「英雄フクシマ50」欧米メディア、原発の作業員ら称賛 |newspaper=asahi.com |date=2011-03-18 |accessdate=2011-04-15}}{{リンク切れ|date=2012年10月}}</ref>。
 
 
 
注水を継続する中、タービン建屋の修理に必要な汚染水移送や、国内外のロボットを使った調査などがされている<ref name="NISA_IAEA_SIDE01">{{Cite web |url=http://www.nisa.meti.go.jp/oshirase/2011/files/230411-1-3.pdf |title=2011年東北地方太平洋沖地震と原子力発電所に対する地震の被害 |publisher=原子力安全・保安院、原子力安全基盤機構 |format=PDF |date=2011-04-04 |accessdate=2011-04-15 |deadlink=2017-03-29}}</ref><ref name="NISA0415">{{WAP |pid=7352649 |url=http://www.meti.go.jp/press/2011/04/20110415002/20110415002-1.pdf |title=地震被害情報(第94報)[2011年04月15日08時00分現在] |date=2013-02-05}}</ref><ref name="フクシマ50"/>。原子炉建屋は高線量で人が立ち入れず、配管故障状況の調査、修理は難航しており、多くの計器や電気系統が故障し、原子炉の状態の詳細は把握されていない。それを助けるために、「[[レスキューロボット#原発災害用ロボット|原発災害用ロボット]]」を使った調査・情報収集も行われている。
 
{{main2|原発事故へのロボットの投入|レスキューロボット#原発災害用ロボット}}
 
 
 
4月17日、東京電力から2011年10月 - 2012年1月に原子炉を冷温停止させる2ステップからなる収束工程表が発表された<ref name="tepco11041702">{{Cite web |url=http://www.tepco.co.jp/cc/press/11041702-j.html |title=福島第一原子力発電所・事故の収束に向けた道筋 |publisher=東京電力 |date=2011-04-17 |accessdate=2017-03-28}}</ref>。進められている手順は、主に以下の通りである。
 
# 機器のリモートコントロール化を利用し、また、作業員の線量管理、健康管理を厳重に行うことで、被曝などによる疾病を予防する。
 
# 建屋に人が入れるように、また、環境に漏出させないように、放射性物質を含む溜まり水を保管できる先を確保して移す。将来は浄化する。
 
# 立ち入れるよう、建屋の空気をフィルターでこして線量を下げる。
 
# 立ち入れるようになったら水位計、圧力計を修理して状況をより正確に把握する。状況に応じて適切に冷却手段を講じる。その過程で圧力が下がりすぎて空気(酸素)の流入で水素爆発が起こらないよう、窒素の注入を慎重に継続する。
 
# 4号機の使用済み燃料プールが損壊しないよう、下部を補強する。
 
# 空冷による冷却水循環系を早期に構築して、冷温停止させる。
 
 
 
作業の制約になる敷地内の線量を減少させ、また大気汚染を減らすために、主に以下の対策が行われた<ref>{{WAP |pid=7352649|url=http://www.meti.go.jp/press/2011/04/20110417002/20110417002-1.pdf |title=地震被害情報(第98報) [2011年04月17日15時00分現在] |date=2013-02-06}}</ref>。
 
# 飛散防止剤([[樹脂エマルジョン]])の敷地散布。
 
# リモートコントロール重機による汚染した瓦礫の撤去。
 
# 原子炉建屋を特殊なカバーで覆う。
 
2011年12月16日、政府は「発電所の事故そのものは収束に至った」として原子炉の冷温停止を宣言した。福島県知事は事故は収束していないとして反発した。
 
 
 
2013年3月18日に1号・3号・4号・共用プールの使用済み燃料プールが停電状態に陥って循環冷却機能を一時喪失したが、20日未明までに配電盤の復旧を行い冷却機能を回復した<ref>{{Cite news |title=福島第一原発 すべての冷却システム復旧 |url=http://www3.nhk.or.jp/news/html/20130320/t10013326961000.html |date=2013-03-20 |newspaper=NHKニュース |publisher=日本放送協会 |accessdate=2013-03-23 |archiveurl=http://megalodon.jp/2013-0320-0800-33/www3.nhk.or.jp/news/html/20130320/t10013326961000.html |archivedate=2013-03-23}}</ref>。
 
 
 
==== ALPSの運転 ====
 
2012年10月、[[トリチウム]]以外の62核種の放射性物質を汚染水から除去できる多核種除去装置・'''ALPS'''(アルプス・Advanced Liquid Processing System)<ref>{{Cite web |url=http://www.meti.go.jp/earthquake/nuclear/pdf/120123_02i.pdf |title=多核種除去設備の設置について |publisher=東京電力 |format=pdf |date=2012-01-23 |accessdate=2017-03-28}}</ref><ref>{{Cite web |url=http://www.tepco.co.jp/nu/fukushima-np/f1/genkyo/fp_cc/fp_alps/index.html |title=多核種除去設備 (ALPS) |publisher=東京電力 |accessdate=2017-03-28}}</ref>を東芝が完成した。2013年3月25日、[[原子力規制委員会 (日本)|原子力規制委員会]]が、評価に基づき<ref>原子力規制委員会 {{PDFlink|[https://www.nsr.go.jp/committee/kisei/h24fy/data/0033_03.pdf 東京電力福島第一原子力発電所多核種除去設備(A系)のホット試験開始に関する評価について(案)]}} 平成25年3月19日</ref>試運転の実施に向けた原子炉施設保安規定の変更を認可、東電は試運転(ホット試験)を月内にも開始すると発表した。1日250トンを処理できる能力を持つ3系統があり、この内1系統で3月下旬から試運転が行われた。そして6月15日に、4月から試験運転していたA系でタンクの腐食による水漏れトラブルが発生した。東電は7月25日に、汚染水に含まれる塩化物イオンや次亜塩素酸の影響で、厚さ約9ミリのタンクの溶接部分の腐食が進み、微細な穴が開いたことを明らかにした。そこで、まずタンクの内側にゴムを張ることとし、次に試運転中のB系統も8月初めに停止してタンクを補修、さらにまだ試運転を始めていないC系統も対策を取ることとした。そして全ての系列が停止した。9月中旬には1基目の運転再開を目指していた。年内本格稼動の予定であった<ref>{{WAP |pid=8196143 |url=http://www.nsr.go.jp/committee/kisei/h24fy/data/0033_02.pdf |title=東京電力(株)福島第一原子力発電所多核種除去設備(A系)のホット試験開始に関する評価について (資料2-1) |date=2013-04-05}}</ref>。除去できないトリチウム入り汚染水はタンクに保管して希釈した上で海洋に放出する予定であるが、漁業者の反対が多く放出時期の目処は立っていない。この点、すでに東電側がトリチウムの安全性を主張していた<ref>{{Cite web |url=http://www.tepco.co.jp/nu/fukushima-np/handouts/2013/images/handouts_130228_08-j.pdf |title=福島第一原子力発電所でのトリチウムについて |publisher=東京電力 |format=pdf |date=2013-02-28 |accessdate=2017-03-28}}</ref>。しかし、これに対する批判は多い<ref>{{Cite web|url=http://www5a.biglobe.ne.jp/~genkoku/failes/junbi-syomen/reprocess/reprocess-128-20140307.pdf |title=六ヶ所再処理工場から放出されるトリチウムの危険性 |format=pdf |date=2014-03-07 |accessdate=2017-03-28}}</ref><ref>[[:en:Helen Caldicott|ヘレン・カルディコット]]は次のように説明する。福島原発前の湾の水はトリチウムで高度に汚染されていて、その濃度はずっと上昇しており、今や1リットルあたり4,700[[ベクレル]]もの値となっており、海水中で記録されたものとして最高である。トリチウムは、DNA内で分子と結合し、突然変異を引き起こす。様々な動物実験で、トリチウムは、先天性異常、脳や卵巣を含む様々な器官の癌を引き起こし、驚くほどの低線量で、精巣萎縮や知能発育不全を誘発する。トリチウムは、有機的に食物中に取り込まれ、魚、野菜や、他の食品の中で濃縮するが、放射能寿命は120年以上ある。汚染された食品を摂取すると、10パーセントが人体中で結合し、そのまま残り、長年細胞を照射し続ける可能性がある。
 
:RT [http://rt.com/op-edge/fukushima-catastrophe-health-japan-803/ Endless Fukushima catastrophe: Many generations’ health at stake] September 13, 2013 09:33</ref>。
 
 
 
=== 事故後の原子炉の状態 ===
 
{{main2|施設の損害状況一覧|福島第一原子力発電所事故の経緯#施設の損害状況}}
 
2015年、宇宙線ミュー粒子を利用して原子炉内部を透視した結果、1号機の核燃料はほぼ全量が熔融落下していることが分かった。核燃料は圧力容器の底から格納容器へ漏れ出たとみられる<ref>{{Cite news |url=http://www.nikkei.com/article/DGXLASDG19H9L_Z10C15A3CR8000/ |title=福島第1原発、「核燃料ほぼ全て溶融」 東電が1号機透視 |newspaper=日本経済新聞 |date=2015-03-19 |accessdate=2016-04-09}}</ref>。また2号機では7割以上が熔融落下していることが分かり、2016年7月、落下した燃料の大部分が圧力容器の底に残っているとみられると分かった<ref>{{Cite news |url=http://www.asahi.com/articles/ASH9V574ZH9VULBJ005.html |title=福島第一2号機、核燃料7割以上が溶融か 名大など発表 |newspaper=朝日新聞デジタル |date=2015-09-26 |accessdate=2016-04-09}}</ref><ref>{{Cite news |url=http://www.kahoku.co.jp/tohokunews/201607/20160715_63061.html |title=<福島第1>2号機溶融燃料 ほぼ炉内残存 |newspaper=河北新報 ONLINE NEWS |date=2016-07-14 |accessdate=2016-08-20}}</ref><ref>{{Cite news |url=http://www.nikkei.com/article/DGXLASGG28H1W_Y6A720C1000000/ |title=福島第1原発2号機 溶融燃料を初観測 |newspaper=日本経済新聞 |date=2016-07-28 |accessdate=2016-08-20}}</ref>。また2014年の東電の解析によると、3号機では核燃料の大部分が圧力容器の底を突き破って格納容器へ落下したとみられる<ref name="nhk20140806"/>。
 
 
 
2011年5月24日に、東京電力は、計測された圧力データを基に、1号機は圧力容器の外側にある格納容器に直径7 [[センチメートル|cm]]相当の穴が1箇所、2号機では格納容器に直径10 cm相当の穴が2箇所開いていると見ていることを発表した<ref>{{Cite news |title=福島第1原発:1号機と2号機の格納容器に穴の可能性 |newspaper=毎日jp |date=2011-05-25 |url=http://mainichi.jp/select/weathernews/20110311/news/20110525k0000m040135000c.html |accessdate=2011-06-01}}{{リンク切れ|date=2017年3月}}</ref>。これは事故が炉心溶融だけでなく、さらに進んだ炉心溶融貫通(メルトスルー)に至っている可能性を示唆している。
 
 
 
[[東京電力]]の5月26日の発表では、崩壊熱は5月20日時点で1〜3号機でそれぞれ1000 [[キロ|k]][[ワット|W]]〜2000 kW、地震から半年後時点で1000 kW前後としている<ref>{{Cite news |title=半年後も燃料発熱続く 東電が計算結果を公表 |newspaper=msn産経ニュース |date=2011-05-26 |url=http://sankei.jp.msn.com/affairs/news/110526/dst11052613210017-n1.htm |accessdate=2011-09-11}}{{リンク切れ|date=2012年10月}}</ref>。いずれにしてもウラン燃料が被覆管を溶融し、圧力容器、格納容器、そして配管の破れや2号機圧力抑制プールの破れから、放射性物質として外部環境に漏れ続けている。3号機の炉心には[[プルサーマル]]利用として[[MOX燃料]]が使われ、[[ウラン]]のほかに[[プルトニウム]]が含まれている<ref>{{Cite news |title=福島の3号機はプルサーマル |newspaper=WSJ |date=2011-03-22 |url=http://jp.wsj.com/japanrealtime/2011/03/22/%E7%A6%8F%E5%B3%B6%E3%81%AE3%E5%8F%B7%E6%A9%9F%E3%81%AF%E3%83%97%E3%83%AB%E3%82%B5%E3%83%BC%E3%83%9E%E3%83%AB/ |accessdate=2011-09-11}}{{リンク切れ|date=2017年3月}}</ref>ので、特に大気、海水および地下水への漏洩が心配されている。
 
 
 
== 放射性物質の放出、拡散と汚染の状況 ==
 
{{main|福島第一原発事故による放射性物質の拡散|福島第一原子力発電所事故の影響#放射性物質による汚染の状況と影響}}
 
[[画像:Fukushima accidents overview map Jp20110326.svg|thumb|300px|事故に伴って出された避難エリア等]]
 
ベント、水素爆発、格納容器の破損、冷却水漏れなどにより、大気中、土壌、溜まり水、立坑、海水、および地下水へ放射性物質が放出された。汚染は日本国内、国外に広がった。
 
 
 
福島第一原発からの放射性物質の放出は、3月14日深夜から16日までに最大のピークがあり、3月20日から23日にもこれに次ぐ放出量があったとみられる。3月15日前後の放出は、主に2号機からのものと考えられているが、3月20日からの放出の原因は不明である。
 
 
 
放射性物質の拡散および土壌への沈着状況は、風向きおよび降水に大きく左右されたため、原発からの距離が同じでも放射線量は大きく違い、汚染状況は同心円状ではない。放出された放射性物質は、14日深夜から15日未明には南-南西への風で茨城県方面へ流されたが、風向きは次第に西向きに変わった。やがて降り出した雨によって放射性物質が地上に降下したことで群馬県北部・栃木県北部に汚染をもたらした<ref name="朝日新聞20111121">朝日新聞朝刊2011年11月21日。</ref>。さらに15日午後には福島県中通りで、15日夜には原発から北西方向の地域で、雨によって放射性物質が地上に降下し高濃度の汚染地域が作られた<ref>{{Cite web |url=http://www.jaea.go.jp/02/press2011/p11061302/ |title=東京電力福島第一原子力発電所事故によるプラント北西地域の線量上昇プロセスを解析(お知らせ) |publisher=日本原子力研究開発機構 |date=2011-06-13 |accessdate=2016-03-20}}</ref>。また3月20日午後に北向きの風で運ばれた放射性物質が、雨によって宮城・岩手県境付近に降下。3月21日夜から22日未明には南向きの風に運ばれて茨城県南部・千葉県北部([[柏市]]付近)へ汚染をもたらした<ref name="朝日新聞20111121"/>。
 
 
 
3月14日から15日にかけて放射性ヨウ素131が大量に放出されたことがのちに判明した。飛散した地域と時刻の<!--岡野眞治博士が 初出の氏名を一旦コメントアウト-->解析(シミュレーション)結果をNHKが番組『埋もれた初期被ばくを追え』(2012年3月11日)内で放送した<ref>[http://www.nhk.or.jp/etv21c/file/2012/0311.html NHK「『初期被ばくを追え』」(ヨウ素131の被爆シミュレーション)の放送(2012/03/11-12:49)]</ref>{{要高次出典|date=2017年2月}}。14日に2号機で事故が発生し、通常の2500倍(1立方メートル当たり1万ベクレル)を超える放出した放射性ヨウ素が初期は風向きで海側へ流れていたが、3月15日0:00より南側の風向きに変化し、茨城県、そして栃木県を通過した、という内容であり、放射性のヨウ素131は、SPEEDIによる放射性セシウムの飛散予測とは全く異なる地域となっていたことが判明した。
 
 
 
第一原発正門付近の放射線量は、3月12日4時00分まで毎時0.07 [[マイクロ]][[シーベルト]] (μSv/h) と正常範囲だったが、4時30分に0.59 μSv/h、7時40分に5.1 μSv/hと上り、15時29分には1号機北西敷地境界付近で1,015 μSv/hになった<ref>{{Cite press release |title=地震による原子力施設への影響について(7時00分現在)(第11報) |url=http://kinkyu.nisa.go.jp/kinkyu/2011/03/700-11.html |publisher=原子力安全・保安院 |date=2011-03-12 |accessdate=2011-03-22}}{{リンク切れ|date=2012年10月}}</ref>。3月14日深夜からは一段と高い値を示し、15日9時00分に11,930μSv/hの最大値を観測。3号機付近では15日10時22分に毎時400 [[ミリ]]シーベルト(40万μSv/h)という非常に高い値を観測した。その後敷地の線量は減少し、<!--3月17日11時10分に646.2μSv/h、-->5月2日21時に正門付近では45 μSv/hとなった。
 
 
 
各地の空間放射線量の事故直後における最大値は、福島県[[浪江町]]赤宇木で170μSv/h、福島市で24.24μSv/h、栃木県宇都宮市で1.318μSv/h、東京都新宿区で0.809μSv/hなどであった<ref name="朝日新聞20111121"/>。なお、日本での事故前の平常時の放射線量は、0.025~0.15μSv/hほどである。
 
 
 
[[大気圏|大気]]中に放出された各放射性物質の量は、[[東京電力]]および[[東京電力福島原子力発電所事故調査委員会]](国会事故調)の報告によると、[[第18族元素|希ガス]]が約50京ベクレル (500[[ペタ|P]][[ベクレル|Bq]])、[[ヨウ素131]]が約50京ベクレル、[[セシウム134]]が約1京ベクレル、[[セシウム137]]が約1京ベクレルだった。ヨウ素131とセシウム137の合計は放射性ヨウ素換算値で約90京ベクレル (900PBq) であり、[[チェルノブイリ原子力発電所事故]]の国際原子力事象評価尺度評価である5200PBqと比較して、約6分の1の放出量となる<ref name="NAIIC20120705">{{WAP |pid=3856371 |url=http://naiic.go.jp/blog/reports/main-report/reserved/4th-1/ |title=第4部 被害状況と被害拡大の要因 (その1) |date=2012-10-25}}</ref><ref name="TEPCO20120524">{{Cite web |url=http://www.tepco.co.jp/cc/press/betu12_j/images/120524j0105.pdf |title=福島第一原子力発電所事故における放射性物質の大気中への放出量の推定について |publisher=東京電力 |format=pdf |date=2012-05 |accessdate=2017-03-28}}</ref>。なお、原子力安全・保安院(2012年2月16日発表)によれば48京 Bq、[[原子力安全委員会]](2011年8月22日発表)によれば57京ベクレルである<ref name="TEPCO20120524"/>。([[チェルノブイリ事故との比較#福島第一原発事故との比較]]も参照)
 
 
 
また、2号機から放出された高濃度汚染水が含む放射性物質の量は、東京電力発表の水量と濃度<ref name="tepco11041901">{{Cite web |url=http://www.tepco.co.jp/cc/press/11041901-j.html |title=高いレベルの放射性廃液の集中廃棄物処理施設への移送について |publisher=東京電力 |date=2011-04-19 |accessdate=2017-03-28}}</ref>に基づけば330京 Bqである。高濃度汚染水の一部は海洋や地下水に漏れた<ref>{{Cite news |title=福島原発の地下水汚染、海に流出の可能性 建屋の壁が破損か |newspaper=msn産経ニュース |date=2011-04-01 |url=http://sankei.jp.msn.com/affairs/news/110401/dst11040110050022-n1.htm |accessdate=2011-09-11 |archiveurl=http://web.archive.org/web/20110727043928/http://sankei.jp.msn.com/affairs/news/110401/dst11040110050022-n1.htm |archivedate=2011-07-27}}</ref><ref>{{Cite news |title=取水口でストロンチウム 地下水からも初検出 |newspaper=msn産経ニュース |date=2011-06-12 |url=http://sankei.jp.msn.com/affairs/news/110612/dst11061222010025-n1.htm |accessdate=2011-09-11 |archiveurl=http://web.archive.org/web/20111213195316/http://sankei.jp.msn.com/affairs/news/110612/dst11061222010025-n1.htm |archivedate=2011-12-13}}</ref>。
 
 
 
2011年10月13日時点における土壌中に蓄積されたセシウム137・セシウム134の合計値が1万ベクレル/m{{sup|2}}以上となる地域は、東北・関東・甲信越の13都県、3万km{{sup|2}}以上に及んだ<ref>{{Cite web |url=http://ramap.jaea.go.jp/map/? |title=放射線量等分布マップ拡大サイト |publisher=文部科学省 |accessdate=2016-04-02}}</ref><ref name="朝日新聞20111121"/>(1999年以降の調査での、事故前におけるセシウム137の最大値は、長野市の4700ベクレル/m{{sup|2}}である)。また年間の空間放射線量<ref group="注">1日のうち屋内に16時間、屋外に8時間いると仮定し、屋内(木造家屋)での線量は屋外の40%になると考えた場合</ref>が5ミリシーベルト (1.0μSv/h) 以上の地域は福島県内の約1800km{{sup|2}}、20ミリシーベルト (3.8μSv/h) 以上の地域は約500km{{sup|2}}の範囲に及んだ<ref name="NAIIC20120705" />。事故後は年間20ミリシーベルトが住民の許容被曝限度とされ、避難の基準となった。政府は、長期的には追加被曝量を年間1ミリシーベルト以下へ下げることを目指すとして、年間1ミリシーベルト (0.23μSv/h) 以上の放射線量が観測されていた8県の102市町村を2011年12月に「汚染状況重点調査地域」に指定して除染を進めている<ref>{{Cite web |url=http://www.env.go.jp/press/press.php?serial=14598 |title=放射性物質汚染対処特措法に基づく汚染廃棄物対策地域、除染特別地域及び汚染状況重点調査地域の指定について(お知らせ) |publisher=環境省 |date=2011-12-19 |accessdate=2016-04-02}}</ref>。
 
 
 
もともと原子炉内にあった核燃料は東京電力の所有物であるが、[[東京地方裁判所]]で行われた裁判における同社の主張では、放出された放射性物質の[[所有権]]は同社になく、付着した土地の持ち主にあるとしている<ref>{{Cite web |url=http://astand.asahi.com/webshinsho/asahi/asahishimbun/product/2012021700007.html |title=プロメテウスの罠〔4〕 東電は述べた「放射性物質は無主物である」 |publisher=朝日新聞 |date=2012-03-02 |accessdate=2017-03-28}}</ref><ref>[http://www.jiji.com/jc/zc?k=201111/2011111400849 福島ゴルフ場の仮処分申請却下=「営業可能」と賠償認めず-東京地裁]{{リンク切れ|date=2012年10月}}(時事通信 2011年11月14日)</ref>。
 
 
 
=== 汚染水の漏出 ===
 
[[画像:Fukushima I nuclear accident diagram 1.svg|thumb|360px|福島第一原発側面図]]
 
3月24日、3号機[[タービン]]建屋(側面図 (2))建屋地下の溜まり水に浸かりながらケーブル敷設作業をした作業員3人が[[被曝]]した。この水は濃度390万 Bq/[[立方センチメートル|cm{{sup|3}}]]の放射性物質を含み、表面から約400 mSv/hの放射線を発していた<ref>{{Cite web |url=http://www.tepco.co.jp/nu/f1-np/press_f1/2010/htmldata/bi1386-j.pdf |title=福島第一原子力発電所3号機タービン建屋における協力企業作業員の被ばくに関する調査結果について |publisher=東京電力 |format=pdf |date=2011-03-25 |accessdate=2017-03-28}}</ref>。また3月26日には1号機の溜まり水から380万 Bq/cm{{sup|3}}の放射線を検出、翌3月27日には2号機の溜まり水の表面で1,000 mSv/h を超えた(針が振り切れて測定不能となった)。
 
 
 
さらに、3月28日には1 - 3号機の海側にある立て坑(ピット)(側面図 (3))の溜まり水からも放射線が検出され、うち2号機の立て坑の水表面からは1,000 mSv/hを超える放射線量が検出された。立て坑は冷却用の海水などの配管が通っているトンネルであるトレンチ(側面図 (4))に通じている。2号機から、核燃料の混じった冷却水が漏れてこれらに流入しているとみられる<ref name="msn20110330">{{Cite news |url=http://sankei.jp.msn.com/affairs/news/110330/dst11033010110014-n1.htm |title=2号機の水、放射線量高く、炉内から漏出か 海への排出も検討 |newspaper=msn産経ニュース |date=2011-03-30 |accessdate=2011-04-04}}{{リンク切れ|date=2017年3月}}</ref>。冷却水を循環できず外部注水していたため、注水量が多すぎれば蒸発しきれない分、汚染水漏出量が増え、少なすぎれば温度や圧力が上がってさらなる炉心過熱の危険が増すという微妙な問題が発生した。
 
 
 
4月2日、2号機海側の立て坑に亀裂があり高濃度の放射性物質汚染水が海に流出しているのが発見された。コンクリートでは固められず、新聞紙やおがくずを投入してみるという試行錯誤の末、[[水ガラス]]の導入によって4月6日に止めることができた{{Sfn|原子力災害対策本部|2011|loc=VI.3}}が、その後、地下水の放射性物質濃度が高くなった。
 
 
 
東京電力は、高濃度汚染水をタービン建屋やトレンチから緊急に排出するために、集中廃棄物処理施設中の6.3 Bq/cm{{sup|3}}の低濃度汚染水(実測値9,070[[トン]])を海に放出して空けてそこに入れるしかないと判断した。さらに、5号機・6号機のサブドレンピットに増してきた貯留地下水(実測値1,323トン)もそれぞれ16 Bq/cm{{sup|3}}、20 Bq/cm{{sup|3}}<ref>{{Cite news |url=http://sankei.jp.msn.com/affairs/news/110404/dst11040416330025-n1.htm |title=東電、低レベルの放射線汚染水を海に放出へ 法定濃度の100倍 |newspaper=msn産経ニュース |date=2011-04-04 |accessdate=2011-04-16}}{{リンク切れ|date=2012年10月}}</ref>で設備水没の危険もあるので同時に海に放出するとした。東京電力は、[[核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律]]に基づいて政府の承認を受け、発表を行った。放出は4月4日から10日にかけて実施された。放射能レベルは約1,500億 Bqで{{Sfn|原子力災害対策本部|2011|loc=VI.5}}、「原発から1 km以遠の魚や海藻を毎日食べた場合の年間被曝量は0.6 mSvであり、年間に自然界から受ける放射線量の4分の1」とされたが<ref>{{Cite web |url=http://www.tepco.co.jp/cc/press/11040406-j.html |title=福島第一原子力発電所からの低レベルの滞留水などの海洋放出について(第二報) |publisher=東京電力 |date=2011-04-04 |accessdate=2017-03-28}}</ref>、この処理には日本国内外から抗議の声が上がった<ref>{{Cite news |url=http://sankei.jp.msn.com/world/news/110411/erp11041122330008-n1.htm |title=汚染水放出は「国際犯罪」 チェルノブイリ関係者らが批判 |newspaper=msn産経ニュース |date=2011-04-11 |accessdate=2011-09-11}}{{リンク切れ|date=2012年10月}}</ref>。
 
 
 
一方、2号機からの高濃度汚染水だけで2万5000トンあって、その[[セシウム137]]の濃度は300万 Bq/cm{{sup|3}}で、[[ヨウ素]]131の濃度は1300万 Bq/cm{{sup|3}}と発表されている<ref name="tepco11041901"/>。[[国際原子力事象評価尺度]]マニュアルの大気放出時ヨウ素換算係数<ref>[http://www-pub.iaea.org/mtcd/publications/PubDetails.asp?pubId=8120 INES: The International Nuclear and Radiological Event Scale User's Manual 2008 Edition p.158 TABLE-16]</ref>を準用し40を掛ければ、セシウム137のヨウ素等価濃度は1.2億 Bq/cm{{sup|3}}で、この2核種だけで合計濃度は1.33億 Bq/cm{{sup|3}}なので、2万5000トンの2号機汚染水に含まれる2核種の放射性物質総量はそれらの積で、330京 Bqと単純計算される。
 
 
 
4月6日以前に毎分2[[リットル]]で海に流れ出てしまった高濃度汚染水中の放射性物質は、上記濃度を仮定すれば、10日間あたり0.2京 Bqと計算される。東京電力は独自仮定に基づき、IAEAのヨウ素換算係数を適用しない単純合計ベースで、放射性物質放出の総量を0.47京 Bqと推算した<ref>{{Cite web |url=http://www.nikkei.com/article/DGXNASGG2100A_R20C11A4MM0000/?dg=1 |title=高濃度汚染水、海洋流出は4700兆ベクレル 福島2号機 |publisher=日本経済新聞 |date=2011-04-21 |accessdate=2017-03-28}}</ref>。この発表では「原発から1 km以遠の魚や海藻を毎日食べた場合の年間被曝量」についての言及はなかった。
 
 
 
炉を冷温停止させるための冷却水循環系を修理または外部接続するには、タービン建屋の高濃度汚染水を除去して作業環境を整える必要があったが、タービン建屋の水を減らすと新たに炉から放射性物質を含む汚染水が流入し、炉内の冷却水量が保てないというジレンマが発生した。
 
 
 
そこで、日本国内外の提案や援助を得ながら、主に以下の対策が実施されている。
 
# 汚染水の復水器・集中廃棄物処理施設・[[メガフロート]](巨大人工浮島)などへの移送
 
# 汚染水収納用のタンクの新設
 
# 高放射線量環境でも作業できる[[原発ロボット|原子力災害ロボット]]の投入
 
{{main|レスキューロボット#東日本大震災とレスキューロボット}}
 
# [[ロシア]]の[[放射性廃棄物処理設備#液体|液体放射性物質処理施設]]「すずらん」の投入<ref>[http://www.yomiuri.co.jp/world/news/20110405-OYT1T00073.htm 露に供与の液体放射性廃棄物処理施設、福島に 国際 YOMIURI ONLINE(読売新聞)]{{リンク切れ|date=2017年3月}}</ref>
 
# [[仙台]]産[[沸石|ゼオライト(沸石)]]や[[活性炭]]などによる放射性物質および海水由来塩分の浄化
 
# タービン建屋の汚染水を原子炉に戻すことによる汚染水減量
 
# 浄化フィルター設備および海水による冷却機の新設・接続による、安定的な循環冷却系の構築
 
4月12日、汚染水の一部移送が始まった<ref>[http://www3.nhk.or.jp/news/html/20110412/k10015255211000.html 汚染水を移送する作業 再開へ NHKニュース]{{リンク切れ|date=2012年10月}}</ref>。
 
 
 
上記対策などを織り込んで6 - 9か月後の冷温停止を目標とする収束工程表が、4月17日、東京電力から発表された<ref name="tepco11041702"/>。
 
 
 
6月3日、東京電力は、1 - 4号機および集中廃棄物処理施設建屋の地下にたまっている放射能汚染水の放射能が推定で72京 Bqに上ると発表した<ref>{{Cite news |url=http://www.asahi.com/national/jiji/JJT201106030053.html|title=高濃度汚染水、10万トン強=放射能は計72万テラベクレル―福島第1 |newspaper=asahi.com |date=2011-06-03 |accessdate=2011-06-06}}{{リンク切れ|date=2012年10月}}</ref>。
 
{|class="wikitable" style="text-align:center"
 
|+各建屋内に漏洩した滞留水の放射能の推定量<ref>{{WAP|pid=6086248|url=http://www.meti.go.jp/press/2011/06/20110603002/20110603002.pdf|title=東京電力(株)福島第一原子力発電所における高濃度の放射性物質を含む水の保管・処理に関する計画の受領について|date=2013-01-15}}</ref>
 
|-
 
!rowspan="2"|核種!!colspan="7"|放射能 ([[ペタ|P]][[ベクレル|Bq]])
 
|-
 
!1号機!!2号機!!3号機!!4号機!!集中廃棄物処理施設<ref group="注" name="集中RW">原典では、「集中RW」で「集中環境施設」・「集中廃棄物処理建屋」とされることがある。</ref><br />プロセス主建屋 !! 集中廃棄物処理施設<ref group="注" name="集中RW"/><br />高温焼却炉建屋!!合計
 
|-
 
![[ヨウ素131]]
 
|2.01||290.52||14.72||0.099||124.8||2.44||434.59
 
|-
 
![[セシウム134]]
 
|1.61||70.98||33.45||0.179||29.76||5.55||141.53
 
|-
 
![[セシウム137]]
 
|1.74||69.00||35.68||0.186||28.8||5.92||141.33
 
|-
 
!合計
 
|5.36||430.50||83.85||0.46||183.36||13.91||717.44
 
|}
 
 
 
=== 汚染土の再利用 ===
 
[[2016年]][[6月30日]]、[[環境省]]は原発事故後の福島県内の汚染土について、再利用するとの基本方針を正式決定、発表した。再利用する汚染度は放射性物質の濃度が8000[[ベクレル]]/[[キログラム]]以下に下がったものとされ、道路整備などで利用されるという<ref>[http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20160630-00000115-jij-pol 汚染土再利用の方針決定=管理方法なお検討―環境省]{{リンク切れ|date=2017年3月}} 時事通信 6月30日(木)18時17分配信</ref>。
 
 
 
== 日本政府等の対応 ==
 
福島第一原発の吉田昌郎所長は11日15時42分頃、全交流電源喪失状態になったことから[[原子力災害対策特別措置法]]第10条に該当すると判断し、同条に基づく通報を、東電本店を介して原子力安全・保安院等へ行った{{Sfn|内閣事故調|2012|p=191}}。これを受けて、経済産業省は原子力災害警戒本部を設置。総理官邸では、16時36分頃に官邸対策室が設置された。さらに、16時36分頃、東京電力は非常用炉心冷却装置による注水ができなくなる虞があると判断し、16時45分頃、同法15条に基づき原子力緊急事態に該当する旨を原子力安全・保安院へ通報した{{Sfn|内閣事故調|2012|p=192-193}}。政府は19時03分、原子力緊急事態宣言を出して総理官邸に原子力災害対策本部を設置するとともに、19時45分から枝野幸男内閣官房長官が記者会見で発表した{{Sfn|内閣事故調|2012|p=193-194}}。
 
 
 
福島県は11日20時50分、第一原発から半径2km以内に避難指示を出した{{Sfn|内閣事故調中間|2011|p=264}}。政府は、今後想定されるベントに備え、21時23分、第一原発から3km以内に避難指示、3km-10km圏内に屋内退避指示を出した{{Sfn|内閣事故調中間|2011|p=264-265}}。
 
 
 
12日未明、東京電力からの[[爆破弁#区別すべき他の概念|ベント]]作業実施の申し出に対して、官邸は許可を出した。12日3時06分頃から海江田経産大臣らが東電との共同記者会見を行い、1号機・2号機でベントを行うことを発表した{{Sfn|内閣事故調中間|2011|p=146-147}}。また5時44分に、ベントの実施作業が遅れた場合に対応するため、避難指示対象を半径10 kmに拡大した<ref>官房長官発表平成23年3月12日(土)午前</ref>。しかし官邸は、ベントがなかなか開始されないことに不満を募らせ、6時50分頃、海江田万里経産大臣が[[原子炉等規制法]]に基づきベント実施を命令した{{Sfn|内閣事故調中間|2011|p=149}}。さらに、現地の状況が十分に把握できないことから、菅直人首相自身が、ベント実施に平行して事故現場の福島第一原発を視察することを決定し、12日7時11分、菅がカメラマンらと共に事故現場に到着した<ref>官房長官発表平成23年3月12日(土)午前</ref>。しかし、操作マニュアルが電源喪失を想定しておらず、現場が混乱した<ref name="NHK原発危機">NHK総合テレビジョン(原発危機 第一回)2011年6月13日2:00</ref>ことなどから、ベント操作が首相の到着する段階になっても開始することができず、菅が現場にて説明を求めた。
 
 
 
1号機建屋の水素爆発の後、政府は12日18時25分、第一原発から20km以内へ避難指示を出した。
 
 
 
事故発生直後から、東電本店ではテレビ会議システムを第一原発と繋いで情報を共有していた{{Sfn|内閣事故調中間|2011|p=56}}。一方、政府への報告は総理官邸にいた東電幹部が携帯電話で情報を入手して行っていたため、伝達が遅れ気味で情報も限られていた{{Sfn|内閣事故調中間|2011|p=55,60}}。そのため、13日午前、東電本店から総理官邸に専用のFAXやパソコンを持ち込んで設置して情報伝達が改善された{{Sfn|内閣事故調中間|2011|p=60}}。
 
 
 
3月15日午前3時、[[清水正孝]]東京電力社長から[[海江田万里]][[経済産業大臣]]へ、事故現場からの作業員撤退の意向の申し出があり、大臣に拒否され、[[枝野幸男]][[内閣官房長官]]に再び申し出があった。午前4時17分に清水社長を官邸に呼び真意を聞いたが今後の対応を明言しなかった。午前5時35分[[菅直人]]首相は東京電力本店に乗り込み[[勝俣恒久]]代表取締役会長ら約200人が出迎の元、菅首相は「撤退などあり得ない」と迫った<ref>毎日新聞2011年9月7日11新版1, 14-15面、[http://mainichi.jp/select/weathernews/news/20110907k0000m040117000c.html 東日本大震災:原発事故対応…菅前首相に聞く]{{リンク切れ|date=2017年3月}}</ref><ref>読売新聞2011年9月8日13S版2面、[http://www.yomiuri.co.jp/feature/20110316-866921/news/20110907-OYT1T01246.htm 前首相の東電乗り込み、危急存亡の理由が]{{リンク切れ|date=2017年3月}}</ref>。なお、清水社長は当時を振り返り、直接作業に係わらない者達の退避の意向であった<ref>産業経済新聞社4月13日[http://sankei.jp.msn.com/economy/news/110413/biz11041317000038-n1.htm 東電・清水社長会見(8)「民営でありたいが、言及できる状況ではない」]{{リンク切れ|date=2017年3月}}</ref>、また東京電力は2011年9月8日の記者会見で社長が振り返った内容であったと認識しているとした。
 
 
 
「撤退」を巡る行き違いを受け、菅総理大臣は東電との情報共有を迅速化するため、15日朝に東電本店に乗り込んだその場で、政府と東電が一体となった福島原子力発電所事故対策統合本部を東電本店に設置すると宣言した{{Sfn|内閣事故調中間|2011|p=69}}。以後、政府の事故対応はこの統合本部で進められた。
 
 
 
; 住民に対する安定ヨウ素剤配付の遅れ
 
: 原子力安全委員会が事故発生3日後の3月14日、体内被曝(ひばく)をした場合に健康被害を防ぐ効果がある安定ヨウ素剤を住民に服用させるべきとする助言をしたのに対し、菅直人首相(当時)が本部長を務める政府の原子力災害対策本部は、対応しなかった(同事務局では受けた記録がないとしている)。その後、原子力安全委の助言をもとに政府の原子力災害現地対策本部長が16日に、福島県や関係市町村に住民への安定ヨウ素剤の投与を要請したが事故から4日以上後となった<ref>産経新聞 2011年10月7日</ref>。
 
* 厚生労働省は、急遽、食品と水道水を含めた飲み物の被曝許容量の暫定基準値を決定して発表。人体の被曝許容量の暫定基準値を年間20 mSvと定めた。
 
* 2011年5月6日 - 当事故の影響で[[菅直人]]首相は海江田万里経済産業大臣を通じて、[[中部電力]]に対して、[[東海地震]]の発生予想率を基に、[[静岡県]]の[[浜岡原子力発電所|浜岡原発]]の運転を中長期的に対策が立てられるまでの間、全て停止するように求め<ref>[http://mainichi.jp/photo/archive/news/2011/05/06/20110507k0000m040112000c.html 浜岡原発:全面停止へ 「唐突」「英断」…戸惑う地元]{{リンク切れ|date=October 2012}} 毎日jp 2011年5月6日</ref>、5月9日、中部電力は政府の要請に従って、浜岡原発を停止させた<ref>{{Cite web |url=http://www.chuden.co.jp/corporate/publicity/pub_release/press/3156075_6926.html |title=浜岡原子力発電所の運転停止要請への対応について |publisher=中部電力 |date=2011-05-09 |accessdate=2017-03-28}}</ref>。
 
* 2011年5月24日 - 原因を究明するための調査・検証を行うため、[[内閣官房]]に[[東京電力福島原子力発電所における事故調査・検証委員会]]の設置が閣議決定され<ref>{{Cite web |url=http://www.kantei.go.jp/jp/kakugikettei/2011/24jikochousa_kenshou.pdf |title=東京電力福島原子力発電所における事故調査・検証委員会の開催について |publisher=首相官邸 |format=pdf |date=2011-05-24 |accessdate=2017-03-28}}</ref>、6月7日初会合が行われた<ref>[http://mainichi.jp/select/weathernews/news/20110607dde001040026000c.html 東日本大震災:福島第1原発事故 事故調初会合 首相出席「私自身も被告」]{{リンク切れ|date=2012年10月}} 毎日jp 2011年6月7日</ref>。
 
* 2011年6月22日 - 原子力安全委員会は、当事故を重く見て、原子力発電設備の安全の基準となる「安全設計審査指針」と「耐震設計審査指針」の抜本改正に着手した。班目春樹委員長は改定には2〜3年掛かると述べた<ref>[http://mainichi.jp/select/jiken/news/20110623k0000m040120000c.html 福島第1原発:安全委、原発指針抜本改定へ 見直し着手]{{リンク切れ|date=2012年10月}} - 毎日jp 2011年6月22日</ref>。
 
* 2011年6月、[[海江田万里]][[経済産業大臣]](当時)は[[東京電力]]が求めていた当事故の汚染水流出を防ぐ遮水壁設置の先送りについて、「中長期的課題」とすることを条件に容認した<ref>{{Cite web |url=http://www.yomiuri.co.jp/politics/news/20130918-OYT1T00653.htm?from=ylist |title=海江田氏、2年前に遮水壁先送りを容認していた |publisher=[[読売新聞]] |date=2013-09-18 |accessdate=2013-09-18 |deadlink=2017-03-29}}</ref>。
 
* [[2012年]][[1月27日]] - [[野田内閣 (第1次改造)|野田内閣]]は[[菅内閣 (第2次改造)|菅内閣]]が[[東日本大震災]]に関する15組織のうち10組織が議事録を未作成、そのうち5組織では議事概要も未作成または一部作成であったとする調査結果を発表。[[公文書等の管理に関する法律]]に照らしても不適切ともされた。[[野田佳彦]][[内閣総理大臣]]は午前の参議院本会議で「文書で随時記録されなかったのは遺憾。会議の意志決定過程を把握できる文書作成は国民への説明責任を果たすため極めて重要。」と答弁した。[[岡田克也]][[副総理]]([[証書|公文書]]管理担当大臣)は5組織出席者から聞き取り調査の上、2月中に議事概要の作成を関係閣僚に求めた<ref>読売新聞2012年1月27日夕刊3版1面及び翌28日朝刊13S版1,2,3,4面、[http://www.yomiuri.co.jp/politics/news/20120127-OYT1T00596.htm 震災関連会議、10組織で議事録作らず]</ref><ref>[http://sankei.jp.msn.com/politics/news/110511/plc11051120460023-n1.htm 原発事故の議事録ほとんどなし 枝野長官「多分、記憶に基づく証言求められる」]{{リンク切れ|date=2012年10月}}産経ニュース2011年5月11日</ref><ref>{{Cite web |url=http://www.kantei.go.jp/jp/tyoukanpress/201201/27_a.html |title=平成24年1月27日(金)午前 |publisher=首相官邸 |date=2012-01-27 |accessdate=2017-03-28}}</ref>。3月9日初めて公表され、原子力災害対策本部と政府・東電統合対策室の各議事録概要は12月までで合計約1400ページ、3月分は100ページ未満であった。当時[[内閣官房長官]]だった[[枝野幸男]]は3月9日の記者会見で「有事の際は録音し混乱のなかでも事後的な記録作成に役立つように備えるべきだった」と述べている<ref>読売新聞2012年3月10日13S版「スキャナー」3面、13版特別面11面全面、5組織の議事録概要(詳報)</ref>。
 
* [[2013年]][[8月8日]] - [[経済産業省]]認可の[[国際廃炉研究開発機構]](理事長・[[山名元]])発足<ref>読売新聞2013年8月9日13S版2面</ref>。
 
 
 
=== SPEEDIによる予測とデータ公開 ===
 
{{See also|緊急時迅速放射能影響予測ネットワークシステム#福島第一原子力発電所事故における試算}}
 
政府は3月11日16時40分から{{Sfn|国会事故調|2012|p=415}}、[[緊急時迅速放射能影響予測ネットワークシステム]] (SPEEDI) によって放射性物質の拡散状況の予測を行っていたが、これを3月23日まで公開しなかったことで批判を浴びた。SPEEDIとは、[[緊急時対策支援システム]] (ERSS) から得られる放射性物質の放出量の情報と、気象庁から得られる気象条件の情報を基に、放射性物質の拡散・被曝量の予測を行うシステムである。しかしこの事故では、外部電源の喪失によって原子炉のデータがERSSへ送れなくなったため{{Sfn|内閣事故調中間|2011|p=258}}、放出量の計算ができなくなった。そのため実際の放出量ではなく、仮定の放出量による拡散予測を行っていた。あくまで仮定による予測結果であったため、担当者らは「今回はSPEEDIが使える事態ではない」と判断し、予測データは避難などに活用されなかった{{Sfn|国会事故調|2012|p=416}}。
 
 
 
3月16日からは、モニタリングポストで実際に観測された放射線量によって、原発からの放出量を「逆推定」し、推定した放出量を基に再度、拡散状況の計算を行うという方法によって拡散状況を再現し、この再現結果を3月23日に公表した。この結果は実測した放射線量から推定したものであるため実際の観測値と一致するのは当然なのだが、政府はこのような説明を十分にせず単にSPEEDIによる試算結果と説明したため、国民の間には、政府が正確な予測結果を知りながら隠蔽していたという誤解が広がった{{Sfn|国会事故調|2012|p=423}}。
 
 
 
当初行った、仮定の放出量に基づく予測結果は、5月3日以降に公開された。SPEEDIのデータ公表が事故直後の予測時点ですぐに発表されなかったことで、関東および福島近県の国民が、広く被曝の危険にさらされたと、事故直後から各紙、識者らから指摘された<ref name="NY20110809">{{Cite news |title=データ公表せず住民に危機 米紙「省庁の責任逃れ」|url=https://megalodon.jp/2011-0809-1721-01/www.47news.jp/CN/201108/CN2011080901000721.html |newspaper=47NEWS |date=2011-08-09 |accessdate=2017-02-11}}</ref><ref name="speedi20110817">{{Cite news |title=SPEEDI:予測非公表、「避難活用の発想なし」指摘 |url=https://megalodon.jp/2011-1012-0025-24/mainichi.jp/select/today/archive/news/2011/08/17/20110817k0000e040073000c.html |newspaper=毎日jp |date=2011-08-17 |accessdate=2017-02-11}}</ref><ref name="WSJ">{{Cite web |url=http://jp.wsj.com/public/page/0_0_WJPP_7000-290831.html |title=不吉な放射能拡散予測―住民避難に生かせなかった日本政府 |publisher=ウォール・ストリート・ジャーナル |date=2011-08-17 |accessdate=2017-03-28}}</ref>。しかし、事故の直後に外務省を通じてアメリカ軍には提供されていた<ref>[http://megalodon.jp/2012-0120-0318-11/www3.nhk.or.jp/news/html/20120117/t10015315481000.html SPEEDI情報 米軍に提供]</ref>。一方、菅内閣は6月に[[国際原子力機関]] (IAEA) に提出した報告書の中で、損壊した原発の放射線放出に関する完全なデータをリアルタイムで入手することができず、また、SPEEDIが推測に基づいて作成した予測結果を公表すれば「不必要な混乱」を招く可能性があったと報告した<ref name="WSJ"/><ref>{{Cite web |url=http://www.asahi.com/special/10005/TKY201105040273.html |title=汚染拡大予測、政府生かせず 2号機破損時、対応後手 |publisher=朝日新聞 |date=2011-05-04 |accessdate=2017-03-28}}</ref>。
 
 
 
時事ドットコムは、「世界版SPEEDI」の試算結果で、千葉市内で計測されたヨウ素を基に推計した2011年3月15日の同原発からの放出量が毎時10兆ベクレルという高い値となっていたが2012年4月3日まで未公表であった、と報道した<ref>{{Cite news |url=http://www.jiji.com/jc/zc?k=201204/2012040300430 |archiveurl=https://archive.is/20120905163433/www.jiji.com/jc/zc?k=201204/2012040300430 |newspaper=時事ドットコム |title=「ヨウ素10兆ベクレル」未公表=世界版SPEEDI試算-文科省、安全委連携不足 |date=2012-04-03-12:49 |archivedate=2012-09-05}}</ref>。3月15日のヨウ素131乳幼児臓器被曝線量分布を含む事故当時のデータが公表された<ref>[http://www.nsr.go.jp/archive/nsc/jaea_wspeedi/0312-0315.pdf 3月15日事故直後のヨウ素131 被曝線量分布(2011年3月15日)]{{リンク切れ|date=2017年3月}}</ref><ref>{{Cite web |url=http://www.j-cast.com/2012/07/11139026.html?p=all |title=世界版SPEEDIに「未公表資料」 原子力機構が320枚公開 |publisher=J-CASTニュース |date=2012-07-11 |accessdate=2017-03-28}}</ref><ref>{{Cite web |url=http://www.jaea.go.jp/02/tei120706/ |title=WSPEEDIによる計算結果について |publisher=日本原子力研究開発機構 |date=2012-07-11 |accessdate=2017-03-28}}</ref><ref>[http://www.nies.go.jp/shinsai/images/sumdep_i.gif ヨウ素131の沈着積算量シミュレーション(3月12日から3月23日)国立環境研究所]</ref>。
 
 
 
=== 事故調査・検証委員会 ===
 
[[2011年]](平成23年)5月24日に、[[内閣官房]]に[[東京電力福島原子力発電所における事故調査・検証委員会]]を設置することが閣議決定された。その後[[畑村洋太郎]]を委員長、[[柳田邦男]]を委員長代理、[[尾池和夫]]、[[吉岡斉]]などを委員として活動中である。この委員会は、[[内閣総理大臣]]を含むすべての行政機関・職員および規制対象事業者に対して、資料提供と委員会への出席を求めることができる(辞任・退職した[[菅直人]]首相、[[枝野幸男]]官房長官、[[海江田万里]]経済産業大臣、[[寺坂信昭]][[原子力安全・保安院]]長、[[清水正孝]]東京電力社長などに対して強制力はもたない)。
 
 
 
=== 原子力安全・保安院の対応 ===
 
事故直後の原子力災害特別措置法第10条、同法第15条による通報に伴い、事故の対応や住民の避難などの対策拠点として機能すべく位置づけられた「オフサイトセンター{{Sfn|国会事故調|2012|loc=sec3.5.1.1)}}」と呼ばれる施設は、停電および非常用発電機の故障で機能しなかった{{Sfn|国会事故調|2012|loc=sec3.2.2.3}}。{{Harvtxt|国会事故調|2012|loc=sec3.2.2.2b}} は、「'''オフサイトセンターは事故発生直後の時期にその機能を全く発揮することができず、この間の事故対応に何らの寄与もなし得なかった'''」と結論付けている。
 
 
 
また[[原子力安全・保安院]]の保安検査官は、地震発生時に保安検査実施のため福島第一原発を訪れていたが{{Sfn|国会事故調|2012|loc=sec3.2.2.2b}}、14日夕方には全員をオフサイトセンターに退避させたため{{Sfn|国会事故調|2012|loc=sec3.2.2.2b}}、現地で情報を収集する手段は失われていた。
 
 
 
この事故の教訓として、[[経済産業省]]は、緊急安全対策<ref>[http://www.meti.go.jp/press/20110330004/20110330004.html 東京電力株式会社福島第一・第二原子力発電所事故を踏まえた他の発電所の緊急安全対策の実施について]{{リンク切れ|date=2017年3月}} - 経済産業省</ref>、非常用ディーゼル発電機の措置<ref>[http://www.meti.go.jp/press/2011/05/20110511002/20110511002.html 非常用ディーゼル発電機の保安規定上の追加措置について]{{リンク切れ|date=2017年3月}} - 経済産業省</ref>、ストレステスト<ref>[http://www.meti.go.jp/press/2011/07/20110722010/20110722010.html 東京電力株式会社福島第一原子力発電所における事故を踏まえた既設の発電用原子炉施設の安全性に関する総合評価の実施について]{{リンク切れ|date=2017年3月}} - 経済産業省</ref>などを全国の原発に反映することを表明した。
 
 
 
なお、2009年(平成21年)に、原子力保安院が指摘した大津波の可能性に対して、東京電力が原子力発電所の津波対策を拒否したことが分かっている<ref>{{Cite news |url=http://www.47news.jp/CN/201509/CN2015092501001643.html |title=原発事故2年前、津波対策拒む 保安院要請に東電担当者 |newspaper=47news |date=2015-09-25}}{{リンク切れ|date=2017年3月}}</ref>。
 
 
 
== 国際原子力機関の動き ==
 
日本政府は3月12日、本事故について[[国際原子力機関]] (IAEA) に対して報告した。これに対し、国際原子力機関の事故・緊急センターは、日本や加盟国と24時間の連絡体制を取ることで状況把握に努める方針を示し、日本政府からの要請があれば技術支援を行う用意があることを表明した<ref>{{Cite news |title=福島第一原発事故、政府がIAEAに報告 |url=http://www.yomiuri.co.jp/world/news/20110313-OYT1T00010.htm |newspaper=YOMIURI ONLINE |date=2011-03-13 |accessdate=2011-03-15}}{{リンク切れ|date=2017年3月}}</ref><ref name="sankei0313">{{Cite news |title=IAEA 国際支援へ動く 事務局長が緊急ビデオ声明 |url=http://sankei.jp.msn.com/world/news/110313/erp11031317330008-n1.htm |newspaper=msn産経ニュース |date=2011-03-13 |accessdate=2011-03-15}}{{リンク切れ|date=2017年3月}}</ref>。
 
 
 
国際原子力機関の事務局長[[天野之弥]]は日本時間3月13日未明、国際原子力機関の声明としては異例の日本語でビデオ声明を発表し、「日本の当局は必要な情報の収集と安全の確保に当たっている」と一定の評価を示したが、引き続き懸念が存在しているとの認識を示し、海水を注入して炉心を冷却するなどの一連の作業が成功することを期待すると述べた<ref>{{Cite news |title=福島第一1号機事故の対応、IAEA一定評価 |url=http://www.yomiuri.co.jp/world/news/20110313-OYT1T00185.htm |newspaper=YOMIURI ONLINE |date=2011-03-13 |accessdate=2011-03-15}}{{リンク切れ|date=2017年3月}}</ref>。
 
 
 
国際原子力機関には加盟国から事故に関する問い合わせが殺到し、日本時間3月14日深夜に緊急説明会を開くことを決めた<ref>{{Cite news |title=福島第一原発爆発 IAEAが説明会開催へ |url=http://www.news24.jp/articles/2011/03/14/10178269.html |newspaper=日テレNEWS24 |date=2011-03-14 |accessdate=2011-03-15}}</ref>。
 
 
 
天野事務局長は14日の記者会見で日本政府から専門家チームの派遣を要請されたことを明らかにした。また、チェルノブイリ原子力発電所事故のような大事故に発展する可能性については、原子炉の構造が異なること、すでに運転を停止している状態であることを指摘し、原子炉建屋の爆発についても核分裂反応によるものではなく、化学現象によるものであって、放射線量も限定的なものだ、と述べた<ref>{{Cite news |title=東日本大震災:福島第1原発爆発 政府、IAEAに支援要請 |url=http://mainichi.jp/select/weathernews/news/20110315dde003040033000c.html |newspaper=毎日jp |date=2011-03-15 |accessdate=2011-03-15}}{{リンク切れ|date=2012年10月}}</ref>。
 
 
 
しかし3月15日、天野事務局長は、日本政府からの詳細な情報提供が滞っているため国際原子力機関の対応が限定されてしまうと述べた<ref>{{Cite web |url=http://jp.reuters.com/article/idJPJAPAN-20058020110316 |title=原発事故の展開は「予測困難」、日本は迅速な情報伝達を=IAEA |publisher=ロイター |date=2011-03-16 |accessdate=2017-03-28}}</ref>。その証左として、国際原子力機関が報道機関にも後れをとっていることを明かし、日本政府の対応の遅れに不満を示した上で迅速で詳細な情報の提供を求めた<ref>{{Cite news |title=IAEA 日本からの情報不足に不満表明 |url=http://sankei.jp.msn.com/affairs/news/110316/dst11031623300111-n1.htm |newspaper=msn産経ニュース |date=2011-03-16 |accessdate=2011-03-17}}{{リンク切れ|date=2012年10月}}</ref>。国際原子力機関の加盟国からも情報提供の遅れに批判が集中している<ref name="FNN03171338">{{Cite news |title=福島第1原発事故 IAEA・天野事務局長が日本で情報収集へ |url=http://www.fnn-news.com/news/headlines/articles/CONN00195430.html |newspaper=www.fnn-news.com |date=2011-03-17 |accessdate=2011-03-17}}{{リンク切れ|date=2012年10月}}</ref>。一方、国際原子力機関は独自に行動を開始し、天野事務局長は日本の地方自治体に配置されているものよりも高精度の国際的放射性物質監視網を持つ[[包括的核実験禁止条約]]機構 (CTBTO) のティボル・トット事務局長と接見し、放射性物質監視態勢を築く意向を示し、[[世界保健機関]] (WHO)、[[世界気象機関]] (WMO)、[[国際連合食糧農業機関]] (FAO) などとも情報共有する方針も示した<ref>{{Cite news |title=東日本大震災:IAEA事務局長 放射能監視態勢築く意向 |url=http://mainichi.jp/select/world/news/20110316k0000e030031000c.html |newspaper=毎日jp |date=2011-03-16 |accessdate=2011-03-17}}{{リンク切れ|date=2012年10月}}</ref>。
 
 
 
また、3月16日の記者会見で事故の状況は非常に深刻と強調して述べ、17日にも訪日して第1次情報を直接収集することを明らかにした<ref name="FNN03171338"/>。
 
 
 
3月30日、IAEAのフローリー事務次長は[[ウィーン]]の本部で記者会見し、事故を起こした福島第一原発の北西約40 kmにあり、避難地域に指定されていなかった福島県飯舘村について、高い濃度の放射性物質が検出されたとして、住民に避難を勧告するよう日本政府に促した<ref>{{Cite news |title=飯舘村に避難勧告を=IAEA |url=http://www.jiji.com/jc/eqa/c?g=soc_30&amp;rel=j7&amp;k=2011033100027 |newspaper=時事ドットコム |date=2011-03-31 |accessdate=2011-04-01}}{{リンク切れ|date=2017年3月}}</ref>(政府は当初、避難の必要性を否定していたが、4月になって飯舘村を計画的避難区域に指定した)。
 
 
 
[[2015年]][[8月31日]]、国際原子力機関は2012年から世界40か国以上の専門家ら約180人が検証した事故の最終報告書を発表した。報告書は、日本では原発は絶対安全であるとの思い込みがあったことにより大事故につながったと批判し、各国に安全第一の文化をもつ重要性を強調している。日本の電力事業者間ではこの規模の事故はあり得ないとの思い込みがはびこり、政府規制当局も疑問を持たなかったなど問題点を列挙した。長時間にわたり電力供給が停止することなどを想定外としていたことが事故の主な要因と挙げている。規制当局の責任と権限も不明確でこれも弱点となった。[[原子力規制委員会 (日本)|原子力規制委員会]]が設けられ改革が行われ緊急事態への備えの強化などの評価をしている<ref>読売新聞2015年9月1日夕刊3版12面</ref>。
 
 
 
== 影響 ==
 
{{See|福島第一原子力発電所事故の影響}}
 
* 食品・水道水に対する規制
 
* 住民の避難・影響
 
* 日本国外における影響
 
* 人体への影響
 
* X線画像への影響
 
* 経済への影響
 
* 交通への影響
 
* 賠償・補償
 
* 風評被害
 
* その他の社会的影響・反応
 
 
 
=== 原発関連死 ===
 
避難生活によるストレスや環境の変化による持病の悪化など、震災の影響で死亡した人は[[災害関連死|震災関連死]]として認定されている。[[東京新聞]]による2016年3月時点の集計によると、震災関連死のうち、原発事故からの避難の影響で死亡した「原発関連死」は少なくとも1368人に上っている<ref>{{Cite news |url=http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/list/201603/CK2016030602000127.html |title=原発関連死1368人に 本紙集計 1年で136人増 |newspaper=東京新聞 |date=2016-03-06 |accessdate=2016-12-16}}{{リンク切れ|date=2017年3月}}</ref>。大熊町では入院中の認知症患者21名が避難のための搬送中や搬送後に死亡した<ref>{{Cite web |url=http://www.asahi.com/special/10005/TKY201103190139.html |title=双葉病院長「避難迫られた。責任ない」 患者21人死亡 |publisher=朝日新聞 |date=2011-03-19 |accessdate=2017-03-28}}</ref>(「[[双葉病院]]」を参照)。
 
 
 
== 事故重大度の評価 ==
 
[[画像:INES ja.svg|thumb|400px|[[国際原子力事象評価尺度]] (INES)]]
 
[[国際原子力機関]] (IAEA) が定める原子力事故または事象の深刻度である[[国際原子力事象評価尺度]] (INES) について、[[原子力安全・保安院]]は[[2011年]][[4月12日]]、暫定的ながら'''レベル7'''(深刻な事故)と評価した{{Sfn|原子力災害対策本部|2011|loc=21-22}}。「7」はINESの最高レベルであり、[[1986年]]の[[チェルノブイリ原子力発電所事故]]もこれに当たる。[[1979年]]の[[スリーマイル島原子力発電所事故]]は「5」(施設外へのリスクを伴う事故)、[[1999年]]の[[東海村JCO臨界事故]]は「4」(施設外への大きなリスクを伴わない事故)である。
 
 
 
日本政府は、INESについて、11日16時時点ではレベル3と認定していた{{Sfn|原子力災害対策本部|2011|loc=21}}。12日にはレベル4に引き上げた{{Sfn|原子力災害対策本部|2011|loc=21}}。一方で、{{仮リンク|フランス原子力安全機関|en|Autorité de sûreté nucléaire}} (ASN) のラコスト総裁は、3月14日にはレベル「5」あるいはレベル「6」(大事故)との感触があるとし<ref>{{Cite news |title=東日本大震災:福島第1原発爆発 「スリーマイル以上」-仏原子力機関 |url=http://mainichi.jp/select/weathernews/news/20110315dde003040020000c.html |newspaper=毎日jp |date=2011-03-15 |accessdate=2011-03-15}}{{リンク切れ|date=October 2012}}</ref>、翌日の3月15日には「事故の現状は前日(14日)と全く様相を異にする。レベル6に達したのは明らかだ」と述べた<ref>{{Cite news |url=http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2011031501000982.html |title=東京新聞:仏当局「福島事故はレベル6」 ラコスト局長が見解 |newspaper=東京新聞 TOKYO Web |date=2011-03-15 |accessdate=2011-03-16}}{{リンク切れ|date=2012年10月}}</ref>。また、アメリカの{{仮リンク|科学国際安全保障研究所|en|Institute for Science and International Security}} (ISIS) は3月15日に「レベル6に近く、レベル7に到達する恐れがある」との見解を発表した<ref>{{Cite news |url=http://www.jiji.com/jc/c?g=soc_30&amp;k=2011031600432 |title=「レベル7」到達の恐れ=福島原発事故-米シンクタンク |newspaper=時事ドットコム |date=2011-03-16 |accessdate=2011-03-16}}{{リンク切れ|date=2017年3月}}</ref>。それでもなお、3月16日の時点において、日本の原子力安全・保安院は3月12日に認定したレベル「4」との見方を変えなかった<ref>{{Cite news |url=http://news.tbs.co.jp/20110316/newseye/tbs_newseye4675483.html |title=米民間機関「チェルノブイリに次ぐレベル」 |newspaper=TBS Newsi |date=2011-03-16 |accessdate=2011-03-17}}{{リンク切れ|date=2017年3月}}</ref>。16日時点では国際原子力機関は、INES判定を保留しており、[[フロリダ州立大学]]の核物理学者カービー・ケンパーも影響を評価するには時期尚早であり、十分な評価材料がない、とした<ref>{{Cite news |url=http://www.cnn.co.jp/world/30002159.html |title=スリーマイル島を上回る規模 仏当局者が見解 |newspaper=CNN.co.jp |date=2011-03-16 |accessdate=2011-03-17}}{{リンク切れ|date=2017年3月}}</ref>。原子力安全・保安院は、3月18日にINES判定をレベル5に引き上げた{{Sfn|原子力災害対策本部|2011|loc=21}}<ref name="nisa20110318">{{WAP |pid=3487630 |url=http://www.meti.go.jp/press/20110318009/20110318009-1.pdf |title=東北太平洋沖地震による東京電力(株)福島第一原子力発電所及び福島第二原子力発電所の事故・トラブルに対するINES(国際原子力・放射線事象評価尺度)の適用について |date=2012-04-02}}</ref>。これに対し米科学国際安全保障研究所 (ISIS) は4月1日、さらに深刻なレベル「6」に引き上げるべきだとの見解を示した<ref>{{Cite news |date=2011-04-02 |url=http://www.jiji.com/jc/c?g=soc_30&amp;k=2011040200145 |title=「レベル6」への引き上げ提言=福島原発事故で米シンクタンク |newspaper=時事ドットコム |accessdate=2011-04-03}}{{リンク切れ|date=2017年3月}}</ref>。
 
 
 
3月25日、原子力安全委員会の[[緊急時迅速放射能影響予測ネットワークシステム|SPEEDI]]システムを使った放射性物質の放出量は3万[[テラ|T]][[ベクレル|Bq]] - 11万TBqと推定された。これはINESのレベル「7」の基準1には該当する。
 
 
 
4月12日、原子力安全・保安院は国際原子力事故評価尺度の暫定評価をレベル7に引き上げた{{Sfn|原子力災害対策本部|2011|loc=21}}。ただし4月12日時点で環境への放射性物質排出量は、事故発生から4月5日までの間で、[[チェルノブイリ原子力発電所事故]]の1割程度(37京 Bq)であるとしていた<ref name="nisa20110412001_1">{{Cite web |url=http://www.meti.go.jp/press/2011/04/20110412001/20110412001-1.pdf |title=東北地方太平洋沖地震による福島第一原子力発電所の事故・トラブルに対するINES(国際原子力・放射線事象評価尺度)の適用について |publisher=原子力安全・保安院 |format=PDF |date=2011-04-12 |accessdate=2011-04-12}}</ref>。
 
 
 
一方では、3月12日の東京電力の松本純一・原子力立地本部長代理の記者会見では「福島第一原発は放射性物質の放出を止め切れておらず、(放出量は)チェルノブイリ原発事故に匹敵、または超える懸念がある」との認識が示されている<ref name="松本純一">{{Cite news |title=福島第1原発:「チェルノブイリ超える」東電担当者が発言 |url=http://mainichi.jp/select/weathernews/20110311/archive/news/2011/04/12/20110413k0000m040104000c.html |newspaper=毎日jp |date=2011-04-12 |accessdate=2011-09-23}}{{リンク切れ|date=2012年10月}}</ref>。ただし、「言い過ぎたかもしれない。依然として事態の収束がまだできておらず、現時点で完全に放射性物質を止め切れないという認識があるということだ」とも補足している<ref name="松本純一"/>。
 
[[画像:Fukushima7.png|thumb|center|700px|3月30日まで福島第一原子力発電所事故によって放出された放射線との様々な比較表<br />{{small|(※左から「国際原子力事象評価尺度」「放射線濃度 (mSv/h)」「原子力に関する世界的事故」「放射線と距離」「福島第一原子力発電所事故と時系列事象(3月11日 - 3月30日)」)}}]]
 
 
 
== 原因 ==
 
=== 事故の根本原因 ===
 
東京電力は事故原因について、事前の想定を大幅に超える未曽有の大津波が原発を襲ったことにあるとしている。当事故を調査した[[国際原子力機関]] (IAEA) の調査団は、2011年6月1日、日本の政府に査察の結果を提出し、事故の要因は高さ14 mを超える津波によって、非常用電源を喪失したことであると結論し、「日本の原発は津波災害を過小評価していた」とコメントし、日本の原子力発電所は安全対策の多重性確保を行って、あらゆる自然災害のリスクについて、適切な防御策を講じるべきだと述べた。事故後の対応については、厳しい状況でベストを尽くしたと評価した<ref name="IAEA1">{{Cite news |title=「津波災害を過小評価」=調査団、報告書要旨を提出-福島第1原発事故でIAEA |newspaper=時事ドットコム |date=2011-06-01 |url=http://www.jiji.com/jc/c?g=soc_30&amp;k=2011060100399 |accessdate=2011-06-03}}{{リンク切れ|date=2017年3月}}</ref><ref>{{Cite news |title=津波の想定「過小評価」…IAEA報告書概要 |newspaper=YOMIURI ONLINE |date=2011-06-01 |url=http://www.yomiuri.co.jp/science/news/20110601-OYT1T00493.htm |accessdate=2011-06-03}}{{リンク切れ|date=2017年3月}}</ref>。
 
 
 
国会事故調は、東電は従来の想定を超えた地震・津波が襲来する可能性、そして原発がそれに耐えられない構造であることを、何度も指摘されていたにも関わらず、これを軽視し、十分な対策を採らなかったことが事故の根本原因だとしている{{Sfn|国会事故調|2012|p=57, 82}}。
 
 
 
==== 津波想定 ====
 
今回の地震で実際に襲来した津波は[[津波#高さ|遡上高]]14m-15mといった規模であり、標高10mの1-4号機の敷地では津波の痕跡が4m-5mの高さの所にまで残っていた(標高13 mの5号機・6号機の敷地では0m-1m)<ref name="setsumei20110415">{{WAP |pid=6086248 |url=http://www.meti.go.jp/press/2011/04/20110413006/20110413006.pdf |title=東京電力(株)福島第一原子力発電所及び東京電力(株)福島第二原子力発電所における2011年東北地方太平洋沖地震により発生した津波の調査結果を踏まえた対応について(指示) |date=2013-01-15}}</ref>。東京電力は2011年[[7月8日]]、コンピュータ解析により、沖合30 [[キロメートル|km]]の地点で6つの断層破壊による津波は次々重なり地震発生約51分後津波の高さが13.1mに達し原発を襲ったと発表した<ref name="20110708-13m">{{Cite web |url=http://www.tepco.co.jp/cc/press/betu11_j/images/110708b.pdf |title=福島第一原子力発電所及び福島第二原子力発電所における平成 23 年東北地方太平洋沖地震により発生した津波の調査結果に係る報告(その2)【概要版】 |publisher=東京電力 |format=pdf |date=2011-07-08 |accessdate=2017-03-28}}</ref>。
 
 
 
東電は2002年3月に、福島第一原発で想定する[[津波]]の高さを、[[土木学会]]が2002年に開発した、歴史的地震の文献や[[断層]]モデルを組み合わせる評価法によって計算していた<ref>{{Cite news |title=福島原発「多重防護」の甘さ露呈 「想定外」連鎖で深刻化 |url=http://sankei.jp.msn.com/affairs/news/110328/dst11032819280054-n2.htm |newspaper=msn産経ニュース |date=2011-03-28 |accessdate=2011-04-22}}{{リンク切れ|date=2012年10月}}</ref>{{Sfn|国会事故調|2012|p=83-85}}。この結果、津波想定を[[平均海水面|平均海面]](O.P.=小名浜港工事基準面……詳細は[[福島第一原子力発電所#海象状況の調査]]も参照)から高さ5.7 mとした。その後2006年9月に日本の[[原子力安全委員会]]の耐震設計審査指針<ref>{{Cite web |date=2006-09-19 |url=http://www.nsc.go.jp/shinsashishin/pdf/1/si004.pdf |title=発電用原子炉施設に関する耐震設計審査指針 |format=PDF |publisher=原子力安全委員会 |accessdate=2011-08-25}}{{リンク切れ|date=2012年10月}}</ref>が改定されたことを受けて、東京電力は土木学会の計算方法により津波想定を6.1mに引き上げた{{Sfn|国会事故調|2012|p=86}}。
 
 
 
政府の[[地震調査研究推進本部|地震調査委員会]]は2002年7月、三陸沖から房総沖にかけての[[日本海溝]]付近ではどこでも[[マグニチュード]]8クラスの地震が起きる可能性があるとの評価結果を発表した<ref>{{Cite web |url=http://www.jishin.go.jp/main/chousa/kaikou_pdf/sanriku_boso.pdf |title=三陸沖から房総沖にかけての地震活動の長期評価について |publisher=地震調査研究推進本部 |format=pdf |date=2002-07-31 |accessdate=2017-03-28}}</ref>。これを受け東京電力は2008年、[[明治三陸地震]]と同規模の地震が福島県沖で起こると仮定し、海水取水口付近で津波の高さは8.4 m〜10.2 m、遡上高は敷地南部で15.7 mとの計算結果を得た<ref>{{Cite web |url=http://www.nikkei.com/article/DGXNASDG2403D_U1A820C1CR8000/|title=福島第1原発、10メートル超の津波想定 東電が08年試算 |publisher=日本経済新聞 |date=2011-08-24 |accessdate=2017-03-28}}</ref>{{Sfn|国会事故調|2012|p=85, 90}}<ref name="yomi20110825-1">読売新聞2011年8月25日13S版37面、[http://www.yomiuri.co.jp/feature/20110316-866921/news/20110824-OYT1T00991.htm 東電、15m超の津波も予測…想定外主張崩れる]{{リンク切れ|date=2017年3月}}</ref><ref>{{WAP |pid=8086313|url=http://www.cas.go.jp/jp/seisaku/icanps/2011/08/25/0823kishakaiken.pdf |title=2011年8月23日畑村委員長記者会見;調査状況についての説明 |date=2013-03-04}}</ref>。2011年8月25日に東京電力は記者会見において、これらの試算は2008年6月の時点で原子力・立地本部副部長へ、2010年6月には副社長原子力・立地本部長へと報告していたと述べた<ref name="NHK20110825">{{Cite web |url=http://www3.nhk.or.jp/news/genpatsu-fukushima/20110825/ |title=10m津波想定 副社長も把握 |publisher=NHK |date=2011-08-25 |accessdate=2017-03-28}}</ref><ref name="yomi20110826-1">読売新聞2011年8月26日13S版1面および13版3面、[http://www.yomiuri.co.jp/feature/20110316-866918/news/20110825-OYT1T01165.htm 津波試算、副社長に報告…東電取締役会議論せず]{{リンク切れ|date=2017年3月}}</ref>。また、[[東北地方太平洋沖地震]]の4日前の[[2011年]][[3月7日]]には原子力安全・保安院へも報告されたが<ref name="NHK20110825"/>、東京電力は速やかな改修を保安院から指示されていなかったとしている<ref name="yomi20110826-1"/>。東京電力は15 mを超える津波の遡上も想定していたことになるが、これらの試算を基にした具体的な津波対策を執っていなかった{{Sfn|国会事故調|2012|p=83}}<ref name="yomi20110825-1"/><ref>{{Cite web |url=http://www3.nhk.or.jp/news/genpatsu-fukushima/20111226/2215_shisan.html|title=10m超の津波試算も対策取らず |publisher=NHK |date=2011-12-26 |accessdate=2017-03-28}}</ref>。これらを受けて8月25日[[枝野幸男]][[内閣官房長官]]は「十分に対応する時間的余裕があった」と述べた<ref>{{Cite news |title=「十分に対応する時間的余裕があった」 東電の津波被害試算で枝野氏 |newspaper=msn産経ニュース |date=2011-08-25 |url=http://sankei.jp.msn.com/affairs/news/110825/dst11082512430018-n1.htm |accessdate=2011-08-27}}{{リンク切れ|date=2012年10月}}</ref>。事故後、[[澤田哲生]]は「防潮堤にコストがかかるならディーゼル発電機などを津波から守るための対策に目を転じることが出来た筈だ」とし、6号機が土木学会の津波評価を受けて非常用ディーゼル発電機の電動機嵩上げを実施した例を提示している{{Sfn|澤田哲生|2012|p=95-96}}。
 
 
 
また、東電は2009年9月、[[貞観地震]]の津波も評価し、取水口付近に8.7 m〜9.2 mの津波が襲来するものの陸上への遡上はないとした報告を[[原子力安全・保安院]]へ行っている<ref name="yomi20110825-1"/>{{Sfn|国会事故調|2012|p=86}}。
 
 
 
[[産業技術総合研究所]]活断層・地震研究センターの[[岡村行信]]センター長らは、[[2004年]]頃から[[貞観地震|貞観津波]]が残した地中の土砂を調査し、痕跡が宮城県[[石巻市]]から福島第一原子力発電所に近い福島県[[浪江町]]まで分布し、内陸3 - 4 kmまで入り込んでいることを確認した<ref>{{Cite web |author=岡村行信 |coauthors=宍倉正展et al. |date=2007-09-28 |url=http://unit.aist.go.jp/actfault-eq/seika/h18seika/pdf/shishikura.pdf |title=活断層・地震研究センターホーム>研究成果>活断層・古地震研究報告 第7号(2007年)・石巻平野における津波堆積物の分布と年代 |format=PDF |publisher=産業技術総合研究所 |accessdate=2011-03-27 |deadlink=2017-03-29}}</ref>。[[2009年]]の国の審議会(原発の耐震指針の改定を受け電力会社が実施した耐震性再評価の中間報告書について検討する審議会)で、大地震や津波を考慮しない理由を東京電力に対して問い質したが、東京電力は「まだ十分な情報がない」「引き続き検討は進めてまいりたい」と答えるにとどまった。震災発生後、岡村センター長は、警告されたデータが完全でないことを理由にリスクを考慮しないという姿勢はおかしいと述べ、「原発であればどんなリスクも当然考慮すべきだ。あれだけ指摘したにもかかわらず、東京電力からは新たな調査結果は出てこなかった。『想定外』とするのは言い訳に過ぎない。もっと真剣に検討してほしかった」と話した<ref>毎日新聞2011年3月27日14新版1面「大津波再来」の指摘軽視、および[http://mainichi.jp/select/today/archive/news/2011/03/26/20110327k0000m040036000c.html 福島第1原発:東電「貞観地震」の解析軽視(2011年3月26日)]{{リンク切れ|date=2012年10月}}</ref><ref>東京新聞2011年3月24日11版S 18面「国会で津波議論済み」</ref><ref>[http://www.kyoto-np.co.jp/country/article/20110326000121 大津波、2年前に危険指摘 東電、想定に入れず被災]{{リンク切れ|date=2017年3月}} 京都新聞 2011年3月26日</ref><ref name="yomi110410">読売新聞2011年4月10日13版5面「東日本大震災4月9日対策強化指示・大津波の脅威ようやく直視」</ref>。
 
 
 
2012年[[6月13日]]の朝日新聞と翌[[6月14日|14日]]の読売新聞によれば、東京電力は2005年12月から2006年3月まで原子力技術・品質安全部設備設計グループが5号機がどの程度の津波に耐えられるか、想定の津波高さ5.7mを超え津波高さ13.5mから14mが襲った場合の分析を入社3年目の技術系社員の社内研修の研究課題とし、分析と報告させ非常用ディーゼル発電機やバッテリーなどすべての電源を失い、原子炉を冷却できなくなるという結果を得ていた。津波対策の費用も5号機および6号機周辺に約1.5km長の防潮壁を建設する場合は約80億円、建屋の出入り口の防水工事などに約20億円と試算した。これら研究成果と報告を幹部が把握したか不明であり、安全対策として反映されなかった<ref>[http://www.yomiuri.co.jp/feature/20110316-866921/news/20120613-OYT1T01006.htm 東電、06年に福島第一の大津波対策費を試算]{{リンク切れ|date=2017年3月}}読売新聞2012年6月14日13S版37面</ref><ref>{{Cite web |url=http://www.asahi.com/special/10005/TKY201206120810.html |title=東電、06年にも大津波想定 福島第一、対策の機会逃す |publisher=朝日新聞 |date=2012-06-13 |accessdate=2017-03-28}}</ref>。
 
 
 
2011年4月11日、福島県を訪れた東京電力社長[[清水正孝]]は、記者団の「津波への事前の対策が不十分だったのでは」との問いに「国の設計基準に基づいてやってきたが、現実に被災している。今後は国の機関などと津波対策を検討する必要がある」と語った<ref>読売新聞2011年4月12日13S版9面記者団との一問一答「津波対策 国の基準通りやった」</ref><ref>{{Cite news |title=東電・清水社長 一問一答 |url=http://www.yomiuri.co.jp/atmoney/enterprises/manda/20110412-OYT8T00305.htm |newspaper=YOMIURI ONLINE |date=2011-04-12 |accessdate=2011-04-16 |archiveurl=http://web.archive.org/20110412040757/www.yomiuri.co.jp/atmoney/enterprises/manda/20110412-OYT8T00305.htm |archivedate=2011-04-12}}</ref>。また東京電力の皷紀男副社長は2011年5月1日、訪問先の福島県飯舘村で「個人的には」とした上で本事故について、「人災だと思う」、「原発事故は想定外だったという意見もあるが(飯舘村の皆さんのことを考えると)想定外のことも想定しなければならなかった」と述べた<ref>{{Cite news |url=http://www3.nhk.or.jp/news/html/20110501/t10015651011000.html |archiveurl=http://web.archive.org/20110503062435/www3.nhk.or.jp/news/html/20110501/t10015651011000.html |title=東電副社長“事故は人災”|newspaper=NHK |date=2011-04-11 |archivedate=2011-12-04}}</ref>。
 
 
 
==== 地震動との関係 ====
 
東電は地震の揺れによる設備被害は事故の原因にならなかったとしているが{{Sfn|東電事故報告|2012|p=4}}、原子力安全・保安院長は4月27日の衆議院経済産業委員会で、倒壊した受電鉄塔が津波の及ばなかった場所にあったことを認めた<ref>{{Cite video |title=2011年4月27日 衆議院経済産業委員会 議題:産業活力再生・産業活動革新特別措置法改正法案 質疑者:吉井英勝 質疑開始時刻:16時40分 |url=http://www.shugiintv.go.jp/jp/wmpdyna.asx?deli_id=40942&amp;media_type=wb&amp;lang=j&amp;spkid=20399&amp;time=04:17:42.4 |format=asx |language=日本語 |publisher=衆議院TV |accessdate=2011-09-12}}</ref><ref>{{Cite web |url=http://www.jcp.or.jp/akahata/aik11/2011-04-30/2011043004_04_0.html |title=外部電源喪失 地震が原因 |publisher=しんぶん赤旗 |date=2011-04-30 |accessdate=2017-03-28}}</ref><ref group="注">ただし、福島第一原子力発電所よりも強い地震加速度を計測している[[東北電力]][[女川原子力発電所]]では、3系統6回線の外部電源で鉄塔の倒壊は皆無であり、地震直後も松島幹線 (275kV/50Hz) 2号の給電は続いていた。避雷器の損傷で受電不可となった牡鹿幹線 (275kV/50Hz) は3月12日中に、[[碍子]]に損傷を受けた松島幹線1号は3月17日までに復旧している。残る1系統の塚浜支線 (66kV/50Hz) は原発設備の損傷はなかったが、広域停電のため給電停止していた。</ref>。また1号炉について津波到達前に原子炉建屋内の放射線量が急上昇していることから、地震の揺れによって配管の一部が破断したのではないかという疑いは残されている<ref>{{Cite news |title=東日本大震災(福島原発)(ニュース特集) |url=http://www.kyodonews.jp/feature/news05/2011/10/post-3764.html |newspaper=一般社団法人 共同通信社 |date=2011-10-21 |accessdate=2012-02-26}}{{リンク切れ|date=2017年3月}}</ref><ref>{{Cite web |url=http://rokamoto.sakura.ne.jp/fukushima/JSA_Fukuoka_Symp2_110724o.pdf |title=福島第一原発は地震では壊れなかったのか? |publisher=岡本良治 |format=pdf |accessdate=2017-03-28}}</ref>{{Sfn|国会事故調|2012|p=13}}。国会事故調報告書では、少なくとも1号機A系の非常用交流電源喪失は、津波によるものではない可能性があることが判明した、としている{{Sfn|国会事故調|2012|p=31}}。
 
 
 
==== 過酷事故対策の不備 ====
 
日本では事故前、原発事故の原因として自然災害などの外部事象を想定せず、発電所内のトラブルや設計ミスだけを想定していた{{Sfn|国会事故調|2012|p=28}}。また過酷事故対策は電力会社の自主性に任されていた{{Sfn|国会事故調|2012|p=28}}。原子力政策を管轄する[[原子力安全委員会]]は従来、長時間の全交流電源喪失 (SBO) の防止や、全交流電源喪失の発生後の対処を想定した、是正勧告をメーカーや電力会社に形式上は行ってはいたが、有名無実であり、実際には特に対策はされなかった(これはGE社はじめ原子炉メーカー数社の本国、[[アメリカ合衆国]]など、他国においてはこの限りではない<!--参考:検索キーワード:米国 ブラウンズフェリー 発電機 8機…NHK ETV特集『アメリカから見た福島原発事故 』で現地取材リポ http://www.nhk.or.jp/etv21c/file/2011/0814.html -->。[[原子力安全委員会#原発における長期間の全電源喪失は、日本では想定外]] も参照)。
 
 
 
産経新聞や東京新聞によると、米国のカーネギー国際平和財団は[[2012年]][[3月6日]]、[[原子力安全・保安院]]や[[東京電力]]が国際的基準に沿って津波などに対する安全対策を強化していたならば事故は防げたとする専門家の報告書を発表した<ref>英文:カーネギー国際平和財団 ([[:en:Carnegie Endowment for International Peace|Carnegie Endowment for International Peace]])、[http://carnegieendowment.org/2012/03/06/why-fukushima-was-preventable/a0i7 Home >Publications >Why Fukushima Was Preventable]、Carnegie Paper – Tuesday, March 6, 2012, James M. Acton, Mark Hibbs</ref>。諸外国の対策と[[国際原子力機関|IAEA]]の指針を示し「日本は国際基準や対策事例の導入が遅れており、これが事故の原因となったことを示す証拠が多くある。なぜ津波のリスクを過小評価したのかを探るのが最も重要な課題だ」と指針を満たしていなかったと指摘し、福島第一原子力発電所は他国の原発に比べて電源喪失による被害が起きやすかったとしている<ref>{{Cite news |title=原発事故防げたと米専門家 津波リスクを過小評価 |url=http://sankei.jp.msn.com/world/news/120306/amr12030619200008-n1.htm |newspaper=産経ニュース |date=2012-03-06 |accessdate=2012-03-11}}{{リンク切れ|date=2017年3月}}</ref>。
 
 
 
事故直後より、[[東北電力]][[女川原子力発電所]]および[[日本原子力発電]][[東海第二発電所]]が過酷事故に至らなかったことと比較する動きが、インターネット上で見られた。その結果、東北電力が震災前から発行していた女川原子力発電所の震災・津波に対する評価の資料で、近代観測が始まる以前の文献に遡って評価し、現立地が選ばれたことが知れ渡り、それに対して、福島第一原子力発電所では津波対策を怠っていたとして東京電力は激しい非難の矢面に立たされることになった。東北電力はその後、2014年に震災発生前の震災・津波の評価と実際の震災発生時の被害をまとめた総括資料を発行した<ref>{{Cite web |url=http://www.pref.miyagi.jp/uploaded/attachment/282467.pdf |title=女川原子力発電所の概要および東日本大震災時の対応状況 |publisher=東北電力 |format=pdf |date=2014-11-11 |accessdate=2017-03-28}}</ref>が、その中に、東京電力を強く非難した内容をも盛り込んでいる<ref group="注">東京電力の原子力発電所はすべて東北電力管内にある(東京電力管内の原子力発電所は[[日本原子力発電|日本原電]][[東海発電所]](震災発生前の1997年に営業運転終了、現在廃炉作業中)と[[東海第二発電所]]のみ)。</ref>。
 
 
 
産経新聞のインタビューで、1999年までIAEAの事務次長を務めた原子力工学専門家ブルーノ・ペロードは、1992年に東京電力に対して、福島県に設置されているMark I型軽水炉の弱点である格納容器や建屋を強化し、電源や水源を多重化し、水素爆発の防止装置を付けるように、などと提案したが、東京電力の返答は、GE社から対策の話が来ないので不要と考えているというもので、以後も対策は採られなかったという。また、2007年のIAEA会合で東京電力に対し、福島県内の原発は地震や津波対策が不十分だと指摘した際、東京電力は「対策を強化する」と約束したものの、津波対策をしなかった。ペロードは、この事故は天災ではなく人災で「チェルノブイリ原発事故はソ連型事故」、「福島原発事故は東電の尊大さが招いた東電型事故」と指摘した<ref>{{Cite news |title=IAEA元事務次長「防止策、東電20年間放置 人災だ」 |newspaper=msn産経ニュース |date=2011-06-11 |url=http://sankei.jp.msn.com/world/news/110611/erp11061120200006-n1.htm |accessdate=2011-06-20}}{{リンク切れ|date=2012年10月}}</ref>。
 
 
 
また、東海大学教授の[[高木直行]]は東京電力に勤務していた際、当時の上司だった吉田昌郎と共にフィルター付きベント(ドライベント)を設置するべきか検討作業を行ったが、圧力抑制室にてウェットベントを実施すれば問題は無いとしてフィルターベントを不要と判断したという<ref>フィルターベントの設置を見送った背景は{{Harvnb|澤田哲生|2012|p=119-120}}</ref>。
 
 
 
[[2006年]][[10月27日]]、[[吉井英勝]]([[京都大学]]原子核工学科卒業、[[日本共産党]])は、国会質問で当時の[[原子力安全委員会]]委員長の[[鈴木篤之]]に対して、福島第一原子力発電所を含む43基の[[原子力発電所]]は、地震によって送電線が倒壊したり、内部電源が故障したりすることで引き起こされる電源喪失状態、または大津波に伴う引き波によって冷却水の取水が不可能になるといった理由で炉心溶融に至るのではないか、そうなった時どう想定しているのかと質問した<ref group="注">大津波による敷地や施設の冠水については特に大きな問題とはしていない。</ref><ref name="k061027">{{Cite web |url=http://kokkai.ndl.go.jp/SENTAKU/syugiin/165/0002/16510270002003a.html |title=第165回国会 内閣委員会 第3号 |publisher=国会 |date=2006-10-27 |accessdate=2017-03-28}}</ref>。これに対し鈴木篤之は、電源喪失状態となり燃料溶融に至る事故は非常に低い確率論としては存在すると答え、吉井に対して、電力会社には、さらに激しい地震の影響を想定させると約束した<ref>{{Cite web |url=http://jp.wsj.com/public/page/0_0_WJPP_7000-211334.html |title=福島第1原発事故、昨年議員が同様な事故の可能性警告 |publisher=ウォール・ストリート・ジャーナル |date=2011-03-28 |accessdate=2017-03-28}}</ref><ref name="k061027"/>。吉井は同年[[12月13日]]にも、「巨大地震の発生に伴う安全機能の喪失など原発の危険から国民の安全を守ることに関する質問主意書」<ref>{{Cite web |url=http://www.shugiin.go.jp/internet/itdb_shitsumon.nsf/html/shitsumon/a165256.htm |title=巨大地震の発生に伴う安全機能の喪失など原発の危険から国民の安全を守ることに関する質問主意書 |publisher=吉井英勝 |date=2006-12-13 |accessdate=2017-03-28}}</ref>を[[内閣]]に提出し、原発の最悪の事故を念頭に、津波の引き潮により冷却水が喪失する可能性の指摘や、非常用ディーゼル発電機の事故によりバックアップが機能停止した過去事例の提示要求などを行ったが、当時の内閣総理大臣[[安倍晋三]]は、「我が国において、非常用ディーゼル発電機のトラブルにより原子炉が停止した事例はなく、また、必要な電源が確保できずに冷却機能が失われた事例はない」と回答した<ref>{{Cite web |url=http://www.shugiin.go.jp/internet/itdb_shitsumon.nsf/html/shitsumon/b165256.htm |title=衆議院議員吉井英勝君提出巨大地震の発生に伴う安全機能の喪失など原発の危険から国民の安全を守ることに関する質問に対する答弁書 |publisher=内閣総理大臣 安倍晋三 |date=2016-12-22 |accessdate=2017-03-28}}</ref><ref>{{Cite web |url=http://www.jcp.or.jp/akahata/aik09/2010-03-01/2010030101_05_1.html |title=チリ地震が警鐘 原発冷却水確保できぬ恐れ |publisher=しんぶん赤旗 |date=2010-03-01 |accessdate=2017-03-28}}</ref>。また、吉井は[[2010年]][[4月9日]]にも衆議院経済産業委員会で同じ問題を取り上げたが、当時の経済産業大臣の[[直嶋正行]](民主党)は、「多重防護でしっかり事故を防いでいく、メルトダウンというようなことを起こさせない、このための様々な仕組みをつくっている」<ref>{{Cite web |url=http://kokkai.ndl.go.jp/SENTAKU/syugiin/174/0098/17404090098007a.html |title=第174回国会 経済産業委員会 第7号 |publisher=国会 |date=2010-04-09 |accessdate=2017-03-28}}</ref>と説明した。
 
 
 
2011年3月15日の米ABCによると、米[[ゼネラル・エレクトリック]] (GE) 社の技術者Dale G. Bridenbaugh(和表記:ブライデンボー)は、[[1975年]]の時点で「Mark I」型原子炉では冷却装置が故障した場合に格納容器に動的負荷がかかることを勘案した設計が行われていないと次第に認識しつつ退社に至ったと語ったとのことである<ref>{{Cite news |title=Fukushima: Mark 1 Nuclear Reactor Design Caused GE Scientist To Quit In Protest, Damaged Japanese Nuclear Plant Has Five Mark 1 Reactors|url=http://abcnews.go.com/Blotter/fukushima-mark-nuclear-reactor-design-caused-ge-scientist/story?id=13141287 |newspaper=[[ABCニュース (アメリカ)|ABCニュース]] |date=2011-03-15 |accessdate=2011-03-24 |language=英語 |trans_title=MarkI原子炉の設計欠陥に抗議しGE科学者退社}}<!--見出しには抗議protestとあるが国内外各紙のどこにも、抗議して辞職したとは記述がない--></ref>。その後は米原子力規制委員会と協力しながらMark I原子炉の廃止を訴え続けたと一部で報道されている<ref>[http://www.wa-dan.com/article/2011/03/post-83.php 75年に同僚2人とともにGEを退職すると、米原子力規制委員会と共同戦線を張ってマークIの製造中止を訴えてきた。]{{リンク切れ|date=2017年3月}}</ref><ref>[http://mainichi.jp/select/weathernews/20110311/archive/news/2011/03/30/20110330k0000e030026000c.html 上司は「電力会社に操業を続けさせなければGEの原子炉は売れなくなる」と議論を封印。ブライデンバーさんは76年、約24年間勤めたGEを退職した。直後、米議会で証言]{{リンク切れ|date=2017年3月}}</ref>。
 
 
 
同日の米ニューヨーク・タイムズによると、福島第一原発など日本にも9基ある「Mark I」型軽水炉について、アメリカ原子力規制委員会 (NRC) は1972年、格納容器が小さいことを問題視した。水素がたまって爆発した場合、格納容器が損傷しやすいとして「使用を停止すべきだ」と指摘していたことを報じた<ref name="akahata_genpastu03">{{Cite web |url=http://www.jcp.or.jp/akahata/html/senden/2011_genpatsu/index03.html |title=原発の源流と日米関係(3) |publisher=しんぶん赤旗 |date=2011-06-09 |accessdate=2017-03-28}}</ref><ref name="NY0315">{{Cite web |url=http://www.nytimes.com/2011/03/16/world/asia/16contain.html?_r=1|title=Experts Had Long Criticized Potential Weakness in Design of Stricken Reactor |publisher=ニューヨークタイムズ |date=2011-03-15 |accessdate=2017-03-28}}</ref>。
 
 
 
2011年3月16日のブルームバーグによると、アメリカ原子力規制委員会 (NRC) は20年前に、GE社製Mark I型を含むいくつかの原子炉は、地震被害により付帯設備(非常用ディーゼル発電機、貯水タンクなど)の故障が起きて、高確率で冷却機能不全が起こると内部文書「NUREG-1150」で警告しており、2004年6月に原子力安全・保安院が公表した資料「リスク情報を活用した原子力安全規制の検討状況」の中でもその内容が紹介されているという。この記事中インタビューにおいて、元[[日本原子力研究所]]研究員で現在は[[核・エネルギー問題情報センター]]の事務局長を務める舘野淳は、NRCのリポート (NUREG-1150) が提示したリスクへの対応策について「東電は何も学ばなかったのか?天災が非常に希であり、想定外の規模であれ、言い訳は許されない」などとコメントした<ref name="ブルームバーグ">[http://www.bloomberg.co.jp/apps/news?pid=90920000&amp;sid=a.lK3UI3LjpM ブルームバーグ【福島原発の事故、米NRCが20年前に警鐘】 2011年3月16日]{{リンク切れ|date=2017年3月}}</ref>。
 
 
 
また同日の読売新聞によると、露独占事業研究所の研究員は報道各社のインタビューに応じ「[[2004年]]の[[スマトラ島沖地震 (2004年)|スマトラ島沖地震]]など強大な地震が起こったのに、事業者は原子炉だけでなく、冷却装置などの関連施設の強化を怠った」と地元の新聞に述べた<ref>読売新聞「露は「人災説」展開」2011年3月17日13S版9面[http://www.yomiuri.co.jp/world/news/20110316-OYT1T00740.htm チェルノブイリ経験露専門家、日本入国足止め]{{リンク切れ|date=2017年3月}}</ref>。
 
 
 
2011年3月17日、[[チェルノブイリ原子力発電所事故]]の被害者団体「チェルノブイリ同盟ウクライナ」([[キエフ]])代表の元原発技師のユーリー・アンドレエフは[[共同通信社]]など報道各社のインタビューに応じ「チェルノブイリ原発事故では、4号機爆発の影響で漏れた冷却水が隣の2号機に入り込み、冷却装置やバックアップ電源のシステムが故障したが、辛うじて連鎖事故を回避した。福島第一原発は電源装置がチェルノブイリ同様に原子炉の直下にあり、津波などの水が入り込めば電気供給やバックアップシステムが壊れる。チェルノブイリ事故後も電源供給体制を見直さなかったのは残念」と述べた<ref>{{Cite news |title=東日本大震災 チェルノブイリ、教訓生かされず 被害者団体代表 |url=http://www.sankeibiz.jp/compliance/news/110319/cpb1103190502000-n1.htm |newspaper=Sankei Biz |date=2011-03-19 |accessdate=2011-03-25}}{{リンク切れ|date=2017年3月}}</ref><ref>[http://www.kyodonews.jp/feature/news05/2011/03/post-33.html チェルノブイリの教訓生かされず 福島原発事故で被害者団体]{{リンク切れ|date=2017年3月}}[[共同通信社]]2011年3月18日</ref><!--sonetニュースは二次配信媒体なので削除…見出しから共通47ニュースがソースであると類推され、重複ですので-->。
 
 
 
2011年3月22日の読売新聞によると、[[2007年]]2月、[[静岡地方裁判所]]での[[証人尋問]]で非常用発電機や[[制御棒]]など重要機器が複数同時に機能喪失することまで想定していない理由として「割り切った考え。すべてを考慮すると設計ができなくなる」と証言した[[内閣府]][[原子力安全委員会]][[委員長]]の[[班目春樹]]は、「当時の原子力安全委員会としての見解ではあったが、今は個人的に責任を感ずる」と答弁し謝罪した。3月22日の[[参議院]][[予算委員会]]での[[社会民主党 (日本 1996-)|社民党]][[党首]]、参議院議員の[[福島瑞穂]]の質問に対するものである<ref name="yomi110410"/>。
 
 
 
2011年3月23日付の東京新聞で、[[1970年]] - [[1980年]]頃に4号機を除く5機の設計や安全性の検証を担った東芝の元技術者達は、「事故や地震で[[タービン]]が壊れ飛び原子炉を直撃する可能性を想定し、安全性が保たれるかどうかを検証した。M9レベルの地震や、航空機墜落で原子炉に直撃する可能性を想定するよう進言したが、『千年に一度のことを想定する必要は無い』と一笑に付され、起こる可能性の低い事故は次々に想定から外された。当時は『M8以上の地震は起きない』と言われ、大津波は設計条件に与えられていなかった」「今回のような大津波やマグニチュード9の地震は、想像もできなかった」などと語ったと報じている<ref>{{Cite news |title=「大津波やM9、想定却下」 福島原発 設計者ら証言 |url=http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2011032390071412.html |newspaper=東京新聞 TOKYO Web |date=2011-03-23 |archiveurl=http://www.asyura2.com/11/genpatu7/msg/592.html |archivedate=2011-03-23 |accessdate=2011-09-26}} - 阿修羅アーカイブ</ref>。なお1980年代の米国内、原子力規制委員会 (NRC) でも同様に、電力業からの圧力でNRC技術者の災害リスク提言は委員会内で相次いでもみ消されていったとのことであり、当時の国際的な流れであったことが窺える<ref>[http://www.nhk.or.jp/etv21c/file/2011/0814.html NHK ETV アメリカから見た福島原発事故]</ref>。
 
 
 
2011年6月9日付のしんぶん赤旗によると、日本共産党の吉井英勝議員は2011年5月27日の衆院経済産業委員会で、福島第1原発事故に伴うGE社の製造者責任を追及。外務省の武藤義哉審議官は「現在の[[日米原子力協定]]では旧協定の免責規定は継続されていない」と答弁し、協定上は責任を問うことができるとの見解を示した<ref>{{Cite web |date=2011-06-09 |url=http://www.jcp.or.jp/akahata/html/senden/2011_genpatsu/index03.html |title=原発の源流と日米関係(3)軍事優先の開発/原潜からはじまった |work=しんぶん赤旗 |publisher=日本共産党 |accessdate=2011-10-08}}</ref>。しかしながら米国側の反応としては3月15日付のNYタイムズに見られるように「GEの責任は限定的」という論調が目立っている模様である<ref name="NY0315"/>。
 
 
 
福島第一原発事故発生以前、[[原子力安全基盤機構]]が製作した[[シミュレーション]][[アニメ]]が存在する<ref>ECO JAPAN [http://eco.nikkeibp.co.jp/article/report/20110622/106729/ 動画で見る炉心溶融 求められる実態の解明]{{リンク切れ|date=2017年3月}}</ref>。当時の政府・経済産業省のメルトダウン・メルトスルーに対する認識度が窺える。
 
 
 
=== 現場の事故対応上の問題点 ===
 
全電源喪失になると[[非常用炉心冷却装置#非常用復水器|非常用復水器(IC, イソコン)]]の弁が自動で閉じることが現場作業員に周知されていなかったため、1号機が最初に注水停止し危険な状態に陥っていることが認識されていなかった。また現場作業員は誤った認識に基づいて非常用復水器を手動停止させていた。また第一原発の幹部は13日、3号炉の[[非常用炉心冷却装置#高圧炉心注水系|高圧炉心注水系 (HPCI)]] が手動停止している事実を知らなかったために、7時間にわたって注水作業が遅れてしまい、状況を悪化させた一因となったとされている<ref>{{Cite news |title=福島原発事故調 中間報告 |url=http://www.tokyo-np.co.jp/feature/tohokujisin/nucerror/report1226/ |newspaper=東京新聞 TOKYO Web |date=2011-12-27 |accessdate=2012-02-26}}{{リンク切れ|date=2017年3月}}</ref>。とはいえ上記のように、福島第一原発では地震・津波対策が不十分だった上、過酷事故時の対応マニュアルも不十分だったため、全電源を喪失した時点で、その後現場で打てる手は限られたもので、十分教育されていなかった作業員の判断の問題ではなく東電の組織的問題だと国会事故調は指摘している{{Sfn|国会事故調|2012|p=13-14}}。
 
 
 
==== 1号機のIC作動状況の誤認 ====
 
地震によって外部電源を喪失した後、1号機では非常用復水器 (IC) が自動起動した。非常用復水器は、原子炉内の蒸気を格納容器外のプール内の細管へ導いて冷却し、再び原子炉内へ戻して注水する原子炉冷却装置で、ポンプなどの動力を必要とせず自然循環によって動作する。非常用復水器にはその構造上、電源喪失時に一旦自動で弁が閉じ作動を停止する安全装置が付いているのだが、1・2号機中央制御室の現場作業員はICの運転経験がなく、誰もそのことを認識していなかった。政府事故調の報告によれば、津波により全電源を喪失した際に、ICの4つの弁の内、格納容器外側にある弁2・3は閉止し、格納容器内側の弁1・4は閉止動作途中に動力源となる電源を失って「中間開」の状態となった{{Sfn|内閣事故調中間|2011|p=98-100}}。電源喪失後、中央制御室の制御盤は表示が消えてICの操作ができなくなっていたが、18時18分頃、一時的にバッテリーが回復して弁2・3が閉じていることを示したため、作業員は安全装置がはたらいて弁が閉まっていたことに気付き、制御盤で開操作を行った{{Sfn|内閣事故調中間|2011|p=105}}。しかし、作動中に発生するはずの蒸気を目視で確認できなかったため、「空焚き」により非常用復水器が破損し放射性物質が外に放出される可能性があるという誤った懸念を抱き、18時25分頃再び弁3を閉じてICを停止させた{{Sfn|内閣事故調中間|2011|p=106-107}}。実際には非常用復水器は空焚きによって破損することはないのだが、現場作業員はそれを理解していなかった。その後、制御盤の表示灯が再び消灯しそうになり、消灯すれば再起動できなくなると考え、21時30分頃に再度弁を開き、その後表示灯が消えて操作できなくなった{{Sfn|内閣事故調中間|2011|p=107-108}}。こうした操作にも関わらず、1号機ICによる冷却機能はほとんど発揮されなかったとみられる{{Sfn|内閣事故調中間|2011|p=102}}。弁1・4が中間開の状態で十分に蒸気がICへ流れなかった可能性があり、津波到達以降は作業員の弁開閉操作が原子炉に与えた影響は小さかったとみられる{{Sfn|内閣事故調中間|2011|p=102}}。
 
 
 
免震重要棟の対策本部でも、電源喪失によってICが自動停止した可能性を指摘する者はいなかった{{Sfn|内閣事故調中間|2011|p=108-109}}。18時18分頃弁を開く操作をしたことが報告されたが、それまでICが停止していたことには注意は向けられなかった。18時25分頃再び停止させたことは対策本部に十分伝わらず、対策本部ではICが作動していると認識されていた{{Sfn|内閣事故調中間|2011|p=109}}。そのため、3月11日夕方から夜にかけては、対策本部ではRCICの運転状況が不明だった2号機が最も危険だと認識され、1号機の注水が停止し炉心露出が始まっているという危機意識はなかった{{Sfn|国会事故調|2012|p=151}}{{Sfn|内閣事故調中間|2011|p=109}}。
 
 
 
一方、[[#事故調査委員会|国会事故調]]は、1号機ICについて、安全装置により自動停止したのではなく、炉心損傷によって早期の内にICの蒸気管に非凝縮性の水素ガスが充満し、そのために自然循環が阻害され、ICが機能喪失していたと推測している{{Sfn|国会事故調|2012|p=14, 236-239}}。
 
 
 
==== 1号機ベント操作の遅れ、水素爆発の原因 ====
 
政府の事故調査・検証委員会による1号機水素爆発に関する事情聴取から、現場側がベント操作が手間取ったことについて、現場には長時間の全電源喪失を想定した対応マニュアルがなく、よって手動によるベント手順も整備されておらず、設計図などから新規に手順作成しなければいけなかったこと、全電源喪失のためベント弁操作用バッテリーが必要とされた際、機材形式の連絡に不備があり、本社が調達し発送した多機種が一斉に搬入され必要機種の選別に手間取ったり、必要な機材が福島第二原発やJビレッジに誤配されて取りに行く手間が増えたなど、本社の援護が乏しく、突然の非常事態に現場側の混乱も多かったためとされている。
 
 
 
水素爆発については、多忙な現場では誰も水素爆発まで予見できなかったとされる。仮に津波がきて全電源を喪失し冷却ポンプが作動しなくなっても、非常用復水器(IC, ISO (Isolation) CONDENSER, イソコン)など各炉冷却系が起動し冷却するはず、という程度の甘い認識だった<ref name="kensyo20110817">{{Cite news |title=福島第1原発:東電、水素爆発予測せず ベント手順書なし |url=http://mainichi.jp/select/jiken/news/20110817k0000m040142000c.html |newspaper=毎日jp |date=2011-08-17 |accessdate=2011-08-27}}{{リンク切れ|date=2014-01-28}}</ref><ref name="gen20110603">{{Cite web |url=http://gendai.ismedia.jp/articles/-/6821 |title=隠されていた決定的ミス 東電はベントの方法を間違った! |publisher=現代ビジネス |date=2011-06-03 |accessdate=2017-03-28}}</ref>。
 
 
 
=== 災害対策に関する問題点 ===
 
==== 国際基準 (IAEA) の災害対策の導入見送り ====
 
2006年3月に原子力安全委員会は、国際基準(IAEA基準)を国の原子力防災指針に反映し(放射性物質が放出される恐れがある場合、即時に原発から3〜5キロ圏の住民は避難する)改善・導入の検討を開始したが、当時の原子力安全・保安院院長である[[広瀬研吉]]が強固に反対し、防災の強化が見送られた。防災の強化を行っていれば、今回の事故で近隣の住民の被爆が避けられたと報道される<ref>[http://news.goo.ne.jp/article/mainichi/life/20120606ddm002040038000c.html 原子力安全・保安院&gt;院長、改善意見を黙殺 原発防災「現行体制で」--06年 - 毎日新聞 ]{{リンク切れ|date=2012年10月}}</ref>。
 
 
 
== 教訓と再発防止策 ==
 
この重大事故をしっかり検証して根本的な改善策を講じるべきという表明が、菅直人首相<ref>{{Cite web |url=http://jp.reuters.com/article/idJPJAPAN-20676520110418 |title=福島原発事故、徹底した原因の検証が必要=菅首相 |publisher=ロイター |date=2011-04-18 |accessdate=2017-03-28}}</ref>をはじめ、枝野官房長官<ref>[http://www.fukuishimbun.co.jp/nationalnews/CN/politics/431627.html 福井新聞 原発事故で検証委設置へ 枝野氏「客観性が必要」]{{リンク切れ|date=2017年3月}}</ref>、東京電力<ref>{{Cite web |url=http://www.asahi.com/special/10005/TKY201104130709.html |title=東電社長会見のやり取り全文 |publisher=朝日新聞 |date=2011-04-14 |accessdate=2017-03-28}}</ref>、[[国際原子力機関]] (IAEA)<ref>{{Cite web |url=http://www.asahi.com/international/reuters/RTR201103220072.html |title=福島原発、危機は克服されると確信=IAEA事務局長 |publisher=朝日新聞 |date=2011-03-22 |accessdate=2017-03-28}}</ref>、[http://www.gengikyo.jp/report/tohokutaiheiyoujishin.html 日本原子力協会]<ref name="gengikyo20110413"/>、その他専門家、政治家などから出された([[#専門家による指摘]] および[[#福島原発事故後の、事故リスク評価に関する報道]]参照)。
 
 
 
事故を機に、他の原発や核処理施設の安全性や今後のエネルギー政策の論議が高まった。4月21日、本事故を受け東京電力は[[柏崎刈羽原子力発電所]]に[[標高|海抜]]高さ15 mの[[防潮堤]]を設置し2013年6月に完成目標と発表。本事故前の3.3 mの津波を想定したものから高くする<ref>読売新聞2011年4月22日13S版37面</ref><ref>[http://sankei.jp.msn.com/affairs/news/110421/dst11042123450056-n1.htm 柏崎刈羽原発に防潮堤設置へ「15メートルの津波に対応」]{{リンク切れ|date=2012年10月}} 産業経済新聞社2011年4月21日</ref>。また5月6日、菅直人首相は[[浜岡原子力発電所]]のすべての原子炉の当分の間の停止を[[中部電力]]に要請した<ref>{{Cite news |url=http://web.archive.org/20110509025631/www3.nhk.or.jp/news/html/20110506/t10015733951000.html |archiveurl=http://web.archive.org/20110509025631/www3.nhk.or.jp/news/html/20110506/t10015733951000.html |newspaper=NHK |title=「首相 浜岡原発すべて停止を要請」|date=2011-05-06 |archivedate=2011-05-09}}</ref>。
 
 
 
政府は、今回の事故を教訓とし、原子力産業を監督管轄して安全を確保する立場の[[原子力安全・保安院]]を、エネルギー確保を重視する経済産業省から独立させ、[[環境省]]の外局の[[原子力規制委員会 (日本)|原子力規制委員会]]として再発足させた。原発の新規制基準が策定され、大規模な自然災害やテロ攻撃を想定すること、重大事故対策を義務付けること、既存の原発にも新基準を適用することとした。事故後、日本の全ての原発が運転停止に追い込まれたが、政府は新規制基準に基づき規制委員会の審査に合格した原発から再稼働させるとしている。
 
 
 
2012年[[10月13日]]の読売新聞によれば12日、東京電力は[[第三者]]で構成される「原子力改革監視委員会」の初会合を開いた。委員長は元[[アメリカ合衆国原子力規制委員会]]長デール・クライン (Dale E. Klein)<ref>英文サイト:[http://www.nrc.gov/about-nrc/organization/commission/former-commissioners/klein.html Commissioner Dale E. Klein]</ref>、委員は英原子力公社[[:en:UKAEA|UKAEA]]名誉会長のバーバラ・ジャッジ ([[:en:Barbara, Lady Judge|Barbara Judge]])、[[大前研一]]、[[櫻井正史]]。同年6月20日、東電社内の福島原子力事故調査報告は『我が国(日本)のどの地震関連機関も考えていなかったことから、知見を超えた巨大地震・巨大津波であったといえる。』として事故対応の初動も誤っていなかったとしていたが<ref>{{Cite web |url=http://www.tepco.co.jp/cc/press/betu12_j/images/120620j0302.pdf |title=福島原子力事故調査報告書<概要版 別添> |publisher=東京電力 |format=pdf |date=2012-06-20 |accessdate=2017-03-28}}、7/26ページ 引用末尾文 『我が国(日本)のどの地震関連機関も考えていなかったことから、知見を超えた巨大地震・巨大津波であったといえる。』</ref>、初会合の10月12日、委員会として「事前に津波対策を取ることは可能だった」との前提で改革の対象や範囲を制限しない、経営層が安全性向上に主導権を発揮するなどの原則を掲げた。クライン委員長は記者会見で「東京電力も政府も自然の猛威を過小評価していた。あらゆるシナリオに目を向けた改革を進める」と強調した<ref>[http://www.yomiuri.co.jp/feature/20110316-866921/news/20121012-OYT1T01206.htm 東電、津波対策の不備を初めて認める]{{リンク切れ|date=2017年3月}}読売新聞2012年10月13日13S版9面、および翌14日13S版2面</ref><ref>[http://www.yomiuri.co.jp/atmoney/news/20120910-OYT1T00832.htm 大前研一氏らメンバー…東電に原子力改革監視委]{{リンク切れ|date=2017年3月}}読売新聞2012年9月10日</ref><ref>[http://www.sankeibiz.jp/business/news/121012/bsd1210121113004-n1.htm 東電の原子力改革監視委が初会合 柏崎再稼働目指し、信頼回復図る]{{リンク切れ|date=2017年3月}}産経Biz、2012年10月12日</ref>。
 
 
 
== 裁判 ==
 
市民団体に[[業務上過失致死傷]]等容疑で告発された東電旧経営陣、菅氏ら当時の閣僚、すでに廃止された原子力安全委員会の班目春樹元委員長ら原子力行政担当者ら計42人について、検察当局は1年以上に及び地震や津波の専門家からも意見を求めて捜査を行ったが、2013年9月9日、不起訴とした。その理由として「個人の明確な過失を示す新証拠は見つからなかった。その結果、『津波15.7メートル』の数字は東電内部での試算に過ぎず、事故を関係者が予見していたとは言い切れない」等と、「リスクは予見可能」との見解を否定し不起訴処分とした<ref>産経新聞、2013年9月2日。</ref><ref>[http://www.tokyo-np.co.jp/article/feature/nucerror/list/CK2013091002100003.html 東電幹部・菅元首相ら42人 原発事故 全員不起訴]{{リンク切れ|date=2017年3月}}東京新聞、2013年9月10日。</ref>。しかし2014年7月、東京第5[[検察審査会]]が、東電の元会長・元副社長2人の計3人について「電力会社の取締役は極めて高度な注意義務を負う」として起訴相当と議決<ref name="日経新聞20150123"/>。これを受けた東京地方検察庁は2015年1月22日、震災前に今回ほどの巨大津波が来るという知見はなく、事故の予測は困難だったとして、再び不起訴処分とした<ref name="日経新聞20150123">{{Cite web |url=http://www.nikkei.com/article/DGXLASDG22HBB_S5A120C1CC1000/ |title=東電元会長ら再び不起訴 東京地検、原発事故「予測は困難」 |publisher=日本経済新聞 |date=2015-01-23 |accessdate=2017-03-28}}</ref>。しかし検察審査会が2015年7月に再び起訴相当と議決したため、強制起訴されることになり、2016年2月29日に東電元幹部3人が業務上過失致死傷容疑で起訴された<ref>{{Cite news |url=http://www.asahi.com/articles/ASJ2V4TNLJ2VUTIL03N.html |title=東電元会長ら3人を強制起訴 福島原発事故の責任問う |newspaper=朝日新聞デジタル |date=2016-02-29 |accessdate=2016-06-07}}{{リンク切れ|date=2017年3月}}</ref>。
 
 
 
== 最悪のシナリオ ==
 
政府の事故調査・検証委員会が福島第一原発の[[吉田昌郎]]所長から聴取した内容(通称「吉田調書」)によると、2号機の注水が停止しベントもできない危機的な状況に陥っていた3月14日から15日にかけて、吉田所長は、このままでは格納容器が破壊され核燃料が全て出てしまう、原子炉の圧力破壊が起きると考えていたという<ref>{{Cite web |url=http://www.sankei.com/affairs/news/140827/afr1408270002-n1.html |title=「死んだと思った」 チャイナシンドロームと「東日本壊滅」 |publisher=産経ニュース |date=2014-08-27 |accessdate=2017-03-28}}</ref>。「放射性物質が全部出てしまうわけですからわれわれのイメージは東日本壊滅ですよ」と語っている。このような恐怖感は、同じ頃総理官邸も共有していて、例えば枝野内閣官房長官は、福島第一から[[福島第二原子力発電所|福島第二原発]]、[[東海第二発電所|東海第二原発]]へと連鎖的に事故が進むシナリオが頭の中にあったとのちに語っている{{Sfn|独立検証委|2012|p=89}}。2号機の格納容器が破壊され、放射性物質が大量放出される最悪のシナリオが現実に迫っていた<ref>NHKスペシャル -メルトダウン- 取材班『メルトダウン 連鎖の真相』講談社、2015年、138-140頁。</ref>。実際には、2号機は圧力破壊には至らず、格納容器の配管の繋ぎ目が壊れたり蓋に隙間が出来たりして、部分的に放射性物質が漏れ出したのではないかとみられる<ref>NHKスペシャル -メルトダウン- 取材班『メルトダウン 連鎖の真相』講談社、2015年、141、159頁。</ref>。なぜ2号機が決定的に壊れなかったのかは、十分解明されていない<ref>NHKスペシャル -メルトダウン- 取材班『メルトダウン 連鎖の真相』講談社、2015年、159頁。</ref>。
 
 
 
[[菅直人]]総理大臣は、最悪の場合に何が起きるか具体的なイメージをつかむため、3月22日、[[近藤駿介 (工学者)|近藤駿介]][[原子力委員会|原子力委員]]長に「最悪シナリオ」の作成を要請した。3日後の25日、「福島第一原子力発電所の不測事態シナリオの素描」と題する資料が細野首相補佐官に提出され菅総理に報告された{{Sfn|独立検証委|2012|p=90-91}}。この資料は閲覧後回収されて存在自体が秘密に伏されたが、2012年2月初めに、内閣府の情報開示で公開された<ref>{{Cite web |title=福島第一原子力発電所の不測事態シナリオの素描 |url=http://www.asahi-net.or.jp/~pn8r-fjsk/saiakusinario.pdf |author=近藤駿介 |publisher=藤崎良次 |date=2011-03-25 |accessdate=2012-03-04}}</ref><ref>[http://www.asahi-net.or.jp/~pn8r-fjsk/ 藤崎良次のホームページ]</ref>。この資料で示されたシナリオでは、1号機で再び水素爆発が発生した場合、放射線量上昇により作業員が全面撤退を余儀なくされ、他の号機への注水も止まり、4号機の使用済み燃料プールの燃料損傷が発生、使用済み燃料プールでコアコンクリート相互作用(溶融燃料コンクリート相互作用、MFCI)が発生する<ref>[http://www.tokyo-np.co.jp/article/feature/nucerror/list/CK2012011202100005.html 福島事故直後に「最悪シナリオ」 半径170キロ強制移住]{{リンク切れ|date=2017年3月}}[[東京新聞]]</ref>。この場合、4号機の使用済み燃料プールからの放射性物質の放出量が最も多く、避難規模を大きく左右することになる。その結果、チェルノブイリ事故で適用された基準を当てはめると、170km圏で強制移住、東京を含む250km圏で避難を求めることが必要になることが示されている。菅直人も[[2013年]][[11月8日]]、[[ハフィントン・ポスト]]にて、最悪の場合東京を始め首都圏を含む5000万人の避難が必要となる可能性があったと述べた<ref>{{Cite news |url=http://www.huffingtonpost.jp/naoto-kan/post_6098_b_4237799.html |title=福島原発事故に遭遇して |author=[[菅直人]] |newspaper=[[ハフィントン・ポスト]] |date=2013-11-08 |accessdate=2013-11-08}}</ref>。
 
 
 
この4号機の燃料プールは、事故収束宣言後の2012年4月12日にも、冷却装置の警報が作動し、温度上昇が発生した。水漏れや異物の混入などの可能性が懸念されている<ref>{{Cite news |url=http://www.47news.jp/CN/201204/CN2012041201001482.html |title=福島4号機のプール冷却が停止 第1原発、警報作動 |publisher=47News |agency=[[共同通信社]] |date=2012-04-12 |accessdate=2012-04-25}}{{リンク切れ|date=2017年3月}}</ref>。
 
 
 
[[共同通信社|共同通信]]配信の産経ニュースほか国内多くの報道機関や米国[[ブルームバーグ ビジネスウィーク|ビジネスウィーク]]などは、[[2012年]][[2月21日]]発表された[[アメリカ合衆国原子力規制委員会|NRC]]の事故当初10日間の3200ページ<ref>読売新聞2012年3月10日13S版「スキャナー」3面</ref>からなる自動録音の電話会議記録文書について報じた。3月16日[[グレゴリー・ヤツコ]]委員長は「最悪のシナリオはおそらく、3つの原子炉がメルトダウンすること。格納容器が壊れ、放射性物質の漏出が起きそうだ。漏れの規模を予測するのは難しい」一方、「風が東京に向かって吹いている場合、東京にどう影響が及ぶのか」と懸念する出席者に「現時点で米国民の退避範囲は、50マイル(約80キロメートル)でいこうと思うが、不確実であり、拡大する可能性はある」と答えた。これらのことはメルトダウンの可能性を認めようとしなかった日本政府のリスクに対する危機意識の違いがあった<ref>{{Cite news |title=直後に炉心溶融を懸念 米国民の退避拡大も NRCが内部文書公表 |url=http://sankei.jp.msn.com/world/news/120222/amr12022214440002-n1.htm |newspaper=産経ニュース |location=東京 |date=2012-02-22 |accessdate=2012-03-10}}{{リンク切れ|date=2017年3月}}</ref><ref>{{Cite news |title=Wider U.S. Evacuation at Fukushima Supported in NRC Transcripts |url=http://www.businessweek.com/news/2012-02-24/wider-u-s-evacuation-at-fukushima-supported-in-nrc-transcripts.html |publisher=[[ビジネスウィーク]] |location=[[ニューヨーク]] |date =2012-02-24 |accessdate =2012-03-10 |language=英語 |trans_title=[[アメリカ合衆国原子力規制委員会|NRC]]筆記文書録によれば福島のより広範囲退避区域を後押ししていた}}</ref>。
 
 
 
== 誤報 ==
 
=== 海水注入問題 ===
 
米紙[[ウォール・ストリート・ジャーナル]](電子版)は2011年3月19日に、事故の拡大は、東京電力が廃炉を懸念したため原子炉への海水注入が1日近く遅れたと報じた(12日の朝に検討し13日に全ての号機で注入開始)。注水後の12日夜に、東京電力から連絡を受けた政府側の受け身の姿勢も事故対応の遅れにつながったと指摘している。事故対応に当たった複数の関係者によると、東電が海水注入をためらったのは長年の投資が無駄になることを心配したためだという。海水を注入した場合、塩分により鋼鉄の圧力容器が腐食し、原子炉が再び使える可能性はほぼなくなる<ref>[http://www.47news.jp/CN/201103/CN2011032001000434.html 海水注入遅れたと米紙指摘 東京電力、廃炉を懸念]{{リンク切れ|date=2017年3月}}</ref><ref>[http://www.sponichi.co.jp/society/news/2011/03/20/kiji/K20110320000465240.html 米紙指摘 東京電力 廃炉の懸念で海水注入遅れた「60%が人災だ」]{{リンク切れ|date=2017年3月}}</ref>。
 
 
 
2011年5月20日には、[[TBSテレビ|TBS]]や[[共同通信]]など国内のテレビ局ならびに新聞社において、官邸の指示により海水注入を中断したとの報道が広くなされていたが<ref>[http://megalodon.jp/2011-0520-1844-57/news.tbs.co.jp/newseye/tbs_newseye4729987.html 1号機海水注入、官邸指示で中断]TBS 2011年5月20日</ref><ref>[http://www.47news.jp/CN/201105/CN2011052001001207.html 1号機の海水注入を55分間中断 再臨界恐れ首相指示]{{リンク切れ|date=2017年3月}}共同通信 2011年5月20日</ref>、2014年8月に[[吉田昌郎]]の証言集である吉田調書が報道各社で検証されたことを受けて、9月1日に元首相の[[菅直人]]は「首相意向で海水注入中断」「震災翌日、55分間」との2011年5月21日付[[読売新聞]]の記事を取り上げ、読売に対して謝罪を要求<ref>{{Cite web |url=http://www.j-cast.com/2014/09/02214748.html |title=菅直人氏、読売新聞に謝罪求める 「首相意向で海水注入中断の報道は二重の意味で誤り」 |publisher=J-CASTニュース |date=2014-09-02 |accessdate=2017-03-28}}</ref>。9月3日には「(読売は)相当びびっている」などとツイッターでつぶやいた<ref>[http://sankei.jp.msn.com/politics/news/140912/stt14091208240002-n1.htm 現地視察「吉田所長に迷惑かけたかも」 菅元首相、ブログで釈明]{{リンク切れ|date=2017年3月}}産経新聞 2014年9月12日</ref>。
 
 
 
実際には、現場を指揮した[[吉田昌郎]]の判断により海水注入は中断することなく行われており<ref>{{Cite web |url=http://www.nikkei.com/article/DGXDZO29296360X20C11A5NN8001/ |title=原発対策、信頼失う 東電、注水中断確認せず |publisher=日本経済新聞 |date=2011-05-27 |accessdate=2017-03-28}}</ref>、2011年5月27日、ウォール・ストリート・ジャーナルもこの事実を報じた<ref>{{Cite web |url=http://realtime.wsj.com/japan/2011/05/27/%E7%A6%8F%E5%B3%B6%E7%AC%AC1%E5%8E%9F%E7%99%BA%E3%81%AE%E5%90%89%E7%94%B0%E6%89%80%E9%95%B7%E3%81%AE%E6%B3%A8%E6%B0%B4%E7%B6%99%E7%B6%9A%E5%88%A4%E6%96%AD/ |title=福島第1原発の吉田所長の注水継続判断 |publisher=ウォール・ストリート・ジャーナル |date=2011-05-27 |accessdate=2017-03-28}}</ref>。
 
 
 
冷却の淡水が無くなった時刻は12日の午後2時であるが、事故調査員会の参考人招致<ref>[http://www.ustream.tv/recorded/23159673 東京電力 清水社長 参考人招致」]</ref>で東京電力 清水社長が、「淡水が無くなる時間はかなり以前から判っていた」「私が海水注入の決断したのは、3月12日の正午です。」「現場の状況が厳しかった為、海水注入は3月12日の夜(午後7時)になった」と発言した。またその後、海水注入の一時的な中断の指示は、原子炉の冷却が一番大切なことは承知しているが、菅元総理が再臨界を心配していることを、武黒一郎フェロー(東京電力所属・副社長待遇)からの電話で知り、後で菅元総理に了承を得るとして、清水社長自らが決断し海水注入の中断を了承したと発言した。
 
 
 
2012年7月5日に発表された[[国会事故調]]の報告書には「菅総理や官邸内からの指示ではなく、武黒フェローが、リスクについて検討中であった官邸との関係をおもんぱかり、『最高責任者である総理の御理解を得て進めるということは重要だ』と考えて、独断で指示をしたものである」「菅総理が淡水から海水に切り替えると『再臨界』の恐れがあるのではないかとの疑問を抱いていたため、班目委員長が中心となってその解消に腐心していた。菅総理は、既に海水注入が始まっていたことを知らなかったために時間があると思って慎重に確認したものと考えられるが、技術的には無駄な議論であった」と海水注入の経緯が記述されている<ref>{{WAP |pid=3856371 |url=http://naiic.go.jp/pdf/naiic_honpen_honbun3.pdf |title=第3部  事故対応の問題点 |date=2012-10-25}}</ref>。
 
 
 
=== 東京電力の全面撤退をめぐる報道 ===
 
14日から15日にかけて2号機の圧力容器内、格納容器内の圧力をそれぞれ下げる試みは極めて難航し、格納容器どころか、圧力容器の圧力破壊という水素爆発とは桁違いの事態が想定される状況に至った。このような危機的状況において、当時の東京電力の社長[[清水正孝]]が、福島第一原発からの全面撤退を菅総理大臣に要求し、菅総理が「撤退なんてあり得ない!」と怒鳴った、と報道された<ref>{{Cite web |url=http://www.j-cast.com/2011/09/08106733.html |title=東電社長が一時は「全面撤退」申し入れ 枝野氏「今だから明かす」混乱の内幕 |publisher=J-CASTニュース |date=2011-09-08 |accessdate=2017-03-28}}</ref>。その後、全原子炉施設の放棄によってコントロールが不能となる全面撤退の申し入れには、[[枝野幸男]]元官房長官と[[海江田万里]]前経済産業相を含めた国の官邸側で全員が全面撤退と受け取ったと発言した。これに対し、東京電力の顧問[[武藤栄]]は、全面撤退など考えたことがなかった、議論も出なかったと電気新聞が報道<ref>[http://ceron.jp/url/www.shimbun.denki.or.jp/news/main/20120314_05.html 電気新聞ー福島第一「全面撤退検討」は誤解 東電顧問が証言 - 主要ニュース - ニュース ]{{リンク切れ|date=2017年3月}}</ref><ref>[http://www.yomiuri.co.jp/politics/news/20120314-OYT1T01120.htm 菅首相指示、社内共有せず…東電前副社長認める ]{{リンク切れ|date=2017年3月}}</ref>。意見の食い違いが生まれている<ref>{{Cite web |url=http://www.j-cast.com/2011/09/14107301.html |title=東京電力がマスコミに反撃 事故直後の「全面撤退」めぐりバトル |publisher=J-CASTニュース |date=2011-09-14 |accessdate=2017-03-28}}</ref>。しかしながら、社長 [[清水正孝]]は、最悪の場合は10人の作業員だけを残留させる想定もあったことを、事故調査委員会で認めた<ref>[http://www.asahi.com/politics/intro/TKY201206080797.html 最悪時は残留10人と「認識」 国会事故調で東電前社長ー朝日新聞]{{リンク切れ|date=2017年3月}}</ref><ref>{{WAP |pid=3856371 |url=http://www.naiic.go.jp/wp-content/uploads/2012/06/18thCM_PresentationFinal_v2.pdf |title=東京電力(株)福島原子力発電所事故調査委員会第18回委員会 プレゼン資料 |date=2012-10-25}}</ref>。その後、委員長に記者からは、「10人では、全面撤退と変わらないのでは?」との質問があったが、事故調査委員会の結論として [[野村修也]]委員は、「吉田所長が最悪の事態を想定した漠然とした人数が10人」だとし、「東京電力に全面撤退の形跡無し」と、東京電力側の主張を全面的に認める発表をした<ref>[http://www.ustream.tv/recorded/23184126 第19回事故調査委員会 「東京電力に全面撤退の形跡無し」と事故調査委員 野村氏が結論。(24分40秒)]</ref>。
 
 
 
「撤退問題」については、14日午後8時頃から、政府要人数人に清水社長から電話で福島第一原発からの社員の撤退・退避の申し出がなされたと言う点で複数の証言は一致している。具体的には、海江田万里経済産業大臣、寺坂信昭原子力安全・保安院院長、枝野内閣官房長官に対して清水社長本人が電話で連絡を取り、撤退・退避の了承を取ろうとした(細野首相補佐官は電話に出ることを拒否した)。清水社長の申し出に対し、三者とも退避・撤退については否定的な感想を述べたが、海江田経産大臣はことの重大性を鑑み、総理に報告する旨を約束したとされる<ref>カウントダウン・メルトダウン 上巻 第8章「運命の日」</ref>。なお清水社長は、要人に対しては「全面撤退」と「一部撤退」といった人数に関する事柄については特定して述べておらず、状況の厳しさを訴えた上で退避・撤退の了承を求めている。
 
 
 
ほぼ同時期に、放射線量の高まりからオフサイトセンターの福島市内への移転についても議論されている時期であり、片山総務大臣、平岡保安院次長他政府関係者も、東電撤退の可能性を聞いて少なからぬ衝撃を受けたと証言している<ref>カウントダウン・メルトダウン 上巻 第8章「運命の日」p308-p310</ref>。
 
 
 
また、朝日新聞 WEB RONZA(朝日新聞2012年2月6日付、「プロメテウスの罠、官邸の5日間35」抜粋)では、元警視総監の[[伊藤哲朗]]が東電幹部と交わした会話にて、福島第一原発から全面撤退した場合は、福島第二原発にも影響が及び、福島第二からも撤退しなければならない事態に発展すると掲載された<ref>{{Cite web |url=http://webronza.asahi.com/science/articles/2012032000009.html |title=「撤退するか残るか」。東電と菅首相が直面した究極の選択 |publisher=WEBRONZA |date=2012-03-21 |accessdate=2017-03-28}}</ref>。また、菅元総理が、「プラントを放棄した際は、原子炉や使用済み燃料が崩壊して放射能を発する物質が飛び散る。チェルノブイリの2倍3倍にもなる」「このままでは日本滅亡だ」と発言したと記載した。
 
 
 
{{Harvtxt|国会事故調|2012|p=33}} は報告書で、全面撤退は官邸の誤解であるが、官邸に誤解が生じた根本原因は、[[清水正孝]]が、極めて重大な局面ですら、官邸の意向を探るかのような曖昧な連絡に終始した点に求められる、とした。
 
 
 
=== 「吉田調書」〔朝日新聞の報道〕 ===
 
事故当時の福島第一原子力発電所所長であった[[吉田昌郎]]が政府事故調査・検証委員会の調べに答えた「聴取結果書」に関して、2014年5月20日、[[朝日新聞]]が「吉田調書」と題して特集し、2011年3月15日朝、福島第一原子力発電所にいた所員の9割に当たる約650人が吉田の待機命令に違反し、[[福島第二原子力発電所]]へ撤退していたと報道した<ref name=Asahi-Yoshida-Report>{{Cite web |url=http://www.asahi.com/special/yoshida_report/ |title=「吉田調書」 |publisher=朝日新聞 |accessdate=2017-03-28}}</ref><ref>{{Cite news |url=http://digital.asahi.com/articles/ASG5L51KCG5LUEHF003.html |title=福島第一の原発所員、命令違反し撤退 吉田調書で判明 |newspaper=[[朝日新聞]] |date=2014-05-20 |accessdate=2014-05-20}}{{リンク切れ|date=2017年3月}}</ref><ref>{{Cite news |url=http://www.asahi.com/articles/ASG5R7D7XG5RUTFK01V.html?iref=comtop_6_01 |title=原発事故調、当初は開示方針 吉田調書など全772人分 |newspaper=[[朝日新聞]] |accessdate=2014-05-24}}{{リンク切れ|date=2017年3月}}</ref>。特集記事デジタル版本文では吉田昌郎の「本当は私、2F(福島第二原子力発電所)に行けとは言ってないんですよ。ここがまた伝言ゲームのあれのところで(中略)よく考えれば2Fに行った方がはるかに正しいと思ったわけです」との証言を掲載しつつ、命令違反であったと結論していた<ref name=Asahi-Yoshida-Report /><ref>{{Cite journal |url=http://www.news-postseven.com/archives/20140912_276517.html |title=門田隆将 朝日新聞「吉田調書」報道の罪 全文掲載【4/6】 |journal=Newsポストセブン |date=2014-09-12 |accessdate=2017-03-29}}</ref>(紙面には掲載されなかった)<ref name="asahi_20140912"/>。[[産経新聞]]が8月18日、「伝言ゲーム」による指示の混乱はあったが、吉田自身に命令違反としての認識はなかったと報じ<ref>{{Cite news |url=http://sankei.jp.msn.com/politics/news/140818/plc14081805000001-n1.htm |title=吉田所長、「全面撤退」明確に否定 福島第1原発事故 |newspaper=[[産経新聞]] |date=2014-08-18 |accessdate=2014-08-18}}{{リンク切れ|date=2017年3月}}</ref>、[[読売新聞]]が8月30日、吉田昌郎が「よく考えれば、(線量の低い)2Fに行った方がはるかに正しいと思ったわけです」と追認していたことを指摘するなど<ref>{{Cite news |url=http://www.yomiuri.co.jp/science/20140830-OYT1T50006.html |title=朝日の「命令違反・撤退」報道、吉田調書とズレ |newspaper=[[読売新聞]] |date=2014-08-30 |accessdate=2014-08-30 |archiveurl=http://web.archive.org/web/20140901205749/http://www.yomiuri.co.jp/science/20140830-OYT1T50006.html |archivedate=2014-09-01}}</ref>、他の新聞、雑誌から福島第二原子力発電所への退避が命令違反であったとする報道を否定、糾弾する記事が相次いだ<ref>{{Cite web |url=http://www.news-postseven.com/archives/20140609_259996.html |title=朝日の吉田調書報道「なぜここまで日本人貶めるのか」と作家 |publisher=NEWS ポストセブン |date=2014-06-09 |accessdate=2017-03-28}}</ref><ref>{{Cite news |url=http://www.asahi.com/articles/ASG695J36G69UUPI00C.html |title=週刊ポスト記事に朝日新聞社抗議 吉田調書めぐる報道 |newspaper=[[朝日新聞]]}}{{リンク切れ|date=2017年3月}}</ref><ref>{{Cite news |url=http://www.asahi.com/articles/ASG6B4TZ6G6BUUPI001.html |title=FLASHに朝日新聞社抗議 吉田調書めぐる記事 |newspaper=[[朝日新聞]]}}{{リンク切れ|date=2017年3月}}</ref><ref>{{Cite news |url=http://www.weeklypost.com/140905jp/index.html |title=週刊ポスト2014年9月5日号}}</ref><ref>{{Cite news |url=http://sunday.mainichi.co.jp/blog/2014/06/2014629-b073.html |title=サンデー毎日2014年6月29日号}}</ref><ref>{{Cite news |url=http://shukan.bunshun.jp/articles/-/4292 |title=週刊文春2014年9月4日号}}</ref>。朝日新聞社広報部は読売新聞社の「退避をなぜ『命令違反』と報じたか」という質問に対し、「『吉田調書』をそのまま報じるのではなく公共性、公益性の高い部分について東京電力の内部資料や関係者への取材とつきあわせて報じています」などとしていたが<ref>読売新聞2014年8月31日13S版39面</ref>、9月11日、朝日新聞は同報道を取り消した<ref>{{Cite news |url=http://www.asahi.com/articles/ASG9C63FTG9CUTIL04Q.html?iref=com_alist_6_01 |title=吉田調書「命令違反で撤退」の記事取り消し 朝日新聞 |newspaper=[[朝日新聞]] |date=2014-09-11 |accessssdate=2014-09-11}}{{リンク切れ|date=2017年3月}}</ref>。同日、内閣官房は吉田昌郎の「聴取結果書」を公開した<ref>{{Cite web |url=http://www.nikkei.com/article/DGXLASFK11H1I_R10C14A9000000/ |title=吉田調書を公開 官房長官「非公開、遺志に反する」 |publisher=日本経済新聞|date=2014-09-11 |accessdate=2017-03-28}}</ref><ref>{{Cite web |url=http://www.cas.go.jp/jp/genpatsujiko/hearing_koukai_8/hearing_list_8.html |title=政府事故調査委員会ヒアリング記録 |publisher=内閣官房 |accessdate=2017-03-28}}</ref>。
 
 
 
2014年9月11日、朝日新聞社は、2014年5月の特集記事「吉田調書」について「誤った部分があり、訂正する考えだ」とするコメントを11日夕方、発表<ref>{{Cite news |title=朝日新聞が「吉田調書」記事を訂正へ |newspaper=NHK |date=2014-09-11 |author= |url=http://www3.nhk.or.jp/news/html/20140911/k10014536231000.html |accessdate=2014-09-11 |archiveurl=http://web.archive.org/web/20140911212638/http://www3.nhk.or.jp/news/html/20140912/k10014546801000.html |archivedate=2014-09-11}}</ref><ref>{{Cite news |title= 「吉田調書」報道で誤り認め訂正へ…朝日新聞 |newspaper=読売新聞 |date=2014-09-11 |author= |url=http://www.yomiuri.co.jp/national/20140911-OYT1T50120.html |accessdate=2014-09-11 |archiveurl=http://web.archive.org/web/20140911155932/http://www.yomiuri.co.jp/national/20140911-OYT1T50120.html |archivedate=2014-09-11}}</ref>。2014年9月11日夜、朝日新聞社の木村伊量社長らが記者会見を行い、「間違った記事だと判断した」と述べ、記事を取り消す考えを明らかにした上で、「経営トップとしての私の責任も逃れられない」として「抜本改革のおおよその道筋をつけたうえで、速やかに進退について決断したい」と述べた<ref>{{Cite news |title= 朝日新聞 「吉田調書」記事取り消し |newspaper=NHK |date=2014-09-11 |author= |url=http://www3.nhk.or.jp/news/html/20140911/k10014539401000.html |accessdate=2014-09-11 |archiveurl=http://web.archive.org/web/20140911113259/http://www3.nhk.or.jp/news/html/20140911/k10014539401000.html |archivedate=2014-09-11}}</ref><ref>{{Cite news |title=朝日新聞:吉田調書の報道で誤り認める…社長、引責辞任へ |newspaper=毎日新聞 |date=2014-09-11 |author= |url=http://mainichi.jp/select/news/20140912k0000m040046000c.html |accessdate=2014-09-11 |archiveurl=http://web.archive.org/web/20140911115528/http://mainichi.jp/select/news/20140912k0000m040046000c.html |archivedate=2014-09-11}}</ref>。朝日新聞社では、一連の経緯について検証を行う「信頼回復と再生のための委員会」(仮称)を設置する<ref>{{Cite news |title=「吉田調書」報道で朝日新聞社長が今夕会見、事実関係説明へ |newspaper=MSN産経ニュース |date=2014-09-11 |author= |url=http://sankei.jp.msn.com/affairs/news/140911/crm14091111460011-n1.htm |accessdate=2014-09-11}}{{リンク切れ|date=2017年3月}}</ref><ref>{{Cite news |title=吉田調書「命令違反で撤退」の記事取り消し 朝日新聞 |newspaper=朝日新聞 |date=2014-09-11 |author= |url=http://www.asahi.com/articles/ASG9C63FTG9CUTIL04Q.html |accessdate=2014-09-11}}</ref><ref>{{Cite news |title=信頼回復へ社内委員会を設置 朝日新聞 |newspaper=朝日新聞 |date=2014-09-12 |author= |url= http://www.asahi.com/articles/ASG9C72PHG9CUTIL06G.html |accessdate=2014-09-12}}{{リンク切れ|date=2017年3月}}</ref>。また、同時に、取締役編集担当役員の解職と関係者の厳正な処罰を発表し、木村伊量社長自身については「社内改革に道筋をつけた上で辞任すること」を示唆した<ref>{{Cite web |url=http://www.news24.jp/articles/2014/09/12/04259002.html |title=朝日新聞 「吉田調書」記事を取り消し謝罪 |publisher=日テレNEWS24 |date=2014-09-12 |accessdate=2017-03-28}}</ref>。
 
 
 
また、同日に、朝日新聞社の第三者機関「報道と人権委員会」は、朝日新聞社が2014年5月20日付の朝刊で「所長命令に違反 原発撤退」の見出しで報じた、いわゆる「吉田調書」をめぐる報道について、朝日新聞社側が「報道と人権委員会」の見解を求めた申し立てについて、審理の対象とすることを決めた<ref>{{Cite news |title= 報道と人権委員会、朝日新聞報道を審理へ 吉田調書 |newspaper= 朝日新聞 |date= 2014-09-12 |author= |url= http://www.asahi.com/articles/ASG9C5QYVG9CUTIL03M.html |accessdate=2014-09-12}}{{リンク切れ|date=2017年3月}}</ref>。
 
 
 
2014年9月12日の朝日新聞の朝刊で、「『命令に違反 撤退』という記述と見出しは、多くの所員らが所長の命令を知りながら、第一原発から逃げ出したような印象を与える間違った表現のため記事を削除した」とした<ref name="NHK_20140912">{{Cite news |title=朝日新聞 朝刊で記事取り消し謝罪 |newspaper=NHK |date= 2014-09-12 |author= |url=http://www3.nhk.or.jp/news/html/20140912/k10014546801000.html |accessdate=2014-09-12 |archiveurl=http://web.archive.org/web/20140912001552/http://www3.nhk.or.jp/news/html/20140912/k10014546801000.html |archivedate=2014-09-12}}</ref><ref name="asahi_20140912">{{Cite news |title= 吉田調書をめぐる朝日新聞社報道 経緯報告 |newspaper=朝日新聞 |date=2014-09-12 |author= |url=http://www.asahi.com/articles/DA3S11346551.html |accessdate=2014-09-15 |archiveurl=http://web.archive.org/web/20140912001552/http://www3.nhk.or.jp/news/html/20140912/k10014546801000.html |archivedate=2014-09-12}}</ref>。
 
 
 
記事が掲載されるまでのいきさつについては、「社内では『命令』や『違反』の表現が強すぎるのではないかとの指摘が出たものの、取材源を秘匿するため、少人数の記者での取材にこだわるあまり、十分な人数での裏付け取材をすることやその取材状況を確認する機能が働かなかった」としている<ref name="NHK_20140912"/><ref name="asahi_20140912"/>。
 
 
 
また、吉田元所長の証言記録の内、『よく考えれば2Fに行ったほうがはるかに正しいと思った』と評価していた部分を欠落させたことについては、「吉田元所長があとから感想を述べたにすぎず、必ずしも必要なデータではないと考えていた。発言の評価を誤り、十分な検討を怠っていた」としている<ref name="NHK_20140912"/><ref name="asahi_20140912"/>。
 
 
 
その上で、木村伊量社長が紙面の中で、「誤った内容の報道となったことは痛恨の極みです。読者と東京電力福島第一原発で働いていた所員をはじめ、みなさまに深くおわびします」と謝罪<ref name="NHK_20140912"/>。
 
 
 
朝日新聞は2014年9月13日の朝刊で、この「吉田調書」報道の間違いを認め、記事を取り消したことを受け、「東京電力社員らの9割にあたる約650人が吉田昌郎所長の待機命令に違反し、福島第2原発に撤退した」との報道に対し「事実をねじ曲げた」と報じ、朝日新聞に抗議書を送っていたノンフィクション作家の門田隆将、週刊ポスト、写真週刊誌のFLASH、それに産経新聞社に「おわびの意思を伝えた」とする記事を掲載した<ref name="mainichi_20140913">{{Cite news |title=朝日新聞:作家や週刊誌に「おわび」 吉田調書報道で |newspaper=毎日新聞 |date=2014-09-13 |author=牧野宏美、古関俊樹 |url=http://mainichi.jp/select/news/20140913k0000e040213000c.html |accessdate=2014-09-13 |archiveurl=http://web.archive.org/web/20140913081210/http://mainichi.jp/select/news/20140913k0000e040213000c.html |archivedate=2014-09-13}}</ref><ref name="asahi_20140913"/>。
 
 
 
また、朝日新聞は、2014年9月13日の朝刊の社説や1面コラムで、それぞれ謝罪した上で、「誤報」によって、「誤った印象が海外に広まったこと」について、木村伊量社長名のおわびを、英語版に加え、韓国語、中国語にも翻訳し、外国語サイトにも掲載<ref name=yomiuri_20140913>{{Cite news |title=朝日、社説や天声人語でも謝罪…吉田調書など |newspaper= 読売新聞 |date=2014-09-13 |author= |url=http://www.yomiuri.co.jp/national/20140913-OYT1T50065.html |accessdate=2014-09-13 |archiveurl=http://web.archive.org/web/20140913145101/http://www.yomiuri.co.jp/national/20140913-OYT1T50065.html |archivedate=2014-09-13}}</ref><ref name="asahi_20140913">{{Cite news |title=吉田調書報道巡り、抗議撤回しおわび 朝日新聞社 |newspaper=朝日新聞 |date= 2014-09-13 |author= |url=http://www.asahi.com/articles/ASG9D6W0MG9DULZU00M.html |accessdate=2014-09-13}}{{リンク切れ|date=2017年3月}}</ref>。
 
 
 
社説では、「吉田調書」に関する記事を過去の社説でも取り上げていたことを挙記した上で、「社説を担う論説委員室として、読者や関係者の方々にかさねて深くおわびします」と謝罪した<ref name=yomiuri_20140913/>。
 
 
 
また、朝日新聞の2014年5月20日夕刊1面のコラム「素粒子」では、原発事故を巡る「吉田調書」に関し、「『フクシマ50』の称賛の裏に勝手に撤退した650人。傾く船から逃げだすように」と記していたが、朝日新聞は2014年9月13日の夕刊1面のコラム「素粒子」では、改めてこの問題に触れた上で、「小欄の過剰な表現を撤回しおわびします」とした<ref>{{Cite news |title=朝日、夕刊1面コラムも謝罪「過剰な表現撤回」 |newspaper=読売新聞 |date=2014-09-13 |author= |url=http://www.yomiuri.co.jp/national/20140913-OYT1T50157.html |accessdate=2014-09-14 |archiveurl=http://web.archive.org/web/20140913222051/http://www.yomiuri.co.jp/national/20140913-OYT1T50157.html |archivedate=2014-09-13}}</ref>。
 
 
 
さらに、朝日新聞は「抗議は前提となる事実を欠くものであり、抗議したこと自体が誤っておりました」とした上で、抗議書を撤回した上で、8月19日付の朝刊「産経記事巡り本社が抗議書」の記事を取り消す措置を採った<ref name="sanspo_20140914">{{Cite web |url=http://www.sanspo.com/geino/news/20140914/tro14091405010002-n1.html |title=朝日新聞、産経新聞社などに謝罪「抗議したこと自体が誤り」|publisher=サンスポ |date=2014-09-14 |accessdate=2017-03-28}}</ref>。
 
 
 
この、吉田調書をめぐっては、産経新聞が2014年8月18日付の朝刊で門田隆将の寄稿「朝日は事実曲げてまで日本人おとしめたいのか」(東京本社版)を掲載したが、朝日新聞は「名誉と信用を傷つけられた」として、2014年8月18日付で産経の小林毅東京編集局長と門田あてに抗議書を送付し、紙面で報告していた<ref name="sanspo_20140914"/>。
 
 
 
また、朝日新聞は、産経新聞への抗議書の中で、「納得のいく回答が得られるまで貴社の取材には応じられませんので、回答は保留させていただきます」としていたが、これを撤回<ref name="sanspo_20140914"/>。
 
 
 
朝日新聞は2014年9月17日の朝刊社会面にて、「東京電力と関係者の皆様に改めておわびします」との記事を掲載した<ref name="yomiuri_20140917">{{Cite news |title=朝日、東電に改めておわび…訪問意向示し紙面で |newspaper=読売新聞 |date=2014-09-17 |author= |url=http://www.yomiuri.co.jp/national/20140917-OYT1T50048.html?from=ycont_top_txt |accessdate=2014-09-17}}{{リンク切れ|date=2015-04}}</ref><ref name="zakzak_20140917">{{Cite web |url=http://www.zakzak.co.jp/society/domestic/news/20140917/dms1409171207010-n1.htm |title=朝日、今度は東電におわび 17日付朝刊で謝罪記事掲載 |publisher=夕刊フジ |date=2014-09-17 |accessdate=2017-03-28}}</ref><ref name="asahi_20140917">{{Cite news |title=東京電力と関係者の皆様に改めておわびします 「吉田調書」報道で朝日新聞社|newspaper= 朝日新聞|date= 2014-09-17|author= |url= http://www.asahi.com/articles/DA3S11353673.html?iref=comtop_pickup_01 |accessdate=2014-09-17}}{{リンク切れ|date=2017年3月}}</ref>。
 
 
 
記事では「朝日は東電に対し、東京電力事故の吉田昌郎元所長の調書に関する報道の間違いについて、直接訪問しておわびしたい」と伝えたが、東京電力広報部からは「紙面により十分ご説明いただいているものと思っておりますので、わざわざお越しいただくまでもございません」などと文書で回答があったと掲載されている<ref name="yomiuri_20140917"/><ref name="zakzak_20140917"/><ref name="asahi_20140917"/>。
 
 
 
東京電力広報部は、読売新聞の取材に対して、「(2014年9月)12日に朝日新聞から電話で、来社しておわびしたいという申し出があった。回答は記事に記載された通りです」と話している<ref name="yomiuri_20140917"/>。
 
 
 
== 専門家による指摘 ==
 
=== 原子力工学 ===
 
米国の原子力専門家らが報道陣向けに電話会見し、その中で物理学者のケン・バージェロン (Ken Bergeron) は「福島第一原発は、非常用ディーゼル発電機も使用できなくなったため、原発に交流電流を供給できなくなるステーション・ブラックアウト(station blackout, 全交流電源喪失)と呼ばれる状況に陥っている。ステーション・ブラックアウトは、実際に発生する可能性は極めて低いと考えられていたが、地震と津波により想定外の事態になったのだろう」と述べた<ref>{{Cite news |url=http://www.scientificamerican.com/article.cfm?id=fukushima-core|title=Nuclear Experts Explain Worst-Case Scenario at Fukushima Power Plant |language=英語 |newspaper=Scientific American |date=2011-03-13 |accessdate=2011-03-13}}</ref>。
 
 
 
[[マサチューセッツ工科大学]] (MIT) のJosef Oehmen博士とMITの原子力理工学科 (Department of Nuclear Science and Engineering) が共同で発表したドキュメント<ref>{{Cite news |url=http://mitnse.com/2011/03/13/why-i-am-not-worried-about-japans-nuclear-reactors/ |date=2011-03-13 |title=Modified version of original post written by Josef Oehmen |accessdate=2011-03-15}}{{リンク切れ|date=2017年3月}}</ref><ref>{{Cite news |url=http://d.hatena.ne.jp/arc_at_dmz/20110316/fukushima_nc_power_plants |date=2011-03-16 |title=MIT原子力理工学部による改訂版・福島第一原発事故解説 |accessdate=2011-03-28}}</ref>(和訳)によると、
 
* 炉心の[[連鎖反応 (核分裂)|核分裂連鎖反応]]はすでに停止しており、現在の発熱源は定格出力比約7%の[[長寿命核分裂生成物|核分裂生成物]]の[[崩壊熱]]によるものである。
 
* 核分裂生成物のうちには放射性の[[セシウムの同位体|セシウム]]と[[ヨウ素の同位体|ヨウ素]]の同位体が含まれる。
 
* 炉心付近で起こっている爆発は水素の燃焼によるものであり、核爆発によるものではない。
 
2011年3月16日、京都大学原子炉実験所(現・[[京都大学複合原子力科学研究所]])原子力基礎工学研究部門教授の[[宇根崎博信]]は、UNN関西学生報道連盟に対し次のように述べた<ref>{{Cite news |url=http://www.unn-news.com/shinsai-special/article/201103162637 |date=2011-03-16 |title=京大教授に聞く 福島第一原発放射能漏れ問題 |newspaper=UNN関西学生報道連盟 |accessdate=2011-03-26}}{{リンク切れ|date=2017年3月}}</ref>。
 
* 当該事故発生の原因について、「様々な情報を総合すると、地震ではなく津波が原因」であり、「(津波の)水が原子力施設に与えた影響が想定」を超えていたためこのような事態を招いた。原子炉は「外部からの電力供給が断たれた時の非常用発電設備」を持っているが、「津波によってその機能」が損失したため、このような状況に陥った。
 
* 「(2011年3月16日の)時点で考えうる最悪の場合は部分的に燃料が溶け、水蒸気爆発が生じ、部分的に格納容器や圧力容器を破損させ、今まで以上に放射性物質を放出させる事態」だが、「その可能性は極めて低い」といえる。
 
* 住民の健康への影響については、「退避圏の外で(2011年3月16日時点までに)観測されている(放射性物質の)値を見る限り、健康に影響が出る値」ではないので恐らく大丈夫であろう。
 
* 「原子炉の設計に津波の影響」は考慮されていたが、「それをはるかに超えた津波」であった。「(既存の原子力)施設の安全設計が妥当か」を考え直していくことが必要である。
 
 
 
=== 放射線医学 ===
 
{{See|福島第一原子力発電所事故の影響#放射線医学|被曝#放射線量の大きさに対する人体の影響}}
 
 
 
== 第三者による事故調査・報告 ==
 
=== 国会の事故調査委員会 ===
 
2011年9月30日、[[第178回国会]]で「[[東京電力福島原子力発電所事故調査委員会]]」を設ける「東京電力福島原子力発電所事故調査委員会法」が成立し<ref>{{Cite web |url=http://www.shugiin.go.jp/internet/itdb_kaigiroku.nsf/html/kaigiroku/000117820110929005.htm |title=第178回国会 本会議 第5号(平成23年9月29日(木曜日)) |publisher=衆議院 |date=2011-09-29 |accessdate=2017-03-28}}</ref><ref>{{Cite web |url=http://kokkai.ndl.go.jp/SENTAKU/sangiin/178/0001/17809300001004c.html |title=第178回国会 本会議 第4号 |publisher=国会 |date=2011-09-30 |accessdate=2017-03-28}}</ref>、10月より施行され、2011年12月1日に事故調査委員会のメンバーは「[[東京電力福島原子力発電所事故に係る両議院の議院運営委員会の合同協議会]]」から推薦され、翌2日[[衆議院|衆]][[参議院|参]]両院本会議で承認された。委員長は[[黒川清]]、委員は[[田中耕一]]ら9人<ref>{{Cite web |url=http://www.shugiin.go.jp/internet/itdb_kaigiroku.nsf/html/kaigiroku/000117920111202014.htm |title=第179回国会 本会議 第14号(平成23年12月2日(金曜日)) |publisher=衆議院 |date=2011-12-02 |accessdate=2017-03-28}}</ref><ref>{{Cite web |url=http://kokkai.ndl.go.jp/SENTAKU/sangiin/179/0001/17912020001010c.html |title=第179回国会 本会議 第10号 |publisher=国会 |date=2011-12-02 |accessdate=2017-03-28}}</ref>。
 
 
 
この法に基づき設けられる事故調査委員会は、2011年5月24日の[[閣議]]決定により[[日本の政治|政府]]の内閣官房に設置される「[[東京電力福島原子力発電所における事故調査・検証委員会]]」とは異なり、[[国会 (日本)|国会]]が主体となり独自の調査を行う。事故調査委員会は東京電力やその関連事業体、また政府・[[菅内閣 (第2次改造)|内閣]]を含む関係行政機関などから聞き取り調査や資料などの提出を求めることができる。調査委員会は委員長と9人の委員任命した日から起算しておおむね6か月後に調査結果報告書を[[衆議院議長]]および[[参議院議長]]に提出しなければならない。なお「東京電力福島原子力発電所事故調査委員会法」は施行から1年で効力を失う。調査への協力拒否には議員証言法による罰則もあり得る。委員会の会議は原則公開することとされる。
 
 
 
東京電力福島原子力発電所事故調査委員会は、報告書をまとめ、[[2012年]]7月5日、衆参両院議長に提出した<ref>{{Cite news |title=福島原発事故は「人災」と国会事故調、「日本製」の災害とも |url=http://www.cnn.co.jp/world/30007246.html |newspaper=CNN.co.jp |date=2012-07-05 |accessdate=2012-07-05}}{{リンク切れ|date=2017年3月}}</ref>。報告書では本事故を以下のように結論付けた{{Sfn|国会事故調|2012}}。
 
{{Quotation|
 
* 事故は継続しており、被災後の福島第一原子力発電所の建物と設備の脆弱性及び被害を受けた住民への対応は急務である。今後も独立した第三者によって継続して厳しく監視、検証されるべきである。{{Harv|国会事故調|2012|p=10}}
 
* 事故の根源的原因は歴代の規制当局と東電との関係について、「規制する立場とされる立場が『逆転関係』となることによる原子力安全についての監視・監督機能の崩壊」が起きた点に求められ、何度も事前に対策を立てるチャンスがあったことに鑑みれば、「自然災害」ではなくあきらかに「人災」である。 {{Harv|国会事故調|2012|p=12}}
 
* 事故の直接的原因について、安全上重要な機器の地震による損傷はないとは確定的には言えない。 {{Harv|国会事故調|2012|p=13}}
 
* 過酷事故に対する十分な準備、レベルの高い知識と訓練、機材の点検がなされ、また、緊急性について運転員・作業員に対する時間的要件の具体的な指示ができる準備があれば、より効果的な事後対応ができた可能性は否定できない。すなわち、東電の組織的な問題である。{{Harv|国会事故調|2012|p=14}}
 
* 被害を最小化できなかった最大の原因は「官邸及び規制当局を含めた危機管理体制が機能しなかったこと」、そして「緊急時対応において事業者の責任、政府の責任の境界が曖昧であったこと」にある。{{Harv|国会事故調|2012|p=15}}
 
* 避難指示が住民に的確に伝わらなかった点について、「これまでの規制当局の原子力防災対策への怠慢と、当時の官邸、規制当局の危機管理意識の低さが、今回の住民避難の混乱の根底にあり、住民の健康と安全に関して責任を持つべき官邸及び規制当局の危機管理体制は機能しなかった」。{{Harv|国会事故調|2012|p=16}}
 
* 被災地の住民にとって事故の状況は続いている。放射線被ばくによる健康問題、家族、生活基盤の崩壊、そして広大な土地の環境汚染問題は深刻である。いまだに被災者住民の避難生活は続き、必要な除染、あるいは復興の道筋も見えていない。当委員会には多数の住民の方々からの悲痛な声が届けられている。先の見えない避難所生活など現在も多くの人が心身ともに苦難の生活を強いられている。政府、規制当局の住民の健康と安全を守る意思の欠如と健康を守る対策の遅れ、被害を受けた住民の生活基盤回復の対応の遅れ、さらには受け手の視点を考えない情報公表がその理由。{{Harv|国会事故調|2012|p=17}}
 
* 事故原因を個々人の資質、能力の問題に帰結させるのではなく、規制される側とする側の「逆転関係」を形成した真因である「組織的、制度的問題」がこのような「人災」を引き起こしたと考える。この根本原因の解決なくして、単に人を入れ替え、あるいは組織の名称を変えるだけでは、再発防止は不可能である。{{Harv|国会事故調|2012|p=17}}
 
* 規制された以上の安全対策を行わず、常により高い安全を目指す姿勢に欠け、また、緊急時に、発電所の事故対応の支援ができない現場軽視の東京電力経営陣の姿勢は、原子力を扱う事業者としての資格があるのか疑問。{{Harv|国会事故調|2012|p=18}}
 
* 規制当局は組織の形態あるいは位置付けを変えるだけではなく、その実態の抜本的な転換を行わない限り、国民の安全は守られない。国際的な安全基準に背を向ける内向きの態度を改め、国際社会から信頼される規制機関への脱皮が必要である。また今回の事故を契機に、変化に対応し継続的に自己改革を続けていく姿勢が必要である。{{Harv|国会事故調|2012|p=18}}
 
* 原子力法規制は、その目的、法体系を含めた法規制全般について、抜本的に見直す必要がある。かかる見直しに当たっては、世界の最新の技術的知見などを反映し、この反映を担保するための仕組みを構築するべきである。 {{Harv|国会事故調|2012|p=19}}
 
}}
 
 
 
==== 最終報告書英語版序文に対する異論 ====
 
[[毎日新聞]]論説室の[[福本容子]]は、[[2012年]][[7月20日]]、[[黒川清]]委員長による英語版最終報告書の序文における「島国根性」、「集団主義」、「権威に異を唱えない体質」などの列挙および「事故の根本的な原因は、日本文化の慣習に根ざしたもの」という表現に対し、最終報告書日本語版本文に無い内容が含まれ、事故原因を文化のせいにしたとして、これを問題視する論説を上梓した。また、このことを問題とした上で、米ブルームバーグでは、[[原子力村]]の金絡みでの安全軽視は日本特有ではないと反論していると記述した。記事によれば、黒川は、日本外国特派員協会での会見で日本語版と内容が違う理由を質問された際に「(英語版は)国際社会向けに書いた。日本人が『日本文化の慣習に根ざしたものが原因』を理解できると思う?」と記者に逆質問したとされている<ref>[http://mainichi.jp/opinion/news/20120720k0000m070154000c.html 発信箱:原発事故は文化のせい? 毎日新聞 2012年07月20日]{{リンク切れ|date=2017年3月}}</ref>。
 
 
 
=== 民間の独立検証委員会 ===
 
民間有識者などが構成した「[[福島原発事故独立検証委員会]]」は約300人の関係者から聴取を行い、[[2012年]][[2月28日]]に400ページの検証・調査報告書を取りまとめ発表した。なお東京電力の関係者は聴取に一切応じなかったとされる。このことは読売新聞、産経ニュース、NHKなど多くの報道機関で取り上げられた<ref>読売新聞2012年2月28日13S版2面</ref><ref>{{Cite news |title=【原発民間事故調報告書】しがらみなし 官邸や東電の責任ばっさり 当事者責任に深く踏み込む |url=http://sankei.jp.msn.com/science/news/120228/scn12022800510008-n1.htm |newspaper=msn産経ニュース |date=2012-02-28 |accessdate=2012-03-07}}{{リンク切れ|date=October 2012}}</ref>。
 
 
 
== 注釈 ==
 
{{脚注ヘルプ}}
 
{{Reflist|group="注"}}
 
 
 
== 出典 ==
 
{{Reflist|2}}
 
 
 
== 参考文献 ==
 
* {{Cite report |date=2011-06-07 |url=http://www.kantei.go.jp/jp/topics/2011/iaea_houkokusho.html |title=原子力安全に関するIAEA閣僚会議に対する日本国政府の報告書について |author=原子力災害対策本部 |authorlink=内閣府 |ref=harv}}
 
* {{Cite report |title=国会事故調 東京電力福島原子力発電所事故調査委員会 報告書 |url=http://warp.da.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/3856371/naiic.go.jp/index.html |publisher=東京電力福島原子力発電所事故調査委員会 |date=2012-07-05 |ref={{Harvid|国会事故調|2012}}}}
 
* {{Cite|和書 |title=国会事故調報告書 |author=東京電力福島原子力発電所事故調査委員会 |publisher=[[徳間書店]] |date=2012-09-30 |isbn=9784198634865}}
 
* {{Cite report |title=東京電力福島原子力発電所における事故調査・検証委員会最終報告|url=http://www.cas.go.jp/jp/seisaku/icanps/post-2.html |author=東京電力福島原子力発電所における事故調査・検証委員会 |date=2012/7/23 |ref={{SfnRef|内閣事故調|2012}}}}
 
* {{Cite report|title=東京電力福島原発事故における事故調査・検証委員会中間報告 |url=http://www.cas.go.jp/jp/seisaku/icanps/post-1.html |author=東京電力福島原子力発電所における事故調査・検証委員会 |date=2011-12-26 |ref={{SfnRef|内閣事故調中間|2011}}}}
 
* {{Cite|和書 |title=誰も書かなかった福島原発の真実 |author=澤田哲生 |authorlink=澤田哲生 |series=WAC |publisher=WAC |date=2012-05 |isbn=9784898311806 |ref=harv}}
 
* 「見逃された教訓 安全を過信」戦後70年 原子力と放射線(上) 読売新聞 2015年6月14日朝刊26面
 
::[[鈴木達治郎]]、[[佐藤一男]]、[[近藤駿介]]、[[班目春樹]]、[[松浦祥次郎]]、[[畑村洋太郎]]の証言を基にした記事
 
* {{Cite report |url=http://www.tepco.co.jp/cc/press/betu12_j/images/120620j0303.pdf |date=2012-06-20 |title=福島原子力事故調査報告書 |author=東京電力株式会社 |ref={{SfnRef|東電事故報告|2012}}}}
 
* {{Cite|和書 |title=福島原発事故独立検証委員会調査・検証報告書 |author=福島原発事故独立検証委員会 |publisher=ディスカヴァー・トゥエンティワン |date=2012-03-11 |isbn=9784799311585 |ref={{SfnRef|独立検証委|2012}}}}
 
 
 
== 関連資料 ==
 
* {{Cite web|url=http://f-archive.jaea.go.jp/index.php|title=福島原子力事故関連情報アーカイブ|publisher=日本原子力研究開発機構|accessdate=2017-03-29}}
 
* {{Cite web|url=http://www.jma.go.jp/jma/kokusai/kokusai_eer.html|title=環境緊急対応地区特別気象センターについて|date=2011-04-05|publisher=気象庁|accessdate=2011-04-05}}
 
* {{Cite web|url=http://www.mlit.go.jp/report/press/city13_hh_000125.html|title=福島県内の下水処理副次産物の当面の取扱いに関する考え方について|publisher=国土交通省都市・地域整備局|accessdate=2011-05-16}}
 
* {{Cite web|url=http://www.maff.go.jp/j/press/syouan/nouan/110527.html|title=農地土壌中の放射性セシウムの野菜類と果実類への移行について|publisher=農林水産省消費・安全局|accessdate=2011-05-28}}
 
* {{Cite web|url=http://www.niph.go.jp/soshiki/suido/pdf/h23radioactive/Review_Removal_capability_by_water_treatments.pdf|format=PDF|title=浄水プロセスにおける放射性物質の除去性能に関するレビュー|publisher=国立保健医療科学院水道工学部|accessdate=2011-05-29}}
 
* {{Cite web|url=http://www.env.go.jp/press/press.php?serial=15000|title=平成23年度除染技術実証事業に係る実証試験対象技術の選定結果について|publisher=[[環境省]]水・大気環境局除染チーム技術実証事業|accessdate=2012-03-23}}
 
** {{Cite web|url=http://www.env.go.jp/press/file_view.php?serial=19512&hou_id=15000|title=平成23年度除染技術実証事業 採択技術一覧|format=PDF|publisher=[[環境省]]|accessdate=2012-03-23}}
 
* {{Cite web|url=http://ramap.jaea.go.jp/map/|title=文部科学省放射線量等分布マップ拡大サイト|publisher=文部科学省|accessdate=2011-10-19}}
 
* {{Cite web|url=http://www.env.go.jp/jishin/rmp.html#josen-gl|title=除染関係ガイドラインの策定について |publisher=環境省|accessdate=2011-12-25}}
 
* {{Cite web|url=http://www.rinya.maff.go.jp/j/press/hozen/111227.html|title=スギ雄花に含まれる放射性セシウムの濃度の調査結果について(中間報告)|publisher=林野庁森林整備部研究・保全課|accessdate=2011-12-27}}
 
* {{Cite web|url=http://www.rinya.maff.go.jp/j/press/hozen/111227_2.html|title=森林内の放射性物質の分布状況調査結果について(第二報)|publisher=林野庁森林整備部研究・保全課|accessdate=2011-12-27}}
 
* {{Cite web|url=http://www.mhlw.go.jp/bunya/roudoukijun/josen_gyoumu/|title=除染等業務に係る放射線障害防止対策について|date=2012-01-01|publisher=厚生労働省|accessdate=2012-03-13}}
 
* {{Cite web|url=http://www.s.affrc.go.jp/docs/press/120302.htm|title=「農地土壌の放射性物質除去技術(除染技術)作業の手引き」について|date=2012-03-02|publisher=農林水産省|accessdate=2012-03-13}}
 
* {{Cite web|url=http://www.s.affrc.go.jp/docs/press/120323.htm|title=「農地土壌の放射性物質濃度分布図」の作成について||date=2012-03-23|publisher=農林水産省|accessdate=2012-03-25}}
 
* {{Cite web|url=http://www.jfa.maff.go.jp/j/koho/saigai/index.html|title=東京電力福島第一原子力発電所事故による水産物への影響と対応について|publisher=水産庁|accessdate=2013-09-07}}
 
* {{Cite web|url=http://www.jfa.maff.go.jp/j/sigen/gaiyou/index.html|title=水産物の放射性物質調査について(概要)|publisher=水産庁|accessdate=2013-09-10}}
 
 
 
<!--リンク切れ|2017年3月
 
文科省から環境省へ移管になったものが多い
 
* {{Cite web|url=http://radioactivity.mext.go.jp/ja/monitoring_around_FukushimaNPP_monitoring_out_of_20km/|title=モニタリングカーを用いた固定測定点における空間線量率の測定結果|publisher=文部科学省原子力災害対策支援本部|accessdate=2011-03-17}}{{リンク切れ|date=October 2012}}
 
* {{Cite web|url=http://radioactivity.mext.go.jp/ja/monitoring_by_prefecture/|title=都道府県別環境放射能水準調査結果|publisher=文部科学省原子力災害対策支援本部|accessdate=2011-03-18}}{{リンク切れ|date=October 2012}}
 
* {{Cite web|url=http://radioactivity.mext.go.jp/ja/monitoring_by_prefecture_drinking_water/|title=定期降下物、上水(蛇口水)のモニタリング|publisher=文部科学省原子力災害対策支援本部|accessdate=2011-03-19}}{{リンク切れ|date=October 2012}}
 
* {{Cite web|url=http://www.jnes.go.jp/gijyutsu/seika/index.html|title=試験研究等の成果報告書|publisher=原子力安全基盤機構|accessdate=2011-04-03}}
 
* {{Cite web|url=http://radioactivity.mext.go.jp/ja/|title=福島原子力発電所周辺の放射線モニタリングデータ|publisher=文部科学省原子力災害対策支援本部|accessdate=2011-04-24}}
 
* {{Cite web|url=http://radioactivity.mext.go.jp/ja/distribution_map_sea_area_simulation/|title=海域における放射能濃度のシミュレーション|publisher=文部科学省原子力災害対策支援本部|accessdate=2011-04-24}}{{リンク切れ|date=October 2012}}
 
* {{Cite web|url=http://radioactivity.mext.go.jp/ja/monitoring_around_FukushimaNPP_radioactivity_level_inside_20km_dose/|title=福島第一原子力発電所20km圏内の空間放射線量率の測定結果|publisher=文部科学省原子力災害対策支援本部|accessdate=2011-04-26}}{{リンク切れ|date=October 2012}}
 
* {{Cite web|url=http://radioactivity.mext.go.jp/ja/distribution_map_around_FukushimaNPP/|title=福島第1及び第2原子力発電所周辺の放射線量等分布マップ|publisher=文部科学省原子力災害対策支援本部|accessdate=2011-04-26}}{{リンク切れ|date=October 2012}}
 
* {{Cite web|url=http://radioactivity.mext.go.jp/ja/distribution_map_SPEEDI/|title=緊急時迅速放射能影響予測ネットワークシステム (SPEEDI)による計算結果|publisher=文部科学省原子力災害対策支援本部|accessdate=2011-05-04}}{{リンク切れ|date=October 2012}}
 
* {{Cite web|url=http://radioactivity.mext.go.jp/ja/monitoring_around_FukushimaNPP_MEXT_DOE_airborne_monitoring/|title=文部科学省(米国エネルギー省との共同を含む)による航空機モニタリング結果|publisher=文部科学省原子力災害対策支援本部|accessdate=2011-05-06}}{{リンク切れ|date=October 2012}}
 
* {{Cite web|url=http://www.mext.go.jp/component/a_menu/other/detail/__icsFiles/afieldfile/2011/06/03/1306870_0603.pdf|format=PDF|title=福島県内の公共用水域の水質モニタリング調査における放射性物質濃度の測定結果(速報)について|publisher=環境省水・大気環境局|date=2011-06-03|accessdate=2011-06-05}}{{リンク切れ|date=October 2012}}
 
* {{Cite web|url=http://www.nsc.go.jp/anzen/shidai/genan2011/genan039/siryo1.pdf|format=PDF|title=生活環境における放射線レベルの調査結果について|publisher=原子力安全委員会|accessdate=2011-06-04}}{{リンク切れ|date=October 2012}}
 
* {{Cite web|url=http://www.meti.go.jp/press/2011/07/20110715009/20110715009.html|title=「福島県内(警戒区域及び計画的避難区域を除く)における生活圏の清掃活動(除染)に関する基本的な考え方」について|publisher=経済産業省原子力安全・保安院|accessdate=2011-07-16}}
 
* {{Cite web|url=http://www.s.affrc.go.jp/docs/press/110914.htm|title=農地土壌の放射性物質除去技術(除染技術)について|publisher=農林水産省|accessdate=2011-09-14}}
 
* {{Cite web|url=http://radioactivity.mext.go.jp/ja/distribution_map_around_FukushimaNPP/0002/5600_091412.pdf|format=PDF|title=文部科学省による放射性物質の分布状況等に関する調査研究(森林内における放射性物質の移行調査)の結果について|publisher=文部科学省原子力災害対策支援本部|accessdate=2011-09-15}}{{リンク切れ|date=October 2012}}
 
* {{Cite web|url=http://icanps.go.jp/post-1.html|title=東京電力福島原子力発電所における事故調査・検証委員会 中間報告|publisher=内閣官房|accessdate=2011-12-26}}
 
* {{Cite web|url=http://radioactivity.mext.go.jp/ja/distribution_map_around_FukushimaNPP/5600_201203131000_press.pdf|format=PDF|title=東京電力株式会社福島第一原子力発電所の事故に伴い放出された放射性物質の分布状況等に関する調査研究結果について|publisher=文部科学省|accessdate=2012-03-14}}{{リンク切れ|date=October 2012}}
 
* {{Cite web|url=http://www.nisa.meti.go.jp/gensai/index.html|title=政府・東京電力統合対策室(旧:福島原子力発電所事故対策統合本部)議事概要|date=2012-03-01|publisher=原子力安全・保安院|accessdate=2012-03-14}}
 
-->
 
 
 
== 関連項目 ==
 
<!--冗長なので、関連項目テンプレート化されているものと重複するのは入れないように!-->
 
* [[輪番停電]](計画停電)
 
<!--下記は[[東日本大震災]]の本文に転記組み入れた
 
; 東日本大震災の被災地の原発
 
* [[東海第二発電所|東海第二原子力発電所]]([[茨城県]][[東海村]])
 
* [[福島第二原子力発電所]]([[福島県]][[富岡町]]・[[楢葉町]])
 
* [[女川原子力発電所]]([[宮城県]][[女川町]])
 
* [[東通原子力発電所]]([[青森県]][[東通村]])-->
 
* [[沸騰水型原子炉]]
 
* [[放射性廃棄物]]
 
* [[放射性廃棄物処理設備]]
 
* [[廃炉]]
 
* [[国際原子力事象評価尺度]]
 
* {{仮リンク|2011年バーデン=ヴュルテンベルク州議会議員選挙|en|Baden-Württemberg state election, 2011}} - この事故の影響で、[[同盟90/緑の党]]が第2党に躍進し、[[ドイツ社会民主党]]と連立与党を組むに至った。
 
*[[前橋地裁・福島第一原発事故損害賠償請求事件]]
 
*[[「生業を返せ、地域を返せ!」福島原発訴訟]]
 
*[[東海村JCO臨界事故]]
 
*[[原子力明るい未来のエネルギー]]
 
 
 
== 外部リンク ==
 
{{百科事典的でない|type=NOTLINK|date=2011年10月}}
 
{{commonscat|Fukushima I Accidents|福島第一原子力発電所事故}}
 
{{wikinews|福島第一原発でメルトダウン発生か?}}
 
日付においては、年が2011年であるときは、年の記述を省略している。
 
 
 
; 政府・各省庁の報道発表
 
* [http://www.kantei.go.jp/saigai/report.html 首相官邸] - 総理指示、官房長官会見、原子力災害対策本部「福島第一・第二原子力発電所事故について」など。更新:「…事故について」は毎日1 - 2回の模様。
 
* [http://web.archive.org/web/20110315201553/http://www.nisa.meti.go.jp/itiran/new_genshi_index.html 原子力安全・保安院 原子力安全のお知らせ] - (2012年9月19日をもって廃止) 運用当時の更新:5月は毎日1回程度。発表時刻と実際の掲載時刻は数時間から1日ある。<small>下記「緊急時情報」に要約だけが先に掲載されていたこともある。</small>
 
* [http://kinkyu.nisa.go.jp/ 原子力安全・保安院 緊急時情報] - 要約。メールサービスあり。{{リンク切れ|date=2012年5月}}
 
* [http://www.nsc.go.jp/ 原子力安全委員会]
 
* [http://www.jma-net.go.jp/fukushima/ 気象庁 福島気象台] - 地震関連情報など。
 
* [http://www1.kaiho.mlit.go.jp/ 海上保安庁 海洋情報部] - 海洋速報、海流推測図など。
 
* [http://www.fdma.go.jp/bn/2011/ 消防庁 災害情報] - 写真含む。また、福島原子力発電所(東日本大震災)に関連する消防の対応の報告もある。
 
* [http://www.mod.go.jp/j/approach/defense/saigai/tohokuoki/index.html 自衛隊 地震関連] - 自衛隊の活動状況情報。
 
* [http://www.env.go.jp/jishin/ 環境省 東日本大震災への対応について]
 
* [http://icanps.go.jp/ 東京電力福島原子力発電所における事故調査・検証委員会]
 
 
 
; 国会の報道発表
 
* [http://www.ican.go.jp/ 東京電力福島原子力発電所事故調査委員会]
 
 
 
; 事業者の報道発表
 
* [http://www.tepco.co.jp/cc/press/index11-j.html 東京電力] 地震による影響【xx時現在】が1日1回 - 3回。海水からの放射性物質の検出(第xx報)が1日1回など。
 
** [http://www.tepco.co.jp/cc/press/11041702-j.html 事故の収束に向けた道筋] 2011年4月17日
 
* [http://www.tepco.co.jp/nu/f1-np/press_f1/2011/2011-j.html 福島第一原発]、[http://www.tepco.co.jp/nu/f1-np/press_f1/2010/2010-j.html 同、3月31日以前分] プラント状況【xx時現在】が1日1回 - 3回。{{リンク切れ|date=2012年5月}}
 
* [http://www.jaif.or.jp/ja/news/2011/fukushima-npps_status.html 東北地方太平洋沖地震・福島第一原子力発電所の状況] - [[日本原子力産業協会]]
 
* [http://www.tepco.co.jp/cc/press/2012/1205628_1834.html 福島原子力事故調査報告書の公表について]2012年6月20日
 
 
 
; 用語集
 
* [http://www.nisa.meti.go.jp/word/index.html 原子力防災用語集] - 原子力安全・保安院{{リンク切れ|date=2012年5月}}
 
* [http://www.bousai.ne.jp/vis/bousai_kensyu/glossary/index.html 原子力防災基礎用語集] - 原子力安全技術センター
 
* {{PDFlink|[http://www.meti.go.jp.cache.yimg.jp/report/downloadfiles/g30121d072j.pdf 炉心シュラウドの健全性評価に関する用語集]}} - 東京電力など
 
 
 
; 図面
 
* {{PDFlink|[http://www.nisa.meti.go.jp/shingikai/800/4/3/001/1-1-4.pdf 全体系構成概要図]}} - 福島第一原発で採用されている沸騰水型軽水炉 (BWR) と構造が近い改良型沸騰水型軽水炉 (ABWR) の構成。本原発と共通の用語が多い。
 
 
 
; 食品・水道水・海水・大気・降下物の安全性情報
 
* [http://www.kantei.go.jp/saigai/monitoring/index.html 首相官邸 モニタリングデータ] 福島第一周辺および各県モニタリングデータなど(見やすい)。更新:半日に一度。そこからのリンク先に、健康や退避などへの影響の「[http://www.nsc.go.jp/nsc_mnt/index.htm 評価結果]{{リンク切れ|date=October 2012}}」(原子力安全委員会)。
 
* [http://www.meti.go.jp/earthquake/nuclear/monitor.html 経済産業省 (各機関、事業者の)放射線計測値] - モニタリングデータ類への公式で豊富なリンク集。
 
* [http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/2r98520000014j15.html 厚生労働省 地震関連情報] - 地震関連の報道発表、水道水中の放射性物質の検出について(第xx報)、食品中の放射性物質の検査結果について(第xx報)、雇用・労働関係の特例措置など。
 
* [http://www.fsc.go.jp/ 食品安全委員会] - 本地震の本原発への影響と食品の安全性など。更新:随時。
 
* [http://www.jfa.maff.go.jp/ 水産庁] - 水産物の検査結果など。
 
* [http://www.aist.go.jp/taisaku/ja/measurement/index.html 産業技術総合研究所 つくば市での放射線量]
 
* [http://atmc.jp/ 文部科学省 全国の放射能濃度一覧] - [http://www.mext.go.jp/a_menu/saigaijohou/syousai/1303723.htm 都道府県別環境放射能水準調査結果]{{リンク切れ|date=October 2012}}を元に、平常時と当日の最高線量を比較して表示。
 
 
 
; 被曝関連情報
 
* [http://www.nirs.go.jp/index.shtml 放射線医学総合研究所] 放射線被曝に関する基礎知識(第xx報)、除染方法、放射線被曝の問合せ窓口など。
 
* [http://www.jaif.or.jp/ja/news/2011/eco&amp;radiation_top.html 福島第一原子力発電所に関する環境影響・放射線被ばく][[日本原子力産業協会]]
 
* [http://smc-japan.org/?p=1627 低線量被ばくの人体への影響について サイエンス・メディア・センター]
 
 
 
; 放射性物質の汚染対策・除染
 
* {{PDFlink|[http://www.jaea.go.jp/fukushima/other/2012-0222.pdf 平成23年度(2011年度)除染技術実証試験事業 「放射性物質を含む汚染土壌等からの乾式セシウム除去技術の開発」]}}([[日本原子力研究開発機構]])
 
 
 
; 事業者の地震・津波対策情報
 
* [http://www.kagakueizo.org/movie/industrial/365/ 「福島の原子力」(日映科学映画製作所、企画:東京電力、1977年 カラー 27分)] - 科学映像館
 
* [http://www.kagakueizo.org/movie/industrial/350/ 「黎明 福島原子力発電所建設記録 調査篇」(日映科学映画製作所 企画:東京電力、1967年 カラー 26分)] - 科学映像館
 
* [http://www.kagakueizo.org/movie/industrial/4319/ 「黎明 第二部 建設編」(日映科学映画製作所、企画:東京電力、1971年 カラー29分56秒)] - 科学映像館
 
* [http://www.kagakueizo.org/movie/industrial/4275/ 「目で見る福島第一原子力発電所」(日映科学映画製作所、企画:東京電力、1991年 カラー 23分55秒)] - 科学映像館
 
* [https://web.archive.org/web/20110412145205/http://www.tepco.co.jp/nu/knowledge/quake/index-j.html 東京電力 もっと詳しく原子力 地震対策] - 閉鎖。(2011年4月12日時点の[[インターネットアーカイブ|アーカイブ]])
 
* [http://replay.waybackmachine.org/20090405094811/http://www.tepco.co.jp/nu/f1-np/index-j.html 東京電力 福島第一原発(2009年記録)] - Internet Archive
 
 
 
; 関連法令など
 
* [http://law.e-gov.go.jp/htmldata/H11/H11HO156.html 原子力災害対策特別措置法]
 
* [http://www.bousai.ne.jp/vis/bousai_kensyu/glossary/ke16.html 原子力緊急事態宣言]
 
* [http://law.e-gov.go.jp/htmldata/S36/S36HO147.html 原子力損害の賠償に関する法律]
 
* [http://law.e-gov.go.jp/htmldata/S36/S36HO148.html 原子力損害賠償補償契約に関する法律]
 
 
 
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2018/9/8/ (土) 00:05時点における最新版

福島第一原子力発電所事故(ふくしまだいいちげんしりょくはつでんしょじこ)

2011年,福島県東部,双葉町大熊町にまたがる太平洋岸にある東京電力福島第一原子力発電所で発生した,史上 2番目の規模の原子力発電所事故。福島第一原子力発電所は 1971~79年に建設された 6基の沸騰水型原子炉からなり,東京電力が運転していた。事故当時運転中だったのは 1~3号機だけで,定期点検中だった 4号機のプールには使用済み核燃料が貯蔵されていた。2011年3月11日に起こった東北地方太平洋沖地震により発生した津波で,福島第一原子力発電所の非常用電源が損傷した。運転中の原子炉 3基は緊急自動停止したものの,電源を喪失したことによって数日後には各原子炉の緊急炉心冷却装置が停止した。その結果,各原子炉で炉心溶融が起こったとみられた。数回にわたって格納容器内の蒸気を大気へ放出する排気(ベント)が行なわれたが,3月12日と 3月14日に 1号機と 3号機それぞれの原子炉建屋で水素爆発が発生,3月15日には 2号機の原子炉建屋で爆発が起こり,格納容器が損傷したとみられた。周辺地域に高濃度の放射性物質が拡散するおそれがあることから,政府は発電所から半径 30km圏内を飛行禁止区域とし,20km圏内の住民に避難指示を出した。4月12日,経済産業省の原子力安全・保安院はこの事故の国際原子力事象評価尺度 INESを,1986年にソビエト連邦(ウクライナ)で起こったチェルノブイリ原子力発電所事故と同じレベル7とした。



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